(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、表示装置の一実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0015】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0016】
(実施の形態)
実施の形態における表示装置1について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る表示装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
[表示装置の全体構成]
本実施の形態に係る表示装置1は、表示部2と、電源部3と、データ線駆動回路40と、走査線駆動回路50と、制御回路60とを備える。
【0019】
表示部2は、有機EL素子及び当該有機EL素子を発光駆動するための回路素子を有する画素20が行列状に配置された表示パネルである。
【0020】
電源部3は、表示部2の外周領域に配置された給電線30から各画素20に電源電圧を給電する。なお、給電線30は、正電源電圧を伝達する正電圧給電線と、当該正電源電圧よりも低電位である負電源電圧を伝達する負電圧給電線とを有している。
【0021】
制御回路60は、本実施の形態に係る表示装置1の要部であり、外部から入力された映像信号に基づいて各有機EL素子の発光強度に対応する階調信号を生成し、生成した階調信号をデータ線駆動回路40へ出力する。また、制御回路60は、入力される同期信号に基づいて走査線駆動回路50を制御するための制御信号S5を生成し、当該生成した制御信号S5を走査線駆動回路50へ出力する。なお、制御回路60については、後で詳述する。
【0022】
データ線駆動回路40は、制御回路60で生成された階調信号に基づいて、表示部2のデータ線を駆動する。より具体的には、データ線駆動回路40は、映像信号及び水平同期信号に基づいて、各画素回路に映像信号を反映したデータ電圧を出力する。
【0023】
走査線駆動回路50は、制御回路60で生成された制御信号S5に基づいて、表示部2の走査線を駆動する。より具体的には、走査線駆動回路50は、垂直同期信号及び水平同期信号に基づいて、各画素回路に走査信号などを、少なくとも表示ライン単位で出力する。
【0024】
[画素構造]
図2は、本実施の形態に係る表示部2を説明する部分平面図である。また、
図3は、
図2のA−A’線に沿って切断した断面図であり、
図4は、
図2のB−B’線に沿って切断した断面図である。
図2には、1つの画素20を含む表示部2の一部が表されている。画素20は、
図2に示されるように、例えば、赤色表示用のサブ画素20Rと、緑色表示用のサブ画素20Gと、青色表示用のサブ画素20Bと、接続部20Cとを有している。また、
図2には、サブ画素ごとに離間して配置された陽極121と、サブ画素列ごとに配置して設けられ、サブ画素を区画するバンク122と、画素20ごとに配置された補助配線131と、駆動回路層と陽極121とを電気接続するビア120とが表されている。
【0025】
以下、
図3及び
図4を用いて、画素20の積層構造を説明する。
図3に示されるように、サブ画素20Gは、基板10と、基板10上に設けられた駆動回路層11と、駆動回路層11上に設けられた有機EL層12とで構成されている。
【0026】
基板10は、例えば、ガラス基板、石英基板などが用いられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホンなどのプラスチック基板を用いて、表示装置1に曲げ性を付与することもできる。特に本実施の形態のように、上面発光方式の場合、不透明プラスチック基板やセラミック基板を用いることができる。
【0027】
駆動回路層11は、有機EL素子を発光駆動するための回路素子が形成された層であり、当該回路素子としては、例えば、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)が挙げられる。駆動回路層11は、例えば、ゲート電極111と、ゲート絶縁層112と、半導体層113と、ソース電極114と、ドレイン電極115と、層間絶縁層116と、ビア120とを備える。
【0028】
有機EL層12は、陽極121と、バンク122と、正孔注入層123と、正孔輸送層124と、有機発光層125と、電子輸送層126と、透明陰極127とを備える。
【0029】
陽極121は、層間絶縁層116の上であって、サブ画素ごとに離間して形成された第1電極である。また、陽極121は、駆動トランジスタのソース電極114と接続するためのビア120と一体形成されている。陽極121及びビア120としては、特に限定されないが、電気抵抗率が小さい材料を用いることが好ましい。例えば、陽極121及びビア120としては、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、モリブデン、銅、鉄、白金、タングステン、鉛、錫、アンチモン、ストロンチウム、チタン、マンガン、インジウム、亜鉛、バナジウム、タンタル、ニオブ、ランタン、セリウム、ネオジウム、サマリウム、ユーロピウム、パラジウム、銅、コバルト、のうちのいずれかの金属、これらの金属の合金、又はそれらを積層したものを用いることができる。
【0030】
バンク122は、サブ画素列ごとに配置して設けられ、サブ画素を区画する隔壁である。バンク122としては、ポリイミド樹脂などの樹脂材料を用いることができる。このとき、有機発光層125で発生する光が隣接サブ画素へ透過することを防止するために、例えばカーボン粒子などを樹脂中に含有させてもよい。
【0031】
正孔注入層123は、陽極121の上であって、バンク122によりサブ画素ごとに離間されて形成されている。正孔注入層123は、正孔注入性の材料を主成分とする層であり、正孔注入性の材料とは、陽極121側から注入された正孔を安定的に、又は正孔の生成を補助して有機発光層125へ注入する機能を有する材料である。正孔注入層123としては、例えばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)などを用いることができる。
【0032】
正孔輸送層124は、正孔注入層123上であって、バンク122によりサブ画素ごとに離間されて形成されている。正孔輸送層124は、正孔注入層123から注入された正孔を有機発光層125内へ輸送する機能を有する。正孔輸送層124としては、正孔輸送性の有機材料を用いることができる。正孔輸送性の有機材料とは、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を有する有機物質である。これは、p−型の有機半導体と呼ばれることもある。正孔輸送層124は、高分子材料でも低分子材料であってもよいが、湿式印刷法で製膜できることが好ましく、上層である有機発光層125を形成する際に、これに溶出しにくいよう、架橋剤を含むことが好ましい。正孔輸送性の材料の例としては、特に限定されるものではないが、芳香族アミンを用いることができ、好ましくはトリフェニルアミンの誘導体及びトリアリールアミン誘導体が用いられる。架橋剤の例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いることができる。
【0033】
正孔輸送層124を形成する製膜法としては、特に限定されるものではないが、インクジェット法に代表されるノズルジェット法や、ディスペンサー法を用いることができる。この場合、インクジェット法は、インク化した有機成膜材料をノズルから噴射して、正孔輸送層124を形成する方法である。
【0034】
有機発光層125は、正孔輸送層124上であって、バンク122によりサブ画素ごとに離間されて形成されている。有機発光層125は、陽極121及び透明陰極127の間に電圧が印加されることにより発光する層であり、有機発光層125としては、低分子系又は高分子系の有機発光材料を用いることができる。高分子系の発光材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレンなどのポリマー発光材料などを用いることができる。また、低分子系の発光材料としては、Alq3やBe−ベンゾキノリノール(BeBq2)の他に、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス〔5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル〕スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフィン、2,5−ビス(〔5−α,α−ジメチルベンジル〕−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス〔5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル〕−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサイゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−〔2−〔4−(5−メチル−2−ベンゾオキサイゾリル)フェニル〕ビニル〕ベンゾオキサイゾリル、2−〔2−(4−クロロフェニル)ビニル〕ナフト〔1,2−d〕オキサゾールなどのベンゾオキサゾール系、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系、2−〔2−〔4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル〕ビニル〕ベンゾイミダゾール、2−〔2−(4−カルボキシフェニル)ビニル〕ベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダゾール系などの蛍光増白剤や、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ〔f〕−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、8−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム、ポリ〔亜鉛−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリノニル)メタン〕などの8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピンドリジオンなどの金属キレート化オキシノイド化合物や、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)2−メチルベンゼンなどのスチリルベンゼン系化合物や、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス〔2−(1−ナフチル)ビニル〕ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス〔2−(4−ビフェニル)ビニル〕ピラジン、2,5−ビス〔2−(1−ピレニル)ビニル〕ピラジンなどのジスチルピラジン誘導体や、ナフタルイミド誘導体や、ペリレン誘導体や、オキサジアゾール誘導体や、アルダジン誘導体や、シクロペンタジエン誘導体や、スチリルアミン誘導体や、クマリン系誘導体や、芳香族ジメチリディン誘導体などが用いられる。さらに、アントラセン、サリチル酸塩、ピレン、コロネンなども用いられる。あるいは、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムなどの燐光発光材料を用いることもできる。
【0035】
電子輸送層126は、有機発光層125の上であってバンク122を跨り、
図4にて後述する補助配線131の上方に延設までされた、電子輸送性の材料を主成分とする中間層である。電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、透明陰極127から有機発光層125までの電荷輸送に対して適性を有する材料のことである。電子輸送層126としては、例えば、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)などのオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、シロール誘導体からなるポリマー材料など、あるいは、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−(パラ−フェニルフェノレート)アルミニウム(BAlq)、バソフプロイン(BCP)などが用いられる。
【0036】
なお、補助配線131の上方に延設された電子輸送層126と、陽極121上の電子輸送層126とは、必ずしも連続である必要はない。連続形成されていない電子輸送層126としては、連続高精細マスクを使用せずとも発光部と接続部とで、同じ製膜プロセスで分離形成可能な電子輸送層126であって、例えば、塗布製膜された段階でバンク122により分離形成されるものが挙げられる。
【0037】
透明陰極127は、電子輸送層126の上であってバンク122を跨り、
図4にて後述する補助配線131の上方に延設され、全ての画素20にわたり全面形成された第2電極であり、各画素20に連続して設けられた透明電極である。透明陰極127は、特に限定されないが、上面発光方式の場合、インジウムスズ酸化物やインジウム亜鉛酸化物、マグネシウムやアルミニウムや銀などの金属の薄膜を用いることが好ましい。
【0038】
なお、電子輸送層126と透明陰極127との間に、電子注入層が形成されていてもよい。ここで、電子注入層は、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、透明陰極127から注入された電子を安定的に、又は電子の生成を補助して有機発光層125へ注入する機能を有する材料である。
【0039】
上記構成により、表示部2は、有機発光層125に注入された電子と正孔の再結合により発生する光を透明陰極127側から放出する。
【0040】
また、画素20は、
図4に示されるように、サブ画素20Rに隣接した領域であって、当該サブ画素20Rと他の画素20が備えるサブ画素との間に、補助配線131が配置された接続部20Cを備える。補助配線131は、駆動回路層11の上に、陽極121と離間して形成されている。補助配線131の上には、陽極121の上方から延設された電子輸送層126及び透明陰極127が形成されている。
【0041】
つまり、本実施の形態に係る表示部2では、陽極121及び有機発光層125は、サブ画素ごとに離間して設けられ、補助配線131は、画素列ごとに配置されている。これにより、給電線30からの距離に依存する配線抵抗を低減して、画素駆動電圧の変動を抑制している。
【0042】
なお、補助配線131は、画素列ごとではなく画素行ごとに配置されていてもよいし、また、画素列ごと及び画素行ごとの双方に配置されていてもよい。
【0043】
図4に示される補助配線131、電子輸送層126及び透明陰極127の積層構造により、駆動回路層11の駆動トランジスタから、陽極121、正孔注入層123、正孔輸送層124、有機発光層125、及び電子輸送層126を経由して透明陰極127へ流れる画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)は、さらに、
図4において矢印で示されるように、補助配線131上の電子輸送層126及び補助配線131へと流れこむ。
図4に示される画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)の和Ipixに対応する電圧降下が、透明陰極127から補助配線131の間の接続部20Cにおいて発生する。
【0044】
補助配線131としては、特に限定されないが、陽極121の形成と同時プロセスにて形成することが可能となるため、陽極121と同じ材料であることが好ましい。
【0045】
なお、
図4に示される補助配線131と透明陰極127とで挟まれる中間層は、電子輸送層126に限られない。補助配線131と透明陰極127との間の中間層の構成として、正孔注入層123、正孔輸送層124、有機発光層125、電子輸送層126、及び電子注入層(図示せず)の少なくともいずれかを含んでいることが想定できる。ただし、この場合、画素電流の流れる方向に対して、当該電流の流れを阻止しない層構成であることが望ましい。
【0046】
[画素回路構成]
図5は、本実施の形態に係る画素の回路構成の一例を示す図である。同図に示されるサブ画素20Rは、駆動回路層11と、有機EL層12とを備える。駆動回路層11は、データ線212と、走査線211と、正電源配線221と、スイッチトランジスタ203と、駆動トランジスタ202と、保持容量素子204とを有する。また、有機EL層12は、有機EL素子201を有する。なお、
図5に示されるサブ画素20G及び20Bも、サブ画素20Rと同様の回路構成を有するが、
図5においては、サブ画素20G及び20Bの駆動回路層11の回路構成の記載は省略されている。サブ画素20R、サブ画素20G及びサブ画素20Bを含む画素20は、表示部2に、行列状に配置されている。
【0047】
スイッチトランジスタ203は、ソース及びドレインの一方がデータ線212に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ202のゲート及び保持容量素子204の一端に接続された、例えば、n型TFTである。
【0048】
駆動トランジスタ202は、ドレインが正電源配線221に接続され、ソースが有機EL素子201のアノードに接続され、ゲートが保持容量素子204の一端に接続された、例えば、n型TFTである。これにより、駆動トランジスタ202は、保持容量素子204に保持された電圧に応じた電流を有機EL素子201に供給する。すなわち、駆動トランジスタ202は、階調信号(及びデータ電圧)に応じた電流を有機EL素子201に供給する。
【0049】
保持容量素子204は、他端が駆動トランジスタ202のソースに接続され、データ線212から供給されたデータ電圧に対応した電圧を保持する。
【0050】
データ線212は、データ線駆動回路40(図示せず)とスイッチトランジスタ203のソース及びドレインの一方とを接続し、データ線駆動回路40により映像信号に対応したデータ電圧が印加される。
【0051】
走査線211は、走査線駆動回路50とスイッチトランジスタ203のゲートとを接続し、走査線駆動回路50により印加される電圧に応じて、スイッチトランジスタ203を導通及び非導通にする。
【0052】
有機EL素子201は、上記有機EL層12に形成された発光素子である。有機EL素子201のアノード(陽極121)がビア120を経由して駆動トランジスタ202のソースに接続され、カソード(透明陰極127)が中間層(電子輸送層126)を経由して補助配線131に接続されている。この接続構成により、有機EL素子201は、アノード−カソード間に流れる電流値に応じた輝度で発光する。ここで、有機EL素子201のカソード電極である透明陰極127は、全ての画素20に共通して設けられており、表示部2の外周領域に設けられた給電線30から負電源電圧VELが印加されるように、給電線30を介して電源部3と電気的に接続されている。
【0053】
電源部3が供給する電源電圧は、駆動トランジスタ202のドレインに供給される正電源電圧VDDと、有機EL素子201のカソードに供給される負電源電圧VELとを含む。駆動トランジスタ202のドレインが接続される陽極121及び正電源配線221には、給電線30(正電圧給電線)を介して電源部3から正電源電圧VDDが供給される。一方、有機EL素子201のカソードである透明陰極127には、画素20が備える各サブ画素に共通する電流経路である補助配線131及び給電線30(負電圧給電線)を介して電源部3から負電源電圧VELが供給される。なお、電源部3が供給する電源電圧を正電源電圧VDD及び負電源電圧VELと定義したが、正電源電圧VDDは、負電源電圧VELよりも電位が高い電圧を意味し、負電源電圧VELは、正電源電圧VDDよりも電位が低い電圧であることを意味する。つまり、正電源電圧VDD及び負電源電圧VELは、それぞれ、正の電圧値及び負の電圧値を有することに限定されない。
【0054】
ここで、本実施の形態に係る画素回路構成では、有機EL素子201のカソードと補助配線131との間に電子輸送層126なる中間層の抵抗Ripが直列挿入されている。
図5に示されるように、サブ画素20R、20G及び20Bの各々において、画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)は、駆動回路層11の駆動トランジスタ202から、陽極121、有機EL素子201を経由して共通の透明陰極127へ流れる。さらに、画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)は、共通の電流経路である抵抗Rip及び補助配線131へと流れこむ。したがって、透明陰極127と補助配線131との間において発生する電圧降下量Vdropは、画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)の和Ipix及び抵抗Ripに対応する量となる。当該電圧降下量Vdropの変動に伴って、サブ画素20R、20G及び20Bの各駆動トランジスタ202におけるブートストラップ量が変動するため、各有機EL素子201に流れる電流量が変動する。
【0055】
[制御回路]
以下、本実施の形態の要部である制御回路60の構成について説明する。本実施の形態に係る制御回路60においては、透明陰極127と補助配線131との間において発生する電圧降下量Vdropの変動に伴う各有機EL素子201に流れる電流量の変動を抑制するために階調信号を補正する構成を備える。
【0056】
図6は、本実施の形態に係る制御回路60において階調信号を補正する演算方法を示すブロック線図である。
図6においては、一つの画素20内のサブ画素20R、20G及び20Bに印加される各データ電圧Vdata(R)、Vdata(G)及びVdata(B)に対応する階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bを補正する演算方法を示す。
【0057】
図6に示されるように、制御回路60は、機能的には、電流演算部300と、電圧降下量演算部400と、補正量演算部500と、加算部600とを備える。
【0058】
電流演算部300は、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bに対応する各サブ画素に同時に流れる画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)の和Ipixを演算する演算部である。ここでは、各サブ画素について、電圧降下量Vdropがゼロである場合に、階調信号に対応するデータ電圧を印加したときに流れる画素電流が演算される。すなわち、透明陰極127から給電線30までの抵抗がゼロであると仮定した場合における画素電流が演算される。電流演算部300では、階調信号と、電圧降下量Vdropがゼロである場合の画素電流との対応関係を示すLUT(Look−Up Table)301、302及び303を用いて、画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)が求められる。そして、当該画素電流の和Ipixが演算される。
【0059】
ここで、電圧降下量Vdropがゼロである場合におけるサブ画素20Rに流れる画素電流を演算するためのLUT301を作成する方法について説明する。まず、様々な電圧降下量Vdropに対する階調信号GL
R、データ電圧Vdata(R)及び画素電流Ipix(R)の関係が測定によって求められる。そして、当該関係から、電圧降下量Vdropがゼロである場合の階調信号GL
R、データ電圧Vdata(R)及び画素電流Ipix(R)の関係を推測する。当該推測された関係から、階調信号と電圧降下量Vdropがゼロである場合における画素電流との対応関係を示すLUT301が作成される。LUT302及び303についてもLUT301と同様に作成される。
【0060】
また推測する方法として、画素回路の動作シミュレーションによって、電圧降下量Vdropがゼロの場合のデータ電圧Vdataに対する画素電流Ipixの関係を求めてもよい。
【0061】
以下、電流演算部300における演算について詳細に説明する。電流演算部300においては、まず、各階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bにそれぞれ対応するデータ電圧Vdata(R)、Vdata(G)及びVdata(B)が各LUTから求められる。これらは以下の式で表される。
【0063】
ここで、V
R(GL
R)、V
G(GL
G)及びV
B(GL
B)は、階調信号に対応するデータ電圧を求めるための関数を示す。なお、各LUTに当該関数が格納されていなくてもよい。例えば、各LUTには、階調信号とデータ電圧との関係を示すテーブルだけが格納されていてもよい。以下で示される各関数についても同様である。
【0064】
そして、次に電流演算部300において、サブ画素20Rにデータ電圧を印加した場合に流れる画素電流Ipix(R)がLUT301から求められる。サブ画素20G及び20Bについても同様に、階調信号GL
G及びGL
Bにそれぞれ対応する画素電流Ipix(G)及びIpix(B)が、それぞれLUT302及び303から求められる。これらは以下の式で表される。
【0066】
ここで、I
R(Vdata(R))、I
G(Vdata(G))及びI
B(Vdata(B))は、電圧降下量Vdropがゼロであって、各サブ画素にそれぞれデータ電圧Vdata(R)、Vdata(G)及びVdata(B)が印加される場合に流れる画素電流を求めるための関数を示す。一般的には、映像の階調信号GLが大きいほどIpixが大きくなる特徴を有する。以上のようにして求められた画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)を次式に示されるように加算することにより、画素電流の和Ipixが求められる。
【0068】
電圧降下量演算部400は、電流演算部300で算出された画素電流の和Ipixを用いて、透明陰極127と補助配線131との間において発生する電圧降下量Vdropを演算する演算部である。電圧降下量演算部400では、画素電流の和Ipixと電圧降下量Vdropとの関係を示すLUT401を用いて、電圧降下量Vdropが演算される。LUT401も、上記LUT301などと同様に、予め表示装置を用いて特性を測定することにより作成してもよいし、TEG等を用いて同様の構造を持つサンプルの特性から推定し作成してもよい。なお、ここで、画素電流の和Ipixと電圧降下量Vdropとの関係は、次式で表される。
【0070】
ここで、V(Ipix)は、画素電流の和Ipixに対応する電圧降下量Vdropを求めるための関数を示す。一般的には、Ipixが大きいほどVdropは大きくなるという特徴を有する。
【0071】
補正量演算部500は、各データ電圧の補正量を演算する演算部である。当該補正量は、透明陰極127と補助配線131との間において発生する電圧降下による各画素電流の減少を補うための補正量である。補正量演算部500は、まず、各階調信号をデータ電圧に変換する。そして、補正量演算部500は、データ電圧Vdata(R)、Vdata(G)及びVdata(B)と、それらに対応するデータ電圧の補正係数との関係を示すLUT501、502及び503を用いて、データ電圧の補正係数を求める。ここで、LUT501、502及び503は、様々なデータ電圧Vdata条件においてカソード電位が単位電圧変動ΔVcat(例えば1V)した際に、画素電流Ipixを一定に保つために必要なデータ電圧の調整量ΔVdataから求められるパラメータΔVdata/ΔVcatであり、上記各LUTと同様に測定によって作成してもよいし、画素回路の動作シミュレーションにより求め、作成してもよい。
【0072】
次に、補正量演算部500は当該補正係数と電圧降下量演算部400で求められた電圧降下量Vdropとを乗算する。これにより、データ電圧Vdata(R)、Vdata(G)及びVdata(B)のそれぞれに対する補正量Vcomp(R)、Vcomp(G)及びVcomp(B)が求められる。補正量演算部500における演算は、以下の式で表される。
【0074】
ここで、ΔVcatは、カソード電位の変化量であり、電圧降下量Vdropに対応する値である。そして、上記の式5において、電圧降下量Vdropと乗算される係数が、データ電圧の補正係数を示す。一般的には、Ipixが大きいほどVdropは大きくなり、式1が単調増加もしくは単調減少の関数であるため、GLが大きいほどVcompが大きくなるという特徴を有する。
【0075】
加算部600は、補正量演算部500で求められたデータ電圧の補正量を階調信号の補正量に変換して補正前の階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bに加算する演算部である。加算部600で演算される補正後の階調信号GL’
R、GL’
G及びGL’
Bとすると、これらは、以下の式で表される。
【0077】
以上のように、本実施の形態に係る制御回路60は、階調信号GL
R、GL
G及びGL
BをGL’
R、GL’
G及びGL’
Bにそれぞれ補正する。当該補正後の階調信号がデータ線駆動回路40に入力されることによって、補正されたデータ電圧が各データ線212に印加され、当該補正されたデータ電圧に対応する画素電流が流れる。これにより、電圧降下量Vdropの変動による画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)の変動が抑制される。
【0078】
[測定結果例]
次に、上述の階調信号補正を適用した場合における各サブ画素に流れる電流の測定結果について説明する。
【0079】
図7〜9は、階調信号に補正を適用する前及び後におけるサブ画素20R、20G及び20Bの有機EL素子201に流れる画素電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)の和Ipixと電流比(Ipix(X)/(Ipix(R)+Ipix(G)+Ipix(B))、X=R,G,B)との関係を示すグラフである。なお、
図7のR電流比とは、サブ画素20Rに所定のデータ電圧を印加してサブ画素20Rの有機EL素子201だけに電流を流す場合のIpix(R)に対する、サブ画素20Rに上記所定のデータ電圧を印加した状態で、サブ画素20G及び20Bにもデータ電圧を印加した場合にサブ画素20Rの有機EL素子201に流れる電流Ipix(R)の比を意味し、理想状態は横軸の画素電流和Ipixに依存せず常時1となる。
図8のG電流比及び
図9のB電流比についても同様である。また、
図7〜9においては、それぞれサブ画素20R、20G及び20Bが有する各有機EL素子201に流れる電流をパラメータとして、複数のパラメータに対する測定結果が示される。例えば、
図7の補正適用前のグラフにおいては、サブ画素20Rが有する有機EL素子201だけに電流を流し、かつ、他の色のサブ画素(20G、20B)には電流を流していない場合(Ipix(R)≠0、Ipix(G)=Ipix(B)=0)に流れる電流Ipix(R)が、0.0968[μA]、0.224[μA]などの場合の測定結果が示されている。つまり、その場合はIpix(R)の和Ipixに対する電流比は1である。同様に、
図8にはIpix(G)に対する測定結果が、
図9にはIpix(B)に対する測定結果がそれぞれ示されている。
【0080】
図7に示されるように、補正適用前においては、特に、Ipixが大きい場合、及び、Ipix(R)が小さい場合に電流比が低下している。
図8及び
図9についても同様の傾向が見られる。一方、
図7〜9の補正適用後のグラフを参照すると、電流比の低下が、補正適用前の電流比の低下より抑制されていることが分かる。すなわち、表示装置1の色表現力が改善されている。
【0081】
具体的には、例えば、
図7の補正適用後のグラフに示されるように、画素電流Ipix(R)が0.128以外の場合には、R電流比は、0.8以上(すなわち、80%以上)である。つまり、階調信号GL
Rが少なくとも中輝度以上の階調である場合には、R電流比は、80%以上である。
図8及び
図9についても、同様に、それぞれ画素電流Ipix(G)及びIpix(B)が中程度以上の場合には、G電流比及びB電流比は、0.8以上(すなわち、80%以上)である。
【0082】
このように、各電流比が0.8以上に維持されていれば、すなわち、電流比の低下率が20%未満に維持されていれば、ユーザが各画素電流の減少を感知することを十分に抑制することができる。
【0083】
なお、
図7〜9に示される測定結果は一例であって、補正において用いるLUTなどに応じて、補正適用後の電流比は変わり得る。例えば、補正適用後の電流比がすべて0.8以上になるように(つまり、低輝度領域においても電流比が0.8以上になるように)、LUTを作成することも可能である。このようなLUTを用いることにより、全輝度領域において、ユーザが各画素電流の減少を感知することを十分に抑制することができる。
【0084】
(効果など)
以上のように、本実施の形態に係る表示装置1の駆動方法の一態様は、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bを出力する制御回路60と、有機EL素子201、及び、階調信号GL
Rに応じた電流Ipix(R)を有機EL素子201に供給するための駆動トランジスタ202を有するサブ画素20R、有機EL素子201、及び、階調信号GL
Gに応じた電流Ipix(G)を有機EL素子201に供給するための駆動トランジスタ202を有するサブ画素20G、並びに、有機EL素子201、及び、階調信号GL
Bに応じた電流Ipix(B)を有機EL素子201に供給するための駆動トランジスタ202を有するサブ画素20Bを備える表示部2と、サブ画素20R、20G及び20Bに共通する電流経路を介して、サブ画素20R、20G及び20Bに電源電圧を印加する電源部3と、を備える表示装置の駆動方法である。そして当該駆動方法は、電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)が、それぞれ各有機EL素子201に同時に供給される場合に、上記共通する電流経路において生じる電圧降下による、電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)の減少を補うように、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bに基づいて、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bを補正するステップを含む。
【0085】
これによれば、各サブ画素の有機EL素子201に流れる電流が他のサブ画素の有機EL素子201に流れる電流から受ける影響が低減される。すなわち、各サブ画素の有機EL素子201に階調信号に対応した所望の電流を流すことができる。したがって、サブ画素20R、20G及び20Bを備える画素20における、上記影響による色表現力の劣化が低減される。
【0086】
また、上記補正するステップは、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bに基づいて、上記電流経路である接続部20Cにおいて生じる電圧降下量Vdropを求めるステップと、電圧降下量Vdropに基づいて、階調信号GL
Rを補正する量を求めるステップとを含んでもよい。
【0087】
これにより、サブ画素20Rの有機EL素子201に流れる電流に影響を与える電圧降下量Vdropを求めて、電圧降下量Vdropに基づいて階調信号GL
Rを補正するため、階調信号を適切に補正することができる。
【0088】
また、サブ画素20R、20G及び20Bの各有機EL素子201は、一方の透明陰極127を共有し、上記電流経路は透明陰極127と電気的に接続された補助配線131を含み、電圧降下量Vdropは、透明陰極127から補助配線131の間の接続部20Cにおいて発生する電圧降下の量であってもよい。
【0089】
これによれば、特に、接続部20Cにおける抵抗が比較的大きい場合に、接続部20Cにおける電圧降下が支配的になるため、当該電圧降下の量に基づいて階調信号GL
Rを補正することにより、階調信号を適切に補正することができる。
【0090】
また、上記補正するステップにおいて、サブ画素20R、20G及び20Bの各有機EL素子201に、それぞれ、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bに応じた電流が同時に供給される場合における各電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)が、それぞれ、サブ画素20R、20G及び20Bのいずれか一つの有機EL素子201だけに階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bのいずれか一つに応じた電流が供給される場合における電流(Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)のいずれか一つ)の80%以上となるように、前記第1の階調信号を補正してもよい。
【0091】
これにより、ユーザが各画素電流の減少を感知することを十分に抑制することができる。
【0092】
また、上記補正するステップにおいて、サブ画素20R、20G及び20Bの各有機EL素子201に、それぞれ、階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bに応じた電流が同時に供給され、かつ、各階調信号が中輝度以上の階調である場合における各電流Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)が、それぞれ、サブ画素20R、20G及び20Bのいずれか一つの有機EL素子201だけに階調信号GL
R、GL
G及びGL
Bのいずれか一つに応じた電流が供給される場合における電流(Ipix(R)、Ipix(G)及びIpix(B)のいずれか一つ)の80%以上となるように、前記第1の階調信号を補正してもよい。
【0093】
これにより、少なくとも、有機EL素子の輝度が、中輝度以上の場合において、ユーザが各画素電流の減少を感知することを十分に抑制することができる。
【0094】
(他の実施の形態)
以上、本発明の表示装置及びその駆動方法について、実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明に係る表示装置は、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本実施の形態に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0095】
例えば、上記実施の形態においては、画素20内のサブ画素20R、20G及び20Bが備える各有機EL素子201に流れる電流の他のサブ画素が備える有機EL素子201に流れる電流による影響を抑制する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、表示装置の画素が有する有機EL素子に流れる電流の、当該画素と共通する抵抗成分を有する電流経路を介して電源電圧が印加される任意の画素又はサブ画素の有機EL素子に流れる電流の影響を抑制する場合に適用できる。
【0096】
また、上記実施の形態では、発光素子として、有機EL素子を用いる例を示したが、他の電流駆動型の発光素子を用いてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、電圧降下が、透明陰極127から補助配線131の間の接続部20Cで発生する例を示したが、電圧降下が他の電流経路部分で発生してもよい。例えば、給電線などの抵抗成分で電圧降下が発生してもよい。
【0098】
また、上記実施の形態では、有機EL層12の構成として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極を例に説明したが、これに限られない。例えば、有機EL層の構成として、少なくとも有機発光層、陽極及び陰極を含む構成であればよい。また、例えば、有機発光層、陽極及び陰極以外に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層を含む構成であってもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、透明陰極127と補助配線131との間に電子輸送層126が形成される例を示したが、電子輸送層126は形成されなくてもよい。例えば、補助配線131の表面が酸化して高抵抗化する場合であっても、透明陰極127と補助配線131との間において電圧降下が発生する。
【0100】
また、上記実施の形態では、表示部2に連続形成された透明陰極127における負電源電圧VELの電圧降下(上昇)の変動による影響を低減する構成を例示した。しかし、本発明の構成はこれに限られず、回路構成、発光方式及び有機EL層の積層構造などにより、例えばアノードコモンのトップエミッションにおいて、陽極121による正電源電圧VDDの電圧降下の変動による影響を低減する構成も本発明に含まれる。
【0101】
また、上記実施の形態では、画素20を、3つのサブ画素20R、20G及び20Bで構成されているものとして説明したが、画素構成はこれに限られない。例えば、画素20が複数のサブ画素を有さず、1つの画素で構成されていても、複数の画素が電源部3から共通する電流経路を介して電源電圧を印加される場合には、本発明を適用することができる。
【0102】
また、上記実施の形態では、駆動トランジスタ202としてn型TFTを用いる構成を示したが、p型TFTを用いて、他の回路構成をそれに合わせて適宜変更してもよい。
【0103】
また、上記実施の形態においては、階調信号を補正する際に、LUTを用いたが、LUT以外の補正関数などを予め用意して、当該補正関数によって階調信号を補正してもよい。
【0104】
また、上記実施の形態においては、制御回路60において階調信号を補正する構成を示したが、データ電圧を補正する構成としてもよい。
【0105】
なお、上記実施の形態において、中間層は、発光部を構成する層の一部として説明してきたが、接続部を構成する中間層は、発光部を構成する層と連続している必要はない。高精細マスクを使用せずとも発光部と接続部とで分離形成可能な中間層であって、例えば、塗布製膜された段階でバンク122により分離形成されるものであってもよい。
【0106】
また、例えば、本実施の形態に係る表示装置1は、
図10に示されるような薄型フラットTVに内蔵される。本実施の形態に係る表示装置1により、高度な色表現力を有する薄型フラットTVが実現される。