特許第6406162号(P6406162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406162
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】脱落防止付形鋼用取付け金具
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/06 20060101AFI20181004BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   F16B2/06 A
   F16B2/12 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-157675(P2015-157675)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-26132(P2017-26132A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮川 慎也
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−014328(JP,A)
【文献】 特開2002−339919(JP,A)
【文献】 特開2008−014329(JP,A)
【文献】 実開平02−087818(JP,U)
【文献】 特開2004−011094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00−2/26
F16B 1/02
E04B 9/18
B25B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形鋼材のフランジ部に開口部を挿入し、締付けボルトにより上下方向から挟持して固定する略コの字状の取付け金具本体と、先端に前記フランジ部の端面に当接する当接部を設けた略L字状の脱落防止板とからなり、前記脱落防止板には板幅両側から外方に突出する係止部を2対以上設け、前記取付け金具本体には開口部の端縁を屈曲して形成した補強片の底板側に前記係止部に相対する係止凹部をそれぞれ設け、前記取付け金具本体が締付けボルトの緩みにより形鋼材のフランジ部から抜け出す方向に移動する際に、前記開口部係止凹部に前記脱落防止板の係止部がそれぞれ係止すると共に、前記フランジ部の対向する端面に先端の当接部が当接することで取付け金具本体の脱落を防止することを特徴とする脱落防止付形鋼用取付け金具。
【請求項2】
前記脱落防止板の基端から倒L字状に延伸する係合片を形成したことを特徴とする請求項1に記載の脱落防止付形鋼用取付け金具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は設備工事において、配管や設備機器、電気器具等を設置するためにH鋼梁や形鋼材の平板状フランジ部に取付ける形鋼用取付け金具において、締付けボルトが振動等により緩んでも形鋼材からの脱落を防止することができる金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、形鋼材のフランジ部に開口部を挿入し、締付けボルトにより上下方向から挟持して固定する略コの字状の取付け金具の脱落防止具として、取付け金具の板幅より大の平板状基部の一端側に前記フランジ部の端面に係合する第1の係合部を備え、他端側には前記取付け金具の上下に配置する第1及び第2の腕部を連結する連結部が挿通する係合穴を有する第2の係合部を備え、前記取付け金具が締付けボルトの緩みにより形鋼材のフランジ部から抜け出す方向に移動する際に、前記係合穴に前記連結部が係合すると共に、前記フランジ部に第1の係合部が係合することで取付け金具の脱落を防止する脱落防止具が開示されている。(特開2002−339937号)
【0003】
また、取付け金具の板幅より大の平板状基部の一端側に前記フランジ部の端面に係合する係合部を備え、他端側には前記係合部と同じ側に立設された立ち上り部の先端に前記締付けボルトのボルト軸が挿通する挿通穴を有する折返し部を備え、前記取付け金具が締付けボルトの緩みにより形鋼材のフランジ部から抜け出す方向に移動する際に、前記挿通穴に前記締付けボルトのボルト軸が係合すると共に、前記フランジ部に係合部が係合することで取付け金具の脱落を防止する脱落防止具が開示されている。(特開2002−339919号)
【0004】
上記従来の方法において、両者の脱落防止具は、取付け金具の板幅より大の平板状基部の一端側に前記フランジ部の端面に係合する係合部を備え、他端側に取付け金具の連結部が挿通する係合穴、あるいは、取付け金具の締付けボルトの軸を挿通する挿通穴を備えたものであるが、締付けボルトの軸を挿通する挿通穴を備えたものでは、締付けボルトのボルト軸に対して部分的に過度の曲げ力が掛かるため、抜け出す荷重に対して強度的に不利になり、また、大きな強度も期待できない。
連結部を挿通する係合穴を備えたものは、抜け出す荷重に対して金具全体で支持するため強度的な期待はできるものの、脱落防止具の製品自体が大きくなり、経済的に不利になり、また、作業性も悪い。
また、両者共、平板状基部が取付け金具の板幅より大のため、前記取付け金具の下側に配置する第2の腕部の両側板に設けた鋸歯部が脱落防止具の取付けにより形鋼材のフランジ部に直接接触できず、平板状基部を介した状態になるために、取付け金具自体の固定力及び、滑り抑制力の低下に影響を与える可能性があるなどの問題点が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−339919号
【特許文献2】特開2002−339937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的は、形鋼材のフランジ部に取付ける取付け金具に備えた締付けボルトの緩みによる前記フランジ部からの脱落を防止する機能を有した脱落防止付形鋼用取付け金具において、抜け出す方向の荷重に対して安定した強度により確実に脱落を防止すると共に、取付けが容易である脱落防止付形鋼用取付け金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その手段として本発明の請求項1は、形鋼材のフランジ部に開口部を挿入し、締付けボルトにより上下方向から挟持して固定する略コの字状の取付け金具本体と、先端に前記フランジ部の端面に当接する当接部を設けた略L字状の脱落防止板とからなり、前記脱落防止板には板幅両側から外方に突出する係止部を2対以上設け、前記取付け金具本体には開口部の端縁を屈曲して形成した補強片の底板側に前記係止部に相対する係止凹部をそれぞれ設け、前記取付け金具本体が締付けボルトの緩みにより形鋼材のフランジ部から抜け出す方向に移動する際に、前記開口部の係止凹部に前記脱落防止板の係止部がそれぞれ係止すると共に、前記フランジ部の対向する端面に先端の当接部が当接することで取付け金具本体の脱落を防止することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項は、前記脱落防止板の基端から倒L字状に延伸する係合片を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の脱落防止付形鋼用取付け金具によれば、取付け金具本体が締付けボルトの緩みにより形鋼材のフランジ部から抜け出す方向に移動する際に、前記取付け金具本体の開口部に設けた係止凹部に脱落防止板の係止部がそれぞれ係止すると共に、前記フランジ部の対向する端面には先端の当接部が当接することで取付け金具本体の脱落を防止することができる。
すなわち、脱落防止板の係止部は、付設する締付けボルトのような部分的な場所でなく、抜け出す方向の荷重を取付け金具本体全体の負担となる開口部で受けているため、安定した強度により脱落を防止することができる。
【0010】
また、脱落防止板の係止部を板幅の両側から外方に突出して対以上設けると共に、該係止部が前記取付け金具本体の開口部の端縁を屈曲して形成した補強片の底板側に設けた係止凹部にそれぞれ係止し、また、脱落防止板の板幅が取付け金具本体開口部の補強片の間隙に収まるために、底板側の補強片の上端面で形鋼材のフランジ部に接触できるので安定した固定力を得ることができる。
【0011】
脱落防止板の基端から倒L字状に延伸する係合片を形成したことにより、脱落防止板を取付け金具本体に取り付けて、形鋼材のフランジ部へ取付け作業を行う際、取付け金具本体開口部の補強片の連結板と天板側間隙に係合片が収まると共に、係合片の先端が締付けボルトに当接して取付け金具本体からの外れを規制するために、作業性がよく、取付けも容易になるなど、上記従来の課題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の脱落防止付形鋼用取付け金具を示す斜視図
図2図1の中央断面図
図3図1の脱落防止付形鋼用取付け金具の取付け金具本体を示す斜視図
図4図1の脱落防止付形鋼用取付け金具の脱落防止板を示す斜視図
図5】本発明の別の実施形態を示す中央断面図
図6図5の脱落防止板を示す斜視図
図7図5の脱落防止板を取付け金具本体に組み付け状態を示す説明図
図8図5の使用状態を示す要部断面図
図9図5の使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の脱落防止付形鋼用取付け金具を示す斜視図、図2図1の中央断面図、図3図1の脱落防止付形鋼用取付け金具の取付け金具本体を示す斜視図、図4図1の脱落防止付形鋼用取付け金具の脱落防止板を示す斜視図である。
10は取付け金具本体であり、鋼板を略コの字状に折り曲げて開口部11を形成すると共に、開口部11の端縁を屈曲して補強片12a・12bを形成する。
開口部11の上側に位置する天板13aにはネジ穴14aを設け、そのネジ穴14aには上下に進退可能な締付けボルト14bを螺着する。
開口部11の下側に位置する底板13b側の補強片12bの上端を鋸歯状に形成し、その基端に凹状となる第1係止凹部15a・15bを形成する。
また、中間にも第2係止凹部16a・16bを形成し、2対の係止凹部を設ける。
17a・17bは丸穴であり、配管を取り付けるためのバンド型金具や吊ボルトを懸垂するためのフランジ付ナットを装着するためのものである。
18a・18bは結束バンドを挿通するための長孔であり、ケーブル等を架設する際に取付け金具本体に固定できる。
【0014】
20は脱落防止板であり、鋼製平板状の基板21の先端を屈曲して当接部22を設けて略L字状とする。
基板21は前記取付け金具本体10の底板13b側の補強片12bの間隙に収まる板幅長さにすると共に、板幅の両側から前記第1係止凹部15a・15b、及び第2係止凹部16a・16bに対応する位置で外方に突出して第1係止部23a・23b、及び第2係止部24a・24bを設ける。
脱落防止板20を取付け金具本体10の第1係止凹部15a・15b、及び第2係止凹部16a・16bに、脱落防止板20の第1係止部23a・23b、及び第2係止部24a・24bをそれぞれ載せて組み付けることができる。
【0015】
図5は本発明の別の実施形態を示す中央断面図、図6図5の脱落防止板を示す斜視図、図7図5の脱落防止板を取付け金具本体に組み付ける状態を示す説明図である。
25は基板21の基端から倒L字状に延伸する係合片であり、該係合片25を取付け金具本体10の開口部11側から締付けボルト14bのボルト軸を下側から交わすように上方に回転させ、締付けボルト14bより懐側に配置させると共に、第1係止凹部15a・15b、及び第2係止凹部16a・16bに、脱落防止板20の第1係止部23a・23b、及び第2係止部24a・24bをそれぞれ載せて組み付けることができる。
すなわち、組み付け後、取付け金具本体10の連結板13Cと天板13aの間隙に係合片25が収まると共に、係合片25の先端が締付けボルト14bに当接して取付け金具本体10からの外れを規制する効果を得ることができる。
【0016】
次に本発明の実施例の使用方法を説明する。
図8図5の使用状態を示す要部断面図、図9図5の使用状態図である。
脱落防止板20の係合片25を取付け金具本体10の開口部11側から締付けボルト14bのボルト軸下側から交わすように上方に回転させ、締付けボルト14bより懐側に配置させると共に、第1係止凹部15a・15b、及び第2係止凹部16a・16bに、脱落防止板20の第1係止部23a・23b、及び第2係止部24a・24bをそれぞれ載せて組み付ける。
脱落防止板20を取付け金具本体10に組み付けた状態で山形鋼Aのフランジ部に開口部11を挿入すると共に、脱落防止板20の先端の当接部22が前記山形鋼AのL型の背面に当接した状態で締付けボルト14Bを締め付けて固定する。
その後、取付け金具本体10の底板13bに設けた丸穴17aに装着したフランジ付ナットBに吊ボルトCを螺着し、その吊ボルトCの適所に配管を支持する金物等を装着することができる。
経年の継続的な振動や地震等の突発的な振動により、取付け金具本体10の締付けボルト14bに緩みが生じ、取付け金具本体10が山形鋼Aのフランジ部から抜け出す方向に移動する際、脱落防止板20の第1係止部23a・23b、及び第2係止凹部24a・24bが取付け金具本体10の第1係止凹部15a・15b、及び第2係止凹部16a・16bに係止すると共に、当接部22が山形鋼AのL型の背面に当接することで取付け金具本体10の脱落を防止することができる。
【符号の説明】
【0017】
10 取付け金具本体
11 開口部
12a・12b 補強片
13a 天板
13b 底板
14b 締付けボルト
15a・15b 第1係止凹部
16a・16b 第2係止凹部
20 脱落防止板
21 基板
22 当接部
23a・23b 第1係止部
24a・24b 第2係止部
25 係合片
A 山形鋼
B フランジ付ナット
C 吊ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図7
図9