(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記優先度に対応する送信許容量が送信しようとするパケット群でのパケットサイズの総和を下回ると、対抗する受信装置に少なくても送信制限に関する情報を含む送信制限通知信号を送信する送信制限通知部をさらに備え、
上記送信可否判定手段は、送信制限通知信号の送信後、所定の条件により、通信プロトコルを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
受信装置の受信待機状態に合わせて、1種又は2種以上のパケットを含むパケット群を送信する送信装置と、受信周期毎に間欠的に生じる起動時間の間だけスリープ状態から受信待機状態に変化して、上記送信装置が、ウェークアップパケットに続いて送信したデータ信号パケットを受信し、データ信号パケットの受信時に受信応答信号パケットを対向する上記送信装置に返信する上記受信装置とを有する通信システムにおいて、
上記送信装置として、請求項1又は2に記載の送信装置を適用したことを特徴とする通信システム。
【背景技術】
【0002】
例えば、センサネットワークを構成するノードは、省電力通信を行うようになされている。省電力通信の代表的な方法として受信ノードが間欠動作する方法があり、例えば、CSL(Coordinated Sampled Listening)は、この受信ノードの間欠動作方法を採用している通信規格である(非特許文献1参照)。
【0003】
CSLでは、CSL受信周期(CSLPeriod、以下「受信周期」とも呼ぶ)、最大CSL期間(CSLMaxPeriod、以下「最大受信周期」とも呼ぶ)、起動時間を各ノードに予め設定しておく。最大受信周期は、送信ノード側から見ればウェークアップ信号パケットの繰り返し送信時間となっている。また、起動時間は、受信ノードがウェークアップしている受信待機時間になっている。
【0004】
データを送信しようとする送信ノードSは、まず、非同期送信モードでデータの送信動作を実行する。非同期送信モードの動作は、以下のようなものである。ウェークアップ信号パケットを最大受信周期の間、受信ノードRに向けて繰り返し送信する。ウェークアップ信号パケットにはデータ信号パケット送信までの残り時間を表すランデブー時刻(RZTime)を記述する。ウェークアップ信号パケットを1最大受信周期送信し終われば、引き続きデータ信号パケットをノードRに送信する。
【0005】
ノードRは、1受信周期の内、起動時間だけ受信待機状態となり、それ以外の時間は受信動作を行わないスリープ状態となっている。ノードRが受信待機状態においてノードSからのウェークアップ信号パケットを受信すれば、その信号中のランデブー時刻を取得する。そして、ランデブー時刻の直前までスリープした後起動し(受信待機状態)、ノードSからのデータ信号パケットを受信する。
【0006】
ノードRは、データ信号パケットを受信すれば受信応答信号ACKをノードSに返送する。ACKには受信周期と、受信タイミングのずれを表すフェーズ(CSLPhase)を挿入する。
【0007】
ノードSは、ノードRから受信応答信号ACKを受信しなければデータの再送を行う。ノードSは、再び受信応答信号ACKを受信しなければ、さらに再送を行う。ノードSは、ノードRから受信応答信号ACKを受信するまで、この再送処理を予め設定した最大再送回数まで繰り返し行う。
【0008】
ノードSは、ノードRから受信応答信号ACKを受信しなければ、次のデータ送信時も再び非同期モードでノードRに対しウェークアップ信号パケットを繰り返し送信した後に、データ送信を行う。
【0009】
ノードSは、ノードRから受信応答信号ACKを受信すれば同期送信モードになる。ノードSは、受信応答信号ACK中の受信周期、フェーズを保持しノードRとの同期の補正を行う。そして、ノードSは、ノードRへの次のデータ送信時に、補正後の送信タイミングで送信を行う。
【0010】
ここで、ネットワークまたは使用無線周波数によっては所定時間当りの送信量に制限が設けられていることがある。
【0011】
例えば、非特許文献2の規格では、ノードの送信時間は、直近3600秒の内、359.6秒以内であることと規定されている。この場合、データ信号パケット、ウェークアップ信号パケット等の同一ノードから送信されるパケットの送信時間の合計が359.6秒内であれば、ノードSは、パケットを送信できる。359.6秒を超えていれば、ノードSは、送信停止状態となる。ノードSは、送信停止後、直近3600秒のパケット送信時間の合計が359.6秒内に下がれば送信を再開する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(A)第1の実施形態
以下に、本発明による送信装置、送信装置の制御方法、送信プログラム及び通信システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0023】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、送信ノード若しくは受信ノードとなる、第1の実施形態の無線送信装置を含む無線通信装置(以下、第1の実施形態の無線通信装置と呼ぶ)の構成を示すブロック図である。
【0024】
第1の実施形態の無線通信装置は、RF受信部やRF送信部を除いた部分をハードウェアで構成することも可能であり、また、CPUが実行するソフトウェア(無線通信プログラム)とCPUとで実現することも可能であるが、いずれの実現方法を採用した場合であっても、機能的には
図1で表すことができる。
【0025】
RF受信部11は、ウェークアップ信号パケット(以下、ウェークアップ信号と呼ぶ)やデータ信号パケット(以下、データ信号と呼ぶ)や受信応答信号パケット(以下、受信応答信号と呼ぶ)等の無線パケットを受信するものである。
【0026】
データ解析部12は、受信した無線パケットや、その無線パケットに挿入されているデータを解析し、適宜、解析結果を制御部13に与えるものである。データ解析部12は、受信した無線パケットが自ノード宛であるか否かを解析する。また、データ解析部12は、自ノード宛である場合には、無線パケットがウェークアップ信号、データ信号、受信応答信号など、どのような種類のパケットかを解析し、パケット種類に応じて、受信した無線パケットから必要な情報を取り出し、パケット種類や取り出した情報等を制御部13へ与えるものである。
【0027】
制御部13は、データ信号、制御信号(ウェークアップ信号や受信応答信号等)を送受信するための制御を行うものである。制御部13は、データ信号や制御信号を受信する毎に、受信タイミング制御部14に通知する。さらに、制御部13は、必要に応じて、受信情報を送信タイミング制御部16に入力する。
【0028】
制御部13は、送信データがある場合は、データ生成部15にデータと付加情報(宛先等)を渡し、CSL送信モードならば送信タイミング制御部16に、それ以外は送信量制御部17に送信データがあることを通知する。
【0029】
受信タイミング制御部14は、RF受信部11をオンオフ制御するためのタイミングを決定するものである。データ生成部15は、送信データにヘッダ等を付加してデータ信号を生成してRF送信部18に渡すものである。送信タイミング制御部16は、CSL送信モードでのデータ送信用の送信タイミングを決定するものである。送信量制御部17は、送信方法やデータタイプを参照し、送信パケットサイズが残り送信容量以内であるか否かを調べ、残り送信容量以内であれば、送信許可をRF送信部に渡すものである。
【0030】
RF送信部18は、生成されたデータ信号やウェークアップ信号や受信応答信号を、送信量制御部17からの命令タイミングで無線送信するものである。
【0031】
第1の実施形態の無線通信システムは、図示は省略するが、
図1に示す構成を有する無線通信装置10を複数台配置したものであり、任意の2つの無線通信装置10、10間で無線通信を行うものである。
【0032】
図2は、送信量制御部17における送信判定の説明図である。
【0033】
送信量制御部17は、送信パケット毎に優先度P1〜優先度P3までの3つの判定基準を持つ。この例では、優先度は、送信パケットの種類と送信方法によって区別され、例えば、制御信号は優先度P1、データ信号は優先度P2、CSL送信モードのウェークアップ信号やデータ再送信号は優先度P3とする。優先度の区別の仕方はこの例に限定されない。また、優先度の数は3に限定されず、2以上であれば良い。さらに、パケットの種類の数だけでなく、宛先毎に判定基準をさらに設けるようにしても良い。
【0034】
優先度P1〜優先度P3までの各判定基準優先度は、それぞれ初期送信容量を持つ。この判定基準優先度は、各優先度に対応するパケットを送信する毎に該当優先度の残り送信容量を減少させる。無線通信装置は、送信パケットサイズが残り送信容量より小さければ、パケットを送信することができる。
【0035】
高優先度の残り送信容量は、低優先度の残り送信容量を含有している。つまり、高優先度の残り送信容量は存在し、低優先度の残り送信容量が0になることはある。しかし、逆に、低優先度の残り送信容量は存在し、高優先度の残り送信容量が0になることはない。
図2では、優先度P1〜優先度P3の関係では、優先度P1は高優先度、優先度P2又はP3は低優先度と言える。優先度P2とP3の関係では、優先度P2は高優先度、優先度P3は低優先度と言える。
【0036】
また、各優先度P1〜優先度P3の残り送信容量は、単位時間毎に平均送信数だけ残り送信容量を増加させる。ただし、残り送信容量の最大値は、初期送信容量とする。詳しい動作は、後述する動作の項目において、さらに説明する。
【0037】
図3は、送信量制御部17における優先度毎の判定基準のパラメータを示す図である。
【0038】
初期送信容量は、優先度P1〜優先度P3の順に小さくなっていくように初期送信容量を割り当てる。優先度P1の初期送信容量は、送信量の制限値を基に割り当てる。例えば、非特許文献2の技術を適用しようとすれば、優先度P1の初期送信容量は、359.6秒となる。
【0039】
図3の例では、優先度P1〜優先度P3についてそれぞれ100000バイト、10000バイト、700バイトの初期送信容量を割り当てている。
【0040】
割り当てるバイト数は、任意であるが、上記の例では、優先度P1が最もバイト数が大きく、優先度P3が最もバイト数が小さい値が割り当てられている。
【0041】
この意味は、低優先度である優先度P3は、送信バイト数が大きいCSL通信の優先度であるため、この優先度の初期送信容量に低いバイト数を割り当てることにより、CSL通信による回線の輻輳を抑え、CSL通信による送信時間を減少させるためである。
【0042】
平均送信数は、上記同様に送信量の制限値を基に割り当てる。例えば、非特許文献2の技術を適用しようとすれば、送信時間は、10秒毎に1秒送信時間が割り当てられる。
図3では、平均送信数は、優先度P1〜優先度P3まで同一の30バイト /秒としている。
【0043】
残り送信容量は、初期値としては初期送信容量であり、送信バイト数毎に減少する。例えば、優先度P1の残り送信容量は、優先度P1で1000バイトのパケットを送信すると、99000バイトとなる。優先度P2で1000バイトのパケットを送信すると 、優先度P1と優先度P2の残り送信容量を1000バイト減少させる。優先度P3で100バイト送信すると、優先度P1〜優先度P3までの残り送信容量を100バイトずつ減少させる。
【0044】
以上は、リーキーバケットアルゴリズムを基にした送信制御である。この他の送信制御を用いても良い。
【0045】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の無線通信装置10の送信に関連する動作を、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、無線通信装置を適宜「ノード」と呼ぶこととする。
【0046】
なお、受信側のノード(以下、符号10Rを用いる)のデータ受信動作は、従来の無線通信装置のデータ受信動作と同様である。また、送信側のノード(以下、符号10Sを用いる)における送信量を制御する点が従来と異なっており、以下、この動作を中心的に説明する。
【0047】
(A−2−1)送信を制御する動作
図4は、送信ノード10Sの送信量に基づき送信を制御するフローチャートである。
【0048】
制御部13は、パケット送信要求があるかを確認し、当該送信要求があれば、データ生成を行うステップS102の処理を実行し、送信要求パケットが存在しなければ、ステップS108の処理を実行する(S101)。
【0049】
送信量制御部17は、送信要求パケットが、ウェークアップ信号、制御信号、データ信号の何れであるかを判定する(S102)。ステップS102の処理は、CSL送信モードならば、送信タイミング制御部16で送信タイミングになるまで待った後、送信量制御部17に通知し、実行する。それ以外のパケットの種類の場合には、この処理は、制御部13から送信量制御部17について通知後、実行する。
【0050】
送信量制御部17は、送信しようとするパケットサイズと残り送信容量を比較し、残り送信容量より送信パケットサイズの方が小さいならば、送信可と判定し、ステップS106の処理を実行し、送信パケットサイズの方が大きいならば、送信不可と判定し、ステップS104の処理を実行する(S103)。
【0051】
上記の比較は、実際に無線送信したバイト数で計算するため、送信パケットサイズは、ペイロード以外に、ヘッダ等の付加情報も含める。
【0052】
CSLモード送信の場合には、送信パケットサイズは、送信データサイズだけでなく、ウェークアップ信号の合計サイズも含める。例えば、100バイトのデータ信号と、30バイトのウェークアップ信号を最大10回送信するとしたならば、送信パケットサイズは、合計400バイトとなる。送信ノード10Sは、当該合計バイト数より、送信可能バイト数が大きければ、データを送信できる。
【0053】
なお、上記送信パケットサイズの計算は、予め計算するのではなく、送信する毎にその都度、計算しても良い。
【0054】
優先度が低い場合について、送信しようとしているパケットサイズが残り送信容量を下回っているならば、送信ノード10Sは、送信方法を変更する(S104)。変更後以降は、送信ノード10Sは、該当優先度の適用を一時的に停止し、一つ上の優先度を適用する。優先度P1の場合、又は送信方法の変更が行えない場合には、ステップS104の処理をスキップする。受信ノード10Rから受信応答信号ACKを受信しないことによる、再送パケットの送信については最大送信回数を減らすか、又は再送を行わないようにする。ウェークアップ信号については、送信回数を減少するように設定する。この設定は、同期通信時のウェークアップ信号の送信回数、又は送信時間の設定値を変更することで行う。
【0055】
同期通信時に受信ノード10Rから受信応答信号ACKが返らなくてもそのノードとは非同期通信に遷移せず、同期通信のままにしておく。そして、複数回連続してACKが返らなかった時のみ非同期通信に遷移することでもウェークアップ信号の送信回数を減少させることができる。
【0056】
送信方法の通常送信モードへの戻し方については特に限定しない。例えば、元の優先度での残り送信容量が初期送信容量に達したら元の送信方法に戻すようにしても良い。
【0057】
送信量制御部17は、送信しようとしているパケットが再送パケットやウェークアップ信号のように連続送信パケットであるか否かを判定し、連続送信パケットではない場合には、ステップS108の処理を実行する(S105)。なお、連続送信パケットであっても、最大再送回数より多い場合についてもステップS108の処理を実行し、連続送信パケットで、かつ最大再送回数以下であればステップS106の処理を実行する(S105)。
【0058】
RF送信部108は、該当パケットが送信可能と判定すれば、パケットを送信する(S106)。
【0059】
送信量制御部107は、受信ノード10Rにパケットを送信したならば、残り送信容量から送信バイト数を減算する(S107)。なお、実際に送信したパケットサイズでカウントするため、再送を行えばその回数分差し引くことになる。
【0060】
パケットの送信の有無に関わらず所定の時間になれば、送信量制御部107は、残り送信容量に平均送信数を加算する(S108)。ただし、初期送信容量を超えたならば、残り送信容量は、初期送信容量を残り送信容量とする。
【0061】
(A−2−2)残り送信容量の変化の具体例
次に、優先度P1〜優先度P3の判定基準に基づいてパケットを送信した送信ノード10Sについて、各優先度の残り送信容量の変化を
図5を用いて説明する。
【0062】
図5は、単位時間毎の優先度P1〜優先度P3の残り送信容量である。
【0063】
なお、送信条件は、送信パケットサイズ100バイト、ウェークアップ信号サイズ30バイト、ウェークアップ信号の最大送信回数10回とする。初期送信容量、平均送信数は、
図3に記載の値を適用するものとする。この値を適用することにより、残り送信容量は、T1、T2、T3・・・と経過する毎に30バイト加算するものとする。
【0064】
時刻T1において、優先度P1の残り送信容量より送信パケットサイズの方が下回っているので、送信ノード10Sは、優先度P1のパケットを送信できる。
【0065】
時刻T1において、優先度P1のパケットを100バイト送信したら、優先度P1の残り送信容量は、100バイト減算後、30バイト加算するので、時刻T2において、99930バイトとなる。優先度P2、優先度P3の残り送信容量については、時刻T1での値が送信可能バイト数となっているため加算せず、それぞれ、10000バイト、700バイトを時刻T2での値とする。
【0066】
時刻T2において、CSL送信モード(優先度P3)でパケットを送信しようとすると、合計400バイト必要である。送信パケットサイズが優先度P3の残り送信容量の700バイトより小さいので、送信ノード10Sは、優先度P3のデータを送信できる。
【0067】
パケットの送信を行うと、時刻T3において、優先度P3の残り送信容量は、400バイト減算後30バイト加算し、330バイトとなる。優先度P1、優先度P2の残り送信容量についても、送信パケットサイズ400バイトを減算後、30バイト加算する。
【0068】
送信ノード10Sは、時刻T3において、優先度P3のデータを送信しようとすると、送信パケットサイズの合計400バイトより残り送信容量の方が小さいため送信不可状態である。送信パケットサイズは、ウェークアップ信号の送信回数を1回に減少させると、合計130バイトとなる。
【0069】
送信ノード10Sは、ウェークアップ信号の送信回数の減少後、優先度P2の判定基準を使用すれば、送信サイズの方が小さいため送信可能となる。
【0070】
上記条件でパケットの送信を行うと、時刻T4において、優先度P1、P2の残り送信容量は、送信パケットサイズの合計130バイト減算後、30バイトを加算する。優先度P3の残り送信容量についても、30バイト加算する。
【0071】
時刻T3において、400バイトのデータを優先度P3で送信しようとする場合には、データのみで超えるので、送信ノード10Sは、送信を停止するものとする。
【0072】
時刻T4において、CSL送信モード(優先度P3)でパケットを送信しようとしても、優先度P3の残り送信容量が送信可能バイト数に達していないので、送信ノード10Sは、再びウェークアップ信号の送信回数1回の送信として、優先度P2で判定を行い、パケットを送信する。
【0073】
このようにして、CSLのパケットが頻発して残り送信容量を消費し尽くす前に、CSLの総送信パケットサイズが小さくなるような送信方法に変えるような制御を行い、残り送信容量の減少を遅らせるようにする。
【0074】
なお、元から優先度P1やP2に割り当てられたパケットは、残り送信容量が多いので、CSLの影響を特に受けることなくパケットの送信を行える。
【0075】
この実施形態では、残り送信容量から送信パケット分だけ減算して、送信量を管理する例を示したが、これとは逆に、パケットを送信する度に、残り送信容量を加算し、残り送信容量が初期送信容量に達したら送信不可にする様な管理をしても良い。
【0076】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、CSL通信は低い優先度の判定基準を適用したことにより、送信量が設定値に達すると、CSLのウェークアップ信号の連続送信数や再送数を減少させる等の送信方法を変更し、かつ高い優先度の判定基準を適用させることで、ノードの送信時間が制限値に達する確率を減少させることができるという効果が得られる。
【0077】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による送信装置、送信装置の制御方法、送信プログラム及び通信システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0078】
(B−1)第2の実施形態の構成
図6は、送信ノード若しくは受信ノードとなる、第2の実施形態の無線送信装置を含む無線通信装置(以下、第2の実施形態の無線通信装置と呼ぶ)の構成を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る
図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0079】
図6において、無線通信装置10Aは、RF受信部11、データ解析部12、制御部13、受信タイミング制御部14、データ生成部15、送信タイミング制御部16、送信量制御部17及びRF送信部18に加え、送信制限通知部19を有する。
【0080】
第2の実施形態の無線通信装置の構成は、第1の実施形態の無線通信装置の構成に送信制限通知部19を追加したものである。
【0081】
送信制限通知部19は、送信バイト数が設定値に達した、又は設定値以下に下がった時に周囲のノードに通知し、データ受信方法の変更を指示するものである。
【0082】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の無線通信装置10Aの送信に関連する動作を、図面を参照しながら説明する。
【0083】
図7は、第2の実施形態での送信ノード10Sの動作を示すフローチャートである。
【0084】
ステップS201〜ステップS203は、第1の実施形態のステップS101〜S103と特に変わらないので、その説明を省略する。以降は、ステップS204の処理から説明を行う。
【0085】
送信ノード10Sは、送信しようとしているパケットサイズが該当優先度の残り送信容量を上回っているならば、送信制限通知信号を受信ノード10Rに対し送信する(S204)。
【0086】
送信制限通知信号は、送信元アドレス、送信先アドレス、制限または制限解除の識別子を含む情報を最低含んでいれば良い。
【0087】
また、優先度がP1又はプロトコル変更ができない場合は、ステップS204の処理は実行しない。
【0088】
送信ノード10Sは、送信プロトコルの変更が可能かどうかを判定する(S205)。例えば、送信ノード10Sは、送信制限通知信号に対し受信ノード10Rから受信応答信号ACKが返送されれば、送信プロトコルの変更可能と判断する。
【0089】
送信ノード10Sは、送信プロトコルの変更が可能と判定すれば、送信方法を変更し、一つ上の優先度を適用するように変更する(S206)。
【0090】
例えば、送信パケットの送信は、元がCSL通信で行っていた場合は、通常のデータ通信プロトコルでデータ送信を行う。つまり、受信ノード10Rは常に受信待機しておき、送信ノード10Sは、ウェークアップ信号を送信せず、データ送信を行う。
【0091】
送信方法の変更後のプロトコルは、上記例に限らず、送信ノード10Sの送信データ量を削減できる他のプロトコルに変更しても良い。例えば、受信ノード10Rがウェークアップ信号を受信後、受信応答信号ACKを送信ノード10Sに返送し、その後、送信ノード10Sが受信応答信号ACKを受信すれば、送信ノード10Sは、ウェークアップ信号の送信を停止し、データを送信する様にしても良い。
【0092】
ステップS207〜ステップS209までは、第1の実施形態のステップS106〜ステップS108と同様の処理であるので、その説明を省略する。
【0093】
送信ノード10Sは、送信方法を変更し、優先度P2の判定基準を適用するように変更した後、優先度P3の残り送信容量が初期送信容量に復帰しているかを判定する(S210)。判定の結果、復帰していなければステップS201の処理に戻る。
【0094】
判定の結果、復帰していれば、送信ノード10Sは、送信制限通知信号を周囲のノードに送信する(S204)。この場合の送信制限通知信号は、制限を解除し元のプロトコルに戻しパケットを受信する旨の信号である。
【0095】
送信ノード10Sは、送信プロトコルの変更が可能か否か判定し、変更が可能と判定すれば、送信方法を元の送信方法に戻す(S205、S206)。ここでは、ステップS201の送信パケットの有無のチェックをしていないため、ステップS207とステップS208の処理をスキップし、その後の処理を行う。
【0096】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、CSL通信による送信量が設定値に達したならば、送信ノードは、受信ノードに通知を行い、送信パケットサイズを減少できるCSLとは異なる通信プロトコルに変更し、高優先度の判定基準を適用することで、第1の実施形態に比べさらに送信量の上限値に達しにくくなり、ノードの送信時間が制限値に達する確率をさらに減少させることができるという効果が得られる。
【0097】
(C)他の実施形態
第1及び第2の実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0098】
上記各実施形態では、無線通信装置がデータ信号の送信構成も受信構成も備えるものを示したが、受信専用の無線通信装置や送信専用の無線通信装置を構築しても良い。
【0099】
上記説明では、センサネットワークを構成するノードに言及したが、本発明による無線通信装置の用途は、センサネットワークに限定されるものではない。
【0100】
上記説明では、本発明を無線通信装置に適用した例を示したが、有線通信装置に適用しても良い。