特許第6405757号(P6405757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405757
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/14 20060101AFI20181004BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20181004BHJP
   G02B 15/10 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G02B13/14
   G02B13/18
   G02B15/10
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-142610(P2014-142610)
(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公開番号】特開2016-18162(P2016-18162A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100082821
【弁理士】
【氏名又は名称】村社 厚夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】帯金 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】布施 慎吾
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−264685(JP,A)
【文献】 特開2011−253006(JP,A)
【文献】 特開2014−002182(JP,A)
【文献】 特開2011−186070(JP,A)
【文献】 特開2013−225019(JP,A)
【文献】 特開2013−228539(JP,A)
【文献】 特開平10−142497(JP,A)
【文献】 特開2004−117828(JP,A)
【文献】 特開2012−177736(JP,A)
【文献】 特開2007−114545(JP,A)
【文献】 特開平11−119097(JP,A)
【文献】 特開2004−085979(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0216397(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/157658(WO,A1)
【文献】 米国特許第05909307(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターレンズと、
前記マスターレンズの物体側に配置されるコンバータレンズと、
を備えた遠赤外線レンズにおいて、
前記マスターレンズは、光学的絞りよりも物体側に配置された1枚の負レンズ、光学的絞りよりも像側に配置された又は2枚の正レンズとから構成され、前記マスターレンズの最像側面に回折光学素子を設け、
前記コンバータレンズは、物体側に凸を向けた1枚の負メニスカスレンズから構成され
以下の条件式(1)、(3)、(5)を満足することを特徴とする遠赤外線レンズ。
条件式(1) 0.400 ≦ |fn| / fp ≦ 6.500
条件式(3) 1.200 ≦ R1 / R2 ≦ 6.000
条件式(5) 80.000 ≦ ν ≦ 2000.000
ただし、
fn:前記負レンズの波長10μmでの焦点距離
fp:前記1又は2枚の正レンズの各レンズの波長10μmでの焦点距離
R1:前記負メニスカスレンズの物体側の曲率半径
R2:前記負メニスカスレンズの像側の曲率半径
ν:前記負レンズ及び前記1又は2枚の正レンズの各レンズのアッベ数(8−14μm)
ν={(波長10μmでの屈折率)−1}/{(波長8μmでの屈折率)−(波長14μmでの屈折率)}
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の遠赤外線レンズ。
条件式(2) 4.000 ≦ |EXP| / fm
ただし、
EXP:前記マスターレンズの波長10μmでの射出瞳距離
fm:前記マスターレンズの波長10μmでの焦点距離
【請求項3】
前記負メニスカスレンズは、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の遠赤外線レンズ。
条件式(4) 1.500 ≦ |fc| / fm ≦ 18.000
ただし、
fc:前記負メニスカスレンズの波長10μmでの焦点距離
fm:前記マスターレンズの波長10μmでの焦点距離
【請求項4】
前記マスターレンズの最物体側面が、光軸上では物体側に凹形状、周辺部では物体側に凸形状をなす非球面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の遠赤外線レンズ。
【請求項5】
前記遠赤外線レンズにおいて、前記遠赤外線レンズの最像側レンズ面頂と像面の間隔を調整するバックフォーカス調整機構を有することを特徴とする請求項1又は4に記載の遠赤外線レンズ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の遠赤外線レンズと、該遠赤外線レンズの結像位置に配置された光電変換素子とを有することを特徴とする遠赤外線撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠赤外線レンズ、さらに詳しくは、波長8000nm(8μm)〜14000nm(14μm)の遠赤外線を結像させ、コンバーターレンズ等の付加レンズも有利に組み合わせることができる遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠赤外線を使用した結像装置は、近年、遠赤外線サーモグラフィ、遠赤外線監視装置、車載用撮像機器等において幅広く利用されている。
【0003】
従来より、環境や人体の温度分布の測定や、暗所での侵入監視等のために、前記遠赤外線を使用する赤外線用レンズ及び遠赤外線撮像素子を組み合わせた遠赤外線撮像装置が使用されている。
【0004】
撮像装置のレンズは、単焦点レンズまたはズームレンズである。撮像装置のレンズは、ユーザーによって、撮像目的、撮像範囲、撮像環境等を勘案して選択される。通常、広い画角を撮影したい場合には、焦点距離の短い広角単焦点レンズを選択する。遠方を拡大して撮影したい場合には、焦点距離の長い望遠単焦点レンズを選択する。あるいは、広角から望遠を1本のレンズで撮影したい場合には、ズームレンズが選択されている。
【0005】
次に、前記撮像装置の撮影レンズの外径及びレンズ枚数について検討する。
撮像レンズにおいて、最も物体側のレンズが、所定の広い画角を取り込むためにその外径が大きくなる。ズームレンズにおいては、特に、これに加えて、望遠状態では、広角状態に比較して物体側レンズ面の入射光束が太くなることにより、構成レンズの物体側のレンズ外径がさらに大きくなる。
レンズの枚数に関して、ズームレンズにおいては、変倍用光学系、及び変倍時の結像位置補正ための光学系を含めて構成される場合が殆どである。そのため、該ズームレンズの構成枚数は非常に多い。
【0006】
他方、遠赤外線レンズに使用される光学硝材は、ゲルマニウムやカルコゲナイド等の希少金属である。これらの光学硝材はまた、世界的に流通量や使用量が少なく、採掘・生産場所も限られているため、非常に高価である。そのため、遠赤外線用光学系に使用するレンズ製品自体の価格が非常に高い。
【0007】
これらの状況から、環境や人体の温度分布の測定や暗所での侵入監視等のために撮像領域(画角)を頻繁に変更することが望ましい場合には、ズームレンズを採用した撮像装置を有効に使用することができる。しかし、撮像装置等を所定の画角等に一度設定してしまえば、その設定された固定的な撮像領域(画角)で必要な撮像が可能な場合には、価格面等を重視して、単焦点レンズを使用することが一般的である。
【0008】
ユーザーは、上述の通り、ズームレンズもしくは単焦点レンズを任意に選択する。しかし、ユーザーは、安価な単焦点レンズを選択した上で、さらに、所望の撮像領域(画角)や設置可能な物像距離等を考慮して、大きなコストアップを伴わずに撮像領域(画角)を変更することを要望する場合がある。
【0009】
一方、近年、遠赤外線撮像素子の解像度が上がり、被写体をより精密にすなわち細部を潰すことなく撮像することが可能になっている。このような技術の進歩をより有効に活用するためにも、遠赤外線カメラにおいても撮像をより高解像力化することにより一撮像画面に多くの情報を含めることが望まれている。
【0010】
従来の遠赤外線用ワイドコンバーターレンズとして、マスターレンズの物体側に配置される光学系であって、物体側に配置された負の屈折力を有する第1レンズと、像側に配置された正の屈折力を有する第2レンズからアフォーカル光学系を形成する光学系が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
従来の他の赤外線用光学系として、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズの2枚のレンズから構成され、第1レンズは、像側に凹面を向けた形状であり、第2レンズは、物体側に凸面を向けた形状であり、
d:第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
f:全系の焦点距離とするとき、
条件式2.1 ≦ d/f ≦ 11を満たす赤外線用光学系が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この光学系は、レンズ構成が2枚でありながら、広画角においても収差が良好に補正され、特に、40°から110°の広画角を得ても、ペッツバール和が大きくならず、像平面を確保できる効果を有する。
【0012】
従来の他の赤外線用光学系として、比較的広角であっても良好な結像性能を得ることができると共に、適度なバックフォーカスを確保することができるようにした赤外線用結像レンズが提案されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、物体側より順に、第1レンズG1と第2レンズG1とで構成する。第1レンズG1は物体側に凸面を向けた正メニスカス形状、第2レンズG2は像側に凸面を向けた正メニスカス形状とする。第1レンズG1の像側の面または第2レンズG2の物体側の面を回折光学面とする。回折光学面以外の1以上の面を非球面とする。かつ、以下の条件式を満足するように構成する。fは全系の焦点距離、n1は第1レンズG1の設計基準波長に対する屈折率、Fnoは全系のF値、R1は第1レンズG1の物体側の面の光軸上の曲率半径とする。
1.2<f*(n1−1)/(Fno*R1)<3.0 ……(1)
【0013】
従来の他の赤外線用光学系として、物体側から順に、少なくとも1枚の物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11を含む負の屈折力を有する第一レンズ群G1と、正の屈折力を有する第二レンズ群G2とから構成され、所定の条件式を満足するレンズの構成枚数が少なく、バックフォーカスが大きく、歪曲を含めた諸収差を良好に補正した明るい赤外光学系が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この従来技術によれば、レンズの構成枚数が少なく、バックフォーカスが大きく、歪曲収差を含めた諸収差を良好に補正した赤外光学系を構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2013−195796号公報
【特許文献2】特開2013−195795号公報
【特許文献3】特開2011−128538号公報
【特許文献4】特開2002−196233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1に開示された遠赤外線レンズ用ワイドコンバーターレンズは、希少金属等の高価な光学硝材を使用した正負屈折力の2枚の遠赤外線用レンズを含み、製造コストが非常に高いという問題がある。また、特許文献1には、マスターレンズに、コンバーターレンズを有利に組み込むための配慮は何ら開示されていない。
【0016】
特許文献2に開示された赤外線用光学系は、2枚構成で、焦点距離16.7mm、画角(2ω)40°〜焦点距離7.6mm、画角(2ω)110°の赤外線用光学系であるが、ユーザーの広角化の要望を充分に満たすものではない。また、軸上色収差の補正が困難であり、軸上色収差の補正不足により高解像度化が不可能である問題がある。
【0017】
特許文献3に開示された赤外線用結像レンズは、2枚構成で、実施例では最大画角が34°の赤外線用光学系であるが、物体側から順に、正レンズ、正レンズという構成である。そのため、34°を超えて広角化すると、ペッツバール和が大きくなり、像面をフラットに保つことが困難である。
【0018】
特許文献4に開示された赤外光学系は、負レンズ先行タイプで、二つの実施例の画角が66°である。しかし、構成レンズは、4枚又は5枚が必要であり、高い製造コストに加え、レンズ数及びレンズ表面数の増加により、レンズ透過やレンズ表面反射による光量損失が大きいという問題がある。
【0019】
(発明の目的)
本発明は、マスターレンズにおける希少金属等の高価な光学硝材を少数枚使用することにより、製造コストを低く、また、レンズ数及びレンズ表面数の増加によるレンズ透過やレンズ表面反射による光量損失を極力抑え、さらに、マスターレンズ及びコンバーターレンズを組み合わせた構成において、収差補正が容易でありかつコンバーターレンズの外径が大きくならない遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、
光学的絞りよりも物体側に少なくとも1枚の負レンズが配置され、光学的絞りよりも像側に少なくとも1枚の正レンズが配置され、構成レンズの最像側面に回折光学素子を設け、以下の条件式を満足することを特徴とする遠赤外線レンズ。
条件式(1) 0.400 ≦ |fn| / fp ≦ 6.500
ただし、
fn:上記負レンズの波長10μmでの焦点距離
fp:上記正レンズの波長10μmでの焦点距離
である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の遠赤外線レンズによれば、マスターレンズにおける希少金属等の高価な光学硝材を少数枚使用することにより、製造コストを低く、また、レンズ数及びレンズ表面数の増加によるレンズ透過やレンズ表面反射による光量損失を極力抑え、さらに、マスターレンズ及びコンバーターレンズを組み合わせた構成において、収差補正が容易でありかつコンバーターレンズの外径が大きくならない遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の遠赤外線レンズの第1実施形態のマスターレンズ部分の物体距離無限遠状態の光学図である。
図2】第1実施形態のマスターレンズ部分に第11実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図3】第1実施形態のマスターレンズ部分に第12実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図4図1に示す光学系の縦収差図である。
図5図2に示す光学系の縦収差図である。
図6図3に示す光学系の縦収差図である。
図7】本発明の遠赤外線レンズの第2実施形態のマスターレンズ部分の物体距離無限遠状態の光学図である。
図8】第2実施形態のマスターレンズ部分に第21実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図9】第2実施形態のマスターレンズ部分に第21実施形態のコンバーターレンズ部分及び第22実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図10図7に示す光学系の縦収差図である。
図11図8に示す光学系の縦収差図である。
図12図9に示す光学系の縦収差図である。
図13】本発明の遠赤外線レンズの第3実施形態のマスターレンズ部分の物体距離無限遠状態の光学図である。
図14】第3実施形態のマスターレンズ部分に第31実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図15図13に示す光学系の縦収差図である。
図16図14に示す光学系の縦収差図である。
図17】本発明の遠赤外線レンズの第4実施形態のマスターレンズ部分の物体距離無限遠状態の光学図である。
図18】第4実施形態のマスターレンズ部分に第41実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図19図17に示す光学系の縦収差図である。
図20図18に示す光学系の縦収差図である。
図21】本発明の遠赤外線レンズの第5実施形態のマスターレンズ部分の物体距離無限遠状態の光学図である。
図22】第5実施形態のマスターレンズ部分に第51実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図23図21に示す光学系の縦収差図である。
図24図22に示す光学系の縦収差図である。
図25】本発明の遠赤外線レンズの第6実施形態のマスターレンズ部分の物体距離無限遠状態の光学図である。
図26】第6実施形態のマスターレンズ部分に第61実施形態のコンバーターレンズ部分を組み合わせた構成の光学図である。
図27図25に示す光学系の縦収差図である。
図28図26に示す光学系の縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施態様は、上述した本発明の目的に加えて以下の目的を有する。
【0025】
本発明の遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置はまた、焦点距離1.955mm、画角(2ω)220.0°までも可能であって、軸上色収差の補正を容易に補正でき、高解像度化した結像が可能な遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置を提供することを目的とする。
【0026】
本発明の遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置はさらに、焦点距離1.955mm、画角(2ω)220.0°までも可能であるにも拘わらず、ペッツバール和が大きくならず、像面をフラットに保つことができる遠赤外線レンズ及び遠赤外線撮像装置を提供することを目的とする。
【0027】
以下に本発明の実施態様を説明する。
(実施態様1)
本発明の実施態様1は、
光学的絞りよりも物体側に少なくとも1枚の負レンズが配置され、光学的絞りよりも像側に少なくとも1枚の正レンズが配置され、構成レンズの最像側面に回折光学素子を設け、以下の条件式を満足することを特徴とする遠赤外線レンズ。
条件式(1) 0.400 ≦ |fn| / fp ≦ 6.500
ただし、
fn:上記負レンズの波長10μmでの焦点距離
fp:上記正レンズの波長10μmでの焦点距離
である。
【0028】
条件式(1)は、遠赤外線レンズを構成するレンズの焦点距離の比を示している。本発明の遠赤外線レンズは、ある一定の広い範囲を撮影するための広角レンズである。この遠赤外線レンズでは、レンズ構成枚数を最小限にとどめるために、レトロフォーカスと呼ばれるパワー配置を取る必要性がある。そのため、光学的絞りに対して物体側には負レンズ、像側には正レンズを配置することが収差補正上望ましい。
【0029】
条件式(1)の数値が下限を下回ると、正レンズのパワーが小さくなり、収差を補正するためより多くのレンズ枚数が必要となり、構成するレンズ枚数が増え望ましくない。
条件式(1)の上限を上回ると、遠赤外線レンズ全系での焦点距離が長くなり、請求項5、6に記載したコンバーターレンズ部分等の付加レンズを装着する場合、コマ収差、非点収差等の収差補正が困難となる。また、前記コンバーターレンズを装着した際のFナンバーを維持するためには入射瞳径が大きくしなければならない。これは、前記コンバーターレンズの外径を大きくすることになり、望ましくない。
【0030】
本発明の遠赤外線レンズレンズにおいて、使用している光学硝材はゲルマニウムやカルコゲナイド等の希少金属である。これらの光学硝材はまた、世界的に流通量や使用量が少なく、採掘・生産場所も限られているため、非常に高価である。さらに、選択できる光学硝材が限られている。
その中で、特に波長が8μm〜14μmという広い波長領域の遠赤外線を使用し、高解像度の画像を得るためには各波長での軸上色収差を補正しなければならない。選択可能な光学硝材が少ないために、軸上色収差を補正するため、回折光学素子を使用することが知られている。
【0031】
本発明では、コンバーターレンズ部分を装着することも想定して設計がなされた遠赤外線レンズすなわちマスターレンズ部分を構成するにあたり、特に回折光学素子に入射する光線の光束位置や角度が変化しないことに注意しなければならない。
前記回折光学素子において、その効果は軸上色収差の補正のみならず、非点収差においても収差補正能力および影響がある。回折光学素子に入射する光線角度が変化すると、その非点収差の変化も大きくなる。コンバーターレンズ部分の装着、非装着状態の差によりマスターレンズを透過する光束位置や角度が変化しないように設計することは、重要な要素である。
【0032】
一方、最も光線角度が変化しないレンズ面は最像側の面である。これは、使用するイメージセンサーがコンバーターレンズ部分の装着、非装着状態において不変である場合、その像高は同一であり、最像側のレンズ面への入射角度の変化が最も少ない。従って、マスターレンズ部分において軸上色収差の補正のために回折光学素子を使用する場合には、その最像側の面に使用することが望ましい。それ以外のレンズ面に回折光学素子を使用すると、コンバーターレンズ部分の有無により非点収差の変化が大きくなり、収差補正が困難となる。
【0033】
条件式(1)は、発明の効果を鑑み、好ましくは、
0.550 ≦ |fn| / fp ≦ 6.000
である。
条件式(1)は、発明の効果を鑑み、さらに好ましくは、
0.700 ≦ |fn| / fp ≦ 5.500
である。
【0034】
(実施態様2)
本発明の実施態様2は、前記遠赤外線レンズにおいて、以下の条件式を満足することを特徴とする。
条件式(2) 4.000 ≦ |EXP| / fm
ただし、
EXP:波長10μmでの射出瞳距離
fm:本発明の遠赤外線レンズの波長10μmでの焦点距離
【0035】
条件式(2)は、遠赤外線レンズの射出瞳距離と焦点距離の比を示したものであり、入射光束のテレセントリック性を示すものである。本実施態様の遠赤外線マスターレンズ部分とコンバーターレンズ部分を含めた構成において、コンバーターレンズ部分の有無によってマスターレンズ部分を透過する光束位置や角度が不変であることが収差補正上望ましい。
もしコンバーターレンズ部分を装着した際に装着前の光束位置や角度に対して大きく異なる場合には、コンバーターレンズ部分装着前に比べて特に非点収差が増大になり、望ましくない。
【0036】
条件式(2)の数値が下限を下回ると、テレセントリック性が損なわれ、像面への入射角度が増大する。射出瞳距離が条件式を下回りプラス側に小さい値を取ると、特に像側に近いレンズは、その像高に対してより外径が大きくなり、望ましくない。また、射出瞳距離が条件式を上回りマイナス側に小さい値を取ると、前述した通りコンバーターレンズを装着した際のマスターレンズ部分を透過する光束位置が変化し、収差補正が困難となり、望ましくない。なお、fmはコンバーターレンズを含まないマスターレンズ部分のみの焦点距離である。
【0037】
条件式(2)は、発明の効果を鑑み、好ましくは、
5.000 ≦ |EXP| / fm
である。
条件式(2)は、発明の効果を鑑み、さらに好ましくは、
5.500 ≦ |EXP| / fm
である。
【0038】
(実施態様3)
本発明の実施態様3は、
前記遠赤外線レンズの物体側に、物体側に凸を向けた負メニスカスレンズであって、以下の条件式を満足するレンズを配置したことを特徴とする。
条件式(3) 1.200 ≦ R1 / R2 ≦ 6.000
ただし、
R1:前記負メニスカスレンズの物体側の曲率半径
R2:前記負メニスカスレンズの像側の曲率半径
である。
【0039】
条件式(3)は、前記負メニスカスレンズが対応する遠赤外線コンバーターレンズ部分の物体側と像側の近軸曲率半径を規定している。本発明は、ワイドコンバーターレンズ部分に関するものであり、装着することによりマスターレンズ部分のみに比べてより広角の画像が得られるように構成されている。本実施態様では、ズームレンズ等のレンズ枚数が多い、そして高価なレンズ構成を避けつつ、簡易かつ安価に画角変更をすることが狙いである。
ワイドコンバーターレンズ部分を極力少ない構成枚数で配置するためには、物体側に凸を向けた負メニスカスレンズをマスターレンズの物体側に配置することが、レトロフォーカス化を進める上で望ましい。
【0040】
条件式(3)数値が下限を下回ると、コンバーターレンズ部分の負のパワーが小さくなり、画角変更効果が小さくなるため望ましくない。また、この数値が上限を上回ると、コンバーターレンズ部分の負のパワーが大きくなり、収差補正のためにレンズ枚数が増え、望ましくない。
【0041】
条件式(3)は、発明の効果を鑑み、好ましくは、
1.400 ≦ R1 / R2 ≦ 5.000
である。
条件式(3)は、発明の効果を鑑み、さらに好ましくは、
1.600 ≦ R1 / R2 ≦ 4.500
である。
【0042】
(実施態様4)
本発明の実施態様4は、
前記遠赤外線レンズの物体側に、物体側に凸を向けた負メニスカスレンズであって、以下の条件式を満足するレンズを配置したことを特徴とする。
条件式(4) 1.500 ≦ |fc| / fm ≦ 18.000
ただし、
fc:前記負メニスカスレンズの波長10μmでの焦点距離
fm:本発明の遠赤外線レンズの波長10μmでの焦点距離
である。
【0043】
条件式(4)は、遠赤外線マスターレンズ部分と前記負メニスカスレンズが対応するコンバーターレンズ部分との焦点距離の比を示している。条件式(4)の数値が限を回るとコンバーターレンズ部分の負のパワーが小さくなり、画角変更効果が小さくなり、望ましくない。また、条件式(4)の数値が限を回ると、コンバーターレンズの負のパワーが大きくなり、収差補正のためにレンズ枚数が増え、望ましくない。なお、fmは遠赤外線レンズの内、コンバーターレンズ部分を含まない遠赤外線マスターレンズ部分のみの焦点距離である。
【0044】
条件式(4)は、発明の効果を鑑み、好ましくは、
2.000 ≦ |fc| / fm ≦ 14.000
である。
条件式(4)は、発明の効果を鑑み、さらに好ましくは、
2.500 ≦ |fc| / fm ≦ 12.500
である。
【0045】
(実施態様5)
本発明の実施態様5は、
前記少なくとも1枚の負レンズ及び前記少なくとも1枚の正レンズの光学硝材が、以下の条件式を満足することを特徴とする。
条件式(5) 80.000 ≦ ν ≦ 2000.000
ただし、
ν:各レンズのアッベ数(8−14μm)
ν={(波長10μmでの屈折率)−1}/{(波長8μmでの屈折率}−(波長14μmでの屈折率)}
である。
【0046】
条件式(5)は、遠赤外線における軸上色収差、倍率色収差、軸外色収差等の光学性能を良好にするための条件である。該当光学ガラスとしては、Ge(ν=942)、カルコゲナイド(ν=84.6〜150)、ZnS(ν=22.8),ZnSe(ν=57.8)等が挙げられる。
【0047】
条件式(5)の範囲を超えた場合、軸上色収差、倍率色収差、軸外色収差等の光学性能が悪化し、解像力の悪いレンズ光学系になる。
【0048】
条件式(5)は、発明の効果を鑑み、好ましくは、
100.000 ≦ ν ≦ 1500.000
である。
条件式(5)は、発明の効果を鑑み、さらに好ましくは、
120.000 ≦ ν ≦ 1200.000
である。
【0049】
(実施態様6)
本発明の実施態様6は、
前記遠赤外線レンズの最物体側面が、光軸上では物体側に凹形状、周辺部では物体側に凸形状をなす非球面を有することを特徴とする。
【0050】
実施態様6は、任意の画角を得ること、周辺光量の低下を抑えること、コマ収差を補正することを実現するために望ましい形状を規定する。
この条件から逸脱した場合、特に周辺光量の低下やコマ収差による光学性能の悪化が顕著となり、望ましくない。
【0051】
(実施態様7)
本発明の実施態様7は、
前記遠赤外線レンズにおいて、前記遠赤外線レンズの最像側レンズ面頂と像面の間隔を調整するバックフォーカス調整機構を有することを特徴とする。
【0052】
本発明の遠赤外線コンバーターレンズ部分は、安価に画角変更が可能なように最小構成枚数で実現されている。そのため、よりレンズ枚数を必要とする従来のアフォーカルな光学系を形成するコンバーターレンズを実現することが困難である。そこで、コンバーターレンズ部分の着脱時に像面が許容範囲を超えてずれるおそれがある。その場合、マスターレンズ部分にコンバーターレンズ部分を装着する際、マスターレンズ部分の最像側レンズ面頂と像面の間隔を調整する機構によって前記ずれを解消させる。
【0053】
前記マスターレンズ部分の最像側レンズ面頂と像面の間隔を調整する機構は、例えば、固定レンズ鏡筒とレンズ支持鏡筒をカム機構やネジ機構によって係合させる公知の構成が使用される。
【0054】
(実施態様8)
本発明の実施態様8は、
前記遠赤外線レンズと、該遠赤外線レンズの結像位置に配置された光電変換素子とを有することを特徴とする遠赤外線撮像装置である。
このように構成された遠赤外線撮像装置は、上述した本発明の遠赤外線レンズの効果を有効に得ることができる。
【0055】
本発明の遠赤外線レンズによれば、前記した効果に加えて、マスターレンズ及びコンバーターレンズの組み合わせとして構成するとき、収差補正が容易でコンバーターレンズの外径が大きくならない効果を得ることができることもある。
【0056】
本発明の遠赤外線レンズによればさらに、焦点距離1.955mm、画角(2ω)220.0°までも可能であって、軸上色収差の補正を容易に補正でき、高解像度化した結像を形成できる効果を得ることができることもある。
本発明の遠赤外線レンズによればさらに、焦点距離1.955mm、画角(2ω)220.0°までも可能であるにも拘わらず、ペッツバール和が大きくならず、像面をフラットに保つことができる効果を得ることができることもある。
【0057】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
以下の表中のfは、全光学系の波長10μmでの焦点距離(mm)、FNo.はFナンバー、Wは半画角(°)、rは曲率半径(mm)、dはレンズ厚またはレンズ間隔(mm)、Nは波長10μmの屈折率、νは
{(波長10μmでの屈折率)−1}/{(波長8μmでの屈折率)−(波長14μmでの屈折率)}
を示す。
なお、コンバーターレンズ部分の数値データに記載のf、FNo.、Wは,マスターレンズ部分を含む合成値を示している。
【0058】
非球面は、次式で定義されるものとする。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
(但し、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数である。)
【0059】
回折面の位相差は、次式で定義される。
Φ(H)=α2H2+α4H4+α6H6+α8H8+α10H10
(但し、α2〜α10は回折次数)
【0060】
各縦収差図は、左側から順に、球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。
球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線は波長10μm、短破線は波長8μm、長破線は波長14μmの特性である。
非点収差図において、縦軸は半画角(図中、Wで示す)を表し、実線は波長10μmのサジタル平面(図中、Sで示す)、破線は波長10μmのメリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性である。
歪曲収差図において、縦軸は半画角(図中、Wで示す)を表す。
【0061】
(第1実施形態)
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1の光学図は、図1の通りである。
【0062】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1の光学データは、表1の通りである。
【表1】
【0063】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1の非球面係数は、表2の通りである。
【表2】
【0064】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1の回折次数は、表3の通りである。
【表3】
【0065】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1と第11コンバーターレンズ部分CL11を組み合わせた光学系の光学図は、図2の通りである。
【0066】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1と第11コンバーターレンズ部分CL11を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=2.640 FNo.=1.400 W=85.500
【0067】
第1実施形態の第11コンバーターレンズ部分CL11の光学データは、表4の通りである。
【表4】
【0068】
第1実施形態の第11コンバーターレンズ部分CL11の非球面係数は、表5の通りである。
【表5】
【0069】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1と第12コンバーターレンズ部分CL12を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=2.032 FNo.=1.400 W=95.000
【0070】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1と第12コンバーターレンズ部分CL12を組み合わせた光学系の光学図は、図3の通りである。
【0071】
第1実施形態の第12コンバーターレンズ部分CL12の光学データは、表6の通りである。
【表6】
【0072】
第1実施形態の第12コンバーターレンズ部分CL12の非球面係数は、表7の通りである。
【表7】
【0073】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1の各種収差は、図4に示す通りである。
【0074】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1と第11コンバーターレンズ部分CL11を組み合わせた光学系の各種収差は、図5に示す通りである。
【0075】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1と第12コンバーターレンズ部分CL12を組み合わせた光学系の各種収差は、図6に示す通りである。
【0076】
第1実施形態のマスターレンズ部分ML1,第11コンバーターレンズ部分CL11,第12コンバーターレンズ部分CL12の関する本発明の条件式の値は、以下の通りである。
条件式(1) |fn| / fp = 1.692
条件式(2) |EXP| / fm = 22.270
条件式(3) R1 / R2 = 1.857、2.902
条件式(4) |fc| / fm = 7.834、3.962
条件式(5) ν = 130.713
【0077】
(第2実施形態)
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2の光学図は、図7の通りである。
【0078】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2の光学データは、表8の通りである。
【表8】
【0079】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2の非球面係数は、表9の通りである。
【表9】
【0080】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2の回折次数は、表10の通りである。
【表10】
【0081】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2と第21コンバーターレンズ部分CL21を組み合わせた光学系の光学図は、図8の通りである。
【0082】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2と第21コンバーターレンズ部分CL21を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=2.618 FNo.=1.400 W=81.240
【0083】
第2実施形態の第21コンバーターレンズ部分CL21の光学データは、表11の通りである。
【表11】
【0084】
第2実施形態の第21コンバーターレンズ部分CL21の非球面係数は、表12の通りである。
【表12】
【0085】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2、第21コンバーターレンズ部分CL21,及び第22コンバーターレンズ部分CL22を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=1.955 FNo.=1.400 W=110.000
【0086】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2,第21コンバーターレンズ部分CL21,及び第22コンバーターレンズ部分CL22を組み合わせた光学系の光学図は、図9の通りである。
【0087】
第2実施形態の第22コンバーターレンズ部分CL22の光学データは、表13の通りである。
【表13】
【0088】
第2実施形態の第22コンバーターレンズ部分CL21の非球面係数は、表14の通りである。
【表14】
【0089】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2の各種収差は、図10に示す通りである。
【0090】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2と第21コンバーターレンズ部分CL21を組み合わせた光学系の各種収差は、図11に示す通りである。
【0091】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2,第21コンバーターレンズ部分CL21,及び第22コンバーターレンズ部分CL22を組み合わせた光学系の各種収差は、図12に示す通りである。
【0092】
第2実施形態のマスターレンズ部分ML2,第21コンバーターレンズ部分CL21,第22コンバーターレンズ部分CL22の関する本発明の条件式の値は、以下の通りである。
条件式(1) |fn| / fp = 1.666、4.771
条件式(2) |EXP| / fm = 82.950、110.684
条件式(3) R1 / R2 = 4.179、2.057
条件式(4) |fc| / fm = 6.908、11.749
条件式(5) ν = 130.713
【0093】
(第3実施形態)
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3の光学図は、図13の通りである。
【0094】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3の光学データは、表15の通りである。
【表15】
【0095】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3の非球面係数は、表16の通りである。
【表16】
【0096】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3の回折次数は、表17の通りである。
【表17】
【0097】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3と第31コンバーターレンズ部分CL31を組み合わせた光学系の光学図は、図14の通りである。
【0098】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3と第31コンバーターレンズ部分CL31を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=2.592 FNo.=1.400 W=85.000
【0099】
第3実施形態の第31コンバーターレンズ部分CL31の光学データは、表18の通りである。
【表18】
【0100】
第3実施形態の第31コンバーターレンズ部分CL31の非球面係数は、表19の通りである。
【表19】
【0101】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3の各種収差は、図15に示す通りである。
【0102】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3と第31コンバーターレンズ部分CL31を組み合わせた光学系の各種収差は、図16に示す通りである。
【0103】
第3実施形態のマスターレンズ部分ML3及び第31コンバーターレンズ部分CL31に関する本発明の条件式の値は、以下の通りである。
条件式(1) |fn| / fp = 1.784
条件式(2) |EXP| / fm = 14.209
条件式(3) R1 / R2 = 1.836
条件式(4) |fc| / fm = 7.346
条件式(5) ν = 130.713
【0104】
(第4実施形態)
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4の光学図は、図17の通りである。
【0105】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4の光学データは、表20の通りである。
【表20】
【0106】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4の非球面係数は、表21の通りである。
【表21】
【0107】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4の回折次数は、表22の通りである。
【表22】
【0108】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4と第41コンバーターレンズ部分CL41を組み合わせた光学系の光学図は、図18の通りである。
【0109】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4と第41コンバーターレンズ部分CL41を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=2.169 FNo.=1.400 W=85.000
【0110】
第4実施形態の第41コンバーターレンズ部分CL41の光学データは、表23の通りである。
【表23】
【0111】
第4実施形態の第41コンバーターレンズ部分CL41の非球面係数は、表24の通りである。
【表24】
【0112】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4の各種収差は、図19に示す通りである。
【0113】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4と第41コンバーターレンズ部分CL41を組み合わせた光学系の各種収差は、図20に示す通りである。
【0114】
第4実施形態のマスターレンズ部分ML4及び第41コンバーターレンズ部分CL41に関する本発明の条件式の値は、以下の通りである。
条件式(1) |fn| / fp = 1.652
条件式(2) |EXP| / fm = 6.037
条件式(3) R1 / R2 = 1.815
条件式(4) |fc| / fm = 5.809
条件式(5) ν = 130.713
(第5実施形態)
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5の光学図は、図21の通りである。
【0115】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5の光学データは、表25の通りである。
【表25】
【0116】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5の非球面係数は、表26の通りである。
【表26】
【0117】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5の回折次数は、表27の通りである。
【表27】
【0118】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5と第51コンバーターレンズ部分CL51を組み合わせた光学系の光学図は、図22の通りである。
【0119】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5と第51コンバーターレンズ部分CL51を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=2.223 FNo.=1.400 W=85.000
【0120】
第5実施形態の第41コンバーターレンズ部分CL51の光学データは、表28の通りである。
【表28】
【0121】
第5実施形態の第51コンバーターレンズ部分CL51の非球面係数は、表29の通りである。
【表29】
【0122】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5の各種収差は、図23に示す通りである。
【0123】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5と第51コンバーターレンズ部分CL51を組み合わせた光学系の各種収差は、図24に示す通りである。
【0124】
第5実施形態のマスターレンズ部分ML5及び第51コンバーターレンズ部分CL51に関する本発明の条件式の値は、以下の通りである。
条件式(1) |fn| / fp = 0.776、1.216
条件式(2) |EXP| / fm = 460.135
条件式(3) R1 / R2 = 1.723
条件式(4) |fc| / fm = 8.323
条件式(5) ν = 130.713
(第6実施形態)
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6の光学図は、図25の通りである。
【0125】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6の光学データは、表30の通りである。
【表30】
【0126】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6の非球面係数は、表31の通りである。
【表31】
【0127】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6の回折次数は、表32の通りである。
【表32】
【0128】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6と第61コンバーターレンズ部分CL61を組み合わせた光学系の光学図は、図25の通りである。
【0129】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6と第61コンバーターレンズ部分CL61を組み合わせた光学系の光学データは、以下の通りである。
f=1.832 FNo.=1.400 W=85.000
【0130】
第6実施形態の第41コンバーターレンズ部分CL61の光学データは、表33の通りである。
【表33】
【0131】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6の各種収差は、図27に示す通りである。
【0132】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6と第61コンバーターレンズ部分CL61を組み合わせた光学系の各種収差は、図28に示す通りである。
【0133】
第6実施形態のマスターレンズ部分ML6及び第61コンバーターレンズ部分CL61に関する本発明の条件式の値は、以下の通りである。
条件式(1) |fn| / fp = 1.745
条件式(2) |EXP| / fm = 28.434
条件式(3) R1 / R2 = 1.718
条件式(4) |fc| / fm = 2.846
条件式(5) ν = 1008.833、835.580
【符号の説明】
【0134】
S 光学絞り
CG 光学フィルター
ML マスターレンズ部分
CL コンバーターレンズ部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28