特許第6405598号(P6405598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6405598デジタル加入者線(DSL)のためのロバストオンライン再構成(OLR)および同期プロトコル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405598
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】デジタル加入者線(DSL)のためのロバストオンライン再構成(OLR)および同期プロトコル
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/06 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   H04L13/00 305C
【請求項の数】25
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-520803(P2016-520803)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2016-528764(P2016-528764A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】IL2014050554
(87)【国際公開番号】WO2014203255
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】61/836,178
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/013,221
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514243416
【氏名又は名称】スキピオ テクノロジーズ エス.アイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガイ レイナ
(72)【発明者】
【氏名】ラミ ヴァービン
【審査官】 玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0172188(US,A1)
【文献】 特表2008−510395(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0176942(US,A1)
【文献】 特表2009−531993(JP,A)
【文献】 特表2008−541544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/06
H04L 12/00−955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシステムパラメータのベースライン構成を使用する、少なくとも第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティを有する通信システムにおいて、複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により構成同期を維持するための方法であって、
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにリンクする、少なくとも1つの通信チャネルにおける少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更をモニタリングする段階と、
前記第1の通信エンティティにより、前記ベースライン構成自体を変更することなく、前記少なくとも1つのチャネル特性に対する前記複数の変更に応じて前記ベースライン構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築される、アクティブ構成を決定する段階と、
前記少なくとも1つの通信チャネルを介して、前記第1の通信エンティティから前記第2の通信エンティティへと前記OLR要求を送信する段階と、
前記第2の通信エンティティにより前記OLR要求を受信する段階と、
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより前記アクティブ構成を使用する段階と
前記ベースライン構成に対する変更の必要を判断する段階と、
前記ベースライン構成に対する前記変更が決定された場合、前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティとの間で更新されたベースライン構成を通信し、前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティによって前記更新されたベースライン構成を使用する段階とを備える、方法。
【請求項2】
前記通信システムの第1の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記OLR要求は、前記レシーバの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記通信システムの第2の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記OLR要求は、前記トランスミッタの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのチャネル特性は、
信号対ノイズ比(SNR)、
遠端クロストーク(FEXT)レベル、
信号対ノイズと干渉の比(SNIR)、
信号対FEXT比、
前記少なくとも1つのチャネルの複数のノイズ特性、
転送機能に関連する特性、
確認(ACK)/否認(NACK)表示、
前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティとの間の送信経路における複数の変更、
ブロックエラーレート(BLER)および
ビットエラーレート(BER)からなる一覧から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の通信エンティティは、前記アクティブ構成に関する情報を含む、OLRメッセージの形式の前記OLR要求を構築する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アクティブ構成に関する情報は、
サブキャリア当たりの一時的ビットロードテーブル(BLT)、
サブバンド当たりの一時的ビットロード(BLT)、
サブバンド当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
サブキャリア当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
複数の相対変化(デルタ)、
ビットロードにおける複数の微分変化、
複数のフレーミングパラメータ、
データ伝送単位(DTU)の大きさ、
複数の修正が前記アクティブ構成を構築するべく適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する、識別(ID)番号、
前記アクティブ構成が構築される数学上の関数、
前記アクティブ構成の実装に向かうカウントシーケンス、
少なくとも1つの修正から前記ベースライン構成への前記アクティブ構成をどのように構築するかを指定するアルゴリズム、
前記アクティブ構成を指定する少なくとも1つのデータベースエントリへのポインター、
前記ベースライン構成に対する完全な変更、
前記ベースライン構成に対する部分的変更、および
前記ベースライン構成に対する無変更からなる一覧から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の通信エンティティにより前記OLR要求を修正することにより、修正されたOLR要求を形成する段階と、
前記第2の通信エンティティにより、前記第1の通信エンティティに前記修正されたOLR要求を送信する段階とを更に備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを、前記トランスミッタにより決定する段階を更に備え、
前記ベースライン構成に対するアクティブ構成が、使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の通信エンティティにより少なくとも1回、現在のそれぞれの前記プログレッシブカウントを含むカウントシーケンスメッセージを前記第1の通信エンティティに送信する段階と、
前記第1の通信エンティティにより少なくとも1回、前記カウントシーケンスメッセージを送信する段階を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ベースライン構成に対する前記少なくとも1つの修正は、
複数の正の変更、
複数の負の変更、
複数の0の変更、
複数の微分変化、
前記修正を規定する数学式、
上限および
前記修正を規定するアルゴリズムからなる一覧から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数のシステム構成パラメータの既存の構成を使用する第1の通信エンティティと第2の通信エンティティとの間で、通信システムにおけるオンライン再構成(OLR)により複数のシステム構成パラメータを実装する整合的同期のための方法であって、
前記第1の通信エンティティにより、前記既存の構成に対するアクティブ構成が使用される、構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを決定する段階と、
前記第1の通信エンティティにより複数回、現在のそれぞれの前記プログレッシブカウントを含むカウントシーケンスメッセージを前記第2の通信エンティティに送信する段階と、
前記第2の通信エンティティにより少なくとも1回、前記カウントシーケンスメッセージを受信する段階と、
前記構成更新点において、前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより前記アクティブ構成を使用する段階とを備える、方法。
【請求項12】
前記通信システムの第1の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記レシーバからの前記複数のシステム構成パラメータの変更のOLR要求は、前記レシーバの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記通信システムの第2の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記トランスミッタからの前記複数のシステム構成パラメータの変更のOLR要求は、前記トランスミッタの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにリンクする、少なくとも1つの通信チャネルにおける少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更をモニタリングする段階と、
前記第2の通信エンティティにより、前記少なくとも1つのチャネル特性に対する前記複数の変更に応じて前記既存の構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築される、前記アクティブ構成を決定する段階と、
前記少なくとも1つの通信チャネルを介して、前記第2の通信エンティティから前記第1の通信エンティティへとOLR要求を送信する段階と更に備える、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記送信する段階は、前記アクティブ構成を反復的に送信する段階を有する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
複数のシステムパラメータのベースライン構成を使用して、少なくとも1つの通信チャネルを介して通信する、少なくとも第1の通信エンティティと第2の通信エンティティとの間で、通信システムの複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により同期を維持する前記通信システムであって、
それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの少なくとも1つの通信チャネル特性をモニタリングする前記第1の通信エンティティの通信チャネル状態モニタと、
前記通信チャネル状態モニタに結合された前記第1の通信エンティティの伝送パラメータコントローラとを備え、
前記伝送パラメータコントローラは、前記ベースライン構成自体を変更することなく、前記少なくとも1つの通信チャネル特性に対する少なくとも1つの変更に応じて、前記ベースライン構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築された、アクティブ構成を決定し、
前記第1の通信エンティティは、前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより、前記アクティブ構成を使用するべく、前記第2の通信エンティティに対する前記アクティブ構成の少なくとも一部を通信し、
前記伝送パラメータコントローラは、前記ベースライン構成に対する変更の必要を判断し、
前記ベースライン構成に対する前記変更が決定された場合、前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティは、更新されたベースライン構成をこれらの間で通信し、前記更新されたベースライン構成を使用する、通信システム。
【請求項17】
前記通信システムの第1の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記レシーバから生成されたOLR要求は、前記レシーバの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、請求項16に記載の通信システム。
【請求項18】
前記通信システムの第2の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記トランスミッタから生成されたOLR要求は、前記トランスミッタの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、請求項16または17に記載の通信システム。
【請求項19】
前記第2の通信エンティティは、
それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの少なくとも1つの通信チャネル特性をモニタリングする通信チャネル状態モニタと、
前記第2の通信エンティティの前記通信チャネル状態モニタに結合された伝送パラメータコントローラとを更に備え、
前記第2の通信エンティティの前記伝送パラメータコントローラは、前記少なくとも1つの通信チャネル特性に対する少なくとも1つの変更に応じて、前記ベースライン構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築された、アクティブ構成を判断し、
前記第2の通信エンティティは、前記第1の通信エンティティに対する前記アクティブ構成の少なくとも一部を更に通信する、請求項16〜18のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのチャネル特性は、それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの送信および受信パラメータに影響する前記少なくとも1つの通信チャネルの属性である、請求項16〜19のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのチャネル特性は、
信号対ノイズ比(SNR)、
遠端クロストーク(FEXT)レベル、
信号対ノイズと干渉の比(SNIR)、
信号対FEXT比、
前記少なくとも1つの通信チャネルの複数のノイズ特性、
転送機能に関連する複数の特性、
確認(ACK)/否認(NACK)表示、
前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティとの間の送信経路における複数の変更、
ブロックエラーレート(BLER)および
ビットエラーレート(BER)からなる一覧から選択される、請求項20に記載の通信システム。
【請求項22】
前記アクティブ構成に関する情報は、
サブキャリア当たりの一時的ビットロードテーブル(BLT)、
サブバンド当たりの一時的ビットロードBLT、
サブバンド当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
サブキャリア当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
複数の相対変化(デルタ)、
複数の微分変化、
複数の修正が前記アクティブ構成を構築するべく適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する、識別(ID)番号、
前記アクティブ構成が構築される数学上の関数、
前記アクティブ構成の実装に向かうカウントシーケンス、
少なくとも1つの修正から前記ベースライン構成への前記アクティブ構成をどのように構築するかを指定するアルゴリズム、
前記アクティブ構成を指定する少なくとも1つのデータベースエントリへのポインター、
前記ベースライン構成に対する完全な変更、
前記ベースライン構成に対する部分的変更、および
前記ベースライン構成に対する無変更からなる一覧から選択される、請求項16〜21のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項23】
前記トランスミッタは、構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを決定し、
前記ベースライン構成に対するアクティブ構成が、使用される、請求項17に記載の通信システム。
【請求項24】
前記複数のシステム構成パラメータは、
ビットロードテーブル(BLT)、
複数のゲインテーブル、
複数のフレーミングパラメータ、
データ伝送単位(DTU)の大きさ、
サブキャリア当たりのBLTおよび
サブキャリア当たりのゲインからなる一覧から選択される、請求項16〜23のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項25】
前記ベースライン構成に対する前記少なくとも1つの修正は、
複数の正の変更、
複数の負の変更、
複数の0の変更、
複数の微分変化、
前記修正を規定する数学式、
上限および
前記修正を規定するアルゴリズムからなる一覧から選択される、請求項16〜24のいずれか1項に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された技術は、デジタル通信の分野に関し、一般には、特に通信システムにおける同期を維持するロバストオンライン再構成(OLR)プロトコルに関する。
【0002】
デジタル加入者線(DSL)は、既存の普通の電話サービス(POTS)のインフラストラクチャの銅ワイヤ(ツイストペア、ループ)を介して通信する手段を提供するように設計された技術である。通常、そのようなインフラストラクチャは、加入者構内機器(CPE)ユニットとして知られたデバイスを使用する複数のエンドユーザ(すなわち、加入者としても知られる)に、データサービスを提供する少なくとも1つの分散地点(DP)を使用する中央局(central office、CO)を含む。超高速デジタル加入者線(VDSL)またはG.fast(加入者端末への速いアクセス)等のハイブリッド通信ネットワークのアーキテクチャは、光ファイバセグメントおよびDSL(もしくはG.fast)セグメントの使用を組み合わせ、後者は、既存の銅ワイヤインフラストラクチャを介してエンドポイントの加入者へと向かって、典型的には最後の数百メートルに渡って延在する。G.fastにおいて、通信機器は、DPに位置し、典型的には顧客(加入者)側に位置する複数の対応する通信機器(CPE、例えばモデム)を伴う通信ラインを介してリンクする。
【0003】
適切な動作のために、モデムは一般に、少なくともある程度、各伝送パラメータを変化する複数の通信ライン状態に適合されるように動作可能である。これらの伝送パラメータは、レシーバがトランスミッタから受信された複数の信号を正しくデコードできるように、双方の側に知られていなければならない。しかし、ループにおいて示される上昇したレベルの電子干渉の例等、一定の状況においては、データサービスに対するインタラプトを生じさせることなく、既存のシステム構成オンラインを変更する必要がある。これがオンライン再構成(OLR)として知られるものである。例えば、ビットスワップ、シームレスレート適応(SRA)、トランスミッタ開始ゲイン調整(transmitter initiated gain adjustment、TIGA)等、様々なタイプのOLRが知られている。
【0004】
OLRの他の様々な方法およびプロトコルが当技術分野において知られている。例えば、「On−Line Reconfiguration and Synchronization Protocol for Multi−Carrier DSL」と題するOksman等に対する米国特許出願公報第2006/0176942A1号は、通信システムのオンライン再構成(OLR)を実現するべく、複数のデータサブチャネルに一時的に割り当てられる同期フラッグとして、システム構成における変更の表示を提供する通信システムおよび方法を対象とする。システムは、プロバイダおよび加入者の複数のデジタル加入者線(DSL)モデムを使用し、これらは通信チャネルを介して接続され、複数の通信信号を送信および受信するように動作可能である。本システムにより実装される方法は、現在用いられているビットロードテーブル構成に基づいて、データ送信に用いられる複数のフリーサブチャネルを最初に識別する高速のOLR手順を使用する。これら複数のフリーサブチャネルは、同期フラッグを搬送するように、一時的に割り当てられ、同期フラッグは同様に、これらのサブチャネルを介して送信される。加入者DSLモデムは、同期フラッグを受信および検出し、次に来る複数のシンボルに新しいパラメータを適用する。同期フラッグが送信されるが、加入者DSLモデムで検出されない可能性のある状況を防止するべく、プロバイダDSLモデムは、加入者DSLモデムがサブチャネルを介して同期フラッグ確認を送信するまで再構成を遅らせ、これにより再構成は、プロバイダのDSLモデムと加入者DSLモデムとの間で同期されて行われる。
【0005】
Schelstraete等に対する「Systems and Methods for Retransmission with On−Line Reconfiguration」と題するPCT国際公報第WO2011/143101A1号は、DSLシステムにおけるオンライン再構成による再送信を実行するためのシステムおよび方法を対象とする。開示されるシステムは、トランスミッタおよびレシーバを含み、オンライン再構成を用いる再送信の方法が実装される1つのリンク再送信システムである。本方法によれば、データストリームは、フレーミング構成により最初にエンコードされて第1のフレームとなる。トランスミッタは、フレーミング構成のOLR要求をレシーバから受信する。要求に応答して、第1のフレームへのデータストリームのエンコードは、中断される。次に、トランスミッタは、トランスミッタが、第1のフレームへのデータストリームのエンコードの中断に対して開始する再送信期間中に、レシーバに送信された1または複数の第1のフレームを送信する再送信状態に入る。次に、トランスミッタはOLR要求の確認をレシーバに送信する。第2のフレームへのデータストリームのエンコードは、OLRと矛盾しない修正されたフレーミング構成に応じて再開される。トランスミッタは、再送信期間が満了すると、第2のフレームをレシーバに送信する。
【0006】
ここで、オンライン再構成によりレシーバとトランスミッタとの間での同期を可能にする、従来技術の方法の例を示し、一般に10と称する概略図である図1を参照する。図1における水平の向きは、レシーバ12、複数のレシーバOLR要求14、同期状態16、トランスミッタ18またはフレーム番号20のいずれかに関する情報を表す。フレーム番号20は、フレーム(フレームi、フレームi+1等)を識別および列挙し、フレームはトランスミッタ18とレシーバ12との間で伝達される、互いにグループ化された1組のデータシンボルである。図1における鉛直の向きは、進行する複数のフレームユニットの時間を表す。レシーバ12は、トランスミッタ18と通信可能に結合され、これらの双方は、双方間の構成の同期を必要とする。この目的のために、レシーバ12は、トランスミッタ18に複数のOLR要求14を送信し、OLR要求14は次に、トランスミッタ18により実装される。同期状態は、レシーバ12およびトランスミッタ18の双方が同一のビットロードテーブル等(BLT)、同一構成を使用する場合である。同期状態16は、レシーバ12とトランスミッタ18との間の同期状態を表す。
【0007】
図1のフレームiに示される初期状態において、レシーバ12およびトランスミッタ18の双方は、同一のビットロードテーブル構成(すなわち、「BLT0」と称する)を使用し、従って同期される。上流側(US)方向で、フレームi+1において、レシーバ12は、以前の構成(すなわちBLT0)から1ビット分均一に低減させた新しい構成にするべく、メッセージ22の形式のOLR要求をトランスミッタ18に送信するものと仮定されたい。トランスミッタ18は、OLRメッセージ22を受信し、フレームi+4で新しい構成(すなわち、−1ビット)を実装する。ここで、ノイズ状態が増大しているので、レシーバ12は、フレームi+7で実装されるべき、以前の構成から6ビット分均一に低減した新しい構成にするべくフレームi+5でトランスミッタ18に新しいOLRメッセージ24を送信するものと仮定されたい。しかし、この場合、このメッセージ(すなわち、OLRメッセージ24)は、意図される送り先(すなわち、トランスミッタ18)に到達しないものと仮定されたい。フレームi+7において、レシーバ12とトランスミッタ18との間には同期損失が存在する。双方が同一の構成を使用しないからである。更に、レシーバ12は、以前のBLTから2ビット分、更に均一に低減させるべく、フレームi+8で新しいOLRメッセージ26をトランスミッタに送信するものと仮定し、このメッセージはトランスミッタ18により首尾よく受信されるものと更に仮定されたい。フレームi+10で、レシーバ12は、新しい構成(すなわち9ビットを引いた)を実装するが、トランスミッタは、異なる新しい構成(すなわち、3ビットを引いた)を実装し、それによりトランスミッタ18とレシーバ12との間の長期的同期損失をもたらす。複数のOLR要求は、前述の(すなわち、過去の「ヒストリカルな」)OLR要求を首尾よく受信および実装したとの仮定に基づいているので、トランスミッタ18が複数のOLRメッセージのうち1つ(例えば、OLRメッセージ24)を受信できなかった場合を考慮して、その次に受信された複数のOLRメッセージ(例えば、OLRメッセージ26)は、レシーバとトランスミッタとの間の構成の不一致をもたらす複数のエラーを累積し、従って同期損失をもたらす。
【0008】
代替的な従来技術の複数のアプローチは、キャリア周波数当たりの絶対的ビットロードテーブルを明示的に伝達することがある。一般に、これらのアプローチは緩慢に反応する(すなわち、図1に説明されるアプローチと比較して)。一般に、より大きな量の情報を伝達する必要があるからである。これらのアプローチは、双方の側(例えば、トランスミッタおよびレシーバ)が新たに通信された構成を同時に実装することを確実にするべく、確認ベースのプロトコルを必要とする。
【発明の概要】
【0009】
開示された技術の目的は、複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により同期を維持し、ならびに通信システム内で互いに通信する複数の通信エンティティ間でこれらのシステム構成パラメータの実装を同期する複数の方法を実装する新規な通信システムを提供することである。従って、開示された技術の一態様によれば、複数のシステムパラメータの基準構成を使用する少なくとも第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティを有する通信システムにおいて、複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により、構成同期を維持するための方法が提供される。本方法は、第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティにリンクする少なくとも1つの通信チャネルの少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更をモニタリングする段階と、第1の通信エンティティにより、少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更に応じて基準構成に対する複数の修正に基づいて構築された、更新済みの構成を決定する段階と、少なくとも1つの通信チャネルを介して第1の通信エンティティから第2の通信エンティティへとOLR要求を送信する段階と、第2の通信エンティティによりOLR要求を受信する段階と、第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティにより、更新された構成を使用する段階とを備える。
【0010】
また、開示された技術の別の態様によれば、複数のシステム構成パラメータの既存の構成を使用する第1の通信エンティティと第2の通信エンティティとの間に、通信システムにおけるオンライン再構成(OLR)による複数のシステム構成パラメータの実装の整合的同期のための方法が提供される。本方法は、第1の通信エンティティにより、既存の構成に対して更新された構成が使用される構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを決定する段階と、第1の通信エンティティにより、第2の通信エンティティにカウントシーケンスメッセージを少なくとも1回送信する段階と、第2の通信エンティティによりカウントシーケンスメッセージを少なくとも1回受信する段階と、構成更新点で、第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティにより更新された構成を使用する段階とを備える。カウントシーケンスメッセージは、現在の各プログレッシブカウントを含む。構成更新点は、当該第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティの双方に知られた基準点に関連する。
【0011】
従って、開示された技術の別の実施形態によれば、複数のシステムパラメータの基準構成を使用する、少なくとも1つの通信チャネルを介して通信する少なくとも第1の通信エンティティと、第2の通信エンティティとの間で、通信システムの複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)による同期を維持する通信システムが提供される。通信システムは、通信チャネル状態モニタと、伝送パラメータコントローラとを備える。第1の通信エンティティの伝送パラメータコントローラは、通信チャネル状態モニタと結合される。第1の通信エンティティの通信チャネル状態モニタは、それぞれの少なくとも1つの通信チャネルの少なくとも1つの通信チャネル特性をモニタリングする。伝送パラメータコントローラは、当該少なくとも1つの通信チャネル特性に対する少なくとも1つの変更に応じて、当該基準構成に対する複数の修正に基づいて構築された更新された構成を決定し、第1の通信エンティティは、第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティにより更新された構成を使用いるように、第2の通信エンティティに対して更新された構成の少なくとも一部において通信する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
開示された技術は、以下の詳細な説明を図面と併せて読めば、より完全に理解されるであろう。
図1】オンライン再構成によりレシーバとトランスミッタとの間の同期を可能にする従来技術の方法の一例を示す概略図である。
図2】開示された技術の一実施形態により構築され、動作可能な通信システムの単純化した一般的概観を図示する概略ブロック図である。
図3】開示された技術により構築され、動作可能な基準構成に関連するシステム構成パラメータに対する複数の一時的変更を図示する概略図である。
図4】開示された技術により構築され、動作可能な図2の通信システムにおける複数の通信エンティティ間のシステム構成同期を維持する基準構成に関連する複数の一時的構成を使用する方法を示す概略図である。
図5】開示された技術の別の態様により構築され、動作可能な構成変更シーケンスの一例を図示する概略図である。
図6】開示された技術により構築され、動作可能な一時的構成変更シーケンスと共に、ベースライン構成変更のシーケンスの一例を図示する概略図である。
図7】開示された技術によい構築され、動作可能な、関連し、適用されるベースライン構成に一時的構成変更がバウンドされる、一時的構成変更と併せてベースライン構成変更の一例を図示する概略図である。
図8】開示された技術の一態様により構築され、動作可能な通信システムにおけるシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により構成同期を維持する方法の概略ブロック図である。
図9】開示された技術の別の態様により構築され、動作可能な通信システムにおいて、オンライン再構成(OLR)による複数のシステム構成パラメータの実装の時間同期のための方法の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示された技術は、システム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により同期を維持し、並びに通信システムにおいて互いに通信する複数の通信エンティティ間でこれらのシステム構成パラメータの実装を同期する複数の方法を実装する通信システムを提供することにより、従来技術の欠点を克服する。一般に、システムは、少なくとも1つの通信チャネルもしくは媒体を介して通信可能に結合された少なくとも2つの通信エンティティ(例えば、トランスミッタおよびレシーバ)を含む。具体的には、開示された技術の原理は、G.fast(加入者端末への速いアクセス)におけるような複数のデジタル加入者線(DSL)通信システムに実装され、通信システムの複数のトランスミッタとレシーバとの間で通信されるデータは、離散マルチトーン(DMT)変調により変調される。
【0014】
開示された技術は、2つの主要な態様を伴う。第1の主要な態様は、複数のシステム構成パラメータのOLRにより構成同期を維持するロバストプロトコルを伴う。プロトコルは、ベースライン(基準)構成およびアクティブ(更新)構成の組み合せを容易にし、ベースライン構成は、通信チャネルの現行のチャネル特性における緩慢な複数の変更を正確に追跡してこれに対する調整を行うように動作可能である。一方アクティブな構成は、より速い応答時間を有するように動作可能であるが、一般にあまり正確ではない(すなわち、ベースライン構成と比較して)。複数の一時的構成変更は、ベースライン構成の上部(例えば全体)に(例えば段階的に)適用される。例えば、一時的構成変更は、トランスミッタにより開始されてもよく、ベースライン構成全体で複数の変更(例えば、正のデルタ、負のデルタ)を含み得る。ベースライン構成は、一時的構成を構築する基準として保持される(すなわち、用いられ、例えばメモリデバイスに格納される)。一時的(更新された)構成は、送信経路における複数の変更(すなわち、構成変更を要求するプリコーダ更新)を含み得るチャネル特性に対して検出された変更に応じて、ベースライン(基準)構成に対する複数の修正に基づいて構築される。ベースライン構成は、送信信号をエンコードするため等には用いられない。通常、一時的構成のみがエンコード目的に用いられる。特別な場合は、ベースライン構成に対して(すなわち、関連して)調整が必要とされないときである。この場合、一時的構成は、ベースライン構成と同一であり、一時的構成は、複数の送信信号をエンコードすることになおも用いられる。
【0015】
第2の主要な態様は、たとえ複数の再構成メッセージが喪失したとしても少なくとも一対の相互通信する通信エンティティ間で複数のシステム構成パラメータを実装する整合的同期を容易にするロバストOLRプロトコルを提供する。具体的には、システム構成パラメータの既存の構成を使用する第1の通信エンティティと第2の通信エンティティとの間で、複数のシステム構成パラメータを実装する整合的同期のための方法が提供される。本方法によれば、第1の通信エンティティは、構成更新点(例えば、更新時間)の発生に向かってプログレッシブカウント(例えば、カウントダウン、カウトアップ)を指定するカウントシーケンス(例えば、タイミングシーケンス)を決定し、既存の構成に対する更新された構成が使用される。第1の通信エンティティは、現在の各プログレッシブカウント(例えば、カウントの現在値)を含むカウントシーケンスメッセージを少なくとも1回(すなわち、典型的には複数回)提供(例えば、送信)し、当該カウントシーケンスメッセージは、更新された構成を含み得る。第2の通信エンティティは、少なくとも1回(すなわち、典型的には複数回、従ってロバスト性である)、カウントシーケンスメッセージ(ならびに更新された構成)を受信するように動作可能である。次いで、第1および第2の通信エンティティの双方が構成更新点において更新された構成を使用するように動作可能である。開示された技術のこの態様によれば、一般に、OLR要求を開始する2つの主要な動作モードが存在する。トランスミッタにより開始されるOLR要求およびレシーバにより開始されるOLR要求である。
【0016】
レシーバにより開始されるOLRにおいては、レシーバは、新しい構成変更に関する情報を含む、電子メッセージ(すなわち、「OLRメッセージ」)の形式のOLR要求を開始して構築する。OLRの各要求には、一意な識別番号が割り当てられている。OLR要求のレシーバ(すなわち、トランスミッタ、「レスポンダ」)は、更新された構成が有効になる予期される地点(例えば、時間における)を示すことにより、レシーバにより開始されるOLR要求に応答する。レスポンダによるこの応答は、応答メッセージの形式である。レスポンダによりこの応答メッセージは、構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンス(例えば、タイミングシーケンス)を含み、既存の構成に対する更新された構成が使用される(すなわち、双方の当事者により同時に)。レソーバにより開始されるOLRにおいて、OLR要求は、このレシーバにより用いられる複数のシステム構成パラメータにおける変更に関連する。トランスミッタは、(通常)以下の送信における送信をエンコードすることに用いられる構成番号を示す。1または複数の以前のOLRメッセージが喪失された場合に、OLRのイニシエータは、この構成番号を用いて同期を回復することができる。
【0017】
トランスミッタにより開始されるOLRにおいて、トランスミッタは、レシーバに通信されるOLRメッセージの形式でOLR要求を開始して構築する。この場合、一意な識別番号は使用されないことがある。このモードによれば、更新された構成変更(例えば設定)に関する情報を含むOLRメッセージは、レシーバに送信される各フレームを介して(繰り返して、反復的に)通信され得る。更に、トランスミッタのOLRメッセージは、新しい構成が有効(すなわち、双方の当事者により同時に)になる、(例えば、時間における)予期される地点を指定する。
【0018】
従って、要約すれば、開示された技術は、2つの主要な態様を伴う。第1の態様は、互いに通信するこれらの通信エンティティが同一のシステム構成パラメータ(すなわち、パラメータの「コヒーレントな画像」)を保持するように、OLRにより通信システムの複数の通信エンティティ(例えば、トランスミッタおよびレシーバ)間の同期を保持する段階を伴う。例示的なシステム構成パラメータとしては、ビットロードテーブル(BLT)(すなわち、サブキャリア当たり、サブバンド当たりの)、順方向誤り訂正(FEC)パラメータ、ゲインテーブル(サブキャリア当たり、サブバンド当たりの)、フレーミングパラメータ、データ伝送単位(DTU)の大きさ等が挙げられる。
【0019】
第2の態様は、OLRにより複数の新しい、または修正済みのシステム構成パラメータの実装(例えば、時間)を同期する方法を含み、複数の新しい、または修正済みのシステム構成パラメータは、通信システムにおいて互いに通信する複数の通信エンティティ(例えば、トランスミッタとレシーバとの間)により同期的に使用される。
【0020】
単数または複数で表現される「通信ライン」および「通信チャネル」という用語は、詳細な説明および特許請求の範囲を通して入れ換え可能であり、複数の通信信号(例えば、伝達情報、ノイズ等)が典型的には、通信システムの複数のトランスミッタとレシーバ(もしくはトランシーバ)との間で伝達される媒体(例えば、電気的導体、光導体、気体等)を指す。
【0021】
詳細な説明および特許請求の範囲の全体を通して本明細書において用いられる「サブチャネル」、「サブキャリア」および「サブキャリア周波数」という用語は、入れ換え可能であり、主要な通信キャリア信号を介して搬送される基本的な信号成分を指す。具体的には、DMT変調において、主要チャネル(または「チャネル」)の帯域幅(BW)は、典型的には、各サブチャネルの中心周波数がサブキャリアとして示されるように、複数のサブチャネル(周波数範囲)に分割される。複数のビットは、チャネルを介して送信用サブキャリアにおいて変調される。
【0022】
詳細な説明および特許請求の範囲全体を通して本明細書において用いられる「通信パラメータ」という用語は、それが参照する通信システムの設計、構造、動作もしくは機能に関連する任意の変数、特性、属性もしくは性質を指す。詳細な説明および特許請求の範囲全体を通して本明細書において用いられる「通信エンティティ」をいう用語は、通信システムのレシーバ、トランスミッタ、またはトランシーバのいずれか1つを指す。開示された技術の1つの(第1の)動作モードによれば、第1の通信エンティティはレシーバとして動作可能であり、第2の通信エンティティはトランスミッタとして動作可能である。この動作モードにおいて、OLR要求は、レシーバの複数のシステム構成パラメータにおける変更に関連する。開示された技術の別の(第2の)動作モードによれば、第1の通信エンティティはトランスミッタとして動作可能であり、第2の通信エンティティはレシーバとして動作可能である。この動作モードにおいて、OLR要求は、トランスミッタにより用いられる複数のシステム構成パラメータにおける変更に関連する。これらの異なる動作モードが以下の記載において説明されどの通信エンティティがレシーバであり、どれがトランスミッタであるかの識別は、関連する文脈により明らかとなる。通常、通信エンティティは、その操作性がトランスミッタおよびレシーバの双方の機能を含むトランシーバを実装することに留意されたい。通信エンティティは、通信サービスのプロバイダ(例えば、中央局(CO)、分散地点(DP)等)、ならびに通信システム(例えば、DSL)の通信サービスの加入者(例えば、加入者構内機器(CPE))を指し得る。
【0023】
詳細な説明および特許請求の範囲全体を通して本明細書において用いられる「一時的構成」および「アクティブな構成」という用語は入れ換え可能であり、システムパラメータの基準(ベースライン)構成に関連するシステムパラメータの特定の変更済みまたは更新された構成を指す。詳細な説明、図面および特許請求の範囲全体を通してスラッシュ記号「/」(「前向きのスラッシュ」とも称する)を用いる場合、スラッシュ記号の反対側(すなわち、右および左)の2つの選択肢の間における相互に排他的な選択を示す。例えば、「A/B」は、A(Bではない)またはB(Aではない)のいずれかの選択肢を示すことになろう。
【0024】
開示された技術の一実施形態により構築され、動作可能な通信システムの単純化した一般的概観を図示する概略ブロック図であり、一般に100と称する図2をここで参照する。通信システム100は、分散地点(DP)102を含み、これは、ケーブル結束具108を通る複数のN通信チャネル106、106,...,106を介して複数のN加入者構内機器(CPE)ユニット104、104,...,104に結合される等、である。大文字のNは、正の整数(インデックス)を表す。DP102は、複数のNのトランシーバ(XCVR)110、110,...,110、複数のNのライン状態モニタ(LCM)112、112,...,112、伝送パラメータコントローラ114および通信・管理プロセッサ116を含む。NのCPEユニット104、104,...,104の各々は、以下のコンポーネント(CPEユニット104、または同様に各インデックス番号2〜NのCPEユニット104〜104について示される)を含む:トランシーバ118、伝送パラメータコントローラ118、ライン状態モニタ120、伝送パラメータコントローラ122および通信・管理プロセッサ124。DP102の各トランシーバ110、110,...,110は、CPEユニット104、104,...,104の各トランシーバに結合される。具体的には、DP102のトランシーバ110は、CPEユニット104のトランシーバ118と結合され、トランシーバ110は、CPEユニット104のトランシーバ118(図示せず)と結合される。簡潔にするべく、DP102、ならびにそのトランシーバ110、110,...,110は、本明細書において命名の規則により「DP側」と称する。逆に、別途示されない限り、CPEユニット104、104,...,104は、本明細書において命名の規則により「CPE側」、「CPE」または単に「加入者」もしくは複数の「加入者」と称する。
【0025】
DP側で、トランシーバ110、110,...,110は各々、ライン状態モニタ112、112,...,112にそれぞれ結合され、これら全ては同様に、伝送パラメータコントローラ114に結合される。伝送パラメータコントローラ114は、通信・管理プロセッサ116に更に結合される。CPE側で(CPEユニット104を参照して)、トランシーバ118は、ライン状態モニタ120と結合され、これは同様に、伝送パラメータコントローラ122と結合される。伝送パラメータコントローラ122は、通信・管理プロセッサ124に更に結合される。各CPEの通信・管理プロセッサは、各管理チャネルを介してDP102の通信・管理プロセッサ116に結合される。具体的には、管理チャネル126は、CPE104の通信・管理プロセッサ124をDP102の通信・管理プロセッサ116と通信可能に結合させる。同様に管理チャネル126(図示せず)は、CPE104の通信・管理プロセッサ124(図示せず)をDP102の通信・管理プロセッサ116等と通信可能に連結する等、である。管理チャネル126,...126(126のみが示される)は、ロジカルインバンド制御チャネルであり(すなわち、物理チャネルではない)、主要な(ペイロード)データ通信される各物理通信ライン106,...,106を介して制御データを通信する(すなわち、管理チャネル126等が図2の点線により表される)。システム100の代替的具現化(図示せず)において、通信・管理プロセッサ116および伝送パラメータコントローラ114は、同一の機能を実行するように動作可能な1つのエンティティ(例えば、処理ユニット)により実装される。同様に、各CPEユニット(例えば104)の通信・管理プロセッサ(例えば124)および伝送パラメータコントローラ(例えば122)は、同一の機能を実行するように動作可能な(図示せず)1つのエンティティ(例えば、処理ユニット)により実装される。更に代替的に、DP102は、通信・管理プロセッサ(116)および伝送パラメータコントローラ114の機能を実行するように動作可能なNの通信チャネル106,...,106の各々の専用処理ユニット(図示せず)を含む。
【0026】
通信システム100の初期化中に、DP102およびCPE104、104,...,104は、共通の動作モードを確立(「ネゴシエート」)するべく、様々な通信パラメータおよび機能(すなわち「機能リスト」の形式)に関する情報を交換する。具体的には、図2を参照すると、通信・管理プロセッサ124および通信・管理プロセッサ116は、合意された標準プロトコル(例えば、ITU−T G.994.1)に応じて様々な通信パラメータの値を確立するように、管理チャネル126を介して通信する。典型的な複数の通信パラメータとしては、上流側と下流側(US/DS)の比、初期変調パラメータ、クロック、およびシンボルの位置合わせが挙げられる。その後、初期化中に初期ビットロードテーブル(BLT)(サブキャリア当たり)、初期ゲイン調整テーブル、パワースペクトル密度(PSD)マスク、データ伝送単位(DTU)の大きさ、接合ラインおよび既にアクティブなラインのクロストークキャンセルパラメータ等、追加の複数のパラメータが設定される。通信パラメータは、チャネル特性を含み得、これは当該チャネルの送信および受信パラメータ(例えば、信号対ノイズ比(SNR)、遠端クロストーク(FEXT)レベル、信号対ノイズと干渉の比(SNIR)、信号とFEXTの比、転送機能に関連する特性、チャネルのノイズ特性(例えば、スタティックノイズ、過渡ノイズ)、ブロックエラーレート(BLER)、ビットエラーレート(BER)、トランスミッタとレシーバとの間の送信経路における変更(すなわち、複数の構成変更を必要とするプリコーダ更新)等)に影響する、通信チャネル(または複数のチャネル)の属性である。一般に、CPE側の通信・管理プロセッサ124、124(以後示されない),...,124ならびに通信・管理プロセッサ116は、その間で制御データを伝達するべく使用される複数のロジカルチャネル(例えば、ロバストな管理チャネル(RMC)、組み込み動作チャネル(EOC))、ならびに通信プロトコルを管理するように動作可能である。複数の初期通信パラメータが決定される処理は、「初期化」と称する。通常、初期化は、ハンドシェイクおよびディスカバリフェーズ、トレーニングフェーズ、ならびにチャネル評価および分析フェーズ等、複数のフェーズまたは段階を伴う。初期化が完了すると、通信システムは、データ交換フェーズに入り、具体的には、ベアラーデータ(例えばペイロードデータ)が送信される場合には、これが「ショータイム」として典型的に知られる。
【0027】
通信システム100がショータイムに入ると、ベースライン構成(すなわち、「初期設定」、「基準構成」)が設定され、その後全体的または部分的に更新される。フレームベアラーデータ(または単に「データ」)は、DP102のトランシーバ110、110,...,110と、各通信ライン106、106,...,106を介してCPEユニット104、104,...,104の各トランシーバ118、118,...,118との間で通信される。例えば、下流側(ダウンリック)方向に、DP、すなわちDP102のトランシーバ110は、データを加入者、すなわち、CPEユニット104のトランシーバ118に送信する。同様に、トランシーバ110は、トランシーバ118等にデータを送信する。逆に、上流側(アップリンク)方向に、複数のCPEユニットのトランシーバは、DPの各トランシーバにデータを送信する。例えば、上流側方向に、トランシーバ118は、トランシーバ110にデータを送信し、同様にこれは、他の相互接続対のトランシーバ110および118、110および118等に適用される。
【0028】
開示された技術は、変動チャネル特性(「チャネル条件」)に応答して複数のシステム構成パラメータの再構成を可能にするべく、OLRを実行するように動作可能であるが、通信チャネルを介して伝播するデータの送信および受信に対する複数の潜在的インタラプトを最小化し、通信リンクの再トレーニングを可能な限り回避する。通常、チャネル特性は、アーキテクチャに与えられる時間、環境、およびDSL通信システムの操作性において異なる。複数の変動チャネル特性の例としては、SNRに対する変更(例えば、結束具における過渡クロストークノイズの増加、無線周波数干渉(RFI)等による)、複数の信号が通信チャネルを介して伝播する特定のサブキャリア周波数の送信電力に対する変更(例えば、低減)、利用可能な帯域幅に対する変更、確認(ACK)および/または否認(NACK)の表示(例えばメッセージ)等が挙げられる。
【0029】
応答してOLRが実行されることを要求する変動チャネル特性を考慮すると、通信リンクの損失を防止し、ならびにロバスト性を保持して当該リンクの性能品質を保証するべく、複数のトランスミッタとレシーバとの間で複数のシステム構成パラメータに対する変更を同期することは重要である。しかし、ビットスワップ等、知られたOLRの複数のタイプのうちいくつかは、特に、チャネル特性に対する突然の複数の変更を管理する特定の状況において適していない。例えば、ビットスワップにおいて、低下したSNRマージンを示す複数のサブキャリアからの複数のビット(b)およびゲイン(g)(すなわち、送信パワー)は、過剰なSNRマージンを示す複数のサブキャリアに再度割り当てられる。次に、適切なビットスワップパラメータbおよびgは、レシーバとトランスミッタとの間で通信および同期される。つまり、数十〜数百ミリ秒の期間に生じ得る処理である。しかし、ノイズレベルが新しい構成の実装よりも急速に変化する場合、通信リンクが新しい構成に適合される前にエラーが生じ得る。
【0030】
開示された技術は、例えば、低下したチャネル状態の結果としてOLRに対する以前の要求が喪失された(すなわち、誤通信により)場合であっても基準構成に対する(典型的な複数の)修正のうち少なくとも1つに基づいて構築される複数のシステム構成パラメータの更新された構成を決定することにより、突然変動するチャネル特性に適合させるための高速レートOLRの方法を提供する。従って、開示された技術は、本質的に緩慢な確認ベースのプロトコルを必要とすることなく、通信システムのレシーバとトランスミッタとの間で複数のシステム構成パラメータの構成同期を維持する態様を提供する。具体的には、レシーバ(例えば、DP102)は一般に、要求を開始したトランスミッタからOLR要求を受信すると、確認(ACK)メッセージを送信する必要がない。互いに通信する複数の異なる通信エンティティ間で複数のシステム構成パラメータの同期を保持するには、これらのエンティティの各々がOLR手順の直後を含めて、調整して(例えば、同期して)複数の同一のシステム構成パラメータを継続して使用することが重要であり、そうでなければ同期が喪失される可能性がある。具体的には、DP102およびCPEユニット104、104,...,104は、BLT、FECパラメータ等の一致する複数のシステム構成パラメータを同時に使用しなければならない。
【0031】
通常、初期設定は、初期化フェーズの一部として設定される(例えば、DP側またはCPE側により提供、ダウンロード、送信等される)。この初期設定は、OLRの要求事項に応答して全体的、部分的に変更され、または全く変更されない様々なシステム構成パラメータの値を含む。システム100は、場合により、複数のシステム構成パラメータにおけるOLRの開始を必要とする複数のチャネル特性に対する変更をモニタリングして検出するように動作可能である。具体的には、DP102のライン状態モニタ112、112,...,112は、各通信ライン106、106,...,106において現行のチャネル特性に対する複数の変更を(例えばリアルタイムで)モニタリングおよび検出するように動作可能である。同様に、複数のCPEのライン状態モニタ120、120,...,120は各々、各通信ライン106、106,...,106における現行のチャネル特性に対する複数の変更を(例えばリアルタイムで)(互いに)独立してモニタリングおよび検出するように動作可能である。DP側で、DP102の伝送パラメータコントローラ114は、チャネル特性の複数の検出された変更がOLRを必要とするか否かを判断するように動作可能である。一般に、OLRの要求は、DP側またはCPE側のいずれかにより開始され、それらのうち特定のものが本明細書の以下において、詳述される。逆に、CPE側において、伝送パラメータコントローラ122、112,...,112は各々、各通信チャネル106、106,...,106のチャネル特性に対して検出された複数の変更がOLRに必要とされるか否かを独立して判断するように動作可能である。例えば、CPE104とDP102との間で複数のシステム構成パラメータのOLRが必要とされるが、他のトランシーバとトランシーバの複数の対(例えば、CPE104およびDP102)には必要とされないと判断され得る。(トランシーバとトランシーバの対は、一対のトランシーバとして規定され、1つはDP側(例えば110)、もう1つはCPE側(例えば118)であり、これらは通信チャネル(例えば106)を介してリンクされている。そのような複数の対は、同一のインデックスNにより識別される。)これは、数学上の関数(もしくは式)、アルゴリズム等に応じて、現在のチャネル特性の複数の値を規格、最適な複数の値の予め定められたテーブル、複数の値の範囲の予め定められたテーブル、複数の値の閾値の予め定められたテーブルと比較することにより、(基準の少なくとも一部または組み合せ)により判断され得る。
【0032】
システム100により使用されるベースライン(基準)システム構成は、BWの複数のサブバンドへの分割/パーティション、サブキャリア当たりのBLT、サブキャリア当たりのゲイン等の基準の少なくとも一部に従って規定され得る。システム100の一時的(もしくはアクティブで更新された)システム構成は、サブキャリアもしくはサブバンド当たりのBLTに対する複数の変更、サブキャリアもしくはサブバンド当たりのゲインに対する複数の変更、更新のタイプ(デルタ(例えば、インクリメント、デクリメント)、シーリング(上限)、フロア(下限)、相対変化、微分変化等)、アクティブな(一時的)構成を構築するべく、修正が適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する識別(ID)番号、アクティブな構成が構築される数学上の関数(もしくは式)、アクティブな構成の実装に対する地点(時間)を示すカウントシーケンス、ベースライン構成に対する少なくとも1つの修正からアクティブな構成をどのように構築するかを指定するアルゴリズム、アクティブな構成を指定する、少なくとも1つのデータベースエントリ(すなわち、DP102およびCPEにより格納された)に対するポインター等の基準の少なくとも一部に従って規定され得る。
【0033】
簡潔にする目的で、我々は、複数のシステム構成パラメータに対する可能な複数の変更を3つの所要なカテゴリに分類し得る。
1.完全な変更(すなわち、全てのシステム構成パラメータ値には、新しい値が直ちに割り当てられる)。
2.部分的変更(すなわち、複数のシステム構成パラメータ値のうち一部のみが新しい値に変更されるが、他の複数のパラメータは、その既存の値を保持する(変更されない))。
3.一時的変更(すなわち、ベースライン構成を変更することなく、既存の構成の上部に適用される複数の変更)。このタイプの変更は、基準構成に関連して適用される。そのような一時的変更の例としては、微分変化またはデルタ(正/負)が挙げられる。一時的変更の別の例としては、ビットロードシーリング等が挙げられる。
【0034】
複数の一時的変更の使用における原理を示すべく、ここで、開示された技術により構築され、動作可能な基準構成に関連するシステム構成パラメータに対する複数の一時的変更を図示する概略図である図3を更に参照する。図3は、システム100(図2)により使用される「ベースライン構成」とも称する基準構成を図示する。また、この基準構成は、初期設定であってもよい。一般性を失うことなく、開示された技術を明らかにするべく図3において選択されたシステム構成パラメータは、ビットロードテーブル(BLT)であり、これはサブキャリア当たり(すなわち、そのインデックスは、i、i+1、i+2等の形式の整数である)に搬送されるビット数を規定する。あるいは、サブキャリアi当たりのゲイン(g)等、開示された技術の複数の原理を説明するべく、他の複数のシステム構成パラメータが選択され得る。サブキャリアi当たりのゲインパラメータ(g)は、ベースライン構成により指定され得る。このゲイン設定(典型的にはデシベル(dB)単位)(サブキャリア当たり)に対する一時的修正は、アクティブな構成を構築するべく指定され得る。図3の左の最上のグラフは、サブキャリアインデックスの(ステップ)関数としてのBLTを表すベースライン(BL)構成152を図示する。基準またはベースラインBLTは、太字の線154により表される。通信ライン106,...,106における少なくとも1つにおいて、レシーバ端からトランスミッタにより受信される、レシーバ側の複数のSNRレベルまたはNACK(not acknowledged、否認)表示等、モニタリングされる変更チャネル特性により、通信システム100の複数の通信エンティティのうち1つは、(例えば、図2の各トランシーバを介して)OLRメッセージの形式のOLR要求156(図3)を、(例えば、通信チャネル106を介して)通信可能に結合される別の通信エンティティに送信するものと仮定されたい。一般性を失うことなく、OLRメッセージをDP側に送信することにより、CPE側(図2)がOLRの要求を開始するものと仮定されたい。レシーバにより開始される複数のOLR要求については、OLR要求156は通常、識別(ID)(構成)番号、OLR要求に関する構成データ(すなわち、ベースライン基準構成(例えば、BLT、ゲイン等)に対する複数の変更もしくは調整を規定する)、ならびに構成変更の現在の数を指定する(例えばカウントする)構成変更カウントカウンタ(CCCC)を含む。通常、CCCCは、構成識別子として用いられる。トランスミッタにより開始されるOLR要求については、ID構成番号は、任意選択で用いられる(通常は用いられない)。具体的には、ライン状態モニタ120は、通信チャネル106のチャネル特性における複数の変更をモニタリングし、この情報を伝送パラメータコントローラ122に伝達し、伝送パラメータコントローラ122は同様に、ベースライン構成に関連する一時的構成を決定する。この一時的構成に関する情報は、通信・管理プロセッサ124に伝達され、通信・管理プロセッサ124は同様に、ロジカル管理チャネル126を介して、DP102の通信・管理プロセッサ116に情報を送信する。図3の右の最上のグラフは、一時的BLTを有する一時的構成158がベースラインBLT154に関連してプロットされた点線160により表されることを示す。テーブル形式で表される一時的BLT162は、サブキャリアインデックスi当たりのベースラインBLTに対する複数の一時的変更を更に例示する。例えば、サブキャリアインデックスi+4に対しては、一時的ビットロードは、ベースラインビットロードに関連する2ビット分低減する。レシーバにより開始されるOLRにおいて、構成IDおよび更新された構成(すなわち、ベースライン構成に対する複数のパラメータ変更を含む)は、トランスミッタに送信され、トランスミッタは同様に、CCCCを送信し、カウンタが0に到達すると、更新された構成を実装する。OLR要求156を受信するトランスミッタは、確認メッセージ(図示せず)を、OLR要求を開始するレシーバに送信することにより返信し得る。そのような確認メッセージは、構成更新点を含み得、これは、新しい構成がいつ実装されるかを示す時間的基準(例えば、特定のロジックフレームにおける)およびCCCCの現在値であり得る。トランスミッタにより開始されるOLRにおおいて、構成IDおよび更新された構成は、レシーバに送信される。トランスミッタは、カウントシーケンス(例えば、カウントダウンタイミングシーケンス)を開始し、構成更新点(例えば特定の数、例えばカウントダウンタイミングシーケンスの0)における更新された構成を実装する。通常、レシーバにより開始されるOLRにおいて、OLR要求を受信するトランスミッタは、確認メッセージにより(すなわち、複数の管理チャネルにより)レシーバ側に返信するように動作可能である。あるいは、トランスミッタ側がOLR要求を開始すると、OLR要求を受信するCPEは通常、確認メッセージ(例えばNACK)によりDP側に返信しない場合がある。DP102により一時的BLT162を首尾よく受信した後、この新しい(更新された)構成は、本明細書の以下においてより詳細に説明される同期方法に従って、CPE104およびDP102の双方により更新構成時間(すなわち、双方に知られた)において使用される。本質的に、同期方法は、複数のシステム構成パラメータの実装の時間的同期が通信システムのトランシーバとレシーバのエンティティの間でOLRにより実行されることを可能にする。一般に、複数のトランスミッタおよびレシーバ(すなわち、複数の通信エンティティ)が互いに有効に通信するには、これらのエンティティの間でシステム構成の同期を維持することが重要である。
【0035】
図3を再び参照し、ここではチャネル特性に対する更なる複数の変更により、CPE104は、OLRメッセージの形式でOLR164の別の要求を(例えば、CPE104により)DP102に送信するが、このメッセージは、168でいずれにせよ喪失された(すなわち、破損し、理解不能であり、または例えば、低下したSNRの故にDP102により部分的に/完全に受信されなかった)と仮定されたい。DP102は、OLRメッセージが受信されなかったことを示す否定的な確認メッセージ(NACK)(図示せず)を送信することにより、応答し得る。また、(トランスミッタがメッセージを送信したことを知らないので)DP102がNACKメッセージを送信しない可能性もある。あるいは、CPE104は、OLR要求および別の異なる要求170を再度送信してもよい。ともかく、新しい一時的構成は、後続の複数のフレームまたはスーパーフレームにおいて受信および実装され得、それにより同期の損失が存在する場合に、同期を復元する。図3の左下のグラフは、点線174(ベースラインBLT154に関連してプロットされる)により表される一時的BLTおよびテーブル形式の対応するBLT166(図3の右下)を有する一時的構成172を示す。
【0036】
構成全体を送信する標準的OLR(例えば、従来技術)要求と比較すると、開示された技術は、一般に、メッセージデータの大きさにより小さい負担を搬送し、従って新しい複数のOLR要求の一般により速い受信および実装を可能にする、ベースライン(基準)構成に関連する一時的構成を使用する。従って、複数のOLR要求のより速い実装時間は、現行の複数のチャネル条件が複数の標準的OLR要求を受信および実装するのに必要とされる時間よりも急速に変更され得る状況において特に有益であり得る。
【0037】
更に、複数の先行技術の標準的OLR要求は一般に、同期において損失を生じさせる傾向がより強い。具体的には、複数の先行技術によれば、標準的OLR要求は、更新されたBLTに適用される後続の複数のOLR要求による更新されたBLTをもたらす。以下の単純な例を考慮されたい。所与の「元の」BLTを仮定し、複数の配置を1ビット分均一に低減させる初期要求があるものと仮定されたい。更に、2ビット分ビットロードを更にに低減させる別の要求がある場合、より新しいBLTが派生されるものと仮定されたい。従って、この最後の新しいBLTは、元のBLTよりも合計で3ビット分低くなる。これらの標準的OLRメッセージのうち1もしくは複数の損失もしくは誤解釈が存在する場合は、同期の恒久的な喪失をもたらし得る。BLTに対する新しい複数の変更は以前の構成に依存し、これに関連するからである。これは、鎖に裂け目を有するのにほぼ類似し、各新構成(「リング」)が以前の構成(「隣接するリング」)を知っていることに依存する。
【0038】
対照的に、開示された技術は、ベースライン(基準)構成に関連する複数の一時的変更を使用する。ベースライン構成を修正する複数の標準的OLR要求を使用する上記の所与の従来技術の例と比較し、開示された技術の一時的構成は、ベースライン構成に対する複数の一時的構成を構築する。開示された技術を更に明らかにするべく、ここで、開示された技術により構築され、一般に200と称し、動作可能な図2の通信システムにおける複数の通信エンティティ間のシステム構成同期を維持する基準構成に関連する複数の一時的構成を使用する方法を示す概略図である、図4を更に参照する。
【0039】
図4における水平の向きは、レシーバ202、複数のレシーバOLR要求204、同期状態206、トランスミッタ208またはフレーム番号210のいずれかに関する情報を表す。フレーム番号210は、フレーム(フレームi、フレームi+1等)を識別および列挙する。図4における鉛直の向きは、進行する複数のフレームユニットの時間を表す。一般に、1つの動作モードに従って、レシーバ202はCPEユニット104,...,104のうちの1つであり得、トランスミッタはDP102であり得ることに留意されたい。別の動作モードにおいて、レシーバ202はDP102であり、トランスミッタ208はCPEユニット104,...,104のうちの1つである。いずれかの動作モードにより、レシーバ202およびトランスミッタ208は、その間で通信されるデータ通信を可能にし、ならびに同期された複数の構成を確立する目的で互いに通信可能に結合される。少なくとも後者の目的のために、レシーバ202は、トランスミッタ208に複数のOLR要求204を送信し、OLR要求204は次に、トランスミッタ208により実装される。同期状態は、レシーバ202およびトランスミッタ208の双方が同一のビットロードテーブル等(BLT)、同一構成の複数のシステムシステムパラメータを使用する場合である。同期状態206は、レシーバ202とトランスミッタ208との間の同期状態を表す。単純化する目的で、BLTパラメータは、例としては、図4の説明に関連して選択される。しかし、開示された技術は、特定のシステム構成パラメータに制限されない。他の複数のパラメータが適用され得るからである(例えば、サブキャリアインデックス当たりのゲイン、g等)。
【0040】
図4のフレームiにおいて、レシーバ202およびトランスミッタ208の双方が同一の基準(例えばベースライン)構成(すなわち、「BLT0」と称する)を使用し、従って同期される所与の初期状態があるものと考えられたい。換言すれば、基準構成は、少なくとも初期化時にレシーバ202およびトランスミッタ208に知らされる。上流側(US)方向で、フレームi+1において、レシーバ202は、簡潔にするため、基準構成(すなわちBLT0)から1ビット分均一に低減させた新しい構成にするべく、メッセージ212の形式のOLR要求をトランスミッタ208に送信するものと仮定されたい。トランスミッタ208は、OLRメッセージ212を受信し、フレームi+4において、基準構成に関連する新しい一時的構成(TC)(すなわち、新しいTC。BLT1=BLT0−1ビット)を実装する。OLRメッセージ212は、トランスミッタ208により首尾よく受信され、フレームi+4において首尾よく実装されている。ここで、チャネル特性に対する複数の変更(例えば、ノイズ状態を増大させる)のために、レシーバ202はフレームi+7で実装されるべく、基準構成から7ビット分を均一に低減させた新しい一時的構成のフレームi+5において、トランスミッタ208に新しいOLRメッセージ214を送信するが、このOLRメッセージは、喪失もしくは誤解釈され、意図された受信者(すなわち、トランスミッタ208)に正しく到達しなかったものと仮定されたい。実際には、フレームi+7において、レシーバ202とトランスミッタ208との間に同期の一時的喪失が存在する。同一の構成を使用しないからである。開示された技術は、フレームi+10において実装される基準構成(すなわちBLT0)に関連して要求されたOLR構成(すなわち、BLT3=BLT0−9ビット)に関する情報を含む新しい一時的OLRメッセージ216を首尾よく供給すれば、同期のこの一時的喪失から回復する態様を提供する。フレームi+10において、レシーバ202およびトランスミッタは、新しい一時的構成(BLT3)を実装し、それにより同期を回復する。従って、上記の例から、標準的OLRメッセージ(例えば、従来技術)の損失または誤解釈は、同期の恒久的な喪失をもたらし得るが、複数の一時的変更については、次のOLRメッセージが受信されれば同期は回復されることが注目され得る。複数の一時的OLR要求は、トランスミッタおよびレシーバの双方に最初から知られた、既知の基準構成に関連し、そのいずれかが喪失された可能性があるとの前述のシーケンスのOLR要求を知っているかに依存しないので、構成同期エラーの累積または伝播は実質的に存在しない。更に、(例えば、図3および4を参照して)記載された前述の複数の例は、DP102およびCPE104,...,104の各々に入れ換え可能に等しく適用されることに留意されたい。レシーバおよびトランスミッタの双方が適切な動作に同一のシステム構成の使用を必要とすることを考慮して、開示された技術は、DP側およびCPE側の双方で構成データベースを管理し、複数の実装構成変更を同期する複数のメカニズムを提供する。
【0041】
適用可能な場合(例えば、必要とされ、有効である等)、開示された技術は、ベースライン(基準)構成に対する複数の変更または修正を処理するように動作可能である。通常、ベースライン構成は、ショータイムに入るときの第1の設定であり、通常はその後、部分的に更新される。あるいは、通常はより稀であるが、ベースライン構成は完全に更新される。ベースライン構成は、DP側およびCPE側の双方で(例えば、メモリメカニズム、デバイスに)格納される。具体的には、CPE側の伝送パラメータコントローラ122,...,122(図示せず)およびDP側の伝送パラメータコントローラ114が、ベースライン構成を格納するように動作可能である。一般に、レシーバに格納されたベースライン構成とトランスミッタに格納されたものとの間の構成同期の損失は、その間の接続性の回復不能な損失をもたらし得る。そのような接続性の回復不能な損失を防止することを少なくとも試みるべく、開示された技術は、ベースライン(基準)構成の以下の複数のルールのうち少なくとも一部を使用し得、これらは、一時的(アクティブな)構成にも適用され得る。
1.ショータイムに入るときに用いられるシステム構成は、第1の(初期)ベースライン構成とみなされる。
2.ベースライン構成変更カウント(BCCC)は、レシーバ側およびトランスミッタ側の双方で維持される。BCCCは、レシーバとトランスミッタ側との間に第1のリンクが確立されたことを理由として生成された複数のベースライン構成の数をカウントする。
3.通常、ベースライン構成変更の要求は、レシーバにより開始される。(複数のベースライン構成変更の要求がトランスミッタにより開始される特別な場合が存在し得る。)
4.ベースライン更新イニシエータ(すなわち、ベースライン更新、例えばレシーバまたはトランスミッタを開始するもの)の複数のタグ(すなわち、ラベル、マーク)は、これらの変更を実装する構成が有することになるBCCC値を用いたベースライン構成変更である。例えば、ショータイムに入った後の第1のOLR要求は、BCCC=1でタグ付けされる。その後の要求は、BCCC=2等でタグ付けされる。
5.ベースライン構成の以前の変更要求が実装された後、レシーバは、ベースライン構成要求の新しい変更を開始する。
6.同一のBCCC値を処理する複数のOLRは同一とみなされる(すなわち、これは、トランスミッタが現在使用されているベースライン構成の値に等しいか、またはこれよりも低いBCCCを伴った複数の要求を破棄し得ることを意味する)。
7.新しい、または修正された複数のベースライン構成は、ロジカルフレームの境界で変更される(例えば、置換される)。通常、複数の変更は、開始するスーパーフレーム(すなわち、このルールの特別な場合)に対して同期される。
8.トランスミッタにより使用されるベースライン構成のBCCCに関する情報は、それぞれのロバストな管理チャネルメッセージ(RMC)に含まれ得る。
【0042】
上記の1組のルール(1〜8)は、同期喪失の場合においても同期を容易にして維持する、ある程度のロバスト性をもたらす(すなわち、同期が壊れたOLRメッセージを受信すると回復され得るからである)。
【0043】
また、開示された技術の別の態様によれば、通信システム100のトランスミッタとレシーバの対の間(例えば、DP104とCPE104)のOLRにより、複数のシステム構成パラメータを実装する時間同期のための方法が提供される。本方法は、開示された技術のこの態様によれば、複数の実装基準(ベースライン)構成を実装する時間同期、ならびに複数の一時的構成(すなわち、各基準構成に関連する)を実装する時間同期を可能にする。新しいベースライン構成を実装する時間的な同期は、通信システム100のエラーフリーな動作を可能するのに重要である。ITU−T G993.2規格は、通常は複数のフレーム毎に1回送信される同期フラッグ(同期シンボル)の反転に基づいた構成変更の同期を指定する。同期フラッグは、構成変更の正確なタイミングに対する表示として用いられる。構成変更がいつ行われるべきかを示すマーカとして反転された同期フラッグを用いることは、少なくとも3つの基本的欠点を有する。
1)ベクタリングに用いられるウォルシュ・アダマール(WH)シーケンスとの互換性の問題。本質的に、WHシーケンスは、例えば、通信チャネル応答の測定中に他の複数の通信リンクを介して送信される複数の同期シンボルの影響を除去することを可能するべく、使用される。各通信リンクが相互間の直交性を維持するべく異なるシーケンスを使用するように、WHシーケンスは、予め知られた複数の直交シーケンスのうち1つに従って、典型的には同期シンボルを+1または−1で掛けることにより実装される。
2)表示(マーカ)が喪失されると、通信リンク(すなわち、トランスミッタとレシーバとの間の)は、次の同期が検証され得るまで(通常は後の完全なスーパーフレーム)同期を喪失する。
3)実装済みの変更は、粒状性においてスーパーフレームに限定されている(すなわち、スーパーフレームを構成する個別のフレームではなく)。
【0044】
開示された技術は、既知の同期フラッグ方法、すなわち2つのタイプの構成変更である、ベースライン(基準構成)変更および一時的構成変更を実装する時間的同期のRMCベースのメカニズムに対する代替形態を提案する。まず、ベースライン構成変更を実装する時間同期が説明される。時間的同期状態は、通信システムのレシーバおよびトランスミッタが同時に、同一のシステム構成パラメータを使用するときの状態である。ベースライン(基準)構成変更を実装する時間的同期は、開始する通信エンティティ(すなわち、レシーバもしくはトランスミッタ)、およびタイミングシーケンスを含むOLRメッセージ(RMCを介する)による送信を伴う。このタイミングシーケンスは、開始する通信エンティティおよび送り先の通信エンティティ(すなわち、OLRメッセージが意図される通信エンティティ)の双方に知られた時間に依存する基準に関して、更新されたベースライン構成時間であるべきときまで残存する時間を示す。具体的には、タイミングシーケンスは、ベースライン構成変更が行われる瞬間まで残存する時間をプログレッシブに示すカウントダウンタイミングシーケンスであってもよい。新しいベースライン構成の実装が行われる場合に確立する時間的な同期は、任意の特定の時間(すなわち、フレーム番号)における同期の現在の状態の表示を提供するべく、少なくとも2つのフィールドでエンコードされるインジケータを使用する。2つのそのようなインジケータは、NBCC(CBCC)を実装する新しいベースライン構成カウント(NBCC)およびカウントダウンである。OLRメッセージは、トランスミッタにより送信される自律的OLRコマンドであってもよい。あるいは、OLRメッセージは、レシーバによりすでに送信された受信済みのOLRメッセージ(要求)に対するOLR応答であってもよい。本方法の具体的事柄を更に詳述するべく、ここで、開示された技術の別の態様により構築され、動作可能であり、一般に230と称する構成変更シーケンスの一例を図示する概略図である、図5を更に参照する。図5は、レシーバ(側)232、トランスミッタ(側)234、およびフレーム番号236を示す。フレーム番号236は、フレーム(フレームi、フレームi+1等)を識別および列挙する。図5における鉛直の向きは、進行する複数のフレームユニットの時間を表す。一般に、1つの動作モードに従って、レシーバ232はCPEユニット104,...,104のうちの1つであり得、トランスミッタ234はDP102であり得ることに留意されたい。別の動作モードにおいて、レシーバ232はDP102であり、トランスミッタ234はCPEユニット104,...,104のうちの1つである。いずれかの動作モードにより、レシーバ側232およびトランスミッタ側234は、その間で通信されるデータ通信を可能にし、ならびに同期された複数の構成を確立する目的で互いに通信可能に結合される。トランスミッタ側234は、236、236i+1,...,および236i+8により示される前フレームにおけるインジケータNBCCおよびCBCCの値を維持する。CBCCフィールドは、新しいベースライン構成の実装に対するカウントダウンを維持する。CBCCは、第1のフレームが新しい構成を実装していることを示す地点で0の値(すなわち、CBCC=0)に到達するまで、各フレームの初期値からプログレッシブにデクリメントされる。0の値は本質的に、レシーバ側232およびトランスミッタ側234の双方に知られた基準点である。基準点は、他の合意された数(例えば、カウントアップカウントシーケンスの100、−20等)であってもよい。新しい構成変更カウントが開始されるまで、CBCCの値は0に等しい。図5を参照すると、フレームi〜i+2において、NBCC値はnに等しく、CBCC値は0に等しい。構成変更シーケンスの別の実装によれば、2つのベースライン構成インジケータである、現在(現状の)フレームにおいて現在用いられるベースライン構成を示すあるインジケータ(例えばカウンタ)、および有効になる次のシステム構成を示す別のインジケータ(例えば、カウンタ)が使用される(図示せず)。
【0045】
レシーバ側232が開始して、RMCを介して上流側(US)部分のフレームi+2にある間にトランスミッタにより受信されたフレームi+2(すなわち、下流側(DS)にある間)のOLR要求238i+2を伝達するものと仮定されたい。OLR要求238i+2は、ベースライン(基準)構成に対する変更を指定し、ベースライン構成カウント(BBC)により提案された新しい構成変更をn+1として指定する。図5は、トランスミッタ側234がフレームi+7において変更を実装することを選択してフレームi+4の3フレーム前のカウントダウンシーケンスを開始したことに応答して、レシーバ側232がフレームi+2における構成変更を開始することを示す。CBCCは、フレームi+7において、新しいベースライン構成が第1の実装である場合の値である0の値に等しくなるまで、各フレームにおける初期カウントダウン値(すなわち3)からプログレッシブにデクリメントされる。CBCC値が0である場合(例えば、フレームi+8において、構成変更の後に)、NBCCの値は、現在使用されているベースライン構成(すなわち、特定のRMCメッセージの)である。0より大きいCBCCについては、NBCCは、使用されるべき次の構成の変更カウントである(すなわち、カウントダウンシーケンスが0の値に到達すると有効になる構成)。通常、あまり速く行われない複数の変更(例えば、全フレームにおける)については、NBCC値は、曖昧さの問題なく、(例えば、8または16のカウント後に)リセットまたはループされ得る。更に、以前の変更が実装された後に新しい構成変更が要求され得る本明細書の上記のルール5を使用することにより、NBCCのあまり重要でないビット(1sb)のみを送信することで十分な場合がある。ともかく、反転同期フラッグ法と比較して、開示された技術の方法は、以下の複数の利点を含む。
1)レシーバにとり、複数のKメッセージ(すなわち、図5に示される我々の例において、Kがカウントダウンシーケンス長、K=4を表す)のうち1つを正しくデコードし、時間における新しい構成を変更できるだけでは十分ではない。反転同期フラッグ法の場合、基本的に1つの機会しかない。
2)特定の場合に、例えば、1組のカウントダウンRMCメッセージ全体を含む複数のフレームにより搬送されたデータを消去し得る有害なノイズ衝撃が存在する場合がある。そのような場合に、新しい構成に対する変更は、最初期の壊れていないRMCメッセージの受信時にレシーバにより識別され得る。
3)本質的に、ベクタリングトレーニングシーケンスとの知られた互換性の問題は存在しない。
【0046】
第2のタイプの構成変更は、複数の一時的変更を伴う。ここで、複数の一時的変更を実装する時間的な同期が開示された技術の複数の原理により説明される。複数のシステム構成パラメータに対する一時的変更は、ベースライン構成自体を変更することなく、ベースライン構成の上部(すなわち上に)に適用される変更である。複数の一時的変更の例は、ベースライン構成において規定される1組のビットロードテーブルから特定のビットロードテーブルを選択することを伴う。別の例は、ベースライン構成において保持されるビットロードテーブルに対する複数の修正を指定する(現在用いられている)構成に対する、差分速度の低減を規定するOLRメッセージ(図示せず)を伴う。この場合、例えば新しい一時的変更メッセージが到着し、新しい速度低減を規定する場合、この新しい速度低減は、元のベースライン(基準)構成に適用されるが、以前のOLRメッセージに基づいて派生した構成テーブルには適用されない。複数の一時的構成変更の別の例は、知られたベースライン構成に関連する決定済みの差分またはデルタ値を送信することを伴う。複数の一時的メッセージは、「高速の」OLR要求とより低速の「標準的」OLRとの間の中間の有効性を有する複雑な同期メカニズムを提供することを必要とせずに、突然の事態(例えば、突然のノイズ変更)に応答して構成を変更する態様として用いられ得る。
【0047】
複数の一時的変更を実装する時間的な同期は、図5と共に説明されるものと類似した方式を使用し得る。一時的変更を実装する時間的な同期は、開始する通信エンティティ(すなわち、レシーバもしくはトランスミッタ)により、更新構成地点(例えば、更新構成時間)が生じるべきときまで残存するカウント(例えば、残存する時間)を示す、カウントシーケンス(例えば、タイミングシーケンス)を含すRMCを介して、OLRメッセージを送信することを伴う。更新構成地点は、基準点に関連して規定される。基準点は、2つの態様を伴う。一態様によれば、基準点は、開始する通信エンティティおよび送り先の通信エンティティ(すなわち、OLRメッセージが意図される通信エンティティ)の双方に知られた他の複数のエンティティ(例えば、指定時間、時間の標準、現在のフレーム時間、基準クロック等の時間に依存する基準)を基準点と比較し、または説明する基準として用いられるインジケータである。別の態様によれば、基準点は、評価もしくは特定の機能が(例えば、カウントダウンシーケンスにおける数の0、カウントアップシーケンスにおける数の100等、構成更新点の発生に向かってカウントするカウントダウンシーケンスにおける値に関して)実行される基礎を形成する基準である。1つの動作モードによれば、カウントシーケンスは時間シーケンスである(すなわち、時間に依存する)。具体的には、タイミングシーケンスは、一時的構成変更が行われるときまで残存する時間をプログレッシブに示すカウントダウンタイミングシーケンスであってもよい。一時的構成変更の実装に対するそのようなカウントダウンタイミングシーケンスは、本明細書において「CDTC」として示される。あるいは、他の複数のタイミングシーケンスが使用されてもよい。例えば、更新された一時的構成が有効になる時間に依存する基準点に関連する現在の時間をプログレッシブにカウントし、または示すべく、カウトアップタイミングシーケンスが用いられてもよい。一般に、第1および第2の通信エンティティの双方に知られた基準点は、カウントシーケンス(例えば、タイミングシーケンス)における地点(例えば、基準時間)を指定し得る。例えば、カウントダウンシーケンス(例えば、6、5、4、3、2、1、0)において、特定の数(すなわち基準点)は、構成更新が実装される合意された地点(例えば0の数)を示し得る。
【0048】
通常、一時的構成変更のOLR要求は、完全なベースライン構成変更のOLR要求と比較して、より少ない情報を含む。典型的には、一時的構成変更のOLR要求としては、サブバンド(すなわち、サブバンドは、1もしくは複数のサブキャリアのグループである)当たりのビットロードテーブルに対する複数の変更、サブバンド当たりのゲインに対する複数の変更、複数の修正が一時的構成を構築するべく適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する識別番号、指定された複数のパラメータ、CDTC、ID(構成)番号等を用いて、複数の一時的構成がベースライン構成から生成され得る数学上の関数等の情報が挙げられ得る。一時的構成がベースライン構成と同一である特別な場合には、ベースライン構成に調整(変更、修正)が適用され、一時的構成を構築することはない。一時的構成変更に関連する情報を伝達するべく、様々な技術が使用され得る。まず、必要とされる一時的構成変更に関する情報が、(例えば、テーブルインデックスを含むテーブル選択の形式で)RMCを介するOLR要求により、明示的に伝達され得る。第2に、「より大きな」サイズの複数のOLRメッセージの場合(すなわち、前述の技術と比較して)、構成インデックスは、OLRレシーバにより開始される要求に含まれる。この構成インデックスは、トランスミッタおよびレシーバの双方に知られ、これらの将来の実装が構成更新点、例えば0等の数に向かってプログレッシブにカウントダウン(もしくはカウントアップ)され、0の数を選択すると、トランスミッタおよびレシーバの双方に知られた基準点として機能する特定のシステム構成を参照する識別子である。
【0049】
複数の一時的構成変更が開示された技術によりどのように実装されるかを更に明らかにするべく、ここで、開示された技術により構築され、動作可能であり、一般に250と称する一時的構成変更シーケンスと共に、ベースライン構成変更のシーケンスの一例を図示する概略図である図6を更に参照する。図5と同様に、図6は、レシーバ(側)252、トランスミッタ(側)254、およびフレーム番号256を図示する。フレーム番号256は、フレーム(フレームi、フレームi+1等)を識別および列挙する。図6の鉛直の向きは、進行する複数のフレームユニットの時間(すなわち、図の上部から下部への)を表す。1つの動作モードによれば、一般に、レシーバ側252が複数のCPEユニット104,...,104のうち1つを表し得、トランスミッタ側254がDP102を表し得ることに留意されたい。別の動作モードにおいて、レシーバ側252はDP102を表し、トランスミッタ254はCPEユニット104,...,104のうちの1つを表す。いずれかの動作モードにより、レシーバ側252およびトランスミッタ側254は、その間で通信されるデータ通信を可能にし、ならびに新しいベースラインおよび一時的なシステム構成を実装する同期された複数の構成および時間付き同期を確立する目的で互いに通信可能に結合される。トランスミッタ側254は、262、262i+1,...,262i+8により示される全てのフレームにおけるインジケータNBCC、CBCC、BLT(ビットロードテーブルインジケータ)およびCDTCの値を維持する。レシーバ側252も、インジケータNBCC、CBCC、BLTおよびCDTC(図示せず)の値を維持する。図5に関連して本明細書の上記に述べられたように、CBCCフィールドは、新しいベースライン構成の実装に対するカウントダウンを維持する。NBCCフィールドは、ベースライン構成カウントの状態を維持する。CDTCフィールドは、一時的構成変更に対する実装までの複数のカウントシーケンス値(例えば、カウントダウン)を維持する。カウントにおいて基準点(例えば0の値、CDTC=0)に到達し、その地点で一時的構成がトランスミッタ側252およびレシーバ側254の双方により同時に実装されるまで、CDTC値は、カウント値を初期値(例えば3)からプログレッシブに変更する(例えば、カウントダウンする)。ともかく、OLR要求のレシーバは、元のOLR要求(すなわち、OLRイニシエータ)のトランスミッタに送信される修正されたOLR要求(メッセージ。図示せず)を形成するべく、OLR要求に関する情報を更に修正し得ることに留意されたい。
【0050】
図6に図示される以下の例は、一時的構成変更においてベースライン構成変更がどのように実行され得るかを示す。図6は、開示された技術を明らかにする目的のための例として機能する。他の複数の態様は、システム構成パラメータの複数の変更の同期された実装を実行するべく、開示された技術の複数の原理に従って使用され得る。レシーバ側252は、RMCを介して、フレームi+2の上流部分にある間にトランスミッタによって受信される、フレームi+2におけるベースライン構成変更のOLR要求258i+2を開始および伝達するものと仮定されたい。ベースライン構成変更のOLR要求258i+2は、ベースライン(基準)構成に対する変更を指定し、ベースライン構成カウント(BBC)により提案された新しい構成変更をn+1として指定する。OLR要求258i+2を受信するトランスミッタ側254は、フレームi+8のベースライン構成変更を実装することを選択し、フレームi+5の3フレーム前のカウントダウンシーケンスを開始する。フレームi+8において0の値に等しくなるまで、CBCCは、各フレームで初期カウントダウン値(すなわち3)からプログレッシブにデクリメントされ、これにより、新しいベースライン構成はトランスミッタ側254およびレシーバ側252の双方により同時に実装される。
【0051】
一時的構成変更の要求に関して、レシーバ側252は、RMCを介してフレームi+3の上流部分にある間にトランスミッタ側254により受信されるフレームi+3のBLTに対する一時的構成変更のOLR要求260i+3を開始および伝達するものと仮定されたい。一時的構成変更のOLR要求260i+3は、ベースラインに関連するシステム構成パラメータ(基準)構成(BLT=0)に対する変更を指定する。具体的には、一時的構成変更は、最初に用いられるものからのBLTに対する変更、すなわちBLT=0からBLT=1への変更を指定する(新たに提案した)。(フレームi+3の)トランスミッタ側254によりOLR要求260i+3を受信した後、フレームi+4において、i+4からの2つのフレームに一時的構成を実装するべく(すなわち、BLT=1)、プログレッシブカウントシーケンス(例えばカウントダウン)が開始され、従ってフレームi+6となる。図6において、これは、CDTCをフレームi+4のCDTC=2からフレームi+6のCDTC=0へとプログレッシブに減少させることにより表される。図6は、2つの並列なシステム構成変更が同時に実行されるが、別個の複数のカウントシーケンス(例えば、カウントダウン信号、カウントダウン指定子)を用いることにより、ベースラインまたは一時的であっても、各フレームで用いられる正確な構成についての曖昧さを排除することを示す。図6は、複数の一時的構成変更の範囲をベースライン構成の範囲に限定することを選択する単純化された例を示す。一時的構成変更が以前のベースライン構成および提案された新しいベースライン構成に適用されることが必要とされる場合に、そのような複数の一時的構成変更は通常、提案された新しいベースライン構成要求(図示せず)と共に送信され得る。
【0052】
ここで、開示された技術によい構築され、動作可能な、関連し、適用されるベースライン構成に一時的構成変更がバウンドされる、一時的構成変更と併せてベースライン構成変更の一例を図示し、一般に280と称する概略図である図7を更に参照する。図7は、レシーバ(側)282、トランスミッタ(側)284、およびフレーム番号286を図示する。フレーム番号286は、フレーム(フレームi、フレームi+1等)を識別および列挙する。図7の鉛直の向きは、進行する複数のフレームユニットの時間(すなわち、図の上部から下部への)を表す。1つの動作モードによれば、一般に、レシーバ側282が複数のCPEユニット104,...,104のうち1つを表し得、トランスミッタ側284がDP102を表し得ることに留意される。別の動作モードにおいて、レシーバ側282はDP102を表し、トランスミッタ284はCPEユニット104,...,104のうちの1つを表す。いずれかの動作モードにより、レシーバ側282およびトランスミッタ側284は、その間で通信されるデータ通信を可能にし、ならびに新しいベースラインおよび一時的なシステム構成を実装する同期された複数の構成および時間付き同期を確立する目的で互いに通信可能に結合される。トランスミッタ側284は、292、292i+1,...,292i+10により示される全てのフレームにおけるインジケータNBCC、CBCC、BLT(ビットロードテーブルインジケータ)およびCDTCの値を維持する。レシーバ側282も、インジケータNBCC、CBCC、BLTおよびCDTC(図示せず)の値を維持する。図5および6に関連して本明細書の上記に述べられたように、CBCCフィールドは、新しいベースライン構成の実装に対するカウントダウンを維持する。NBCCフィールドは、ベースライン構成カウントの状態を維持する。CDTCフィールドは、一時的構成変更に対する実装までの複数のカウントシーケンス値(例えば、カウントダウン)を維持する。
【0053】
図7は、ベースライン(基準)構成変更が一時的構成変更と並列に実行される一例を図示し、一時的変更は、関連し、適用されるベースライン構成に一時的構成変更がバウンドされる(すなわち、構成変更の文脈で制限される)。具体的には、レシーバ側282は、RMCを介して、フレームi+2の上流部分にある間にトランスミッタによって受信される、フレームi+2におけるベースライン構成変更のOLR要求288i+2を開始および伝達するものと仮定されたい。ベースライン構成変更のOLR要求288i+2は、ベースライン(基準)構成に対する変更を指定し、ベースライン構成カウント(BBC)により提案された新しい構成変更をn+1として指定する。OLR要求288i+2を受信するトランスミッタ側284は、フレームi+10の新しいベースライン構成変更を実装することを選択し、フレームi+7の3フレーム前のカウントダウンシーケンスを開始する。フレームi+10において0の値に等しくなるまで、CBCCは、各フレームで初期カウントダウン値(すなわち3)からプログレッシブにデクリメントされ、これにより、新しいベースライン構成はトランスミッタ側284およびレシーバ側282の双方により同時に実装される。同時に、レシーバ側252は、RMCを介してフレームi+3の上流部分にある間にトランスミッタ側284により受信されるフレームi+3のBLTに対する一時的構成変更のOLR要求290i+3を開始および伝達する。一時的構成変更のOLR要求290i+3は、ベースラインに関連するシステム構成パラメータ(基準)構成(BLT=0)に対する変更を指定する。具体的には、一時的構成変更は、最初に用いられるものからのBLTに対する変更、すなわちBLT=0からBLT=1への変更を指定する(新たに提案した)。(フレームi+3の)トランスミッタ側284によりOLR要求290i+3を受信した後、フレームi+4において、i+4からの2つのフレームに一時的構成を実装するべく(すなわち、BLT=1)、プログレッシブカウントシーケンス(例えばカウントダウン)が開始され、従ってフレームi+6となる。図7において、これは、CDTCをフレームi+4のCDTC=2からフレームi+6のCDTC=0へとプログレッシブに減少させることにより表される。図7は、BLT=1の一時的構成変更が実装され、フレームi+6で開始することを示す。次のフレームi+7において、CDTCは、フレームi+10で予定されたベースライン構成変更と同期されるようにカウントダウンを再開する。フレームi+10において、新しいベースライン構成は有効になり、これにより一時的構成はベースライン構成に等しくなる。複数の一時的構成変更の任意の新しい要求は、現在のベースライン構成に関連し、これに適用されることになる。この点で、一時的構成は、現在使用されるベースライン構成により制限またはバウンドされる。新たに提案された一時的構成に対する複数の変更は、現在のベースライン構成に関連するからである。ともかく、ベースライン構成変更および一時的構成変更の双方は、レシーバ側282とトランスミッタ側284との間に同期して(すなわち、特定の基準点に)実装され、それにより複数のシステム構成パラメータの同期のメンテナンスを容易にする。
【0054】
ここで、開示された技術の一態様により構築され、動作可能な通信システムにおけるシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により構成同期を維持する方法の概略ブロック図であり、一般に300と称する図8を参照する。方法300は、手順302で開始する。手順302において、通信システムは、複数のシステム構成パラメータの基準構成を使用してショータイムに入る。図2および3を参照すると、通信システム100(図2)は、実線154により示される基準(ベースライン)構成152(図3)を使用してショータイムに入る(ショータイムに入るとき、一時的構成はベースライン構成と同一であってもよい)。
【0055】
手順304において、通信システムの第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティをリンクさせる少なくとも1つの通信チャネルにおける少なくとも1つのチャネル特性が、変更についてモニタリングされる。図2および3を参照すると、通信チャネル106,...,106の変更チャネル特性(SNR、BLER、複数のプリコーダ更新が構成変更を必要とする送信経路における変更等)は、(インデックスにより)CPE側のライン状態モニタ120,...,120またはDP側のライン状態モニタ112,...,112により、各々モニタリングされる(図2)。通信チャネル106,...,106は、CPE側(すなわち、118,...,118)の複数のトランシーバ対を、DP側の各トランシーバ(すなわち110,...,110)をリンクさせる。
【0056】
手順306において、モニタリングされたチャネル特性に対する少なくとも1つの変更がオンライン再構成(OLR)により複数のシステム構成パラメータに対する変更を必要とするか否かを判断する。判断の結果が否定的である場合、手順306は、手順304に戻される(すなわち、ループされる)。判断の結果が肯定的である場合、手順308は、手順308に戻される。図2を参照すると、CPE側の伝送パラメータコントローラ122,...,122は、各通信チャネル106,...,106について、モニタリングされたチャネル特性がOLRにより複数のシステム構成パラメータ(例えば、BLT、ゲインパラメータ等)に対する変更を必要とするか否かを判断する。あるいは、DP側で、伝送パラメータコントローラ114は、各通信チャネル106,...,106について、モニタリングされたチャネル特性が(OLRにより)複数のシステム構成パラメータに対する変更を必要とするか否かを判断する。手順306がトランスミッタにより受信されるACKまたはNACKメッセージのモニタリングを含み得ることに留意されたい。
【0057】
あるいは、システム100(図2)の別の動作モード(図示せず)によれば、一時的(アクティブな)構成は、複数のシステム構成パラメータに対する変更が必要とされない場合でも、構成状態メッセージを用いることにより、継続的に(すなわち反復的に)送信される(すなわち、レシーバまたはトランスミッタによって)。有利なことに、この動作モードは、複数のシステム構成パラメータのメンテナンスおよび同期におけるロバスト性を増大させることに使用され得る。そのような場合、複数の一時的構成パラメータのそのような構成状態メッセージは、使用される特定の構成ID、ならびに複数の構成パラメータの少なくとも一部の明確な列挙を含み得る。
【0058】
手順308において、少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更に応じて、基準(ベースライン)構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築された、更新された構成が第1の通信エンティティにより決定される。図2および3を参照すると、各通信チャネル106,...,106を介して通信された複数の信号(図示せず)のチャネル特性(例えばSNR)のうち少なくとも1つに対する、モニタリングおよび検出された変更に従って、第1の通信エンティティがCPEユニット104,...,104図2)のうちの1つである場合、各伝送パラメータコントローラ122,...,122は、基準構成154に対する更新された構成(例えば、点線160およびテーブル162により示される図3の一時的構成158)を決定する。あるいは、第1の通信エンティティがDP102である場合、各通信チャネル106,...,106を介して通信された複数の信号のチャネル特性のうち少なくとも1つに対してモニタリングおよび検出された変更に応じて、伝送パラメータコントローラ114は、基準構成154に対する更新された構成(例えば、点線160および162により示される図3の一時的構成158)を決定する。
【0059】
手順310において、オンライン再構成(OLR)要求は、複数の通信チャネルのうち少なくとも1つを介して第1の通信エンティティから第2の通信エンティティへと送信される。図2および3を参照すると、OLR要求156(図3)は、各通信チャネル106,...,106を介して、第1の通信エンティティ(図1、例えば、CPEユニット104,...,104のうち少なくとも1つにおける)により第2の通信エンティティ(例えば、DP102)に送信される。あるいは、第1の通信エンティティがDP102である場合、OLR要求156(図3)は、それから第2の通信エンティティ、すなわちCPEユニット104,...,104のうち少なくとも1つに、各通信チャネル106,...,106を介して送信される。
【0060】
手順312において、OLR要求は、第2の通信エンティティにより受信される。図2および3を参照すると、前述の手順310において、第1の通信エンティティがCPE側(すなわち、CPEユニット104,...,104のうち少なくとも1つ)である場合、OLR要求156(図3)は、DP102(図2)により受信される。前述の手順310において、第1の通信エンティティがDP側である場合、OLR要求156(図3)は、CPE側(すなわち、CPEユニット104,...,104のうち少なくとも1つ)により受信される。
【0061】
手順314において、更新された構成は、第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティにより使用される。図2および3を参照すると、点線160により具体的に示される更新された一時的構成158(図3)は、第1の通信エンティティ(図2、例えばCPE側もしくはDP側)および第2の通信エンティティ(図2、例えばDP側もしくはCPE側)により使用される。
【0062】
ここで、開示された技術の別の態様により構築され、動作可能な通信システムにおいて、オンライン再構成(OLR)による複数のシステム構成パラメータの実装の時間同期のための方法の概略ブロック図であり、一般に350と称する図9を参照する。方法350は、手順352で開始する。手順352において、通信システムは、複数のシステム構成パラメータの既存の構成を使用してショータイムに入る。図2および3を参照すると、通信システム100(図2)は、実線154により示される既存の構成152(図3)を使用してショータイムに入る。
【0063】
手順354において、既存の構成に対して更新された構成が使用される、構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスは、第1の通信エンティティにより判断される。構成更新点は、第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティの双方に知られた基準点に関連する。通常、手順354は、カウントシーケンスがタイミングシーケンスであり、プログレッシブカウントがカウントダウン(カウントアップ)時間カウントであり、構成更新点が構成更新時間であり、基準点が基準時間であるという意味で時間に依存する。図2および5を参照すると、少なくともRMCメッセージ236i+4、236i+5、236i+6および236i+7におけるフィールドCBCC(図5)により示されるカウントシーケンスは、既存の構成(すなわち、NBCC=n)に対する更新された構成(すなわち、フィールドNBCCにより示され、n+1の値を有する)が使用される、構成更新点(すなわち、図5においてフレームi+7)の発生に向かってプログレッシブカウント(すなわち、CBCC=3、CBCC=2、CBCC=1、およびCBCC=0)を指定する。これは、第1の通信エンティティ(例えば、典型的には、図5に図示されるトランスミッタ側234)により判断される。レシーバ側は、CPE側である(図2)。あるいは、レシーバ側は、DP側である(図2)。
【0064】
手順356において、現在の各プログレッシブカウントを含むカウントシーケンスメッセージは、第1の通信エンティティにより少なくとも1回、第2の通信エンティティに送信される。図2および5を参照すると、OLRメッセージ238i+2図5)は、第1の通信エンティティ(すなわち、CPEユニット104,...,104またはDP102のうちのいずれか1つ、図2)により少なくとも1回、第2の通信エンティティ(すなわち、DP102、またはCPEユニット104,...,104のいずれか1つに逆の順番で)に送信される。
【0065】
手順358において、カウントシーケンスメッセージは、第2の通信エンティティにより少なくとも1回、受信される。図2および5を参照すると、前述の手順356において詳述される第1の通信エンティティがCPEユニット104,...,104図2)のうちの1つである場合、第2の通信エンティティは、(CPEトランスミッタにより開始されたOLRの)OLR要求、またはプログレッシブカウント(図示せず)を含む(DPレシーバにより開始されたOLRの)OLR応答238i+2を受信するDP102である。前述の手順356において詳述された第1の通信エンティティがDP102(図2)である場合、第2の通信エンティティは、(DPトランスミッタにより開始されたOLRの)OLR要求238i+2または(CPEレシーバにより開始されたOLRの)OLR応答を受信するCPEユニット104,...,104のうち少なくとも1つである。
【0066】
手順360において、更新された構成は、更新構成地点で第1の通信エンティティおよび第2の構成エンティティにより使用される。図2および5を参照すると、OLR要求238i+2図5)により規定される更新された構成は、CPE側(図2)およびDP側(図2)によりフレームi+7において使用される。
【0067】
開示された技術は、本明細書の上記において具体的に示され、説明されたものに限定されないことが当業者には理解されるであろう。むしろ、開示された技術の範囲は、以下の特許請求の範囲のみにより規定される。
(項目1)
複数のシステムパラメータの基準構成を使用する、少なくとも第1の通信エンティティおよび第2の通信エンティティを有する通信システムにおいて、複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により構成同期を維持するための方法であって、
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにリンクする、少なくとも1つの通信チャネルにおける少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更をモニタリングする段階と、
前記第1の通信エンティティにより、前記少なくとも1つのチャネル特性に対する前記複数の変更に応じて前記基準構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築される、更新された構成を決定する段階と、
前記少なくとも1つの通信チャネルを介して、前記第1の通信エンティティから前記第2の通信エンティティへとOLR要求を送信する段階と、
前記第2の通信エンティティにより前記OLR要求を受信する段階と、
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより前記更新された構成を使用する段階とを備える、方法。
(項目2)
前記通信システムの第1の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記OLR要求は、前記レシーバの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記通信システムの第2の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記OLR要求は、前記トランスミッタの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記少なくとも1つのチャネル特性は、それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの送信および受信パラメータに影響する前記少なくとも1つの通信チャネルの属性である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記少なくとも1つのチャネル特性は、
信号対ノイズ比(SNR)、
遠端クロストーク(FEXT)レベル、
信号対ノイズと干渉の比(SNIR)、
信号対FEXT比、
前記少なくとも1つのチャネルの複数のノイズ特性、
転送機能に関連する特性、
確認(ACK)/否認(NACK)表示、
前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティとの間の送信経路における複数の変更、
ブロックエラーレート(BLER)および
ビットエラーレート(BER)からなる一覧から選択される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記更新された構成を決定する前記段階は、
標準との比較、
最適な複数の値の予め定められたテーブル、
複数の値の範囲の予め定められたテーブル、
複数の値の複数の閾値の予め定められたテーブル、
数学上の関数、および
アルゴリズムからなる一覧から選択される基準に少なくとも部分的に基づく、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記第1の通信エンティティは、前記更新された構成に関する情報を含む、OLRメッセージの形式の前記OLR要求を構築する、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記更新された構成に関する情報は、
サブキャリア当たりの一時的ビットロードテーブル(BLT)、
サブバンド当たりの一時的ビットロード(BLT)、
サブバンド当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
サブキャリア当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
複数の相対変化(デルタ)、
複数の微分変化、
複数の修正が前記更新された構成を構築するべく適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する、識別(ID)番号、
前記更新された構成が構築される数学上の関数、
前記更新された構成の実装に向かうカウントシーケンス、
少なくとも1つの修正から前記基準構成への前記更新された構成をどのように構築するかを指定するアルゴリズム、
前記更新された構成を指定する少なくとも1つのデータベースエントリへのポインター、
前記基準構成に対する完全な変更、
前記基準構成に対する部分的変更、
前記基準構成に対する無変更からなる一覧から選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記OLR要求は、構成識別番号を含む、項目2に記載の方法。
(項目10)
前記OLR要求は、構成識別番号を含む、項目3に記載の方法。
(項目11)
前記OLR要求は、前記更新された構成に関する情報を含み、前記OLR要求は、前記トランスミッタにより各フレームを介して前記レシーバに通信される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記第2の通信エンティティにより前記OLR要求を修正することにより、修正されたOLR要求を形成する段階を更に備える、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記第2の通信エンティティにより、前記第1の通信エンティティに前記修正されたOLR要求を送信する段階を更に備える、項目12に記載の方法。
(項目14)
構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを、前記レシーバにより決定する段階を更に備え、
前記基準構成に対する更新された構成が、使用される、項目2に記載の方法。
(項目15)
前記カウントシーケンスは、タイミングシーケンスであり、
前記プログレッシブカウントは、カウントダウンおよびカウトアップのうちの少なくとも1つであり、
前記構成更新点は、構成更新時間である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記第1の通信エンティティにより少なくとも1回、現在のそれぞれの前記プログレッシブカウントを含むカウントシーケンスメッセージを前記第2の通信エンティティに送信する段階を更に備える、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記第2の通信エンティティにより少なくとも1回、前記カウントシーケンスメッセージを受信する段階を更に備える、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記構成更新点において、前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより前記更新された構成を使用する段階を更に備える、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記複数のシステム構成パラメータは、
ビットロードテーブル(BLT)、
複数のゲインテーブル、
複数のフレーミングパラメータ、
データ伝送単位(DTU)の大きさ、
サブキャリア当たりのBLTおよび
サブキャリア当たりのゲインからなる一覧から選択される、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記基準構成に対する前記少なくとも1つの修正は、
複数の正の変更、
複数の負の変更、
複数の0の変更、
複数の微分変化、
前記修正を規定する数学式、
上限および
前記修正を規定するアルゴリズムからなる一覧から選択される、項目1に記載の方法。
(項目21)
複数のシステム構成パラメータの既存の構成を使用する第1の通信エンティティと第2の通信エンティティとの間で、通信システムにおけるオンライン再構成(OLR)により複数のシステム構成パラメータを実装する整合的同期のための方法であって、
前記第1の通信エンティティにより、前記既存の構成に対する更新された構成が使用される、構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを決定する段階と、
前記第1の通信エンティティにより少なくとも1回、現在のそれぞれの前記プログレッシブカウントを含むカウントシーケンスメッセージを前記第2の通信エンティティに送信する段階と、
前記第2の通信エンティティにより少なくとも1回、前記カウントシーケンスメッセージを受信する段階と、
前記構成更新点において、前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより前記更新された構成を使用する段階とを備える、方法。
(項目22)
前記通信システムの第1の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記レシーバからの前記複数のシステム構成パラメータの変更のOLR要求は、前記レシーバの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記通信システムの第2の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記トランスミッタからの前記複数のシステム構成パラメータの変更のOLR要求は、前記トランスミッタの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記カウントシーケンスは、タイミングシーケンスであり、
前記プログレッシブカウントは、カウントダウンおよびカウトアップのうちの少なくとも1つであり、
前記構成更新点は、構成更新時間である、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにリンクする、少なくとも1つの通信チャネルにおける少なくとも1つのチャネル特性に対する複数の変更をモニタリングする段階を更に備える、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記第1の通信エンティティにより、前記少なくとも1つのチャネル特性に対する前記複数の変更に応じて前記既存の構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築された、前記更新された構成を決定する段階を更に備える、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記少なくとも1つの通信チャネルを介して、前記第1の通信エンティティから前記第2の通信エンティティへとOLR要求を送信する段階を更に備える、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第2の通信エンティティにより、前記OLR要求を受信する段階を更に備える、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記更新された構成は、
サブキャリア当たりの一時的ビットロードテーブル(BLT)、
サブバンド当たりの一時的ビットロードBLT、
サブバンド当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
サブキャリア当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
複数の相対変化(デルタ)、
複数の微分変化、
複数の修正が前記更新された構成を構築するべく適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する、識別(ID)番号、
前記更新された構成が構築される数学上の関数、
前記更新された構成の実装に向かうカウントシーケンス、
少なくとも1つの修正から基準構成への前記更新された構成をどのように構築するかを指定するアルゴリズム、
前記更新された構成を指定する少なくとも1つのデータベースエントリへのポインター、
前記基準構成に対する完全な変更、
前記基準構成に対する部分的変更、
前記基準構成に対する無変更からなる一覧から選択される基準を伴う、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記送信する段階は、前記更新された構成を反復的に送信する段階を有する、項目21に記載の方法。
(項目31)
複数のシステムパラメータの基準構成を使用して、少なくとも1つの通信チャネルを介して通信する、少なくとも第1の通信エンティティと第2の通信エンティティとの間で、通信システムの複数のシステム構成パラメータのオンライン再構成(OLR)により同期を維持する前記通信システムであって、
それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの少なくとも1つの通信チャネル特性をモニタリングする前記第1の通信エンティティの通信チャネル状態モニタと、
前記通信チャネル状態モニタに結合された前記第1の通信エンティティの伝送パラメータコントローラとを備え、
前記伝送パラメータコントローラは、前記少なくとも1つの通信チャネル特性に対する少なくとも1つの変更に応じて、前記基準構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築された、更新された構成を決定し、
前記第1の通信エンティティは、前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティにより、前記更新された構成を使用するべく、前記第2の通信エンティティに対する前記更新された構成の少なくとも一部を通信する、通信システム。
(項目32)
前記通信システムの第1の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記レシーバから生成されたOLR要求は、前記レシーバの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、項目31に記載の通信システム。
(項目33)
前記通信システムの第2の動作モードにより、前記第1の通信エンティティは、トランスミッタとして動作可能であり、
前記第2の通信エンティティは、レシーバとして動作可能であり、
前記トランスミッタから生成されたOLR要求は、前記トランスミッタの前記複数のシステム構成パラメータにおける複数の変更に関する、項目31に記載の通信システム。
(項目34)
前記伝送パラメータコントローラに結合された通信・管理プロセッサを更に備え、
前記通信・管理プロセッサは、前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティとの間で少なくとも1つのロジカル通信チャネルを管理するように動作可能である、項目31に記載の通信システム。
(項目35)
前記伝送パラメータコントローラおよび通信・管理プロセッサは、同一の複数の機能を実行するように動作可能な単一の処理デバイスに組み込まれる、項目32に記載の通信システム。
(項目36)
前記第2の通信エンティティは、それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの少なくとも1つの通信チャネル特性をモニタリングする通信チャネル状態モニタを更に備える、項目31に記載の通信システム。
(項目37)
前記第2の通信エンティティは、前記第2の通信エンティティの前記通信チャネル状態モニタに結合された伝送パラメータコントローラを更に備え、
前記第2の通信エンティティの前記伝送パラメータコントローラは、前記少なくとも1つの通信チャネル特性に対する少なくとも1つの変更に応じて、前記基準構成に対する少なくとも1つの修正に基づいて構築された、更新された構成を決定する、項目36に記載の通信システム。
(項目38)
前記第2の通信エンティティは、前記更新された構成の少なくとも一部を前記第1の通信エンティティに更に通信する、項目37に記載の通信システム。
(項目39)
前記少なくとも1つのチャネル特性は、それぞれの前記少なくとも1つの通信チャネルの送信および受信パラメータに影響する前記少なくとも1つの通信チャネルの属性である、項目31に記載の通信システム。
(項目40)
前記少なくとも1つのチャネル特性は、
信号対ノイズ比(SNR)、
遠端クロストーク(FEXT)レベル、
信号対ノイズと干渉の比(SNIR)、
信号対FEXT比、
前記少なくとも1つのチャネルの複数のノイズ特性、
転送機能に関連する複数の特性、
確認(ACK)/否認(NACK)表示、
前記第1の通信エンティティと前記第2の通信エンティティとの間の送信経路における複数の変更、
ブロックエラーレート(BLER)および
ビットエラーレート(BER)からなる一覧から選択される、項目39に記載の通信システム。
(項目41)
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティは、共通の動作モードを確立するべく、複数の通信パラメータに関する情報を交換する、項目31に記載の通信システム。
(項目42)
前記更新された構成の決定は、
標準との比較、
最適な複数の値の予め定められたテーブル、
複数の値の範囲の予め定められたテーブル、
複数の値の複数の閾値の予め定められたテーブル、
数学上の関数、および
アルゴリズムからなる一覧から選択される基準に少なくとも部分的に基づく、項目31に記載の通信システム。
(項目43)
前記第1の通信エンティティは、前記更新された構成に関する情報を含む、OLRメッセージの形式のOLR要求を構築する、項目31に記載の通信システム。
(項目44)
前記更新された構成に関する情報は、
サブキャリア当たりの一時的ビットロードテーブル(BLT)、
サブバンド当たりの一時的ビットロードBLT、
サブバンド当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
サブキャリア当たりの複数のゲインに対する複数の変更、
複数の相対変化(デルタ)、
複数の微分変化、
複数の修正が前記更新された構成を構築するべく適用されるべき基準テーブルのインデックスを識別する、識別(ID)番号、
前記更新された構成が構築される数学上の関数、
前記更新された構成の実装に向かうカウントシーケンス、
少なくとも1つの修正から前記基準構成への前記更新された構成をどのように構築するかを指定するアルゴリズム、
前記更新された構成を指定する少なくとも1つのデータベースエントリへのポインター、
前記基準構成に対する完全な変更、
前記基準構成に対する部分的変更、
前記基準構成に対する無変更からなる一覧から選択される、項目43に記載の通信システム。
(項目45)
前記更新された構成の前記少なくとも一部は、構成識別番号を含む、項目32に記載の通信システム。
(項目46)
前記更新された構成の前記少なくとも一部は、構成識別番号を含む、項目33に記載の通信システム。
(項目47)
前記更新された構成の前記少なくとも一部は、前記トランスミッタにより、各フレームを介して前記レシーバに通信されるOLR要求を規定する、項目46に記載の通信システム。
(項目48)
前記レシーバは、構成更新点の発生に向かってプログレッシブカウントを指定するカウントシーケンスを決定し、
前記基準構成に対する更新された構成が、使用される、項目32に記載の通信システム。
(項目49)
前記カウントシーケンスは、タイミングシーケンスであり、
前記プログレッシブカウントは、カウントダウンおよびカウトアップのうちの少なくとも1つであり、
前記構成更新点は、構成更新時間である、項目48に記載の通信システム。
(項目50)
前記第1の通信エンティティは、現在のそれぞれの前記プログレッシブカウントを含むカウントシーケンスメッセージを少なくとも1回、前記第2の通信エンティティに送信する、項目48に記載の通信システム。
(項目51)
前記第2の通信エンティティは、前記カウントシーケンスメッセージを少なくとも1回受信する、項目50に記載の通信システム。
(項目52)
前記第1の通信エンティティおよび前記第2の通信エンティティは、前記構成更新点において前記更新された構成を使用する、項目51に記載の通信システム。
(項目53)
前記複数のシステム構成パラメータは、
ビットロードテーブル(BLT)、
複数のゲインテーブル、
複数のフレーミングパラメータ、
データ伝送単位(DTU)の大きさ、
サブキャリア当たりのBLTおよび
サブキャリア当たりのゲインからなる一覧から選択される、項目31に記載の通信システム。
(項目54)
前記基準構成に対する前記少なくとも1つの修正は、
複数の正の変更、
複数の負の変更、
複数の0の変更、
複数の微分変化、
前記修正を規定する数学式、
上限および
前記修正を規定するアルゴリズムからなる一覧から選択される、項目31に記載の通信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9