特許第6405586号(P6405586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6405586タイヤのための弾性ハイブリッドビードワイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405586
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】タイヤのための弾性ハイブリッドビードワイヤ
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/06 20060101AFI20181004BHJP
   B60C 15/04 20060101ALI20181004BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20181004BHJP
   D02G 3/48 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   D07B1/06 A
   B60C15/04 A
   B60C15/04 Z
   D02G3/04
   D02G3/48
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-515508(P2015-515508)
(86)(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公表番号】特表2015-524884(P2015-524884A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2013061584
(87)【国際公開番号】WO2013182597
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】1255294
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ヒューグ ジャン−ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ブシェール ローラン
(72)【発明者】
【氏名】デルフィーノ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】メラルディ ジャン−ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラペンヌ ティボー
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−022204(JP,A)
【文献】 特開平04−266506(JP,A)
【文献】 特開平04−078703(JP,A)
【文献】 特開平11−321247(JP,A)
【文献】 特表2010−510124(JP,A)
【文献】 特表2011−505506(JP,A)
【文献】 特開2003−041447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/06
B60C 15/04
D02G 3/04
D02G 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(10)のための単層ビードワイヤ(20、20’、20’’)であって、
有機母材に埋め込まれた非金属基本フィラメントの少なくとも1つの糸(B)を含むコア(30)と、
前記コア(30)の回りに巻かれてそれに接触した金属線(F1)を含む外側層(C1)と、
を含み、
前記ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与は、75%以下であり、
前記コアは、モノリシック円環体を形成し、
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の質量に対する前記コア(30)の寄与(Rm)対ビードワイヤ(20、20’、20’’)の破断時の力(Fm)に対する該コア(30)の寄与(Rf)の比率(R)が、厳密に1よりも小さく、0.25以上である、ビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項2】
前記コア(30)は、単糸(B)を含むことを特徴とする請求項1に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項3】
前記コア(30)は、複数の別々の糸(B1、B2、B3)を含む請求項1に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項4】
各糸(B;B1、B2、B3)が作られる材料(Ma)が、800MPa以上の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定された降伏強度(Re)を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項5】
各糸(B;B1、B2、B3)が作られる材料(Ma)が、100GPa以下の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定されたヤング率(E)を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項6】
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の質量に対する前記コア(30)の寄与(Rm)対ビードワイヤ(20、20’、20’’)の破断時の力(Fm)に対する該コア(30)の寄与(Rf)の比率(R)が、0.8以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項7】
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の質量に対する前記コア(30)の寄与(Rm)対ビードワイヤ(20、20’、20’’)の破断時の力(Fm)に対する該コア(30)の寄与(Rf)の比率(R)が、0.4以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項8】
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の破断時の力(Fm)に対する前記コア(30)の寄与(Rf)が、10%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項9】
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の破断時の力(Fm)に対する前記コア(30)の寄与(Rf)が、75%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項10】
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の質量に対する前記コア(30)の寄与(Rm)が、20%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項11】
ビードワイヤ(20、20’、20’’)の質量に対する前記コア(30)の寄与(Rm)が、5%以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のビードワイヤ(20、20’、20’’)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1つのビードワイヤ(20)、
を含む、タイヤ(10、10’、10’’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのためのビードワイヤ、特にハイブリッドビードワイヤ、すなわち、異なる性質の少なくとも2つの材料を含むものに関する。それは、あらゆるタイプの車両のためのあらゆるタイプのタイヤに適用される。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤは、タイヤをリム上に装着させるように意図する2つの周方向ビードを含む。各ビードは、環状補強ビードワイヤを含む。
【0003】
従来技術は、コアとコアの回りに巻かれてコアに接触した鋼線の外側層と含むビードワイヤを含む地上車両のためのタイヤを開示している。コアは、鋼の単一フィラメントから構成される。鋼の単一フィラメントは、ほぼ円形のリングを形成するように、それ自体の上に丸く曲げられ、その2つの端部が溶接される。
【0004】
しかし、比較的重い重量に加えて、ビードワイヤは、塑性変形の危険性を示している。従って、膨張していないタイヤがタイヤ自体の重みを受けて又は他のタイヤの重みを受けて押し潰される輸送又は貯蔵の段階後に、ビードワイヤのうちの少なくとも1つが不可逆的塑性変形を示す可能性が高いという危険性がある。しかし、そのような変形は、時にビードワイヤの機械的特性を損なう可能性があり、リムの回りのビードワイヤの立証不能な締め付けをもたらし、これは、タイヤの気密性及び性能を損なうことがありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、タイヤの性能を維持することを可能にする軽いビードワイヤの目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の1つの主題は、有機母材に埋め込まれたマルチフィラメント織物繊維の少なくとも1つの糸を含むコアとコアの回りに巻かれてコアに接触した金属線を含む外側層とを含むタイヤのための単層ビードワイヤである。
【0007】
有機母材に固有の比較的高い降伏強度により、輸送及び貯蔵の段階中のビードワイヤの可能な可塑化は回避され、塑性変形のあらゆる危険性は排除される。
【0008】
更に、ビードワイヤは比較的軽い。具体的には、コアが作られる材料の性質は、その機械的特性、特に破断時の力を保持しながら、金属コアを有するビードワイヤのものと比較して15から35%だけビードワイヤの質量を低減することを可能にする。
【0009】
定義により、織物繊維は非金属である。マルチフィラメント織物繊維は、並んで配置されて実質的に一方向方式に配向される基本紡織フィラメントを含む。基本フィラメントは、従って、時折重なるのは別として、互いに多かれ少なかれ平行である。
【0010】
織物繊維は、有機母材を補強する。そのような繊維は、例えば、ポリビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド(又は「アラミド」)繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、セルロース繊維、レーヨン繊維、ビスコース繊維、ポリフェニレンベンゾビスオキサゾール(又は「PBO」)繊維、ポリエチレンナフテン酸塩(「PEN」)繊維、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、及びそのような繊維の混合物から構成される群から選択される。好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、及びそのような繊維の混合物から構成される群から選択された繊維を使用することになる。好ましくは、繊維は、ガラス繊維である。
【0011】
有機母材は、重量で50%よりも多く、好ましくは、75%よりも多く、より好ましくは、90%よりも多い有機材料を含むあらゆる母材であると理解される。有機母材は、その製造工程に由来する鉱物及び/又は金属を含有するが、意図的に鉱物及び/又は金属添加剤を追加することもできる。従って、有機母材は、例えば、不飽和ポリエステル、ポリエポキシド、フェノール誘導体又はアミノプラストに基づく例えば熱硬化性ポリマー母材、又は例えばシアネート、ポリ(ビスマレイミド)、ポリイミド、ポリアミドイミドに基づく熱安定性のポリマー母材、又は例えばポリプロピレン、ポリアミド、飽和ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポルスルホン及びポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミドに基づく熱可塑性ポリマー母材、又は例えばポリウレタン、シリコーン、又はゴムに基づく熱可塑性又は架橋エラストマー、又はこれらの材料の混合物から得られる有機母材とすることができる。
【0012】
好ましくは、有機母材は、好ましくは架橋された熱硬化性樹脂である。それは、例えば、紫外可視光線、加速電子のビーム、又はX線のようなイオン化放射線による架橋性の例えば樹脂である。過酸化物によって架橋性の樹脂を含む組成物も選択することができ、その後の架橋は、次に、その工程で印加される熱により、例えば、マイクロ波の作用によって実施することができる。好ましくは、イオン化放射線によって硬化することができるタイプの組成物が使用され、最終重合化をイオン化処理、例えば、UV又はUV可視タイプを使用して容易にトリガして制御することができる。架橋性樹脂として、ポリエステル樹脂(すなわち、不飽和ポリエステルに基づくもの)又はビニルエステル樹脂を使用することがより好ましい。より好ましくは、ビニルエステル樹脂を使用する。
【0013】
一実施形態において、コアは、単糸を含み、かつ好ましくは単糸から構成される。
【0014】
一変形において、コアは、モノリシック円環体を形成する。用語「モノリシック」は、円環体に巨視的スケールで材料又は継手の不連続性がないことを意味すると理解される。円環体はモノリシックであるので、コアは、従来技術のビードワイヤのコアよりも脆弱でなく、従来技術のビードワイヤは、その端部を溶接する点に弱点がある。好ましくは、基本フィラメントは、円環体の容積全体を通して均質に分配される。
【0015】
別の変形において、コアは、いくつかのコイルにおける糸の巻線を形成する。
【0016】
別の実施形態において、コアは、複数の別々の糸を含む。その高降伏強度の理由で、コア材料は、より大きい弾性変形の機能を有し、その機能は、複数の糸によって高められる。具体的には、糸の数を増加させることにより、ビードワイヤの予め決められたサイズに対して各糸の断面及び従って各糸の断面の剛性は低下し、コアの臨界曲げ曲率半径は減少する。第1にコア材料及び第2に複数の糸の組合せにより、優れた弾性変形の機能を有するビードワイヤを得ることを可能にする。ビードワイヤの可塑化のあらゆる危険性を回避する。
【0017】
一変形において、糸は、ケーブリングによって組み立てられる。この変形において、糸は、螺旋状に互いに巻かれ、これら自体の軸線の回りで捩りを受けない。
【0018】
別の変形において、糸は、捩ることによって組み立てられる。この変形において、糸は螺旋状に互いに巻かれ、集合的捩り及びこれら自体の軸線の回りで個々の捩りの両方を受け、それによって糸の各々に対して捩り戻しトルクを発生させる。
【0019】
更に別の変形において、コアは、互いに平行に並置された複数のモノリシック円環体を含む。
【0020】
有利な態様において、各糸を作る材料は、800MPa以上であり、好ましくは、1000MPa以上であり、より好ましくは、1200MPa以上の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定された降伏強度を有する。コア材料の高降伏強度により、輸送及び貯蔵の段階中のビードワイヤの可塑化の危険性は更に低下する。
【0021】
有利な態様において、各糸を作る材料は、100GPa以下であり、好ましくは、75GPa以下であり、より好ましくは、50GPa以下の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定されたヤング率を有する。低ヤング率は、変形の観点から強力であるコアを得ることを可能にする。好ましくは、高降伏強度及び低ヤング率の組合せは、ビードワイヤのコアに弾性ドメインにおける優れた変形機能を与える。
【0022】
有利な態様において、ビードワイヤの質量に対するコアの寄与対ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与の比率は、厳密には1よりも小さく、好ましくは、0.8以下であり、より好ましくは、0.7以下である。コアの比較的低い質量に対して、コアの破断時の力は、比較的高い。従って、コアの及び従ってビードワイヤの質量の比較的小さい増加は、破断時の力の比較的高い増加をもたらす。
【0023】
破断時の力に対するコアの寄与は、コア単独の破断時の力対ビードワイヤの破断時の力の比率によって定義される。ビードワイヤの質量に対するコアの寄与は、コア単独の質量対ビードワイヤの質量の比率によって定義される。
【0024】
破断時の力に対する寄与の比率を決定するために、ビードワイヤの又はコアの破断時の力(Nでの最大荷重)は、一般的に使用するあらゆる種類の方法によって測定することができる。例えば、ビードワイヤの直線試料に対して基準「ISO 6892,1984」による方法、又は以下に説明するビードワイヤ引張試験による方法を使用することもできる。
【0025】
有利な態様において、ビードワイヤの質量に対するコアの寄与対ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与の比率は、0.25以上であり、好ましくは、0.4以上であり、より好ましくは、0.5以上である。従って、ビードワイヤは、コアと外側層の間の質量及び破断時の力への優れた寄与の分配を有する。
【0026】
好ましくは、ビードワイヤの質量に対するコアの寄与対ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与の比率は、範囲[0.25;1]、[0.4;1]、[0.5;1]、[0.25;0.8]、[0.4;0.8]、[0.5;0.8]、[0.25;0.7]、[0.4;0.7]、及び[0.5;0.7]のうちの少なくとも1つにある。
【0027】
より好ましくは、ビードワイヤの質量に対するコアの寄与対ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与の比率は、範囲[0.5;0.7]にある。
【0028】
好ましくは、ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与は、10%以上であり、好ましくは、15%以上であり、より好ましくは、17%以上である。従って、ビードワイヤの破断時の力に対するビードワイヤのコアの寄与は、従来技術のビードワイヤの破断時の力に対する従来技術のビードワイヤのコアの寄与よりも大きい。一定の機械的特性において、ビードワイヤは、従ってより軽い。
【0029】
任意的に、ビードワイヤの破断時の力に対するコアの寄与は、75%よりも小さいか又はそれに等しい。破断時の力に対する寄与は、従って、コアと外側層の間に比較的良く分配されたままである。
【0030】
好ましくは、ビードワイヤの質量に対するコアの寄与は、20%以下であり、好ましくは、15%以下であり、より好ましくは、10%以下である。従って、ビードワイヤの質量に対するビードワイヤのコアの寄与は、従来技術のビードワイヤの質量に対する従来技術のビードワイヤのコアの寄与以下である。
【0031】
任意的に、ビードワイヤの質量に対するコアの寄与は、5%以上である。質量に対する寄与は、従って、主として依然として外側層によるものである。
【0032】
有利な態様において、コアによって定められた円環体の直径対ビードワイヤによって定められた円環体の直径の比率は、0.35以上であり、好ましくは、0.45以上であり、より好ましくは、0.55以上である。従って、比較的コンパクトなコアを含み、かつ優れた機械的特性、特に破断時の力を有するビードワイヤを得ることができる。
【0033】
好ましくは、ビードワイヤの破断時の力は、包括的に1600daN〜2700daNであり、好ましくは、包括的に1800daN〜2500daNであり、より好ましくは、包括的に2000daN〜2300daNである。
【0034】
ビードワイヤの又はコアの破断時の力(Nでの最大荷重)は、好ましくは、12個の半径方向に可動性の扇形を含む引張試験機械を用いてビードワイヤ引張試験と呼ばれる周方向引張試験を使用して23℃で測定される。準静的な条件下に実施されるこの試験中に、試験すべきビードワイヤ又はコアは、扇形の回りに位置決めされる。扇形の同時及び漸次的移動は、増加した強度の半径方向の力をビードワイヤ又はコアに及ぼす効果を有する。扇形の移動の後に、ビードワイヤ又はコアにかかる力を測定する3つの力センサが続く。破断時の力は、ビードワイヤの要素が破断する時(ビードワイヤの試験の場合)又はコアが破断する時(コアの試験の場合)に決定される。取得周波数は、100Hzに等しい。保持される破断時の力の値は、3つのセンサによって測定された3つの値の平均値である。
【0035】
ビードワイヤの好ましい特徴により、以下の通りである。
−各糸の直径は、0.5〜4mmである。
−各マルチフィラメント織物繊維の各基本フィラメントの直径は、2〜30μmである。
−各マルチフィラメント織物繊維は連続的である。非連続的の反対の用語「連続的」は、繊維の予め決められた長さ、例えば、5cmに対して繊維の基本フィラメントの少なくとも80%及び好ましくは少なくとも90%が個々に連続的であることを意味すると理解される。
−各マルチフィラメント織物繊維は、10よりも多い基本フィラメント、好ましくは、100よりも多い基本フィラメント、より好ましくは、1000よりも多い基本フィラメントを含む。
【0036】
有利な態様において、それぞれ23℃で基準「ASTM D 638」及び「ASTM D 790」に従って測定されたビードワイヤのコア材料の伸展及び曲げ率は、好ましくは、15GPaよりも大きく、より好ましくは、30GPaよりも大きく、特に包括的に30〜50GPaである。
【0037】
好ましくは、23℃で基準「ASTM D 638」に従って測定された有機コア母材の伸展率は、2.3GPa以上であり、好ましくは、2.5GPa以上であり、より好ましくは、3GPa以上である。任意的に、コア材料は、少なくとも2%、好ましくは、3%に等しい圧縮時の弾性変形を有する。好ましくは、コア材料は、屈曲時に、伸展時のその破断応力よりも大きい圧縮時の破断応力を有する。
【0038】
コア材料の機械的曲げ特性は、会社インストロンからのタイプ4466の引張試験機械の助けによって測定される。
【0039】
圧縮特性は、ループ試験(D.Sinclair,J.App.Phys.21,380(1950))と呼ばれる方法によってコア材料に対して測定される。この試験の現在の使用において、ループが生成され、その破断点に漸次的にもたらされる。大きいサイズの断面の理由で容易に観察可能な破断の性質は、伸展時又は圧縮時のコア材料の破断を認識することを直ちに可能にする。
【0040】
好ましくは、コア材料が破断するまで曲げ状態で負荷が掛けられたコア材料は、材料が伸展状態にある側で破断し、これは簡単な目視観察によって識別されることに注意されたい。
【0041】
この場合にループの寸法が大きいことを考えると、ループに内接する円の半径を読むことはいつでも可能である。破断点の直前の内接する円の半径は、臨界曲率半径に対応する。それはRacと表示されている。以下の式:ecr=r/(Rac+r)は、次に、臨界弾性変形を計算して決定することを可能にし、式中rは材料の半径に対応する。
【0042】
圧縮時の破断応力は、以下の式:σc=ecr.Meを使用する計算によって得られ、式中Meは伸展率である。コア材料の場合に、ループは伸展時に一部破断し、従って、屈曲時に、圧縮時の破断応力が伸展時の破断応力よりも大きいという結論が引き出される。3降伏法と呼ばれる方法による矩形バーの屈曲状態の破断も実施される。この方法は、基準「ASTM D790」に対応する。この方法はまた、破断の性質が実際には伸展にあることを視覚的に検証することを可能にする。
【0043】
有機コア母材のガラス遷移温度Tgは、好ましくは、130℃よりも高く、より好ましくは、140℃よりも高い。ガラス遷移温度は、基準「ASTM D 3418」に従って測定される。
【0044】
コア材料の繊維含有率は、有利な態様において、材料の全質量の包含的に30%〜80%である。好ましくは、繊維含有率は、コア材料の質量の50%〜80%である。パーセントで表す繊維の質量による含有率は、滴定から得られる繊維の1mの質量をコア材料の線密度で割って計算される。
【0045】
有利な態様において、コア材料の密度は、2.2以下であり、好ましくは、2.05以下であり、より好ましくは、1.6以下である。好ましくは、コア材料の密度は、包含的に1.4と2.05の間であり、その範囲において、材料は、質量と機械的特性、特に破断時の力との間の最良の妥協を有する。コア材料の密度は、会社メトラー・トレドからのタイプ「PG503 DeltaRange」の専門家用秤を使用して測定される。数センチメートルの試料は、空気中で連続的に計量されてメタノールの中に浸漬され、装置のソフトウエアは、次に、密度を決定し、その密度は、3つの測定値の平均値である。
【0046】
好ましくは、外側層のワイヤは、鋼で作られる。有利な態様において、炭素含有率は、重量で0.7%以上であり、好ましくは、0.8%以上であり、より好ましくは、0.9%以上である。
【0047】
そのような炭素含有率は、必要な機械的特性とワイヤの実現可能性との間の良好な妥協を表している。特に、0.9%以上の炭素含有率の場合に、優れた機械的特性、特に破断時の力を得ることができる。
【0048】
使用する金属又は鋼は、それが特に炭素鋼であれ又はステンレス鋼であれ、金属層でそれ自体を被覆することができ、これは、例えば、金属コード及び/又はその構成要素の作業性、又は接着性、耐食性、又は耐老化性のようなコード及び/又はタイヤ自体の使用特性を改善する。
【0049】
1つの好ましい実施形態によって、使用する鋼は、真鍮(Zn−Cu合金)又亜鉛の層で覆われる。ワイヤを製造する工程中に、真鍮又は亜鉛コーティングは、ワイヤを引き出しやすくし、ワイヤをゴムにより良く接着させることを思い起こされたい。しかし、ワイヤは、例えば、これらのワイヤの耐食性及び/又はこれらのゴムに対する接着性を改善する機能を有する真鍮又は亜鉛以外の金属の薄層、例えば、Co、Ni、Alの薄層、化合物Cu、Zn、Al、Ni、Co、Snのうちの2つ又はそれよりも多くの合金の薄層で覆うことができると考えられる。
【0050】
当業者は、例えば、Cr、Ni、Co、V、又は様々な他の公知の元素(例えば、Research Disclosure 34984−「タイヤのためのマイクロ合金化鋼コード構成」−1993年5月、Research Disclosure 34054−「タイヤのための高引張強度の鋼コード構成」−1992年8月を参照)のような特殊な追加元素を含有するマイクロ合金化炭素鋼を使用することにより、その特定の特殊な要件に応じて特に鋼の組成及びこれらのワイヤの加工硬化の最終程度を調節することによって鋼ワイヤを製造する方法を知っているであろう。
【0051】
本発明の更に別の主題は、上述したような少なくとも1つのビードワイヤを含むタイヤである。
【0052】
好ましくは、タイヤは、地上車両のためのものである。地上車両は、航空機以外のあらゆる車両であると理解される。好ましくは、タイヤは、乗用車のためのものである。
【0053】
変形として、タイヤは、航空機のためのものである。
【0054】
本発明は、図面を参照して単に非限定的な例として与える以下の説明を読むとより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明によるタイヤの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるビードワイヤのビードワイヤ軸線(これは真っ直ぐで静止していると仮定する)に垂直な断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態によるビードワイヤのビードワイヤ軸線(これは真っ直ぐで静止していると仮定する)に垂直な断面図である。
図4】本発明の第3の実施形態によるビードワイヤのビードワイヤ軸線(これは真っ直ぐで静止していると仮定する)に垂直な断面図である。
図5】従来技術のビードワイヤのビードワイヤ軸線(これは真っ直ぐで静止していると仮定する)に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、全体参照番号10によって表示される本発明の第1の実施形態によるタイヤを示している。この場合に、タイヤ10は、地上車両、この場合には乗用車に適合することを意図し、205/55 R16の寸法を有する。変形として、タイヤ10は、航空機のためのタイヤである。
【0057】
タイヤ10は、クラウン補強体14、2つの側壁16、及び2つのビード18によって補強されたクラウン12を有し、これらのビード18の各々は、環状ビードワイヤ20で補強される。クラウン14は、この概略図には示していないトレッドが上に載っている。カーカス補強体22は、各ビード18において2つのビードワイヤ20の回りに巻かれ、かつここでは車輪リム26上に装着されて示されているタイヤ20の外側に向けて配置されたターンアップ24を含む。カーカス補強体22は、コードで補強された少なくとも1つのプライから構成される。補強体22は、ラジアルタイプのものである。
【0058】
各ビードワイヤ20は、ドーナツ形の全体的形状を有し、ほぼ円形の断面を有する。変形として、ビードワイヤ20は、多角形、例えば、正方形、矩形、又は六角形の断面、又は楕円形又は長円計の断面さえも有する。
【0059】
図2は、本発明による単層ビードワイヤ20を示している。
【0060】
ビードワイヤ20は、コア30及び外側層C1を含む。ビードワイヤ20によって定められた円環体の直径Dtは、4.8mmに等しい。ビードワイヤ20は、単層タイプのものであり、すなわち、層C1の回りに配置されるであろう層C1の外側の半径方向に層がなく、コア30と外側層C1の間に配置されるであろう外側層C1の内側の半径方向にも層がない。
【0061】
コア30は単糸を含み、この場合、単糸Bから構成される。糸Bの直径は、0.5mm〜4mm、好ましくは、2〜3mmである。
【0062】
糸は、モノリシック円環体を形成する。コア30は、ほぼ円形の断面を有し、コア30によって定められた円環体の直径Daは、8.90mmに等しい。コア30は、コア材料Maで作られ、有機母材に埋め込まれたマルチフィラメント織物繊維を含む。
【0063】
マルチフィラメント織物繊維は、ガラス繊維であり、有機コア母材は、熱硬化性樹脂である。マルチフィラメント織物繊維は連続的である。変形として、織物繊維は非連続的である。
【0064】
ガラス繊維は、時折重なるのは別として、並んで及び従って多かれ少なかれ互いに平行に配置された10よりも多い基本ガラスフィラメント、好ましくは、100よりも多く、より好ましくは、1000よりも多い基本フィラメントを含む。織物繊維の各基本フィラメントの直径は、2〜30μmである。
【0065】
コア材料Maは、800MPa以上であり、好ましくは、1000MPa以上であり、より好ましくは、1200MPa以上の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定された降伏強度Reを有する。
【0066】
使用するガラス繊維は、「E」又は「R」タイプのものとすることができる。
【0067】
熱硬化性樹脂は、ビニルエステルタイプのものである。この定義を以下に限定されるものではないが、ビニルエステル樹脂は、好ましくは、エポキシビニルエステルタイプのものである。欧州特許出願第1,074,369号及び第1,174,250号に説明するように、より好ましくは、例えば、ノボラック(フェノール樹脂としても公知)及び/又はビスフェノール(すなわち、このタイプの構造の上に接合される)、又は好ましくはノボラック、ビスフェノール、又はノボラック及びビスフェノールに少なくとも部分的に基づくビニルエステル樹脂に基づくビニルエステル樹脂、特にエポキシタイプが使用される。ノボラック及びビスフェノールタイプのエポキシビニルエステル樹脂は、優れた結果を示しており、例として、カンパニーDSMからのビニルエステル樹脂「ATLAC 590」又は「ATLAC E−Nova FW 2045」(両方ともスチレンで希釈される)を特に挙げることができる。そのようなエポキシビニルエステル樹脂は、ライヒホルド、クレイ・バレー、UCBのような他の製造業者から入手可能である。
【0068】
コア30は、例えば、米国特許第3,730,678号明細書に説明するような繊維の含浸により、又は繊維を予め配置した金型への有機母材の注入により、又は欧州特許第1,167,080号明細書に説明するように製造される。
【0069】
層C1は、コア30の回りに螺旋状に巻かれた金属線F1を含む。層C1のワイヤF1は、コア30と接触状態に巻かれ、1.30mmに等しい直径Dfを有する。ワイヤF1は、炭素含有率が鋼の重量で0.7%以上であり、好ましくは、0.8%以上であり、より好ましくは、0.9%以上であり、この場合に0.7%に等しい鋼で作られる。ワイヤF1は、層C1が飽和されるように、すなわち、隣接する巻線の間に追加の巻線を挿入できるだけの十分な余裕がないように、いくつかの巻回、この場合に8つの巻回にわたって巻かれ、層のワイヤの2つの端部は、スリーブを使用して接続される。
【0070】
図3は、本発明の第2の実施形態によるビードワイヤ20’を示している。以前の実施形態を参照して示す要素に類似する要素は、同一の参照番号によって表示されている。
【0071】
第1の実施形態によるビードワイヤ20と比べて、第2の実施形態によるビードワイヤ20’のコア30は、いくつかのコイルを有する巻線を形成する。この場合に、コア30は、単糸Bのいくつかのコイルを含む。これらのコイルは、ビードワイヤ20の軸線のものと共通の軸線を有する。従って、各コイルは、ビードワイヤの軸線に垂直の平面への投影において円形の全体の形状を有する。
【0072】
いくつかの巻数にわたる糸Bの横巻線は、コア30が実質的に多角形、この場合に三角形の断面を有するように実施される。糸Bは、以前の実施形態に説明したコア材料Maで作られる。各コイルの直径は、0.5〜3mm、好ましくは、1〜2mmである。
【0073】
ビードワイヤ20’によって定められた円環体の直径Dtは、5.8mmに等しい。コア30によって定められ、そこにコア30が内接する円環体の直径Daは、3.28mmに等しい。ワイヤF1は、1.55mmに等しい直径Dfを有する。図4は、本発明の第3の実施形態によるビードワイヤ20’’を示している。以前の実施形態を参照して示した要素に類似する要素は、同一の参照番号によって表示されている。
【0074】
第2の実施形態によるビードワイヤ20’と比べて、コア30は、複数の別々の糸B1、B2、B3を含む。各糸B1、B2、B3は、軸線がビードワイヤ20の軸線と共通しているモノリシック円環体を形成する。コア30は、従って、互いに平行に並置された複数のモノリシック円環体を含む。円環体は、コア30が実質的に多角形、この場合に三角形の断面を有するように並んでいる。
【0075】
ビードワイヤ20’’によって定められた円環体の直径Dtは6mmに等しい。コア30によって定められ、そこにコア30が内接する円環体の直径Daは、3.60mmに等しい。ワイヤF1は、1.55mmに等しい直径Dfを有する。各糸B1、B2、B3の直径は、0.5〜3mm、好ましくは、1〜2mmである。
【0076】
糸B1、B2、B3の全ては、同じコア材料で作られる。例えば、糸B1、B2、B3は、糸Bの材料Maで作られる。変形として、糸B1、B2、B3は、少なくとも2つの異なるコア材料で作られ、材料の各々は、有機母材に埋め込まれた少なくとも1つのマルチフィラメント織物繊維を含み、800MPa以上であり、好ましくは、1000MPa以上であり、より好ましくは、1200MPa以上の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定された降伏強度を有することが好ましい。
【0077】
図1に示すタイヤ10は、第1の実施形態による2つのビードワイヤ20を含む。第2及び第3の実施形態(図示せず)による類似のタイヤ10’、10’’は、対応する実施形態による2つのビードワイヤ20’及び20’’を含む。
【0078】
図5は、全体参照番号100によって表示される従来技術のビードワイヤを示している。
【0079】
本発明によるビードワイヤと比べて、従来技術のビードワイヤ100は、0.1%に等しい炭素含有率を有する鋼で作られたワイヤFTから構成される金属コア102を含む。コア102によって定められた円環体の直径Daは、2.15mmに等しい。ビードワイヤ100は、コアの回りに巻かれた鋼線を含む外側層CTを含む。外側層CTのワイヤFTは、1.30mmに等しい直径Dfを有し、かつ0.7%に等しい炭素含有率を有する鋼で作られる。ビードワイヤ100によって定められた円環体の直径Dtは、4.8mmに等しい。
【0080】
比較測定
様々な実施形態によるビードワイヤ20、20’、20’’と従来技術のビードワイヤ100を比較した。様々な実施形態によるタイヤ10、10’、10’’、及び従来技術のビードワイヤ100を含む従来技術のタイヤも比較した。
【0081】
実施された測定から得られる特性は、以下の表1に要約されている。
【表1】
【0082】
各ビードワイヤ20、20’、20’’は、一定直径において、17%(ビードワイヤ20)及び32%(ビードワイヤ20’、20’’)だけ従来技術のビードワイヤの質量を低減しながらかつ不可逆的塑性変形のあらゆる危険性を回避しながら、優れた機械的特性、特に破断時の力を維持することを可能にする。
【0083】
具体的には、各ビードワイヤ20、20’、20’’のコア材料は、800MPa以上であり、好ましくは、1000MPa以上であり、より好ましくは、1200MPa以上の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定された降伏強度Reを有する。
【0084】
各ビードワイヤ20、20’、20’’のコア材料Maは、100GPa以下であり、好ましくは、75GPa以下であり、より好ましくは、50GPa以下の23℃で基準「ISO 14125」に従って測定されたヤング率Eを有する。
【0085】
更に、各タイヤ10、10’、10’’は、従来技術のタイヤと同一の破裂強度を有する。
【0086】
各ビードワイヤ20、20’、20’’の破断時の力Fmは、包含的に1600daN〜2700daNであり、好ましくは、包含的に1800daN〜2500daNであり、より好ましくは、包含的に2000daN〜2300daNである。従って、従来技術のビードワイヤ100の質量よりも遥かに小さい質量により、各ビードワイヤ20、20’、20’’は、ビードワイヤ100のものよりも大きい破断時の力を有する。
【0087】
コア30によって定められた円環体の直径Da対ビードワイヤ20によって定められた円環体の直径Dtの比率Rdは、0.35以上であり、好ましくは、0.45以上である。ビードワイヤ20’、20’’に対して、比率Rdは、0.55以上である。
【0088】
各ビードワイヤ20、20’、20’’の破断時の力Fmに対するコア30の寄与Rfは、10%以上であり、好ましくは、15%以上である。別の実施形態(図示せず)において、寄与Rfは、17%以上である。この寄与Rfは、ビードワイヤ20、20’、20’’に対して75%以下である。
【0089】
ビードワイヤの質量に対するコアのより小さい寄与において、各ビードワイヤ20、20’、20’’のコアは、ビードワイヤの破断時の力に対してより大きく寄与する。
【0090】
各ビードワイヤ20、20’、20’’の質量に対するコア30の寄与Rmは、20%以下であり、好ましくは、15%以下であり、より好ましくは、10%以下である。この寄与Rmは、ビードワイヤ20、20’、20’’に対して5%以上である。
【0091】
寄与Rm対寄与Rfの比率Rは、1以下であり、好ましくは、0.8以下であり、より好ましくは、0.7以下である。この比率Rは、0.25以上であり、好ましくは、0.4以上であり、より好ましくは、0.5以上である。従って、Rは、ビードワイヤ20、20’、20’’に対して範囲[0.5;0.7]にある。
【0092】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0093】
具体的には、本発明によるビードワイヤは、あらゆるタイプのタイヤ上に装着することができる。例えば、ビードワイヤは、バン、大型車両、すなわち、地下鉄車両、バス、道路輸送車両(ローリー、トラクタ、トレーラ)、オフロード車両、航空機、農業又は建設プラント機械、及び他の輸送又は荷役車両から選択された産業車両のためのタイヤを意図すると考えられる。
【0094】
一実施形態において、コアは、ケーブリング又は捩りによって組み立てられた複数の別々の糸を含む。
【0095】
更に、異なる実施形態の特性は、これらが互いに互換性がある限りあらゆる方法で互いに組み合わせることができる。
【0096】
800MPa以上であり、好ましくは、1000MPa以上であり、より好ましくは、1200MPaよりも大きいか又はそれに等しい23℃で基準「ISO 14125」に従って測定された降伏強度を有する少なくとも1つのコア材料で作られたコアと、有機母材に埋め込まれたマルチフィラメント織物繊維の少なくとも1つの糸を含むコア及びコアの回りに巻かれてコアに接触した金属線を含む外側層をビードワイヤが含むという事実とは無関係にコアの回りに巻かれてコアに接触したワイヤを含む外側層とを含むタイヤのための単層ビードワイヤを使用することが可能であることに注意されたい。
【符号の説明】
【0097】
20 ビードワイヤ
30 コア
B 糸
C1 層
F1 ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5