特許第6405767号(P6405767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405767
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】窒化ガリウム基板
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/38 20060101AFI20181004BHJP
   C30B 33/06 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C30B29/38 D
   C30B33/06
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-150845(P2014-150845)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-23123(P2016-23123A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木山 誠
(72)【発明者】
【氏名】弘田 龍
(72)【発明者】
【氏名】中畑 成二
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−169132(JP,A)
【文献】 特開2011−135019(JP,A)
【文献】 特開2006−066496(JP,A)
【文献】 特開2005−322944(JP,A)
【文献】 元木 健作,窒化ガリウム基板の開発,SEIテクニカルレビュー,2009年 7月,第175号,p.10−18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が150mm以上の表面を有する窒化ガリウム基板であって、
前記窒化ガリウム基板の前記表面の中央と周縁の4箇所の合計5箇所のそれぞれの箇所の1辺が2mmの正方形の領域における顕微ラマン散乱マッピング測定におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が0.1cm-1以上cm-1以下であって、
前記5箇所の全測定点におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差がcm-1以下であり、
前記周縁は、前記窒化ガリウム基板の前記表面の外周から内側に5mm入り込んだ領域であり、
前記周縁の4箇所は、前記周縁と部分的に重なる1辺が2mmの4つの正方形の領域内にそれぞれ位置し、前記4箇所のうち2箇所と前記中央とが第1の直線上に存在し、前記4箇所のうち前記2箇所とは異なる2箇所と前記中央とが第2の直線上に存在し、前記第1と第2の直線は互いに直交する、窒化ガリウム基板。
【請求項2】
前記窒化ガリウム基板の前記表面の1辺が2mmの正方形の領域に、貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域と、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域とが含まれる、請求項に記載の窒化ガリウム基板。
【請求項3】
直径が100mm以上の表面を有する窒化ガリウム基板であって、
前記窒化ガリウム基板の前記表面の中央と周縁の4箇所の合計5箇所のそれぞれの箇所の1辺が2mmの正方形の領域における顕微ラマン散乱マッピング測定におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が0.1cm-1以上2cm-1以下であって、
前記5箇所の全測定点におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が2cm-1以下であり、
前記周縁は、前記窒化ガリウム基板の前記表面の外周から内側に5mm入り込んだ領域であり、
前記周縁の4箇所は、前記周縁と部分的に重なる1辺が2mmの4つの正方形の領域内にそれぞれ位置し、前記4箇所のうち2箇所と前記中央とが第1の直線上に存在し、前記4箇所のうち前記2箇所とは異なる2箇所と前記中央とが第2の直線上に存在し、前記第1と第2の直線は互いに直交し、
前記窒化ガリウム基板の前記表面の1辺が2mmの正方形の領域に、貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域と、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域とが含まれる、窒化ガリウム基板。
【請求項4】
前記窒化ガリウム基板の前記表面の1辺が2mmの正方形の領域に、酸素濃度が5×1017cm-3以上の領域と、5×1017cm-3未満の領域とが含まれる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板。
【請求項5】
直径が100mm以上の表面を有する窒化ガリウム基板であって、
前記窒化ガリウム基板の前記表面の中央と周縁の4箇所の合計5箇所のそれぞれの箇所の1辺が2mmの正方形の領域における顕微ラマン散乱マッピング測定におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が0.1cm-1以上2cm-1以下であって、
前記5箇所の全測定点におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が2cm-1以下であり、
前記周縁は、前記窒化ガリウム基板の前記表面の外周から内側に5mm入り込んだ領域であり、
前記周縁の4箇所は、前記周縁と部分的に重なる1辺が2mmの4つの正方形の領域内にそれぞれ位置し、前記4箇所のうち2箇所と前記中央とが第1の直線上に存在し、前記4箇所のうち前記2箇所とは異なる2箇所と前記中央とが第2の直線上に存在し、前記第1と第2の直線は互いに直交し、
前記窒化ガリウム基板の前記表面の1辺が2mmの正方形の領域に、酸素濃度が5×1017cm-3以上の領域と、5×1017cm-3未満の領域とが含まれる、窒化ガリウム基板。
【請求項6】
請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板と、支持基板とが貼り合わされてなる、貼り合わせ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ガリウム(GaN)基板に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体基板の中でもGaN基板は、発光デバイスや電子デバイスなどの半導体デバイスの製造用の基板として注目されている。しかしながら、GaN基板の製造上、現状、異種基板上に成長せざるを得ず、異種基板とGaN結晶との間の格子定数や熱膨張係数が異なるため、GaN結晶に大量に結晶欠陥が生じるという問題があった。
【0003】
そこで、たとえば非特許文献1には、表面に多数のドット状の窪みを有するGaN結晶を成長させることによって、GaN結晶に発生する結晶欠陥を当該窪みの中心に集中させ、その周辺の結晶欠陥を減少させたGaN基板が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】元木 健作,「窒化ガリウム基板の開発」,SEIテクニカルレビュー,第175号,2009年7月,pp.10−18
【非特許文献2】播磨 弘,「GaNおよび関連窒化物のラマン散乱分光」,材料,日本材料学会,Vol.51,No.9,2002年9月,pp.983−988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のGaN基板上に他の半導体層をエピタキシャル成長させて半導体デバイスを作製する際に、GaN基板にクラックや割れが生じることがあったため、その改善が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るGaN基板は、直径が100mm以上の表面を有するGaN基板であって、前記GaN基板の前記表面の中央と周縁の4箇所の合計5箇所のそれぞれの箇所の1辺が2mmの正方形の領域における、顕微ラマン散乱マッピング測定において、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が0.1cm-1以上2cm-1以下であって、前記5箇所の全測定点におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が2cm-1以下であるGaN基板である。
【0007】
本発明の一態様に係る貼り合わせ基板は、前記GaN基板と支持基板とが貼り合わされてなる貼り合わせ基板である。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、他の半導体層をエピタキシャル成長させる際のクラックおよび割れの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のGaN基板の模式的な断面図である。
図2】(a)〜(d)は、実施形態1のGaN基板の製造方法の一例について図解する模式的な断面図であり、(e)は、実施形態1の貼り合わせ基板の一例の模式的な断面図である。
図3】実施形態1のGaN基板の表面全体の一例の模式的な平面図である。
図4】ウルツ鉱型のGaN結晶の結晶構造を示す図である。
図5】E2Hフォノンモードを説明する図である。
図6】実施形態1のGaN基板の点B、点Aおよび点Dを通る直線上の位置と歪との関係概念図である。
図7】従来のGaN基板の点B、点Aおよび点Dを通る直線上の位置と歪との関係概念図である。
図8】実験例6のGaN基板の顕微ラマン散乱測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本発明の一態様に係るGaN基板は、直径が100mm以上の表面を有するGaN基板であって、前記GaN基板の前記表面の中央と周縁の4箇所の合計5箇所のそれぞれの箇所の1辺が2mmの正方形の領域における顕微ラマン散乱マッピング測定におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が0.1cm-1以上2cm-1以下であって、前記5箇所の全測定点におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が2cm-1以下であるGaN基板である。このような構成とすることにより、直径が100mm以上の表面を有するGaN基板上に他の半導体層をエピタキシャル成長させる際のクラックおよび割れの発生を抑制することができる。
【0012】
(2)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記直径が150mm以上であって、前記GaN基板の前記表面の前記中央と前記周縁の4箇所の合計5箇所のそれぞれの箇所の1辺が2mmの正方形の領域における顕微ラマン散乱マッピング測定におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が0.1cm-1以上1cm-1以下であって、前記5箇所の全測定点におけるE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差が1cm-1以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、直径が150mm以上の表面を有するGaN基板上に他の半導体層をエピタキシャル成長させる際のクラックおよび割れの発生を抑制することができる。
【0013】
(3)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記GaN基板の前記表面の1辺が2mmの正方形の領域に、貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域と、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域とが含まれることが好ましい。この場合には、貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域に転位を集中させることにより、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域の結晶性を向上させることができる。
【0014】
(4)本発明の一態様に係るGaN基板においては、窒化ガリウム基板の表面の1辺が2mmの正方形の領域に、酸素濃度が5×1017cm-3以上の領域と、5×1017cm-3未満の領域とが含まれることが好ましい。
【0015】
(5)本発明の一態様に係るGaN基板においては、上記のGaN基板と支持基板とが貼り合わされてなる貼り合わせ基板である。このような構成とすることにより、他の半導体層をエピタキシャル成長させる際のクラックおよび割れの発生を抑制することができる。
【0016】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0017】
[実施形態1]
<GaN基板>
図1に、実施形態1のGaN基板の表面の一部の模式的な斜視図を示す。実施形態1のGaN基板10は、GaN結晶11から形成されている。そして、GaN結晶11の表面からGaN結晶11の内部に向かって延在する貫通転位23の集中領域が形成されている。
【0018】
<GaN基板の製造方法>
以下、図2(a)〜図2(d)の模式的断面図を参照して、実施形態1のGaN基板の製造方法の一例について説明する。まず、図2(a)に示すように、成長面となる表面21aを有する成長用基板21を準備する。成長用基板21は、表面21a上にGaN結晶11を成長させることができるものであれば特に限定されず、たとえば、ガリウム砒素(GaAs)などの異種基板を用いてもよく、GaNからなる同種基板を用いてもよい。
【0019】
次に、図2(b)に示すように、成長用基板21の表面21a上に、パターニング層22を形成する。パターニング層22は、たとえば、成長用基板21の表面21aの全面に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化珪素(SiO2)膜を形成した後に、SiO2膜上にフォトリソグラフィー法によりパターニングされたレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとしたエッチングを行うことによって形成することができる。
【0020】
次に、図2(c)に示すように、成長用基板21のパターニング層22が形成された表面21a上に、GaN結晶11を結晶成長させる。GaN結晶11の結晶成長方法としては、たとえば、ガリウム(Ga)原料として金属Gaを用い、窒素(N)原料としてアンモニア(NH3)ガスを用いたHVPE(Hydride Vapor Phase EPitaxy)法を用いることができる。
【0021】
次に、図2(d)に示すように、GaN結晶11の裏側の成長用基板21をたとえば研削などによって除去する。その後、GaN結晶11の表面をたとえば研削などによって平坦化した後にたとえば研磨することによって、実施形態1のGaN基板10を得ることができる。
【0022】
また、上記のようにして得られた実施形態1のGaN基板10の成長用基板21の除去側の表面に、たとえば図2(e)の模式的断面図に示すように、異種基板24を貼り合わせることによって貼り合わせ基板25を作製することもできる。異種基板24としては、たとえば、サファイア基板、AlN基板、SiC基板、GaAs基板、ZrB2基板、SiO2/Al23焼結体基板またはMo基板などを用いることができる。
【0023】
また、実施形態1のGaN基板10と異種基板24との貼り合わせ方法は、特に限定されないが、たとえば、低温で均一に貼り合わせる観点から、表面活性化法またはフュージョンボンディング法などを用いることが好ましい。ここで、表面活性化法とは、GaN基板10の貼り合わせ面をプラズマに曝すことによりその表面を活性化させた後に貼り合わせる方法のことをいい、フュージョンボンディング法とは、洗浄した表面(貼り合わせ面)同士を加圧加熱して貼り合わせる方法のことをいう。また、実施形態1のGaN基板10と異種基板24とを接合膜を介して貼り合わせることもできる。
【0024】
<△kp(2mm□)および△kp(全面)>
図3に、実施形態1のGaN基板10の表面全体の一例の模式的な平面図を示す。実施形態1のGaN基板10の表面の直径Rは100mm以上である。GaN基板10の表面の直径Rは、GaN基板10にオリエンテーションフラット(オリフラ)30が形成されている場合でも、GaN基板10にオリフラ30が形成されていないと仮定した場合の仮想円の直径を意味する。
【0025】
また、GaN基板10の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域(領域31a,31b,31c,31d,31e)のそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の2mm□面内における最大値と最小値との差(△kp(2mm□))は0.1cm-1以上2cm-1以下である。
【0026】
さらに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))は2cm-1以下である。
【0027】
<△kp(2mm□)および△kp(全面)の算出方法>
以下に、上記の△kp(2mm□)および△kp(全面)の算出方法について説明する。
【0028】
≪測定領域の特定≫
まず、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eを、以下のようにして特定する。ここで、GaN基板10の表面の中心の点Aは、GaN基板10の表面の円の中心(GaN基板10にオリフラ30が形成されている場合にはオリフラ30が形成されていないと仮定した場合の仮想円の中心)の点として特定する。そして、上記のようにして特定された点Aを対角線の交点とし、図3に示すオリフラ30に平行な長さ2mmの2本の線分を2辺とし、オリフラ30に垂直な長さ2mmの2本の線分を2辺とする正方形の領域を領域31aとする。
【0029】
また、GaN基板10の表面の周縁の点B、点C、点Dおよび点Eは、それぞれ、GaN基板10の表面の外周を構成する円(GaN基板10にオリフラ30が形成されている場合にはオリフラ30が形成されていないと仮定した場合の仮想円)の外周から内側に5mmだけ入り込んだ仮想円32の円周上の点であって、点Bと点Aと点Dとが1本の直線上に存在するとともに、点Cと点Aと点Eとが1本の直線上に存在し、点Bと点Aと点Dとを結ぶ直線と、点Cと点Aと点Eとを結ぶ直線とが直交する関係にある点として特定する。そして、上記の点B、点C、点Dおよび点Eをそれぞれ対角線の交点とし、オリフラ30に平行であって長さ2mmの互いに平行な2本の線分を2辺とし、オリフラ30に垂直であって長さ2mmの互いに平行な2本の線分を2辺とする正方形の領域をそれぞれ領域31b,31c,31d,31eとする。
【0030】
≪△kp(2mm□)の算出≫
次に、上記で特定された領域31a内の複数の箇所について顕微ラマン散乱マッピング測定を行うことにより領域31aの2mm□面内の各箇所のラマンスペクトルを測定し、領域31aの2mm□面内の各箇所におけるE2Hフォノンモードに対応するピークをそれぞれ特定し、ピークの最大ピーク時の波数(ラマンシフト量に相当;単位:[cm-1])の値を各箇所で特定する。そして、2mm□面内の各箇所で特定された当該波数の中から最大値(a1)と最小値(a2)とを特定する。そして、上記のようにして特定された波数の最大値(a1)と最小値(a2)との差(a1−a2)を求めることによって、上記の領域31aの2mm□面内の△kp(2mm□)が求められる。
【0031】
領域31bの△kp(2mm□)についても、上記の領域31aの△kp(2mm□)と同様にして、領域31b内の複数の箇所について顕微ラマン散乱マッピング測定を行うことによりラマンスペクトルを測定し、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の値を特定し、当該波数の値の中から特定された波数の最大値(b1)と最小値(b2)との差(b1−b2)を求めることによって、上記の領域31bの△kp(2mm□)を求めることができる。
【0032】
領域31cの△kp(2mm□)についても、上記の領域31aの△kp(2mm□)と同様にして、領域31c内の複数の箇所について顕微ラマン散乱マッピング測定を行うことによりラマンスペクトルを測定し、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の値を特定し、当該波数の値の中から特定された波数の最大値(c1)と最小値(c2)との差(c1−c2)を求めることによって、上記の領域31cの△kp(2mm□)を求めることができる。
【0033】
領域31dの△kp(2mm□)についても、上記の領域31aの△kp(2mm□)と同様にして、領域31d内の複数の箇所について顕微ラマン散乱マッピング測定を行うことによりラマンスペクトルを測定し、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の値を特定し、当該波数の値の中から特定された波数の最大値(d1)と最小値(d2)との差(d1−d2)を求めることによって、上記の領域31dの△kp(2mm□)を求めることができる。
【0034】
領域31eの△kp(2mm□)についても、上記の領域31aの△kp(2mm□)と同様にして、領域31e内の複数の箇所について顕微ラマン散乱マッピング測定を行うことによりラマンスペクトルを測定し、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の値を特定し、当該波数の値の中から特定された波数の最大値(e1)と最小値(e2)との差(e1−e2)を求めることによって、上記の領域31eの△kp(2mm□)を求めることができる。
【0035】
≪△kp(全面)の算出≫
次に、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの波数の最大値a1,b1,c1,d1,e1の中からさらに波数の最大値(X1)を特定する。また、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの波数の最小値a2,b2,c2,d2,e2の中からさらに波数の最小値(X2)を特定する。そして、上記の波数の最大値(X1)と波数の最小値(X2)との差(X1−X2)を求めることによって△kp(全面)を求めることができる。
【0036】
<E2Hフォノンモード>
E2Hフォノンモードについて、以下にウルツ鉱型のGaN結晶を例にして説明する。E2Hフォノンモードは、図4に示すGa原子(白丸)およびN原子(黒丸)からなる結晶構造を有するGaN結晶において、図5に示すようにN原子がC面内で変位するモードである。
【0037】
また、E2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量は、上述のように、顕微ラマン散乱マッピング測定して得られるラマンシフトのスペクトルにおいてE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数により特定される。なお、非特許文献2の985頁のTableIIにおいて、300Kの温度におけるウルツ鉱型のGaN結晶のE2Hフォノンモードの波数として567.6cm-1が挙げられており、非特許文献2のFig.3のラマンスペクトル図にはE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数が567.6cm-1の近傍に現れている。
【0038】
<作用効果>
上述のように、E2Hフォノンモードは、GaN結晶中の隣接するN原子がC面内で面内方向に振動するモードに関係した散乱光である(非特許文献2参照)。C面内に圧縮歪が生じている場合には、振動のフォノン周波数が高くなるためE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数も高くなる。一方C面内に引張歪が生じている場合には、振動のフォノン周波数が低くなるため、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数も低くなる。そして、GaN基板の局所的(ミクロ)および全体的(マクロ)のいずれにおいても圧縮歪または引張歪の一方が大きくなりすぎると、GaN基板上に他の半導体層をエピタキシャル成長させる際にGaN基板にクラックや割れが生じやすくなるため、GaN基板のE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数(ラマンシフト量(歪の大きさ)に相当)は、ミクロおよびマクロのいずれにおいても小さい方が好ましい。
【0039】
実施形態1のGaN基板10においては、表面の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))が0.1cm-1以上2cm-1以下である。これにより、実施形態1のGaN基板10のミクロな歪を小さくして、ミクロな歪の分布をより均一にすることができる。なお、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における△kp(2mm□)の値は小さい方が好ましい。たとえば、ファセット成長ではなく、後述のコアレス成長の場合にはミクロな歪の分布は小さくなるが、マクロな歪の分布が大きくなってしまい、GaN基板10上への半導体層のエピタキシャル成長時にGaN基板10に割れやクラックが生じやすくなる。そこで、実施形態1のGaN基板10においては、ファセット成長のようなミクロな歪の分布を意図的に作り込むことによって、マクロな歪の分布の増大を抑えて、GaN基板10上への半導体層の半導体層のエピタキシャル成長時にGaN基板10に割れやクラックが発生するのを抑えることができる。ミクロな歪の分布を作り込む観点からは、△kp(2mm□)はある一定以上の値を有していることが好ましく、0.1cm-1以上に設定されていることが好ましい。
【0040】
また、実施形態1のGaN基板10においては、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量の最大値と最小値との差(△kp(全面))は2cm-1以下である。これにより、実施形態1のGaN基板10のマクロな歪を小さくして、マクロな歪分布をより均一にすることができる。
【0041】
これは、本発明者が鋭意検討した結果、上記のように、△kp(2mm□)および△kp(全面)を設定した場合には、直径Rが100mm以上という大口径の表面を有するGaN基板上に他の半導体層をエピタキシャル成長させる場合にもGaN基板に発生するクラックおよび割れの発生を抑制することができることを見出したことによるものである。
【0042】
図6に、実施形態1のGaN基板10の点B、点Aおよび点Dを通る直線上の位置と歪との関係の概念図を示す。また、比較として、図7に、従来のGaN基板の点B、点Aおよび点Dを通る直線上の位置と歪との関係の概念図を示す。
【0043】
図6図7との比較から明らかなように、実施形態1のGaN基板10においては、従来のGaN基板と比べて、点B、点Aおよび点Dのいずれにおいても歪が小さく抑えられているとともに、GaN基板の全体においても最大の歪の大きさと最小の歪の大きさとの間の差が小さく抑えられていることがわかる。
【0044】
非特許文献1に記載のGaN結晶を用いたGaN基板においても、クラックおよび割れの発生を抑制することができるが、実施形態1のGaN基板10においては、上記のように、△kp(2mm□)および△kp(全面)が設定されているため、クラックおよび割れの発生の抑制効果がさらに高くなっている。
【0045】
なお、クラックとは、GaN基板10に形成される亀裂を意味しており、クラックの段階ではGaN基板10は複数に分裂していない。また、割れとは、GaN基板10に亀裂が入り、複数に分裂している状態を意味している。
【0046】
[実施形態2]
実施形態2のGaN基板10は、以下の(i)〜(iii)の点で、実施形態1と異なっていることを特徴としている。
【0047】
(i)直径Rが150mm以上である表面を有している。
(ii)表面の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))が0.1cm-1以上1cm-1以下である。
【0048】
(iii)上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量の最大値と最小値との差(△kp(全面))は1cm-1以下である。
【0049】
実施形態2は、実施形態1と比べて、GaN基板10の表面の直径Rの下限が大きくなって大口径化しているため、クラックおよび割れが生じやすくなるが、この場合でも、上記の△kp(2mm□))を0.1cm-1以上1cm-1以下とし、△kp(全面)を1cm-1以下とすることによって、クラックおよび割れの発生を抑制することができる。
【0050】
実施形態2における上記以外の説明は実施形態1と同様であるため、その説明については繰り返さない。
【0051】
[実施形態3]
実施形態3のGaN基板10は、GaN基板10の表面の1辺が2mmの正方形の領域に、貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域と、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域とが含まれていることを特徴としている。実施形態3のGaN基板10においては、貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域(コア部12)に転位を集中させることにより、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域(ファセット13)の結晶性を向上させることができる。
【0052】
実施形態3のように、GaN基板10の表面の1辺が2mmの正方形の領域に貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域と、貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域とが含まれるのは、図2(b)から図2(c)に至るGaN結晶11の結晶成長過程において、以下の(I)〜(V)の現象がこの順に起こることによるものであると考えられる。
【0053】
(I)GaN結晶11の表面の窪み14の隣り合うファセット13の境界に転位が移動することによるファセット13における貫通転位の低減。
【0054】
(II)GaN結晶11の表面の窪み14の隣り合うファセット13の境界の下部に転位が集合することによる欠陥面(面状欠陥部)の形成。
【0055】
(III)GaN結晶11の表面の窪み14の複数のファセット13が交差する多重点における転位の合流および閉じ込めによる転位の拡散防止。
【0056】
(IV)多重点下部に転位が集合することによる線状欠陥部と、当該線状欠陥部の上方のコア部12の形成。
【0057】
(V)ファセット13の成長によるファセット13における低欠陥部の増加。
実施形態3における上記以外の説明は実施形態1および実施形態2と同様であるため、その説明については繰り返さない。すなわち、実施形態3のGaN基板10には、上述の貫通転位密度が1×106cm-2以上の領域と貫通転位密度が1×106cm-2未満の領域とが含まれているだけではなく、実施形態1または実施形態2のGaN基板10の特徴も含まれている。
【0058】
なお、貫通転位は、C軸成長方向に貫く転位であり、貫通転位密度は選択エッチングによるエッチピットの密度を数えることにより評価することができる。選択エッチング方法としては、たとえば、加熱した酸やアルカリ水溶液中へのGaN基板の浸漬、または水酸化カリウムの溶融塩(溶融KOH)中へのGaN基板の浸漬などを挙げることができる。また、カソードルミネッセンス(CL)によっても貫通転位密度を測定することができる。CLでは貫通転位箇所が暗点となるため、暗点の数を数えてその単位面積(1cm2)当たりの密度を算出することによって、貫通転位密度の測定が可能である。
【実施例】
【0059】
<実験例1>
まず、図2(a)に示すように、成長用基板21として直径110mmの表面(C面)21aを有するサファイア基板を準備した。次に、図2(b)に示すように、サファイア基板のC面上にプラズマCVD法によりSiO2膜を0.1μmの厚さで成膜し、その後、フォトリソグラフィー法およびBHF(バッファードフッ酸)を用いたエッチングにより、SiO2膜からなるパターニング層22を形成した。パターニング層22の形状は、直径50μmの円を800μmピッチで格子状に配置した形状とし、格子方向は、m軸およびa軸方向とそれぞれ一致させた。
【0060】
次に、図2(c)に示すように、パターニング層22が形成された成長用基板21としてのサファイア基板のC面上にGaN結晶11を10時間で1200μm程度の厚さに成長させた。GaN結晶11は、Ga原料として金属Gaを用いるとともに、N原料としてNH3ガスを用いたHVPE法により成長させた。
【0061】
HVPE法によるGaN結晶11の成長は以下のように行った。まず、ホットウォール型反応炉内の石英製の試料ホルダ上に成長用基板21としてのサファイア基板を設置し、上流側ボート内に設置した金属Ga(800℃に加熱)に水素(H2)ガスをキャリアガスとして塩化水素(HCl)ガスを吹き付け、生成した塩化ガリウム(GaCl)ガスおよびNH3ガスを500℃に加熱したサファイア基板上に30分間供給して厚さ50nm程度の低温GaNバッファ層を形成した。その後、サファイア基板を加熱してサファイア基板の中心温度を1000℃とし、GaClガス(3.06kPa)およびNH3ガス(6.12kPa)をキャリアガスとしてのH2ガスとともにサファイア基板に10時間供給することによって厚さ1200μm程度のGaN結晶11を成長させた。ここで、サファイア基板の径方向の温度差△T(中心温度と周縁(中心から半径55mmだけ離れた箇所)の温度差)は2℃であった。
【0062】
そして、上記のようにして成長させたGaN結晶11の裏面を研削してサファイア基板を除去した。次に、GaN結晶11の表面を研削により平坦化した後に研磨を行い、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例1のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
【0063】
次に、以下のようにして顕微ラマンマッピング測定を行った。光源としてYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の第2高調波のレーザ装置を用い、当該レーザ装置から出射された波長532nmのレーザ光を幅100μmのスリットに通した後、レンズで集光し、実験例1のGaN基板の表面側(サファイア基板の除去側とは反対側)から垂直に入射させた。
【0064】
ここで、レーザ光のスポット径は、GaN基板の表面において、直径約10μmとなるように設定した。また、レーザ光強度はGaN基板の表面で10mWとなるように設定した。そして、C軸方向後方散乱で散乱光を検知した顕微ラマン散乱マッピング測定を行うことによってラマンスペクトルを測定した。ラマンスペクトルの測定箇所は、図3に示すGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの各点を中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域について50μmピッチで測定した(各領域当たり1681点測定)。
【0065】
そして、実験例1のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表1に示す。なお、ラマンスペクトルの測定時の温度は20℃であった。また、波数校正に、Neランプの輝線スペクトルを基準線として使用し、各測定毎にNe輝線を測定して補正した。そして、上記のようにして得たラマンスペクトルにおいて、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数を特定した。また、表1において、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値はkp最大値と表記し、E2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最小値はkp最小値と表記している。
【0066】
<実験例2>
成長用基板21としてサファイア基板上にMOCVD法により厚さ2μmのGaN膜を形成した直径110mmの表面を有するC面GaNテンプレート基板を用い、実験例1と同様にしてSiO2膜からなるパターニング層22を形成し、パターニング層22上に、低温GaNバッファ層を形成することなく、実験例1と同一の方法および同一の条件でGaN結晶を成長させ、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例2のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
【0067】
そして、実験例1と同様にして、実験例2のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表1に示す。
【0068】
<実験例3>
成長用基板21として直径110mmの表面((111)A面)を有するGaAs基板上に、実験例1と同一の方法および同一の条件で、低温GaNバッファ層を形成するとともに、GaN結晶を成長させ、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例3のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
【0069】
そして、実験例1と同様にして、実験例3のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表1に示す。
【0070】
<実験例4>
基板として、実験例1と同様に直径110mmのサファイア基板を使用し、実験例1と同様の方法および条件でGaN結晶を成長させ、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。そして、実験例1と同様にして、△kp(2mm□)および△kp(全面)を算出した。その結果を表1に示す。
【0071】
ただし、GaN結晶の結晶成長初期、特に結晶成長開始後の10分間は結晶成長炉内の雰囲気に含まれる酸素量を100ppm以下にした。具体的には、GaN結晶の結晶成長開始前に、室温にて結晶成長炉内の雰囲気をN2、H2およびArなどのガスで10分間以上置換し、結晶成長炉内の酸素濃度を酸素濃度計でモニターして100ppm以下となるようにした。GaN結晶の結晶成長開始後も結晶成長炉内の酸素濃度が100ppm以下となるように計測および制御した。
【0072】
<実験例5>
基板として、実験例2と同様に直径110mmのC面GaNテンプレート基板を使用し、低温バッファ層を形成することなく、その他は実験例4と同様の方法および条件でGaN結晶を成長させ、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。そして、実験例1と同様にして、△kp(2mm□)および△kp(全面)を算出した。その結果を表1に示す。
【0073】
<実験例6>
基板として、実験例3と同様に直径110mmの表面((111)A面)を有するGaAs基板を使用し、成長初期酸素濃度制御を行ったこと以外は実験例1と同様の方法および条件でGaN結晶を成長させ、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。そして、実験例1と同様にして、△kp(2mm□)および△kp(全面)を算出した。その結果を表1に示す。
【0074】
<実験例7>
成長用基板21として実験例5のGaN基板と同一の方法および同一の条件で作製した直径110mmの表面(C面)を有するGaN基板上に、実験例5と同一の方法および同一の条件で、低温GaNバッファ層を形成することなく、GaN結晶を成長させ、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例7のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。そして、実験例1と同様にして、△kp(2mm□)および△kp(全面)をを算出した。その結果を表1に示す。
【0075】
<エピタキシャル成長評価>
上記のようにして作製した実験例1〜7のGaN基板上に、MOVPE法により、ショットキーバリアダイオード(SBD)構造をエピタキシャル成長させた。SBD構造は、キャリアストップ層であるキャリア濃度が2×1018cm-3で厚さ1μmのn+GaN層、およびキャリアドリフト層であるキャリア濃度が1×1016cm-3で厚さ5μmのn-GaN層をこの順にエピタキシャル成長させた。これらの層のエピタキシャル成長条件は、成長温度は1050℃であり、GaNの原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびNH3ガスを用い、シリコン(Si)ドーパントの原料としてシラン(SiH4)ガスを用いた。そして、上記のエピタキシャル成長後の実験例1〜7のGaN基板の表面の外観を観察した。その結果を表1に示す。
【0076】
表1に示すように、実験例1〜4のGaN基板においては、上記のエピタキシャル成長後にGaN基板の表面にクラックが発生した。しかしながら、実験例5〜7のGaN基板においては、クラックおよび割れの発生は見られず、外観は良好であった。なお、クラックは、ノマルスキ顕微鏡(倍率50倍)で認識することができる長さ0.1mm長以上のものをクラックとした。
【0077】
<実験例8>
成長用基板として実験例1と同様にして形成したGaNテンプレート基板を用い、SiO2膜からなるパターニング層22および低温バッファ層を形成することなく、GaN結晶11が鏡面成長するようにGaNテンプレート基板の中心の温度が1100℃となるように加熱して、GaClガス(2.40kPa)およびNH3ガス(2.40kPa)をキャリアガスとしてのN2ガスとともにGaNテンプレート基板に供給することによって厚さ1mm程度のGaN結晶11を成長させ、実験例1と同様な加工により、直径100mmの円形状のC面を表面として有するコアレス構造(コア部とファセットとからなる窪みを有しない構造)の自立GaN基板である実験例8のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
【0078】
そして、実験例1と同様にして、実験例8のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表1に示す。
【0079】
実験例8のGaN基板上に、実験例1と同様にして、SBD構造をエピタキシャル成長させた。しかしながら、エピタキシャル成長後に、実験例8のGaN基板を取り出してみると、実験例8のGaN基板がバラバラに割れていた。これはSBD構造のエピタキシャル成長中またはSBD構造のエピタキシャル成長後の冷却時に発生する応力のために破壊したものと考えられる。なお、実験例5〜7は実施例であり、実験例1〜4および8は比較例である。また、表2に、実験例1〜8のGaN基板の製造方法の製造条件を示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
<実験例1〜8のGaN基板の評価>
図8に、実験例6のGaN基板の顕微ラマン分光分析結果を示す。図8に示す顕微ラマン分光分析結果は、実験例6のGaN基板の表面の中央の点Aを対角線の交点とする1辺が2mmの正方形の領域における転位集中領域であるコア部を含む直線とコア部を含まない直線とのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の分布を示している。図8に示すように、実験例6のGaN基板においては、コア近傍では歪が大きく変化し、コアから離れた領域ではあまり変化しない分布となった。
【0083】
図8に示すように、コア部では波数が小さくなる変化となっているので、引張歪が生じていることになる。コア部において引張歪が生じる原因は明らかではないが、コア部における転位の集中に起因した歪、あるいは、ファセット面成長領域とC面成長領域との取り込み不純物の種類および量の違いに起因する歪などが原因と考えられる。
【0084】
また、実験例6のGaN基板の表面の周縁の点B、点C、点Dおよび点Eについても顕微ラマン散乱マッピング測定を行ったところ、中央の点Aと同様の傾向を示すことが確認された。
【0085】
以上の結果から、転位集中領域となるコア部と、その周囲の転位集中領域とはならないファセットとからなるファセット構造のGaN結晶から作製したGaN基板においては、ミクロな歪分布がマクロな歪分布よりも支配的であると考えられる。
【0086】
なお、上記のエピタキシャル成長後の実験例1〜4のGaN基板の表面にはクラックが多数発生していたが、これは、実験例1〜4のGaN基板においては、領域31a,31b,31c,31d,31eの△kp(2mm□)のすべて、あるいは一部が2cm-1よりも大きかったために、ファセット構造に起因した残留歪と、エピタキシャル成長工程に起因する熱歪とが相俟って、クラックが発生したものと考えられる。実験例5〜7のGaN基板においては、△kp(2mm□)が比較的小さかったことから、クラックの発生は見られなかったと考えられる。
【0087】
実験例4〜6のGaN基板の△kp(2mm□)が同様の基板を使用した実験例1〜3のGaN基板よりも比較的小さくなった原因は、結晶成長初期の結晶成長炉内の酸素濃度を100ppm以下に低く制御したことによるものと考えられる。酸素濃度を低くすることにより、結晶成長初期のGaN結晶の結晶性が向上し、ミクロ歪の分布の小さいファセット構造を実現することができたものと考えられる。
【0088】
また、実験例7のGaN基板の△kp(2mm□)がさらに小さくなったのは、初期酸素濃度の制御に加え、成長用基板をGaN基板としたこと、すなわちホモエピタキシャル成長することによって、さらに欠陥が低減したことによるものと考えられる。
【0089】
また、コアレス構造を有する実験例8のGaN基板のミクロな歪は小さかったが(△kp(2mm□)=0.07〜0.18cm-1)、マクロな歪は大きかった(△kp(全面)=3.73cm-1)ため、GaN基板に割れが発生したものと考えられる。実験例8のGaN基板においては、マクロに生じていた大きな圧縮歪のために、昇温、エピタキシャル成長および降温の一連のエピタキシャル成長工程のいずれかの工程における残留歪および熱歪が加わったトータルの歪が、実験例8のGaN基板の降伏歪を越えるために割れてしまったものと考えられる。
【0090】
実験例8のGaN基板のミクロな歪分布が比較的均一(△kp(2mm□)≦0.2cm-1)なのは、転位集中領域が存在しないために、転位の存在領域がより均一にばらけていることが原因しているものと考えられる。また、実験例5のGaN基板のマクロな歪が大きい原因としては、ヘテロエピタキシャル成長における熱膨張率不整合による応力および格子定数不整合に起因して発生したマクロな歪に起因するものと考えられる。
【0091】
以上のように、ミクロな歪とマクロな歪の両方を考えることが、エピタキシャル成長中の不良に対する指標となり、定量的には、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの△kp(2mm□)が0.1cm-1以上2cm-1以下であり、△kp(全面)が2cm-1以下であることがエピタキシャル成長中のクラックおよび割れの発生を抑制することができるものと考えられる。
【0092】
<実験例9>
成長用基板21として直径160mmの表面((111)A面)を有するGaAs基板を用い、実験例6と同一の方法および同一の条件により、直径150mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例9のGaN基板を作製した(仕上げ厚み600μm)。径方向の温度差△T(中心温度と周縁(中心から半径75mmだけ離れた箇所)の温度差)は6℃であった。
【0093】
そして、実験例1と同様にして、実験例9のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表3に示す。なお、実験例9のGaN基板の周縁の点B、点C、点Dおよび点Eは、実験例9のGaN基板の表面の外周を構成する円の外周から5mmの箇所とした。
【0094】
実験例9のGaN基板の上記の領域31a,31b,31c,31d,31eにおける△kp(2mm□)はすべて2cm-1以下であったが、△kp(全面)は2.89cm-1と2cm-1を超える値となっていたため、マクロな歪が大きくなっていた。そのため、実験例9のGaN基板について、実験例1〜8と同様のエピタキシャル成長評価を行ったところ、実験例9のGaN基板には割れが確認された。これは、GaN基板の大口径化に起因して、GaN基板に生じていた歪の最大値が増大していたことによるものと考えられる。
【0095】
<実験例10>
実験例9のGaN基板においてマクロな歪が増大した要因として、GaN結晶成長時の成長用基板の径方向の温度分布に大きなばらつきが生じていたと考えられていた。そのため、試料ホルダの材質を石英から熱伝導率の高い炭化珪素(SiC)コートしたグラファイトに変更し、上記の温度差△Tを3℃としたこと以外は実験例9と同一の方法および同一の条件により、直径150mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例10のGaN基板を作製した(仕上げ厚み600μm)。
【0096】
そして、実験例9と同様にして、実験例10のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表3に示す。
【0097】
実験例10のGaN基板においては、実験例9のGaN基板と比べて、ミクロな歪とともにマクロな歪も小さくなっており、実験例10のGaN基板の△kp(全面)は1.5cm-1であった。なお、ミクロな歪の低下は、径方向の温度分布の低減により、GaN結晶が受ける熱歪が低下したことによるものと推測される。
【0098】
実験例10のGaN基板についても、実験例1〜8と同様のエピタキシャル成長評価を行ったところ、実験例10のGaN基板に割れは生じなかったが、特に周縁部にクラックが発生した。
【0099】
<実験例11>
成長用基板21として実験例10と同一の方法および同一の条件で作製した実験例10のGaN基板を用い、低温バッファ層を形成しなかったこと以外は、実験例10と同一の方法および同一の条件で直径150mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である実験例11のGaN基板を作製した(仕上げ厚み600μm)。
【0100】
そして、実験例10と同様にして、実験例11のGaN基板の中央の点A、ならびに周縁の点B、点C、点Dおよび点Eの合計5点のそれぞれを中心とする1辺が2mmの正方形の領域31a,31b,31c,31d,31eのそれぞれの領域における顕微ラマン散乱マッピング測定により得られるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(2mm□))を算出するとともに、上記の領域31a,31b,31c,31d,31eの全測定点におけるラマンスペクトルのE2Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数の最大値と最小値との差(△kp(全面))を算出した。その結果を表3に示す。
【0101】
実験例11のGaN基板においては、実験例10のGaN基板と比べてさらに、マクロな歪が改善されており、実験例11のGaN基板の△kp(全面)は0.93cm-1であった。なお、マクロな歪の改善は、成長用基板との熱膨張率不整合に関係した実験例11のGaN基板中の機械歪が低減できたことによるものと推測される。
【0102】
実験例11のGaN基板についても、同様のエピタキシャル成長評価を行ったところ、実験例11のGaN基板にクラックも割れも生じず、良好な結果が得られた。
【0103】
なお、実験例11は実施例であり、実験例9〜10は比較例である。また、表4に、実験例9〜11のGaN基板の製造方法の製造条件を示す。
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
<実験例9〜11のGaN基板の評価>
直径が100mmの表面を有するGaN基板では、△kp(全面)が2cm-1以下である場合(実験例5〜7)に良好な結果が得られていたが、直径が150mmの表面を有するGaN基板においては、△kp(全面)が1.5cm-1である場合(実験例10)でもクラックが生じており、0.93cm-1である場合(実験例11)にクラックも割れも生じない良好な結果が得られていた。このように、直径が100mmである場合と150mmである場合とで、クラックおよび割れが生じない指標となる△kp(全面)の値が異なるのは、GaN基板上に他の半導体層をエピタキシャル成長させる間の熱応力は、GaN基板の温度分布(温度差)に起因することによるものであると考えられる。GaN基板の表面の直径が大きくなるほどGaN基板の表面の温度差を小さくしてGaN基板に生じる熱応力を小さくするのは極めて困難である(一般に、GaN基板に生じる熱応力は、GaN基板の表面の直径の約2乗に比例する。直径150mmのGaN基板は、直径100mmのGaN基板の2倍以上の熱応力を有する)。
【0107】
したがって、GaN基板の表面の直径が大きくなるほどGaN基板の残留歪を小さくした方がGaN基板上への他の半導体層のエピタキシャル成長時にGaN基板にクラックが生じにくく、エピタキシャル成長中のクラックおよび割れの発生を低減する観点からは、直径150mmのGaN基板においては、△kp(全面)は1cm-1以下であることが好ましいと考えられる。
【0108】
<実験例12>
実験例5と同様にして作製したGaN基板の貫通転位密度をエッチピットで評価した。H2SO4:H3PO3=1:1の溶液を250℃に加熱し、GaN基板を約30分間浸漬させて、光学顕微鏡でエッチピット密度を測定した。GaN基板の中心部でのエッチピットはコア近傍で高密度であり、コアから離れた領域では低密度であった。コアを中心とした半径50μm領域ではエッチピット密度が1×107cm-2以上(ピットが重なって分解できない)コアを中心とした半径50μm領域を除く、半径400μm領域では3×105cm-2であった。実験例6、7および11と同様にして作製したGaN基板のエッチピット密度も同様の分布となっており、コアを中心とした半径50μmの領域ではエッチピット密度が1×106cm-2以上であり、コアを中心とした半径50μmの領域を除く半径400μmの領域では1×106cm-2未満であった。
【0109】
<実験例13>
実験例5と同様の条件で作製したGaN基板の酸素濃度分布を二次イオン質量分析法(SIMS)により評価した。コア近傍のファセット成長領域では酸素濃度2×1018cm-3、コアから離れたC面成長領域(800μm□の4隅コア対角線交差部)では3×1016cm-3であった。実験例6、7および11と同様にして作製したGaN基板の酸素濃度もファセット成長領域では5×1017cm-3以上、C面成長領域では5×1017cm-3未満であった。
【0110】
以上のように本発明の実施形態および実験例について説明を行なったが、上述の各実施形態および各実験例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0111】
今回開示された実施形態および実験例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態および実験例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
実施形態および実験例のGaN基板は、SBDなどの半導体デバイスなどの用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
10 GaN基板
11 GaN結晶
21 成長用基板
21a 表面
22 パターニング層
23 貫通転位
24 支持基板
25 貼り合わせ基板
30 オリフラ
31a,31b,31c,31d,31e 領域
32 仮想円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8