(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
最良な構成の1例(実施例1)を、
図1〜
図34に示し説明する。軸本体14は、前軸15と後軸16、摺動ケース5により構成されている。前記前軸15の内径部には、先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部15aが形成されている。そして、その前軸15の先端には、ボールペンリフィール1の筆記部やシャープユニット17の先金部17aが出没する突出孔15bが形成されている。
また、前記前軸15は透明な材質から構成されており、内部のリフィールを、前軸15を通して識別可能としている。リフィール1の樹脂パイプ1aは着色、もしくは転写印刷などにより、内部のインキ1bと近似した色に着色されており、使用者の外観からの識別を可能としている。
後軸16は、着色半透明な材質から構成されている。リフィール1をスライダー18に対して着脱する際、即ち、リフィール1を交換する際、その着脱部1cの視認性が良好なものとなり、容易に着脱作業を行うことができるようになる。また、後軸16は、円筒状であるが故に、その曲面のレンズ作用により、前記の着脱部1cが拡大・大径化され、さらに容易に着脱作業を行うことができるようになる。
前記前軸15は内部リフィール1の視認性やデザイン性を考慮し、一部品で構成されているが、ゴム状弾性体からなるグリップ35を挿着したり(
図35、36参照)、二色成形、或いは、多色成形といった手段などにより前軸15にゴム状弾性体からなるグリップ35を被覆しても良い。それにより、グリップ感が増し、書きやすさ、疲れにくさが増すのである。
前記前軸15と後軸16は、螺合により取り外し可能に取り付けられており、前記後軸16の後端部には摺動ケース5が取り付けられている。本例では、その摺動ケース5の外周の表面上には、等間隔に後軸16との係合用の係合突起5aが設けられている。また、その係合突起5aは、後軸16の外周の表面に設けられた窓孔16aの後端部に係合されることにより、シャープユニット17を組み合わせた多芯筆記具において、シャープ芯29の繰り出しのスライド距離を窓孔16aで有効活用することによって軸本体14の長さを抑えている。
前記スライダー18の後端押圧部18aは軸芯方向に切欠き18bが設けてあり、前述の窓孔16aの後端部に係合された摺動ケース5の係合突起5aを覆い、外観から見えないようにしているのである。
この係合状態において、摺動ケース5の前半部5bは後軸16の後端内部に配置され、一方、摺動ケース5の後半部は後軸16の後端開口部16bから突出する。その突出した摺動ケース5の後半部をノック部5cとし、ノック作動により摺動ケース5全体が、後軸16に対して前後に摺動する。
【0008】
その摺動ケース5の内部は全長に渡り、径方向を分割するように梁状の区画壁19によって区画されている。また、摺動ケース5は有底の筒状を成しているが、中間部からは筒部5dがなくなり、径方向に開放状態となっている。具体的には、横断面形状が扇形の切り欠き部5eが形成されており、その切り欠き部5eが開放状態となっている。つまり、その切り欠き部5eを摺動面とし、スライダー18が摺動ケース5内を摺動するのである。前記スライダー18の押圧部18aは後軸16の窓孔16aより外方に突出しており、スライダー18の押圧部18aは後軸16の窓孔16aを摺動する。
その軸本体14の摺動ケース5には中央部に前方(深さ)方向に進むにつれ、多段階的に径を縮小していく着脱穴2が設けられており、その着脱穴2の内壁面2aには、複数の係合用突起2bが設けてある。
前記着脱穴2の軸筒の後端部に位置する開口部3は、着脱穴2の最大径部となっている。しかし、その着脱穴2の開口部3の最大径部は、その着脱穴2に着脱自在に取り付けられる取り付け部材4の最大径部よりも小さく形成されている。即ち、取り付け部材4は、着脱穴2に対して圧入状態で着脱自在に固着される。
【0009】
また、着脱穴2を多段階的に縮径させることにより、様々な径の取り付け部材4の圧入関係を保つことが可能となっている。さらに、着脱穴2内の内壁面2aには複数の係合用突起2bが設けてあり、仮に、前記の圧入関係を保たなくても、係合用突起2bに取り付け部材4の係合用突出部4aが係合することで、着脱が可能に取り付けられる。
本例では着脱穴2を摺動ケース5の後端部のノック部5cにそのノック部5cの後端からペン先方向へ向けて設けており、穴の深さ方向、つまり、被開口部6側において、略中央部までが大径部2cとなっており、次いで、ほぼ中央部からは小径部2dとなっている。それら大径部2cと小径部2dの間には、大径部2cと小径部2dを連結すると共に、開口部側に向けて拡径するテーパー部2eが設けてある。そして、前記小径部2dの内壁面2aには、周状に、かつ、等間隔な位置に係合用突起2bが設けてある。
この様な構成からなる着脱穴2には、取り付け部材4が装飾部品で無く、機能をもった部品、例えば、消しゴムや蛍光ペン、修正具などが取り付けられる。尚、消しゴム9を取り付ける場合には、その消しゴム単体でも取り付けは可能であるが、消しゴム9を保護する観点から、消しゴム9が差し込まれる台座10、並びに、消しゴム9を覆うキャップ11を使用するのが望ましい。その際は、キャップ11と台座10の嵌合力は、前記着脱穴2と取り付け部材4の嵌合力よりも小さくすることが望ましい。スムーズなキャップ11の取り外しが可能になる。
【0010】
また、市販の装飾部品(本発明の取り付け部材に相当)、例えば、イヤフォンジャックアクセサリー12を装飾部品として取り付ける際は、前記着脱穴2の小径部2dや大径部2cに対し、イヤフォンジャックアクセサリー12の大径部12aが圧入関係となる固定方法や、内壁周状に設けた係合用突起2bと棒状取り付け部4bの溝4cとが凹凸に嵌合し固定する方法がある。しかし、これら両者の固定方法は、いずれも使用者が簡単に着脱可能となる固定力で固定されており、使用者は気分により、好みの装飾部品を着脱可能となっている。尚、棒状取り付け部4bは、各々の形状の違いにより、大径部2cへの圧入、小径部2dへの圧入、小径部2dの内壁面2aに設けた係合用突起2bとの嵌合などにより、着脱自在に取り付けられる。即ち、使用者は携帯電話や携帯音楽プレーヤーなどのイヤフォンジャックアクセサリー12や、専用の挿着用筆記具などを筆記具に取り付けることで、自由に筆記具のカスタマイズが可能になるのである。
【0011】
ここで、前記ペン先20の没入状態では、スライダー18は弾撥部材21の弾撥力により、後方へ押しやられており、スライダー18の円弧状当接部は摺動ケース5のスライダー当接部5fに当接している。尚、スライダー18と摺動ケース5の当接部は平面同士の接触でも良いが、本例では円弧同士で接触させている。それにより、弾撥部材21の弾撥力によるスライダー18の摺動ケース5への衝撃力を起因とする応力集中を緩和し割れの発生を低減しているのである。この状態において、使用者がスライダー18を前進させると、スライダー18は軸心方向へ落ち込み、スライダー18の係止突起18cが摺動ケース5内の梁状の区画壁19の中心に設けられた係止凹部22に係止される。この瞬間に、ペン先20が前軸15の先端突出孔15bから突出し、筆記可能となる。このペン先20の突出時、後軸16内の規制部28に設けた貫通孔28a付近の後軸内周面16bから貫通孔28aの中心に向けて設けたリフィール規制リブ28bと、リフィール1が接触する。この接触動作によって、リフィール1の先端のペン先20は強制的に前軸15の先端の突出孔15bに向かう。これにより、前軸15内でリフィール1が屈曲することなく、突出孔15bからペン先20が突出されるのである。例えば,リフィール1がシャープユニット17の際、シャープユニット17自体の屈曲による、内蔵されたシャープ芯29の繰り出し不良などが防止され、スムーズな芯出しが可能となる。
【0012】
さらに、前記後軸16の内面には、一対の位置決めリブ23によって挿着溝24が形成されている。その挿着溝24には、前記摺動ケース5の梁状の区画壁19が摺動自在に嵌まり込んでおり、径方向、即ち、相対的な回転が防止されている。具体的には、1つの区画壁19に対し、後軸16の内周面に前記区画壁19の幅と略同じ間隔をあけて位置決めリブ23が2つ設けてあり、その隣り合う位置決めリブ23間(挿着溝24)を区画壁19が前後に摺動するのである。つまり、後軸16内の位置決めリブ23の数は区画壁19の数の2倍となり、区画壁19の数はリフィール1の数に起因するため、リフィール1の数により位置決めリブ23の数も決まる。つまり、リフィール1が2本であれば位置決めリブ23の数は4つ、3本であれば6つになるのである。
軸本体14は後軸16、前軸15、摺動ケース5で構成されており、先に説明したとおり、摺動ケース5と後軸16は、係合突起5aと窓孔16aとの係合により、脱落・分解が防止されている。また、前軸15と後軸16はネジ螺合により取り外し可能に接合されている。前記後軸16内には前軸15のネジ部端面15cを突き当てて止めるため、ネジ止め段部16cが周状に形成されている。本例では前軸15にはグリップを被覆しておらず、後軸16との螺号により前軸外観後端面15dと後軸先端面16dとが接触して螺合が止まる。しかし、前軸外観後端面15dに接触部が存在しない、例えば、グリップを被覆したものにあっては、前記ネジ止め段部16cと前軸ネジ部の端部15cが軸内部で接触し、螺合が止まる。尚、ネジ止め段部16cは軸内のスペース、肉厚等を考慮し、複数のリブで構成しても良いが、金型の加工、透明樹脂使用時の見栄えの観点から、周状に設けるのが望ましい。
【0013】
前記後軸16には、その長手方向に3個の窓孔16aが形成されている。本例においては、3個の窓孔16aが形成されているが、リフィール1であるボールペンリフィール25とシャープユニット17の合計数が3本であるためであり、このリフィール1の本数によって窓孔16aの形成する数も変わるものである。尚、本例においては、スライダー18の少なくとも1つが、クリップを一体に有するクリップスライダー30で構成されていると共に、前記後軸16の窓孔前方壁部16eに面取り部を設けている。この面取り部によりクリップスライダー30の係止状態において、そのクリップスライダー30の裏面と、窓孔前方壁部16eとの接触を抑制している。また、この面取り部の角度は、後軸の外周面に対し、角度を寝かせるほどクリップスライダー30との干渉を減らすことができる。しかし、後軸16の加飾として転写印刷を行う際には、印刷が不必要な面取り部に部分的に付着してしまう危険性があり、外観上の見栄えが悪くなり好ましくない。本例では後軸16の外周面に対して45度の面取り角度を施し、印刷が不必要な面取り部に付着し難く、クリップスライダー30の裏面と窓孔前方壁部16eの干渉を防げる角度としている。前記窓孔16aは閉鎖部16fにより前後端を閉鎖されており、スライダー18及びクリップスライダー30は後軸16の後端より挿入され、後軸16内を通り、窓孔16aに入り込む。
【0014】
前記後軸16の後方部には、摺動ケース5が摺動可能に取り付けられており、前記摺動ケース5内はリフィール1の数に合わせ径方向に区画されている。その区画は軸心を中心とし、放射状に広がる梁状の区画壁19により区画分けされている。この区画26内をリフィール1の後端に取り付けられたスライダー18が前後にスライドし、ボールペンリフィール25のペン先20やシャープユニット17の先金部17aの没入動作が行われるのである。前記区画26は、本例では3つであるが、リフィール1の本数により、変わるものである。
【0015】
前記クリップスライダー30には、クリップ部31を有し、クリップ部31の天面から側面にかけて、幅を拡大していく斜面が形成されている。即ち、クリップ部31の横断面形状は、台形状を成している。クリップスライダー30を窓孔16aに導くに際して、クリップの先端が窓孔16aに入りやすく、窓孔16aの側面にクリップ部31が接触しても、斜面により、正しい位置へとクリップ部31が誘導されるのである。このように、クリップ部31の横断面を略台形状に形成することで、前記窓孔16aへのクリップスライダー30の挿着をしやすくしている。
【0016】
また、クリップスライダー30のクリップ部31の先端部には、クリップの把持力を増すために、玉部32を設けている。この玉部には被把持体を挟み易く、抜きやすくするために、角部を設けず、円弧状に円弧部32aを形成している。これにより、クリップスライダー30の後軸への挿着時において、前記後軸の窓孔前方壁部16eとクリップスライダー30の先端クリップ玉部32の接触時に窓孔前方壁部16eを乗り越え、挿着状態へと移行しやすくなっている。
【0017】
前記後軸16の窓孔16aには、不透明な材質からなるスライダー18が摺動自在に配置されている。このスライダー18の幅方向の両側には、抜け防止突起18dが形成されており、後軸16の窓孔16aからのスライダー18の脱落を防止している。
【0018】
このスライダー18の背面には、1つの係止突起18cと、間隔をおいて2つの解除突起18e、18fが形成されている。前記係止突起18cは摺動ケース5を区画している梁状の区画壁19の中央部に設けた係止凹部22に係止され、ボールペンリフィール25のペン先20やシャープユニット17の先金部17aの突出状態を維持する。前記ボールペンリフィール25のペン先20やシャープユニット17の先金部17aの突出状態において後部に位置している他のスライダー18を前進させると、前進したスライダー18の解除突起18eが、係止しているスライダー18の被解除突起18fに接触し、係止していたスライダー18が径方向外向きに移動することで係止が解除され、その瞬間に弾撥部材21の弾撥力によりスライダー18が後方へ移動し、ボールペンリフィール25のペン先20やシャープユニット17の先金部17aが没状態になるのである。
さらに、前記窓孔16aにクリップ部31を備えたクリップスライダー30を装着する場合には、そのクリップスライダー30の抜け防止突起30aをなるべく大きく形成したほうが良い。クリップスライダー30が横方向から力を受けた際、窓孔16aからの脱落が防止される。
また、前記スライダー18の前端には長手方向に孔27が形成されている。その孔の内周面27aにはリフィール嵌合突起27bが形成されており、リフィール1の後端に設けた着脱部1cが着脱可能に固定される。リフィール1の後端には着脱部1cが空気の流通路を確保した状態で固着しており、その固着強度がスライダー18と着脱部1cの嵌合強度より強くなっていることにより、使用者は好みのリフィール1に簡単に着脱し、交換することができるのである。
ここで、前記スライダー18は、不透明な材質で形成されているが、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成しても良い。透明にすることにより、リフィール1の後端に取り付けた着脱部1cを、スライダー18を通して視認することができ、使用者のリフィール識別が可能となる。さらには、スライダー18の奥行き感が発生し、より一層、美観が向上する。
【0019】
尚、前記スライダー18の前端部には、後述する弾撥部材21の後端部が当接する鍔部18gが形成されている。
【0020】
参照符号21は、リフィール1並びにリフィール1に接続するスライダー18を後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材21である。尚、本例におけるリフィール1は、2本が前述のようにボールペンリフィール25となっており、もう1本がシャープユニット17となっている。そのボールペンリフィール25のインキ収容筒25a及び、シャープユニット17の着脱部1cがスライダー18の孔に接続されている。具体的には、黒、赤のインキが収納されたボールペンリフィール25とシャープユニット17が接続されている。
【0021】
前記後軸16の中間部には、規制部28が形成されており、その規制部28には、リフィール1が遊挿する3つの貫通孔28aが形成されており、前記規制部28に弾撥部材21の一端を係止させることにより、リフィール1を後方に付勢している。
次いで、本発明の作用について説明する。
図1に示す例は、リフィール1を複数本内蔵する多芯筆記具である。その多芯筆記具には後軸16の外周面に等間隔に複数個形成された窓孔16aよりスライダー18の押し部を露出し、スライダー18を窓孔16aに沿って前方にスライドさせることにより、その一つのスライダー18に連結されたリフィール1のペン先を前軸15の前端孔15bから突出させるとともに、先に突出状態にあった他のリフィール1のペン先を前軸15内に没入させることが出来る。
ここで、この多芯筆記具の後軸16に対するスライダー18やクリップスライダー30の組立工程において、クリップスライダー30や、スライダー18は色表示を介して、リフィール1に連結され、一体として後軸16の後端開口部より挿入される。この挿入工程において、リフィール1は規制部28を通して軸の前方に、スライダー18の押し部は窓孔16aより後軸外方向に露出させて挿着状態となる。
このスライダー18やクリップスライダー30の挿着時において、後軸16の後端開口部16hよりリフィール先端を後軸16の規制部28に設けた貫通孔28aに挿入し、後軸先端開口部16gからリフィール全体を前方に引っ張る。この引っ張り動作により、リフィール1に装着されたスライダー18、クリップスライダー30は、後軸内をスライドする。このリフィール1のスライド過程において、クリップ部31の断面は台形をしているので、窓孔16aに引っかかることなく、クリップ部31の先端がほぼ抵抗無く窓孔16aより外方向に露出する。さらに、リフィール1に装着されたスライダー18、クリップスライダー30が前進を進めると、クリップ先端方向の玉部32は窓孔16aの前方に設けたテーパー部16iに接触する。この接触動作によって、さらにクリップ部31は外方向に誘導される。作業者がリフィール1全体を前方に引っ張り、後軸内をスライドさせていくことにより、スライダー18やクリップスライダー30が後軸16の規制部28に設けた貫通孔28aを支点とすると共に、リフィール1のPP性の樹脂パイプを湾曲させたことによる弾性力も作用することで、クリップスライダー30を外方向へ移動させる力が発生し、クリップスライダー30が完全に窓孔16aから露出する。これにより、クリップスライダー30が窓孔16aに確実に挿着される。また、後軸16へのスライダー18、クリップスライダー30の挿着後、次工程として後軸後端開口部16hに摺動ケース5を圧入して製品の作動部を構成するため、本工程でスライダー18やクリップスライダー30はスプリング21の力で、後軸16の窓孔16aの後方閉鎖部16fに常に押し付けられる。即ち、次工程である摺動ケース5の圧入までに外れることはない。その他のクリップ部31を有さないスライダー18においても、同様に、後軸16の後端開口部16hからリフィール1の先端を後軸16の規制部28に設けた貫通孔28aに挿入し、後軸先端開口部16gからリフィール1全体を前方に引っ張る。リフィール1を前方へ引っ張ることによって、スライダー18、或いは、クリップスライダー30が後軸16内を移動する。また、この移動の過程で、PP性の樹脂パイプを湾曲させたことによる弾性力でスライダー18が窓孔16aに挿着される。
さらには、後軸16の規制部28を隔てて軸筒の前方には、軸線を中心にリフィール規制リブ28bが放射状に設けられていると共に、そのリフィール規制リブ28bはリフィール1が移動する経路上に形成されている。このリフィール規制リブ28bは、組み立て時において、リフィール1のリフィールパイプに接触し、リフィールパイプを強制的に内側に寄せている。この内側に寄せられる作用によって、スライダー18やクリップスライダー30を外方向に向ける力が増幅させられる。
【0022】
さらには、リフィール規制リブ28bに設けた傾斜面を、前方へ延長した位置に前軸15の突出穴15bを設けることで、製品状態においてスライダー18を窓孔16aにスライドさせペン先を突出させた際の、リフィール1の湾曲防止にもなる。つまり、筆記時の違和感やシャープユニット使用時の芯折れ等の発生が抑制されるのである。
多芯筆記具の構造を前記のように構成することで、窓孔16aは歪むことは無く精度の良い形状となり、後軸16の窓孔16aに対するスライダー18の作動が確実なものとなる。また、後軸16の後端を開放することで、金型上、両側からコアピンを入れることが出来、中央に設けたスプリング21をガイドする規制部28を後軸16と一体で形成することが可能となるのである。また、上記の構成を採ることにより、窓孔16aを後端方向に開放することなくとも、不自由なく組み立てることが可能となり、頑丈な多芯筆記具を提供することができる。
実施例2を
図35〜
図40に示し説明する。前記クリップスライダーのクリップ部を拡開量の大きなバインダークリップ33にした例である。
図36はバインダークリップ33を取り付け可能としたバインダークリップスライダー34の側面図であり、そのバインダークリップスライダー34には、前記バインダークリップ33の基部33aが回転自在に取り付けられるバインダークリップ取り付け基部34aが設けられている。また、そのバインダークリップ取り付け基部34aの両側部には、回転軸34bが突出した状態で形成されているが、その回転軸34bの端部における上部には、面取り部34cが施されている。
一方、そのバインダークリップ取り付け基部34aに取り付けられるバインダークリップ33の両側部には、側板33bが形成されており、その側板33bには前記バインダークリップ取り付け基部34aの回転軸34bが嵌まり込む貫通孔33cが形成されている。前記回転軸34bに形成された面取り部34cは、その傾斜面によって前記貫通孔33cを回転軸34bに導くのである。
このバインダークリップスライダー34においても、バインダークリップ取り付け基部34aから解除突起18eまでの高さHに対し、後軸16の内径を大きくすることで、その後軸16の後端から、閉鎖された窓孔16aへのバインダークリップ取り付け基部34aの挿入を可能としている。即ち、バインダークリップ取り付け基部34aの幅Xを窓孔16aの幅Yよりも若干小さくしているのである。この様に、窓孔16aからバインダークリップ取り付け基部34aを露出させることによって、バインダークリップ33を取り付け可能としているのである。
また、前記構造とすることで、バインダークリップ33を具備した多芯筆記具においても、後軸16の窓孔16aは歪むことは無く精度の良い形状となり、後軸窓孔16aに対するバインダークリップスライダー34の作動が確実なものとなる。
実施例3を
図41〜
図47に示し説明する。本発明で内蔵するリフィール1を5本とした実施例である。リフィール1を5本とすることで、使用者はペンを持ち帰ることなく筆記色やペン先の細さを選ぶことが可能となる。しかしながら、従来の構造ではリフィール1の数の増加に伴い、軸の内径や外径が太くなってしまっている。そこで、軸の肉厚を少なくすることで、即ち、肉厚を薄くすることで、軸径の細身化を試みたが、強度面に不具合が発生してしまう危惧がある。
しかし、本発明においては、後軸16の後方に閉鎖部16fを設け、後軸後端開口部16hの内形をスライダー36及び、クリップスライダー37が通過し得る内形としている。そして、その結果、窓孔16aの周縁部の強度が得られると共に組み立てが容易になる。
これに加え、本実施例3では、軸本体14をできる限り細身にするため、クリップスライダー37の幅方向の両側、即ち、抜け防止突起37aの中間部に切り欠き部37bを設けている。クリップスライダー37を前進させ、係止させた際、この切り欠き部部37bに隣接したスライダー36のスプリング支持部36aが位置する。その結果、隣接するスライダー36のスプリング支持部36aとの干渉が防止される。これにより、本来の肉厚を維持した状態で、軸本体14を細く形成することができるのである。本実施例の他にもリフィール1の数は3本、5本に限らず、2本以上の複数のリフィール1を備えた筆記具に対し、実施例は有効である。