特許第6405812号(P6405812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6405812ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405812
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 15/06 20060101AFI20181004BHJP
   C08B 37/00 20060101ALI20181004BHJP
   C08B 37/02 20060101ALI20181004BHJP
   C08B 37/08 20060101ALI20181004BHJP
   C08B 37/16 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20181004BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20181004BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 31/717 20060101ALN20181004BHJP
   A61K 31/721 20060101ALN20181004BHJP
   A61K 31/728 20060101ALN20181004BHJP
   A61K 31/719 20060101ALN20181004BHJP
   A61K 31/724 20060101ALN20181004BHJP
   A61K 31/722 20060101ALN20181004BHJP
【FI】
   C08B15/06
   C08B37/00 D
   C08B37/02
   C08B37/08 A
   C08B37/08 Z
   C08B37/16
   A61K8/60
   A61Q19/00
   A61P17/16
   A61K9/06
   !A61K31/717
   !A61K31/721
   !A61K31/728
   !A61K31/719
   !A61K31/724
   !A61K31/722
【請求項の数】5
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2014-183112(P2014-183112)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-56268(P2016-56268A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 有希子
(72)【発明者】
【氏名】宇留賀 友輝
(72)【発明者】
【氏名】姜 義哲
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−278174(JP,A)
【文献】 特開平07−278175(JP,A)
【文献】 特開2013−253043(JP,A)
【文献】 特開2009−114073(JP,A)
【文献】 Wang, Z. et al.,J. APPL. POLYM. SCI.,2013年,vol.128, no.1,p.153-160
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
A61K
A61L
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体。
【化1】
・・・(1)
(式(1)中、Wは下記式(2)で表される構造を示し、Rは下記式(3)〜(5)で表される構造のうちのいずれか1つを示し、yは0又は1を示し、mは0〜4の整数を示し、sは0又は1を示し、tは0〜16の整数を示す。
【化2】
・・・(2)
(式(2)中、Rは下記式(6)又は(7)で表される構造を示し、Rは下記式(8)又は(9)で表される構造を示し、Rは下記式(10)又は(11)で表される構造を示し、nは0又は1を示し、rは0又は1を示す。)
【化3】
・・・(3)
【化4】
・・・(4)
【化5】
・・・(5)
【化6】
・・・(6)
【化7】
・・・(7)
【化8】
・・・(8)
【化9】
・・・(9)
【化10】
・・・(10)
【化11】
・・・(11)
【請求項2】
請求項1に記載のホスホリルコリン基含有糖誘導体であって、
セルロース、ヒアルロン酸、キトサン、プルラン、デキストラン、シクロデキストリンのうちのいずれか1つの誘導体である
ホスホリルコリン基含有糖誘導体。
【請求項3】
下記一般式(12)で表されるホスホリルコリン基含有化合物と、下記一般式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体とを用意し、
前記糖又は糖誘導体と、前記ホスホリルコリン基含有化合物とを付加反応させる
ホスホリルコリン基含有糖誘導体の製造方法。
【化12】
・・・(12)
(式(12)中、Zはエポキシ基又はシクロカーボネート基を示し、sは0又は1を示し、tは0〜16の整数を示す。)
【化13】
・・・(13)
(式(13)中、Yはカルボキシル基及び1級アミノ基のうち式(12)中のZと反応可能な官能基を示し、Rは下記式(3)〜(5)で表される構造のうちのいずれか1つを示し、yは0又は1を示し、mは0〜4の整数を示す。)
【化14】
・・・(3)
【化15】
・・・(4)
【化16】
・・・(5)
【請求項4】
請求項1又は2に記載のホスホリルコリン基含有糖誘導体を、物理的又は化学的に架橋させることにより得られる
ハイドロゲル。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のホスホリルコリン基含有糖誘導体を有効成分として含む
保湿剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体膜を構成するリン脂質の極性基であるホスホリルコリン基は、親水性、保湿性、タンパク質吸着の抑制及び生体適合性といった特性を有することが知られている。したがって、ホスホリルコリン基を有する化合物は様々な用途に利用されている。
【0003】
例えば、α−グリセロホスホリルコリンは、乳化剤や保湿剤に含まれるリン脂質の原料として利用されている。また、特許文献1,2に記載される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)重合体は、化粧品、コンタクトレンズや医療材料の原料として利用されている。
【0004】
一方、糖は、親水性、生分解性を有する天然由来の化合物である。糖又は糖誘導体は、例えば、繊維、製紙、化粧品や歯磨剤等の日用品、接着剤(糊)、医療など幅広い用途に利用されている。
【0005】
これまでに、重合性のホスホリルコリン基を含む化合物であるMPCと糖又は糖誘導体との共重合体は報告されているが、ホスホリルコリン基を直接糖又は糖誘導体に導入した化合物の報告例は少ない。
【0006】
ホスホリルコリン基を有する化合物は、例えば、水酸基を有するモノマーと2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オキシドとを反応させ、更にトリメチルアミンにより4級アンモニウムとする方法により得られる。この方法を用いる技術が、例えば特許文献3に記載されている。
【0007】
特許文献3に記載の技術では、反応性官能基を有するアルコール化合物にホスホリルコリン基を導入して得られるホスホリルコリン基含有化合物を、N−ヒドロキシスクイシンイミドや塩化トシルやカルボニルジイミダゾールとそれぞれ反応させる。これにより、N−ヒドロキシスクイシンイミドエステル、トシル、イミダソール基、又は多糖を有するホスホリルコリン基含有化合物が得られる。
【0008】
しかしながら、特許文献3などに記載された方法によって糖又は糖誘導体にホスホリルコリン基を直接導入する場合、ホスホリルコリン基の導入位置や導入率の制御が困難となる。これに対し、特許文献4に記載の技術では、ホスホリルコリン基の導入位置や導入率の制御が可能である。この技術では、グリセロホスホリルコリンの酸化的開裂反応により得られるアルデヒド体含有化合物を、アミノ基を含有する糖又は糖誘導体と還元アミノ化反応させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−118123号公報
【特許文献2】特開2000−279512号公報
【特許文献3】特表平5−505121号公報
【特許文献4】特開2003−301001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献4に記載の技術では、還元アミノ化反応が、ホルミル基とアミノ基の反応によるイミンを生成する工程と、生成したイミンを還元剤で還元的アミノ化反応を行う工程との2工程により行われる。本技術では、中間体として形成されるイミンの安定性によっては、ホスホリルコリン基の導入率が低下してしまう。
【0011】
また、特許文献4に記載の技術では、還元アミノ化試薬として、猛毒のシアン化水素(青酸ガス)を発生させる恐れのあるシアノ水素化ホウ素酸ナトリウムが使用されている。また、本技術に係るホスホリルコリン基を有する糖誘導体は、毒性のある還元剤が残存しやすく、生体や、生体類似環境で用いられる用途に適さない。
【0012】
更に、特許文献4に係るホスホリルコリン基を有する糖誘導体では、糖又は糖誘導体とホスホリルコリン基とを接続するリンカーが、アルキレンジアミンであるため、アルキレン基が長くなるにつれて、疎水性が増加してしまう。これにより、ホスホリルコリン基による親水性が寄与する環境場が小さくなってしまう。
【0013】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、糖又は糖誘導体にホスホリルコリン基を直接導入するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、以上の問題を鑑み、鋭意研究した結果、エポキシ基又はシクロカーボネート基を含むホスホリルコリン基含有化合物を修飾剤として、カルボキシル基又は1級アミノ基を含む糖誘導体と開環付加反応させることで、必要ならば酸触媒の存在下、非常に簡便に、ホスホリルコリン基を糖又は糖誘導体に直接導入したホスホリルコリン基含有糖誘導体を得られることを見出した。すなわち、本発明のホスホリルコリン基含有糖誘導体は、ホスホリルコリン基と多糖との間のリンカー中に水酸基を有しているため、リンカー自身の親水性が高まるとともに、ホスホリルコリン基が寄与する環境場がより広くなることを見出した。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るホスホリルコリン基含有糖誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
【化1】
・・・(1)
(式(1)中、Wは下記式(2)で表される構造を示し、Rは下記式(3)〜(5)で表される構造のうちのいずれか1つを示し、yは0又は1を示し、mは0〜4の整数を示し、sは0又は1を示し、tは0〜16の整数を示す。)
【化2】
・・・(2)
(式(2)中、Rは下記式(6)又は(7)で表される構造を示し、Rは下記式(8)又は(9)で表される構造を示し、Rは下記式(10)又は(11)で表される構造を示し、nは0又は1を示し、rは0又は1を示す。)
【化3】
・・・(3)
【化4】
・・・(4)
【化5】
・・・(5)
【化6】
・・・(6)
【化7】
・・・(7)
【化8】
・・・(8)
【化9】
・・・(9)
【化10】
・・・(10)
【化11】
・・・(11)
【0016】
上記ホスホリルコリン基含有糖誘導体は、セルロース、ヒアルロン酸、キトサン、プルラン、デキストラン、シクロデキストリンのうちのいずれか1つの誘導体であってもよい。
【0017】
本発明の一形態に係るホスホリルコリン基含有糖誘導体では、下記一般式(12)で表されるホスホリルコリン基含有化合物と、下記一般式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体とが用意される。
上記糖又は糖誘導体と、上記ホスホリルコリン基含有化合物とが付加反応させられる。
【化12】
・・・(12)
(式(12)中、Zはエポキシ基又はシクロカーボネート基を示し、sは0又は1を示し、tは0〜16の整数を示す。)
【化13】
・・・(13)
(式(13)中、Yはカルボキシル基及び1級アミノ基のうち式(12)中のZと反応可能な官能基を示し、Rは下記式(3)〜(5)で表される構造のうちのいずれか1つを示し、yは0又は1を示し、mは0〜4の整数を示す。)
【化14】
・・・(3)
【化15】
・・・(4)
【化16】
・・・(5)
【0018】
本発明の一形態に係るハイドロゲルは、上記ホスホリルコリン基含有糖誘導体を、物理的又は化学的に架橋させることにより得られる。
【0019】
本発明の一形態に係る保湿剤は、上記ホスホリルコリン基含有糖誘導体を有効成分として含む。
【発明の効果】
【0020】
糖又は糖誘導体にホスホリルコリン基を直接導入するための技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0022】
本発明一実施形態に係るのホスホリルコリン基含有糖誘導体は、一般式(1)で表される構造を有する化合物である。
【化17】
・・・(1)
(式(1)中、Wは下記式(2)で表される構造を示し、Rは下記式(3)〜(5)で表される構造のうちのいずれか1つを示し、yは0又は1を示し、mは0〜4の整数を示し、sは0又は1を示し、tは0〜16の整数を示す。)
【化18】
・・・(2)
(式(2)中、Rは下記式(6)又は(7)で表される構造を示し、Rは下記式(8)又は(9)で表される構造を示し、Rは下記式(10)又は(11)で表される構造を示し、nは0又は1を示し、rは0又は1を示す。)
【化19】
・・・(3)
【化20】
・・・(4)
【化21】
・・・(5)
【0023】
【化22】
・・・(6)
【化23】
・・・(7)
【0024】
【化24】
・・・(8)
【化25】
・・・(9)
【0025】
【化26】
・・・(10)
【化27】
・・・(11)
【0026】
本実施形態に係る式(1)に表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体は、ホスホリルコリン基の機能と、糖類の機能とを併せ持つ。ホスホリルコリン基の機能としては、親水性、保湿性、タンパク質吸着の抑制、及び生体適合性などが挙げられる。これに加え、ホスホリルコリン基は、糖類の粘性を低下させ、又は安定化に寄与する。糖類の機能としては、生分解性及び生体適合性などが挙げられる。
【0027】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体は、例えば、化粧品分野や医療材料分野で利用可能である。化粧品分野では、例えば、ホスホリルコリン基の機能により、肌への浸透性を高めることができ、また抗シワ剤などの生理活性を発現させることができる。医療材料分野では、生分解性及び生体適合性といった糖類が有する機能と、抗血栓性といったホスホリルコリン基が有する機能とにより、例えば、癒着防止剤、細胞培養の足場、薬物内包キャリアーとしての利用が期待される。
【0028】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体は、一般式(12)で表されるホスホリルコリン基含有化合物と、一般式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体とを付加反応させることにより得られる。
【化28】
・・・(12)
(式(12)中、Zはエポキシ基又はシクロカーボネート基を示し、sは0又は1を示し、tは0〜16の整数を示す。)
【化29】
・・・(13)
(式(13)中、Yはカルボキシル基及び1級アミノ基のうち式(12)中のZと反応可能な官能基を示し、Rは上記式(1)に係る上記式(3)〜(5)で表される構造のうちのいずれか1つを示し、yは0又は1を示し、mは0〜4の整数を示す。)
【0029】
式(12)で表されるエポキシ基を有するホスホリルコリン基含有化合物としては、例えば、3,4−エポキシエチルホスホリルコリン、4,5−エポキシペンチルホスホリルコリン、5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン、6,7−エポキシヘプチルホスホリルコリン、7,8−エポキシオクチルホスホリルコリン、8,9−エポキシノニルホスホリルコリン、9,10−エポキシデシルホスホリルコリン、10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリン、2−(2,3−エポキシプロピル−1−オキシ)エチルホスホリルコリン、1,2−エポキシ−ポリエチレングリコール−ホスホリルコリン、1,2−エポキシ−ポリプロピレングリコールホスホリルコリン等が挙げられる。好ましくは、5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン、10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリン、2−(2,3−エポキシプロピル−1−オキシ)エチルホスホリルコリンが挙げられる。
【0030】
式(12)で表されるエポキシ基を有するホスホリルコリン基含有化合物は、工程(A)及び工程(B)を含む合成方法により得ることができる。なお、式(14)〜(18)中のs及びtは式(12)と同様である。
【0031】
<工程(A)>式(14)で表される化合物と式(15)で表される化合物とを非プロトン性溶媒中で反応させて式(16)で表される化合物を作製し、式(16)で表される化合物をトリメチルアミンと反応させることで式(17)で表される末端にアルケンを含有する化合物を得る。
【化30】
・・・(14)
【化31】
・・・(15)
【化32】
・・・(16)
【化33】
・・・(17)
【0032】
<工程(B)>式(17)で表される化合物をメタクロロ過安息香酸により酸化させることで式(18)で表されるエポキシ基を有するホスホリルコリン基含有化合物を得る。
【化34】
・・・(18)
【0033】
式(12)で表されるシクロカーボネート基を有するホスホリルコリン基含有化合物としては、例えば、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルホスホリルコリン、2−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチルホスホリルコリン、3−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)プロピルホスホリルコリン、4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリン、5−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ペンチルホスホリルコリン、6−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ヘキシルホスホリルコリン、7−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ヘプチルホスホリルコリン、8−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オクチルホスホリルコリン、9−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ノニルホスホリルコリンが挙げられる。好ましくは、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルホスホリルコリン、4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリンが挙げられる。
【0034】
式(12)で表されるシクロカーボネート基を有するホスホリルコリン基含有化合物は、例えば、特開2009−242289号公報に記載される合成方法により得ることができる。
【0035】
式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖又は糖誘導体は、特定の種類に限定されず、式(12)で表されるエポキシ基又はシクロカーボネート基を有するホスホリルコリン基含有化合物が反応できるカルボキシル基又はアミノ基を有するものであればよい。
【0036】
(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体の生成には、公知の糖を利用可能である。公知の糖としては、例えば、デキストラン、シクロデキストリン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、プルラン、グルコマンナン、アガロース、キチン、キトサン、アルギン酸、アミロース、アミロペクチン、カードラン、スクレオグルカン、キシラン、イヌリン、グアーガム、シゾフィランといった多糖及び、α―シクロデキストリン、β―シクロデキストリン、γ―シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0037】
式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体は、カルボキシル基を有さない公知の糖又は糖誘導体に、公知の方法によりカルボキシル基を導入することによって作製されてもよい。カルボキシル基を有さない糖又は糖誘導体にカルボキシル基を導入するためには、例えば、モノクロロ酢酸によるカルボキシメチル化反応を行うなどを利用することができる。また、ヒアルロン酸やアルギン酸のようにカルボキシル基を有する糖は、そのまま式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体として利用可能である。
【0038】
式(13)で表される構造を有し、Yがカルボキシル基である糖又は糖誘導体におけるカルボキシル基の含有量により、最終目的物である式(1)で表されるホスホリルコリン基含有糖誘導体におけるホスホリルコリン基の含有量を制御することができる。なお、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体には、ホスホリルコリン基が付加せずにカルボキシル基が残存している繰り返し単位があってもよい。
【0039】
式(13)で表される構造を有し、Yがカルボキシル基である糖又は糖誘導体は、例えば、市販品のセルロース、プルラン、デキストラン、シクロデキストリンなどを、モノクロロ酢酸によりカルボキメチル化を行うことにより得られる。式(13)で表される構造を有し、Yがカルボキシル基である糖又は糖誘導体としてはカルボキシメチル化済みの市販品を用いてもよい。
【0040】
式(13)で表される構造を有し、Yがカルボキシル基である糖又は糖誘導体のカルボキシメチル基含量は、市販品のセルロース、プルラン、デキストラン、シクロデキストリンなどを、例えば、モノクロロ酢酸によりカルボキメチル化を行う際のモノクロロ酢酸の仕込み当量により制御可能であり、任意に調整可能である。
【0041】
式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖誘導体の生成には、公知の糖を利用可能である。このような糖としては、例えば、デキストラン、シクロデキストリン、セルロース、ヒアルロン酸、プルラン、グルコマンナン、アガロース、キチン、キトサン、アルギン酸、アミロース、アミロペクチン、カードラン、スクレオグルガン、キシラン、イヌリン、グアーガムシゾフィランといった多糖、α―シクロデキストリン、β―シクロデキストリン、γ―シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0042】
式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖又は糖誘導体は、アミノ基を有さない公知の糖又は糖誘導体に、公知の方法によりアミノ基を導入することによって作製されてもよい。アミノ基を有さない糖又は糖誘導体にアミノ基を導入するためには、例えば、糖又は糖誘導体が有するヒドロキシメチル基とハロゲン化アルキルアミンとの反応や、糖又は糖誘導体が有するカルボキシル基とアルキレンジアミンとのカップリング反応を利用することができる。また、キトサンのようにアミノ基を有する糖は、そのまま式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体として利用可能である。
【0043】
式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖又は糖誘導体におけるアミノ基の含有量により、最終目的物である式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体におけるホスホリルコリン基の含有量を制御することができる。なお、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体には、ホスホリルコリン基が付加せずにアミノ基が残存している繰り返し単位があってもよい。
【0044】
式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖又は糖誘導体は、例えば、市販品のセルロース、ヒアルロン酸などを、例えば、ハロゲン化アルキルアミンあるいはアルキレンジアミンによるアミノ化を行うことにより得られる。式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖又は糖誘導体としてはアミノ化済みの市販品を用いてもよい。
【0045】
式(13)で表される構造を有し、Yがアミノ基である糖又は糖誘導体のアミノ基含量は、市販品のセルロース、ヒアルロン酸、プルラン、デキストラン、シクロデキストリンなどを、例えば、ハロゲン化アルキルアミンによるアミノ化を行う際のハロゲン化アルキルアミンの仕込み当量により制御可能であり、任意に調整可能である。
【0046】
式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体としては、分子量が、1,000〜1000,000、好ましくは5,000〜50,0000、より好ましくは5,000〜200,000である試薬又は市販品を使用可能である。
【0047】
セルロースの市販品としては、例えば、日本製紙ケミカル(株)のサンローズなどを使用可能である。
【0048】
ヒアルロン酸は、鶏冠、牛、豚などの動物由来のものであっても、またストレプトコッカス類などの菌による発酵法により得られるものであってもよい。ヒアルロン酸としては、市販品を使用することが可能である。ヒアルロン酸の市販品としては、例えば、(株)資生堂製のバイオヒアルロン酸ナトリウムHA9N、キッコーマンバイオケミファ(株)製のヒアルロン酸FCH−SU、ヒアルロン酸FCH−A、マイクロヒアルロン酸FCH、などを使用可能である。
【0049】
プルランの市販品としては、例えば、(株)林原のPU101を使用可能である。
【0050】
デキストランの市販品としては、例えば、名糖産業(株)のデキストラン40,カルボキシルメチルデキストランナトリウムを使用可能である。
【0051】
シクロデキストリンはとしては、α、β、γのいずれのものも使用可能であり、試薬も使用可能である。
【0052】
キトサンは、脱アセチル化度は80%以上のものを使用することが好ましい。キトサンの市販品としては、例えば、大日精化(株)社製のダイキトサンVL,ダイキトサン100D(VL)や、焼津水産化学工業のキトサン,キトサンオリゴ糖を使用可能である。
【0053】
式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体は、アミノ基、カルボキシル基以外に、例えば、水酸基、2級及び3級アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、ポリオキシエチレン基、アンモニウム基、アミド、カルボキシベタイン、糖類等、炭素原子数1〜22の直鎖状及び分岐アルキル、コレステロール、オレイル等不飽和結合を含むアルキル基、ベンゼン環、ナフタレン環、ピレンをはじめとする炭化水素系芳香族、ピリジン環、イミダゾール、チアゾール、インドール等のヘテロ系芳香族、パーフルオロアルキル、ポリアルキルシロキサン等を含有していてもよい。
【0054】
式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体では、上記のアミノ基、カルボキシル基以外の官能基の種類及び含有量によって、最終目的物である式(1)で表されるホスホリルコリン基含有糖誘導体の機能を設計することができる。
【0055】
式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体では、上記の官能基がエステル、エーテル、アミド、ウレタン、尿素結合等により直接主鎖に結合されていてもよいし、上記の官能基がスペーサーを介して主鎖に結合されていてもよい。スペーサーの種類としては、例えば、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド、直鎖状アルキル(炭素原子数2〜22)等が挙げられる。
【0056】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体の製造方法において、式(12)で表されるホスホリルコリン基含有化合物の使用量は、式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体のカルボキシル基あるいはアミノ基に対して、モル比で0.1〜20.0倍量、好ましくは0.5〜10.0倍量、最も好ましくは1.0〜3.0倍量である。
【0057】
式(12)で表される化合物の使用量が、式(13)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基あるいはアミノ基に対して0.1倍量より少ない場合には、高い反応転化率が達成されない恐れがある。また式(12)で表される化合物が、式(13)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基あるいはアミノ基に対して20.0倍量よりも多い場合には、更なる反応転化率の向上が見込めず、式(12)で表される化合物に、反応転化率の向上に寄与しない余剰分が発生する。
【0058】
式(1)で表されるホスホリルコリン基含有糖誘導体の製造方法において、式(12)で表されるホスホリルコリン基含有化合物を、式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体に付加させる反応に利用可能な溶媒は、式(12)で表される化合物、及び式(13)で表される構造を有する化合物を溶解可能であれば特定の種類に限定されない。
【0059】
式(12)で表される化合物、及び式(13)で表される構造を有する化合物を溶解可能な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びこれらの混合溶液が挙げられる。しかし、式(12)で表される化合物、及び式(13)で表される構造を有する化合物の溶解性の観点から、溶媒は水であることが好ましい。
【0060】
極性溶媒の使用量は、式(12)で示されるホスホリルコリン基含有化合物、及び式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体に対して、質量比で通常1〜100倍量、好ましくは5〜30倍量、最も好ましくは10〜20倍量である。
【0061】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体の製造方法において、式(12)で示されるホスホリルコリン基含有化合物を、式(13)で表される構造を有する糖又は糖誘導体に付加させる反応における反応温度は、通常1〜150℃、好ましくは10〜100℃、最も好ましくは25℃〜80℃である。
【0062】
反応温度が1℃よりも低い場合には、反応に長時間を要する恐れがある。また、反応温度が150℃より高い場合には、更なる反応速度が望めないうえ、酸性条件下においては糖や糖誘導体のグリコシド結合の解離が起こる恐れがある。反応時間は、反応温度、濃度などの条件により異なるが、通常1〜24時間程度であることが好ましい。
【0063】
本実施形態では、上記の製造方法により、ホスホリルコリン基を任意の量で含有する、式(1)で表わされる構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体を容易に製造可能である。式(1)で表わされる構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体は、糖の種類によらず、ほぼ同じ方法で簡便に得られる。本実施形態で得られるホスホリルコリン基含有糖誘導体は、そのまま未精製で用いられる他、減圧乾燥、凍結乾燥、再沈殿、透析、カラム、イオン交換、ゲル濾過などの処理により単離、精製を行ってから用いられることも可能である。
【0064】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体を用いて形成されるハイドロゲルは、天然物由来の生体吸収性材料である糖と、生体適合性、抗血栓性の高いホスホリルコリン基を有していることから、癒着防止剤、細胞培養基材、細胞の分化誘導の足場、薬物内包キャリアーなどとして利用できる。
【0065】
このハイドロゲルは、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体中に残存するカルボキシル基、アミノ基、あるいは水酸基を架橋点として利用した物理的なイオン性結合によるものであってもよく、また化学的な共有結合によるものであってもよい。
【0066】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体を用いるハイドロゲルの調製においては、1種類及び複数種類のホスホリルコリン基含有糖誘導体が組み合わせて用いられてもよい。
【0067】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体を用いるハイドロゲルの調製における架橋反応としては、熱反応や、光反応や、酵素反応を利用することができる。
【0068】
共有結合による架橋構造を有するハイドロゲルは、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体中に存在する水酸基、アミノ基あるいはカルボキシル基を、これらと反応する官能基を有する2官能以上の架橋剤によって架橋し、あるいは自己架橋することで調製可能である。
【0069】
2官能以上の架橋剤は、水酸基、アミノ基あるいはカルボキシル基と反応するものであれば、特定の種類に限定されない。2官能以上の架橋剤としては、例えば、アルデヒド化合物、エポキシ化合物、(無水)カルボン酸化合物、アミン化合物、カーボネート化合物、イソシアネート化合物、ビニル化合物、カルボジイミド化合物、スクシンイミド化合物等が挙げられる。
【0070】
2官能以上の架橋剤の具体例としては、グルタルアルデヒド、1,3−ブタジエンジエポキシド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート型イソシアヌレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、1,3−ビス(2,2−ジメチル―1,3−ジオキソラン―4−イルメチル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、3,3―ジアミノジプロピルアミン、トリエチレンテトラミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリアルキレンアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリアミノエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミノスチレン、アミノアルキル基(末端基、又は側基)含有ポリジメチルシロキサン、などが挙げられる。
【0071】
共有結合による架橋構造を有するハイドロゲルを調製する際に使用する架橋剤の配合量は、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体中に残存するカルボキシル基、アミノ基、あるいは水酸基に対して、0.1〜5当量、好ましくは、0.1〜3当量、最も好ましくは0.5〜1当量である。架橋剤の配合量が0.1当量よりも少ない場合には、ゲル化が起きないことが懸念される。架橋剤の配合量が5.0当量よりも多い場合には、ハイドロゲルがもろくなる、又は、架橋剤に、ハイドロゲルの物性に寄与しない余剰分が生じる。
【0072】
共有結合による架橋構造を有するハイドロゲルを調製する際に使用するカルボジイミドは、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体中に残存するカルボキシル基を活性化するのものであれば特定の種類に限定されないが、通常水溶性のEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジミド)を単独で、あるいはN−ヒドロキシコハク酸イミド等の活性エステルと併用して用いることができる。
【0073】
コハク酸イミドとしては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミドの他に、ジベンジルシクロオクチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−カルボベンゾキシオキシスクシンイミド、N−(2−クロロベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニルオキシ]スクシンイミド、N−スクシンイミジルアクリレート、N−スクシンイミジル−6−(2,4−ジニトロアニリロ)ヘキサノエイト、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニルオキシ]スクシンイミドを使用可能である。
【0074】
共有結合による架橋構造を有するハイドロゲルを調製する際に使用するカルボジイミドあるいは活性エステルの配合量は、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体中に残存するカルボキシル基に対して、0.1〜10当量、好ましくは、0.5〜5当量、より好ましくは1〜2当量である。配合量が0.1当量より少ない場合には、カルボキシル基の活性化効率が悪くなる。配合量が10当量よりも多い場合には、大量の未反応のカルボジイミド化合物を精製するのが困難となることが懸念される。
【0075】
イオン結合による架橋構造を有するハイドロゲルは、式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体中に存在するアニオン性基あるいはカチオン性基をイオン性架橋点とし、それぞれ、カチオン性化合物、アニオン性化合物と反応させてイオンコンプレックスを形成することで調製可能である。これにより得られるハイドロゲルとしては、例えば、アニオン性多糖であるヒアルロン酸とカチオン性多糖であるキトサンとのイオンコンプレックスゲルが挙げられる。
【0076】
イオン結合による架橋構造を有するハイドロゲルを調製する際に使用可能なカチオン性基を有する化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、3,3―ジアミノジプロピルアミン、トリエチレンテトラミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリアルキレンアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリアミノエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミノスチレン、アミノアルキル基(末端基、又は側基)含有ポリジメチルシロキサン等を用いることができる。
【0077】
また、イオン結合による架橋構造を有するハイドロゲルを調製する際に使用可能なアニオン性基を有する化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、もしくは3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルプルラン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルシクロデキストリン等を用いることができる。
【0078】
イオン結合による架橋構造を有するハイドロゲルを調製する際のアニオン性成分とカチオン性成分とを有する化合物の配合割合(アニオン性成分:カチオン性成分)は、通常20:80〜80:20で、特に40:60〜60:40が好ましい。アニオン性成分とカチオン性成分とのうちどちらか一方が20%以下の配合となる場合には、ゲル化がおきない、又は、コンプレックス形成が弱く、もろくなることが懸念される。
【0079】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体を有効成分として含む保湿剤は、特に、皮膚に対して優れた保湿性及び使用感を示すので、例えば、皮膚に適用する各種化粧料の用途に特に適している。
【0080】
式(1)で表される構造を有するホスホリルコリン基含有糖誘導体を有効成分として含む保湿剤を化粧料に配合する場合の配合量は、通常0.05〜30質量%、特に0.1〜20質量%が好ましい。配合量が0.05質量%未満の場合には、当該保湿剤の優れた効果が発揮されない恐れがある。一方、配合量が30質量%を超える場合には、べたつき感が生じ、使用感の効果が低下する恐れがある。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0082】
[合成例1]5−ヘキセニルホスホリルコリン(式(A)で表される化合物)の合成
ナスフラスコに、5−ヘキセノール20.0g、THF250ml及びトリエチルアミン20.21gを加え、0℃に冷却した。その後、ナスフラスコに滴下ロートを装着し、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン28.45gを30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で30分攪拌した。反応終了後、析出した塩酸塩を濾過して除去して2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラニル基を有するアルケン含有化合物を得た。
得られたアルケン含有化合物にアセトニトリル300ml、トリメチルアミン44mlを加え、70℃で15時間反応させた。反応終了後再結晶を行い、収量17.0g、収率32%で、淡褐色の5−ヘキセニルホスホリルコリンを得た(式(A))。
【化35】
・・・(A)
【0083】
[合成例2]10−ウンデセニルホスホリルコリン(式(B)で表される化合物)の合成
5−ヘキセノールの代わりに10−ウンデセン−1−オールを用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色の10−ウンデセニルホスホリルコリンを得た(式(B))。
【化36】
・・・(B)
【0084】
[合成例3]2−アリルオキシエチルホスホリルコリン(式(C)で表される化合物)の合成
5−ヘキセノールの代わりにエチレングリコールモノアリルエーテルを用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、収量37.2g、収率70%で、白色の2−アリルオキシエチルホスホリルコリンを得た(式(C))。
【化37】
・・・(C)
【0085】
[合成例4]5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン(式(D)で表される化合物)の合成
スクリュー管に、合成例1において合成した5−ヘキセニルホスホリルコリン0.5g、クロロホルム20ml、及びメタクロロ過安息香酸0.9gを加え、室温で24時間反応させた。反応終了後、水で抽出操作を行うことにより5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリンを得た(式(D))。
【化38】
・・・(D)
【0086】
[合成例5]10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリン(式(E)で表される化合物)の合成
5−ヘキセニルホスホリルコリンの代わりに10−ウンデセニルホスホリルコリンを用いた以外は合成例4と同様の操作を行い、10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリンを得た(式(E))。
【化39】
・・・(E)
【0087】
[合成例6]2−(2,3−エポキシプロピル−1−オキシ)エチルホスホリルコリン(式(F)で表される化合物)の合成
5−ヘキセニルホスホリルコリンの代わりに2−アリルオキシエチルホスホリルコリンを用いた以外は合成例4と同様の操作を行い、2−(2,3−エポキシプロピル−1−オキシ)エチルホスホリルコリンを得た(式(F))
【化40】
・・・(F)
【0088】
[合成例7]1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン(式(G)で表される化合物)の合成
500mLの四つ口フラスコに、グリセリンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノール)20.0g(169mmol)、トリエチルアミン17.1g(169mmol)及びテトラヒドロフラン250mLを加えて攪拌しながら0℃に冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)24.0g(169mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液をフラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液中に1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られた濾液及びアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン40.0g(676mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置し結晶を生成させた。生成物を濾過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(G)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリンを得た。収量は21.5g(76.1mmol)、収率は45.0%であった。
【化41】
・・・(G)
【0089】
[合成例8](4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン)(式(H)で表される化合物)の合成
200mLのフラスコに、1,2,6−ヘキサントリオール(東京化成工業製)26.8g(200mmol)、炭酸ジメチル19.8g(220mmol)及び炭酸カリウム60.8g(440mmol)を加えて80℃で15時間反応させた。反応混合物を酢酸エチル100mLに希釈し、これを水100mLで3回洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣を減圧乾燥して式(H)で表される4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンを得た。収量は25.3g(158mmol)、収率は79%であった。
【化42】
・・・(H)
【0090】
[合成例9](4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリン)(式(I)で表される化合物)の合成
500mLの四つ口フラスコに、式(H)で表される4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン20.0g(125mmol)、トリエチルアミン12.6g(125mmol)及びテトラヒドロフラン250mLを加えて攪拌しながら0℃に冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)17.8g(125mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液をフラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液中に1,3−ジオキソラン−2−オン−4−ブチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られた濾液及びアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン29.6g(500mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置し結晶を生成させた。生成物を濾過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(I)で表される4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリンを得た。収量は17.6g(53.8mmol)、収率は43.0%であった。
【化43】
・・・(I)
【0091】
[合成例10]カルボキシメチルプルラン(式(J)で表される化合物)の合成(カルボキシメチル含量:68.5mg/g)
分子量が200,000のプルラン(PI−20,林原生物化学研究所)10gに18wt%水酸化ナトリウム水溶液125gを添加して、25℃で2時間攪拌した。続いて20wt%モノクロル酢酸水溶液75gを添加して、25℃で18時間攪拌した。その後、20%塩酸を使用して反応溶液をpH1.0に調整し、25℃で2時間攪拌した。反応溶液を90vol%エタノール水溶液5Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。90vol%エタノール水溶液3Lを使用して得られた析出物を洗浄して、最後にエタノールで置換した後、減圧乾燥して式(J)で表される化合物を得た。得られた化合物をHCLにより中和し、カルボン酸価値を測定したところ、カルボン酸含量は68.5mg/gであった。
【化44】
・・・(J)
【0092】
[合成例11]アミノ基含有セルロース(式(K)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにセルロース20.0gに、ジメチルスルホキシド(DMSO)180gを加えテトラブチルアンモニウムブロミドを149g(3当量)加え、ブロモエチルアミン57.3g(3当量)を加え、80℃で12時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿することにより、式(K)で表される化合物を得た。
【化45】
・・・(K)
【0093】
[合成例12]アミノ基含有ヒアルロン酸(式(L)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにヒアルロン酸(FCH−A キッコーマン製)20.0gに、イオン交換水を180gを加えテトラブチルアンモニウムブロミドを49.0g(3当量)加えて60℃で12時間攪拌して、エタノールによる最沈殿を行うことで、DMSOに可溶なヒアルロン酸を得た。このヒアルロン酸15.0gをDMSO135gに溶解し、ブロモエチルアミン14.1g(3当量)を加え、80℃で12時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿することにより、式(L)で表される化合物を得た。
【化46】
・・・(L)
【0094】
[合成例13]アミノ基含有ヒアルロン酸(式(M)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにヒアルロン酸(FCH−A キッコーマン製)20.0gに、イオン交換水を180gを加え1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を10.6g(1.1当量)加えて50℃で1時間攪拌し、その後、エチレンジアミンを3.3g(1.1当量)を加えて同温で13時間攪拌した後、エタノールによる最沈殿をすることにより、式(M)で表される化合物を得た。
【化47】
・・・(M)
【0095】
[合成例14]アミノ基含有ヒアルロン酸(式(N)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにヒアルロン酸(FCH−A キッコーマン製)20.0gに、イオン交換水を180gを加え1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を10.6g(1.1当量)加えて50℃で1時間攪拌し、その後、Bis(6−アミノヘキシル)アミンを11.9g(1.1当量)を加えて同温で13時間攪拌した後、エタノールによる最沈殿をすることにより、式(N)で表される化合物を得た。
【化48】
・・・(N)
【0096】
[実施例1−1]CMC(Carboxy Methyl Cellulose)−PC(ホスホリルコリン)(式(aa)で表される化合物)の合成(理論P含量:61.9mg/g)
スクリュー管にCMCナトリウム(東京化成工業 n=500)1.0g、イオン交換水9.0g、リン酸139.4mgを入れ80℃で攪拌させた後、合成例4において合成した5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン12.0gを加え、同温度で7時間反応させた。反応終了後、メタノールで再沈殿した後にNMR測定を行ったところ、(*1)に示す帰属が得られたことから式(aa)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、30.95mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は50.0%であった。
(*1)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS)9.6ppm(C12),30.9〜33.8ppm(C11、C13),48.3ppm(C17),60.0〜75.0ppm(C、C、C、C、C、C、C、C10、C14、C15、C16),98.0ppm(C),171.0ppm(C
【化49】
・・・(aa)
【0097】
[実施例1−2]CMC−PC(式(bb)で表される化合物)の合成(理論P含量:53.0mg/g)
スクリュー管にCMCナトリウム(東京化成工業 n=500)1.0g、イオン交換水9.0g、リン酸139.4mgを入れ80℃で攪拌させた後、合成例5において合成した10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリンを15.0gを加え、同温度で7時間反応させた。反応終了後、メタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*2)に示す帰属が得られたことから式(bb)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、23.9mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は45.0%であった。
(*2)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6ppm(C12、13、14、15、16、17),30.9〜33.8ppm(C11、C18),48.3ppm(C22),60.0〜75.0ppm(C、C、C、C、C、C、C、C10、C19、C20、C21),96.5ppm(C),171.0ppm(C
【化50】
・・・(bb)
【0098】
[実施例1−3]CMC−PC(式(cc)で表される化合物)の合成(理論P含量:61.6mg/g)
スクリュー管にCMCナトリウム(東京化成工業 n=500)1.0g、イオン交換水9.0g、リン酸139.4mgを入れ80℃で攪拌させた後、合成例6において合成した2−(2,3−エポキシプロピル−1−オキシ)エチルホスホリルコリンを12.0g加え、同温度で7時間反応させた。反応終了後、メタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*3)に示す帰属が得られたことから式(cc)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、29.6mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は48.0%であった。
(*3)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 48.3ppm(C16),60.0〜75.0ppm(C、C、C、C、C、C、C、C10、11、12、C13、C14、C15),96.5ppm(C),171.0ppm(C
【化51】
・・・(cc)
【0099】
[実施例1−4]ヒアルロン酸−PC(式(dd)で表される化合物)の合成(理論P含量:45.6mg/g)
ヒアルロン酸(FCH−A キッコーマンバイオケミファ社製)1.0g(分子量=50,000〜110,000)をイオン交換水に溶解(固形分濃度5wt%)し、リン酸を236mg加え、60℃に保った。これに合成例4において合成した5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン877mgをイオン交換水に溶解させたものを滴下し、同温度で3時間攪拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*4)に示す帰属が得られたことから式(dd)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、21.6mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は47.3%であった。
(*4)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6ppm(C18),30.9〜33.8ppm(C、C17、C19),48.3ppm(C23),62.1〜77.0ppm(C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C15、C16、C20、C21、C22),92.3〜95.6ppm(C、C),170.6ppm(C),172.0ppm(C14
【化52】
・・・(dd)
【0100】
[実施例1−5]ヒアルロン酸−PC(式(ee)で表される化合物)の合成(理論P含量:42.4mg/g)
ヒアルロン酸(FCH−A キッコーマンバイオケミファ社製)1.0g(分子量=50,000〜110,000)をイオン交換水に溶解(固形分濃度5wt%)し、リン酸を236mg加え、60℃に保った。これに合成例5において合成した10,11−エポキシウンデシルホスホリルコリン877mgをイオン交換水に溶解させたものを滴下し、同温度で3時間攪拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*5)に示す帰属が得られたことから式(ee)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、20.1mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は47.3%であった。
(*5)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6〜25.1ppm(C18、19、20、21、22、23),30.9〜33.8ppm(C、C17、C24),48.3ppm(C28),62.1〜77.0ppm(C、C、C、C、C、C10、C1112、C13、C15、C16、C25、C26、C27),92.3〜95.6ppm(C、C),170.6ppm(C),172.0ppm(C14

【化53】
・・・(ee)
【0101】
[実施例1−6]プルラン−PC(式(ff)で表される化合物)の合成(理論P含量:25.4mg/g)
合成例10で得られたカルボキシメチルプルランナトリウム塩1gをイオン交換水に溶解(固形分濃度5wt%)させリン酸152mgを添加し、60℃に保った。これに合成例4において合成した5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン4.4gをイオン交換水に溶解させたものを滴下し、同温度で3時間攪拌した。反応終了後、エタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*6)に示す帰属が得られたことから式(ff)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、10.7mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は42.1%であった。
(*6)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6ppm(C24),30.9〜33.8ppm(C23、C25),48.3ppm(C29),62.1〜74.3ppm(C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C21、C22、C26、C27、C28、),94.6〜96.5ppm(C、C、C13),176.0ppm(C20
【化54】
・・・(ff)
【0102】
[実施例1−7]デキストラン―PC(式(gg)で表される化合物)の合成(理論P含量:46.8mg/g)
カルボキシメチルデキストランナトリウム塩1gをイオン交換水に溶解(固形分濃度5wt%)させリン酸148mgを添加し、60℃に保った。これに合成例4において合成した5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン4.27gをイオン交換水に溶解させたものを滴下し、同温度で3時間攪拌した。反応終了後、エタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*7)に示す帰属が得られたことから式(gg)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、23.1mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は49.3%であった。
(*7)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6ppm(C18),30.9〜33.8ppm(C17、C19),48.3ppm(C23),62.1〜74.5ppm(C2、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、15、16、20、21、22),94.3〜98.4ppm(C1、7、),171.0ppm(C14
【化55】
・・・(gg)
【0103】
[実施例1−8]β−シクロデキストリン−PC(式(hh)で表される化合物)の合成(理論P含量:26.3mg/g)
カルボキシメチルβ―シクロデキストリン1gをイオン交換水に溶解(固形分濃度20wt%)し、60℃に保った。これに合成例4において合成した5,6−エポキシヘキシルホスホリルコリン283mgをイオン交換水に溶解させたものを滴下し、同温度で3時間攪拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿することにより、NMR測定を行ったところ、(*8)に示す帰属が得られたことから式(hh)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、11.7mg/gとなり、カルボキシル基に対するPC基の導入率は44.3%であった
(*8)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6ppm(C12),30.9〜33.8ppm(C11、C13),48.3ppm(C17),62.1〜78.7ppm(C、C、C、C、C、C、C10、C14、C15、C16),98.3ppm(C),171.0ppm(C
【化56】
・・・(hh)
【0104】
[実施例1−9]カーバメイト基及びホスホリルコリン基含有セルロース(式(ii)で表される化合物)の合成(P含量:55.2mg/g)
ナスフラスコに合成例11で得られ化合物10.0gにイオン交換水90gを加え、これに合成例7において合成した1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン41.4g(3当量)を加え、60℃で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後にNMR測定を行ったところ、(*9)に示す帰属が得られたことから式(ii)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、87.0%であった。
(*9)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 48.1ppm(C15),61.8〜75.0ppm(C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14),98.2ppm(C),177.7ppm(C
【化57】
・・・(ii)
【0105】
[実施例1−10]カーバメイト基及びホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(jj)で表される化合物)の合成(P含量:25.3mg/g)
スクリュー管に合成例12において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水90gを加え、合成例7において合成した1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン20.1g(3当量)、60℃で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿し後にNMR測定を行ったところ、(*10)に示す帰属が得られたことから式(jj)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、56.3%であった。
(*10)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 30.9ppm(C),48.2ppm(C17),61.5〜74.7ppm(C、C、C、C、C、C、C10、C12、C13、C14、C15、C16、C19、C20、C21、C22),95.6〜101.1ppm(C、C18、),174.3ppm(C23),177.6ppm(C),183.9ppm(C11
【化58】
・・・(jj)
【0106】
[実施例1−11]カーバメイト基及びホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(kk)で表される化合物)の合成(P含量:24.7mg/g)
スクリュー管に合成例13において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水90gを加え、合成例7において合成した1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン20.9g(3当量)、60℃で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿し後にNMR測定を行ったところ、(*11)に示す帰属が得られたことから式(kk)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、57.2%であった。
(*11)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 30.9ppm(C4、)、48.2ppm(C23),61.5〜74.7ppm(C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C15、C16、C18、C19、C20、C21、C22),95.6〜101.1ppm(C、C),177.6ppm(C),183.9ppm(C14、C17
【化59】
・・・(kk)
【0107】
[実施例1−12]カーバメイト基及びホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(mm)で表される化合物)の合成(P含量:23.7mg/g)
スクリュー管に合成例13において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水90gを加え、合成例9において合成した4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチルホスホリルコリン20.9g(3当量)、60℃で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿し後にNMR測定を行ったところ、(*12)に示す帰属が得られたことから式(mm)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、57.2%であった。
(*12)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 19.6ppm(C21),30.9〜33.8ppm(C、C20、C22),48.2ppm(C26),61.5〜74.7ppm(C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C15、C16、C18、C19、C23、C24、C25),95.6〜101.1ppm(C、C),177.6ppm(C),183.9ppm(C14、C17
【化60】
・・・(mm)
【0108】
[実施例1−13]カーバメイト基及びホスホリルコリン基含有キトサン(式(nn)で表される化合物)の合成(P含量:47.8mg/g)
ナスフラスコにキトサン(ダイキトサン 100DVL 大日精化製)10.0gを加え、1.0vol%酢酸水溶液を90g加え、合成例7において合成した1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン52.9g加え60℃で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後にNMR測定を行ったところ、(*13)に示す帰属が得られたことから式(nn)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、68.5%であった。
(*13)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 42.9ppm(C),48.3ppm(C15),60.5〜74.3ppm(C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C16、C17、C18、C19),95.0〜101.0ppm(C、C),183.9ppm(C
【化61】
・・・(nn)
【0109】
[比較例1−1]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(pp)で表される化合物)の合成(P含量:24.0mg/g)
ナスフラスコに合成例13において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、特開2009−242289号公報に記載の方法で合成したホルミルメチルホスホリルコリン5.3g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを5.0g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*14)に示す帰属が得られたことから式(pp)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、49.9%であった。
(*14)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 30.9ppm(C),43.5ppm〜48.0ppm(C16、C17、C21),60.8〜74.3ppm(C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C15、C18、C19、C20),95.3〜101.2ppm(C、C),177.7ppm(C),183.9ppm(C14
【化62】
・・・(pp)
【0110】
[比較例1−2]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(qq)で表される化合物)の合成(P含量:18.9mg/g)
ナスフラスコに合成例14において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、特開2009−242289号公報に記載の方法で合成したホルミルメチルホスホリルコリン4.1g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを3.94g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*15)に示す帰属が得られたことから式(qq)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、48.2%であった。
(*15)
13C−NMR(DO、標準物質:TMS) 18.0〜19.6ppm(C16、17、18、19、22、23、24、25),30.9〜33.8ppm(C4、15、、),42.9ppm〜48.0ppm(C20、21、C26、C27、C31),60.8〜74.3ppm(C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C28、29、C30),95.3〜101.2ppm(C、C),177.7ppm(C),183.9ppm(C14
【化63】
・・・(qq)
【0111】
[りんの定量法]
得られたホスホリルコリン基を有する多糖はりんの定量(モリブデン青法)により分析を行い、PC基の導入率はりんの定量(モリブデン青法)により算出した。
【0112】
りんの定量はメルク社製のりん定キット(phosphate cell test)を用いて、簡易型全リン計(WTW社 携帯用水質測定器 pHotoFlex)により以下の操作手順に従ってP元素の含量を測定し、PC基の導入率を下記式(a)より算出した。
【0113】
(操作手順)
反応セルに所定の濃度(≒0.01wt%)に調製したホスホリルコリン基を有する多糖を水溶液5mlを加え、p―1K試薬を1回分添加して攪拌混合後、ブロックヒーター内で120℃で30分反応させる。リファレンスとしてキトサンを含むイオン交換水のみの反応セルにも、p―1Kを加えた後に同様にブロックヒーター内で反応させる。
【0114】
反応後、30分間室温で冷却し、各反応セルにp―2K試薬を5滴ずつ加えて攪拌混合する。その後、p―3K試薬を各反応セルに1回分加え、5分間放置する。その後、pHotoFlexにより612nmの吸光度からりん(P)元素の含量(mg/l)を測定した。得られたP元素含量から式(a)を用いてP元素の導入率を算出することで、ホスホリルコリン基の導入率とした。
【0115】
(試薬)
p―1K ペルオキソニ硫酸カリウム30%
p―2K 硫酸(15.0%),酒石酸アンチモニルカリウム(30%)
p―3K アスコルビン酸
反応セル 硫酸15.0%
【0116】
【数1】
【0117】
[実施例2−1]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(1)
実施例1−4で合成したヒアルロン酸PCをイオン交換水に溶解し、そこにN−ヒドロキシスクシンイミドを1.0等量、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)を1.0等量、ブチレンジアミンを5.0等量添加して、攪拌後、テフロン(登録商標)シャーレに所定量流し込み、室温で14時間静置することで、架橋体を得た。得られた架橋体を、イオン交換水で一週間精製した後に、凍結乾燥した。凍結乾燥後の架橋体に所定のイオン交換水で含水させ、1週間かけて平衡膨潤させた。
【0118】
平衡膨潤後の含水した架橋体の重量から、下記式(b)を用いて含水率を算出した。また、イオン交換水で平衡膨潤した架橋体を水に浸漬させながら固液界面での気泡との表面接触角を静的接触角装置CA−DT・A型(協和界面科学株式会社)を用いて測定した。解析は三態系法を用いた。
【0119】
[実施例2−2]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(2)
実施例1−5で合成したヒアルロン酸PCを用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、含水率及び表面接触角を評価した。
【0120】
[実施例2−3]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(3)
実施例1−11で合成したヒアルロン酸PCを用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の手法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0121】
[実施例2−4]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(4)
実施例1−12で合成したヒアルロン酸PCを用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の手法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0122】
[実施例2−5]キトサンPCハイドロゲルの調製
実施例1−13で合成したキトサンPCをイオン交換水に溶解し、そこにグルタルアルデヒドをキトサンのアミノ基に対して、0.5等量添加、静置することでゲル化物を得た。これを、過剰の水及びエタノールで交互に浸漬を数回繰り返すことで、未反応のグルタルアルデヒドを除去し、凍結乾燥した。凍結乾燥後の架橋体に所定のイオン交換水を含水させ、平衡膨潤させた。
【0123】
平衡膨潤後の含水した架橋体の重量から、下記式(b)を用いて含水率を算出した。また、イオン交換水で平衡棒潤した架橋体を水に浸漬させながら固液界面で気泡との表面接触角を性的接触角装置CADT・A型(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。解析は三態系を用いた。
【0124】
[比較例2−1]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(5)
比較例1−1で合成したヒアルロンPCを用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の手法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0125】
[比較例2−2]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(6)
比較例1−2で合成したヒアルロンPCを用いて実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の手法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0126】
[比較例2−3]ヒアルロン酸ハイドロゲルの調製
ヒアルロン酸PCの代わりにヒアルロン酸ナトリウム(FCH−SU キッコーマンバイオケミファ社製)を用い、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の方法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0127】
[比較例2−4]キトサンハイドロゲルの調製
キトサン酸PCの代わりにキトサン(DV−100 大日精化社製)を用い、実施例2−5と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様のほうほうで含水率及び表面接触角を評価した。
【0128】
【数2】
【0129】
実施例2−1,2−2,2−3,2−4,2−5、比較例2−1,2−2,2−3,2−4の結果を表1に示す。
【0130】
【表1】
【0131】
[含水率及び表面接触角評価結果]
実施例2−1,2−2,2−3,2−4,2−5では、いずれも含水率が95%で、かつ、表面接触角が150°以上である、良好な特性を有するハイドロゲルが得られた。一方、比較例2−1,2−2に係るハイドロゲルでは、いずれも含水率が95%未満で、表面接触角が150°未満である不十分な特性のハイドロゲルが得られた。また、比較例2−3,2−4では、ハイドロゲルとして十分な含水率が得られなかった。
【0132】
[実施例2−6〜2−12]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。実施例2−6では、実施例1−4で得られたヒアルロン酸PCを用いた。実施例2−7では、実施例1−5で得られたヒアルロン酸PCを用いた。実施例2−8では、実施例1−11で得られたヒアルロン酸PCを用いた。実施例2−9では、実施例1−12で得られたヒアルロン酸PCを用いた。実施例2−10では、実施例1−13で得られたキトサンPCを用いた。実施例2−11では、実施例1−11で得られたヒアルロン酸PC、及び実施例1−13で得られたキトサンPCを用いた。実施例2−12では、比較例1−2実施例1−12で得られたヒアルロン酸PC、及び実施例1−13で得られたキトサンPCを用いた。
【0133】
[比較例2−5,2−6]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。比較例2−5では、比較例1−1で得られたヒアルロン酸PCを用いた。比較例2−6では、比較例1−2で得られたヒアルロン酸PCを用いた。つまり、比較例2−5,2−6では、本発明の範囲外であるホスホリルコリン基含有糖誘導体が用いられる。
【0134】
[比較例2−7,2−8,2−9]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。比較例2−7では、ヒアルロン酸を用いた。比較例2−8では、キトサンを用いた。比較例2−9では、キトサン及びヒアルロン酸を併用した。つまり、比較例2−7,2−8,2−9では、ホスホリルコリン基を含有しない糖が用いられる。
【0135】
[比較例2−10,2−11,2−12]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。比較例2−10,2−11,2−12では、保湿化粧水の保湿機能成分として一般的な化合物を用いた。比較例2−10では、グリセリンを用いた。比較例2−11では、ジプロピレングリコールを用いた。比較例2−12では、1,3ブタンジオールを用いた。
【0136】
[官能評価]
実施例2−6〜2−12、比較例2−5〜2−12で得られた各保湿成分を配合した水溶液について、専門パネラーの前腕内分側部に塗布したときの使用感を以下の判断基準で官能評価した。その結果を表2に示す。
・保湿性
◎:潤い感に優れている、○:潤い感がある、△:どちらともいえない、×:潤い感がない
・しっとり感
◎:非常にしっとりする、○:しっとりする、△:どちらともいえない、×:しっとりしない
・べたつき感
◎:全くべたつかない、○:べたつかない、△:どちらともいえない、×:べたつく
・弾力感
◎:弾力がある、○:やや弾力がある、△:どちらともいえない、×:弾力がない
【0137】
【表2】
【0138】
[官能評価結果]
実施例2−6〜2−12では、いずれも保湿剤として良好な結果が得られた。特に、実施例2−11,2−12では、特に弾力感に優れていた。一方、比較例2−5,2−6では、保湿性及びしっとり感について上記実施例2−5〜2−8に及ばなかった。また、比較例2−7〜2−10では、べたつき感が多く発生し、特に比較例2−10では弾力感が不十分であった。更に比較例2−11,2−12では、保湿性及び弾力感が得られず、しっとり感も不十分であった。