特許第6406380号(P6406380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6406380
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】券売機
(51)【国際特許分類】
   G07B 5/00 20060101AFI20181004BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G07B5/00 D
   G07B1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-66649(P2017-66649)
(22)【出願日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年7月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱場 慎
(72)【発明者】
【氏名】三ッ野 賢秀
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−271997(JP,A)
【文献】 特開2011−192208(JP,A)
【文献】 特開2013−206252(JP,A)
【文献】 特開2008−084162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 5/00
G07B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置された設置駅を乗車駅とする乗車券を発券する券売機において、
発券する前記乗車券の種類を示す券種コードと、発券金額とを対応付けて登録した乗車券テーブルを記憶する記憶部と、
媒体に記録されている前記券種コードを読み取る券種コード読取部と、
前記券種コード読取部が前記媒体から読み取った前記券種コードに応じた前記乗車券を発券する発券部と、を備えた券売機。
【請求項2】
前記券種コードは、降車駅を示す降車駅コードを含まない、請求項1に記載の券売機。
【請求項3】
媒体は、前記券種コードとともに、使用駅を示す使用駅コードを記憶し、
前記発券部は、前記券種コード読取部が前記媒体から読み取った前記使用駅コードが示す使用駅が設置駅でなければ、当該媒体から読み取った前記券種コードに応じた前記乗車券の発券を行わない、請求項1、または2に記載の券売機。
【請求項4】
媒体は、前記券種コードとともに、使用駅を示す使用駅コードを記憶し、
前記券種コード読取部が前記媒体から読み取った前記使用駅コードが示す使用駅が設置駅でなければ、当該使用駅が設置駅である券売機での、前記券種コード読取部が前記媒体から読み取った券種コードが示す乗車券の発券金額を取得する他駅発券金額取得部と、
前記券種コード読取部が前記媒体から読み取った前記使用駅コードと、前記他駅発券金額取得部が取得した発券金額とを用いて、降車駅を推定する降車駅推定部と、を備え、
前記発券部は、前記降車駅推定部が推定した降車駅であって、選択された降車駅までの前記乗車券を発券する、請求項1、または2に記載の券売機。
【請求項5】
前記券種コードは、降車駅の社線を示す社線コードを含み、
前記降車駅推定部は、前記社線コードが示す社線の駅であることを条件にして、降車駅を推定する、請求項4に記載の券売機。
【請求項6】
前記券種コード読取部は、前記媒体に記録されている前記券種コードを光学的に読み取る、請求項1〜5のいずれかに記載の券売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設置された設置駅を乗車駅とする乗車券を発券する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅には、乗車券としてキップを発券する券売機が設置されている。券売機は、設置されている駅(自駅)を乗車駅としたキップを発券する。利用者は、降車駅までの運賃を運賃表示板等で確認し、確認した運賃に応じた発券金額のキップを券売機で購入する。
【0003】
また、2次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))を光学的に読み取り、読み取った情報に降車駅を示す降車駅情報が含まれていれば、自駅から降車駅(光学的に読み取った降車駅情報が示す降車駅)までのキップを発券する券売機もある(特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載された券売機は、運賃表示板等で降車駅までの運賃を利用者に確認させる必要をなくすことによって、利用者の利便性の向上を図ったものである。利用者は、降車駅情報が含まれている2次元バーコードを事前に取得しておくことによって、運賃表示板等で降車駅までの運賃を確認することなく、キップを購入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−152651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等に記載された構成の券売機は、自駅を乗車駅とし、2次元バーコードから読み取った降車駅情報が示す降車駅までのルートを検索し、検索したルートにおける運賃を算出する構成であった。このため、特許文献1等に記載された構成の券売機は、自駅から読み取った降車駅までのルートの検索や、検索したルートにおける運賃の算出に要する処理時間が必要になるので、処理効率(発券効率)を低下させるという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、利用者の利便性を低下させることなく、処理効率の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の券売機は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
【0009】
記憶部は、発券する乗車券の種類を示す券種コードと、発券金額とを対応付けて登録した乗車券テーブルを記憶する。券種コード読取部は、媒体に記録されている券種コードを読み取る。券種コード読取部は、例えば、券種コードがバーコードで記録された媒体であれば、媒体に記録されている券種コード(バーコード)を光学的に読み取る。また、券種コード読取部は、例えば、券種コードをメモリに記録した非接触媒体であれば、媒体に記録されている券種コードを無線通信により読み取る。そして、発券部が、券種コード読取部が前記媒体から読み取った券種コードに応じた乗車券を発券する。
【0010】
このように、券売機は、媒体から読み取った券種コードに応じた乗車券を発券部で発券するので、自駅から降車駅までのルートの検索や、検索したルートにおける運賃の算出を行う必要がない。したがって、利用者の利便性を低下させることなく、処理効率(発券効率)の向上を図ることができる。
【0011】
また、上記の構成であれば、券種コードに、降車駅を示す降車駅コードを含ませる必要もない。
【0012】
また、媒体は、券種コードとともに、使用駅を示す使用駅コードを記憶するものとしてもよい。この場合、発券部は、券種コード読取部が媒体から読み取った使用駅コードが示す使用駅が設置駅でなければ、当該媒体から読み取った券種コードに応じた乗車券の発券を行わない。これにより、使用駅が異なる媒体が誤って使用されたときに、不適正な乗車券(利用者が購入を希望していない乗車券)を発券するのを防止できる。
【0013】
また、媒体が券種コードとともに、使用駅を示す使用駅コードを記憶する場合、券種コード読取部が媒体から読み取った使用駅コードが示す使用駅が設置駅でなければ、当該使用駅が設置駅である券売機での、券種コード読取部が媒体から読み取った券種コードが示す乗車券の発券金額を他駅発券金額取得部で取得し、券種コード読取部が媒体から読み取った使用駅コードと、他駅発券金額取得部が取得した発券金額とを用いて、他駅発券金額取得部で降車駅を推定する構成にしてもよい。この場合、発券部は、降車駅推定部が推定した降車駅であって、選択された降車駅までの乗車券を発券すればよい。このように構成すれば、使用駅が異なる媒体が誤って使用されたときに、不適正な乗車券(利用者が購入を希望していない乗車券)を発券するのを防止できるだけでなく、適正な乗車券(利用者が購入を希望している乗車券)を発券することができる。
【0014】
また、券種コードが、降車駅の社線を示す社線コードを含んでいれば、降車駅推定部は、社線コードが示す社線の駅であることを条件にして、降車駅を推定すればよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、利用者の利便性を低下させることなく、処理効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この例にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。
図2】この例にかかる券売機の外観を示す概略図である。
図3】乗車券テーブルを示す図である。
図4図4(A)、(B)は、キップ購入補助プレートを示す図である。
図5】キップ購入補助プレートが使用された場合における、キップの発券処理を示すフローチャートである。
図6】別の例にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。
図7】別の例にかかるキップ購入補助プレートが使用された場合における、キップの発券処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態である券売機について説明する。
【0018】
図1は、この例にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。また、図2は、この例にかかる券売機の外観を示す概略図である。この例にかかる券売機1は、制御ユニット2と、表示ユニット3と、操作ユニット4と、発券ユニット5と、硬貨処理ユニット6と、紙幣処理ユニット7と、カード処理ユニット8と、光学読取ユニット9と、通信ユニット10と、を備えている。表示ユニット3、操作ユニット4、発券ユニット5、硬貨処理ユニット6、紙幣処理ユニット7、カード処理ユニット8、光学読取ユニット9、および通信ユニット10は、信号の伝送路であるケーブル等で制御ユニット2に接続されている。券売機1は、駅に設置され、設置されている駅(自駅)を乗車駅としたキップを発券する。券売機1は、キップ以外の乗車券(回数券や定期券等)を発券する機能を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0019】
制御ユニット2は、券売機1本体が備える各ユニットを制御する。また、制御ユニット2は、図3に示す乗車券テーブル20を記憶する乗車券テーブル記憶部2aを有している。乗車券テーブル記憶部2aは、制御ユニット2が有する不揮発性のメモリ(不図示)等によって構成される。乗車券テーブル20は、乗車券として発券するキップの種類を示す券種コードと、発券金額とを対応付けて登録したものである。乗車券テーブル記憶部2aが、この発明で言う記憶部に相当する。
【0020】
利用者は、乗車駅から降車駅までの運賃に相当する発券金額のキップを購入する。鉄道会社は、運賃を、乗車駅から降車駅までの距離によって定めているのが一般的である。運賃は、営業キロを区分した区間毎に定めている。また、キップには、乗換駅で他社線に乗り換えることができる乗換キップと、他社線に乗り換えることができないキップ(ここでは、非乗換キップと言う。)と、がある。非乗換キップは、発券金額に関係なく、乗換駅で他社線に乗り換えることができない(自動改札機が、利用者が自社線の乗換駅から出場するときに非乗換キップ回収したり、利用者が他社線の乗換駅で入場するときに改札通路の通行を制限したりする。)。図3に示す乗車券テーブル20の券種コードは、降車駅の社線を示す社線コードを含むことにより、乗換キップと非乗換キップとを区別している。一方、券種コードは、乗車駅を示す乗車駅コード、および降車駅を示す降車駅コードを含ませていない。すなわち、券種コードによって、乗車駅、および降車駅を判断することはできない。
【0021】
なお、券売機1は、設置されている駅に応じた乗車券テーブル20を乗車券テーブル記憶部2aに記憶している。言い換えれば、乗車券テーブル20は、駅毎に作成されたものである。
【0022】
表示ユニット3は、本体正面に設けた表示器3aを有する。表示ユニット3は、この表示器3aの画面表示を制御する。
【0023】
操作ユニット4は、表示器3aの画面上に貼付したタッチパネル4aを有する。操作ユニット4は、タッチパネル4aにおける利用者の入力操作(利用者が指で押下したタッチパネル4a上の押下位置)を検出する。利用者は、操作ユニット4において、購入する乗車券の券種コード等を券売機1本体に入力する操作を行う。また、操作ユニット4は、入力デバイスとして押し釦スイッチも備えている。
【0024】
発券ユニット5は、キップを発券する処理を行う。券売機1には、本体正面に発券口5aが設けられている。発券ユニット5は、利用者に対して発券するキップを発券口5aに放出する。発券ユニット5が、この発明で言う発券部に相当する。
【0025】
また、券売機1には、本体正面に硬貨投入口6a、および釣銭硬貨受皿6bが設けられている。利用者は、乗車券の発券等にかかる取引金額の精算に用いる硬貨を硬貨投入口6aに投入する。硬貨処理ユニット6は、利用者が硬貨投入口6aに投入した硬貨を受け付ける。また、硬貨処理ユニット6は、利用者に対して返却するつり銭等にかかる硬貨を釣銭硬貨受皿6bに放出する。硬貨投入口6aは、複数枚(2〜3枚程度)の硬貨が重なった状態であっても、券売機1本体に投入できる形状である。硬貨処理ユニット6は、利用者が投入した硬貨や、利用者に対して釣銭等として放出する釣銭硬貨について、金種や真偽を識別する硬貨識別部を有している。
【0026】
また、券売機1には、本体正面に紙幣投入口7a、および紙幣放出口7bが設けられている。利用者は、乗車券の発券等にかかる取引金額の精算に用いる紙幣を紙幣投入口7aに投入する。紙幣処理ユニット7は、利用者が紙幣投入口7aに投入した紙幣を受け付ける。また、紙幣処理ユニット7は、利用者に対して返却するつり銭にかかる紙幣を紙幣放出口7bに放出する。紙幣処理ユニット7は、利用者が投入した紙幣や、利用者に対して釣銭として放出する紙幣について、金種や真偽を識別する紙幣識別部を有している。
【0027】
また、券売機1には、本体正面にカード挿入/放出口8aが設けられている。カード処理ユニット8は、カード挿入/放出口8aに挿入されたSFカード(Stored Fare Card)に対してチャージ等にかかる処理を行う。また、カード処理ユニット8は、カード挿入/放出口8aに挿入されたクレジットカードで、キップ等の乗車券の発券金額を決済するクレジット処理機能を有していてもよい。
【0028】
光学読取ユニット9は、2次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))を光学的に読み取り、読み取った2次元バーコードが示す情報を制御ユニット2に出力する。光学読取ユニット9は、券売機1本体正面に設けた読取エリア9aに翳された2次元バーコードを光学的に読み取る。光学読取ユニット9が、この発明で言う券種コード読取部に相当する。
【0029】
通信ユニット10は、図示していない上位装置、自動改札機、他の券売機1等との間における通信を制御する。
【0030】
また、設置されている券売機1の近くに、図4に示すキップ購入補助プレート30(30a、30b)が置かれている。図4(A)は、○○○駅までのキップの購入に使用するキップ購入補助プレート30aであり、図4(B)は、×××駅までのキップの購入に使用するキップ購入補助プレート30bである。キップ購入補助プレート30(30a、30b)には、降車駅の駅名(○○○駅、×××駅)、降車駅近くの観光スポットのイラスト、および2次元バーコード31(31a、31b)が描かれている。2次元バーコード31(31a、31b)が示す情報には、キップ購入補助プレート30(30a、30b)の使用駅を示す使用駅コード、およびキップの券種コードが含まれている。2次元バーコード31(31a、31b)が示す情報に含まれている券種コードは、使用駅に設置されている券売機1が乗車券テーブル記憶部2aに記憶している乗車券テーブル20に応じた券種コードである。言い換えれば、2次元バーコード31(31a、31b)が示す情報に含まれている券種コードは、使用駅以外の駅に設置されている券売機1が乗車券テーブル記憶部2aに記憶している乗車券テーブル20に応じた券種コードではない。すなわち、2次元バーコード31(31a、31b)が示す情報に含まれている券種コードは、使用駅に設置されている券売機1において、使用駅を乗車駅とし、キップ購入補助プレート30(30a、30b)に描かれている降車駅まで乗車する利用者が購入するキップの種類を示すものである。キップ購入補助プレート30は、例えば券売機1に紐や鎖で連結しておいてもよい。キップ購入補助プレート30(30a、30b)が、この発明で言う媒体に相当する。
【0031】
なお、図4では、2種類のキップ購入補助プレート30を例示しただけであり、キップ購入補助プレート30が券売機1の近くに2種類しか置かれていないという意味ではない。
【0032】
次に、この券売機1におけるキップの発券動作について説明する。図5は、キップ購入補助プレートが使用された場合における、キップの発券処理を示すフローチャートである。
【0033】
なお、この券売機1は、表示ユニット3が発券可能なキップの種類別に選択ボタン(金額ボタン)を表示器3aの画面に表示し、操作ユニット4が表示器3aの画面上において利用者が押下した選択ボタンをタッチパネル4aで検出し、発券ユニット5が操作ユニット4において検出された選択ボタンに応じた券種コードのキップを発券する、公知の発券処理も行えるが、この発券処理についてはここでは説明を省略する。また、券売機1は、カード挿入/放出口8aに挿入されたSFカード(Stored Fare Card)に対してチャージ等にかかる公知のカード処理も行えるが、このカード処理についてもここでは説明を省略する。
【0034】
キップ購入補助プレート30を使用して券売機1でキップを購入する利用者は、券売機1の近くに置かれているキップ購入補助プレート30の中から、該当する降車駅のキップ購入補助プレート30をみつける。例えば、○○○駅に行きたい利用者は、図4(A)に示したキップ購入補助プレート30aをみつけ、×××駅に行きたい利用者は、図4(B)に示したキップ購入補助プレート30aをみつける。上述したように、キップ購入補助プレート30には、降車駅の駅名、および観光スポットのイラストが描かれているので、利用者は、券売機1の近くに置かれているキップ購入補助プレート30の中から、該当する降車駅のキップ購入補助プレート30を簡単にみつけることができる。利用者は、みつけたキップ購入補助プレート30に描かれている2次元バーコードを読取エリア9aに翳す。
【0035】
券売機1は、光学読取ユニット9が読取エリア9aに翳された2次元バーコードを光学的に読み取り、この2次元バーコードが示す情報を取得する(s1)。光学読取ユニット9は、今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報を制御ユニット2に通知する。
【0036】
制御ユニット2は、光学読取ユニット9が今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報に含まれている使用駅を示す使用駅コードによって、使用駅が自駅であるかどうかを判定する(s2)。制御ユニット2は、自駅の駅コードをメモリに記憶している。制御ユニット2は、s2で使用駅が自駅でないと判定すると、エラー処理を行い(s6)、s1に戻る。s6では、例えば、表示ユニット3が「使用されたキップ購入補助プレート30は他駅のものであり、当駅では使用できません。」という案内メッセージを表示器3aに表示し、今回使用したキップ購入補助プレート30が他駅のものであることを、利用者に認識させる出力を行う。また、駅係員等に対して、他駅のキップ購入補助プレート30が置かれていることを通知する出力を行ってもよい。
【0037】
制御ユニット2は、s2で使用駅が自駅であると判定すると、乗車券テーブル記憶部2aに記憶している乗車券テーブル20を参照し、光学読取ユニット9が今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報に含まれている券種コードのキップの発券金額を取得する(s3)。表示ユニット3は、s3で取得されたキップの発券金額を決済する貨幣の投入を利用者に促す画面を表示器3aに表示する。このとき、表示器3aには、発券金額が表示される。制御ユニット2は、硬貨処理ユニット6、および紙幣処理ユニット7において、利用者がキップの発券金額を決済する貨幣を投入するのを待つ(s4)。
【0038】
利用者が、キップの発券金額を決済する貨幣を硬貨投入口6aや紙幣投入口7aに投入すると(利用者が発券金額以上の貨幣を投入すると、)、発券ユニット5が、光学読取ユニット9が今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報に含まれている券種コードに対応するキップを発券するとともに、硬貨処理ユニット6、および紙幣処理ユニット7が必要に応じてつり銭を放出し(s5)、s1に戻る。発券ユニット5は、発券口5aにキップを放出する。硬貨処理ユニット6は、つり銭にかかる硬貨を、釣銭硬貨受皿6bに放出する。また、紙幣処理ユニット7は、つり銭にかかる紙幣を紙幣放出口7bに放出する。
【0039】
このように、この例にかかる券売機1では、利用者は券売機1の近くに置かれているキップ購入補助プレート30の中から、該当する降車駅のキップ購入補助プレート30をみつけ、みつけたキップ購入補助プレート30に描かれている2次元バーコード31を光学読取ユニット9の読取エリア9aに翳すことによって、購入するキップの選択が行える。
【0040】
また、券売機1は、自駅から降車駅までのルートを検索し、検索したルートにおける運賃(キップの発券金額)を算出する構成ではなく、乗車券テーブル記憶部2aに記憶している乗車券テーブル20を参照して発券金額を取得する構成であるので、利用者の利便性を低下させることなく、処理効率(発券効率)の向上を図ることができる。
【0041】
また、券種コードには、降車駅の社線を示す社線コードが含まれている。すなわち、券種コードによって、非乗換キップと、乗換キップとが区別されている。したがって、非乗換キップと、乗換キップの発券金額が同じであっても、利用者に対して誤った券種のキップを発券することもない(非乗換キップを購入したい利用者に対して乗換キップを発券したり、乗換キップを購入したい利用者に対して非乗換キップを発券したりすることはない。)。
【0042】
次に、別の例にかかる券売機1Aについて説明する。図6は、この別の例にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。図6では、図1に示した構成と同じ構成については、同じ符号を付している。この例にかかる券売機1Aは、制御ユニット2が、降車駅推定部2bを有している点で、上記例の券売機1と相違する。
【0043】
降車駅推定部2bは、使用駅が自駅でないキップ購入補助プレート30の2次元バーコード31を読み取ったときに、降車駅を推定する機能である。
【0044】
この例にかかる券売機1Aも、上述したキップ購入補助プレート30を使用してキップを購入することができる。また、券売機1Aも、上記した券売機1と同様に、表示ユニット3が発券可能なキップの種類別に選択ボタンを表示器3aの画面に表示し、操作ユニット4が表示器3aの画面上において利用者が押下した選択ボタンをタッチパネル4aで検出し、発券ユニット5が操作ユニット4において検出された選択ボタンに応じた券種コードのキップを発券する、公知の発券処理が行える。また、券売機1Aは、カード挿入/放出口8aに挿入されたSFカード(Stored Fare Card)に対してチャージ等にかかる公知のカード処理も行える。
【0045】
図7は、キップ購入補助プレートが使用された場合における、キップの発券処理を示すフローチャートである。図7では、上記した図5と同じ処理については、同じステップ番号を付している。この例にかかる券売機1Aも、上記した例の券売機1と同様に、s1〜s5の処理を行う。この例にかかる券売機1Aは、s2でキップ購入補助プレート30の使用駅が自駅でないと判定すると、s6にかかるエラー処理を行うのではなく、以下に示すs11〜s16にかかる処理を行い、その後、s3以降の処理を行う点で相違する。
【0046】
制御ユニット2は、s2でキップ購入補助プレート30の使用駅が自駅でないと判定すると、このキップ購入補助プレート30の使用駅に設置されている券売機1Aが記憶する乗車券テーブル20を取得する(s11)。s11では、通信ユニット10において、駅毎に、その駅に設置されている券売機1Aが記憶する乗車券テーブル20を管理しているサーバ等と通信し、今回使用されたキップ購入補助プレート30の使用駅に設置されている券売機1Aが記憶する乗車券テーブル20を取得する。また、通信ユニット10において、キップ購入補助プレート30の使用駅に設置されている券売機1Aと通信し、その券売機1Aが記憶する乗車券テーブル20を取得してもよい。
【0047】
制御ユニット2は、降車駅推定部2bが、降車駅の社線を取得する(s12)。上述したように、キップ購入補助プレート30に描かれている2次元バーコード31が示す情報に含まれている券種コードには、降車駅の社線を示す社線コードが含まれている。したがって、降車駅推定部2bは、光学読取ユニット9が今回光学的に読み取った2次元バーコード31が示す情報に含まれている券種コードから、降車駅の社線を取得できる。
【0048】
なお、s11とs12は、上記と逆の順番で行ってもよい。
【0049】
降車駅推定部2bは、光学読取ユニット9が今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報に含まれている使用駅を乗車駅とし、降車駅を推定する(s13)。例えば、s13では、降車駅推定部2bは、s11で取得した乗車券テーブル20を用いて、光学読取ユニット9が今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報に含まれている券種コードのキップの発券金額を取得する。また、降車駅推定部2bは、今回光学的に読み取った2次元バーコードが示す情報に含まれている使用駅コードが示す使用駅が乗車駅である場合、取得した発券金額のキップで降車できる駅を抽出する。そして、降車駅推定部2bは、抽出した駅の中から、s12で取得した社線の駅を再抽出し、ここで抽出された駅を降車駅と推定する。s13で推定される降車駅は、1つである場合もあれば、複数である場合もある。
【0050】
なお、この例では、s11で乗車券テーブル20を取得するとしたが、該当する券種のキップの発券金額(s13で降車駅を推定するときに用いる発券金額)を取得するだけでもよい。
【0051】
表示ユニット3が、s13で推定した降車駅を表示器3aに一覧で表示する(s14)。このとき、表示ユニット3は、s13で推定した降車駅の中から、所望の降車駅の選択を利用者に促すメッセージを表示器3aに表示する。制御ユニット2は、利用者が降車駅を選択するのを待つ(s15)。操作ユニット4が、利用者による降車駅の選択操作を検知し、利用者が選択した降車駅を制御ユニット2に通知する。降車駅推定部2bは、自駅における、利用者が選択した降車駅までのキップの券種コードを取得し(s16)、s3以降の処理を行う。
【0052】
このように、この例にかかる券売機1Aでは、利用者は、他駅のキップ購入補助プレート30を使用した場合であっても、所望のキップを購入することができる。
【0053】
また、上記の例では、キップ購入補助プレート30に描かれている2次元バーコード31を読取エリア9aに翳すとしたが、この2次元バーコード31はスマートフォン等の携帯端末の表示器に表示させたものであってもよいし、パンフレット等に印刷されたものであってもよい。また、券種コード、および使用駅を示す使用駅コードを含ませた情報を示すものであれば、1次元バーコードであってもよいし、光学的に読み取り可能な他のマークであってもよい。さらに、キップ購入補助プレート30は、無線通信機能を有する非接触媒体で構成し、メモリに券種コード、および使用駅を示す使用駅コードを記憶させたものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1、1A…券売機
2…制御ユニット
2a…乗車券テーブル記憶部
2b…降車駅推定部
3…表示ユニット
3a…表示器
4…操作ユニット
4a…タッチパネル
5…発券ユニット
5a…発券口
6…硬貨処理ユニット
6a…硬貨投入口
6b…釣銭硬貨受皿
7…紙幣処理ユニット
7a…紙幣投入口
7b…紙幣放出口
8…カード処理ユニット
8a…カード挿入/放出口
9…光学読取ユニット
9a…読取エリア
10…通信ユニット
20…乗車券テーブル
30(30a、30b)…キップ購入補助プレート
31(31a、31b)…2次元バーコード
【要約】      (修正有)
【課題】利用者の利便性を低下させることなく、処理効率の向上を図ることができる券売機を提供する。
【解決手段】券売機1は、設置された設置駅を乗車駅とするキップを発券する。乗車券テーブル記憶部2aは、発券するキップの種類を示す券種コードと、発券金額とを対応付けて登録した乗車券テーブルを記憶する。光学読取ユニット9は、キップ購入補助プレートに記録されている券種コードを読み取る。発券ユニット5は、光学読取ユニット9がキップ購入補助プレートから読み取った券種コードに応じたキップを発券する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7