(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒毒を有する少なくとも部分的に未処理のベンゼンストリームおよびエチレン又はプロピレンストリームから、エチルベンゼン又はクメンストリームを生成するためのプロセスであって、ここで、触媒毒を低下させるために、前記ベンゼンストリームを処理し、該プロセスが、
(a)前記処理帯域に、処理帯域の監視装置を設けて、該処理帯域の監視装置で処理帯域の温度を測定するステップと、
(b)前記触媒毒を有する前記ベンゼンストリームを処理用組成物と、アルキル化反応帯域から分離されている処理帯域において、処理条件下で接触させて、前記触媒毒の少なくとも一部を除去し、処理されたベンゼンおよび低下した量の触媒毒を含む処理された流出ストリームを、温度の上昇を生じること無しに、形成するステップであって、
前記触媒毒が、窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレニウム、テルル、リン、および1族から12族までの金属のうちの少なくとも1つの元素を含み、
前記処理用組成物が、非MWWトポロジー、及び、30in-1(12cm-1)超の表面積/表面体積の比を有し、
前記処理用組成物が、BEA構造、FAU構造、MOR構造の多孔性の結晶性分子ふるい及びZSM−3、ZSM−4、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−14、ZSM−18およびZSM−20からなる群から選ばれる多孔性の結晶性分子ふるいから選ばれ、前記処理条件が、30℃〜300℃の温度を含むステップと、
(c)エチレン又はプロピレンストリームを前記処理帯域に断続的に、少なくとも1秒間〜最高24時間の間、供給し、次いで、1分〜15日にわたり中断し、前記処理条件下における前記処理用組成物の存在下で、前記エチレン又はプロピレンと前記ベンゼンとの間の発熱反応により引き起こされる温度の増加をもたらすステップと、
(d)前記処理帯域の温度を測定し、そして、温度上昇の経時的減少を指標として前記処理用組成物の交換の判断を行うステップ、及び
(e)前記流出ストリーム中の前記処理されたベンゼンおよびエチレン又はプロピレンストリームを触媒組成物と、前記処理帯域から分離されている前記アルキル化反応帯域において、少なくとも部分的に液相の触媒変換条件下で接触させて、エチルベンゼン又はクメンを含むアルキル化流出ストリームを形成するステップであって、前記触媒組成物が、合成したままのまたは焼成した形態で、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームの面間隔最大値を含むX線回析パターンを有するMWWフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料を含み、前記少なくとも部分的に液相の触媒変換条件が、100℃〜300℃の温度、689kPa〜4601kPaの圧力、前記アルキル化反応帯域における0.01:1〜25:1の処理されたベンゼン対エチレン又はプロピレンのモル比、および0.5〜500時間-1のエチレン又はプロピレンに基づく毎時質量空間速度(WHSV)を含むステップと
を含む、
プロセス。
前記処理用組成物が、ゼオライトベータ、超安定Y(USY)、モルデナイト、ZSM−12およびそれらの組合せからなる群から選択される分子ふるいである、請求項1に記載のプロセス。
MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−12、EMM−13またはそれらの混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【背景技術】
【0003】
本改善されたプロセスにより好都合に生成されるアルキル芳香族化合物のうち、例えば、エチルベンゼンおよびクメンはそれぞれ、スチレンモノマーの生成ならびにフェノールおよびアセトンの同時生成のために産業用に使用される貴重な汎用化学製品である。実際に、フェノールを生成するための通常の経路は、プロピレンを用いてベンゼンをアルキル化してクメンを生成し、続いて、クメンを対応するヒドロ過酸化物に酸化し、次いで、ヒドロ過酸化物を切断して等モル量のフェノールおよびアセトンを生成することが関与するプロセスを含む。エチルベンゼンを、いくつかの異なる化学的プロセスにより生成することができる。顕著な程度の商業的な成功を達成している1つのプロセスが、固体の酸性ZSM−5ゼオライト触媒の存在下における、エチレンを用いるベンゼンの気相アルキル化である。そのようなエチルベンゼンの生成プロセスの例が、米国特許第3,751,504号(Keown)、第4,547,605号(Kresge)および第4,016,218号(Haag)に記載されている。米国特許第5,003,119号(Sardina)は、エチルベンゼンの合成における、ゼオライトX、Y、L、ベータ、ZSM−5、オメガ、ならびにモルデナイトおよびチャバサイトの使用を記載している。米国特許第5,959,168号(van der Aalst)は、塩化アルミニウム系触媒を使用するように設計された工場でのエチルベンゼンの合成における、ゼオライトY、ベータ、MCM−22、MCM−36、MCM−49およびMCM−56の使用を記載している。
【0004】
顕著な商業的な成功を達成している別のプロセスが、ベンゼンおよびエチレンからエチルベンゼンを生成するための液相アルキル化であり、この成功は、このプロセスが、気相の対応物よりも低い温度で作動し、したがって、より低い収率の副産物が生じる傾向があることによる。例えば、米国特許第4,891,458号(Innes)は、ゼオライトベータを用いるエチルベンゼンの液相における合成を記載しており、一方、米国特許第5,334,795号(Chu)は、エチルベンゼンの液相における合成の際のMCM−22の使用を記載しており、米国特許第7,649,122号(Clark)は、エチルベンゼンの液相における合成の際の、維持された水分含有量の存在下におけるMCM−22の使用を記載している。米国特許第4,549,426号(Inwood)は、蒸気安定化ゼオライトYを用いるアルキルベンゼンの液相における合成を記載している。米国特許公開第2009/0234169号(Pelati)は、希土類金属イオンの包含により改変された第1の触媒を含有する少なくとも1つの触媒床上の、液相における芳香族のアルキル化を記載している。
【0005】
クメンは、フリーデル−クラフツ触媒、特に、固体のリン酸または塩化アルミニウム上の、プロピレンを用いるベンゼンの液相アルキル化により商業的に生成されている。ゼオライト系の触媒系は、ベンゼンのクメンへのプロピル化(propylation)について、より活性かつ選択的であることが見出されている。例えば、米国特許第4,992,606号(Kushnerick)は、プロピレンを用いるベンゼンの液相アルキル化の際のMCM−22の使用を記載している。
【0006】
その他の刊行物は、少なくとも部分的に液相の変換条件下において、アルキル化可能な芳香族化合物およびアルキル化剤を含む供給材料を、アルキル芳香族変換生成物に変換するための、結晶性ゼオライトを含む触媒の使用を示している。これらは、U.S.2005/0197517(Cheng)、U.S.2002/0137977(Hendrickson)、ならびにメソポーラスな支持体中に包埋されている微小孔性ゼオライトを含む触媒の使用を示すU.S.2004/0138051(Shan)、WO2006/002805(Spano)、ならびに層状触媒の使用を示す米国特許第6,376,730号(Jan)、EP0847802、ならびに30〜70質量%のH−ベータゼオライト、0.5〜10質量%のハロゲンを、残りはアルミナ結合剤を含む触媒の使用を示す米国特許第5,600,050号(Huang)を含む。
【0007】
その他のそのような刊行物は、酸性の固体酸化物、例として、MCM−22、MCM−49およびMCM−56、ベータ、X、Y、またはモルデナイト上の液相アルキル化によるエチルベンゼンの調製を記載している米国特許第5,600,048号(Cheng)、482℃と高い温度および13,788kPaと高い圧力を含む変換条件における、酸性の固体酸化物、例として、PSH−3、ITQ−2、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56およびベータ上の液相アルキル化によるエチルベンゼンまたはクメンの調製を記載している米国特許第7,411,101号(Chen)、ならびに第2の反応帯域中の触媒よりも、触媒の単位体積当たり、より多くの酸性部位を有する第1の反応帯域中における、エチルベンゼンについては、270℃と高い温度および8,300kPaと高い圧力を、クメンについては、250℃と高い温度および5,000kPaと高い圧力を含む変換条件での、酸性の固体酸化物触媒上の多段階反応系における液相アルキル化によるアルキル芳香族化合物の調製を記載している米国特許第7,645,913号(Clark)を含む。米国特許公開第2008/0287720号(Clark)は、1〜900wppmに維持される水分含有量を有する反応帯域における、MCM−22ファミリーの材料の触媒上のベンゼンのアルキル化を記載している。米国特許公開第2009/0137855号(Clark)は、アルカン不純物もまた含む希薄なアルケン供給材料から、アルキル芳香族化合物を生成するための混合相におけるプロセスを記載している。後者の刊行物の場合、供給材料中の液体対蒸気の体積比は、0.1〜10である。
【0008】
ゼオライトを使用するプロセス、例えば、アルキル芳香族化合物、例として、エチルベンゼンおよびクメンを生成するためのアルキル化プロセスに共通の問題は、プロセスへの供給材料中に存在する種々の触媒毒が引き起こす活性解除に起因する、触媒の作動寿命の低下である。毒吸着剤、例として、粘土、樹脂、分子ふるい等を含有する、第1のステップの防御床または分離帯域を利用して、供給材料中のそのような毒を制限することができる。そのような供給材料として、これらに限定されないが、アルキル化可能な芳香族供給材料、例として、ベンゼン供給材料が挙げられる。このことを示す刊行物の例として、粘土、分子ふるいまたは樹脂の吸着剤を使用する米国特許第6,894,201号(Schmidt)、100を超過するシリカ/アルミナの比、および5.5オングストローム未満の平均孔径を有する非酸性分子ふるい、例として、ゼオライト4AおよびZSM−5を使用する米国特許第5,744,686号(Gajda)、ならびに酸性の粘土、ゼオライト、活性アルミナ、活性炭素、シリカゲルおよびイオン交換樹脂上の蒸留、抽出または吸着を使用する米国特許公開第2005/0143612号(Hwang)が挙げられる。また、供給材料の前処理も、5未満のSi/Alのモル比を有する第1の分子ふるい、例えば、13Xとの接触、それに続く、5超のSi/Alのモル比を有する第2の分子ふるい、例えば、4Aとの接触が関与する米国特許第7,199,275号(Smith)、およびゼオライトXを含む第1の分子ふるいとの接触、それに続く、ゼオライトYを含む第2の分子ふるいとの接触が関与する米国特許公開第2009/0259084号(Smith)に示されている。
【0009】
WO98/07673(Samson)では、アルキル化ベンゼンまたはアルキル化ベンゼンの混合物を調製するプロセスに、約130℃超であるが約300℃未満である温度の前処理帯域において、ベンゼン供給材料を、固体の酸、例として、酸性粘土または酸性ゼオライトと接触させて、前処理したベンゼン供給材料を形成し、その後、アルキル化/トランスアルキル化触媒の存在下で、前処理したベンゼン供給材料を、(a)アルキル化帯域中のアルキル化剤または(b)トランスアルキル化帯域中のトランスアルキル化剤と接触させることが関与し、その結果、アルキル化ベンゼンまたはアルキル化ベンゼンの混合物が調製される。前処理のステップが、アルキル化/トランスアルキル化触媒の耐用年限を改善するといわれている。好ましい生成物は、エチルベンゼンおよびクメンである。
【0010】
規定範囲内の表面積対体積の比を有する触媒を含有する単一のアルキル化反応帯域が、米国特許第6,888,037号(Dandekar)に示されており、クメンを、80〜200in
-1(31〜79cm
-1)、好ましくは、100〜150in
-1(39〜59cm
-1)の表面積/体積を有する触媒上の液相中で製造する。単一の反応帯域が、米国特許第7,816,574号(Clark)のアルキル化プロセスに示されており、その中の触媒が、79in
-1(31cm
-1)超の表面積/体積を有する、125〜790μのサイズの粒子状材料である。米国特許第5,118,896号(Steigelmann)は、単一のアルキル化反応帯域、すなわち、触媒蒸留反応器を使用する芳香族のアルキル化プロセスを示しており、触媒は、0.25〜0.50cc/gのポア体積を有し、ポアは、450オングストローム超の半径を有し、触媒粒子直径は、1/32インチ(0.08cm)以下である。米国特許第4,185,040号(Ward)は、85〜160in
-1(34〜63cm
-1)の外部表面積/体積の比を有するゼオライトY触媒を用いる単一のアルキル化反応帯域を使用する芳香族のアルキル化プロセスを示している。
【0011】
米国特許公開第2009/0306446号(Clark)は、2つの異なる触媒を有する単一の反応帯域中において、モノアルキル化芳香族を生成するためのプロセスを示しており、第1の触媒が、79cm
-1超の表面積/体積の比を有し、第2の触媒が、78〜79cm
-1の間の表面積/体積を有する粒子を含む。
【0012】
アルキル芳香族化合物、例えば、エチルベンゼンおよびクメンを生成するための現存するアルキル化プロセスは、本質的に、ポリアルキル化種も、所望のモノアルキル化生成物も生成する。したがって、通常、ポリアルキル化種をアルキル化反応器に再循環させることによってか、またはより頻繁には、ポリアルキル化種を別個のトランスアルキル化反応器に供給することによって、ポリアルキル化種を、追加の芳香族供給物、例えば、ベンゼンを用いてトランスアルキル化して、追加のモノアルキル化生成物、例えば、エチルベンゼンまたはクメンを生成する。エチレンまたはプロピレンを用いる芳香族種のアルキル化、例として、ベンゼンのアルキル化、ならびにポリアルキル化種、例として、ポリエチルベンゼンおよびポリイソプロピルベンゼンのトランスアルキル化において使用されている触媒の例が、米国特許第5,557,024号(Cheng)に列挙されており、それらとして、MCM−49、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトベータ、酸脱アルミニウムモルデナイトおよびTEA−モルデナイトが挙げられる。また、TEA−モルデナイトの小型の結晶(<0.5μ)形態上のトランスアルキル化も、米国特許第6,984,764号に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本明細書で使用する場合、用語「アルキル化可能な芳香族化合物」は、アルキル基を受容することができる化合物を意味し、「アルキル化剤」は、アルキル基を供与することができる化合物である。
本明細書の供給材料として有用であり得るアルキル化可能な芳香族化合物に関する用語「芳香族」は、その当該技術分野において認識されている範囲に従うと理解されたい。これは、アルキル置換および無置換の、単核および多核の化合物を含む。また、ヘテロ原子を有する、芳香族の特徴を示す化合物も、選択される反応条件下で触媒毒として作用しないならば有用である。
【0019】
用語「触媒毒」は、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリーム、特に、ベンゼンストリーム中に存在する不純物を意味し、これらの不純物は、以下の元素、すなわち、窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレニウム、テルル、リン、および1族から12族までの金属のうちの少なくとも1つを含有する1つまたは複数の化合物を含む。
本明細書で使用する場合、用語「断続的に」は、アルキル化剤ストリームを前記処理帯域に場合により供給することに関連させて使用する場合には、アルキル化剤を、処理帯域に、1秒〜最高24時間以上、好ましくは、少なくとも1時間〜最高約24時間の間
、供給し、次いで、1分〜15日以上にわたり、好ましくは、10〜15日にわたり中断することを意味する。重要なことには、使用サイクル数は、制限されず、老化速度をモニターするのに必要である限り頻繁に適用することができる。
【0020】
本明細書で使用する場合、本改善されたプロセスに関する用語「液相または部分的な液相」は、反応混合物が、10体積パーセント以上の液体、例えば、30体積パーセント以上の液体、最高100体積パーセントの液体を含むことを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「表面積/表面体積の比」は、製剤化した粒子の表面積を、製剤化した粒子の幾何学的表面体積で割ることによって得られる比を意味する。本明細書で使用する場合、用語「幾何学的表面体積」は、製剤化した粒子の表面または内部のいずれのポア、経路またはチャンバーの体積も問わず、粒子が固体粒子であるかのように計算する製剤化した粒子の体積を意味する。例えば、幾何学的球体については、表面積/表面体積の比(S/V)は、3/rであり、rは、粒子の半径である。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「未処理のアルキル化可能な芳香族化合物」は、本発明の処理用組成物と接触させる前の、アルキル化可能な芳香族化合物および任意の触媒毒を含有するストリームを意味する。誤解を避けるために、そのような未処理のアルキル化可能な芳香族化合物に対して、上流または下流のプロセスにおいて、その他の処理のステップを行っておくことができ、この場合、触媒毒の少なくとも一部を除去しておくことができ、したがって、残りの触媒毒があり、これが、本発明のプロセスにより除去される。
本明細書で使用する場合、用語「wppm」は、質量に関する百万分率を意味する。
【0022】
処理用組成物
1つまたは複数の実施形態では、本改善されたプロセスにおいて使用するための処理用組成物は、好ましくは、多孔性の結晶性材料を含み、30in
-1(12cm
-1)以上の表面積/表面体積の比、または50in
-1(20cm
-1)以上の表面積/表面体積の比、または75in
-1(30cm
-1)以上の表面積/表面体積の比、または125in
-1(50cm
-1)以上の表面積/表面体積の比、または250in
-1(99cm
-1)以上の表面積/表面体積の比、または500in
-1(197cm
-1)以上の表面積/表面体積の比を有する。
処理用組成物の表面積/表面体積の比は、30in
-1(12cm
-1)以上〜70in
-1(28cm
-1)以下の範囲、または75in
-1(30cm
-1)以上〜125in
-1(49cm
-1)以下の範囲、または125in
-1(49cm
-1)以上〜250in
-1(98cm
-1)以下の範囲、または250in
-1(98cm
-1)以上〜500in
-1(197cm
-1)以下の範囲、または70in
-1(28cm
-1)〜100in
-1(39cm
-1)の範囲、または180in
-1(71cm
-1)〜220in
-1(87cm
-1)の範囲、または600in
-1(236cm
-1)〜770in
-1(303cm
-1)の範囲である。
【0023】
所望の表面積/表面体積の比を有する処理用組成物を作製する方法は、特に制限されない。長期に公知の技法、例として、噴霧乾燥、プリル化、ペレット化および押出成形のうちの1つまたは複数が、例えば、球形粒子、押出成形品、ペレットおよび錠剤の形態をとるマクロ構造を得るために、これまでに使用され、現在も使用されている。これらの技法の概要が、Catalyst Manufacture by A. B. Stiles and T. A. Koch, Marcel Dekker, New York, 1995に記載されている。
所望の表面積/表面体積の比を有する処理用組成物を、例えば、その粒子サイズを制御することによって作製することができる(すなわち、破砕粒子)。
また、所望の表面積/表面体積の比を有する処理用組成物は、例えば、成形した処理用組成物を使用することによっても作製することができる。成形した処理用組成物の非限定的な例として、米国特許第4,441,990号(Huang)に記載されている押出成形により作製した、中空または固体の多葉形(polylobal)の押出成形品、米国特許第7,198,845号(Van Hasselt)に記載されている中空に成形した押出成形品、米国特許第4,432,643号(Kyan)に記載されている長軸方向に経路を付けた円柱状の押出成形品、米国特許第4,328,130号に記載されている溝を付けた円柱状の押出成形品が挙げられる。
【0024】
例えば、1/32インチ(0.08cm)の直径および3/32インチ(0.24cm)の長さを有する円柱状に成形した処理用組成物は、141in
-1(56cm
-1)の表面積/表面体積の比を有する。米国特許第4,441,990号の
図4に開示されている外部形状を有し、1/16インチ(0.16cm)の最大横断面寸法および3/16インチ(0.48cm)の長さを有する四葉形(quadralobal)の固体の押出成形品としての処理用組成物は、128in
-1(50cm
-1)の表面積/表面体積の比を有する。1/10インチ(0.25cm)の外径、1/30インチ(0.08cm)の内径および3/10インチ(0.75cm)の長さを有する中空の管状の押出成形品としての処理用組成物は、136in
-1(54cm
-1)の表面積/表面体積の比を有する。
表面積/体積の比を、処理用組成物粒子の物理的な寸法および曲率を測定し、次いで、表面積および体積を幾何学的形状の公知の式に基づいて計算することによって決定することができる。
【0025】
多孔性の結晶性分子ふるいとしての処理用組成物には、非限定的な例として、以下があり得る。BEA構造(これには、ゼオライトベータ(米国特許第3,308,069号に記載されている)が含まれる)、FAU構造(これには、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(Ultrastable Y)(USY、米国特許第3,293,192号および第3,449,070号に記載されている)、脱アルミニウムY(Dealuminized Y)(Deal Y、この調製が、米国特許第3,442,795号に記載されている)、希土類交換Y(rare earth exchanged Y)(REY、米国特許第4,415,438号に記載されている)、超疎水性Y(Ultrahydrophobic Y)(UHP−Y、米国特許第4,401,556号に記載されている)が含まれる)、MOR構造(これには、モルデナイト(天然に存在する材料)およびTEA−モルデナイト(テトラエチルアンモニウム指向剤を含む反応混合物から調製される合成モルデナイト、米国特許第3,766,093号および第3,894,104号に開示されている)が含まれる)。処理用組成物は、上記の多孔性の結晶性分子ふるいの混合物を含むことができる。その他の適切な多孔性の結晶性分子ふるいとして、これに限定されないが、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−5、ZSM−14、ZSM−18およびZSM−20が、それらの混合物を含めて挙げられる。
1つまたは複数の実施形態ではまた、処理用組成物を、非限定的な例として、粘土、樹脂、固体のリン酸、活性アルミナ、リンデタイプ(Linde type)X、例として、13X、リンデタイプA、例として、4Aまたは5A、およびそれらの混合物からなる群から選択することもできる。
【0026】
分子ふるいおよび/またはゼオライトの概要が、分子ふるいの生成、改変および特徴付けの観点から、Molecular Sieves-Principles of Synthesis and Identification by R. Szostak, Blackie Academic & Professional, London, 1998, Second Editionに記載されている。分子ふるいに加えて、非結晶性材料、主として、シリカ、ケイ酸アルミニウムおよび酸化アルミニウムが、吸着剤および触媒の支持体として使用されている。
【0027】
触媒組成物
本発明において使用するのに適している触媒組成物は、FAU、BEA、MOR、MWWおよびそれらの混合物からなる群から選択されるフレームワーク構造型、好ましくは、MWWフレームワーク構造を有する多孔性の結晶性材料を含む。
FAUフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料は、上記に記載したフォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY(Deal Y)、希土類Y(Rare Earth Y)(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、またはそれらの混合物を含む。
BEAフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料は、上記に記載したゼオライトベータである。
MORフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料は、上記に記載したモルデナイト、TEA−モルデナイト、またはそれらの混合物である。
MWWフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料は一般に、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームの面間隔最大値(d−spacing maxima)を含むX線回析パターンを示す。
材料を特徴付けるために使用するX線回析データは、銅のK−アルファ二重線を入射放射として、シンチレーションカウンターおよび関連のコンピュータが装備されている回析計を収集システムとして使用する標準的な技法により得られる。
【0028】
MWWフレームワーク構造型の材料の例として、MCM−22(米国特許第4,954,325号に記載されている)、PSH−3(米国特許第4,439,409号に記載されている)、SSZ−25(米国特許第4,826,667号に記載されている)、ERB−1(欧州特許第0293032号に記載されている)、ITQ−1(米国特許第6,077,498号に記載されている)、ITQ−2(米国特許第6,231,751号に記載されている)、ITQ−30(WO2005−118476に記載されている)、MCM−36(米国特許第5,250,277号に記載されている)、MCM−49(米国特許第5,236,575号に記載されている)、MCM−56(米国特許第5,362,697号に記載されている)、およびUZM−8(米国特許第6,756,030号に記載されている)が挙げられる。
好ましくは、MWWフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料を含む触媒組成物は、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−12、EMM−13、またはそれらの混合物である。
【0029】
本発明のある実施形態では、触媒は、少なくとも8.6、例えば、8.6〜12.0のRA
220、または少なくとも3.5、例えば、3.5〜6.0のRA
180と測定される相対活性を有する。
本発明において使用するのに必要な触媒を生成するための方法は、本明細書に列挙する刊行物および参照により本明細書に組み込まれている刊行物に教示されている方法を含む。例えば、米国特許第4,954,325号は、結晶性MCM−22およびそれを含む触媒を記載しており、米国特許第5,236,575号は、結晶性MCM−49およびそれを含む触媒を記載しており、米国特許第5,362,697号は、結晶性MCM−56およびそれを含む触媒を記載している。
【0030】
結合剤
本発明において使用するための触媒組成物および処理用組成物は、無機酸化物マトリックス材料または結合剤を含むことができる。そのようなマトリックスまたは結合剤の材料は、合成のまたは天然に存在する物質、ならびに無機材料、例として、粘土、シリカおよび/または金属酸化物を含む。後者は、天然に存在するか、またはシリカと金属酸化物との混合物を含むゼラチン状沈殿物もしくはゲルの形態をとるかのいずれであってもよい。
無機酸化物材料と複合材料を形成することができる、天然に存在する粘土は、モンモリロナイトおよびカオリンのファミリーを含み、これらのファミリーには、Dixie粘土、McNamee粘土、Georgia粘土およびFlorida粘土として一般に公知であるサブベントナイト(subbentonite)およびカオリン、または主要な鉱物構成要素が、ハロサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトもしくはアナウキサイトであるその他が含まれる。そのような粘土は、未加工の状態で、当初採掘した状態として使用しても、または最初に、焼成、酸処理もしくは化学的改変を行ってもよい。
【0031】
本明細書で利用する特定の有用なマトリックスまたは結合剤の材料は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、ならびに三成分組成物、例として、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニアを含む。マトリックスは、コゲル(cogel)の形態をとることができる。また、これらの構成成分の混合物も使用することができるであろう。
本発明の改善については、結晶性分子ふるいと、結合剤またはマトリックスとの相対的な比率が、とりわけ重要な意味をもつわけではない。
本発明において使用するための触媒、またはその結晶性分子ふるい構成成分は、追加の機能化、例えば、VI族の金属(例えば、CrおよびMo)、VII族の金属(例えば、MnおよびRe)もしくはVIII族の金属(例えば、Co、Ni、PdおよびPt)、またはリン等を含有してもよく、あるいは含有しなくてもよい。
【0032】
アルキル化可能な芳香族、アルキル化剤および生成物
本発明に適しているアルキル化可能な芳香族化合物は、アルキル化することができる置換芳香族化合物を含み、これらの化合物は、芳香族核に直接結合している、少なくとも1つの水素原子を有さなければならない。芳香環を、1つまたは複数のアルキル、アリール、アルキルアリール(alkaryl)、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ハライド、および/またはアルキル化反応を妨げないその他の基で置換することができる。
適切なアルキル化可能な芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネンおよびフェナントレンを含み、ベンゼンが好ましい。
【0033】
一般に、芳香族化合物上に置換基として存在し得るアルキル基は、1個〜約22個の炭素原子、一般的には、1個〜約8個の炭素原子、最も一般的には、1個〜約4個の炭素原子を含有する。
適切なアルキル化可能な芳香族化合物は、アルキル置換芳香族化合物を含み、これらの化合物には、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、アルファ−メチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン、デュレン、サイメン、ブチルベンゼン、プソイドクメン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、m−ブチルトルエン、p−ブチルトルエン、3,5−ジエチルトルエン、o−エチルトルエン、p−エチルトルエン、m−プロピルトルエン、4−エチル−m−キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3−ジメチルアントラセン、9−エチルアントラセン、2−メチルアントラセン、o−メチルアントラセン、9,10−ジメチルフェナントレン、および3−メチル−フェナントレンがある。また、より高い分子量のアルキル芳香族化合物も、出発材料として使用することができ、芳香族有機材料、例として、オレフィンオリゴマーを用いる芳香族有機材料のアルキル化により生成されるものを含む。そのような生成物は、当技術分野では、アルキレートと頻繁に呼ばれ、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。非常にしばしば、アルキレートは、芳香族核に結合しているアルキル基のサイズが、約C
6から約C
12まで変化する高沸点留分として得られる。クメンまたはエチルベンゼンが所望する生成物である場合、本プロセスは、満足なことに、副産物、例として、キシレンをほとんどもたらさない。そのような場合に作製されるキシレンは、約500ppm未満であり得る。
ベンゼン、トルエンおよび/またはキシレンの混合物を含有する改質油は、本発明のプロセスのための有用な供給物を構成する。
【0034】
本発明に適しているアルキル化剤は、オレフィン、例として、エチレンおよびプロピレン、アルコール(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール等を含めて)、例として、メタノール、エタノールおよびプロパノール、アルデヒド、例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびプロピオンアルデヒド、ならびにハロゲン化アルキル、例として、塩化メチル、塩化エチルおよび塩化プロピル等を含む。
【0035】
軽質オレフィンの混合物は、本発明のアルキル化プロセスにおけるアルキル化剤として有用である。したがって、多様な製油所ストリーム、例えば、燃料ガス、エチレン、プロピレン等を含有するガス工場のオフガス、軽質オレフィンを含有するナフサ分解装置のオフガス、製油所のFCCプロパン/プロピレンストリーム等の主要な構成要素であるエチレンとプロピレンとの混合物は、本明細書における有用なアルキル化剤である。例えば、典型的なFCC軽質オレフィンストリームは、以下の組成物を有する。
質量% モル%
エタン 3.3 5.1
エチレン 0.7 1.2
プロパン 4.5 15.3
プロピレン 42.5 46.8
イソブタン 12.9 10.3
n−ブタン 3.3 2.6
ブテン 22.1 18.32
ペンタン 0.7 0.4
【0036】
本発明のプロセスから得ることができる反応生成物の非限定的な例として、ベンゼンとエチレンとの反応から得られるエチルベンゼン、ベンゼンとプロピレンとの反応から得られるクメン、トルエンとエチレンとの反応から得られるエチルトルエン、およびトルエンとプロピレンとの反応から得られるサイメンが挙げられる。本発明の特に好ましいプロセス機構は、プロピレンを用いるベンゼンのアルキル化によるクメンの生成、およびエチレンを用いるベンゼンのアルキル化によるエチルベンゼンの生成に関する。
本改善されたプロセスのための反応物は、部分的または完全に液相であり得、そのままである、すなわち、その他の材料との意図的な混合または希釈を行わなくてもよく、または必要な触媒組成物と、担体ガスもしくは希釈剤、例えば、水素もしくは窒素等の助けを借りて接触させてもよい。
【0037】
触媒毒および処理プロセス
少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームは、作用して経時的に触媒組成物を害する恐れがある不純物を含有し得る。これらの触媒毒は、前記少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームの最高約10wppm、または最高5wppm、または最高1wppm、または最高0.5wppm、または最高約0.1wppmを含み得る。そのような触媒毒は、前記少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームの質量に関して、少なくとも1wppm〜5wppm、または1wppm〜10wppm、またはさらに5wppm〜10wppmの範囲であり得る。そのような触媒毒は、以下の元素、すなわち、窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレニウム、テルル、リン、および1族から12族までの金属のうちの少なくとも1つを含有する1つまたは複数の化合物を含む。
【0038】
本発明では、アルキル化反応帯域から分離されており、そこから上流の処理帯域において、触媒毒を有する少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームを処理用組成物と接触させることによって、このストリームを処理する。接触を処理条件下で実施して、前記触媒毒の少なくとも一部を除去し、それによって、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物および低下した量の触媒毒を含む処理された流出ストリームを形成する。好ましくは、そのような処理は、アルキル化剤ストリームの非存在下で行う。
上記に示したように、処理用組成物は、高い表面積/表面体積の比を有する多孔性の結晶性ゼオライトを含む。
1つまたは複数の実施形態では、処理条件は、約30℃(周囲)〜約300℃、約100℃〜200℃、および約100℃〜125℃の温度を含む。処理圧力は、約101kPa(周囲)〜約4601kPa、約101kPa〜約3000kPa、および約101kPa〜約2500kPaである。処理の毎時質量空間速度(WHSV)は、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物の質量に対して、約5〜70時間
-1、好ましくは、12〜45時間
-1の範囲である。
【0039】
処理用組成物は、1グラムの処理用組成物当たり、約100マイクロモル超、または約300マイクロモル超、または約500マイクロモル超、または約700マイクロモル超、または約900マイクロモル超のコリジンを吸収する能力を有する。コリジンを吸収する能力は、1グラムの処理用組成物当たり、約50〜最高約150、約150〜約300、約300〜約500、約500〜約700、約700〜約900、約900〜約1000マイクロモルのコリジンの範囲である。
処理用組成物は、処理用組成物の質量に対して、約900wppm超、または約1500wppm超、または約2500wppm超、または約3500wppm超、または約5500wppm超のN−ホルミルモルホリン(NFM)を吸収する能力を有する。NFMを吸収する能力は、処理用組成物の質量に対して、約900〜最高約1500、約1500〜約2500、約2500〜約3500、約3500〜約5500、約5500〜約7000wppmのNFMの範囲である。
【0040】
作動の際には、前記触媒毒を有する少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族ストリームを、処理帯域に供給する。この未処理のアルキル化可能な芳香族化合物の混合物を処理用組成物と、アルキル化反応帯域から分離されている処理帯域において、処理条件下で接触させて、前記触媒毒の少なくとも一部を除去して、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物および低下した量の触媒毒を含む処理された流出ストリームを形成し、前記処理用組成物が、30in
-1(76cm
-1)超の表面積/表面体積の比を有し、前記処理条件が、約30℃〜約300℃の温度および約101kPa〜約4601kPaの圧力を含む。処理帯域では、少なくとも1つの触媒毒が、処理用組成物により吸収され、それに強力に結合し、触媒毒が、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームから、少なくとも部分的に除去されるに至る。
処理帯域中の処理用組成物を適切に選択すると、そのような処理用組成物の高い表面積/体積の比と組み合わさって、触媒毒の除去の改善がもたらされる。さらに、そのような触媒毒の除去を、場合により、処理帯域にアルキル化剤を断続的に供給して、アルキル化剤とアルキル化可能な芳香族化合物との間の発熱反応により生じる温度上昇を発生させることともさらに組み合わせる。この温度上昇が、処理用組成物の相対活性の指標となる。
温度上昇は経時的に減少して、処理用組成物の老化を示す。温度上昇が最低レベルまで低下した場合、これが、処理用組成物がその有用な寿命の終点に達しており、処理用組成物を交換すべきであることの指標となる。
【0041】
この実施形態の作動の際には、処理帯域は、その中の処理用組成物、および少なくとも1つの処理帯域の監視装置を有し、好ましくは、少なくとも3つの処理帯域の監視装置がある。処理帯域の監視装置は、前記処理用組成物中に置かれ、その温度を測定する。好ましくは、温度を、少なくとも3つの処理帯域の監視装置において、少なくとも3つの基準温度と共にモニターする。例えば、3つの処理帯域の監視装置の場合には、3つの処理帯域の監視装置全てを使用して、処理用組成物の温度をモニターする。例えば、5つの監視装置の場合には、5つの監視装置のうちの少なくとも3つを使用して、パラメータをモニターまたは測定する。
【0042】
前記触媒毒を有する少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族ストリームを、(アルキル化剤ストリームの非存在下で)処理帯域に供給する。この少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームを処理用組成物と、アルキル化反応帯域から分離されている処理帯域において、処理条件下で接触させて、前記触媒毒の少なくとも一部を除去し、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物および低下した量の触媒毒を含む処理された流出ストリームを形成し、前記処理用組成物が、30in
-1(76cm
-1)超の表面積/表面体積の比を有する多孔性の結晶性ゼオライトを含み、前記処理条件が、約30℃〜約300℃の温度および約101kPa〜約4601kPaの圧力を含む。処理帯域では、少なくとも1つの触媒毒が、処理用組成物により吸収され、それに強力に結合し、触媒毒が、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームから、少なくとも部分的に除去されるに至る。
【0043】
場合により、アルキル化剤(例えば、エチレン)ストリームを、前記少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物(例えば、ベンゼン)と併せて、処理帯域に断続的に供給して、前記処理条件下における前記処理用組成物の存在下で前記アルキル化剤と前記少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物との間の発熱反応により引き起こされる温度の増加をもたらす。ストリーム上のオイルとの接触時間(on−oil time)が増加すると、処理用組成物が、1つまたは複数の触媒毒の量を吸収した結果として使い尽くされたまたは枯渇した状態になる。処理帯域が、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームを注入口で受容し、そうしたストリームを流出口に排出する固定床である場合には、処理用組成物は、注入口から流出口への流動方向に沿って使い尽くされまたは枯渇する。処理用組成物の全てが、使い尽くされまたは枯渇すると、触媒毒のうちの1つまたは複数が、下流のアルキル化反応帯域を突破し、そこに進入し、それによって、その中の触媒組成物の活性解除が引き起こされる。好都合に、本発明のこの実施形態は、処理用組成物の老化および/または相対活性の指標を提供して、いつ処理用組成物を交換すべきかの決定を支援し、その結果、1つまたは複数の触媒毒が、処理帯域からアルキル化帯域へ突破するのが回避される。
【0044】
アルキル化剤を断続的に供給する場合、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比は、約10:1以上、または約25:1以上、または約50:1以上、または約75:1以上、または約100:1以上である。少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比は、10:1〜25:1、または25:1〜50:1、または50:1〜75:1、または75:1〜100:1の範囲である。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族対アルキル化剤の比は、処理帯域中の単一の処理用組成物床については、5:1〜50:1の範囲である。
【0045】
少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームを処理用組成物と接触させることによる、本発明の処理のステップの結果として、少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリーム中の前記触媒毒の少なくとも1質量%、少なくとも5質量%、少なくとも10質量%、少なくとも15質量%、少なくとも25質量%、少なくとも50質量%、少なくとも75質量%、または最高少なくとも99質量%が除去される。
さらに、ほとんどの市販の少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームは、供給時には、水飽和状態であり、最高約50wppm、一般に、最高約200wppmの水を含有する場合もある。本プロセスは、市販の少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリーム中のこれらの触媒毒の量を、上記の量の水を有して、許容できるレベルまで低下させる好都合な方法を提供する。
【0046】
アルキル化プロセス
本発明のプロセスでは、処理帯域のために使用する物理的装置とアルキル化反応帯域のために使用する物理的装置とを、例えば、分離し、直列になすことができ、それにより、次いで、処理帯域からの流出液を、回収し、下流の反応帯域に供給する。また、全てのアルキル化可能な芳香族化合物が、処理条件で、処理帯域中の処理用組成物に接触してから、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物を含む流出液が、反応帯域の別個の部分において、アルキル化変換条件で、アルキル化触媒に接触する限り、同じ装置を、処理帯域およびアルキル化反応帯域の両方のために使用することもできる。後者の状況では、もちろん、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物および何らの未反応のアルキル化剤を含む、上記のステップ(a)の処理帯域からの流出液が、上記のステップ(b)のアルキル化反応帯域を直接通過するであろう。
【0047】
本発明の改善されたアルキル化プロセスを、反応物、すなわち、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物を含む処理帯域からの流出液を、触媒組成物と、適切な反応帯域、例えば、触媒組成物の固定床を含有する流通反応器等中で、有効な触媒変換条件下において接触させるように実施することができる。好ましくは、少なくとも部分的に液相の触媒変換条件は、約100℃〜約300℃、好ましくは、約100℃〜約285℃、最も好ましくは、約100℃〜約200℃の温度、約689〜約4601kPa、好ましくは、約689〜約3102kPaの圧力、約0.1:1〜約25:1、好ましくは、約0.5:1〜約10:1の処理されたアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、および約0.1〜500時間
-1、好ましくは、約0.5〜約100時間
-1のアルキル化剤に対する供給物の毎時質量空間速度(WHSV)を含む。
【0048】
処理されたアルキル化可能な芳香族化合物が、処理されたベンゼンを含み、アルキル化剤が、エチルベンゼンを生成するためのエチレンである場合には、アルキル化反応を、好ましくは、約100℃〜約280℃、約100℃〜約230℃、好ましくは、約125℃〜約260℃の温度、最高約4601kPa、好ましくは、約689kPa〜約3102kPaの圧力、約0.1〜約20時間
-1、好ましくは、約0.5〜約6時間
-1のエチレンアルキル化剤に対する毎時質量空間速度(WHSV)、および約0.1:1〜約30:1モル、好ましくは、約1:1〜約20:1モルのアルキル化反応帯域中の処理されたベンゼン対エチレンの比を含む、少なくとも部分的に液相の触媒変換条件下で実施する。
【0049】
処理されたアルキル化可能な芳香族化合物が、処理されたベンゼンを含み、アルキル化剤が、クメンを生成するためのプロピレンである場合にはまた、反応を、約200℃未満、約100〜約200℃、約125℃〜約180℃の温度、約3102kPa以下、例えば、約1724kPa〜約3102kPaの圧力、約0.1時間
-1〜約25時間
-1、好ましくは、約0.3時間
-1〜約5時間
-1のプロピレンアルキル化剤に対する毎時質量空間速度(WHSV)、および約0.1:1〜約30:1、より好ましくは、約1:1〜約20:1モルのアルキル化反応器中の処理されたベンゼン対プロピレンのモル比を含む、少なくとも部分的に液相の触媒変換条件下で行うこともできる。
【0050】
本発明の反応機構では、アルキル化反応器からの流出液は、過剰な芳香族供給物、モノアルキル化生成物、ポリアルキル化生成物、および種々の不純物を含有し得る。芳香族供給物を、蒸留により回収し、アルキル化反応器に再循環させる。通常、少量のブリードを再循環ストリームから取って、ループから非反応性の不純物を排除する。蒸留物からの下部をさらに蒸留して、ポリアルキル化生成物およびその他の重質からモノアルキル化生成物を分離することができる。
アルキル化反応器からの流出液から分離したポリアルキル化生成物を、アルキル化反応器から分離されているトランスアルキル化反応器中で、追加の芳香族供給物と、適切なトランスアルキル化触媒上で反応させることができる。トランスアルキル化触媒は、上記に記載したように、ゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイトの構造またはMWWフレームワーク構造型材料を有する結晶性分子ふるいの1つまたは混合物を含むことができる。
【0051】
相対活性
本発明において使用するための触媒組成物は、少なくとも8.6、例えば、8.6〜12.0のRA
220、または少なくとも3.5、例えば、3.5〜6.0のRA
180と測定される相対活性を有し得、より低い反応圧力、例えば、約3102kPa以下の反応器の流出口の圧力、および3102kPa以下、例えば、2758kPa以下の、より低い、アルキル化剤、例えば、エチレンまたはプロピレンの供給物を供給する圧力における作動を可能にする。本明細書で使用する場合、相対活性は、RA
220またはRA
180として測定し、S. Folger in Elements of Chemical Reactor Engineering, 2
nd Edition, pages 406-407が記載している方法に類似する方法により決定する。断熱反応器を使用するこの方法では、エネルギー収支を使用して、温度上昇をエチレンの変換に関係付ける。既知の熱電対の位置、注入口の温度、圧力および変換を用いて、触媒の相対活性を、反応器の示差分析(differential reactor analysis)を使用して決定することができる。この解析のために、相対活性を、パーセント温度上昇を床の長さのパーセントで割ることによって計算する。手短に述べると、相対活性(RA)=ΔT/Lであり、式中、ΔTは、パーセント温度上昇であり、Lは、床の長さのパーセントである。断熱反応器への注入口の温度が180℃である場合、RAの値は、RA
180であり、断熱反応器への注入口の温度が220℃である場合、RAの値は、RA
220である。
【0052】
このRAの決定を、多点熱電対を有する断熱性の3/4”の管状の反応器に、およそ28グラムの特定の触媒を充填する以下の実験により例示する。触媒を、不活性なアルミナ床間に密に充填して、良好な流動分布をもたらす。エチレンおよびベンゼンを(1:1.5モルで)含む供給物を、180または220℃の注入口の温度に加熱し、反応を可能にする触媒床を通過させ、反応器から流出液として流出させる。およそ40℃の断熱性の温度上昇を維持するために、流出液の一部を、供給物に戻して再循環させる。再循環対供給物の(質量)比を6対1に維持して、液相条件を維持する。床中の多点熱電対は、6つの熱電対からなり、これらを使用して、床内部の6つの点において温度を測定する。結果を、以下の表に記載する。触媒AおよびBは、同じMWW構造の材料である。
【実施例】
【0054】
例1〜6
熱質量分析装置(TGA)は、物質の質量変化を測定することができる計測器である。TGAを、1つには、ガス相からの化合物の吸着において使用して、そのような化合物の親和性を決定する。下記の例1〜8は、コリジンの吸着から決定した、多様な材料の能力を示す。コリジンは、かさ高いアミン(すなわち、1,3,5−トリメチルピリジン)であり、また、吸着についての良好なプローブ分子でもある。表2は、コリジンを使用してTGAにより測定した、種々の見込みのある処理用組成物の毒処理能力を示す。
【0055】
表2
【表2】
理解し得るであろうが、表2は、コリジンを使用した場合、MWWトポロジーを有する処理用組成物についての毒処理能力が、非MWWトポロジーを有する処理用組成物についての毒処理能力よりもはるかに低いことを示している。さらに、75質量%未満の結合剤および25質量%超のゼオライトを有する処理用組成物も、高いコリジン能力にとって重要である。
【0056】
例7および8
例7および8では、MWWおよびゼオライトベータの処理用組成物の、N−ホルミルモルホリン(NFM)不純物を吸収する能力を決定した。2つのアルキル化反応器を直列に置き、NFM不純物含有ベンゼン供給物を、第1のアルキル化触媒を有する第1のアルキル化反応器(Rx1)に供給した。反応1(Rx1)の流出液を、第2のアルキル化触媒を有する第2のアルキル化反応器(Rx2)への供給物とした。Rx1およびRx2はそれぞれ、別個のエチレン注入点を有し、この配置は、多段階直列接続型アルキル化反応器の最初の2段階のようなものである。これらの実験については、Rx1は、反応性の防御床であり、アルキル化反応器中の第1の反応帯域であった。Rx2の活性解除を使用して、いつRx1がその最大の毒処理能力を達成してしまい、触媒毒がRx1によりもはや完全には留保されなくなるかを示した。NFMを、ベンゼン供給物の質量に対して、0.3質量wppmの濃度で供給した。
例7〜8におけるNFM吸収能力は、ストリーム上の時間およびRx2において活性解除が観察される時間から計算した。
【0057】
表3
【表3】
【0058】
理解し得るであろうが、表3は、処理用組成物としてのゼオライトベータについてのNFM吸収能力は、MWW材料を含む処理用組成物よりも優れていることを示している。
例1〜8は、多くの材料が吸着剤として使用するのに適していることを示している。例1〜8は、高い表面積/体積の比の材料(例えば、粉末)を用いれば、毒を除去するための非常に高い能力を達成することができることを示していると考えられる。しかし、そのような材料を、反応器内に充填するためには、構造化された粒子に製剤化しなければならない。
【0059】
アルキル化機構の改善に関与する本発明の非限定的な例を、以下の実験を参照して記載する。これらの実験では、2つの別個の床、すなわち、処理帯域およびアルキル化反応帯域を直列に置く。特定の処理用組成物を含有する第1の床(処理帯域)を、窒素化合物(触媒毒)を含有するベンゼンの処理のために使用して、化学的にアルキル化反応を行うことが可能である下流のアルキル化反応帯域を保護する。ベンゼンを、エチレンと併せて処理帯域に供給する。次いで、処理帯域からの流出液を、エチレンと混合し、アルキル化触媒を含有するアルキル化反応帯域に供給する。安定にアルキル化が作動する日数(運転の長さ)は、アルキル化反応帯域において活性解除が生じるのを最初に観察する時期から決定される。したがって、アルキル化反応帯域における触媒の活性解除は、(一定の流動条件において)処理用組成物の運転の長さおよびその見かけの能力と相関する。処理用組成物がもはや毒を留保しなくなったら(スリッページ(slippage))、処理用組成物の再生または交換のいずれかが必要となる。
【0060】
下記の例9は、本明細書において使用しようとする材料に必要な表面積/表面体積の比を含む処理用組成物の有効性を実証する。処理帯域における処理用組成物の毒処理能力を、ストリーム上の時間、および触媒の活性解除が、アルキル化反応帯域において観察される時間から計算する。表面積/表面体積の比は、Wilsonville、OregonのCascade Data Systemsから得られるAdvanced Laboratory Imaging and Analysis System(ALIAS)を使用する、粒子寸法および粒子曲率を測定するための光学的プロセスを使用することによって決定した。
【0061】
例9
ゼオライトベータを含む処理用組成物の16グラムの分量を、70〜100in
-1(28〜39cm
-1)の表面積/表面体積の比を有する1/16インチ(0.16cm)の円柱状粒子として製剤化し、処理帯域中に置き、(触媒組成物として)材料の28グラムの分量を、MCM−49を含む1/20インチ(0.13cm)の四葉形粒子として製剤化し、アルキル化反応帯域中に置いた。N−ホルミルモルホリンの形態をとるN、0.3wppmを含むベンゼン、および非常に少量のエチレンブリードを、処理帯域に、周囲圧力、21時間
-1のWHSV、および180℃(液相)で供給した(ベンゼン/エチレンのモル比は100:1以上であった(エチレンを本質的に含有しなかった))。次いで、処理帯域からの流出液を、エチレンと混合し、180℃の温度に維持した反応帯域に供給した。混合物は、液相中にあり、ベンゼン/エチレンのモル比は、およそ18:1であり、WHSVは、エチレンに対しておよそ0.77時間
-1であった。反応帯域中の触媒組成物が活性解除を示し始めたのは、第14.5日になってからであった。したがって、その点までの、処理帯域中の処理用組成物の毒処理能力は、およそ2200wppmのNであると計算された。次いで、アセトニトリルの形態をとるN、0.3wppmを、処理帯域に、周囲圧力、21時間
-1のベンゼンに対するWHSV、および180℃(液相)で供給した。反応帯域中の触媒の活性解除は、その後の8〜9.5日間生じなかった。したがって、処理帯域中の処理用組成物の毒処理能力は、追加して、およそ1400wppmのNであり、計3600wppmのNであると計算された。
【0062】
本明細書に引用する特許、特許出願、試験手順、優先権の文書、論文、刊行物、マニュアルおよびその他の文書は全て、そのような開示が、本発明と一貫性を示し、そのような組込みを認めるいずれの管轄区域とも一貫性を示す限りにおいて、参照により完全に組み込まれている。
【0063】
数値の下限および数値の上限を本明細書に列挙する場合、任意の下限から任意の上限までの範囲を企図する。
【0064】
本発明の例示的な実施形態を入念に記載してきたが、種々のその他の改変形態が当業者には明らかであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それらを当業者であれば容易に作製することができることを理解されたい。したがって、本明細書に添付する特許請求の範囲を、本明細書に記載する例および説明に制限する意図はなく、それどころか、特許請求の範囲は、本発明が関係する当業者がそれらの均等物として扱うであろう特徴の全てを含めて、本発明中に存在する特許性のある新規性の特徴の全てを包含すると解釈されるものとする。
【0065】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕触媒毒を有する少なくとも部分的に未処理のアルキル化可能な芳香族化合物ストリームおよびアルキル化剤ストリームから、アルキル化芳香族化合物ストリームを生成するためのプロセスであって、触媒毒を低下させるために、前記アルキル化可能な芳香族化合物ストリームを処理し、
(a)前記触媒毒を有する前記アルキル化可能な芳香族化合物ストリームを処理用組成物と、アルキル化反応帯域から分離されている処理帯域において、処理条件下で接触させて、前記触媒毒の少なくとも一部を除去し、処理されたアルキル化可能な芳香族化合物および低下した量の触媒毒を含む処理された流出ストリームを形成するステップであって、前記処理用組成物が、30in
-1(76cm
-1)超の表面積/表面体積の比を有し、前記処理条件が、約30℃〜約300℃の温度を含むステップと、
(b)前記流出ストリーム中の前記処理されたアルキル化可能な芳香族化合物およびアルキル化剤ストリームを触媒組成物と、前記処理帯域から分離されている前記アルキル化反応帯域において、少なくとも部分的に液相の触媒変換条件下で接触させて、追加のアルキル化芳香族化合物を含むアルキル化流出ストリームを形成するステップであって、前記触媒組成物が、FAU、BEA、MOR、MWWおよびそれらの混合物からなる群から選択されるフレームワーク構造型を有する多孔性の結晶性材料を含み、前記少なくとも部分的に液相の触媒変換条件が、約100℃〜約300℃の温度、約689kPa〜約4601kPaの圧力、約0.01:1〜約25:1の処理されたアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、および約0.5〜約500時間
-1のアルキル化剤に対する供給物の毎時質量空間速度(WHSV)を含むステップと
を含むプロセス。
〔2〕ステップ(a)が、アルキル化剤ストリームを前記アルキル化可能な芳香族化合物と併せて前記処理帯域に断続的に供給して、前記処理条件下における前記処理用組成物の存在下で、前記アルキル化剤と前記アルキル化可能な芳香族化合物との間の発熱反応により引き起こされる温度の増加をもたらすことをさらに含み、それにより、前記温度上昇が、前記処理用組成物の老化を示す、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔3〕前記触媒毒が、以下の元素、すなわち、窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレニウム、テルル、リン、および1族から12族までの金属のうちの少なくとも1つを含む、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔4〕前記アルキル化可能な芳香族化合物ストリーム中の前記触媒毒の少なくとも10質量%が、前記接触のステップ(a)において除去される、前記〔3〕に記載のプロセス。
〔5〕前記処理用組成物が、多孔性の結晶性材料を含む、前記〔1〕に記載のプロセス。
【0066】
〔6〕前記処理用組成物の前記多孔性の結晶性材料が、ゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−5、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびそれらの組合せからなる群から選択される分子ふるいである、前記〔5〕に記載のプロセス。
〔7〕前記処理用組成物が、粘土、樹脂、固体のリン酸、活性アルミナ、リンデタイプX、リンデタイプAおよびそれらの組合せからなる群から選択される、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔8〕前記リンデタイプXが13Xであり、前記リンデタイプAが4Aまたは5Aである、前記〔7〕に記載のプロセス。
〔9〕前記多孔性の結晶性材料または前記処理用組成物が、結合剤をさらに含み、前記結合剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、粘土およびそれらの混合物からなる群から選択される、前記〔5〕に記載のプロセス。
〔10〕前記FAUフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)またはそれらの混合物である、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔11〕前記BEAフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、ゼオライトベータである、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔12〕前記MORフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、モルデナイト、TEA−モルデナイトまたはそれらの混合物である、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔13〕前記MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、合成したままのまたは焼成した形態で、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームの面間隔最大値を含むX線回析パターンを有する、前記〔1〕に記載のプロセス。
【0067】
〔14〕MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−12、EMM−13またはそれらの混合物である、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔15〕前記アルキル化可能な芳香族化合物が、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、フェナントレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔16〕前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤がエチレンであり、前記アルキル化芳香族化合物がエチルベンゼンである、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔17〕前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤がプロピレンであり、前記アルキル化芳香族化合物がクメンである、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔18〕前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤がブテンであり、前記アルキル化芳香族化合物がsec−ブチルベンゼンである、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔19〕前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤がエチレンであり、前記アルキル化芳香族化合物がエチルベンゼンであり、前記少なくとも部分的に液相の変換条件が、約100℃〜約280℃の温度、約3102kPa以下の圧力、約0.1〜約20時間
-1のエチレンに対する毎時質量空間速度(WHSV)、および約0.5:1〜約30:1モルのアルキル化反応器中のベンゼン対エチレンの比を含む、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔20〕前記処理用組成物が、ゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−5、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびそれらの混合物からなる群から選択される分子ふるいである、前記〔19〕に記載のプロセス。
〔21〕前記処理用組成物が、粘土、樹脂、固体のリン酸、活性アルミナ、リンデタイプX、リンデタイプAおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記〔19〕に記載のプロセス。
〔22〕前記MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームの面間隔最大値を含むX線回析パターンを有する、前記〔19〕に記載のプロセス。
〔23〕MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−12、EMM−13またはそれらの混合物である、前記〔22〕に記載のプロセス。
【0068】
〔24〕前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がプロピレンであり、前記アルキル化芳香族化合物がクメンを含み、前記少なくとも部分的に液相の変換条件が、約200℃未満の温度、約3102kPa以下の圧力、約0.1時間
-1〜約250時間
-1のプロピレンアルキル化剤に対する毎時質量空間速度(WHSV)、および約0.5:1〜約30:1モルのアルキル化反応器中のベンゼン対プロピレンの比を含む、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔25〕前記処理用組成物が、ゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−5、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびそれらの混合物からなる群から選択される分子ふるいである、前記〔24〕に記載のプロセス。
〔26〕前記処理用組成物が、粘土、樹脂、固体のリン酸、活性アルミナ、リンデタイプX、リンデタイプAおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記〔24〕に記載のプロセス。
〔27〕前記MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームの面間隔最大値を含むX線回析パターンを有する、前記〔24〕に記載のプロセス。
〔28〕MWWフレームワーク構造型を有する前記多孔性の結晶性材料が、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−12、EMM−13またはそれらの混合物である、前記〔26〕に記載のプロセス。
〔29〕接触のステップ(a)の前記処理条件が、約5〜70時間
-1の範囲である、前記アルキル化可能な芳香族化合物に対する処理の毎時質量空間速度(WHSV)を含む、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔30〕前記処理用組成物が、1グラムの前記処理用組成物当たり、100マイクロモル超のコリジンを吸収する、前記〔1〕に記載のプロセス。