【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係る負荷駆動回路の回路構成を示す図である。
図1に示す負荷駆動回路は、電源端子Vcc、スイッチング素子Q1、昇圧回路11、バッファ回路12、制御回路13、出力端子OUT、クランプ回路14、定電流回路15、第1のコンパレータCP1、第2のコンパレータCP2、ブートストラップ回路BS、充電電流停止回路16を備え、電源端子Vccに接続された電源Eから入力される電力を用いて、出力端子OUTに接続された負荷20を駆動する。
【0020】
スイッチング素子Q1は、電源端子Vccから出力端子OUTに至る電力供給経路をオン/オフし、オン/オフにより負荷20に流れる電流を制御する。スイッチング素子Q1は、ハイサイドスイッチとしてMOSFETが用いられ、スイッチング素子Q1のドレインが電源端子Vccに接続され、ソースが出力端子OUTに接続されている。なお、スイッチング素子Q1としてバイポーラトランジスタを用いても良い。
【0021】
また、スイッチング素子Q1のゲート・ソース間には、抵抗R1とゲート保護用定電圧ダイオードZD1とが並列接続されている。スイッチング素子Q1、抵抗R1、ゲート保護用定電圧ダイオードZD1、バッファ回路12及びクランプ回路14は、ハイサイドドライブ回路を構成する。
【0022】
制御回路13は、バッファ回路12を介して昇圧回路11に接続され、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作を制御する制御信号を出力する。制御回路13は、制御信号を、電圧Eを昇圧する昇圧回路11によって電圧Eよりも高い電圧に昇圧してスイッチング素子Q1のゲートに印加し、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作を制御する。
【0023】
定電流回路15は、スイッチング素子Q1と並列に、電源端子Vccと出力端子OUTとの間に接続され、負荷20が駆動されない程度(例えば、数十μA〜100μA)の定電流Iを流す。
【0024】
クランプ回路14は、負荷20のインピーダンスの10倍以上、好ましくは100倍以上のインピーダンスを有し、負荷20と並列に接続されている。スイッチング素子Q1がオフで且つ負荷オープン状態では、定電流回路15が流す定電流Iがクランプ回路14のみに流れる。
【0025】
従って、クランプ電圧は、定電流回路15が流す定電流Iとクランプ回路14のインピーダンスとによって決定され、グランド電位よりも高く且つ電圧Eよりも低い値となる。なお、スイッチング素子Q1がオフで且つ負荷オープン状態でない場合には、定電流回路15が流す定電流Iのほとんどが負荷20を流れ、出力端子OUTの電圧Voutは、ほぼグランド電位となる。
【0026】
第1のコンパレータCP1、第2のコンパレータCP2の機能は、
図5に示すそれらと同じであるので、その説明は、省略する。
【0027】
コンデンサC1は、ブートストラップコンデンサであり、一端が出力端子OUTに接続され他端がamp端子に接続される。ブートストラップ回路BSは、電源端子Vccの電源の電圧Eに基づき定電圧を生成する定電圧回路を有し、定電圧により充電電流をamp端子に供給する。なお、実施例では、ブートストラップ回路BSとコンデンサC1とによりブートストラップ回路を構成している。
【0028】
また、ブートストラップ回路BSとamp端子との間には、充電電流停止回路16が設けられている。この充電電流停止回路16は、スイッチからなり、第1のコンパレータCP1が負荷オープン状態を検出した場合に、クランプ回路14のクランプ電圧の上昇を抑止するクランプ電圧上昇抑止回路を構成する。
【0029】
次に、このように構成された実施例1の負荷駆動回路の動作について
図2を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
まず、正常時には、即ち負荷オープン状態及び出力天絡状態でない場合には、スイッチング素子Q1がオン状態になると、負荷20に電流が流れ、出力端子OUTの電圧Voutは、入力電圧Eとなる。正常時、スイッチング素子Q1がオフ状態になると、定電流回路15が流す定電流Iのほとんどが負荷20を流れる。
【0031】
従って、スイッチング素子Q1がオフ状態の出力端子OUTの電圧Voutは、ほぼグランド電位となり、基準電圧V1及び基準電圧V2のいずれをも下回る。これにより、第1のコンパレータCP1及び第2のコンパレータCP2の出力はいずれもLレベルとなり、負荷オープン状態及び出力天絡状態が検出されない。
【0032】
負荷オープン状態である場合にも、スイッチング素子Q1がオン状態になると、出力端子OUTの電圧Voutは、電圧Eとなる。
【0033】
次に、負荷オープン状態である場合に、スイッチング素子Q1がオフ状態になると、定電流回路15が流す定電流Iがクランプ回路14を流れ、出力端子OUTの電圧Voutは、クランプ回路14によってクランプ電圧にクランプされる。従って、スイッチング素子Q1がオフ状態の出力端子OUTの電圧Voutは、基準電圧V1を上回る。これにより、第1のコンパレータCP1の出力はHレベルとなるので、負荷オープン状態が検出される。
【0034】
第1のコンパレータCP1から負荷オープン状態検出信号が充電電流停止回路16に出力されると、充電電流停止回路16のスイッチは、オフするので、ブートストラップ回路10からコンデンサC1への充電電流の供給が停止される。このため、クランプ回路14のクランプ電圧clampは、ブートストラップ回路10からの充電電流により上昇しない。
【0035】
従って、クランプ電圧Vclampが第2の基準電圧V2を超えることがなくなるため、第2のコンパレータCP2は、Lレベルを出力する。これにより、出力天絡状態の誤検出を防止することができる。
【0036】
また、出力天絡状態である場合には、クランプ電圧が電圧Eとなるので、第2のコンパレータCP2の非反転端子には電圧Eが入力され、コンパレータCP2の反転端子には電圧Vclampが入力されるので、第2のコンパレータCP2はHレベルを出力する。これにより、出力天絡状態を検出することができる。
【0037】
図2は、本発明の実施例1に係る負荷駆動回路の各部の動作波形を示す図である。
図2に示すように、通常では、時刻t0〜t1において、コンデンサC1への充電電流を停止し(充電電流停止区間T2)、時刻t1〜t2において、コンデンサC1へ充電電流を流している。
【0038】
しかし、コンデンサC1へ充電電流を流すべき時刻t3〜t4を含む区間T1において、負荷オープン状態となった場合には、時刻t3〜t4において、充電電流停止回路16のスイッチをオフすることにより、ブートストラップ回路10からの充電電流を停止させる。これにより、出力端子OUTの電圧、即ちクランプ電圧を一定電圧に維持できることがわかる。
【実施例2】
【0039】
図3は、本発明の実施例2に係る負荷駆動回路の回路構成を示す図である。
図3に示す実施例2に係る負荷駆動回路は、
図1に示す実施例1に係る負荷駆動回路の充電電流停止回路16に代えて、放電停止回路17を設けたことを特徴とする。
【0040】
なお、その他の構成は、実施例1の負荷駆動回路の構成と同じであるので、それらの説明は省略する。
【0041】
放電停止回路17は、ブートストラップ回路BSとグランドとの間に接続されたスイッチからなり、第1のコンパレータCP1が負荷オープン状態を検出した場合に、スイッチをオフすることにより、コンデンサC1からブートストラップ回路BSを介してグランドに流れる電流の放電を停止させる。
【0042】
このように構成された実施例2の負荷駆動回路の動作を説明する。正常時の動作及び負荷オープン状態時の動作は、実施例1の負荷駆動回路の動作と同様であるので、ここでは、スイッチング素子Q1がオフ状態で且つ第1のコンパレータCP1が負荷オープン状態を検出した場合の動作を説明する。
【0043】
まず、コンデンサC1からグランドへの放電が始まり、amp端子の出力が低下する。すると、ブートストラップ回路BSの定電圧回路は、定電圧を出力するためにamp端子に電流を流そうとする。
【0044】
しかし、amp端子を介してコンデンサC1に電流が流れると、クランプ回路14の電圧が上昇してしまう。このため、クランプ回路14の電圧が第1の基準電圧V1以上となるので、第1のコンパレータCP1がHレベルを放電停止回路17のスイッチに出力する。
【0045】
このため、放電停止回路17のスイッチがオフし、コンデンサC1からブートストラップ回路BSを介してグランドに流れる放電電流が停止される。
【0046】
これにより、クランプ回路14の電圧が上昇しなくなるので、クランプ電圧Vclampが第2の基準電圧V2を超えることがなくなるため、第2のコンパレータCP2は、Lレベルを出力する。これにより、出力天絡状態の誤検出を防止することができる。
【0047】
また、出力天絡状態である場合には、クランプ電圧が電圧Eとなるので、第2のコンパレータCP2の非反転端子には電圧Eが入力され、コンパレータCP2の反転端子には電圧Vclampが入力されるので、第2のコンパレータCP2はHレベルを出力する。これにより、出力天絡状態を検出することができる。
【実施例3】
【0048】
図4は、本発明の実施例3に係る負荷駆動回路の回路構成を示す図である。実施例3に係る負荷駆動回路は、
図1に示す実施例1に係る負荷駆動回路の充電電流停止回路16に代えて、第2のコンパレータCP2が、第1のコンパレータCP1が負荷オープン状態を検出した場合に、第2の基準電圧V2を、ブートストラップ回路BSからamp端子とコンデンサC1を介してクランプ回路14に流れる電流を含む電流により発生する電圧よりも高い電圧で且つ電圧Eよりも低い電圧に設定することを特微とする。
【0049】
なお、その他の構成は、実施例1の負荷駆動回路の構成と同じであるので、それらの説明は省略する。
【0050】
このように実施例3に係る負荷駆動回路の動作を説明する。正常時の動作及び負荷オープン状態時の動作は、実施例1の負荷駆動回路の動作と同様であるので、ここでは、スイッチング素子Q1がオフ状態で且つ第1のコンパレータCP1が負荷オープン状態を検出した場合の動作を説明する。
【0051】
まず、第1のコンパレータCP1が負荷オープン状態を検出すると、第1のコンパレータCP1から負荷オープン状態検出信号が第2のコンパレータCP2の第の基準電圧V2に送られる。第2の基準電圧V2は、負荷オープン状態検出信号に応じて、ブートストラップ回路BSからamp端子とコンデンサC1を介してクランプ回路14に流れる電流I1を含む電流I2により発生する電圧Vclamp2よりも高い電圧で且つ電圧Eよりも低い電圧に設定する。第2の基準電圧V2は、電圧Eに応じて設定されることが好ましい。
【0052】
ここで、電流I2は、ブートストラップ回路BSからamp端子とコンデンサC1を介してクランプ回路14に流れる電流I1と、定電流回路15からの電流Iとの合計電流である。電流I2により発生する電圧Vclamp2は、定電流回路15からの電流Iにより発生する電圧Vclampよりも大きい。
【0053】
第2の基準電圧V2は、電圧Vclamp2よりも高い電圧で且つ電圧Eよりも低い電圧であるので、出力天絡状態でない場合には、クランプ電圧Vclamp2が第2の基準電圧V2を超えることがなくなるため、第2のコンパレータCP2は、Lレベルを出力する。これにより、出力天絡状態の誤検出を防止することができる。
【0054】
また、出力天絡状態である場合には、クランプ電圧が電圧Eとなるので、第2のコンパレータCP2の非反転端子には電圧Eが入力され、コンパレータCP2の反転端子には電圧Vclamp2よりも高い電圧で且つ電圧Eよりも低い電圧が入力されるので、第2のコンパレータCP2はHレベルを出力する。これにより、出力天絡状態を検出することができる。