特許第6405771号(P6405771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405771
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】省電力化装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   B60R16/02 645C
   B60R16/02 660N
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-154357(P2014-154357)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-30539(P2016-30539A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟士
(72)【発明者】
【氏名】長谷 隆介
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−116024(JP,A)
【文献】 特開2007−336174(JP,A)
【文献】 特開昭62−250374(JP,A)
【文献】 米国特許第05325395(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の回路装置との間で送受信される通信信号を駆動する通信ドライバと、前記他の回路装置が動作する電圧と異なる電圧で動作し、前記通信ドライバに信号を出力し、前記通信ドライバから信号を入力する処理回路部と、前記通信ドライバと前記処理回路部との間で入出力される前記信号の直流成分を遮断して変化成分を通過させる絶縁回路と、を備えた回路装置の省電力化装置であって、
前記他の回路装置と通信信号を送受信するための通信線を接続する自身の回路装置のコネクタが、前記他の回路装置のコネクタと当接していることを検知するコネクタ接続検知手段と、
前記絶縁回路の動作電流の供給を制御する電力供給スイッチと、
前記コネクタ接続検知手段により、前記自身の回路装置のコネクタが前記他の回路装置のコネクタと当接していることが検知されているとき、前記電力供給スイッチをオンにし、前記自身の回路装置のコネクタと前記他の回路装置のコネクタとの当接が検知されないとき、前記電力供給スイッチをオフに制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする省電力化装置。
【請求項2】
前記コネクタ接続検知手段は、一端が前記処理回路部の入力端子に接続され、他端が前記自身の回路装置のコネクタの第1の接触部に接続されたコネクタ接続検知線と、一端が自身の回路装置のコネクタの第2の接触部に接続され、他端が所定の電位に保持された所定電位線と、を備え、
前記自身の回路装置のコネクタと前記他の回路装置のコネクタとが当接しているとき、前記自身の回路装置の前記第1及び第2の接触部が、前記他の回路装置のコネクタに設けられた折返し接続線の両端の折返し接触部と、それぞれ接触するように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の省電力化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力化装置に関し、特に、絶縁回路を備えた回路装置の省電力化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動フォークリフト、ハイブリッド車又は電気自動車等には、複数の充電可能な電池を直列に接続した組電池を内蔵し、高電圧の電力を供給する電池パックが実装される。このような電池パックには、内蔵の各電池を監視する電池監視部(例えば電池監視ECU:Electronic Control Unit)が備えられる。
【0003】
電池監視部は、(1)各電池の電圧、電流、温度等の状態の検出、(2)検出した状態情報から電池の残容量等の演算や異常状態の判定、(3)それらの演算又は判定の結果により各電池の充放電の制御や異常に対する対処等の処理機能等を有する。
【0004】
電池監視部は、また、CAN(Control Area Network)通信等の通信機能を有し、車両側に搭載された走行制御部(走行制御ECU)等の他の回路装置と、CAN通信等の通信により、種々の通信信号を送受信する処理機能を備えている。
【0005】
図2に従来の電池監視部の要部の構成例を示す。電池監視部20は、電池パック内の各電池の状態に対して、演算、判定、制御、対処等の処理を行うマイクロコンピュータ等の処理回路部21を備える。また、電池監視部20は、車両側の走行制御部等の回路装置(不図示)とCAN通信等の通信を行うために、CAN通信等の通信信号を駆動する通信ドライバ22を備える。
【0006】
さらに、電池監視部20は、処理回路部21と通信ドライバ22との間の信号伝達路23の導体を分離して、それらの間で伝達される信号の直流成分を遮断し、電圧、電流、周波数又は位相等の変化成分のみを通過させる絶縁回路(アイソレータ)24が備えられる。
【0007】
電池監視部20内のマイクロコンピュータ等の処理回路部21は、例えば5ボルト程度の低い電圧(低電圧系)で動作する。一方、電池監視部20とCAN通信線CANH,CANL等の通信線を介して接続される不図示の車両側の回路装置は、例えば48ボルト等の高い電圧(高電圧系)で駆動作する。
【0008】
低電圧系の回路装置と高電圧系の回路装置とでは、接地電位等の基準電位が異なり、基準電位の異なる回路装置同士が、コネクタ26,27によりCAN通信線CANH,CANL等の通信線を介して接続され、CAN通信等の通信信号を相互に送受信する場合がある。
【0009】
このように、基準電位の異なる回路装置同士が、通信線を介して接続される場合、該通信線で送受信される通信信号をそれぞれの回路装置に適した電位の信号に変換する通信ドライバ22が備えられる。
【0010】
通信ドライバ22の一方の側は、高電圧系の回路装置とCAN通信線CANH,CANL等の通信線で接続され、高電圧系の信号を入出力する。通信ドライバ22の他方の側は、絶縁回路24を介して低電圧系の処理回路部21と接続され、低電圧系の信号を入出力する。
【0011】
絶縁回路24は、低電圧系の電源回路25から動作電流が供給されて低電圧で動作し、通信ドライバ22と処理回路部21との間を直流的に絶縁して基準電位の相違による影響を除去し、それらの間で伝達される信号の変化成分のみを通過させる回路が組み込まれている。
【0012】
従来の電池監視部20では、処理回路部21がCAN通信等の通信信号を何時でも送受信することができるように、絶縁回路24には電源回路25からの動作電流が常時供給されていた。そのため、CAN通信等の通信が行われない場合でも、絶縁回路24は、電源回路25から供給される動作電流で常時活性化されていた。
【0013】
本発明に関連する先行技術文献として、車両等の電子制御ユニットにおいて、非運転時等に、光通信用の受光回路への電源供給を遮断し、消費電力を低減させる技術について、例えば下記の特許文献1等に記載されている。
【0014】
また、電力線とネットワーク機器との間に介在する電力線通信端末装置において、ネットワーク機器との切断状態を検出したときに、内部回路を休止状態又は電源オフ状態に遷移させ、消費電力を低減化させる技術について、例えば下記の特許文献2等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平5−193427号公報
【特許文献2】特開2007−336174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述のように、CAN通信等の通信線で他の回路装置と接続される電池監視部20等の回路装置において、他の回路装置と自身の回路装置とで基準電位が異なる場合、それらの回路装置間で送受信される信号の電位を変換する通信ドライバ22、及び伝達される信号の直流成分を遮断する絶縁回路24が備えられる。従来の絶縁回路24は、CAN通信等の通信が行われない場合でも、常時、動作電流が供給され、待機電力として無効・無駄な電力が消費されていた。
【0017】
上記課題に鑑み、本発明は、通信線で他の回路装置と接続される回路装置において、他の回路装置の通信線と自身の回路装置の通信線とが切り離されているときに、絶縁回路の動作電流の供給を停止させ、絶縁回路で待機電力として消費される電力を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る省電力化装置は、他の回路装置との間で送受信される通信信号を駆動する通信ドライバと、前記通信ドライバに信号を出力し、前記通信ドライバから信号を入力する処理回路部と、前記通信ドライバと前記処理回路部との間で入出力される前記信号の直流成分を遮断して変化成分を通過させる絶縁回路と、を備えた回路装置の省電力化装置であって、前記他の回路装置と通信信号を送受信するための通信線を接続する自身の回路装置のコネクタが、前記他の回路装置のコネクタと当接していることを検知するコネクタ接続検知手段と、前記絶縁回路の動作電流の供給を制御する電力供給スイッチと、前記コネクタ接続検知手段により、前記自身の回路装置のコネクタが前記他の回路装置のコネクタと当接していることが検知されているとき、前記電力供給スイッチをオンにし、前記自身の回路装置のコネクタと前記他の回路装置のコネクタとの当接が検知されないとき、前記電力供給スイッチをオフに制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、前記コネクタ接続検知手段は、一端が前記処理回路部の入力端子に接続され、他端が前記自身の回路装置のコネクタの第1の接触部に接続されたコネクタ接続検知線と、一端が自身の回路装置のコネクタの第2の接触部に接続され、他端が所定の電位に保持された所定電位線と、を備え、前記自身の回路装置のコネクタと前記他の回路装置のコネクタとが当接しているとき、前記自身の回路装置の前記第1及び第2の接触部が、前記他の回路装置に設けられた折返し接続線の両端の折返し接触部と、それぞれ接触するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、通信線で他の回路装置と接続される回路装置において、該通信線を接続するコネクタ同士の当接を検知し、該検知の結果に応じて絶縁回路の動作電流の供給を制御することにより、他の回路装置の通信線と自身の回路装置の通信線とが切り離されているときに、絶縁回路の動作電流の供給を停止させ、該絶縁回路で待機電力として消費される電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の電池監視部の要部の構成例を示す図である。
図2】従来の電池監視部の要部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、以下、図面を参照して説明する。本実施形態における絶縁回路を備えた回路装置として、電池監視部を例に挙げて説明する。図1に本実施形態の電池監視部の要部の構成例を示す。図2で説明したように、電池監視部20は、マイクロコンピュータ等の処理回路部21、CAN通信等の通信信号を駆動する通信ドライバ22を備える。
【0023】
さらに、電池監視部20は、処理回路部21と通信ドライバ22との間の信号伝達路23の導体を分離して、それらの間で伝達される信号の直流成分を遮断し、信号の電圧、電流、周波数又は位相等の変化成分のみを通過させる絶縁回路(アイソレータ)24を備える。
【0024】
電池監視部20内の処理回路部21は、例えば5ボルト程度の低い電圧(低電圧系)で動作する。一方、電池監視部20とコネクタ26,27を介して接続される不図示の車両側等の回路装置は、例えば48ボルト等の高い電圧(高電圧系)で動作する。
【0025】
電池監視部20内の絶縁回路24は、低電圧系の電源回路25から動作電流が供給され、本実施形態では、該動作電流の供給/停止を切替える電力供給スイッチ11を備える。電力供給スイッチ11は、オンのとき電源回路25から動作電流を絶縁回路24に供給し、オフのとき該動作電流の供給を停止する。電力供給スイッチ11のオン/オフは、処理回路部21によって制御する。
【0026】
また、本実施形態ではコネクタ接続検知線12を備える。コネクタ接続検知線12は、一端が処理回路部21の入力端子に接続され、他端が電池監視部20側のコネクタ26の第1の接触部13に接続されている。
【0027】
電池監視部20側のコネクタ26に当接する他の回路装置側のコネクタ27は、コネクタ26の第1の接触部13と接触する第1の折返し接触部14に一端が接続され、コネクタ26の第2の接触部17と接触する第2の折返し接触部16に他端が接続された折返し接続線15を備える。
【0028】
電池監視部20側のコネクタ26には、さらに、コネクタ27の第2の折返し接触部16と接触する第2の接触部17に、所定の電位、例えば接地電位に保持される所定電位線18を接続しておく。
【0029】
したがって、コネクタ26とコネクタ27とが当接しているとき、所定電位線18により与えられる所定電位が、第2の接触部17→第2の折返し接触部16→折返し接続線15→第1の折返し接触部14→第1の接触部13→コネクタ接続検知線12の経路により、コネクタ接続検知線12に与えられる。
【0030】
処理回路部21は、コネクタ接続検知線12の電位を監視し、所定電位線18によって与えられる所定電位がコネクタ接続検知線12に現れているとき、コネクタ26とコネクタ27とが当接していると認識し、コネクタ26,27によるコネクタ接続を検知する。
【0031】
処理回路部21は、所定電位線18によって与えられる所定電位がコネクタ接続検知線12に現れているとき、通信線がコネクタ26,27により接続されていると認識し、電力供給スイッチ11をオンにする制御信号を電力供給スイッチ11に与える。
【0032】
一方、所定電位線18によって与えられる所定電位がコネクタ接続検知線12に現れていないとき、処理回路部21は、コネクタ26とコネクタ27とが抜脱され、通信線が切り離されていると認識し、電力供給スイッチ11をオフにする制御信号を電力供給スイッチ11に与える。
【0033】
こうすることにより、コネクタ26とコネクタ27とが抜脱され、他の回路装置とCAN通信等の通信が行われていない場合に、絶縁回路24への電源回路25からの動作電流の供給を停止し、無効な待機電流の消費を低減させることができる。
【0034】
また、自身の回路装置のコネクタ26にコネクタ接続検知線12と所定電位線18とを設け、他の回路装置のコネクタ27に折返し接続線15を設け、コネクタ接続検知線12の電位を処理回路部21で監視することにより、簡素な構成でコネクタ接続検知を行うことができる。
【0035】
なお、電流供給スイッチ11は、処理回路部21内に組み込んでも良い。また、電流供給スイッチ11を絶縁回路24内に組み込み、処理回路部21から電流供給スイッチ11のオン/オフ制御信号を絶縁回路24に与え、絶縁回路24内で該オン/オフ制御信号により電流供給スイッチ11をオン/オフさせるようにしてもよい。
【0036】
また、コネクタ接続検知線12に現れる所定電位に応じて、電力供給スイッチ11のオン/オフを制御する制御回路を、処理回路部21とは別に設け、該制御回路により電力供給スイッチ11のオン/オフを制御するように構成してもよい。
【0037】
また、所定電位線18に与えられる所定の電位は、自身の回路装置である電池監視部20内における基準電位に即した電位(例えば接地電位)とするのが好ましいが、他の回路装置における基準電位に即した電位(例えば接地電位)であっても、コネクタ接続検知線12が該電位の端子と電気的に接続され、コネクタ接続検知線12がオープン状態とは異なる状態となったことが、処理回路部21等で判別されればよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上に述べた実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成又は実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0039】
11 電力供給スイッチ
12 コネクタ接続検知線
13 第1の接触部
14 第1の折返し接触部
15 折返し接続線
16 第2の折返し接触部
17 第2の接触部
18 所定電位線
20 電池監視部
21 処理回路部
22 通信ドライバ
23 信号伝達路
24 絶縁回路(アイソレータ)
25 電源回路
26,27 コネクタ
図1
図2