【実施例1】
【0017】
図1は本発明による空気調和機の実施例を示す室内機30の外観図である。
この室内機30は
図1で示すように、前面上部に吸込口1を設け、前面下部に吹出口2を設けている。また、室内機30の前面と左右を覆う前面カバー19と、前面上部の左右方向に図示しない回転軸を備えた開閉パネル11が前面カバー19の図示しない前方開放部を覆うように設けられている。また、開閉パネル11は室内機30の内部に備えられた図示しないフィルタや空気清浄ユニットを清掃するために開放する場合、前面下方部11bが上方に向かってはね上がる構造になっている。また、吹出口2には上下風向板8が設けられており、この上下風向板8は運転停止時には、吹出口2を閉じるようになっている。
【0018】
図3は室内機30の断面図である。
図3(A)に示すように吸込口1と吹出口2の間の通風路には、前方下部熱交換器3bと前方上部熱交換器3aと後方上部熱交換器3cとで構成された逆V字状の熱交換器3と、吸込口1から室内の空気を吸込み、熱交換器3で冷媒と熱交換された後、吹出口2から室内に送出する送風ファン4とが設けられている。
【0019】
また、前方下部熱交換器3bの下方には、前方下部熱交換器3bと前方上部熱交換器3aとから滴下する凝縮水を受ける前部露受皿5が設けられ、後方上部熱交換器3cの下方には、同後方上部熱交換器3cから滴下する凝縮水を受ける後部露受皿6が設けられている。また、室内機30内部の吹出口2付近には、送出される空気を左右方向に偏流させる複数の左右風向板7が設けられ、吹出口2には上記したように、室内機30の長手方向に設けられた図示しない回転軸を中心として回転する上下風向板8が設けられている。
【0020】
室内機30の背面側(
図3右方向)には熱交換器3や図示しないファンモータなどの主要な部品を固定するベース9が、室内機30の上面には吸込グリル10が、室内機30の前面(
図3左方向)には開閉パネル11が、また、熱交換器3と吸込グリル10及び開閉パネル11の間にはフィルタ12が、それぞれ設けられている。さらに、熱交換器3とフィルタ12との間で室内機30の前方上方には空気清浄ユニット16が設けられている。
【0021】
フィルタ12の後方側先端部12bはベース9の上部内側に設けられた断面コ字状のレール17に、また、フィルタ12の前方側先端部12aは開閉パネル11の下方内側に設けられた断面コ字状のレール18に差し込まれている。また、フィルタ12の後方側先端部12bはレール17を、前方側先端部12aはレール18を、それぞれフィルタ12の撓みの復元力により押圧した状態になっている。なお、フィルタ12は図示しないガイド及びレール17とレール18によって、吸込グリル10及び開閉パネル11の内面側に沿って着脱可能に保持されている。
【0022】
一方、吸込グリル10は室内機30の上面を覆うように配置されている。そして、吸込グリル10の前方上側の左右の内面側には、中央に孔10bを備えたリブ10aが設けられており、このリブ10aの孔10bに開閉パネル11の内側の回転軸11aが挿入されており、この回転軸11aを中心として開閉パネル11が回動する構造になっている。従って、ユーザーが室内機30の前面側から空気清浄ユニット16を清掃する場合は、まず、ユーザーが開閉パネル11を前面上方にはね上げ、次にフィルタ12を前方に撓ませて前方側先端部12aをレール18から取り外し、フィルタ12を前方に取り外す構造になっている。
【0023】
図3(B)は
図3(A)の破線の円で囲んだレール18の付近の要部拡大図である。
レール18の凹部にはフィルタ12の前方側先端部12aがレール18を押圧した状態で保持されている。また、レール18の底部には孔が設けられており、レール18の底面側にはノーマルオープンのスイッチ15(第2スイッチ)が設けられている。このスイッチ15の上部にはスイッチ15の接点を接続/切断するアクチュエータ15aが備えられており、アクチュエータ15aはレール18の底部の孔を通してフィルタ12の前方側先端部12aから下方に向かう力を受けて、スイッチ15の接点を接続(オン)した状態になっている。この前方側先端部12aがレール18から取り外された場合、アクチュエータ15aはスイッチ15内部に設けられた図示しないバネによりスイッチ15の外部方向に一定距離だけ突出し、この結果、スイッチ15の接点が開放(オフ)になる。
【0024】
一方、スイッチ15の下方にはノーマルオープンのスイッチ14(第1スイッチ)が設けられている。スイッチ14の左側にはアクチュエータ14aが設けられている。アクチュエータ14aの先端は開閉パネル11の下方裏側で押圧されており、スイッチ14の接点を接続(オン)した状態になっている。ユーザーがこの開閉パネル11をはね上げた場合、アクチュエータ14aはスイッチ14内部に設けられた図示しないバネによりスイッチ15の外部方向に一定距離だけ突出し、この結果、スイッチ14の接点が開放(オフ)になる。
【0025】
図2は本発明による空気調和機50の実施例を示すブロック図である。なお、本願と直接関係のない熱交換器や電子膨張弁やファンモータなどは図示と説明を省略する。
【0026】
空気調和機50は互いに通信接続された室内機30と室外機40とで構成されている。
室内機30は、電源ケーブル31と、電源ケーブル31が接続されて内部にトランス32aを備えた直流電源32と、この直流電源32が出力する正電圧と負電圧(GND電位)で動作する高圧電源部16cを内蔵した空気清浄ユニット16と、室内機30を制御する室内機制御部13とを備えている。
【0027】
さらに室内機30は、直流電源32の正極出力端32bと空気清浄ユニット16の正極入力端16aを接続する第1電源ラインに、運転スイッチ34とスイッチ14とが直列に接続され、また、直流電源32の負極出力端32cと空気清浄ユニット16の負極入力端16bを接続する第2電源ラインに、電流検出器33とスイッチ15とが直列に接続されている。なお、電流検出器33で検出された電流は空気清浄ユニット16の運転状態を確認する電流検出信号として室内機制御部13へ入力されている。また、直流電源32の負極出力端32cは室内機30のグランド(GND)に接続されている。
【0028】
運転スイッチ34は室内機制御部13から出力される運転指示信号によって、空気清浄ユニット16を運転する場合はオン、運転を停止する場合はオフとなって空気清浄ユニット16に供給する電圧を供給/遮断するようになっている。
【0029】
室内機制御部13は運転指示信号を出力して空気清浄ユニット16を運転しようとして運転スイッチ34をオンにした場合、電流検出器33で電流が検出されなければスイッチ14、または、スイッチ15の接点が開放状態、つまり、開閉パネル11かフィルタ12のうち少なくともいずれか一方が正しく装着されていないと判断し、運転スイッチ34をオフにすると共に、ユーザーに警告を与える。
【0030】
空気清浄ユニット16を運転する直前は高圧電源部16cは放電状態であり、仮にフィルタ12が装着されず開閉パネル11が閉じた状態でスイッチ14と運転スイッチ34が共にオンとなったとしても、直流電源32の正極の電圧のみが空気清浄ユニット16に印加されるが、高圧電源部16cに電流が流れないため高圧電源は発生せず、さらに、ユーザーは開閉パネル11が閉じているため空気清浄ユニット16を触ることができないため安全である。
【0031】
一方、仮にフィルタ12が装着されており、開閉パネル11が開いた状態でスイッチ15と運転スイッチ34が共にオンとなったとしても、高圧電源部16cに電流が流れないため高圧電源は発生せず、さらに、フィルタ12が装着されているためユーザーは空気清浄ユニット16を触ることができないため安全である。
【0032】
このように、室内機30は直流電源32内部のトランス32aで基礎絶縁され、さらに、スイッチ14とスイッチ15とで空気清浄ユニット16に正電圧を供給する第1電源ラインと負電圧を供給する第2電源ラインが切断されることで付加絶縁される。つまり、開閉パネル11が開放され、フィルタ12が取り外された場合、入力する交流電源に対して空気清浄ユニット16は二重絶縁された状態になる。
【0033】
次に
図3〜
図6を用いてスイッチ14とスイッチ15の動作を説明する。
図3は前述したように開閉パネル11とフィルタ12が装着状態であるためスイッチ14とスイッチ15は共にオン状態である。この状態で室内機制御部13が運転スイッチ34をオンにして空気清浄ユニット16を運転している状態である。
【0034】
図4は
図3の状態から開閉パネル11をはね上げた状態を示している。開閉パネル11による押圧がなくなったため、スイッチ14のアクチュエータ14aが突出しスイッチ14の接点はオフになる。つまり、空気清浄ユニット16の正電圧が切断されることになる。この状態でも空気清浄ユニット16の高圧電源部16c内に設けられた図示しない電源用のコンデンサに蓄積された電荷により、わずかの時間だけ高圧電源部16cから高電圧が出力される場合があるが、まだフィルタ12が空気清浄ユニット16の前面にあるため、ユーザーは空気清浄ユニット16に直接触れることができない。
【0035】
また、ユーザーが開閉パネル11をはね上げた時に高圧電源部16cへ供給される正電圧が切断されるが、フィルタ12は装着状態であり高圧電源部16cへ供給される負電圧(GND電位)が接続されたままである。このため、GND電位が安定した状態で高圧電源部16cへ供給される正電圧が切断されることになる。このため、高圧電源部16cへ供給される正電圧が切断されるより前に高圧電源部16cへ供給される負電圧(GND電位)が切断されることによる高圧電源部16cの故障を防止することができる。
【0036】
図5は
図4の状態からフィルタ12を取り外した状態を示している。フィルタ12の前方側先端部12aによる押圧がなくなったため、スイッチ15のアクチュエータ15aが突出しスイッチ15の接点はオフになる。つまり、空気清浄ユニット16の負電圧が切断されることになる。
【0037】
フィルタ12を取り外す作業はユーザーの手で行なう為、開閉パネル11のはね上げ動作からフィルタ12を取り外すまでには数秒の時間が必要になる。このため、この数秒の間、空気清浄ユニット16が動作を継続することにより高圧電源部16c内のコンデンサが放電し、フィルタ12を取り外した時には高圧電源部16cはすでに動作を停止しており、ユーザーが空気清浄ユニット16の高圧電源部16cを触っても感電することはない。当然、この状態は二重絶縁となっている為、万一、直流電源32のトランス32aの絶縁が破壊されて一次側と二次側とが短絡したとしてもユーザーの安全性は確保される。
【0038】
逆にフィルタ12を装着して室内機30を運転可能な状態に戻すためには
図5、
図4、
図3の逆の手順となる。このようにユーザーがフィルタ12を装着した後、開閉パネル11を閉じる手順であるため、必然的にスイッチ15で第2電源ライン(GND側)が先に接続された数秒の後、次に第1電源ライン(正電圧側)が接続されることになり、各スイッチの接点にチャタリングが発生しても問題ない。
一方、フィルタ12を装着しないまま開閉パネル11を閉じた場合、空気清浄ユニット16には電源が供給されない。また、この時、室内機制御部13は電流検出器33により空気清浄ユニット16に電流が流れないことを検知してユーザーに警告を与える。
【0039】
図6は空気清浄ユニット16への電源供給/切断シーケンスを説明する説明図である。
図6の横軸は時間、縦軸は各スイッチのオン/オフ状態を示しており、
図6(1)はスイッチ14を、
図6(2)はスイッチ15のオン/オフ状態をそれぞれ示している。各スイッチはハイレベルでオフ、ローレベルでオンとなる。なおt1〜t5は時刻を示している。また、前提条件としてt3までは空気調和機50の運転を停止した状態である。また、初期状態として開閉パネル11は開放され、フィルタ12は取り外された状態である。
【0040】
図6に示すようにt1までは開閉パネル11が開放され、フィルタ12が取り外された状態である。このため、ユーザーが空気清浄ユニット16に直接触れることが可能であるが、スイッチ14とスイッチ15は共にオフ状態であるため二重絶縁が確保された安全な状態である。
【0041】
ユーザーがt1でフィルタ12を装着するとスイッチ15がオンとなり、絶縁に関しては基礎絶縁のみとなる。しかしながら、この状態ではユーザーが空気清浄ユニット16に直接触れることができないので安全性に関しては問題ない。次にユーザーはt2で開閉パネル11を閉じる。この結果、t2ではスイッチ14とスイッチ15とは共にオンとなる。この状態で空気調和機50(空気清浄ユニット16を含む)は運転可能な状態になる。
【0042】
t3でユーザーが空気調和機50に対して空気清浄ユニットを含む空調運転の開始を指示した時、室内機制御部13は運転スイッチ34をオンにして空気清浄ユニットに電源の供給を開始する。一方、何らかの原因でユーザーがt4で運転中の室内機30の開閉パネル11を開放した場合、スイッチ14がオフになって空気清浄ユニット16への電源供給が遮断される。この場合も絶縁に関しては基礎絶縁のみであるが、フィルタ12によりユーザーは空気清浄ユニット16を直接触ることができないため安全性に関しては問題ない。
【0043】
そして、ユーザーが次にt5でフィルタ12を取り外すとスイッチ15がオフとなり、絶縁に関しては二重絶縁となる。従ってユーザーが空気清浄ユニット16を直接触れることが可能となっても安全性に関して問題ない。
【0044】
このように空気調和機50の構造上、開閉パネル11とフィルタ12が空気清浄ユニット16の前面に配置されるため、それぞれの取り外しを検出するスイッチを設けることでユーザーが空気清浄ユニット16に直接触れる前に二重絶縁を形成することができる。また、空気清浄ユニット16の高圧電源部16cに供給される負電圧(GND)と正電圧を接続/切断するシーケンスを確実に実行することができる。さらに、付加絶縁を安価なスイッチのみで構成できるため、空気清浄ユニットに関する二重絶縁を安価に構成することができる。
【0045】
なお、本実施例では空気調和機の室内機を例として説明しているが、これに限るものでなく、空気清浄機などに用いても同じ効果を得ることができる。