(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記携帯端末装置は、前記情報処理装置と再度接続された後、取得したデータのうち、未課金のデータの識別情報を含む徴収要求情報を前記情報処理装置へ送信する徴収要求情報送信手段を有し、
前記情報処理装置は、前記携帯端末装置から送信されてくる徴収要求情報により特定されるデータに対する課金を前記課金手段に実施させ、当該課金の確認後に当該データを復号するための復号鍵を前記携帯端末装置へ送信する徴収処理の制御を行う徴収処理制御手段を有し、
前記復号手段は、前記復号鍵受信手段により受信された復号鍵で前記未課金のデータを復号する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置へのデータ送信中にネットワークが切断された場合でも、携帯端末装置が未受信のデータを継続して受け取れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理システムは、携帯端末装置と、前記携帯端末装置を接続する情報処理装置と、記憶装置と、を有し、前記情報処理装置は、前記携帯端末装置に送信する複数のデータを記憶するデータ記憶手段と、前記携帯端末装置が接続されたときに、前記記憶装置上に生成する当該携帯端末装置用の格納場所を特定する格納場所情報を生成して、当該携帯端末装置へ送信する格納場所情報送信手段と、前記携帯端末装置からの要求に応じて、前記データ記憶手段に記憶された複数のデータを前記携帯端末装置へ順次送信する送信処理を実施するデータ送信処理手段と、前記データ送信処理手段によるデータ送信中に前記携帯端末装置との接続が切断された場合、送信対象のうち少なくとも前記携帯端末装置へ送信していないデータを前記格納場所情報から特定される格納場所で前記記憶装置に保存させるデータ保存手段と、を有し、前記携帯端末装置は、前記情報処理装置から送信されてくる格納場所情報を受信する格納場所情報受信手段と、前記情報処理装置から送信されてくるデータを受信するデータ受信手段と、前記情報処理装置からのデータ受信中に前記情報処理装置との接続が切断された場合、前記格納場所情報受信手段により受信された格納場所情報により特定される前記記憶装置上の格納場所からデータを取得するデータ取得手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記情報処理装置は、送信対象の複数のデータを暗号化する暗号化手段と、データの送信に伴い課金を行う課金手段と、前記課金手段により課金が確認された暗号化されたデータを復号するための復号鍵を前記携帯端末装置へ送信する復号鍵送信手段と、を有し、前記携帯端末装置は、前記情報処理装置から送信されてくる復号鍵を受信する復号鍵受信手段と、前記データ受信手段により受信されたデータを、前記復号鍵受信手段により受信された当該データに対応する復号鍵で復号する復号手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記携帯端末装置は、前記情報処理装置と再度接続された後、取得したデータのうち、未課金のデータの識別情報を含む徴収要求情報を前記情報処理装置へ送信する徴収要求情報送信手段を有し、前記情報処理装置は、前記携帯端末装置から送信されてくる徴収要求情報により特定されるデータに対する課金を前記課金手段に実施させ、当該課金の確認後に当該データを復号するための復号鍵を前記携帯端末装置へ送信する徴収処理の制御を行う徴収処理制御手段を有し、前記復号手段は、前記
復号鍵受信手段により受信された復号鍵で前記未課金のデータを復号することを特徴とする。
【0009】
また、前記格納場所情報送信手段は、
前記携帯端末装置が接続されたときに当該携帯端末装置から取得した、少なくとも当該携帯端末装置の識別情報に基づいて一意となるよう格納場所情報を生成することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る情報処理装置は、携帯端末装置に送信する複数のデータを記憶するデータ記憶手段と、前記携帯端末装置が接続されたときに、記憶装置上に生成する当該携帯端末装置用の格納場所を特定する格納場所情報を生成して、当該携帯端末装置へ送信する格納場所情報送信手段と、前記携帯端末装置からの要求に応じて、前記データ記憶手段に記憶された複数のデータを前記携帯端末装置へ順次送信する送信処理を実施するデータ送信処理手段と、前記データ送信処理手段によるデータ送信中に前記携帯端末装置との接続が切断された場合、送信対象のうち少なくとも前記携帯端末装置へ送信していないデータを前記格納場所情報から特定される格納場所で前記記憶装置に保存させるデータ保存手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、携帯端末装置に送信する複数のデータを記憶するデータ記憶手段を有するコンピュータを、前記携帯端末装置が接続されたときに、記憶装置上に生成する当該携帯端末装置用の格納場所を特定する格納場所情報を生成して、当該携帯端末装置へ送信する格納場所情報送信手段、前記携帯端末装置からの要求に応じて、前記データ記憶手段に記憶された複数のデータを前記携帯端末装置へ順次送信する送信処理を実施するデータ送信処理手段、前記データ送信処理手段によるデータ送信中に前記携帯端末装置との接続が切断された場合、送信対象のうち少なくとも前記携帯端末装置へ送信していないデータを前記格納場所情報から特定される格納場所で前記記憶装置に保存させるデータ保存手段、として機能させる。
【0012】
本発明に係る携帯端末装置は、情報処理装置から送信されてくる、記憶装置上に生成される自装置用の格納場所を特定する格納場所情報を受信する格納場所情報受信手段と、前記情報処理装置から送信されてくるデータを受信するデータ受信手段と、前記情報処理装置からのデータ受信中に前記情報処理装置との接続が切断された場合、前記格納場所情報受信手段により受信された格納場所情報により特定される前記記憶装置上の格納場所からデータを取得するデータ取得手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、情報処理装置から送信されてくる、記憶装置上に生成される前記コンピュータ用の格納場所を特定する格納場所情報を受信する格納場所情報受信手段、前記情報処理装置から送信されてくるデータを受信するデータ受信手段、前記情報処理装置からのデータ受信中に前記情報処理装置との接続が切断された場合、前記格納場所情報受信手段により受信された格納場所情報により特定される前記記憶装置上の格納場所からデータを取得するデータ取得手段、として機能させる。
【0014】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、情報処理装置から送信されてくる、記憶装置上に生成される自プログラム用の格納場所を特定する格納場所情報を受信する格納場所情報受信手段、前記情報処理装置から送信されてくるデータを受信するデータ受信手段、前記情報処理装置からのデータ受信中に前記情報処理装置との接続が切断された場合、前記格納場所情報受信手段により受信された格納場所情報により特定される前記記憶装置上の格納場所からデータを取得するデータ取得手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置へのデータ送信中にネットワークが切断された場合、携帯端末装置が未受信のデータを継続して受け取れるようにすることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、暗号化されたデータに対する課金が確認されてはじめて、当該データを復号するための復号鍵を携帯端末装置に取得させることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、携帯端末装置から情報処理装置に未課金の暗号化されたデータに対する課金処理を要求し、その要求に応じて情報処理装置において当該データに対する課金が実施されることで、当該データを復号するための復号鍵を、当該データに対する課金が確認できてはじめて携帯端末装置に取得させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、複数の携帯端末装置それぞれのためのデータの格納場所を記憶装置に設けることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置へのデータ送信中にネットワークが切断された場合、携帯端末装置が未受信のデータを継続して受け取れるようにすることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置へのデータ送信中にネットワークが切断された場合、携帯端末装置が未受信のデータを継続して受け取れるようにすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置へのデータ送信中にネットワークが切断された場合、携帯端末装置が未受信のデータを継続して受け取れるようにすることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置へのデータ送信中にネットワークが切断された場合、携帯端末装置が未受信のデータを継続して受け取れるようにすることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、情報処理装置から無線ネットワークで接続された携帯端末装置のプログラムへのデータ送信中にネットワークが切断された場合、プログラムが未受信のデータを継続して受け取れるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る情報処理システムの一実施の形態を示したブロック構成図である。
図1には、複合機10と携帯端末30とファイルサーバ40とが示されている。複合機10は、コンビニエンスストア等の店舗に設置され、スキャンサービスやプリントサービス等の各種サービスを来客に提供する情報処理装置である。本実施の形態では、複合機10に情報処理装置を組み込むよう構成したが、情報処理装置に相当するDFE(Digital Front End)とスキャナやプリントエンジン等を搭載して各種機能を提供する複合機とを別装置にて形成してもよい。携帯端末30は、来客(以下、「ユーザ」)に携帯される携帯端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。ファイルサーバ40は、ファイルを格納するサーバコンピュータであり、記憶装置に相当する。ファイルサーバ40は、図示していないネットワークを介して複合機10及び携帯端末30とデータ通信を行う。
【0027】
図2は、本実施の形態における複合機10のハードウェア構成図である。複合機10は、コピー機能、スキャナ機能等各種機能を搭載しており、コンピュータを内蔵した装置である。
図2において、CPU51は、ROM52に格納されたプログラムにしたがってスキャナ54やプリンタエンジン55等本装置に搭載された各種機構の動作制御を行う。ROM52は、本装置の制御や電子データの暗号、電子データの送受信に関する各種プログラムが格納されている。RAM53は、プログラム実行時のワークメモリや電子データ送受信時の通信バッファとして利用される。スキャナ54は、ユーザがセットした原稿を読み取り、電子データとしてHDD(Hard Disk Drive)58等に蓄積する。プリンタエンジン55は、CPU51で実行される制御プログラムからの指示に従い出力用紙上に画像を印字する。外部メディアインタフェース(IF)56は、USBメモリ等の外部メモリ機器とのインタフェースである。操作パネル57は、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行うユーザインタフェース手段である。HDD58は、スキャナ54の読取画像等のデジタルデータを格納する。課金装置59は、複合機10が提供するサービスの利用者に対して課金を行う際に用いられる。アクセスポイント60は、Wi−Fiにより無線LANクライアント(本実施の形態の場合、携帯端末30)との間で無線LAN通信を行う。本実施の形態においては、アクセスポイント60と無線LANクライアントとがWi−Fiという無線LANの規格に従って通信可能にネットワーク接続されることを「Wi−Fi接続」という。また、このWi−Fiに従ったネットワーク接続が切断されることをWi−Fi接続が切断されると表現する。ネットワークインタフェース(IF)61は、Wi−Fi以外の通信方式にてインターネット等のネットワークを接続し、管理センタに設置のファイルサーバとの通信等に利用される。アドレスデータバス62は、CPU51の制御対象となる各種機構と接続してデータの通信を行う。
【0028】
図3は、本実施の形態における携帯端末30に搭載されるコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態における携帯端末30は、従前からある携帯端末30をそのまま利用してよい。つまり、携帯端末30に搭載されるコンピュータも従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。コンピュータは、
図3に示したようにCPU71、ROM72、RAM73、Wi−Fiによる無線通信を実現する無線LAN通信インタフェース(IF)74、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行う操作パネル75、ハードディスクドライブ(HDD)76及びWi−Fi以外の通信方式にて外部とネットワーク通信を行うネットワークインタフェース(IF)77をバス78に接続して構成される。
【0029】
なお、上記各機器10,20は、従前から存在するハードウェア構成で実現可能であり、
図2,3に示したハードウェア構成は一例である。本実施の形態は、各CPU31,51で実行されるプログラムによる動作制御に特徴を有する。
【0030】
また、ファイルサーバ40は、サーバコンピュータの汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、ファイルサーバ40は、CPU、ROM、RAM、HDD及びネットワークインタフェースをバスに接続して構成される。
【0031】
図1に戻り、複合機10は、スキャンデータ管理部11、暗号化部12、鍵生成部13、課金処理部14、表示処理部15、URI(Uniform Resource Identifier)生成部16、情報管理部17、無線接続処理部18、徴収処理制御部19及びジョブ処理制御部20を有している。なお、本実施の形態における説明に用いない構成要素については省略している。スキャンデータ管理部11は、要求に応じて送信対象のスキャンデータをRAM52やHDD58に保持させたり、読み出したりするなどスキャンデータの管理を行う。また、暗号化部12により暗号化されたスキャンデータも同様に保持、管理する。暗号化部12は、暗号化手段として設けられ、送信対象のスキャンデータを暗号化する。鍵生成部13は、暗号化部12によるスキャンデータの暗号化に用いる暗号鍵及び携帯端末30において暗号化されたファイルの復号に用いる復号鍵を生成する。
【0032】
課金処理部14は、課金装置59と連携動作して複合機10が提供するサービスの利用者に対して代金の請求や徴収を行うなどの課金処理を実施する。特に、課金手段として機能する課金処理部14は、データの送信に伴い課金を行う。表示処理部15は、操作パネル57への表示処理を行う。URI生成部16は、格納場所情報送信手段として設けられ、携帯端末30が接続されたときに、ファイルサーバ40に生成する当該携帯端末30用の格納場所を特定する格納場所情報(URI)を生成して、当該携帯端末30へ送信する。情報管理部17は、携帯端末30の識別情報や鍵等の情報を保持、管理する。無線接続処理部18は、アクセスポイント60を用いて携帯端末30をWi−Fi接続する。徴収処理制御部19は、徴収処理制御手段として設けられ、他の構成要素13,14と連携動作しながら携帯端末30から送信されてくる徴収要求情報により特定されるデータに対する課金を前記課金手段に実施させ、当該課金の確認後に当該データを復号するための復号鍵を前記携帯端末装置へ送信する徴収処理の制御を行う。
【0033】
ジョブ処理制御部20は、他の構成要素11〜18と連携動作しながらユーザが選択したサービスの提供のためにジョブを実行する。本実施の形態のように、スキャナ54により読み取った原稿のデジタルデータ(スキャンデータ)をユーザの携帯端末30へ送信して保存させるスキャンサービスを提供する場合、ジョブ処理制御部20は、スキャンデータを携帯端末30へ送信するというジョブを実行することになる。このため、ジョブ処理制御部20は、データ送信処理手段として機能し、携帯端末30からの要求に応じて、暗号化部12により暗号化されたデータを携帯端末30へ順次送信する送信処理を実施する。ジョブ処理制御部20は、更にデータ保存手段として機能し、データ送信中に携帯端末30との接続が切断された場合、ファイルサーバ40に、送信対象のうち少なくとも携帯端末30へ送信していないデータをURIから特定される格納場所に保存させる。
【0034】
原稿はスキャナ54により1ページずつ読み取られるが、本実施の形態では、そのスキャンにより形成された1ページ分のスキャンデータ毎にデータファイルを生成する。なお、以降の説明では、複数ページから成る原稿の読み取りにより生成されたデジタルデータ(スキャンデータ)のうち1ページ分のデジタルデータを示す場合は特に「ファイル」と称することで、デジタルデータ全体を示す場合と区別する。本実施の形態では、ファイルがスキャンデータの送信単位となり、ジョブ処理制御部20によって順次送信されることになる。
【0035】
複合機10における各構成要素11〜20は、複合機10に搭載されたハードウェアと、CPU51で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各管理部11,17においてデータを記憶する手段としてRAM53又はHDD58を用いる。外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよいが、本実施の形態では、セキュリティの関係上、特に断らない限り複合機10の内部にある構成を用いて記憶する。
【0036】
携帯端末30は、スキャンデータ取得部31、URI取得部32、情報管理部33、徴収要求部34、無線接続処理部35、復号化部36、表示処理部37及びスキャンデータ記憶部38を有している。なお、本実施の形態における説明に用いない構成要素については省略している。スキャンデータ取得部31は、データ受信処理手段として機能し、Wi−Fi接続された複合機10から送信されてくるファイルを受信し、スキャンデータ記憶部38に保存する。また、復号鍵受信手段として機能し、ジョブ処理制御部20から送信されてくる復号鍵を受信する。スキャンデータ取得部31は、更に、データ取得手段として機能し、複合機10からのスキャンデータ受信中に複合機10との接続が切断された場合、URI取得部32により受信されたURIにより特定されるファイルサーバ40の格納場所からデータを取得する。URI取得部32は、格納場所情報受信手段として設けられ、複合機10から送信されてくるURIを受信する。情報管理部33は、受信したファイルの復号に用いる復号鍵等の情報を保持、管理する。
【0037】
徴収要求部34は、徴収要求情報送信手段として設けられ、複合機10と再度接続された後、取得したスキャンデータ(暗号化ファイル)のうち、未課金の暗号化ファイルの識別情報を含む徴収要求情報を複合機10へ送信する。無線接続処理部35は、無線LAN通信インタフェース(IF)74を用いて、複合機10にWi−Fi接続する。復号化部36は、復号手段として設けられ、スキャンデータ取得部31により受信されたデータを、スキャンデータ取得部31により受信された当該データに対応する復号鍵で復号する。また、復号化部36は、未課金であった暗号化ファイルを、徴収要求部34により取得された復号鍵で復号する。表示処理部37は、操作パネル75への表示処理を行う。
【0038】
携帯端末30における各構成要素31〜37は、携帯端末30に搭載されたハードウェアと、CPU71で動作するプログラム(アプリケーション)との協調動作により実現される。また、情報管理部33においてデータを記憶する手段としてRAM73又はHDD78を用いる。また、スキャンデータ記憶部38は、HDD78にて実現する。
【0039】
ファイルサーバ40は、データ通信処理部41、データ管理部42及びデータ格納部43を有している。データ通信処理部41は、複合機10及び携帯端末30との間でデータ通信を行う。データ管理部42は、データの登録、読み出し、削除等データ格納部43に対するデータの管理を行う。具体的には、複合機10からの要求に応じて指定されたURIにて特定される格納場所をデータ格納部43に生成し、複合機10から送信されてくる暗号化ファイル及びジョブ情報をその格納場所に保存する。また、データ管理部42は、携帯端末30からの要求に応じて指定されたURIにて特定されるデータ格納部43の格納場所から暗号化ファイル及びジョブ情報を読み出し送信する。
【0040】
本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0041】
次に、本実施の形態における動作について説明する。本実施の形態では、ユーザが携帯端末30と原稿をコンビニエンスストア等の店舗に持ち込み、店舗に設置された複合機10が提供するスキャンサービスを利用して原稿のデジタルデータを携帯端末30に保存するまでの一連の処理の流れについて説明する。
【0042】
ユーザが複合機10の操作パネル57に表示されたサービスを選択するためのメインメニュー(
図5C)の中からスキャンサービスを選択すると、無線接続処理部18は、アクセスポイント60を起動してWi−Fi接続が可能な環境を構築する(ステップ101)。このとき、携帯端末30を接続するよう要求する旨を操作パネル57に表示してもよい。
【0043】
スキャンサービスを選択したユーザは、携帯端末30に事前にインストールされているアプリケーションを起動する。これにより、携帯端末30における各構成要素31〜37による処理機能が発揮されることになる。
【0044】
まず、携帯端末30における無線接続処理部35は、アプリケーションが起動されるとアクセスポイント60にWi−Fi接続する(ステップ201)。ユーザは、スキャンサービスを選択した後、複合機10の原稿台に原稿をセットして読み取り操作を開始することになるが、これと並行して、情報管理部33は、例えば自端末の個体識別番号等自端末を識別可能な識別情報を端末情報として複合機10へ送信する(ステップ202)。この識別情報は、端末の個体を識別する情報ではなく、アプリケーション毎に固有の識別番号であってもよい。
【0045】
複合機10における情報管理部17は、携帯端末30から送信されてきた端末情報を受信すると、これを内部に保持する(ステップ102)。続いて、情報管理部17が、受信した端末情報、自機固有の個体識別番号等自機を識別可能な識別情報(機器情報)、またWi−Fi接続された日時及びセッションID等に基づきシステムで一意の情報(ID情報)を生成し、内部に保持すると、URI生成部16は、この生成したID情報に基づきファイルサーバ40においてスキャンデータの格納先を特定するURIを作成し(ステップ103)、このURIを内部に保持すると共に携帯端末30へ送信する(ステップ104)。なお、サービスメニューからユーザがスキャンサービスを選択することでジョブが生成されるが、ここで生成したID情報をこのジョブのジョブIDとしてもよい。
【0046】
携帯端末30におけるURI取得部32は、複合機10から送信されてきたURIを受信すると、これを情報管理部33に保持、管理させる(ステップ203)。
【0047】
前述したように、スキャナ54がユーザの操作により原稿をスキャンすることでスキャンデータが生成される(ステップ105)。原稿はスキャナ54により1ページずつ読み取られるが、本実施の形態では、そのスキャンにより形成された1ページ分のスキャンデータ毎にデータファイルを生成する。なお、以降の説明では、複数ページから成る原稿の読み取りにより生成されたデジタルデータ(スキャンデータ)のうち1ページ分のデジタルデータを示す場合は特に「ファイル」と称することで、デジタルデータ全体を示す場合と区別する。本実施の形態では、ファイルがスキャンデータの送信単位となり、ジョブ処理制御部20によって順次送信されることになる。
【0048】
ところで、課金には、スキャンデータの送信前にICカードから料金の全額を事前に課金する前課金と、現金によりファイルを送信する度に当該ファイルに対する課金を行う後課金と、があるが、以下の説明では、特に断らない限り前課金するものとして説明する。暗号化部12は、例えばID情報に基づき暗号化鍵を生成し(ステップ106)、この暗号化鍵でスキャンデータを暗号化してスキャンデータ管理部11に保持させる(ステップ107)。本実施の形態では、原稿1ページをスキャンする度に1ファイルが生成されるので、原稿の枚数分の暗号化ファイルが生成されることになる。また、課金されている場合、暗号化されたスキャンデータを復号するための復号鍵を生成する(ステップ108)。なお、暗号鍵/復号鍵は、スキャンデータを構成するファイル全体に共通した鍵でもよいし、各ファイルに依存した情報を参照してファイル毎に異なる鍵としてもよい。
【0049】
続いて、情報管理部17は、当該ジョブのジョブID、原稿の全ページ数、当該暗号化ファイルに対応する原稿のページ(順番)及び復号情報を含むジョブ情報を暗号化ファイル毎に生成する(ステップ109)。復号情報には、当該暗号化ファイルに対する課金済みか否かを示す課金済み情報、課金済みの場合は復号鍵、未課金の場合は未徴収分の料金が含まれる。続いて、ジョブ処理制御部20は、暗号化ファイルに当該ファイルのジョブ情報を付加してファイル単位に順次送信する(ステップ110)。
【0050】
スキャンデータの送信が開始されると、表示処理部15は、
図5Aに例示した送信の進捗状況を示す進捗表示画面を操作パネル57に表示する。操作パネル57の表示を参照することで、複合機10は、実行日時から開始されたスキャンサービスジョブが動作中であり、全原稿(10ページ)中、現時点で4ページ分の原稿(デジタルデータ)が携帯端末30へ送信できていることがわかる。
【0051】
スキャンデータ(全暗号化ファイル)を正常に送信できた場合(ステップ111でY)、ジョブ処理制御部20は、スキャンデータ管理部11に保存されているスキャンデータを全て削除すると共に、情報管理部17に保持されている全ての情報を削除する(ステップ112)。そして、無線接続処理部18は、アクセスポイント60の動作を停止して携帯端末30とのWi−Fi接続を切断する(ステップ113)。そして、複合機10の操作パネルには、
図5Cに例示したサービスメニューが表示され、サービスの提供が可能な初期の状態に戻る。
【0052】
ところで、コンビニエンスストアで利用される電子レンジは、スマートフォン等の携帯端末全般でサポートされている2.4GHzの周波数帯を使用しているため、データ転送時に電波干渉による遅延や途絶が発生しやすく、このため、有線接続と比べると無線によるWi−Fi接続は切断が生じやすい環境にある。このため、複合機から携帯端末へデータ転送を行っている時に同時に電子レンジが利用された場合に、複合機から携帯端末へ暗号化ファイルを正常に送信できない場合が発生しうる。
【0053】
このようなデータ通信環境のもとスキャンデータ(全暗号化ファイル)を正常に送信できなかった場合(ステップ111でN)、ジョブ処理制御部20は、情報管理部17に保持されているURI、スキャンデータ管理部11に保存されている暗号化ファイルのうち携帯端末30へまだ送信していない暗号化ファイル(以下、「未送信ファイル」ともいう)及び当該暗号化ファイルに対応するジョブ情報をファイルサーバ40へ送信することで未送信ファイルの保存を要求する(ステップ114)。
【0054】
ファイルサーバ40におけるデータ管理部42は、複合機10からの要求に応じて、データ通信処理部41を介して複合機10から送信されてきた情報を取得すると、URIにて特定される格納場所をデータ格納部43に生成し、暗号化ファイル及びジョブ情報をその格納場所に保存する。
【0055】
複合機10におけるジョブ処理制御部20は、その後、ステップ112と同様に、複合機10に保存されている当該ジョブに関する情報、具体的には暗号化ファイル、鍵、携帯端末30に関する情報等を全て削除し(ステップ115)、処理を終了させる。暗号化ファイルを正常に送信できなかった場合、表示処理部15は、未送信の暗号化ファイルのファイルサーバ40へのアップロード(ステップ114)及びデータの削除(ステップ115)の間、
図5Bに例示した画面を操作パネル57に表示してユーザを待機させ、これらの処理が終了すると
図5Cに例示したサービスメニューを表示する。これにより、複合機10は、サービスの提供が可能な初期の状態に戻る。
【0056】
一方、携帯端末30においては、URIの受信、保持後(ステップ203)、複合機10から送信されてくる暗号化ファイル及びジョブ情報をスキャンデータ取得部31が順次受信すると、本実施の形態では前課金により当該原稿に対する課金は済んでいるので、暗号化ファイルをジョブ情報に含まれている復号鍵で復号化部36に復号させてからスキャンデータ記憶部38に保存する(ステップ204)。スキャンデータ記憶部38に保存する際、ジョブ情報を付加する。この暗号化ファイルの受信中、表示処理部37は、
図6Aに例示した進捗表示画面に表示する。ユーザは、この進捗表示画面を参照することで、全原稿(10ページ)中、現時点で4ページ分の原稿(デジタルデータ)が受信できていることがわかる。
【0057】
スキャンデータ(全暗号化ファイル)を正常に受信できた場合(ステップ205でY)、アプリケーションは、無線接続処理部35に複合機10とのWi−Fi接続を切断させて処理を終了する(ステップ212)。この際、スキャンデータ記憶部38に記憶されている暗号化ファイル及びジョブ情報、情報管理部33に保持されているURI等の情報を全て削除してもよい。
【0058】
一方、全ての暗号化ファイルを正常に送信できなかった場合(ステップ205でN)、表示処理部37は、
図6Bに例示した受信中断通知画面を操作パネル75に表示する。これと並行して、スキャンデータ取得部31は、情報管理部33に保持されているURIにより特定される格納場所にアクセスして、その格納場所に保存されている未送信ファイル及びジョブ情報を取得する(ステップ206)。なお、複合機10による格納場所へのデータの保存と携帯端末30によるデータの取得の各処理の同期は、ファイルサーバ40におけるデータ管理部42が行うようにしてもよい。また、データ管理部42は、携帯端末30によりデータが取得されたことを確認した後、URIから特定される格納場所に保存されていたデータ及び格納場所自体を削除する。
【0059】
本実施の形態のように、各暗号化ファイルとも前課金により課金済みであるとした場合(ステップ207でY)、スキャンデータ取得部31は、ファイルサーバ40から取得した未送信ファイルを、対応するジョブ情報に含まれている復号鍵を用いて復号化部36に復号させてからスキャンデータ記憶部38に保存する(ステップ211)。そして、携帯端末30における無線接続処理部35は、複合機10とのWi−Fi接続を切断する(ステップ212)。
【0060】
ところで、後課金をする場合、ファイルサーバ40から取得した未送信ファイルの中には、未課金の未送信ファイルが含まれている場合があり得る。未送信ファイルが未課金がどうかは、対応するジョブ情報に含まれる復号情報を参照することで特定しうるが、未課金の暗号化ファイルが存在する場合(ステップ207でN)、表示処理部37は、
図6Cに例示した課金要求画面を操作パネル75に表示する。これと並行して、無線接続処理部35は、複合機10のアクセスポイント60にWi−Fi接続し(ステップ208)、その後、徴収要求部34は、ファイル名等未課金の暗号化ファイルを特定する情報及び当該ジョブ情報を含む徴収要求情報を生成して複合機10へ送信する(ステップ209)。
【0061】
メインメニューを表示して処理待ちしていた複合機10は、携帯端末30から送信されてくる徴収要求情報を検出すると、徴収処理制御部19がこの徴収要求情報を受信する(ステップ122)。徴収処理制御部19は、受信した徴収要求情報を参照して、
図5Dに例示した課金請求画面を操作パネル57に表示することで未課金分の料金をユーザに請求する。この課金請求画面あるいは携帯端末30の課金要求画面を見たユーザが不足分の料金を課金装置59に投入して支払いを済ませたことを課金処理部14が検出すると(ステップ123)、鍵生成部13は、当該未送信ファイルの復号鍵を生成する(ステップ124)。そして、徴収処理制御部19は、生成された復号鍵を携帯端末30へ送信する(ステップ125)。
【0062】
徴収要求部34が復号鍵を受信し取得すると(ステップ210)、復号化部36は、対応する未送信ファイルを、取得された対応する復号鍵で復号し、スキャンデータ記憶部38に保存する(ステップ211)。この際、保存する未送信ファイルに付加するジョブ情報に含まれる復号情報を、課金済みである旨の課金済み情報及び復号鍵を含めることで更新する。
【0063】
本実施の形態によれば、以上のようにWi−Fi接続が切断されたとしても、携帯端末30は、複合機10から受信できなかった原稿のスキャンデータをファイルサーバ40から継続して自動的に受信し取得することになるので、携帯端末30のユーザは、このための特別な操作を何らする必要はない。このようにして、全ての暗号化ファイルが復号されると、表示処理部37は、
図6Dに例示したスキャンサービスの提供の終了を示すサービス完了画面を操作パネル75に表示することで原稿のスキャンデータが閲覧可能な状態になったことをユーザに通知する。
【0064】
コンビニエンスストア等の店舗に設置される複合機10、換言すると公共の場に設置され、不特定多数の来客に利用される複合機10に、個人の情報(この例では、原稿のスキャンデータ)を残しておくことは、セキュリティ上、来客にとって好ましいことではなく、また店舗側からしてみても個人の情報で複合機10の記憶装置が専有された状態のままでいることは好ましいものではない。
【0065】
そこで、本実施の形態では、Wi−Fi接続が切断されたときには、複合機10に存在する未送信分のスキャンデータをファイルサーバ40にアップロードして待避させ、複合機10にあるスキャンサービスを利用していたユーザに関連するデータを複合機10から全て削除するようにした。そして、送信できなかった原稿分のスキャンデータの携帯端末30への送信は、上記の通りファイルサーバ40から行うようにしたので、当該ユーザは、原稿のスキャン操作をやり直す必要がない。
【0066】
なお、上記説明した実施の形態においては、スキャンサービスを例にしてWi−Fi接続が切断されたときに複合機10にある未送信分のデータをファイルサーバ40へアップロードして、ファイルサーバ40から残りのデータを携帯端末30に取得させる一連の処理について説明したが、スキャンデータサービスでなくてもデータの送信を行うことになる他のサービスに適用してもよい。また、端末装置30が自端末装置の識別番号を複合機10へ送信し、複合機10はこの識別情報に基づき、複合機10から端末装置30へのデータ転送の切断時のデータ格納場所情報を生成する構成について説明したが、端末装置の識別番号ではなく端末装置で起動するスキャンサービスを機能させるアプリケーションプログラムを識別する識別情報をアプリケーションプログラムが複合機10へ送信し、複合機10はこのアプリケーションプログラムを識別する情報に基づきデータ格納場所情報を生成するように構成してもよい。