特許第6405595号(P6405595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405595
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】カバーおよび時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 21/02 20060101AFI20181004BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G04C21/02 Z
   H04R1/02 103G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-245759(P2014-245759)
(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公開番号】特開2016-109509(P2016-109509A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】396004970
【氏名又は名称】セイコークロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】神谷 佳孝
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−210581(JP,A)
【文献】 実開昭61−026192(JP,U)
【文献】 米国特許第4068461(US,A)
【文献】 特開2012−109691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 21/02
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源の少なくとも一部を覆う第1カバー板と、
前記音源から発せられた音の伝達方向から見て前記第1カバー板よりも外側に少なくとも一部が設けられ、少なくとも前記第1カバー板側の内縁部が前記第1カバー板よりも前記音源側に位置する第2カバー板と、
前記第1カバー板の外縁部と、前記第2カバー板の内縁部と、を接続する壁部と、
を備え、
前記第2カバー板は、前記伝達方向に対して所定角度で交差し、
前記壁部は、前記伝達方向に対して前記所定角度よりも小さい角度で交差し、
前記第2カバー板には、少なくとも1つの第1放音孔が形成され、
前記壁部には、少なくとも1つの第2放音孔が形成され、
前記第2放音孔の開口面積は、前記第1放音孔の開口面積よりも大きい、
ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記第2カバー板の内縁部は、前記伝達方向から見て前記第1カバー板の外縁部よりも外側に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記第1カバー板の外縁部と前記第2カバー板の内縁部とが、前記伝達方向から見て重なるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記第1カバー板と前記第2カバー板の内縁部とが、前記伝達方向から見て重なるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカバーと、
時刻表示部と、
前記音源と、
を備えることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーおよび時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、目覚まし時計等の電気機器の筐体内部には、報知音を出すためのスピーカ等の音源が配置されている。このような電気機器の筐体や、その筐体の一部を構成するカバーには、音源において発生した音を機器外部へ効率良く伝搬させるために、放音孔が設けられる。
例えば、特許文献1には、筐体がスピーカからの音を外部に放出するための1または複数の放音孔と、1または複数の補助放音孔とを備え、補助放音孔の開口面積は、放音孔の開口面積より小さくなっている表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5084945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置においては、筐体に大きな放音孔が設けられるため、正面視で放音孔が視認されやすいので、意匠性が低下する。したがって、従来技術では、音源を覆う筐体やカバーにおいて、音質の劣化を抑制しつつ、意匠性の低下を防止するのが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、音質の劣化を抑制しつつ意匠性の低下を防止できるカバー、およびこのカバーを備えた時計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカバーは、音源の少なくとも一部を覆う第1カバー板と、前記音源から発せられた音の伝達方向から見て前記第1カバー板よりも外側に少なくとも一部が設けられ、少なくとも前記第1カバー板側の内縁部が前記第1カバー板よりも前記音源側に位置する第2カバー板と、前記第1カバー板の外縁部と、前記第2カバー板の内縁部と、を接続する壁部と、を備え、前記第2カバー板は、前記伝達方向に対して所定角度で交差し、前記壁部は、前記伝達方向に対して前記所定角度よりも小さい角度で交差し、前記第2カバー板には、少なくとも1つの第1放音孔が形成され、前記壁部には、少なくとも1つの第2放音孔が形成され、前記第2放音孔の開口面積は、前記第1放音孔の開口面積よりも大きい、ことを特徴とする。
本発明によれば、壁部が第2カバー板よりも音の伝達方向に対して小さい角度で交差しているため、壁部に形成された第2放音孔は、第2カバー板に形成された第1放音孔よりも、音の伝達方向から見たときの視認性が低くなる。これにより、第1放音孔よりも開口面積が大きい第2放音孔は視認されにくいので、カバーの意匠性を維持できる。また、第1放音孔よりも開口面積が大きく設定された第2放音孔を有するので音源から発せられる音の音量がカバーを介することで減少し、音質が劣化することを抑制できる。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性の低下を防止できるカバーが得られる。
【0007】
上記のカバーにおいて、前記第2カバー板の内縁部は、前記伝達方向から見て前記第1カバー板の外縁部よりも外側に形成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、音の伝達方向から見て第1カバー板と第2カバー板とが重ならないように形成できる。これにより壁部は、例えばカバーを射出成形により製造する際のアンダーカットとならない。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性の低下を防止できるカバーを容易に製造できる。
【0008】
上記のカバーにおいて、前記第1カバー板の外縁部と前記第2カバー板の内縁部とが、前記伝達方向から見て重なるように形成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、第2カバー板の内縁部は、音の伝達方向から見て第1カバー板の外縁部に重なっているため、第1カバー板の外縁部と第2カバー板の内縁部を接続する壁部は、音の伝達方向から見て第1カバー板により視認できない状態となる。これにより、壁部に形成された第2放音孔も、音の伝達方向から見て視認できない。また、壁部は、カバーを射出成形により製造する際のアンダーカットとならない。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性をより向上させるカバーを容易に製造できる。
【0009】
上記のカバーにおいて、前記第1カバー板と前記第2カバー板の内縁部とが、前記伝達方向から見て重なるように形成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、第2カバー板の内縁部は、音の伝達方向から見て第1カバー板に重なっているため、第1カバー板の外縁部と第2カバー板の内縁部を接続する壁部は、音の伝達方向から見て第1カバー板により視認できない状態となる。これにより、壁部に形成された第2放音孔も、音の伝達方向から見て視認できない。したがって、カバーの意匠性をより向上させることができる。
【0010】
本発明の時計は、上記カバーと、時刻表示部と、前記音源と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上述したカバーを備えているため、音質の劣化が抑制され、意匠性に優れた時計が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、壁部が第2カバー板よりも音の伝達方向に対して小さい角度で交差しているため、壁部に形成された第2放音孔は、第2カバー板に形成された第1放音孔よりも、音の伝達方向から見たときの視認性が低くなる。これにより、第1放音孔よりも開口面積が大きい第2放音孔は視認されにくいので、カバーの意匠性を維持できる。また、第1放音孔よりも開口面積が大きく設定された第2放音孔を有するので音源から発せられる音の音量がカバーを介することで減少し、音質が劣化することを抑制できる。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性の低下を防止できるカバーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の時計の斜視図である。
図2】第1実施形態の時計の正面図である。
図3】第1実施形態の時計の側面図である。
図4】第1実施形態の時計の背面図である。
図5図2のV−V線における断面図である。
図6】第1実施形態の他のスピーカカバーを示す斜視図である。
図7】第1実施形態の他のスピーカカバーを示す斜視図である。
図8】第2実施形態のスピーカカバーを示す斜視図である。
図9】第2実施形態のスピーカカバーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(時計、カバー)
図1は、第1実施形態の時計の斜視図である。図2は、第1実施形態の時計の正面図である。図3は、第1実施形態の時計の側面図である。図4は、第1実施形態の時計の背面図である。
図1および図4に示すように、本実施形態の時計1は、アラーム機能を有する卓上型の時計である。時計1は、主にケース10と、ケース10の正面に配置された操作パネル20と、ケース10の両端部に配置され、スピーカ30が取り付けられたスピーカカバー50(請求項の「カバー」に相当。)と、ケース10の内部に配置された検出部40と、を備えている。時計1は、設置面に載置された状態で使用される。なお、図1以降の各図中において、矢印UPは鉛直上方を指し、矢印FRは時計1の前方を指し、矢印LHは前方から見たときの左方を指すものとする。
【0014】
図1および図3に示すように、ケース10は、例えば樹脂材料等により、左右方向に延在する半円筒形状に形成され、平面部11および曲面部12を有している。ケース10は、平面部11が前方斜め上方に面するように構成されている。曲面部12は、スピーカ30から発せられる音を反響させることができる。
図3に示すように、ケース10の後方には、台座部13が形成されている。台座部13の下面13aは、平坦に形成されて設置面に接している。
【0015】
図2に示すように、ケース10の平面部11には、操作パネル20が配置されている。操作パネル20は、正面視略中央に配置された時刻表示部21と、時刻表示部21の周囲に配置された各種機能スイッチ23と、を有する。時刻表示部21は、例えば液晶表示装置等により形成され、時刻やカレンダー、温湿度等を表示する。各種機能スイッチ23は、例えば音量調整や報知音選択、時刻調整等を行うスイッチとして設けられている。
【0016】
図5は、図2のV−V線における断面図である。
図4および図5に示すように、ケース10内の左右両端には、スピーカ30(右スピーカ30Aおよび左スピーカ30B)が配置されている。スピーカ30は、例えばコーン紙等の振動板を備えた、スピーカ軸Pを中心とする円形状のスピーカである。スピーカ30は、スピーカ軸Pと、発せられた指向性を有する音の伝達方向Aと、が一致するように形成されている。スピーカ30は、スピーカ軸Pおよび伝達方向Aが左右方向に沿うように配置されている。
【0017】
図4に示すように、ケース10の曲面部12には、一対の通気孔15A,15Bが形成されている。一方の通気孔15Aは、ケース10の右側において、右スピーカ30Aよりも左方に形成されている。他方の通気孔15Bは、ケース10の左側において、左スピーカ30Bよりも右方に形成されている。通気孔15A,15Bは、ケース10の内部と外部を連通するように形成され、それぞれがケース10の左端近傍および右端近傍に設けられることで、ケース10の内外を効率良く通気可能としている。
【0018】
図3および図4に示すように、ケース10の左右両端部には、それぞれスピーカ30を覆うスピーカカバー50が配置されている。スピーカカバー50は、例えば樹脂材料等により、左右方向から見て半円筒形状のケース10の端部に対応する半円形状に形成されている。スピーカカバー50は、右スピーカ30Aを覆う右カバー50Aと、左スピーカ30Bを覆う左カバー50Bとを含んでいる。なお、右カバー50Aと左カバー50Bとは、対称形状に形成されている。したがって、以下の説明では主に右カバー50Aおよび右スピーカ30Aについて説明し、左カバー50Bおよび左スピーカ30Bの説明を省略する。
【0019】
図5に示すように、右カバー50Aは、右方に面するカバー部51と、カバー部51の裏面(左面)に設けられたスピーカ保持部59と、を有する。
スピーカ保持部59は、左右方向に延在する円筒状に形成され、右スピーカ30Aが振動板をカバー部51に対向させた状態で内嵌されている。
【0020】
カバー部51は、左右方向から見て、左右方向に沿う中心軸Q周りに半円形状に形成されている(図3参照)。カバー部51は、右スピーカ30Aの一部を覆う第1カバー板52と、伝達方向A(左右方向)から見て第1カバー板52よりも外側に一部が設けられ、内縁部54aが第1カバー板52よりも右スピーカ30A側に位置する第2カバー板54と、第1カバー板52の外縁部52aと第2カバー板54の内縁部54aとを接続する壁部57と、を備えている。
第1カバー板52は、中心軸Q周りにおいて、カバー部51に対応する半円形状に形成されている。第1カバー板52の半径は、例えばカバー部51全体の半径の3分の1程度となっている。第1カバー板52は、左右方向から見て、右スピーカ30Aの一部と重なるように形成されている(図3参照)。
【0021】
第2カバー板54は、中心軸Qを中心とする半円弧状の内縁部54aから、扇状に広がるように形成されている。内縁部54aは、第1カバー板52の外縁部52aよりも左方(右スピーカ30A側)であって、伝達方向A(左右方向)から見て第1カバー板52の外縁部52aよりも外側に形成されている。第2カバー板54は、中心軸Qから離れるにしたがって、右方に向かうように湾曲する凹曲面状に形成されている。第2カバー板54は、その外面における接線L1が右スピーカ30Aの音の伝達方向Aおよびスピーカ軸Pに対して交差角θ1で交差している。なお、第2カバー板54は、V−V断面視において湾曲した形状に形成されているが、これに限定されず、V−V断面視において平板状に形成されていてもよい。
【0022】
図3に示すように、第2カバー板54には、複数の第1放音孔55が形成されている。各第1放音孔55は、例えば円形状の貫通孔である。第1放音孔55は、中心軸Qから離間する方向に沿って一列に複数個配列されて、第1放音孔列56を形成している。第1放音孔列56は、第2カバー板54における中心軸Qの周方向略中央に、放射状に複数列(本実施形態では5列)配置されている。これにより、右スピーカ30Aから発せられた音は、第1放音孔55を通じてケース10の内部から外部へ伝搬される。
【0023】
図5に示すように、壁部57は、第1カバー板52の外縁部52aと、第2カバー板54の内縁部54aと、を接続している。壁部57は、第1カバー板52の外縁部52aから左方に向かって、中心軸Qから離れるように延びている。壁部57は、左右方向から見て、第1カバー板52の外縁部52aに沿う扇状に形成されている(図3参照)。壁部57は、V−V断面視において、右スピーカ30Aの音の伝達方向Aおよびスピーカ軸Pに対して交差角θ2で交差する平板状に形成されている。壁部57とスピーカ軸Pとの交差角θ2は、第2カバー板54とスピーカ軸Pとの交差角θ1よりも小さくなっている。なお、壁部57は、V−V断面視において平板状に形成されているが、これに限定されず、V−V断面視において湾曲した形状に形成されていてもよい。この場合には、壁部の外面における接線とスピーカ軸Pとの交差角が、第2カバー板54とスピーカ軸Pとの交差角θ1よりも小さくなっていればよい。
【0024】
図3に示すように、壁部57には、複数(本実施形態では4個)の第2放音孔58が形成されている。各第2放音孔58は、中心軸Qから離間する方向に沿って形成された矩形状の貫通孔であって、壁部57における中心軸Qの周方向略中央に、放射状に配置されている。これにより、右スピーカ30Aから発せられた音は、第2放音孔58を通じてケース10の内部から外部へ伝搬される。
【0025】
上述したように、壁部57とスピーカ軸Pとの交差角θ2は、第2カバー板54とスピーカ軸Pとの交差角θ1よりも小さくなっている。図5に示すように、壁部57は右スピーカ30Aの前面に対して、第2カバー板54よりも傾斜して配置されている。このため、壁部57と第2カバー板54に同じ開口面積を有する放音孔が形成されている場合を想定すると、右スピーカ30Aの音の伝達方向Aから見たとき、壁部57に形成された放音孔は、第2カバー板54に形成された放音孔よりも小さく見える。また、伝達方向Aから見たとき、壁部57に形成された放音孔は、実際の開口面積よりも小さく見える。すなわち、視認性が低くなる。このように、壁部57に形成された第2放音孔58は、第2カバー板54に形成された第1放音孔55よりも、伝達方向Aから見たときの視認性が低くなっている。
【0026】
右スピーカ30Aから発せられた音は、第1放音孔55および第2放音孔58を通じてケース10の内部から外部へ伝搬される。ここで、右スピーカ30Aからの音の音量が右カバー50Aを介することで減少し、音質が劣化することを抑制するために、第1放音孔55および第2放音孔58の開口面積をある程度確保する必要がある。本発明においては、第2放音孔58の開口面積が、第1放音孔55の開口面積よりも大きくなっている。第1放音孔55よりも視認性が低い第2放音孔58の開口面積が大きいため、右スピーカ30Aの音の伝達方向Aから見たとき、第2放音孔58は視認されにくく実際の開口面積よりも小さく見えるため第2放音孔58が目立たない。このように、右カバー50Aの意匠性を維持できる。また、第2カバー板54に形成された少なくとも1つの第1放音孔55と、壁部57に形成された少なくとも1つの第2放音孔58により、右スピーカ30Aからの音の音量や音質を確保するために必要な開口面積を確保することができる。
【0027】
図4に示すように、ケース10の内部には、検出部40、電池60と、が配置されている。
検出部40は、例えばサーミスタ等の温度センサ、および例えばセラミック型等の湿度センサが基板に取り付けられたものである。検出部40は、基板の面方向が左右方向に直交するように、かつ通気孔15Aよりも左方に配置されている。これにより検出部40は、通気孔15Aを塞がないため、通気孔15Aをケース10内において反響する音の逃げ孔として用いることができるとともに、外気取り込み用の孔とすることができる。
【0028】
電池60は、例えば円柱状の乾電池であり、台座部13の内部に複数(本実施形態では3個)配置されている。このとき、第1の電池60aおよび第2の電池60bは、左右方向に沿うように1列に配列されている。また、第3の電池60cは、第1の電池60aに対して並列で配置されている。このように、複数個の電池60を左右方向に沿って1列に配列することで、電池60によるケース10の断面積の減少を低減することができる。これにより、ケース10の内部形状が、スピーカ30により発せられた音を反響させる構造に形成されている場合において、全ての電池を並列に配置した場合と比較して、曲面部12に囲繞された空間を有効に利用でき、音を効果的に反響させることができる。また、通気孔15Aと通気孔15Bとの間を通気する空気の流れを阻害することを防止できる。
【0029】
このように、本実施形態のスピーカカバー50は、スピーカ30の少なくとも一部を覆う第1カバー板52と、スピーカ30から発せられた音の伝達方向Aから見て第1カバー板52よりも外側に一部が設けられ、内縁部54aが第1カバー板52よりもスピーカ30側に位置する第2カバー板54と、第1カバー板52の外縁部52aと、第2カバー板54の内縁部54aと、を接続する壁部57と、を備えている。第2カバー板54は、伝達方向A(スピーカ軸P)に対して角度θ1で交差している。壁部57は、伝達方向A(スピーカ軸P)に対して角度θ1よりも小さい角度θ2で交差している。第2カバー板54には、第1放音孔55が形成され、壁部57には、第2放音孔58が形成されている。第2放音孔58の開口面積は、第1放音孔55の開口面積よりも大きくなっている。
この構成によれば、壁部57が第2カバー板54よりも伝達方向A(スピーカ軸P)に対して小さい角度で交差しているため、壁部57に形成された第2放音孔58は、第2カバー板54に形成された第1放音孔55よりも、伝達方向Aから見たときの視認性が低くなる。これにより、第1放音孔55よりも開口面積が大きい第2放音孔58は視認されにくいので、スピーカカバー50の意匠性を維持できる。また、第1放音孔55よりも開口面積が大きく設定された第2放音孔58を有するので、スピーカ30から発せられる音の音量がスピーカカバー50を介することで減少し、音質が劣化することを抑制できる。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性の低下を防止できるスピーカカバー50が得られる。
【0030】
また、第2カバー板54の内縁部54aは、伝達方向Aから見て第1カバー板52の外縁部52aよりも外側に形成されているため、伝達方向Aから見て第1カバー板52と第2カバー板54とが重ならないように形成できる。これにより壁部57は、例えばスピーカカバー50を射出成形により製造する際のアンダーカットとならない。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性の低下を防止できるスピーカカバー50を容易に製造できる。
【0031】
本実施形態によれば、スピーカカバー50と、時刻表示部21と、スピーカ30と、を備えることで、音質の劣化が抑制され、意匠性に優れた時計1が得られる。
【0032】
図6および図7は、第1実施形態の他のスピーカカバーを示す斜視図である。
なお、スピーカカバー50に形成された第1放音孔55および第2放音孔58の形状や形成位置は、上記形態に限定されるものではない。例えば図6に示すように、第1放音孔55および第2放音孔58は、第2カバー板54および壁部57の全体に亘って形成されてもよい。また、図7に示すように、第2放音孔58は、中心軸Qの周方向における寸法が、第2放音孔58と第2放音孔58と間における壁部57の中心軸Qの周方向における寸法よりも大きくなるように形成されてもよい。また、第1放音孔55および第2放音孔58は、中心軸Qに対して放射状に配列される構成に限定されず、第2カバー板54および壁部57において、例えば千鳥状に配列される構成や、不規則に配置される構成等であってもよい。
【0033】
[第2実施形態]
(カバー)
次に第2実施形態のスピーカカバー150について説明する。
図8は、第2実施形態のスピーカカバーを示す斜視図である。
図3に示す第1実施形態では、スピーカカバー50の第2カバー板54の内縁部54aは、音の伝達方向A(左右方向)から見て第1カバー板52の外縁部52aよりも外側に形成されていた。これに対して、図8に示す第2実施形態では、スピーカカバー150の第2カバー板154の内縁部154aは、音の伝達方向(左右方向)から見て第1カバー板52の外縁部52aよりも内側に形成されている点で、第1実施形態と異なっている。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
図8に示すように、スピーカカバー150(右カバー150A)は、第1カバー板52と、第2カバー板154と、壁部157と、を備えている。
第2カバー板154は、中心軸Qを中心とする半円弧状の内縁部154aから、扇状に広がるように形成されている。内縁部154aは、第1カバー板52の外縁部52aよりも左方(右スピーカ30A側)であって、音の伝達方向(左右方向)から見て第1カバー板52の外縁部52aよりも内側に形成されている。すなわち、内縁部154aは、音の伝達方向(左右方向)から見て第1カバー板52と重なるように形成されている。第2カバー板154は、中心軸Qから離れるにしたがって、右方に向かうように湾曲する凹曲面状に形成されている。
【0035】
壁部157は、第1カバー板52の外縁部52aと、第2カバー板154の内縁部154aと、を接続している。すなわち、壁部157は、第1カバー板52の外縁部52aから左方に向かって、中心軸Qに近付くように延びている。これにより、壁部157は、音の伝達方向(左右方向)から見て第1カバー板52と重なっている。
【0036】
このように、本実施形態のスピーカカバー150は、第1カバー板52と、第2カバー板154の内縁部154aとが、音の伝達方向(左右方向)から見て重なるように形成されている。これにより、第1カバー板52の外縁部52aと第2カバー板154の内縁部154aとを接続する壁部157は、音の伝達方向から見て第1カバー板52により視認できない状態となる。したがって、壁部157に形成された第2放音孔58も、音の伝達方向から見て視認できないため、スピーカカバー150の意匠性をより向上させることができる。
【0037】
図9は、第2実施形態のスピーカカバーの変形例を示す斜視図である。
図9に示す第2実施形態の変形例では、スピーカカバー150の第2カバー板154の内縁部154bは、音の伝達方向(左右方向)から見て第1カバー板52の外縁部52bと重なっている点で、図8に示す第2実施形態と異なっている。
【0038】
このように、第1カバー板52の外縁部52bと第2カバー板154の内縁部154bとが、音の伝達方向から見て重なるように形成されても、第1カバー板52の外縁部52bと第2カバー板154の内縁部154bとを接続する壁部157は、音の伝達方向から見て第1カバー板52により視認できない状態となる。また、壁部157は、スピーカカバー150を射出成形により製造する際のアンダーカットとならない。したがって、音質の劣化を抑制しつつ意匠性をより向上させるスピーカカバー150を容易に製造できる。
【0039】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、音源としてスピーカ30が用いられているが、これに限定されず、例えば音源は圧電ブザー等であってもよい。
【0040】
上記実施形態においては、ケース10の両端部に配置されたスピーカ30を覆うスピーカカバー50,150について説明したが、本発明のカバーは少なくとも音源を覆うケースであってもよい。すなわち、音源の少なくとも一部を覆う筐体でもよい。
【0041】
本実施形態において、音源から発せられた音の伝達方向から見たときに、第2カバー板の内縁部が第1カバー板の外縁部よりも外側に形成されているカバー、第1カバー板の外縁部と第2カバー板の内縁部とが重なるように形成されているカバー、第1カバー板と第2カバー板の内縁部とが重なるように形成されているカバーの例について述べたが、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたカバーでもよい。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…時計 21…時刻表示部 30…スピーカ(音源) 30A…右スピーカ(音源) 30B…左スピーカ(音源) 50,150…スピーカカバー(カバー) 50A,150A…右カバー(カバー) 50B…左カバー(カバー) 52…第1カバー板 52a,52b…第1カバー板の外縁部 54,154…第2カバー板 54a,154a,154b…第2カバー板の外縁部 55…第1放音孔 57,157…壁部 58…第2放音孔 A…音の伝達方向
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図9