(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分包データは、前記複数の患者に処方する医薬品を前記配薬グループ単位で同一服用時期ごとに連続して前記薬包各々に分包させるものであって、前記制御部により前記服用時期に服用するべき医薬品が存在しないと判断された空データを含むものであって、
前記制御部は、前記空データに基づいて、前記服用時期に服用するべき医薬品が存在しない旨を示す情報を、前記服用時期に服用するべき医薬品が存在しない前記薬包に印刷させる、
請求項1に記載の配薬管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0018】
[配薬管理システム1]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る配薬管理システム1は、サーバ装置10、電子カルテ装置20、配薬管理装置30、薬品分包装置40、及び画像鑑査装置50などを備えている。前記サーバ装置10、前記電子カルテ装置20、前記配薬管理装置30、前記薬品分包装置40、及び前記画像鑑査装置50は、LAN又はインターネット等の通信ネットワーク60で通信可能に接続されている。
なお、前記配薬管理システム1は、バックアップのために複数の前記サーバ装置10を備えるものであってもよい。また、前記配薬管理装置30が前記サーバ装置10及び前記電子カルテ装置20などの機能を兼ねたものであってもよい。さらに、前記配薬管理装置30が前記薬品分包装置40及び前記画像鑑査装置50と一体構成されたものであってもよい。また、前記配薬管理装置30単体を本発明に係る配薬管理システムとして捉えてもよい。
【0019】
[サーバ装置10]
前記サーバ装置10は、患者各々の診療に関する情報が記録された電子カルテを蓄積して記憶するハードディスク又はフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置を備えている。具体的に、前記サーバ装置10は、前記電子カルテ装置20で登録された電子カルテを蓄積して記憶する。なお、1回(又は1日)の診療に関する電子カルテのデータには、患者に処方する医薬品に関する処方データ等が含まれる。
【0020】
[電子カルテ装置20]
前記電子カルテ装置20は、電子カルテプログラムに従って各種の処理を実行することにより、医師、看護師等のユーザーの操作入力に応じて前記サーバ装置10に記録された電子カルテを表示又は編集するコンピュータである。例えば、医師は、前記電子カルテ装置20を用いて、患者に処方する医薬品に関する処方データを前記電子カルテに登録する。これにより、前記処方データは、前記電子カルテ装置20から前記配薬管理装置30に送信される。なお、前記処方データは、前記配薬管理装置30によって前記サーバ装置10から読み出されるものであってもよい。また、前記処方データは、必要に応じて前記薬品分包装置40又は前記画像鑑査装置50にも送信される。
【0021】
[配薬管理装置30]
前記配薬管理装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、データ記憶部34、通信インターフェース35、操作入力装置36及び表示装置37などを備えたコンピュータである。なお、前記配薬管理装置30は、説明の便宜上「配薬管理装置」と称するが、従来から病院又は薬局に導入されている調剤システムを具現するコンピュータに後述の配薬管理プログラムをインストールしたものであってもよい。即ち、従来の調剤システムに対して前記配薬管理装置30を新たに導入する必要はない。前記配薬管理装置30に設けられた各構成要素はバス38によって接続されている。前記通信インターフェース35は、前記通信ネットワーク60を介して前記サーバ装置10、前記電子カルテ装置20、前記薬品分包装置40、及び前記画像鑑査装置50等との間でデータ通信を行う通信モデムなどを有する。
【0022】
前記CPU31は、各種の制御プログラムに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROM32は、前記CPU31により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM33は、前記CPU31による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
【0023】
前記データ記憶部34は、前記CPU31によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶されたハードディスク等である。
具体的に、前記データ記憶部34には、前記CPU31に後述の配薬管理処理(
図6参照)などの各処理手順を実行させる配薬管理プログラムが記憶されている。例えば、前記配薬管理プログラムはC言語(Microsoft社のC/C++及びVisual C/C++(登録商標)など)で記述されたものである。この配薬管理プログラムも本発明に該当する。また、前記配薬管理プログラムは、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体からインストールされるものである。ここに、前記配薬管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体も本発明に該当する。なお、前記配薬管理プログラムがインストールされた前記データ記憶部34も本発明に係る記録媒体に該当する。ところで、本発明は、前記配薬管理装置30の各機能を実現するために該配薬管理装置30で各処理工程を実行する配薬管理方法の発明として捉えることもできる。
【0024】
また、前記データ記憶部34には、例えば医薬品マスター及び患者マスター等の各種データベースが記憶されている。前記医薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。前記患者マスターには、患者各々の患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの情報が含まれる。これらの各種データベースは、前記CPU31によって読み出され又は編集される。
具体的に、前記CPU31は、前記配薬管理プログラムに従って前記患者マスターを編集するための患者マスター編集処理を実行する。ここに、
図2は、前記患者マスター編集処理において、前記CPU31により前記表示装置37に表示される患者マスター編集画面37Aの一例を示している。前記CPU31は、前記患者マスター編集画面37Aに従った前記操作入力装置36のユーザー操作に応じて前記患者マスターを編集する。
図2に示す前記患者マスター編集画面37Aでは、白抜き箇所が任意に入力可能な箇所である。具体的には、フリガナ、名前、生年月日、性別、病棟、病室、コメント一覧の各情報が任意に入力可能である。特に、病室名称欄372には、入力欄371に入力された数字に対応して予め設定された病室名が表示される。本実施の形態では、前記病室名が配薬グループの一例である。なお、前記配薬グループとしては、病室の他に、病棟、診療科、食事場所などが考えられる。また、本実施の形態において、「病室」は、病院に入院する患者の部屋又は老健施設に入居する入居者の部屋を含む概念であり、「患者」は、病院に入院する患者及び老健施設に入居する入居者を含む概念である。
そして、前記患者マスター編集画面37Aに表示された登録キー373が操作されると、前記CPU31は前記患者マスター編集画面37Aに表示された内容を前記患者マスターに登録し、当該患者マスター編集処理を終了する。ここに、係る患者マスター編集処理を実行することにより患者各々が属する病室名(配薬グループ)を任意に設定するときの前記CPU31がグループ設定手段に相当する。なお、前記患者マスター編集画面37Aに表示されたキャンセルキー374が操作されると、前記CPU31は前記患者マスター編集画面37Aに表示された内容を前記患者マスターに反映することなく当該患者マスター編集処理を終了する。
【0025】
前記操作入力装置36は、薬剤師などのユーザーが前記配薬管理装置30への各種情報の入力に使用するユーザインターフェースである。前記表示装置37は、各種情報を表示する表示画面を有する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示装置である。
具体的に、前記操作入力装置36は、前記表示装置37の表示画面に従って各種情報を入力するために用いられるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を有している。前記配薬管理装置30における「操作」、「選択」、「入力」とは、医師、看護士、技師、及び事務員などのユーザーにより前記操作入力装置36のマウス又はキーボードを用いて行われる作業を意味する。例えば、ユーザーは、前記操作入力装置36の操作により前記配薬管理装置30に処方データを入力することが可能である。なお、前記操作入力装置36は、前記表示装置37に設けられるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声操作入力装置を有するものであってもよい。また、前述したように、前記配薬管理装置30への処方データの入力は、前記電子カルテ装置20から送信された処方データを受信すること、或いは前記サーバ装置10から読み出すことにより行われてもよい。その他、前記配薬管理装置30が、処方箋に記載されたバーコードやQRコード(登録商標)などから処方データを読み取るバーコードリーダーを備える構成であってもよい。
【0026】
[薬品分包装置40]
次に、
図1及び
図3を参照しつつ、前記薬品分包装置40について説明する。
図1及び
図3に示すように、前記薬品分包装置40は、制御部41、医薬品収容部42、及び分包ユニット43などを備えている。前記薬品分包装置40は、前記配薬管理装置30から出力される分包データに従って、患者に処方する医薬品を分包するものである。
【0027】
前記制御部41は、CPU、ROM、RAM(EEPROM等)などを備え、前記薬品分包装置40を統括的に制御するコンピュータである。前記CPUは、各種のプログラムに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUにより実行される薬品分包プログラムなどの各種のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAMは、前記CPUによる各種のプログラムの展開及び各種の演算処理におけるデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。具体的に、前記制御部41は、前記薬品分包プログラムに従って後述の薬品分包処理(
図9参照)を実行する。
【0028】
前記医薬品収容部42は、患者に処方する医薬品として複数種別の錠剤が収容された複数の錠剤カセット421を備えている。前記錠剤カセット421各々の医薬品は、前記錠剤カセット421が装着される錠剤フィーダが前記制御部41によって処方情報等に基づいて制御されることにより払い出され前記分包ユニット43に供給される。なお、ここでは前記薬品分包装置40が前記錠剤カセット421各々から供給される錠剤を分包する錠剤分包装置である場合を例に挙げて説明するが、前記薬品分包装置40が複数種別の散薬を順不同に分包することのできる散薬分包機であることも他の実施形態として考えられる。
【0029】
前記分包ユニット43は、薬包シート431及び封止部432などを備えている。前記薬包シート431は、透光性を有するロール状のシートであって、前記医薬品収容部42から供給される医薬品を包装するために用いられる一連の包装材料である。前記封止部432は、前記薬包シート431により服用単位で医薬品を包装し、溶着等により封止する。これにより、前記分包ユニット43は、
図4に示すように前記薬包シート431により連続して形成された複数の薬包71を有する薬包連続体72を排出する。なお、前記薬包連続体72には、前記薬包71各々を容易に切り離すための切り取り点線71A(ミシン目)が形成されている。また、前記薬包71各々は、透光性を有しているため、前記薬包71各々の内部に収容された医薬品は外部から視認可能である。また、前記分包ユニット43は、前記制御部41からの制御指示に従って前記薬包71各々に患者名及び服用時期などを記載するプリント部(不図示)なども備えている。
【0030】
[画像鑑査装置50]
次に、
図1及び
図5を参照しつつ、前記画像鑑査装置50について説明する。ここに、
図5は、前記画像鑑査装置50の概略構成を示す図であって、(A)は外観図、(B)は内部構成図である。なお、
図5(B)は、前記画像鑑査装置50の筐体50A及び導入部50Bを取り外した状態を示している。
【0031】
図1及び
図5に示すように、前記画像鑑査装置50は、制御部51、表示部52、及び鑑査ユニット53などを備えている。前記画像鑑査装置50は、前記薬品分包装置40により前記薬包71各々に分包された医薬品と前記処方データとを画像により照合することで当該医薬品の適否を鑑査するものである。
【0032】
前記制御部51は、CPU、ROM、RAM(EEPROM等)などを備え、前記画像鑑査装置50を統括的に制御するコンピュータである。前記CPUは、各種のプログラムに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUにより実行される画像鑑査プログラムなどの各種のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAMは、前記CPUによる各種のプログラムの展開及び各種の演算処理におけるデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。具体的に、前記制御部51は、前記画像鑑査プログラムに従って後述の画像鑑査処理(
図11参照)を実行する。
【0033】
前記表示部52は、前記筐体50Aに取り付けられた液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示手段である。具体的に、前記表示部52は、前記制御部51によって実行される画像鑑査処理において前記薬包71各々の画像及び鑑査結果などの各種の情報を表示する。
【0034】
図5(B)に示すように、前記鑑査ユニット53は、搬送部531、撮影部532、照明装置533、供給検知部534、排出検知部535などを有している。
前記搬送部531は、前記画像鑑査装置50に露出して設けられた導入部50B(
図5(A)参照)に載置された前記薬包連続体72を搬送するベルトコンベアー又はローラコンベアー等の搬送手段である。なお、前記導入部50Bは、前記薬品分包装置40における前記薬包連続体72の排出部(不図示)に連結されており、前記薬品分包装置40で分包された前記薬包連続体72はそのまま前記画像鑑査装置50の前記導入部50Bに供給される。
前記撮影部532は、前記搬送部531によって搬送される前記薬包連続体72の薬包71各々の画像を撮影する撮影手段である。また、前記照明装置533は、前記撮影部532による撮影対象の前記薬包71を照明する照明手段である。
前記供給検知部534及び前記排出検知部535は、前記搬送部531によって搬送される前記薬包連続体72を検知する光学式センサなどであって、検知信号を前記制御部51に入力する。前記制御部51は、前記供給検知部534からの前記検知信号の入力に基づいて前記薬包連続体72の供給が開始されたと判断した場合に後述の画像鑑査処理を開始する。また、前記制御部51は、前記排出検知部535からの検知信号の入力に基づいて前記薬包連続体72の後端が通過したと判断した場合に後述の画像鑑査処理を終了する。
なお、前記画像鑑査装置50は、その他に、振動を生じさせる振動手段(不図示)を備えている。そして、前記制御部51は、前記撮影部532で撮影された前記薬包71内の画像において医薬品が接触している場合又は重なっていると判断した場合、前記振動手段(不図示)により前記薬包に振動を与えて医薬品が接触した状態又は重なった状態を解消する。
【0035】
[配薬管理処理]
以下、
図6のフローチャートを参照しつつ、前記配薬管理システム1において、前記配薬管理装置30のCPU31が前記配薬管理プログラムに従って実行する配薬管理処理の手順の一例について説明する。なお、図示するS1、S2、…は前記CPU31が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。ここに、係る配薬管理処理を実行するときの前記CPU31が分包データ出力手段に相当する。
また、当該配薬管理処理は、前記配薬管理プログラムが前記薬品分包装置40にインストールされることにより、前記薬品分包装置40において前記制御部41によって実行されてもよい。この場合、前記制御部41が分包データ出力手段に相当し、前記薬品分包装置40が配薬管理システムに相当する。
さらに、前記配薬管理プログラムが前記画像鑑査装置50にインストールされることにより、前記画像鑑査装置50において前記制御部51によって当該配薬管理処理が実行され、その結果得られた分包データが前記画像鑑査装置50から前記薬品分包装置40に入力される構成も考えられる。この場合、前記制御部51が分包データ出力手段に相当し、前記画像鑑査装置50が配薬管理システムに相当する。このように、前記配薬管理プログラムは、従来の調剤システムに含まれる各種の装置にインストールされることにより、既存の設備をそのまま利用して本発明に係る配薬管理システムを構築することができるものである。
また、当該配薬管理処理において前記CPU31により実行される後述の分包データが出力される工程が分包データ出力工程に相当する。
【0036】
(ステップS1〜S2)
まず、ステップS1において、前記CPU31は、患者への医薬品の処方に関する処方データの入力に応じて(S1のYes側)、前記処方データを前記データ記憶部34に記憶する(S2)。なお、前記処方データが入力されていない場合(S1のNo側)、前記CPU31は処理をステップS3に移行させる。
ここで、前記処方データは、医師等のユーザーにより前記電子カルテ装置20で入力された一人又は複数人の患者の1日分又は複数日分の医薬品の処方に関する情報である。具体的に、前記処方データには、少なくとも患者名(又は患者ID)、医薬品名(又は医薬品コード)、服用時期等の用法、処方量等の用量が含まれている。以下、単に「処方データ」と称する場合には、当該ステップS1で入力される処方データを指す。
例えば、前記CPU31は、前記操作入力装置36のユーザー操作に応じて処方データが入力された場合に(S1のYes側)、その処方データを前記データ記憶部34に記憶させる(S2)。また、前記CPU31は、医師等のユーザーにより前記電子カルテ装置20に前記処方データが入力された場合に前記電子カルテ装置20から送信される前記処方データを受信して(S1のYes側)、前記データ記憶部34に記憶させる(S2)。なお、前記CPU31が、定期的に前記サーバ装置10から前記処方データを読み出して(S1のYes側)、前記データ記憶部34に記憶することも考えられる(S2)。
【0037】
(ステップS3)
ステップS3において、前記CPU31は、前記薬品分包装置40に医薬品の分包を指示する分包データの出力要求を待ち受ける(S3のNo側)。前記分包データの出力要求は、例えば前記CPU31によって前記表示装置37に表示される処方管理画面におけるユーザー操作に従って行われる。なお、前記分包データについては次のステップS4〜S5で説明する。
具体的に、ユーザーは、全ての病室(配薬グループ)或いは任意に選択した一又は複数の病室について、任意に選択した1日分又は複数日分の分包データの出力を要求するための操作を前記操作入力装置34に対して行う。これにより、前記CPU31は、前記分包データの出力要求が行われたと判断する。そして、前記分包データの出力要求が行われた場合(S3のYes側)、前記CPU31は、処理をステップS4に移行させる。
【0038】
また、前記ステップS1〜S3に代えて、前記CPU31が、ユーザー操作に応じて前記サーバ装置10から前記処方データを読み出して前記データ記憶部34に記憶し、当該処方データを対象にステップS4以降の処理を実行することも考えられる。
例えば、ユーザーは、全ての病室或いは任意に選択した一又は複数の病室について、任意に選択した1日分又は複数日分の処方データを要求するための操作を前記操作入力装置34に対して行う。これにより、前記CPU31は、前記ユーザー操作に応じた処方データを前記サーバ装置10から読み出して前記データ記憶部34に記憶する。そして、前記CPU31は、前記処方データについての分包データを出力するための処理を実行する(S4〜S6)。
【0039】
(ステップS4)
ステップS4において、前記CPU31は、前記分包データの出力要求に含まれた患者各々の前記処方データを当該患者が属する病室単位で結合したグループ処方データを生成する。
ここに、
図7は、前記グループ処方データの一例を模式的に示すものである。
図7に示す前記グループ処方データでは、病室「さくら」、「かえで」ごとに属する複数の患者の処方データがグループ化されている。また、
図7に示すグループ処方データは、当該ステップS4において、前記CPU31によって前記表示装置37に表示される。
【0040】
(ステップS5)
そして、前記ステップS5において、前記CPU31は、前記ステップS4で生成された前記グループ処方データに基づいて、前記処方データ各々を前記病室単位で同一服用時期ごとに分解した分包データを生成する。このように前記ステップS3〜S4を実行することにより前記分包データを生成するときの前記CPU31がデータ生成手段に相当する。
前記分包データは、前記薬品分包装置40に、複数の患者に処方する医薬品を前記病室単位(配薬グループ単位)で同一服用時期ごとに分包することを指示するものである。
ここに、
図8は、前記病室「さくら」、「かえで」に対応する前記分包データの一例を模式的に示すものである。以下、
図8に示す前記分包データが前記ステップS5で生成された場合を適宜例に挙げて説明する。
図8に示す前記分包データでは、前記病室単位で、「さくら」、「かえで」各々に属する患者各々に処方された医薬品が服用時期ごとに並び替えられている。また、前記分包データには、服用時期に対応する医薬品が存在しない患者についてもその旨を示すデータ(空データ)が含まれている。
もちろん、前記分包データの内容は、前記薬品分包装置40において、複数の患者に処方する医薬品が前記病室単位で同一服用時期ごとに分包されるものであればそのデータ構造は
図8に示すものに限らない。
【0041】
なお、前記ステップS4及び前記ステップS5の処理手順は順序が逆であってもよい。
即ち、前記CPU31は、前記ステップS4において、複数の患者の処方データを服用時期ごとに分解するデータ分解処理を実行する。例えば、前記処方データが、3日分の処方に関するデータであって、1日の服用時期が朝食後、昼食後、夕食後の3回である場合、前記CPU31は、前記処方データ各々を3日分×3回の9つの服用単位データに分解する。次に、前記ステップS5において、前記CPU31は、前記服用単位データを当該服用単位データに対応する患者が属する前記病室ごとに結合した分包データを生成する。このようにして前記分包データを生成するための処理を実行するときの前記CPU31もデータ生成手段の一例である。
【0042】
(ステップS6)
そして、ステップS6において、前記CPU31は、前記通信ネットワーク60を介して前記薬品分包装置40に前記分包データを出力する。これにより、前記薬品分包装置40では、前記分包データに従って複数の患者に処方する医薬品が前記病室単位で同一服用時期ごとに分包されることになる。
なお、前記分包データの出力は、前記通信ネットワーク60を介するものに限らない。例えば、前記配薬管理装置30が接続されたプリンタ等により前記分包データをバーコード又はQRコード(登録商標)などで示した分包情報を印刷出力することが考えられる。これにより、前記薬品分包装置40では、前記印刷された用紙から前記分包情報をハーコードリーダー等によって読み取ることにより、前記分包データに従った分包動作を行うことが可能である。
【0043】
[薬品分包処理]
以下、
図9のフローチャートを参照しつつ、前記配薬管理システム1において、前記薬品分包装置40の制御部41が前記薬品分包プログラムに従って実行する薬品分包処理の手順の一例について説明する。なお、図示するS11、S12、…は前記CPU41が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。
【0044】
(ステップS11)
まず、ステップS11において、前記制御部41は、前記分包データの入力を待ち受ける(S11のNo側)。そして、前記分包データが入力されたと判断すると(S11のYes側)、前記制御部41は、処理をステップS12に移行させ、前記分包データに従った分包動作を実行する。
【0045】
(ステップS12)
ステップS12において、前記制御部41は、前記分包データのうち一つ目の前記病室を分包対象として設定する。具体的に、
図8に示した前記分包データが入力された場合、前記制御部41は、初めの前記ステップS12において、病室「さくら」を分包対象として設定する。そして、二回目以降に前記ステップS12が実行された場合、前記制御部41は二つ目以降の前記病室を順に分包対象として設定する。即ち、
図8に示した前記分包データが入力された場合、前記制御部41は、二回目の前記ステップS12において、病室「かえで」を分包対象として設定する。
【0046】
(ステップS13)
ステップS13において、前記制御部41は、前記分包データのうち前記ステップS12で分包対象として選択された前記病室に対応する一つ目の処方時期を分包対象として分包を開始する。具体的に、
図8に示した前記分包データが入力された場合、前記制御部41は、初めの前記ステップS13において、病室「さくら」の「2月4日(土)朝食後」の服用時期を分包対象として分包を開始する。そして、二回目以降に前記ステップS13が実行された場合、前記制御部41は二つ目以降の前記服用時期について順に分包対象として分包を開始する。即ち、
図8に示した前記分包データが入力された場合、前記制御部41は、二回目の前記ステップS13において、病室「さくら」の「2月4日(土)昼食後」の服用時期を分包対象として分包を開始する。一方、前記制御部41は、四回目の前記ステップS13において、病室「さくら」の「2月5日(土)朝食後」の服用時期を分包対象として分包を開始する。
【0047】
(ステップS14)
次に、ステップS14において、前記制御部41は、前記分包データに含まれたデータごとに当該服用時期に服用するべき医薬品が存在するか否かを順に判断する。そして、前記制御部41は、当該データに服用時期に服用するべき医薬品が存在しない場合、即ち当該データが空データである場合(S14のNo側)、処理をステップS141に移行させる。一方、当該データに服用時期に服用するべき医薬品が存在している場合、即ち当該データが空データではない場合(S14のYes側)、処理をステップS15に移行させる。
【0048】
(ステップS15)
ステップS15において、前記制御部41は、前記分包データに含まれた当該データについて通常の分包動作を実行する。具体的に、前記制御部41は、前記分包ユニット43の前記プリント部(不図示)により、前記薬包71に患者名及び服用時期を印刷すると共に、前記薬包71に当該患者に対応する医薬品を分包させる。
【0049】
(ステップS141)
一方、ステップS141において、前記制御部41は、当該服用時期に服用するべき医薬品が存在しない旨を、前記分包ユニット43の前記プリント部(不図示)により印刷した空の前記薬包71を分包に含める。具体的に、当該空の薬包71には、患者名及び服用時期と共に「お薬はありません」を印刷することが考えられる。
このように、本実施の形態における前記分包データは、当該服用時期に服用するべき医薬品が存在しない場合に対応する空データを含むものであることにより、処方された医薬品が存在しない患者に対応する空の前記薬包71を分包に含めると共に、当該薬包71に処方する医薬品がない旨を記載することを指示するものとなっている。
【0050】
(ステップS16)
そして、ステップS16において、前記制御部41は、前記ステップS13で開始された同一服用時期についての分包が終了したか否かを判断する。ここで、前記同一服用時期の分包が終了したと判断すると(S16のYes側)、前記制御部41は処理をステップS17に移行させる。一方、前記同一服用時期の分包が終了していないと判断すると(S16のNo側)、前記制御部41は処理を前記ステップS14に戻す。
【0051】
(ステップS17)
ステップS17において、前記制御部41は、前記ステップS12で分包対象として設定された同一病室についての全服用時期の分包が終了したか否かを判断する。ここで、前記全服用時期の分包が終了したと判断すると(S17のYes側)、前記制御部41は処理をステップS18に移行させる。一方、前記全服用時期の分包が終了していないと判断すると(S17のNo側)、前記制御部41は処理をステップS171に移行させる。
【0052】
(ステップS171)
ステップS171において、前記制御部41は、前記服用時期が切り替わるタイミングを明示するための分包の区切り処理を実行する。
例えば、前記区切り処理は、空の前記薬包71を一つ設けることである。これにより、当該薬品分包処理による分包結果として得られる前記薬包連続体72において服用時期の切り替わりのタイミングを容易に把握することができる。なお、空の前記薬包71にはその前に連なっている各薬包の内容に関する検薬用、鑑査用の各種情報を印字してもよい。
また、前記区切り処理は、前記薬包連続体72を一度切断することであってもよい。これにより、前記薬品分包装置40において、自動的に服用時期ごとの前記薬包連続体72を得ることができる。
なお、前記区切り処理を省略することも他の実施形態として考えられる。
【0053】
(ステップS18)
そして、ステップS18では、前記分包データに含まれた全ての前記病室についての分包が終了したか否かを判断する。ここで、全病室の分包が終了したと判断すると(S18のYes側)、前記制御部41は一連の当該薬品分包処理を終了して処理を前記ステップS11に戻す。一方、全病室の分包が終了していないと判断すると(S18のNo側)、前記制御部41は処理を前記ステップS12に移行させ、次の病室についての分包動作を開始する。
【0054】
ここに、
図10は、前記薬品分包処理による前記病室「さくら」についての分包結果として得られた前記薬包連続体72の一例を模式的に示した図である。
図10に示すように、前記薬包連続体72では、複数の患者が服用する医薬品が前記病室単位で同一処方時期ごとに連続して分包されている。
ここで、
図10に示す前記薬包連続体72は、同一処方時期ごとに対応する薬包連続体72A〜72Fの右端部及び左端部が連続したものである。例えば、
図10に示す前記薬包連続体72では、2月4日(土)の朝食後、昼食後、夕食後、2月5日(日)の朝食後、昼食後、夕食後のそれぞれに対応する薬包連続体72A〜72Fが空の薬包71Bを介して連続している。具体的に、前記薬包連続体72Aでは、2月4日(土)の朝食後に服用するべき、湯山一郎、田中一郎、川田朝子、湯山二郎、山田花子、山中末子各々の医薬品が連続する前記薬包71各々に分包されており、その後に前記空の薬包71Bが含まれている。
なお、
図10に示すように、対象となる服用時期に服用すべき医薬品が存在する患者については、前記ステップS15において、前記薬包71に患者名及び服用時期が記載されている。一方、対象となる服用時期に服用すべき医薬品が存在しない患者については、前記ステップS141において、前記薬包71に、患者名及び服用時期と共に「お薬はありません」が印刷されている。これにより、看護師等が前記病室単位で服用時期ごとに配薬する際に、服用する医薬品がない旨を明確に認識することができ、医薬品の紛失や分包ミスではないことが明確となる。
また、前記病室「かえで」についても同様に分包されており、前記病室「さくら」と前記病室「かえで」との前記薬包連続体72の境目にも前記空の薬包71Bが設けられる。
【0055】
以上、説明したように、前記配薬管理システム1では、前記配薬管理装置30から前記薬品分包装置40に前記分包データが入力されることにより、前記薬品分包装置30では、前記分包データに従って複数の患者に処方する医薬品が前記病室単位で同一服用時期ごとに分包される。
これにより、看護師等は前記病室単位で同一服用時期ごとに分包された前記薬包連続体72(前記薬包連続体72A〜72F)を用いてそのまま複数の患者に配薬することができ、前記病室各々に属する患者の医薬品を選別する作業を省略することができる。従って、病院及び老健施設などにおける看護師等の配薬作業の負担が軽減され、その配薬作業におけるミスも防止される。
【0056】
[画像鑑査処理]
ところで、前記薬品分包装置40で分包された後の前記薬包連続体72では、複数の患者の医薬品が交互に収容されているため、その医薬品の適否を判断する鑑査作業の手間と困難性が増すことが考えられる。そこで、前記画像鑑査装置50では、前記制御部51により後述の画像鑑査処理が実行されることにより鑑査作業の負担を軽減している。
以下、
図11のフローチャートを参照しつつ、前記配薬管理システム1において、前記画像鑑査装置50の制御部51が前記画像鑑査プログラムに従って実行する画像鑑査処理の手順の一例について説明する。なお、図示するS21、S22、…は前記CPU51が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。
【0057】
(ステップS21)
まず、ステップS21において、前記制御部51は、画像鑑査開始を待ち受ける(S21のYes側)。具体的に、前記制御部51は、前記供給検知部534により前記薬包連続体72の供給が検知されたことを条件に画像鑑査開始と判断する。そして、前記制御部51は、画像鑑査開始と判断すると(S21のYes側)、処理をステップS22に移行させる。もちろん、前記制御部51による画像鑑査開始の判断は、前記画像鑑査装置50における画像鑑査開始のユーザー操作の有無に応じて行われてもよい。
【0058】
(ステップS22)
ステップS22において、前記制御部51は、前記搬送部531による前記薬包連続体72を所定量ずつ搬送させ、前記撮影部532により前記薬包連続体72の薬包71各々の画像を撮影する。
なお、前記撮影部532が前記薬包71各々を表裏両面から撮影するものであることも他の実施例として考えられる。例えば、前記薬包連続体72を搬送する前記搬送部531が前記薬包連続体72の上端部のみを支持して搬送させる上端用丸ベルトと下端部のみを支持して搬送させる下端用丸ベルトとを備える構成が考えられる。この場合、前記薬包連続体72において薬品の包装箇所の表裏両面からの撮影で前記搬送部531が障害にならない。そのため、前記薬包連続体72の搬送経路上において前記薬包連続体72の表面側及び裏面側それぞれに前記撮影部532を設けることにより、前記薬包71各々を表裏両面から撮影することが可能となる。これにより、前記薬包71の記載文字を消去するフィルタ処理などを高い精度で行うことができ、前記薬包71各々に収容された医薬品の識別精度を高めることができる。また、前記薬包71に収容された医薬品が重なっている場合でもその医薬品各々を識別することが可能となる。
【0059】
(ステップS23)
ステップS23において、前記制御部51は、全薬包についての画像撮影が終了したか否かを判断する。具体的に、前記制御部51は、前記排出検知部535により前記薬包連続体72の終端の通過が検知されたことを条件に全薬包についての画像撮影が終了したと判断する。ここで、前記制御部51は、前記画像撮影が終了したと判断すると(S23のYes側)、処理をステップS24に移行させ、前記画像撮影が終了するまでの間は(S23のNo側)、処理を前記ステップS22に戻す。
【0060】
(ステップS24)
ステップS24において、前記制御部51は、前記ステップS22で撮影された前記薬包71各々の画像を患者単位で同一処方内容ごとに結合した鑑査用画像74を生成するための画像処理を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部51が画像生成手段に相当する。
具体的に、前記制御部51は、前記薬包71各々に記載された患者名及び服用時期を文字認識技術(OCR)により読み取り、その患者名及び服用時期に応じて前記薬包71各々の画像を並び替えて結合する。また、前記制御部51は、前記薬品分包装置40から前記分包データを取得し、前記分包データに基づいて前記薬包71各々に対応する患者名及び服用時期を知得し、前記ステップS22で撮影された前記薬包71各々の画像をその撮影順と対応付けて認識しておくことにより前記鑑査用画像74を生成するものであることも考えられる。なお、前記ステップS24において生成された前記鑑査用画像74は、前記同一処方内容ごとに結合されたものではなく、単に患者単位で結合されたものであってもよい。
【0061】
ここに、
図12は、前記ステップS22で撮影された前記薬包71各々の薬包画像73を、患者単位で同一処方内容ごとに結合した前記鑑査用画像74の一例を示す図である。
図12に示すように、前記鑑査用画像74では、同一の患者に対応する前記薬包71各々の薬包画像73が同一処方内容ごとに連続している。具体的には、患者「湯山一郎」について2月4日〜6日の朝食後の処方内容が同一である場合、前記鑑査用画像74では、患者「湯山一郎」の「2月4日(土)朝食後」、「2月5日(日)朝食後」、「2月6日(日)朝食後」という具合に同一服用時期ごとに前記薬包画像73が連続している。そして、前記鑑査用画像74では、その後も同様に、患者「湯山一郎」の次の処方内容「2月4日(土)昼食後」以降について前記薬包画像73が連続している。また、他の患者についても同様に前記鑑査用画像74が生成される。
【0062】
(ステップS25)
そして、ステップS25において、前記制御部51は、前記ステップS24で生成された前記鑑査用画像74と前記処方データとに基づいて前記薬包71各々に分包された医薬品の自動照合を行う。なお、前記制御部51は、前記サーバ装置10、前記電子カルテ装置20、前記配薬管理装置30、又は前記薬品分包装置40から前記処方データを取得する。
具体的に、前記ステップS25において、前記制御部51は、前記鑑査用画像74に含まれた前記薬包画像73各々に基づいて、前記薬包画像73各々に対応する患者名及び服用時期と前記薬包画像73各々に収容された医薬品の種別及び数とを認識する。なお、係る処理は従来の画像鑑査装置と同様の画像認識技術を採用すればよい。そして、前記制御部51は、前記薬包画像73各々に対応する患者名及び服用時期と前記薬包画像73各々に収容された医薬品の種別及び数との組み合わせが、前記処方データに記録されたデータと一致するか否かを照合する。
【0063】
(ステップS26)
その後、ステップS26において、前記制御部51は、前記ステップS24で生成された前記鑑査用画像74及び前記ステップS25における照合結果を前記表示部52に表示させる。これにより、鑑査者は、前記表示部52の表示を参照することにより、前記薬品分包装置40で分包された医薬品の鑑査を行うことや前記照合結果を把握することができ、間違えのない配薬を実行することができる。
【0064】
ところで、前記制御部51が前記ステップS25における自動照合を実行しない構成も考えられる。即ち、前記制御部51は、前記ステップS25の処理を省略し、前記ステップS26において、前記鑑査用画像74を前記表示部52に表示させることが考えられる。これにより、鑑査者は、前記表示部52に表示された前記鑑査用画像74を参照しながら前記薬包71各々に収容された医薬品の適否に関する鑑査を行うことができる。このとき、前記鑑査用画像74では、患者単位で同一処方内容ごとに前記薬包画像73が並べられているため、前記撮影部532において前記薬包連続体72における前記薬包71の順番(
図10参照)で撮影された前記薬包画像73各々についてそのまま鑑査する場合に比べて、鑑査者による医薬品の鑑査の手間が著しく軽減される。
なお、前記制御部51は、前記薬包画像73各々を患者単位で同一処方内容ごとに結合して前記鑑査用画像74を生成するものに限らず、例えば前記薬包画像73各々を患者単位で同一処方内容ごとに連続して順に前記表示部52に表示させるものであることも考えられる。
【0065】
[他の実施形態]
前記実施の形態で説明した前記薬品分包装置40は、前記薬包シート431を用いて前記薬包71各々に医薬品を分包するものであったが他の例も考えられる。具体的に、前記薬品分包装置40は、ブリスターパックに設けられた複数の包装部に医薬品を分包するものであることが考えられる。以下、前記薬品分包装置40からブリスターパックを用いた分包装置である場合について説明する。なお、前記ブリスターパックを用いて分包技術については、例えば特開平7−10103号公報などに開示されている。
ここに、前記ブリスターパックとは、一面が開放された包装領域を複数有する包装部材を平板状の部材に接合することにより閉鎖された複数の包装部が形成される収容部材である。また、前記ブリスターパックでは、前記包装部各々を容易に切り離すための切り取り点線(ミシン目)が形成されている。
このように前記薬品分包装置40が構成されている場合、前記配薬管理装置30が出力する前記分包データは、複数の患者に処方する医薬品を前記病室単位で同一服用時期ごとに一つの前記ブリスターパックに分包させるものであることが考えられる。この場合、前記薬品分包装置40は、前記分包データに従って、複数の患者に処方する医薬品を前記病室単位で同一服用時期ごとに一つの前記ブリスターパックに分包させることになる。
【0066】
ここに、
図13は、前記病室「さくら」についての分包結果として得られた前記ブリスターパック75の一例を模式的に示した図である。
図13に示すように、前記ブリスターパック75では、複数の患者が服用する医薬品が前記病室単位で同一処方時期ごとに一纏めに分包されている。
具体的に、
図13(A)に示す前記ブリスターパック75では、前記病室「さくら」について、2月4日(土)の朝食後に服用するべき湯山一郎、田中一郎、川田朝子、湯山二郎、山田花子、山中末子各々の医薬品が包装部76各々に分包されている。また、
図13(B)に示す前記ブリスターパック75では、前記病室「さくら」について、2月4日(土)の昼食後に服用するべき湯山一郎、田中一郎、川田朝子、湯山二郎、山田花子、山中末子各々の医薬品が包装部76各々に分包されている。なお、前記ブリスターパック75では、当該ブリスターパック75に形成された切り取り点線75Aにより前記包装部76各々を容易に切り離すことが可能である。
【0067】
また、前記薬品分包装置40では、前記ブリスターパック75において、対象となる服用時期に服用すべき医薬品が存在する患者については、前記包装部76各々に患者名が記載される。一方、対象となる服用時期に服用すべき医薬品が存在しない患者については、空の前記包装部76が設けられると共に、当該包装部76に患者名と共に「お薬はありません」が印刷される。これにより、看護師等が前記病室単位で服用時期ごとに配薬する際に、服用する医薬品がない旨を明確に認識することができ、医薬品の紛失や分包ミスではないことが明確となる。このように、本実施の形態における前記分包データは、当該服用時期に服用するべき医薬品が存在しない場合に対応する空データを含むものであることにより、処方された医薬品が存在しない患者に対応する空の前記包装部76を分包に含めると共に、当該薬包71に処方する医薬品がない旨を記載することを指示するものとなっている。
以上説明したように構成された前記薬品分包装置40によっても、看護師等は前記病室単位で同一服用時期ごとに分包された前記ブリスターパック75を用いてそのまま複数の患者に配薬することができ、前記病室各々に属する患者の医薬品を選別する作業を省略することができる。従って、病院及び老健施設などにおける看護師等の配薬作業の負担が大幅に軽減されると共にその配薬作業におけるミスが防止される。
【0068】
ところで、前記薬品分包装置40は、予め前記錠剤カセット421に収容された医薬品の他に、例えば不図示の散薬分包装置などにおいて分包紙で分包された散薬を、前記ブリスターパック75に錠剤と共に分包する手撒きユニットを備えることが考えられる。この場合、前記制御部41は、前記分包データに従って前記手撒きユニットにおいて前記散薬を収容するべき前記包装部76を表示部に表示させる。そして、前記分包ユニット43では、前記分包データに従って前記錠剤カセット421に収容された錠剤と共に前記手撒きユニットに供給された散薬を前記ブリスターパック75の前記包装部76に分包する。これにより、前記薬品分包装置40では、複数の患者に処方する錠剤及び散薬を共に、前記病室単位で同一服用時期ごとに前記ブリスターパック75の包装部76各々に収容することができる。