【0016】
<副原料ホッパー1への鉱石とコークスの混合物の装入>
以下、C
1、O
2の主原料ホッパーからの原料装入とCcの副原料ホッパーからの原料装入は、従来と同様であるため省略し、O
1の副原料ホッパーへの鉱石とコークスの混合物の装入を説明する。
図2に示すように、副原料ホッパー1の内部には、可動軸3を有する整流板2が一つ設置されている。ここに、整流板2の上方側の部分の端部2Aは、自由落下する原料を二分する位置におく。また、整流板2の上方側の部分の端部2Aの高さは、当該バッチの全原料が装入された時点で形成される堆積面の高さに合わせるのが好ましい。また、当該バッチの全原料量は、その堆積面が整流板2の上方側の部分の端部2Aと一致する体積の1.1倍以内が好ましい。それによって、次に述べるコークス分級を十分に行わすことができる。
先ず、鉱石とコークスとを切り出す際には、混合物は、炉頂ホッパー直前の装入ベルトコンベア上にて、鉱石の上にコークスを層状に積層させることで形成される。
そして、装入ベルトコンベアから、上記層状に積層させた混合物を落下させ、副原料ホッパー1へと混合物を装入する。装入ベルトコンベアから落下させた混合物は、
図2の矢印で示す、放物線の落下軌跡を描いて、整流板2の可動軸3よりも上方側の部分に衝突する。ここで、整流板2と混合物との衝突は、落下する混合物のうち、8割程度の混合物が整流板2と衝突するように、整流板2の設置位置並びに整流板2の傾斜角を調整することが好ましい。混合物は、整流板2との衝突で、平均粒径が大きく、かつ密度が小さいコークスの大部分が、装入ベルトコンベア側から見て、整流板2の奥側に位置する領域(
図2中の整流板2よりも右側の領域)に装入される。また、コークスよりも細粒の鉱石は、装入ベルトコンベア側から見て、整流板2の手前側に位置する領域(
図2中の整流板2よりも左側の領域)に装入される確率が高い。
これにより、混合物は、整流板2を挟んで二分され、
図2に示す、ホッパーの左側の領域Aに鉱石を多く含む装入物が、ホッパーの右側の領域Bにコークスを多く含む装入物がそれぞれ装入される。以下、副原料ホッパー1内に装入された混合物を、装入物として説明する。
【実施例】
【0022】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。そして、整流板の角度を変更することで、装入物中のコークスの比率の経時的変化を制御できることを実験結果に基づいて具体的に示す。なお、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
<実施例1>
図3に示す1/5.2模型実験にて、鉱石層へのコークス混合装入における、コークスの排出挙動の検討を行った。なお、
図3に示す模型実験装置において、符号10は副原料ホッパー、符号20は装入ベルトコンベアである。
<副原料ホッパー>
本実施例で使用した副原料ホッパーを、
図4で説明する。
図4上図は、副原料ホッパーの上面図を、
図4下図は、副原料ホッパーの側面図を示す。
副原料ホッパー10は、原料装入部11と、テーパー部12と、原料排出部13とから構成されている。
原料装入部11は、副原料ホッパー10の上部に位置する。また、その形状は略筒状である。原料装入部11の上端及び下端の内径寸法は690mm、原料装入部11の垂直方向高さは430mmである。
テーパー部12は、副原料ホッパー10の中央部に位置する。また、その形状は、逆錐台筒形状である。テーパー部12の上端は、原料装入部11の下端に接続されている。また、テーパー部12の下端は、テーパー部12の上端の中心軸よりも、装入ベルトコンベアから離れる方向に、その中心軸が設けられている。また、テーパー部12の下端は、その外周が、原料装入部11の中心軸に接する位置となるように設けられている。テーパー部12の下端の内径寸法は240mm、テーパー部12の垂直方向高さは370mmである。
【0023】
原料排出部13は、副原料ホッパー10の下部に位置する。原料排出部13の上端は、テーパー部12の下端に接続されている。原料排出部13の下端は、原料排出部13の上端の中心軸よりも、装入ベルトコンベアに近づく方向に、その中心軸が設けられている。原料排出部13の下端は、その外周が、原料装入部11の中心軸に接する位置となるように設けられている。また、原料排出部13の下端は、原料排出部13の上端の内径寸法よりも小さい内径寸法である。原料排出部13の下端の内径寸法は140mm、原料排出部13の垂直方向高さは250mmである。なお、原料排出部13の下端は、副原料ホッパー10の排出口14に相当し、この排出口14には、開閉可能なゲート15が備えられている。
【0024】
図5は、副原料ホッパー10に整流板16を設置した状態を示す図である。
図5(A)は、整流板16が設置された副原料ホッパー10の断面図であり、
図5(B)は、傾斜させた整流板16を副原料ホッパー10の上部側から見た図である。
図5(B)に示すように、整流板16は、台形状の平板であり、上底の長さは580mm、下底の長さは400mm、高さは250mmである。また、整流板16には、上底及び下底と平行な可動軸17を有している。可動軸17は、下底から上底に向かって高さ80mmの位置(上底から下底に向かって高さ170mmの位置)に設けられている。
図5(A)に示すように、整流板16は、装入ベルトコンベアからの原料装入方向に対して平板が対向するように設置されている。また、可動軸17は、テーパー部12の下端の中心軸から、装入ベルトコンベア側に20mm近づいた位置であり、また、テーパー部12の下端から、テーパー部12の上端に向かって垂直方向250mmの高さに設置されている。
整流板16は、可動軸17を軸として、傾斜が可能に構成されている。
【0025】
なお、本実施形態では、整流板16の可動軸17よりも上方が装入ベルトコンベアに近づく方向へと整流板16を傾けることをマイナス側傾斜という。また、整流板16の可動軸17よりも上方が装入ベルトコンベアから離れる方向へと整流板16を傾けることをプラス側傾斜という。
上記のように構成された副原料ホッパー10では、整流板16をプラス側に15°傾斜させたとき、整流板16の上端が、原料装入部11とテーパー部12との接続位置の高さとほぼ一致するように配置されている。なお、本実施例において、整流板16の傾斜は、マイナス側傾斜が15°、プラス側傾斜が30°で行った。プラス側に30°傾斜させたとき、装入ベルトコンベア20から落下する混合物のうち、落下幅の8割程度が、整流板16に衝突する。
【0026】
<原料切り出し>
副原料ホッパー10に装入する混合物について、コークスを装入ベルトコンベア20上で鉱石原料に混合する際に、鉱石原料上部に積層させる混合コークスの切り出し長さを、以下の4つのパターンに変化させて実験を行った。なお、コークスは、鉱石粒径に対して5倍以上の塊コークスを使用した。
図6に、原料の切り出し方法の条件を示す。
図6(A)は均一重ね、
図6(B)は前半1/2重ね、
図6(C)は中盤1/2重ね、
図6(D)は後半1/2重ねである。
・均一重ね:鉱石の上に、同じ長さでコークスを均一に積層。
・前半1/2重ね:全積層長さに対して、コークスを先頭から50%に積層。
・中盤1/2重ね:全積層長さに対して、コークスを中盤から50%を積層。
・後半1/2重ね:全積層長さに対して、コークスを後半の50%に積層。
【0027】
また、副原料ホッパー10の構成は、以下の3つのパターンを採用した。
・副原料ホッパー10内への整流板16の設置なし。
・副原料ホッパー10内に整流板16を設置し、整流板16をプラス側に傾斜。傾斜角度は、整流板16の軸位置に対してプラス30°。
・副原料ホッパー10内に整流板16を設置し、整流板16をマイナス側に傾斜。傾斜角度は、整流板16の軸位置に対してマイナス15°。
【0028】
また、
図7に示すように、副原料ホッパー10下部にベルトコンベア21を設置し、このベルトコンベア21上に複数のサンプリングボックス22を設け、原料切り出しに合わせてサンプリングボックス22を送り出す構成とした。そして副原料ホッパー10から装入物(装入された混合物)を排出し、ベルトコンベア21上のサンプリングボックス22に装入することで、混合原料中のコークス、鉱石の質量比の経時変化を調査した。得られた結果を
図8〜
図11にそれぞれ示す。
【0029】
<整流板プラス傾斜>
図8〜
図11から明らかなように、整流板16をプラス側に傾斜させた状態で混合装入した場合、原料切り出しが上記(1)〜(4)のいずれのパターンであっても、排出前期の無次元排出時間0.2〜0.4において、塊コークスが多く排出されていることが確認できる。
これは、
図2に示す、副原料ホッパー1の右側に位置する領域Bに、粒径が大きく、かつ、密度が小さい塊コークスが偏析装入され、副原料ホッパー1からの排出時には、領域Bの塊コークスが偏析装入された装入物から優先的に排出された結果と推察される。
【0030】
図12に示すように、Cc、C
1、O
1、O
2装入では、炉壁部から、炉中心と炉壁部との中間部までの領域において、鉱石層の層厚が厚くなることが多い。この場合には、整流板16をプラス側に傾斜させた状態でO
1バッチ装入を実施することが好ましい。整流板16をプラス側に傾斜させた混合装入では、排出前期に塊コークスが多く排出される。旋回シュートからは順傾動で排出するので、
図12中の点線丸印で示す、炉壁部側の領域に、偏析装入された塊コークスが装入される。このように、上記装入方法により、還元性の向上や炉下部の通気性を改善することができる。
【0031】
<整流板マイナス傾斜>
一方で、
図8〜
図11から明らかなように、整流板16をマイナス側に傾斜させた状態で混合装入した場合、排出後期の無次元排出時間0.6〜1.0において、塊コークスが多く排出されていることが確認できる。
これは、
図2に示す、副原料ホッパー1からの原料排出時に、整流板2をマイナス側傾斜させることで、ホッパーの左側に位置する領域Aに、粒径が小さく、かつ、密度が大きい鉱石が偏析装入され、副原料ホッパー1からの排出時には、領域Aの、細粒の鉱石が偏析装入された装入物が優先的に排出された結果と推察される。
【0032】
高炉4ダンプ操業において、Cc、C
1、O
1、O
2で装入する高炉に対して、低コークス比操業を行うと、
図13の点線丸印で示す、Ccの裾野にあたる領域のコークス層の層厚が薄くなる傾向がある。コークス層の層厚が薄い領域は通気性が悪い。この場合には、整流板16をマイナス側に傾斜させた状態でO
1バッチ装入を実施することが好ましい。整流板16をマイナス側に傾斜させた混合装入では、排出後期に偏析装入された塊コークスが装入される。旋回シュートからは順傾動で排出するので、O
1バッチの炉中心側の
図13中の点線丸印で示す領域Aに、偏析装入された塊コークスが排出される。
そして、O
2バッチの装入時にO
1バッチの崩しこみを行うことで、O
1バッチで偏析装入された塊コークスを、炉中心部側に流し込むことができる。これにより、コークス層の層厚の薄い、
図13中の実線丸印で示す領域Bに、塊コークスを多く装入することができるため、通気性の改善が見込める。
このように、整流板16を所望の角度に傾斜させた状態で原料装入することで、一つの設備によって、装入物中のコークスの比率の経時的変化を制御することが可能になる。
【0033】
<前半1/2重ね>
図8〜
図11から明らかなように、原料切り出しのパターンごとに比較すると、前半1/2重ねは、他のパターンに比べて、排出全般にわたって、均一に塊コークスが装入されていることが確認できる。このため、原料切り出しは、
図9に示す、前半1/2重ねのパターンが特に好ましい。
原料切り出しを前半1/2重ねとすることで、高炉操業として、万遍なく混合される。また、原料切り出しを前半1/2重ねとし、整流板16をプラス側に傾斜させた状態で混合装入することで、部分的に炉壁部側から中央側に多く装入することが可能となる。