(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、アイアン用ゴルフクラブのゴルフクラブヘッドである。
ゴルフクラブヘッド10は、フェース部12と、バックフェース部14と、ブレード部16と、ソール部18と、中空部20とを備えている。
フェース部12は、上下の高さを有して左右に延在するフェース面12Aを形成している。
フェース面12Aには上下に間隔をおいて複数のスコアライン22が設けられている。
バックフェース部14は、フェース部12の後方でフェース部12と対向する箇所に位置しフェース面12Aと反対方向を向いたバックフェース面14Aを形成している。
ブレード部16は、フェース部12の上部とバックフェース部14の上部とを接続するブレード面16Aを形成している。
ソール部18は、フェース部12の下部とバックフェース部14の下部とを接続しバックフェース部14よりも後方に延在している。
ソール部18の下面がソール面18Aを形成し、ソール部18の上面がソール部上面18Bを形成している。
中空部20は、フェース部12とブレード部16とバックフェース部14とソール部18のうちフェース部12寄りの箇所とによって区画された閉塞空間で構成されている。
中空部20は、フェース部側中空部2002と、ソール部側中空部2004とを備えている。
フェース部側中空部2002は、フェース部12とバックフェース部14とブレード部16との間に位置し左右方向および上下方向に延在している。
ソール部側中空部2004は、フェース部側中空部2002の下部に接続されソール部18の内部に位置してバックフェース部14よりも後方の箇所まで延在している。
また、
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、バックフェース部14よりも後方で上方を向いたソール部上面18Bとバックフェース面14Aとで形成されるキャビティ部24が外部に開放されたキャビティータイプのゴルフクラブヘッドを構成している。
ブレード部16の左右方向の一端寄りの箇所にはホーゼル26が起立され、ホーゼル26に不図示のシャフト軸の一端が挿入して取着されることでのシャフト軸がゴルフクラブヘッド10に連結される。
【0009】
図3、
図4、
図5は、ゴルフクラブヘッド10を水平面H(基準面)に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態で、水平面Hと直交しフェース面12Aの一番長いスコアライン22の中点を通り前後方向に延在する平面でゴルフクラブヘッド10を破断した断面1002を示している。
図3に示すように、断面1002においてソール部18の前端1802とソール部18の後端1804とを結ぶ直線を基準面に投影したときの距離をソール部長さSとし、ソール部長さSを20mm以上50mm以下とした。
ソール部長さSを20mm以上50mm以下とすると、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えず、構え易さを確保でき、打球の飛距離、方向性を向上させる上で有利となる。
ソール部長さSが20mmを下回り、あるいは、50mmを上回ると、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えやすく、構え易さを損ね、打球の飛距離、方向性に悪影響を与える。
【0010】
図4に示すように、断面1002においてブレード面16Aのフェース面12A側の端部1602とブレード面16Aのバックフェース面14A側の端部1604とを結ぶ直線をフェース面12Aの法線に投影したときの距離をブレード部たわみ幅BLとし、ブレード部たわみ幅BLを5mm以上15mm以下とした。
ブレード部たわみ幅BLを5mm以上15mm以下とすると、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えにくく、かつ、ブレード部16のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となる。
ブレード部たわみ幅BLが5mmを下回ると、ブレード部16のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となり、また、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えやすく、構え易さを損ねる。
また、ブレード部たわみ幅BLが15mmを上回ると、ブレード部16のたわみ量を確保して飛距離は向上できるものの、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えやすく、構え易さを損ねる。
【0011】
図4に示すように、断面1002においてブレード面16Aの上端1610とブレード面16Aのバックフェース面14A側の端部1604とを結ぶ直線を水平面Hに対して直交する直線に投影したときの距離をブレード部たわみ長さBHとし、ブレード部たわみ長さBHを5mm以上15mm以下とした。
ブレード部たわみ長さBHを5mm以上15mm以下とすると、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えにくく、かつ、ブレード部16のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となる。
ブレード部たわみ長さBHが5mmを下回ると、ブレード部16のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となり、また、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えやすく、構え易さを損ねる。
ブレード部たわみ長さBHが15mmを上回ると、ブレード部16のたわみ量を確保して飛距離は向上できるものの、ゴルフクラブを構えた際にゴルフクラブヘッド10の外観形状がゴルファーに違和感を与えやすく、構え易さを損ねる。
【0012】
図4に示すように、断面1002において水平面Hから15mmの高さのバックフェース面14Aの点1402を通る法線に沿ったフェース面12Aからバックフェース面14Aまでの距離をヘッド幅HWとし、ヘッド幅HWを5mm以上15mm以下とした。
ヘッド幅HWを5mm以上15mm以下とすると、フェース部12およびバックフェース部14の耐久性を確保しつつ、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となる。
ヘッド幅HWが5mmを下回ると、フェース部12およびバックフェース部14の耐久性を確保できるものの、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となる。
ヘッド幅HWが15mmを上回ると、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量を確保して飛距離は向上できるものの、フェース部12およびバックフェース部14がたわんだ際に発生する応力が大きくなるため、フェース部12およびバックフェース部14の耐久性の向上を図る上で不利となる。
【0013】
図4に示すように、断面1002においてソール部側中空部2004の後端2004Aを通るフェース面12Aの法線に沿ったフェース面12Aから後端2004Aまでの距離をソール部たわみ長さSLとし、ソール部たわみ長さSLをブレード部たわみ幅BLの1.5倍以上2.5倍以下とした。
ソール部たわみ長さSLをブレード部たわみ幅BLの1.5倍以上2.5倍以下とすると、フェース部12寄りのソール部18の耐久性を確保しつつ、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となる。
ソール部たわみ長さSLがブレード部たわみ幅BLの1.5倍を下回ると、フェース部12寄りのソール部18の耐久性を確保できるものの、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となる。
ソール部たわみ長さSLがブレード部たわみ幅BLの2.5倍を上回ると、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となるものの、フェース部12寄りのソール部18がたわんだ際に発生する応力が大きくなるため、フェース部12寄りのソール部18の耐久性の向上を図る上で不利となる。
【0014】
図5に示すように、断面1002においてフェース部12の最大肉厚をFTmaxとしたときに、ブレード部16の肉厚BTを最大肉厚FTmaxの0.3倍以上0.8倍以下とした。
言い換えると、断面1002においてフェース面12Aの反対側に位置するフェース裏面12B上でフェース部12の最大肉厚FTmaxとなる点1202を通りフェース面12Aと平行する平面を第1の仮想面P1としたときに、第1の仮想面P1とブレード面16Aのバックフェース面14A側の端部1604との間A1に位置するブレード部16の肉厚BTを最大肉厚FTmaxの0.3倍以上0.8倍以下とした。
ブレード部16の肉厚BTを最大肉厚FTmaxの0.3倍以上0.8倍以下とすると、ブレード部16の耐久性を確保しつつ、ブレード部16のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となる。
ブレード部16の肉厚BTが最大肉厚FTmaxの0.3倍を下回ると、ブレード部16の耐久性を確保できるものの、ブレード部16のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となる。
ブレード部16の肉厚BTが最大肉厚FTmaxの0.8倍を上回ると、ブレード部16のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となるものの、ブレード部16がたわんだ際に発生する応力が大きくなるため、ブレード部16の耐久性を確保する上で不利となる。
【0015】
図5に示すように、断面1002においてソール部側中空部2004に位置するソール部18のソール面18A側の肉厚STを最大肉厚FTmaxの0.3倍以上0.8倍以下とした。
言い換えると、断面1002において第1の仮想面P1と第1の仮想面P1と平行しソール部側中空部2004の後端を通る第2の仮想面P2との間A2に位置するソール部18の肉厚STを最大肉厚FTmaxの0.3倍以上0.8倍以下とした。
ソール部18の肉厚STを最大肉厚FTmaxの0.3倍以上0.8倍以下とすると、フェース部12寄りのソール部18の耐久性を確保しつつ、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となる。
ソール部18の肉厚STが最大肉厚FTmaxの0.3倍を下回ると、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量を確保して飛距離の向上を図る上で有利となるものの、フェース部12寄りのソール部18がたわんだ際に発生する応力が大きくなるため、フェース部12寄りのソール部18の耐久性の向上を図る上で不利となる。
ソール部18の肉厚STが最大肉厚FTmaxの0.8倍を上回ると、フェース部12寄りのソール部18の耐久性を確保できるものの、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となる。
【0016】
また、本実施の形態では、
図5に示すように、断面1002においてバックフェース部14の肉厚BFTを0.8mm以上1.5mm以下とし、バックフェース面14Aを平面形状とした。
なお、バックフェース面14Aが平面形状を呈しているとは、バックフェース面14Aが、以下の規定を満たすものとする。
バックフェース面14Aの水平方向の最大距離の中点を通り水平方向と直交する仮想線上においてバックフェース面14Aの上端から下方に15mm離間した箇所をバックフェース面中心点とする。
バックフェース面14Aは、バックフェース面中心点を中心にして水平方向に40mmの範囲における凹凸の差が0.8mm以下であり、かつ、バックフェース面14A中心点を中心にして水平方向と直交する方向に25mmの範囲における凹凸の差が0.8mm以下である。より好ましくは、水平方向と垂直方向共に凹凸段差0.4mm以下である。
そして、
図6に示すように、バックフェース面14Aには振動減衰機能を有する板状の銘板28が取着されている。
【0017】
銘板28は、バックフェース面14Aに取着されるものであり、本実施の形態では、銘板28は、バックフェース面14Aの輪郭よりも一回り小さい輪郭を有している。
銘板28は、同一の輪郭形状を有しそれぞれ板状に形成された表面板部2802と粘弾性体2804とを有し、表面板部2802と粘弾性体2804とがそれらの厚さ方向に重ね合わされて接合されている。
表面板部2802は、ロゴマークなどが表示されている。
銘板28は、粘弾性体2804を挟んで表面板部2802がバックフェース面14Aに取着されている。
銘板28は、堅い表面板部2802および粘弾性を有する粘弾性体2804が重ね合わされることで振動吸収用のダンピング部材として機能する。
したがって、ロゴマークなどが表示された銘板28に代えてロゴマークなどが表示されないダンピング部材をバックフェース面14Aに取着してもよい。
【0018】
バックフェース面14Aを平面形状としバックフェース部14の肉厚BFTを0.8mm以上1.5mm以下とすると、打球時に発生する固有振動数が2000kHz〜8000kHzの範囲となり、打球音を心地良いものとする上で有利となる。
バックフェース部14の肉厚BFTが0.8mmを下回ると、打球時に発生する固有振動数が2000kHzを下回り、打球音が低音過ぎて心地良い打球音を得る効果が低下する。
バックフェース部14の肉厚BFTが1.5mmを上回ると、打球時に発生する固有振動が8000kHzを上回り、打球音が高音過ぎて心地良い打球音を得る効果が低下する。
また、銘板28をバックフェース面14Aに取着することでバックフェース部14の振動を抑制すると、バックフェース部14の固有振動による残響を抑制するため、心地良い打球音を得る上でより有利となる。
銘板28をバックフェース面14Aに取着しないと、バックフェース部14の固有振動による残響が長く続くため、心地良い打球音を得る効果が低下する。
【0019】
ここで、打球音についてさらに説明する。
バックフェース部14の1次や2次の固有振動数が2000Hz以上8000Hz以下が重要である。
1次や2次の固有振動数が2000Hz以上8000Hz以下であると、ゴルフクラブヘッド10でボールを打球した際に生じる打球音が適切な周波数でかつ残響を感じさせるため、ゴルファーにとって心地良いものとなる。
1次や2次の固有振動数が2000Hzを下回ると、ゴルフクラブヘッド10でボールを打球した際に生じる打球音が低すぎて、ゴルファーにとって心地良いものとなりにくい。
1次や2次の固有振動数が8000Hzを上回ると、ゴルフクラブヘッド10でボールを打球した際に生じる打球音が高すぎるため、また、残響がほとんど感じられないため、打球音がゴルファーにとって心地良いものとなりにくい。
【0020】
バックフェース部14の1次や2次の固有振動数の求め方について説明する。
バックフェース部14の1次や2次の固有振動数は、ゴルフクラブヘッド10のCADデータからシミュレーションによって求める方法と、ゴルフクラブヘッド10から実測により求める方法との何れの方法によっても求めることができる。
【0021】
まず、シミュレーションによってバックフェース部14の1次や2次の固有振動数を求める方法について説明する。
1)ゴルフクラブヘッド10のデータを作成する。
具体的には、ゴルフクラブヘッド10についてレーザースキャン等を用いて寸法測定を行うことにより、CADデータ(外面データ)を作成する。
2)次に、CADデータから有限要素法に基づいてFEMモデルを作成する。
3)次に、FEMモデルに基づいて固有値解析を行なう。この場合、特定固有振動数での変形具合を見て、1次と2次の固有振動数を求める。
図7(A)〜(C)に示すように、1次の固有振動は、リーディングエッジを中心としてフェース部12およびバックフェース部14と、ソール部18とが互いに離間接近するように変形する振動である。
図8(A)、(B)に示すように、2次の固有振動は、トウヒール方向においてフェース部12、バックフェース部14、ソール部18がねじれるように変形する振動である。
【0022】
次に、ゴルフクラブヘッド10から実測によってバックフェース部14の1次や2次の固有振動数を求める方法について説明する。
以下の2種類の方法がある。
1)バックフェース部14に加速度ピックアップを取り付けておく。
ゴルフクラブヘッド10を加振することにより発生するバックフェース部14の振動の加速度信号を加速度ピックアップで測定し、加速度信号の周波数分析を行うことで1次や2次の共振周波数(固有振動数)を測定する。
2)バックフェース部14をレーザ振動計(レーザドップラ振動計)で測定する。加振により発生するバックフェース部14の振動の加速度信号をレーザ振動計で測定し、加速度信号の周波数分析を行うことで1次や2次の共振周波数を測定する。
【0023】
ところで、加速度信号を測定する場合、
図9に示すように、周波数分析の結果、加速度Lが同程度の第1、第2の周波数f1、f2によって2つのピークが得られた場合、第1、第2の周波数f1、f2の中間の周波数を真の1次や2次の共振周波数として特定することが1次や2次の共振周波数をより正確に評価する上で好ましい。
そこで、例として、本実施の形態では、以下に示す手順によって、第1、第2の周波数f1、f2の加重平均を算出することにより真の1次共振周波数f0を求める。
【0024】
図10は、
図9におけるピーク部分の拡大図である。
図10に示すように、例えば、データDnをピーク値として、その前後の複数のデータDn−1、Dn−2、Dn+1、Dn+2は、データDnから離れるにしたがって低下する。
しかしながら、各データは離散的に計測されていることから、
図10に示す例では、真のピーク値は図中記号●で示すように、データDnよりもさらに高い値であることが予測される。
したがって、
図11の式(1)により第1の周波数f1の真のピーク値L1を求め、式(2)により第2の周波数f2の真のピーク値L2を求める。式(1)、式(2)において、Liは複数のデータを示している。なお、データDn−1、Dn−2、Dn+1、Dn+2と5個のデータを用いる場合を例示したが、データの個数は任意である。
【0025】
真のピーク値L1、L2が求められたならば、
図11の式(3)、式(4)により、dB値で示されている加速度のピーク値L1、L2をそれぞれ加速度のリニア値Acc1、Acc2に変換する。
次に、
図11の式(5)〜(8)により、加速度のリニア値Acc1、Acc2を変位Disp1、Disp2に変換する。
変位Disp1、Disp2が求められたならば、
図11の式(9)により変位Disp1、Disp2を用いて第1、第2の周波数f1、f2の加重平均を求め、この加重平均の値を真の1次共振周波数f0として得る。
【0026】
なお、人間の聴覚の特性上、1次や2次の共振周波数が2000Hz以上である打球音はゴルファーにとって心地良いものと評価され、1次や2次の共振周波数が2000Hzを下回る打球音はゴルファーにとって心地良いと評価され難い。
また、打球音の残響時間は、短い方がゴルファーにとって心地良いものと評価され、長くなるほどゴルファーにとって心地良いと評価され難い。
【0027】
以上説明したように本実施の形態によれば、フェース部12とバックフェース部14との間に位置するフェース部側中空部2002と、フェース部側中空部2002の下部に接続されソール部18の内部に位置してバックフェース部14よりも後方の箇所まで延在するソール部側中空部2004とを有するキャビティータイプのアイアン用ゴルフクラブのゴルフクラブヘッド10において、予め定められたゴルフクラブヘッド10の断面1002においてソール部長さS、ブレード部たわみ幅BL、ブレード部たわみ長さBH、ヘッド幅HW、ソール部たわみ長さSL、ブレード部16の肉厚BT、ソール部18の肉厚STを上記のように規定した。
したがって、ブレード部16のたわみ量、フェース部12寄りのソール部18のたわみ量を確保でき、飛距離の増大、スイートスポットの拡大を図る上で有利となり、耐久性、構えやすさを得る上でも有利となる。
また、バックフェース部14の肉厚BFTを上記のように規定すると共に、平面形状を呈するバックフェース面14Aに振動減衰機能を有する板状の銘板28あるいはダンピング部材を取着したので、心地良い打球音を得る上でも有利となる。
【0028】
以下、本発明の実験例について説明する。
図12は本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となるゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、後述する5つの評価項目を測定しその平均値を求めた。
試料となるゴルフクラブヘッド10のロフト角は全て21度とした。
また、評価項目のうち、飛距離、構えやすさ、打球音(高低)、打球音(残響)の評価は、1本のゴルフクラブヘッド10について5人のゴルファーがゴルフボールを実際に10打ずつ打撃してその平均値を求めた。
各実験例の飛距離、耐久性、構えやすさ、打球音(高低)、打球音(残響)の評価は、実験例1のゴルフクラブヘッド10の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど評価が良いことを示す。
また、5種類の評価項目の指数の合計を求めた。
【0029】
5種類の評価項目は以下のとおりである。
1)飛距離
実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の飛距離を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど飛距離が長いことを示す。
【0030】
2)耐久性
シャフトに固定したゴルフクラブヘッド10のフェース面12Aにエアキャノンにてゴルフボールを繰り返して当て、フェース部12の変形や破損が生じるまでに要した打撃回数を計測し、打撃回数を指数化した。ボールスピードは50m/sとした。
この場合、実験例1のゴルフクラブヘッド10の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど評価が良いことを示す。
【0031】
3)構えやすさ
実際にゴルフクラブヘッド10を構えたときの構え易さを指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど構え易いことを示す。
【0032】
4)打球音(高低)
実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の打球音の高低を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど評価が良いことを示す。なお、前述したように、人間の聴覚の特性上、1次、2次の共振周波数が2000kHz〜8000kHzの打球音はゴルファーにとって心地良いものと評価され、1次共振周波数が4000Hz以下の打球音はゴルファーにとって心地良いと評価され難い。したがって、打球音の高低の評価が高いということは、打球音の1次、2次の共振周波数が2000kHz〜8000kHzであるということができる。
【0033】
5)打球音(残響)
実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の打球音の残響時間を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど評価が良いことを示す。また、打球音の残響時間は、長い方がゴルファーにとって心地良いものと評価され、短くなるほどゴルファーにとって心地良いと評価され難い。したがって、打球音の残響の評価が高いということは、打球の残響音が長いということができる。
【0034】
また、上記5種類の評価項目に加えて、バックフェース部14の1次、2次の共振周波数についても評価した。共振周波数の測定方法は前述した方法に準じて行った。
なお、
図12において、ソール部たわみ長さSLについては、(ソール部たわみ長さSL)/(ブレード部たわみ幅BL)の値を記載すると共に、ソール部たわみ長さSL(mm)を()内に併記している。
【0035】
次に、各実験例1〜38の構成について説明する。
実験例1は、比較例であり、本発明の範囲外である。
実験例2、3、4、19、20、24〜38は本発明の範囲内である。
実験例5〜18、21〜23は本発明の範囲外である。
【0036】
実験例2、3、4、25〜38は、請求項1、2の全ての規定を全て満たすものである。
実験例19、20、24は、請求項1の全ての規定を満たすが、請求項2の規定を満たさないものである。
なお、実験例1〜23、25〜38は銘板28が貼り付けられており、実験例24は銘板28が貼り付けられていない。
【0037】
実験例1は、従来例に相当するものであり、ブレード部たわみ長さBHが4mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
また、実験例1は、ソール部たわみ長さSL=BL*1.4であり、請求項1の規定のうち、BL*1.5≦SL≦BL*2.5の範囲を下回っている。
【0038】
実験例2は、請求項1、2の規定の全てを満たしている。
したがって、飛距離130、耐久性100、構えやすさ130、打球音(高低)130、打球音(残響)130、合計620と、評価が最も良いものとなっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0039】
実験例3は、請求項1の規定を満たしているが、バックフェース部14の肉厚BFTが1.5mmであり、請求項2の規定のうち、0.8mm以上1.5mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離130、耐久性100、構えやすさ129、打球音(高低)125、打球音(残響)125、合計609となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は8000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0040】
実験例4は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ヘッド幅HWが5mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離122、耐久性103、構えやすさ122、打球音(高低)128、打球音(残響)127、合計602となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5550kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0041】
実験例5は、ブレード部肉厚BT=FTmax*1.0であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲を上回っている。
したがって、飛距離79、耐久性83、構えやすさ120、打球音(高低)121、打球音(残響)119、合計522となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例5は、ブレード部肉厚BTが厚すぎるため、ブレード部16のたわみ量が少なく飛距離を確保する上で不利となっている。
【0042】
実験例6は、ブレード部肉厚BT=FTmax*0.2であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲を下回っている。
したがって、飛距離126、耐久性59、構えやすさ117、打球音(高低)115、打球音(残響)113、合計530となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は4500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例6は、ブレード部肉厚BTが薄すぎるため、ブレード部16のたわみ量を多くでき飛距離を向上できる反面、耐久性が低下している。
【0043】
実験例7は、ソール部肉厚ST=FTmax*0.9であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲を上回っている。
したがって、飛距離57、耐久性93、構えやすさ124、打球音(高低)126、打球音(残響)127、合計527となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例7は、ソール部肉厚STが厚すぎるため、ソール部18のたわみ量が少なく飛距離が低下する不利がある。
【0044】
実験例8は、ソール部肉厚ST=FTmax*0.2であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲を下回っている。
したがって、飛距離126、耐久性48、構えやすさ117、打球音(高低)116、打球音(残響)120、合計527となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例8は、ソール部肉厚STが薄すぎるため、ソール部18のたわみ量を多くして飛距離を向上できる反面、耐久性が低下している。
【0045】
実験例9は、ソール部長さSが55mmであり、請求項1の規定のうち20mm以上50mm以下の範囲を上回っている。
したがって、飛距離124、耐久性96、構えやすさ75、打球音(高低)117、打球音(残響)114、合計526となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例9は、ソール部長さSが長すぎるため、構えやすさが低下している。
【0046】
実験例10は、ソール部長さSが17mmであり、請求項1の規定のうち20mm以上50mm以下の範囲を下回っている。
したがって、飛距離106、耐久性97、構えやすさ72、打球音(高低)124、打球音(残響)127、合計526となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例10は、ソール部長さSが短すぎるため、構えやすさが低下している。
【0047】
実験例11は、ブレード部たわみ幅BLが18mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲を上回っている。
したがって、飛距離91、耐久性102、構えやすさ79、打球音(高低)126、打球音(残響)127、合計525となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は3500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例11は、ブレード部たわみ幅BLが長すぎるため、構えやすさが低下している。
【0048】
実験例12は、ブレード部たわみ幅BLが3mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
したがって、飛距離61、耐久性99、構えやすさ120、打球音(高低)124、打球音(残響)121、合計525となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例12は、ブレード部たわみ幅BLが短すぎるため、ブレード部16のたわみ量が少なく飛距離が低下する不利がある。
【0049】
実験例13は、ブレード部たわみ長さBHが19mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲を上回っている。
したがって、飛距離120、耐久性91、構えやすさ76、打球音(高低)119、打球音(残響)118、合計524となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例13は、ブレード部たわみ長さBHが長すぎるため、ブレード部16のたわみ量を多くして飛距離を向上できる反面、構えやすさが低下する不利がある。
【0050】
実験例14は、ブレード部たわみ長さBHが2mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
したがって、飛距離76、耐久性93、構えやすさ117、打球音(高低)117、打球音(残響)119、合計522となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例14は、ブレード部たわみ長さBHが短すぎるため、ブレード部16のたわみ量が少なく飛距離が低下する不利がある。
【0051】
実験例15は、ソール部たわみ長さSL=BL*2.9であり、請求項1の規定のうち、BL*1.5≦SL≦BL*2.5の範囲を上回っている。
したがって、飛距離120、耐久性56、構えやすさ117、打球音(高低)115、打球音(残響)117、合計525となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例15は、ソール部たわみ長さSLが長すぎるため、ソール部18のたわみ量を多くして飛距離を向上できる反面、耐久性が低下する不利がある。
【0052】
実験例16は、ソール部たわみ長さSL=BL*1.1であり、請求項1の規定のうち、BL*1.5≦SL≦BL*2.5の範囲を下回っている。
したがって、飛距離76、耐久性95、構えやすさ121、打球音(高低)118、打球音(残響)117、合計527となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は4500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例16は、ソール部たわみ長さSLが短すぎるため、ソール部18のたわみ量が少なく飛距離が低下する不利がある。
【0053】
実験例17は、ヘッド幅HWが18mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲を上回っている。
したがって、飛距離119、耐久性71、構えやすさ121、打球音(高低)108、打球音(残響)111、合計530となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は3500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例17は、ヘッド幅HWが長すぎるため、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量を確保して飛距離は向上できるものの、耐久性の向上を図る上で不利となる。
【0054】
実験例18は、ヘッド幅HWが3mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
したがって、飛距離77、耐久性96、構えやすさ123、打球音(高低)109、打球音(残響)118、合計523となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は7000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例18は、ヘッド幅HWが短すぎるため、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量が少なく、飛距離の向上を図る上で不利となる。
【0055】
実験例19は、請求項1の規定を満たしているが、バックフェース部14の肉厚BFTが1.8mmであり、請求項2の規定の0.8mm以上1.5mm以下の範囲を上回っている。
したがって、飛距離125、耐久性96、構えやすさ128、打球音(高低)96、打球音(残響)97、合計542となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は9000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲を上回っており高音傾向の打球音となっている。
すなわち、実験例19は、飛距離の向上を図る上では有利であるが、バックフェース部14の肉厚BFTが厚すぎるため、打球音(高低)、打球音(残響)を向上する効果が少なくなっている。
【0056】
実験例20は、請求項1の規定を満たしているが、バックフェース部14の肉厚BFTが0.6mmであり、請求項2の規定の0.8mm以上1.5mm以下の範囲を下回っている。
したがって、飛距離123、耐久性95、構えやすさ129、打球音(高低)95、打球音(残響)98、合計540となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は1800kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲を下回っており低音傾向の打球音となっている。
すなわち、実験例20は、飛距離の向上を図る上では有利であるが、バックフェース部14の肉厚BFTが薄すぎるため、打球音(高低)、打球音(残響)を向上する効果が少なくなっている。
【0057】
実験例21は、ソール部たわみ長さSL=BL*2.7であり、請求項1の規定のうち、BL*1.5≦SL≦BL*2.5の範囲を上回っている。
また、バックフェース部14の肉厚BFTが0.7mmであり、請求項2の規定のうち、0.8mm以上1.5mm以下の範囲を下回っている。
したがって、飛距離83、耐久性99、構えやすさ128、打球音(高低)99、打球音(残響)101、合計510となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は1900kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲を下回っており低音傾向の打球音となっている。
すなわち、実験例21は、ソール部たわみ長さSLが短すぎるため、ソール部18のたわみ量が少なく飛距離が低下し、バックフェース部14の肉厚BFTが薄すぎるため、打球音(高低)、打球音(残響)を向上する上で不利となっている。
【0058】
実験例22は、ヘッド幅HWが3mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
また、ソール部肉厚ST=FTmax*0.9であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲を上回っている。
したがって、飛距離74、耐久性96、構えやすさ79、打球音(高低)118、打球音(残響)117、合計484となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例22は、ヘッド幅HWが短すぎるため、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量が少なく、かつ、ソール部肉厚STが厚すぎるため、ソール部18のたわみ量が少ないため、飛距離が低下する不利がある。
また、ブレード部たわみ長さBHが長すぎるため、構えやすさが低下している。
【0059】
実験例23は、ブレード部たわみ幅BLが17mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
また、ヘッド幅HWが3mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲を下回っている。
また、ブレード部肉厚BT=FTmax*0.2であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲を下回っている。
したがって、飛距離89、耐久性63、構えやすさ86、打球音(高低)119、打球音(残響)119、合計476となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は4500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
すなわち、実験例23は、ブレード部たわみ幅BL、ヘッド幅HW、ブレード部肉厚BTの数値が何れも小さすぎるため、ブレード部16のたわみ量、フェース部12およびバックフェース部14のたわみ量が少なく、飛距離が低下する不利がある。
また、ブレード部肉厚BTが薄すぎるため、耐久性が低下している。
【0060】
実験例24は、請求項1の規定を満たしているが、銘板28が貼り付けられておらず請求項2の規定を満たしていない。なお、バックフェース部14の肉厚BFTは1.1mmであり、請求項2の規定の0.8mm以上1.5mm以下の範囲内である。
したがって、飛距離124、耐久性97、構えやすさ129、打球音(高低)95、打球音(残響)96、合計541となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は8500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲を上回っており高音傾向の打球音となっている。
すなわち、実験例24は、飛距離の向上を図る上では有利であるが、銘板28が貼り付けられていないため、打球音(高低)、打球音(残響)を向上する効果が少なくなっている。
【0061】
実験例25は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ソール部長さSが50mmであり、請求項1の規定のうち20mm以上50mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離119、耐久性99、構えやすさ127、打球音(高低)127、打球音(残響)128、合計600となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0062】
実験例26は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ソール部長さSが20mmであり、請求項1の規定のうち20mm以上50mm以下の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離126、耐久性95、構えやすさ125、打球音(高低)124、打球音(残響)126、合計596となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0063】
実験例27は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ブレード部たわみ幅BLが15mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離123、耐久性102、構えやすさ124、打球音(高低)126、打球音(残響)127、合計602となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は4000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0064】
実験例28は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ブレード部たわみ幅BLが5mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離122、耐久性101、構えやすさ125、打球音(高低)127、打球音(残響)125、合計600となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0065】
実験例29は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ブレード部たわみ長さBHが15mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離126、耐久性97、構えやすさ125、打球音(高低)125、打球音(残響)124、合計597となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0066】
実験例30は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ブレード部たわみ長さBHが5mmであり、請求項1の規定のうち5mm以上15mm以下の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離125、耐久性98、構えやすさ124、打球音(高低)124、打球音(残響)125、合計596となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0067】
実験例31は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ソール部たわみ長さSL=BL*2.5であり、請求項1の規定のうち、BL*1.5≦SL≦BL*2.5の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離126、耐久性95、構えやすさ125、打球音(高低)124、打球音(残響)127、合計597となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0068】
実験例32は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ソール部たわみ長さSL=BL*1.5であり、請求項1の規定のうち、BL*1.5≦SL≦BL*2.5の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離123、耐久性99、構えやすさ127、打球音(高低)125、打球音(残響)124、合計598となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は4500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0069】
実験例33は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ブレード部肉厚BT=FTmax*0.8であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離124、耐久性98、構えやすさ124、打球音(高低)125、打球音(残響)125、合計596となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0070】
実験例34は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ブレード部肉厚BT=FTmax*0.3であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離126、耐久性96、構えやすさ125、打球音(高低)125、打球音(残響)126、合計598となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0071】
実験例35は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ソール部肉厚ST=FTmax*0.8であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離123、耐久性101、構えやすさ124、打球音(高低)126、打球音(残響)127、合計601となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は6000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0072】
実験例36は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ソール部肉厚ST=FTmax*0.3であり、請求項1の規定のうち、FTmax*0.3≦BT≦FTmax*0.8の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離126、耐久性95、構えやすさ123、打球音(高低)126、打球音(残響)127、合計597となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は5000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0073】
実験例37は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、ヘッド幅HWが15mmであり、請求項1の規定のうち、5mm以上15mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、飛距離125、耐久性96、構えやすさ126、打球音(高低)124、打球音(残響)127、合計598となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は3500kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0074】
実験例38は、請求項1、2の規定の全てを満たしているが、バックフェース部14の肉厚BFTが0.8mmであり、請求項2の規定のうち、0.8mm以上1.5mm以下の範囲の下限値となっている。
したがって、飛距離129、耐久性101、構えやすさ129、打球音(高低)127、打球音(残響)126、合計612となっている。
また、バックフェース部14の固有振動数は2000kHzであり、2000kHz以上8000kHzの範囲内であり良好な打球音となっている。
【0075】
図12、
図13に示すように、本発明の範囲内の実験例2、3、4、19、20、24〜38は、指数の合計点が、540〜620であるのに対し、本発明の範囲外の実験例5〜18、21〜23は、指数の合計点が476〜530であり、本発明の規定を満たすことが、飛距離、耐久性、構えやすさ、打球音(高低)、打球音(残響)を確保する上で有利となっていることがわかる。
【0076】
以下、各評価項目について検討する。
1)飛距離
本発明の範囲内であり、請求項1、2の規定の全てを満たす実験例2、3、4、25〜38は、飛距離が119〜130であり、飛距離が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定は満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例19、20、24は、飛距離が123〜125であり、飛距離については請求項1、2の規定の全てを満たす実験例と同等である。
本発明の範囲外であり、請求項1の規定を満たさない実験例5〜18、21〜23は、飛距離が57〜126であり、本発明の範囲内で請求項1、2の規定の全てを満たすものに対して本発明の範囲外のものは飛距離についての効果が低い。
【0077】
2)耐久性
本発明の範囲内であり、請求項1、2の規定の全てを満たす実験例2、3、4、25〜38は、耐久性が95〜103であり、耐久性が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定は満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例19、20、24は、耐久性が95〜97であり、耐久性については請求項1、2の規定の全てを満たす実験例に次いで優れている。
本発明の範囲外であり、請求項1の規定を満たさない実験例5〜18、21〜23は、耐久性が48〜102であり、本発明の範囲内で請求項1、2の規定の全てを満たすものに対して本発明の範囲外のものは耐久性についての効果が低い。
【0078】
3)構えやすさ
本発明の範囲内であり、請求項1、2の規定の全てを満たす実験例2、3、4、25〜38は、構えやすさが122〜130であり、構えやすさが最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定は満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例19、20、24は、構えやすさが128、129であり、構えやすさについては請求項1、2の規定の全てを満たす実験例と同等である。
本発明の範囲外であり、請求項1の規定を満たさない、請求項1の規定を満たさない実験例5〜18、21〜23は、構えやすさが72〜128であり、本発明の範囲内で請求項1、2の規定の全てを満たすものに対して本発明の範囲外のものは構えやすさについての効果が低い。
【0079】
4)打球音(高低)
本発明の範囲内であり、請求項1、2の規定の全てを満たす実験例2、3、4、25〜38は、打球音(高低)が124〜130であり、打球音(高低)が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定は満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例19、20、24は、打球音(高低)が95、99であり、打球音(高低)については請求項1、2の規定の全てを満たす実験例に次いで優れている。
本発明の範囲外であり、請求項1の規定を満たさない、実験例5〜18、21〜23は、打球音(高低)が95〜126であり、本発明の範囲内で請求項1、2の規定の全てを満たすものに対して本発明の範囲外のものは打球音(高低)についての効果が低い。
【0080】
5)打球音(残響)
本発明の範囲内であり、請求項1、2の規定の全てを満たす実験例2、3、4、25〜38は、打球音(残響)が124〜130であり、打球音(残響)が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定は満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例19、20、24は、打球音(残響)が96〜98であり、打球音(残響)については請求項1、2の規定の全てを満たす実験例に次いで優れている。
本発明の範囲外であり、請求項1の規定を満たさない実験例5〜18、21〜23は、打球音(残響)が101〜127であり、本発明の範囲内で請求項1、2の規定の全てを満たすものに対して本発明の範囲外のものは打球音(残響)についての効果が低い。
【0081】
6)合計点
本発明の範囲内であり、請求項1、2の規定の全てを満たす実験例2、3、4、25〜38は、合計点が596〜620であり、合計点が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定は満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例19、20、24は、合計点が540〜542であり、合計点については請求項1、2の規定の全てを満たす実験例に次いで優れている。
本発明の範囲外であり、請求項1の規定を満たさない実験例5〜18、21〜23は、合計点が476〜530であり、本発明の範囲内で請求項1、2の規定の全てを満たすものに対して本発明の範囲外のものは合計点についての効果が低い。