(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置(典型的には、Multifunction Peripheral、以下単にMFPと称する)が実行する機能は多種多様であり、ユーザーのニーズも多種多様であるため、それらにきめ細かく対応して利便性を保ち、同時に、省エネルギーも実現することが求められる。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、省エネルギーと高い利便性とを実現可能な画像形成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る画像形成装置は、
機能を実行可能な機能実行部と、
前記機能を有効化する機能制御部とを具備し、
前記機能制御部は、前記画像形成装置が起動される際、その起動時が前記機能実行部の利用制限時間内である場合、前記機能を有効化しない。
【0007】
本形態によれば、画像形成装置の起動時に、機能実行部の出力先制限時間を判断し、出力先制限時間内の機能実行部は有効化しない。要するに、必要性の高い機能実行部のみを有効化し、必要性の低い機能実行部は有効化しない。これにより、必要性の高い機能実行部は直ちに利用可能になる上、画像形成装置の起動時間が短縮し、消費電力が削減される。
【0008】
前記機能実行部は、異なる機能をそれぞれ実行可能な複数の機能実行部を含み、
前記機能制御部は、前記複数の機能実行部にそれぞれ設定された利用制限時間に基づき、前記複数の機能実行部それぞれを有効化するか否か判断する。
【0009】
本形態によれば、異なる複数の機能実行部の出力先制限時間を個別に設定できることから、ユーザーのニーズに合った時間制限を設定することが可能である。また、画像形成装置の起動時に、有効化すべき機能実行部をユーザーが選択するのではなく、予め機能実行部ごとに設定された制限時間に基づいて、有効化すべき機能実行部が自動的に判断される。これにより、判断対象となる機能実行部が複数であっても、ユーザーの操作は最小限で足りるので、ユーザーの実感的にも画像形成装置の起動時間が最小となり、ユーザーフレンドリーである。
【0010】
前記機能制御部は、
前記機能実行部により機能を実行する際、その実行時が前記機能実行部の利用制限時間内である場合、前記機能実行部の一部を有効化し、
前記機能実行部の利用制限が解除される時間になると、前記機能実行部の残りを有効化する。
【0011】
具体的には、
前記機能実行部が実行可能な機能は、データの出力を含み、
前記機能制御部は、
前記機能実行部により機能を実行する際、その実行時が前記機能実行部の利用制限時間である場合、前記機能実行部に前記データを生成させ、
前記機能実行部の利用制限が解除される時間になると、前記機能実行部に前記データを出力させる。
【0012】
本形態によれば、利用制限が掛かっている出力先へ出力すべきデータは、利用制限が解除される時間となると出力される。つまり、出力制限が解除される時間まで、出力予約状態とすることで、利用制限が掛かっている出力先へデータが出力されないにも拘らず、同時に、ユーザーにとっては機能実行部を利用することができる。
【0013】
前記機能制御部は、前記機能実行部の利用制限が解除される時間になる前に、即時実行要求を取得すると、前記機能実行部の残りを有効化する。
【0014】
具体的には、
前記機能制御部は、前記機能の利用制限が解除される時間になる前に、即時実行要求を取得すると、前記機能実行部に前記データを出力させる。
【0015】
本形態によれば、即時実行、すなわち、機能実行部の利用制限が解除される時間になる前にデータを出力することも可能であるため、ユーザーのニーズによりきめ細かく対応可能である。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るプログラムは、
画像形成装置を、
機能を実行可能な機能実行部と、
前記機能を有効化する機能制御部であって、前記画像形成装置が起動される際、その起動時が前記機能実行部の利用制限時間内である場合、前記機能を有効化しない機能制御部
として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置において、省エネルギーと高い利便性とを実現可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(1.MFPのハードウェア構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)のハードウェア構成を示すブロック図である。
MFP10は、制御部11を備える。制御部11は、CPU、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、MFP10の全体的な動作制御を司る。MFP10を各機能部(後述)として機能させるコンピュータプログラムは、ROM等の非一過性の記憶媒体に記憶される。
【0020】
制御部11は、原稿読取部12、ファクシミリ通信部13、画像処理部14、画像メモリー15、画像形成部16、操作部17、記憶部18、ネットワーク通信部19等と接続されている。制御部11は、接続されている上記各部の動作制御や、各部との間での信号又はデータの送受信を行う。
【0021】
制御部11は、ユーザーから、操作部17またはネッワーク接続されたパーソナルコンピュータ(図示せず)等を通じて入力されるジョブの実行指示に従って、スキャナ機能、印刷機能及びコピー機能機能などの各機能についての動作制御を実行するために必要な機構の駆動及び処理を制御する。
【0022】
原稿読取部12は、原稿から画像を読み取る。
【0023】
画像処理部14は、原稿読取部12で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部14は、原稿読取部12により読み取られた画像が画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の画像処理を行う。
【0024】
画像メモリー15は、原稿読取部12による読み取りで得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部16での印刷対象となるデータを一時的に記憶したりする領域である。
【0025】
画像形成部16は、原稿読取部12で読み取られた画像データ等の画像形成を行う。
【0026】
操作部17は、MFP10が実行可能な各種動作及び処理についてユーザーからの指示を受け付けるタッチパネル部および操作キー部を備える。タッチパネル部は、タッチパネルが設けられたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部17aを備えている。
【0027】
ネットワーク通信部19は、ネットワーク(図示せず)に接続するためのインタフェースである。
【0028】
ファクシミリ通信部13は、図示しない符号化/復号化部、変復調部、およびNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行う。
【0029】
記憶部18は、原稿読取部12によって読み取られた原稿画像等を記憶する、HDDなどの大容量の記憶装置である。
【0030】
(2.MFPの機能的構成)
図2は、MFPの機能的構成を示すブロック図である。
MFP10の制御部11は、プログラムを実行することにより、要求受付部101、出力先制限判断部102、制限時間判断部103及び機能制御部104として動作する。また、MFP10は、機能実行部105を有する。
【0031】
要求受付部101は、操作部17に対するユーザーからの特定の操作を、起動要求、機能実行要求又は即時実行要求として受け付ける。
【0032】
出力先制限判断部102は、機能実行部105(画像形成部16等)それぞれの出力先を制限可能に設定されているかどうか判断する。
【0033】
制限時間判断部103は、現在時刻が出力先制限時間内か否かを判断する。
【0034】
MFP10の起動時(電源オフ状態からの起動時及びスリープ状態からの復帰時を含む。)において、機能制御部104は、現在時刻が出力先制限時間内のとき、出力先ポートを閉塞したままとし、機能実行部105(画像形成部16等)を起動しない。ここで、MFP10は、入力(例えば、操作部17を介したユーザー操作、ネットワークや回線を介したデータ/信号の入力)があれば、スリープ状態から復帰する。
一方、機能制御部104は、出力先を制限可能に設定されていないとき、及び、現在時刻が出力先制限時間外のとき、機能実行部105(画像形成部16等)それぞれの出力先に対応する出力先ポートを開放し、機能実行部105(画像形成部16等)を起動する。
【0035】
画像形成機能等の機能実行時において、出力先を制限可能に設定されていないとき、及び、現在時刻が出力先制限時間外のとき、機能制御部104は、出力先ポートが閉塞されていれば開放し、機能実行部105(画像形成部16等)に機能を実行させる。 一方、画像形成機能等の機能実行時において、現在時刻が出力先制限時間内のとき、機能制御部104は、出力先ポートを閉塞したまま、機能実行部105(画像形成部16等)にデータを生成及び保存させる。そして、出力先制限が解除される時間になったら、及び、即時出力要求を取得したら、このデータを出力させる。
【0036】
また、機能実行部(画像形成部16等)の出力先ポートが開放されており、機能実行部(画像形成部16等)が起動中のとき、現在時刻が出力先制限時間内のとき、機能実行部105(画像形成部16等)の出力先ポートを閉塞し、機能実行部105(画像形成部16等)を停止する。画像形成機能等の機能実行中(例えば、印刷ジョブ実行中)に出力制限時間になった場合、機能制御部104は、機能の実行が完了してから機能実行部105(画像形成部16等)の出力先ポートを閉塞、機能実行部105(画像形成部16等)を停止する。
【0037】
機能制御部104は、出力先ポートを開放することにより、開放された出力先ポートに対応する出力先となる機能実行部105(画像形成部16等)を有効化する。逆に、機能制御部104は、出力先ポートを閉塞することにより、閉塞された出力先ポートに対応する出力先となる機能実行部105(画像形成部16等)を無効化する。
【0038】
MFP10は、特定時間、入力(例えば、操作部17を介したユーザー操作、ネットワークや回線を介したデータ/信号の入力)がない場合、スリープ状態に移行する。このとき、機能制御部104は、出力先ポートを閉塞し、機能実行部105(画像形成部16等)を停止する。なお、MFP10の起動、電源オフ動作、及びスリープ状態への移行は、出力先制限時間とは関係なく実行することができる。
【0039】
機能実行部105は、画像形成(プリント)機能を実行する画像形成部16(プリントエンジン)、ネットワーク通信機能を実行するネットワーク通信部19、ファクシミリ機能を実行するファクシミリ通信部13を含む。機能実行部105は、さらに、原稿読取部12、画像処理部14、画像メモリー15、記憶部18、及び表示部17aを含む。
【0040】
(3.MFPの動作)
(3−1.MFPの起動時の動作)
図3は、MFPの起動時の動作を示すフローチャートである。
前提として、MFP10は、電源オフ状態又はスリープ状態である。MFP10は、少なくとも、画像形成部16(プリントエンジン)を用いた画像形成(プリント)機能と、ネットワーク通信部19を用いたネットワーク通信機能と、ファクシミリ通信部13を用いたファクシミリ機能とを実行可能である。
【0041】
要求受付部101は、操作部17に対するユーザーからの特定の操作を、電源起動要求又はスリープ状態からの復帰要求(まとめて「起動要求」と称する。)として受け付ける(ステップS101)。要求受付部101は、起動要求を取得したことを、出力先制限判断部102に通知する。
【0042】
出力先制限判断部102は、通知を受けると、画像形成部16を起動するための処理を開始する(ステップS102P)。出力先制限判断部102は、画像形成部16の出力先を制限可能に設定されているかどうか判断する(ステップS103P)。「出力先を制限」とは、具体的には、画像形成部16の出力先ポートを閉塞することである。「出力先を制限可能に設定されている」とは、具体的には、画像形成部16の出力先ポートを開閉可能に設定されていることである。「出力先を制限可能に設定されていない」とは、言い換えれば、画像形成部16の出力先ポートが常時開放されている状態である。画像形成部16の出力先ポートを開閉することで、実質的に、画像形成部16による画像形成機能が有効化/無効化される。出力先制限判断部102は、画像形成部16の出力先を制限可能(言い換えれば、有効化/無効化を変更可能)に設定されていると判断すると(ステップS103P、YES)、制限時間判断部103に判断結果を通知する。
【0043】
制限時間判断部103は、通知を受けると、現在時刻が出力先制限時間内か否かを判断する(ステップS104P)。「出力先制限時間内」とは出力先ポートを閉塞すべき時間帯であり、「出力先制限時間外」とは出力先ポートを開放すべき時間帯である。より具体的には、制限時間判断部103には、画像形成部16の出力先制限時間(即ち、出力先ポートを閉塞すべき時間帯)が予め設定されている。「画像形成部16の出力先制限時間」としては、あくまで一例であるが、画像形成部16の利用が無くなる又は少なくなることが予想される時間帯が予め設定される。そのような時間帯の例としては、学校の授業時間(一般に、生徒は休み時間にMFPを利用する)、会社の就業時間外、深夜等が挙げられる。制限時間判断部103は、現在時刻が出力先制限時間内(即ち、出力先ポートを閉塞すべき)と判断すると(ステップS104P、YES)、その旨を機能制御部104に通知する。
【0044】
機能制御部104は、出力先制限時間内との通知を受けると、画像形成部16の出力先ポートを閉塞したままとし、画像形成部16を起動しない。その結果、MFP10が起動されるにも拘らず、画像形成部16は起動されないままとなる。
【0045】
一方、出力先制限判断部102は、出力先を制限可能に設定されていない(即ち、出力先ポートが常時開放)と判断すると(ステップS103P、NO)、その旨を機能制御部104に通知する。また、制限時間判断部103は、現在時刻が出力先制限時間外(即ち、出力先ポートを開放すべき)と判断すると(ステップS104P、NO)、その旨を機能制御部104に通知する。機能制御部104は、これらの通知を受けると、画像形成部16の出力先ポートを開放し、画像形成部16を起動する(ステップS105P)。
【0046】
以上、画像形成部16について説明したが、ネットワーク通信部19及びファクシミリ通信部13についても、同様の動作が行われる。すなわち、それぞれ以下のとおりである。
【0047】
出力先制限判断部102は、要求受付部101から起動要求(ステップS101)の通知を受けると、ネットワーク通信部19を起動するための処理を開始する(ステップS102N)。出力先制限判断部102は、ネットワーク通信部19の出力先を制限可能に設定されていると判断すると(ステップS103N、YES)、制限時間判断部103に判断結果を通知する。制限時間判断部103が、現在時刻が出力先制限時間内(即ち、出力先ポートを閉塞すべき)と判断すると(ステップS104N、YES)、ネットワーク通信部19は起動されない。一方、出力先制限判断部102が出力先を制限可能に設定されていない(即ち、ポートが常時開放)と判断する(ステップS103N、NO)と、又は、制限時間判断部103が、現在時刻が出力先制限時間外(即ち、出力先ポートを開放すべき)と判断すると(ステップS104N、NO)、機能制御部104は、ネットワーク通信部19の出力先ポートを開放し、ネットワーク通信部19を起動する(ステップS105N)。
【0048】
出力先制限判断部102は、要求受付部101から起動要求(ステップS101)の通知を受けると、ファクシミリ通信部13を起動するための処理を開始する(ステップS102F)。出力先制限判断部102は、ファクシミリ通信部13の出力先を制限可能に設定されていると判断すると(ステップS103F、YES)、制限時間判断部103に判断結果を通知する。制限時間判断部103が、現在時刻が出力先制限時間内(即ち、出力先ポートを閉塞すべき)と判断すると(ステップS104F、YES)、ファクシミリ通信部13は起動されない。一方、出力先制限判断部102が出力先を制限可能に設定されていない(即ち、ポートが常時開放)と判断する(ステップS103F、NO)と、又は、制限時間判断部103が、現在時刻が出力先制限時間外(即ち、出力先ポートを開放すべき)と判断すると(ステップS104F、NO)、機能制御部104は、ファクシミリ通信部13の出力先ポートを開放し、ファクシミリ通信部13を起動する(ステップS105F)。
【0049】
なお、画像形成部16、ネットワーク通信部19及びファクシミリ通信部13の、出力先を制限可能か否かの設定は、それぞれ独立して個別に設定されている。画像形成部16、ネットワーク通信部19及びファクシミリ通信部13の出力先制限時間は、それぞれ独立して個別に設定されている。
【0050】
また、機能制御部104は、現在時刻が出力先制限時間外のときに出力先ポートを開放して機能実行部105(画像形成部16等)を起動する場合、後述する機能実行要求をトリガーとして、出力先ポートを開放し、機能実行部105(画像形成部16等)を起動してもよい。この場合、MFP10の起動時において、
図3に示すステップS104N、S104P及びS104Fに対応する動作は行われない。
【0051】
(3−2.MFPの機能実行時の動作)
図4は、MFPの機能実行時の動作を示すフローチャートである。
前提として、MFP10は、電源オフ状態又はスリープ状態ではなく、既に起動されている。
【0052】
要求受付部101は、操作部17に対するユーザーからの特定の操作を、機能実行要求として受け付ける(ステップS201)。「機能実行要求」とは、画像形成部16を用いた画像形成(プリント)機能と、ネットワーク通信部19を用いたネットワーク通信機能と、ファクシミリ通信部13を用いたファクシミリ機能との何れかを実行するための要求である。本例では、画像形成部16を用いた画像形成(プリント)機能を実行するものとして説明する。要求受付部101は、画像形成機能実行要求を取得したことを、出力先制限判断部102に通知する。
【0053】
出力先制限判断部102は、通知を受けると、画像形成機能を実行するための処理を開始する(ステップS202)。出力先制限判断部102は、画像形成部16の出力先を制限可能(出力先ポートが開閉可能)に設定されているかどうか判断する(ステップS203)。出力先制限判断部102は、画像形成部16の出力先を制限可能(出力先ポートが開閉可能)に設定されていると判断すると(ステップS203、YES)、制限時間判断部103に判断結果を通知する。
【0054】
制限時間判断部103は、通知を受けると、現在時刻が出力先制限時間内か否かを判断する(ステップS204)。制限時間判断部103は、出力先制限時間内(即ち、出力先ポートを閉塞すべき)と判断すると(ステップS204、YES)、その旨を機能制御部104に通知する。
【0055】
一方、出力先制限判断部102は、画像形成部16の出力先を制限可能に設定されていない(即ち、出力先ポートが常時開放)と判断すると(ステップS203、NO)、その旨を機能制御部104に通知する。また、制限時間判断部103は、現在時刻が出力先制限時間外(即ち、出力先ポートを開放すべき)と判断すると(ステップS204、NO)、その旨を機能制御部104に通知する。
【0056】
機能制御部104は、これらの通知を受けると、画像形成部16を制御して、原稿を読み取らせ、得られた原稿データをプリントさせる(ステップS205)。この場合、機能制御部104は、画像形成部16の出力先ポートが閉塞されていれば開放して画像形成部16を起動する。
【0057】
これに対して、機能制御部104は、出力先制限時間内(即ち、出力先ポートを閉塞すべき)(ステップS204、YES)との上記通知を受けると、画像形成部16の出力先ポートを閉塞したまま、画像形成部16を制御して、原稿を読み取らせ、得られた原稿データを保存させる(ステップS206)。機能制御部104は、保存した原稿データを、出力先制限が解除される時間(即ち、出力先ポートを開放すべき時間)になったらプリントするよう予約する(ステップS207)。典型的には、機能制御部104は、画像形成機能の実行が予約されていることを示すジョブステータス画面を、表示部17aに表示する。
【0058】
図5は、ジョブステータス画面の一例を示す図である。
ジョブステータス画面J1には、印刷ジョブタブJ101、送信ジョブタブJ102、保存ジョブタブJ103及び予約ジョブタブJ104が表示される。選択されたタブにより特定されるジョブのリストが表示される。本図の例では、予約ジョブタブJ104が選択され(ハイライト表示され)、予約ジョブリストJ105が表示される。
【0059】
予約ジョブリストJ105には、ジョブ番号J106「0001」に対して、ジョブ名J107「doc 0001」及びジョブステータスJ108「Waiting(待機中)」が表示される。
【0060】
ジョブステータス画面J1には、さらに、ジョブの一時停止を要求するための一時停止ボタンJ109と、ジョブのキャンセルを要求するためのキャンセルボタンJ110と、ジョブの即時実行を要求するための即時実行ボタンJ111とが表示される。
【0061】
例えば、ユーザーは、ジョブ番号J106「0001」で示されるジョブを選択する(図示のように、選択されたジョブはハイライト表示される)。そして、ユーザーは、即時実行ボタンJ111を押下することで、選択されたジョブに対する即時実行要求を入力する。
【0062】
フロー(
図4)の説明に戻る。要求受付部101は、機能実行予約(ステップS207)後であって出力先制限時間内に、操作部17に対するユーザーからの特定の操作(本例では、即時実行ボタンJ111の押下)を、即時実行要求として受け付ける(ステップS208、YES)と、即時実行要求を、機能制御部104に供給する。
【0063】
なお、機能実行予約は、MFP10が一旦、電源オフ状態又はスリープ状態になった後、起動しても有効としてもよい。この場合、
図3に示すMFP10の起動時の動作を行った後、
図4に示すステップS208に移行してもよい。
【0064】
機能制御部104は、即時実行要求を取得すると、画像形成部16の出力先ポートを開放して画像形成部16を起動し(ステップS210)、画像形成部16を制御して、予約(ステップS207)した画像形成機能を実行させる(ステップS211)。「予約した画像形成機能を実行」とは、保存(ステップS206)した原稿データをプリントすることである。典型的には、機能制御部104は、予約した画像形成機能を実行中であることを示すジョブステータス画面を、表示部17aに表示する。
【0065】
図6は、ジョブステータス画面の一例を示す図である。
ジョブステータス画面J1において、ジョブ番号J106「0001」及びジョブ名J107「doc 0001」に対して、ジョブステータスJ108「Running(実行中)」が表示される。
【0066】
フロー(
図4)の説明に戻る。機能実行予約(ステップS207)後、要求受付部101が即時実行要求を取得することなく(ステップS208、NO)出力先制限が解除される時間になるとする(ステップS209、NO)。この場合、機能制御部104は、画像形成部16の出力先ポートを開放して画像形成部16を起動し(ステップS210)、予約(ステップS207)した画像形成機能を実行、即ち、保存(ステップS206)した原稿データをプリントする(ステップS211)。
【0067】
即時実行要求に基づいてプリントした場合、プリントの完了時が出力先制限時間内であれば、機能制御部104は、画像形成部16の出力先ポートを閉塞し、画像形成部16を停止する。
【0068】
(4.まとめ)
本実施形態の「MFPの起動時の動作」によれば、MFPの起動時に、異なる複数の機能を実行する機能実行部の出力先制限時間を個別に判断し、出力先制限時間内の機能実行部は起動しない。要するに、必要性の高い機能実行部のみを起動し、必要性の低い機能実行部は起動しない。これにより、必要性の高い機能実行部は直ちに利用可能になる上、MFPの起動時間が短縮し、消費電力が削減される。例えば、画像形成機能(プリントエンジン)の起動には、現像機構や定着機構等を起動する必要があるため、時間が掛かる上、電力消費量も大きい。このような機能実行部を必要時のみ起動することで、時間及び電力の節約が大いに期待できる。特に、異なる複数の機能実行部の出力先制限時間を個別に設定できることから、電話料金の高い時間帯はファックス機能を制限する等、ユーザーのニーズに合った時間制限を設定することも可能である。
【0069】
また、MFPの起動時に、起動すべき機能実行部をユーザーが選択するのではなく、予め機能実行部ごとに設定された制限時間に基づいて、起動すべき機能実行部が自動的に判断される。これにより、判断対象となる機能実行部が複数であっても、ユーザーの操作は最小限で足りるので、ユーザーの実感的にもMFPの起動時間が最小となり、ユーザーフレンドリーである。
【0070】
本実施形態の「機能実行時の動作」によれば、出力先の制限が掛かっている出力先への出力操作を実施した場合、出力すべきデータは一旦保存され、制限が解除される時間となったタイミングで出力するように制御される。つまり、出力制限が解除される時間まで、出力予約状態とすることで、制限されている出力先ポートを使用しないにも拘らず、同時に、ユーザーにとっては機能実行部を利用することができる。
【0071】
これにより、画像形成機能については、画像形成部(プリントエンジン)の利用制限時間内にMFPを起動しても、画像形成部は起動しないため、不要なエンジン駆動処理などは実施されない。このため、ユーザーは、エンジンが安定するまで待機する必要がなく、直ちにMFPの操作が可能となる。加えて、省電力、駆動音の軽減などの効果が期待できる。ネットワーク機能については、一旦送信予約状態となるため、誤った宛先に送信してしまった場合、送信のキャンセル操作が可能となる。ファックス機能については、同一宛先の場合、一度の通信でまとめて送信することが可能となる。また、利用制限が解除される時間に出力物の確認を行えばよくなり、逐次確認する手間が省ける。
【0072】
また、即時実行、すなわち、機能実行部の利用制限が解除される時間になる前にデータを出力することも可能であるため、ユーザーのニーズによりきめ細かく対応可能である。