(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体ケースが本体の正面方向を向いて停止している状態で、前記本体ケースの回転中心を通る回転軸線と前記人検出装置の回転中心を通る回転軸線とが、前記本体を正面から見たときに重なる位置関係となる請求項1に記載の空気清浄機。
前記本体ケースが本体の正面方向を向いて停止している状態で、前記本体ケースの回転中心を通る回転軸線と前記人検出装置の回転中心を通る回転軸線とが、前記本体を正面から見たときに前記本体ケースの幅の略中央に位置する請求項1に記載の空気清浄機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中において、同一又は相当する部分には同一の符号を付すとともに、重複する説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1〜
図4を参照すると、本実施の形態の空気清浄機Mは、本体ケース10、ファンユニット20、基板ユニット30、本体ケース10の向きを変える回転機構であるオートターンユニット40、上部ユニット50、空気清浄フィルター60、前面を覆う前カバー70、左右の側面をそれぞれ覆う側面カバー80、後面を覆う後カバー90と、これらに付随する部品を有する。
上部ユニット50に配置された後述する人検出装置55の回転動作の中心を通る中心線を回転軸線Jaとする。オートターンユニット40の回転動作の中心(本体ケース10の回転動作の中心)を通る中心線を回転軸線Jbとする。
人検出装置55と本体ケース10は、それぞれ水平方向に向いている向きを変えるように回転する。回転軸線Jaと回転軸線Jbは鉛直方向に延びる線となる。
【0011】
本体ケース10は、前側を構成する前本体ケース11と後側を構成する後本体ケース12とが前後に合わさり結合することで構成されている。
前本体ケース11は、前方から見た形状が縦方向に長い矩形状を成している。前本体ケース11には、内部を前側と後側とに仕切る壁面となる上仕切り11a及び下仕切り11bが設けられている。
【0012】
上仕切り11aは、前本体ケース11の内部の上側を仕切るものである。上仕切り11aには、円形状の上開口111aが形成されている。下仕切り11bは、前本体ケース11の内部の下側を仕切るものである。下仕切り11bには、円形状の下開口111bが形成されている。この上開口111aと下開口111bは、前後方向を貫く開口である。また、上仕切り11aは、下仕切り11bより前方に位置している。
更に、前本体ケース11の前面には、後述する人検出装置55が臨む位置となるセンサ開口11cが開口している。このセンサ開口11cは、前本体ケース11の、前面上側であって左右幅の中心に位置している。
【0013】
次に、後本体ケース12は、前方から見た形状が縦方向に長い矩形状を成している。後本体ケース12には、上側に上スクロールハウジング12a、下側に下スクロールハウジング12bが形成されている。
これらスクロールハウジング12a、12bは、後本体ケース12の前後を仕切る壁面12xから前方に向けて立つ仕切り壁により構成される。スクロールハウジング12a、12bは、前方に向けてスクロール形状に開口する。スクロールハウジング12a、12bには、上方に向けて開口する上方開口121a,121bがそれぞれ形成されている。
【0014】
上スクロールハウジング12aは、下スクロールハウジング12bより前方に位置している。上方開口121aの後方に隣接する空間は、上スクロールハウジング12aの後方の空間を介して、上方開口121bと連通している。
また、後本体ケース12の前後を仕切る壁面12xと上スクロールハウジング12aと下スクロールハウジング12bとの間には、側方に開口が向く空間部12cが形成される。
【0015】
さらに、上スクロールハウジング12aの内部には、前方に向けて開口する円形の凹部である上凹部122aが形成されている。同じく、下スクロールハウジング12bの内部には、前方に向けて開口する円形の凹部である下凹部122bが形成されている。
ここで空間部12cは、上下のスクロールハウジング12a、12bの間に位置している。これにより、空間部12cと上凹部122aとの距離と、空間部12cと下凹部122bとの距離とが、等しくなっている、又は、大きな差が無い状態となっている。
【0016】
次に、ファンユニット20は、モータ21と、モータ21を覆うモータカバー22と、モータ21の回転軸21aに固定される翼23と、を有する。このファンユニット20は、モータ21が駆動して翼23が回転することにより、回転軸21aの軸方向(前方)から空気を取り込み、径方向に吹き出す。このファンユニット20は、シロッコファン等の遠心多翼ファンである。
【0017】
次に、基板ユニット30は、電子部品が実装された印刷配線基板31(以下、基板31)と、第1の基板ケース32と、第2の基板ケース33とを有する。第1の基板ケース32は、基板31を内部に収納する。第1の基板ケース32は、樹脂により形成される。第2の基板ケース33は、基板31を内部に保持した状態の第1の基板ケース32を収納する。第2の基板ケース33は、金属により形成される。
この基板ユニット30は、操作部や各種センサからの入力に基づき、空気清浄機Mを構成するセンサやモータ等の各種電気部品の動作を制御する制御手段を構成している。
尚、基板ユニット30を構成する印刷配線基板31は電源基板でもよい。制御手段となるマイコンを後述する操作表示部54を構成する操作基板54aに設けてもよい。
【0018】
次に、
図5〜
図7を参照してオートターンユニット40を説明する。
オートターンユニット40は、ベース台41と、底本体ケース42と、オートターン軸43と、回転駆動ユニット44と、回転位置検知手段45と、摺動板46と、摺動板押え47と、ベース台側車輪48と、本体側車輪49とを有する。底本体ケース42は、本体ケース10と接続して底部となる。オートターン軸43には、底本体ケース42が回転自在に軸支される。回転駆動ユニット44は、底本体ケース42をベース台41に対して回転させる。回転位置検知手段45は、底本体ケース42の回転位置を検出する。
【0019】
ベース台41は空気清浄機Mの全体を支える底部となる部位である。ベース台41の外形状は矩形状を成す。ベース台41には、円形に開口する凹部であるベース台凹部41aが形成されている。ベース台凹部41aの中央には、中心部分が開口した突出部である中心凸部41bが形成されている。この中心凸部41bにオートターン軸43が設けられる。
【0020】
オートターン軸43の中心には、上下を貫く貫通穴43aが形成されている。オートターン軸43が中心凸部41bに取り付けられた状態で、貫通穴43aの内部に中心凸部41bが位置する。オートターン軸43の中心に開口する貫通穴43aがこの中心凸部41bに嵌まり込むことにより、オートターン軸43がベース台41に取り付けられる。尚、貫通穴43aと中心凸部41bの開口とは連通している。
【0021】
この中心凸部41bには、外部から電力を得るための電源コード41cが通される。中心凸部41bの開口は、電源コード41cを本体ケース内へと導くための開口となる。そして、電源コード41cは印刷配線基板31へと接続する。
このように電源コード41cは、中心凸部41bを通して本体ケース10の内部に導かれる。これにより、本体ケース10がオートターンユニット40により回転しても、電源コード41cはこの回転の影響を受けにくい。
【0022】
また、ベース台凹部41aには底面から突出するように、仕切り413aが設けられている。仕切り413aは、ベース台凹部41aの中心を原点に描かれる円弧となる形状である。仕切り413aには、等間隔に3つのスリット414aが形成されている。このベース台凹部41aの中心は、底本体ケース42の回転中心となる。
更に、仕切り413aに対してオートターン軸43を挟んで反対側のベース台凹部41aの開口縁には、開口縁に沿って扇状に広がるラックギア415aが形成されている。更に、ベース台凹部41aの開口縁には、ベース台側車輪48が複数個設けられている。ベース台側車輪48は、ベース台凹部41aの中心を原点に描かれる円の接線方向に回転するように設けられる。
【0023】
次に、底本体ケース42の中心には、軸受42aとなる開口が形成される。底本体ケース42の外形状は、ベース台凹部41aの内部に挿入可能な大きさのカップ形状を成している。底本体ケース42には、上端から外方向に向かって伸びるフランジ42bが形成されている。この底本体ケース42には、回転位置検知手段45と回転駆動ユニット44と摺動板46と本体側車輪49が設けられる。
回転位置検知手段45には、フォトインタラプタが3つ用いられる。フォトインタラプタは、対向する発光部と受光部を持つ。フォトインタラプタは、発光部からの光を受光部で検出することができるセンサである。制御手段は、この3つのフォトインタラプタそれぞれが光を検知したときの信号の組み合わせに基づき、回転位置を判定する。
【0024】
回転位置検知手段45を構成する3つのフォトインタラプタは、それぞれ底本体ケース42の回転中心(軸受42aの開口中心)から、発光部と受光部とが対向する間隙の位置までの距離が、それぞれ等しくなるように、底本体ケース42に形成されたフォトインタラプタ取り付け凹部42dに設けられる。このフォトインタラプタ取り付け凹部42dは、下方向に開口する凹部である。
【0025】
なお、底本体ケース42の回転中心(軸受42aの開口中心)から、フォトインタラプタの発光部と受光部とが対向する間隙までの距離は、ベース台41に設けられたオートターン軸43の中心から仕切り413aまでの距離と等しい。隣り合うフォトインタラプタの中心の間隔は、仕切り413aに形成された隣り合うスリットの間隔と等しい。
また、フォトインタラプタの発光部と受光部とが対向する間隙は、下方向に開口するように構成されている。
ここで、底本体ケース42の回転中心(軸受42aの開口中心)が、回転軸線Jbとなる。つまり、回転軸線Jbは、オートターンユニット40の回転動作の中心(本体ケース10の回転動作の中心)を通る仮想の線である。本体ケース10は、水平方向に向いている向きを変えるように回転する。回転軸線Jbは鉛直方向に延びる線となる。
【0026】
次に、回転駆動ユニット44は、駆動源となるステッピングモータ44aと、ピニオンギア44bと、軸受保持板44cと、モータケース44dと、を有する。ピニオンギア44bは、ステッピングモータ44aの回転軸441aに取り付けられる。軸受保持板44cは、ステッピングモータ44aの回転軸441aを受ける。モータケース44dは、ステッピングモータ44aを下側から覆い保持する。
【0027】
このように構成される回転駆動ユニット44は、回転軸441aが下方向を向いた状態で、モータケース44dと軸受保持板44cとに形成されたねじ穴を介して、底本体ケース42の下側からねじ止めされる。このように回転駆動ユニット44が取り付けられることで、ピニオンギア44bが底本体ケース42の下方に位置する。
【0028】
次に、摺動板46は、円形状の板の内部が摺動板開口46aしたリング形状をなしている。摺動板46の上面にはフランジ42bが入り込むフランジ凹部46bが形成されている。
このように形成された摺動板46は、摺動板開口46aに底本体ケース42を通すと共に、フランジ凹部46bにフランジ42bが入り込んだ状態で、底本体ケース42に螺子などにより固定される。
【0029】
次に、本体側車輪49は、底本体ケース42の下面に形成された下方向に開口する凹部である車輪ハウジング内42cに、本体側車輪49の一部が底本体ケース42から下方に突出した状態で、回転自在に取り付けられる。
尚、底本体ケース42には本体側車輪49が複数取り付けられる。それぞれの本体側車輪49は、底本体ケース42の回転中心(軸受42aの開口中心)から、同じ距離となるように配置されている。
【0030】
以上のオートターンユニット40の各部は、次のように組み立てられる。
軸受42aが、ベース台41に取り付けられたオートターン軸43に回転自在に軸支されるように取り付けられる。これにより、上記の通り各部が設けられた底本体ケース42は、ベース台41に取り付けられる。
このとき、底本体ケース42に設けられた回転駆動ユニット44のピニオンギア44bは、ベース台41に設けられたラックギア415aと噛み合った状態となる。また、回転位置検知手段45の対向する発光部と受光部との間隙に、仕切り413aが位置する。
【0031】
尚、オートターン軸43から軸受42aが外れないように、ストッパー42eが取り付けられる。このストッパー42eは、軸受42aの側面開口421aからオートターン軸43の側面に形成された溝部431aに入り込み係合することで、底本体ケース42が上方向に脱落することを防いでいる。
また、摺動板46の周縁を上方より
押える摺動板
押え47をベース台41に取り付けることで、底本体ケース42側が回転する際のふらつきを抑えることができる。
【0032】
このように、ベース台41に底本体ケース42が取り付けられた状態において、本体側車輪49はベース台41に接して底本体ケース42を支える。更に、ベース台側車輪48は、摺動板46と接して底本体ケース42を支える。
これらの車輪は、ベース台41に対して底本体ケース42が回転する際に転動することで、両部材間の抵抗を減らし、スムーズに底本体ケース42側が回転する。
【0033】
また、底本体ケース42の回転中心(軸受42aの開口中心)から、フォトインタラプタの発光部と受光部とが対向する間隙までの距離は、ベース台41に設けられたオートターン軸43の中心から仕切り413aまでの距離と等しい。このため、発光部と受光部との間に仕切り413aが位置した状態で、底本体ケース42が回転可能となっている。
従って、ベース台41が床面におかれた状態で、ステッピングモータ44aが動作することにより、ラックギア415aと噛み合うピニオンギア44bが回転して、底本体ケース42側がベース台41に対して回転する。
【0034】
このように底本体ケース42が回転して向きを変える際に、回転位置検知手段45であるフォトインタラプタは、発光部と受光部とで仕切り413aを挟み込んだ状態で底本体ケース42と共に回転する。
そして、回転により回転位置検知手段45と仕切り413aとの位置が変化する。回転位置によってスリット414aが発光部と受光部との間に位置し、発光部からの光を受光部が検知する。
制御手段は、これらの個々のフォトインタラプタの受光部が検知した状態の組み合わせに基づき、底本体ケース42(本体ケース10)の回転位置(向き)を判定する。
【0035】
次に、
図1〜
図2、
図8を参照して、上部ユニット50について説明する。
上部ユニット50は、枠体51、ルーバー52、ルーバー駆動モータ53、操作表示部54、人検出装置55を有する。枠体51は、上部ユニットの骨格となる。ルーバー52は、吹き出される清浄風の向きを変える。ルーバー駆動モータ53は、ルーバー52の向きを変える。操作表示部54は空気清浄機Mの各種設定条件を入力及び空気清浄機Mの状態を表示する。人検出装置55は、人の存在を検知するためのセンサを有する。
【0036】
枠体51は上方から見た形状が矩形状をなす。枠体51の後側には上方を向く矩形状の開口である清浄空気の吹出し口51aが形成される。枠体51は、吹出し口51aより手前側が吹出し口51aの周縁より低い段部51bとなっている。枠体51の前面には後方に向けて凹む前面凹部51cが形成されている。この前面凹部51cには、後述する人検出装置55が設けられる。
【0037】
次に、ルーバー52は、吹出し口51aから吹き出される清浄された空気の向きを変えるものである。吹出し口51aの左右に掛け渡すように2つのルーバー52が前後に並んで設けられている。ルーバー52は、左右を吹出し口51aの内壁に回転自在に軸支されている。
また、枠体51の側面であってルーバー52の近傍には、ルーバー52を動かして向きを変えるためのルーバー駆動モータ53が設けられている。
【0038】
次に、操作表示部54は、操作基板54aと、下操作枠54bと、上操作枠54cと、シート541cとから構成されている。操作基板54aには、スイッチ541sや発光部541hであるLEDなどの電子部品が実装される。下操作枠54bには、光路開口541bやリンク542bが設けられる。光路開口541bは、LEDの光を導く。リンク542bは、操作基板54a上のスイッチを押す。上操作枠54cには、LEDの光が通る表示開口542cと押ボタン543cが設けられる。シート541cには、LEDランプの機能や説明が印刷される。シート541cには、押ボタン543cと上下の位置関係となる押ボタン開口541dが形成される。
【0039】
段部51bには、操作基板54aが設けられる。操作基板54a上に下操作枠54bが設けられる。下操作枠54bの上に上操作枠54cが設けられる。上操作枠54cの上面にシート541cが設けられる。
このように各部が設けられた状態において、シート541cに形成された押ボタン開口541dは押ボタン543cと上下の位置関係となる。この押ボタン543cと下操作枠54bに設けられたリンク542bとは上下の位置関係となる。リンク542bとスイッチ541sとは上下の位置関係となる。
また、LEDランプの機能や説明の印刷された部分は表示開口542cと上下の位置関係となる。表示開口542cは光路開口541bと上下の位置関係となる。この光路開口541bの内部に発光部541hであるLEDが位置する。
【0040】
このように構成することで、押ボタン543cが押されることで下操作枠54bに設けられたリンク542bが押し下げられて、操作基板54a上に実装されたスイッチ541sが押される。
また、操作基板54a上に実装されたLEDと下操作枠54bの光路とシート541cのランプの機能・説明とが上下に一致する。シート541cに印刷された機能・説明表示と対応するLEDが点灯・消灯することで空気清浄機Mの状態が示される。
【0041】
ここで、操作基板54aは、左右幅の中心部分の前側から部分的に所定の領域が、半円形状に切り欠かれた形状となっている。言い換えれば、操作基板54aの外形状が凹んだ形状にされることで、操作基板54aには、基板凹部541aが形成されている。この基板凹部541aは、操作基板54aが段部51bに設けられた状態において、前面凹部51cの上方に重なる位置となる。
ここで基板凹部541aを形成する切り欠きは、操作基板54a上に設けられたスイッチやLEDと、前後に重ならないように構成されている。
【0042】
次に、下操作枠54bは、左右幅の中心部分の前側から部分的に所定の領域が、半円形状に切り欠かれた形状となっている。言い換えれば、下操作枠54bの外形状が凹んだ形状にされることで、下操作枠54bには、操作枠凹部543bが形成される。この操作枠凹部543bは、下操作枠54bが段
部51bに設けられた状態において、前面凹部51cの上方に重なる位置となる。
【0043】
次に、
図8〜
図10を参照して人検出装置55について説明する。
人検出装置55は、ケース55aと、このケース55aの内部に収納される赤外線センサ55bと、ケース55aに連結するセンサ駆動モータ55cと、を有する。
ケース55aは、筺体551aと蓋体552aから成る。筺体551aは筒形状を成す。筺体551aには、下方に向けて開口する下開口553aと、前方に向けて開口する赤外線取り込み開口554aと、センサ駆動モータ55cの回転軸551cが接続する軸接続部555aと、ケース55aの回転角度を規制する回転規制リブ556aと、が形成されている。
【0044】
回転規制リブ556aは、軸接続部555aから左右方向にそれぞれ突出して形成される。回転規制リブ556aは、ケース55aがセンサ駆動モータ55cで回転された際に、人検出装置55が取り付けられる部位である枠体51に突き当たることで、ケース55aの回転角度を規制するものである。
尚、左側の回転規制リブ556aが枠体51に突き当たった位置は、後述する左突き当て位置0に対応する。右側の回転規制リブ556aが枠体51に突き当たった位置は、右突き当て位置4に対応する。
【0045】
このように構成されたケース55aの内部に、センサ保持枠551bに保持された状態で、赤外線センサ55bが挿入される。下開口553aが蓋体552aで閉じられる。
センサ保持枠551bは、赤外線取り込み開口554aと対向する部分は、赤外線を透過する部材で構成されている。この状態で赤外線センサ55bは、ケース55aの赤外線取り込み開口554aに入射する赤外線を検知可能に配置される。
【0046】
センサ駆動モータ55cは、ケース55aを動かして赤外線センサ55bの向きを変えるものである。センサ駆動モータ55cには、ステッピングモータが用いられる。センサ駆動モータ55cは、回転軸551cが垂直下向きとなるように、ケース55aの上部に形成された軸接続部555aと接続する。ここで、回転軸551cの中心線が回転軸線Jaとなる。人検出装置55は、水平方向に向いている向きを変えるように回転する。回転軸線Jaは鉛直方向に延びる線となる。
尚、本実施の形態では、ケース55aがセンサ駆動モータ55cに直接接続しているので、回転軸線Jaと回転軸551cが一致する。
このように固定された人検出装置55は、内部に赤外線センサ55bを保持したケース55aとセンサ駆動モータ55cとが上下に連なった縦に長い形状となる。
【0047】
このように構成された人検出装置55は、センサ駆動モータ55cが駆動することによりケース55aの向きが変わり、赤外線センサ55bの向きが変わる。赤外線センサ55bの向きは、水平方向に約150度の角度幅で回転駆動できるように構成されている。
図12を参照すると、赤外線センサ55bの左停止位置1から右停止位置3までの角度は約150度で設定されている。赤外線センサ55bの左突き当て位置0から左停止位置1までの角度と右突き当て位置4から右停止位置3までの角度とは、約3度で設定されている。これにより、赤外線センサ55bは、左突き当て位置0から右突き当て位置4の角度約156度以上回転できないように構成されている。
【0048】
また、赤外線センサ55bは、対象物からの赤外線を検出するものである。縦方向に8個の受光素子(図示せず)を備えており、
図11に示すように、対象物(対象領域)を、高さが異なるA1からA8までの8個のエリアに区分して検出することができる。
【0049】
以上のように構成された人検出装置55は、水平方向に約150度の範囲を繰り返し駆動して、室内の温度を走査する。その温度検知結果より、人の有無と空気清浄機Mからみた人の存在方向とが制御手段で判定される。
センサ駆動モータ55cには、駆動角度を正確に調整できるステッピングモータが使用される。これにより、人の存在方向が正確に判断されるようになっている。ステッピングモータは、入力したパルス数に応じた角度を回転するものである。
【0050】
このセンサ駆動モータ55cは、入力パルス数に応じた角度を駆動する設定になっている。センサ駆動モータ55cは、例えば、1パルスあたりα度駆動する。すなわち、1秒間あたり100パルス入力すると、(100×α)度回転する。
【0051】
以上の各部を有する上部ユニット50は、次のように組み立てられている。
枠体51の前側の段部51bの上面に、操作基板54aが設けられる。次に、この操作基板54aを覆うように、下操作枠54bが設けられる。そして、下操作枠54bの上面に上操作枠54cが設けられる。
このように枠体51に設けられた操作表示部54の上面は、吹出し口51aとほぼ同じ高さとなる。操作表示部54の上面は、ルーバー52が閉じて吹出し口51aを覆った状態では、ルーバー52の上面と高さが揃う。
【0052】
このように枠体51に対して、操作基板54aと下操作枠54bとが設けられた状態において、枠体51の前面凹部51cと基板凹部541aと操作枠凹部543bとは、垂直方向に連なった位置関係となる。これらの凹部の内部に、人検出装置55が設けられる。
本実施の形態の場合、前面凹部51cの凹部内部にケース55aが位置する。基板凹部541aと操作枠凹部543bの凹部内部には、センサ駆動モータ55cが位置する。尚、人検出装置55は、枠体51にネジ留めにより固定され、制御手段に電気的に接続される。
【0053】
また、人検出装置55の赤外線センサ55bは、垂直方向に対して所定の角度寝かせてケース55aの内部に取り付けられており、正面より斜め上方向を向いている。
赤外線センサ55bの取り付け角度は、例えば、空気清浄機Mにおいて、床面からの高さが約80
[cm]の位置に赤外線センサ55bが設けられた場合、水平よりもθ=14°上方に向くように設定されている。
このように配置されることにより、赤外線センサ55bは、空気清浄機Mから約1.0[m]離れた場所に座った子供(座高65
[cm])の頭から、約1.0[m]離れた場所に立った大人(身長170
[cm])の頭まで、を検知することができる。
【0054】
このように、上部ユニット50に各凹部(51c、541a、541b)が垂直方向に連ねるように配置される。これら凹部により形成される空間に人検出装置55が設けられる。これにより、人検出装置55が上部ユニット50の下方向に突出する量がより少なくされる。
つまり、後述する空気清浄フィルター60と人検出装置55とが、上下に重なることなく、又は、重なる量をより少なくすることができる。また、人検出装置55の下方向に取り付けられる空気清浄フィルター60が設けられる領域をより大きく構成することができる。
また、これに加え、人検出装置55が上部ユニット50の前方向に突出する量がより少なくされる。
【0055】
次に、
図2〜
図4を参照して、空気清浄フィルター60について説明する。
空気清浄フィルター60は、プレフィルター61とHEPAフィルター62と脱臭フィルター63とからなる。
プレフィルター61は、比較的大きい埃等を空気中から取り除くためのものである。HEPAフィルター62は、空気中からプレフィルター61では取り除くことができなかった塵埃(微粒子)や、菌・ウイルス等を除去するものである。脱臭フィルター63は、プレフィルター61及びHEPAフィルター62を通過した空気流中から臭い成分や揮発性有機化合物(VOC)を、吸着・分解して取り除くものである。
【0056】
次に、
図4を参照して、空気清浄機Mの外郭を構成するカバー類を説明する。
空気清浄機Mの外郭は、前カバー70、左右それぞれの側面カバー80、後カバー90により構成されている。
前カバー70は、縦に長い矩形状をなしている。前カバー70の前面に左右に長い凹部71が形成されている。そして、この凹部71の左右中心には、人検出装置55が臨むセンサ開口72が開口している。
【0057】
凹部71は、センサ開口72に人検出装置55の位置した状態で、センサ駆動モータ55cにより赤外線センサ55bの向きが変化する際に、赤外線センサ55bの検出視野を確保するために設けられた凹部である。センサ開口72に人検出装置55が位置した状態では、人検出装置55の前面が前カバー70の前面と略同一面となる。
そして、凹部71は、赤外線センサ55bの回転角度に合わせて、センサ開口72を中心に約150度より大きい扇形状を成している。これにより、人検出装置55が動作してケース55aが回転した際に、前カバー70が赤外線センサ55bの検知視野の妨げにならない。
尚、センサ開口72は、前カバー70が本体ケース10に取り付けられた状態で、床面から約80[cm]の位置に設けられている。
【0058】
次に、左右の側面カバー80は、縦に長い矩形状をなしている。側面カバー80の側面に手かけ凹部81が形成されている。側面カバー80の前辺に上下方向に幅のある側面凹部82が形成されている。側面カバー80の後辺に内側に向いて立つ係合爪83が形成されている。係合爪83は板状を成す。係合爪83の内部に係合爪開口83aが開口する。また、前辺には、前後方向に貫通するネジ開口84が開口している。
【0059】
次に、後カバー90は、縦に長い矩形状をなしている。後カバー90の左側及び右側の辺側には、係合爪83が係合する係合受け部91が複数形成されている。この係合受け部91は、側方に向くスリット状の開口(スリット開口91a)と、後カバー90の前方を向く面であってこのスリット開口91aの近傍に形成された凸部91bからなる。
以上の前カバー70、側面カバー80、後カバー90は、いずれも同じ高さに構成されている。
【0060】
以上の各ユニット及び部品は、次の様に組み立てられて空気清浄機Mを形成する。
図2〜
図4を参照すると、後本体ケース12の上凹部122aと下凹部122bには、それぞれモータ21が取り付けられることにより、ファンユニット20が設けられる。
モータ21は、回転軸21aの軸方向を前方に向けて上凹部122aと下凹部122bにそれぞれ取り付けられている。
つまり、ファンユニット20は、翼23の吸い込み口が前方を向き、前方から空気を吸引し、翼23の径方向であって周囲に位置するスクロールハウジング12a,12bに向けて気流を吹き出すように設けられる。
【0061】
次に、この後本体ケース12には、前面を覆うように前本体ケース11が接続する。つまり、前本体ケース11と後本体ケース12とが、前後に合わさり、ネジ止め等により固定されて、本体ケース10が構成される。
ここで、前本体ケース11と後本体ケース12が前後に合わさり固定される際に、前本体ケース11と後本体ケース12との下端において、底本体ケース42が挟みこまれることで、本体ケース10に対してオートターンユニット40が取り付けられる。
つまり、前本体ケース11と後本体ケース12とが前後に合わさり形成される本体ケース10の下部の空間に、底本体ケース42が設けられて本体ケース10の底をなす。
【0062】
この底本体ケース42は、前本体ケース11と後本体ケース12とに挟み込まれた状態では、前本体ケース11と後本体ケース12とに対して固定される。底本体ケース42は、ベース台41に対して回転自在に構成されている。このため、底本体ケース42と一体である本体ケース10は、ベース台41に対して回転可能に構成される。
【0063】
このように、前本体ケース11と後本体ケース12とが前後に合わさり固定される際に、前本体ケース11と後本体ケース12の下端で、底本体ケース42が挟みこまれることで、本体ケース10に対してオートターンユニット40が取り付けられる。これにより、本体ケース10とオートターンユニット40を強固に結合することができる。
【0064】
特に、前本体ケース11と後本体ケース12とが前後に合わさることにより形成される空間に、底本体ケース42が嵌まり込んでいる。
つまり、この空間の形状で本体ケース10に対する底本体ケース42の動きを抑制している(回り止めとなっている)。このため、各部が取り付けられて重量が増す本体ケース10が回転しても、本体ケース10とオートターンユニット40との結合が強固に保たれる。
【0065】
また、このように前本体ケース11と後本体ケース12とが接続した状態では、ファンユニット20は、回転軸21aが前方に向くように設けられるので、翼23の吸い込み開口が前方を向く。上側のファンユニット20の吸い込み開口が上開口111aと、下側のファンユニット20が下開口111bと、それぞれ対向する。
【0066】
このように後本体ケース12と結合する前本体ケース11の内部には、次のようにファンガード13と空気清浄フィルター60とが設けられる。
ファンガード13は、ファンユニット20の内部への異物の侵入を防止する格子状の枠である。ファンガード13は、上開口111aと下開口111bを覆うようにそれぞれ設けられる。
空気清浄フィルター60は、前本体ケース11の内側に設けられる。空気清浄フィルター60は、前面側にプレフィルター61、プレフィルター61の後方にHEPAフィルター62、HEPAフィルター62の後方に脱臭フィルター63の順番に設けられる。
【0067】
次に、前本体ケース11と後本体ケース12とが前後に合わさり固定されて構成される本体ケース10の上部には、上部ユニット50が設けられる。この上部ユニット50は、前本体ケース11と後本体ケース12とに跨って配置される。そして、上部ユニット50の枠体51は、前本体ケース11と後本体ケース12とにネジ止めなどにより固定される。
このように、上部ユニット50が前本体ケース11と後本体ケース12とに跨って配置され、上部ユニット50の骨格である枠体51が前本体ケース11と後本体ケース12とに固定される。このため、前本体ケース11と後本体ケース12との結合がより強固になる。
【0068】
次に、上記のように本体ケース10に取り付けられた上部ユニット50の吹出し口51aは、スクロールハウジングの上方開口121a,121bの上方に位置する。また、前本体ケース11のセンサ開口11cには、内部に赤外線を導く開口を前方に向けて、人検出装置55が臨んだ状態となる。
【0069】
ここで、人検出装置55は、垂直方向に上下に連なる枠体51の前面凹部51cと基板凹部541aと操作枠凹部543bとにより形成される凹部の内部に設けられている。これにより、人検出装置55が枠体51に設けられた状態において、人検出装置55の枠体51の前方及び下方への突出量を減らすことができる。
【0070】
このように、人検出装置55の前方への突出量が減らされる。これにより、空気清浄機Mの前後方向の大きさをよりコンパクトに構成することができる。
また、人検出装置55の下方への突出する量が減らされる。このため、人検出装置55が下方に位置する空気清浄フィルター60を遮る量をより少なく構成することができる。これにより、室内空気を空気清浄フィルター60へ効率よく流すことができる。
【0071】
次に、基板ユニット30が設けられる位置について説明する。
上スクロールハウジング12aと下スクロールハウジング12bとの上下方向の間であって、下スクロールハウジング12bの上から、上スクロールハウジング12aの裏側に至る空間である、側方に開口が向く空間部12cには、基板ユニット30が設けられる。
【0072】
空間部12cは、曲面により形成されるスクロールハウジング12a,12bと、矩形状の後本体ケース12と、の形状の違いにより形成されたスペースである。この空間部12cに基板ユニット30を設けることにより、効率よく基板ユニット30を配置することができる。これにより、空気清浄機Mをよりコンパクトに形成することができる。
【0073】
特に、空間部12cは、上スクロールハウジング12aと下スクロールハウジング12bの間に位置している。このため、それぞれのスクロールハウジングに設けられるファンユニット20に対しての基板ユニット30からの距離を等しく構成することができる。
これにより、基板ユニット30と各ファンユニット20とを接続する配線の長さを、それぞれ同じく構成することができる。このため、配線の長さを変えたモータを用意する必要が無く、組み立て作業の際に、上下のモータを区別することなく取り付けられる。
【0074】
次に、
図3及び
図4を参照して、外郭を構成する前カバー70、側面カバー80、後カバー90の取り付けについて説明する。
まず、後本体ケース12の背面には、後カバー90がネジ止めにより設けられる。これにより、上方開口121bの上方に、後本体ケース12と後カバー90とに囲まれた空間Kが形成される。
この空間Kは、下スクロールハウジング12bの上方開口121bと吹出し口51aとを連通させる。この空間Kは、下スクロールハウジング12bに設けられたファンユニット20から吹出される気流の流路となる。
【0075】
次に、側面カバー80の取り付けについて説明する。
後本体ケース12に取り付けられた状態の後カバー90のスリット開口91aに、側方から側面カバー80の係合爪83が入り込む。係合爪開口83aに凸部91bが嵌まり込む。この状態において、側面カバー80は、後カバー90に対して直角となり、本体ケース10の側面を覆う。そして、前方からネジ開口
84を通してネジ止めすることで、側面カバー80は前本体ケース11にネジ止めされる。
【0076】
このように側面カバー80の後側は、後カバー90のスリット開口91aに係合爪83が挿入されて後カバー90の内側に入り込む。側面カバー80の後側は、係合爪開口83aに凸部91bが嵌まり込むことで、ネジなどを用いずに係合される。側面カバー80の前側は、ネジを用いて固定される。
これにより、側面カバー80を後カバー90に取り付ける際のネジの使用量を低減することができる。
【0077】
次に、前カバー70の取り付けについて説明する。
前カバー70は、空気清浄フィルター60が前本体ケース11に取り付けられた状態において、空気清浄フィルター60を覆うように前本体ケース11に着脱自在に取り付けられる。
前カバー70が前本体ケース11に取り付けられた状態において、センサ開口72に赤外線センサ55bが位置する。前カバー70が前本体ケース11に取り付けられた状態において、側面カバー80のネジ開口84に取り付けられたネジは、前カバー70により外部から見えなくなる。
尚、前カバー70は、前本体ケース11に対して着脱自在であり、前カバー70を外すことにより、空気清浄フィルター60を取外し、清掃などのメンテナンスを行える。
【0078】
また、側面カバー80には側面凹部82が形成されていることから、前カバー70と側面カバー80との合わさる位置には隙間Rが形成される。この隙間Rが空気清浄機Mの内部へと室内空気を取り込む空気取り込み口82aとなる。
このように空気取り込み口82aは、空気清浄機Mの左右方向に向いており、空気清浄機Mの側方からも空気が取り込まれる。つまり、空気清浄機Mの回転角度より、より広い範囲から室内空気を取り込むことができるよう、空気取り込み口82aが向いている。
【0079】
更に、このように構成された空気清浄機Mには、室内空気に含まれる埃の量を検知する埃センサ(図示せず)と、室内空気の臭いを検知する臭気センサ(図示せず)と、が設けられている。
そして、これらのセンサは制御手段に電気的に接続しており、センサが検知することにより発信される信号は、制御手段に入力し、この信号に基づき空気清浄運転を行うことが可能に構成されている。
【0080】
さらに、
図1、2に示すように、組み立てられた空気清浄機Mにおいて、本体ケース10が正面方向を向いて停止している状態で、回転軸線Jaと回転軸線Jbとが本体を正面から見たときに重なるような位置関係となっており、本体ケース10の幅の略中央に位置している。また、回転軸線Jaは回転軸線Jbよりも前方に位置している。
【0081】
以上のように各部が組み立てられた空気清浄機Mは、次のように各部を動作させて室内空気を取り込み空気清浄する。
まず、電源コード41cが電源に接続されると、各部が組みつけられた状態の本体ケース10(以下、単に本体ケース10という)とオートターンユニット40との位置関係を回転位置検知手段45が検出する。
【0082】
本体ケース10がオートターンユニット40と同じ方向を向いていない場合、つまり、本体ケース10が正面を向いていない場合は、本体ケース10が正面を向いたことを回転位置検知手段45が検知するまで、回転駆動ユニット44が駆動して本体ケース10を回転させる。
尚、本実施の形態の場合、本体ケース10が正面を向いた状態は、回転位置検知手段45である3つのフォトインタラプタが、仕切り413aに形成された3つのスリットにそれぞれ位置し、全てのフォトインタラプタが、発光部からの光を受光部が検知した状態となる。
【0083】
このように、本体ケース10が初期状態の向きである正面を向く動作が終了後、人検出装置55のセンサ駆動モータ55cは、後述する位置合わせ動作を実施後、赤外線センサ55bが正面を向いた状態で停止する。
【0084】
次に、操作表示部54に設けられた運転開始スイッチが操作されることにより、制御手段は空気清浄動作を開始させる。
まず、ルーバー駆動モータ53が駆動することで、ルーバー52が上方向に動作し、吹出し口51aが解放される。このとき、ルーバー52は、水平方向から上向き約45度の方向に清浄空気が吹き出る角度に停止する。この吹出し角度が、室内空気を清浄する最適な角度となっている。
【0085】
続いて、ファンユニット20が駆動する。これにより、室内の空気が、前カバー70と側面カバー80との間に形成された空気取り込み口82aより空気清浄機Mの内部に吸い込まれる。
そして、空気清浄機Mの内部に取り込まれた室内の空気は、プレフィルター61とHEPAフィルター62と脱臭フィルター63とを通り、ファンユニット20の翼23に前方から吸い込まれ、翼23の回転方向に吐き出されて、吹出し口51aから空気清浄機Mの外部に吹出される。
【0086】
ここで、操作表示部54に設けられたモード切り替えスイッチを操作することにより、あらかじめ設定された運転モードを選択できる。
例えば、標準自動運転を選択すると、人検出装置55、ホコリセンサー(図示せず)、臭気センサー(図示せず)の検知結果に基づき、ファンユニット20、オートターンユニット40、ルーバー52を動作させる運転が制御手段により実行される。
【0087】
次に、
図12、
図13を参照して、人検出装置55の人検出動作について説明する。
標準運転が開始されると、人検出装置55が人の検出動作を開始する。センサ駆動モータ55cが駆動することで、内部に赤外線センサ55bが設けられたケース55aが回転し、赤外線センサ55bの向きが変わる。
【0088】
センサ駆動モータ55cは、入力パルス数に応じた角度を駆動する設定になっており、これに応じてケース55aの回転角度の量がきまる。
尚、本実施の形態の場合、センサ駆動モータ55cの回転角度、つまり、ケース55aの回転角度は、一方の回転規制リブ556aが枠体51に突き当たった状態から、他方の回転規制リブ556aが枠体51に突き当たるまで、約156度に設定されている。
【0089】
図13を参照すると、STEP1において、制御手段は、ケース55aの左側の回転規制リブ556aが、枠体51に突き当たる位置である左突き当て位置0に向かってセンサ駆動モータ55cが左回りに回転するように、センサ駆動モータ55cへ左突き当てパルスP1を入力する。
この左突き当てパルスP1の入力パルス数は、センサ駆動モータ55cが左回りに、右側の回転規制リブ556aが枠体51に突き当たる位置である右突き当て位置4から、左突き当て位置0までの回転角度約156度以上を回転できるパルス数である。このSTEP1が終わった段階では、最も左側の方向を向いている。
【0090】
このSTEP1は、制御手段がセンサ駆動モータ55cの回転位置をリセットし、赤外線センサ55bが向く方向の正確な位置合わせ動作をできるようにするための最初の工程である。これにより、STEP1が開始される以前に、使用者が人検出装置55を触ったり、何らかの物体が接触したりして、回転してしまった場合でも、正確に位置合わせ動作をおこなうことができるようになる。
【0091】
次に、STEP2において、制御手段は、センサ駆動モータ55cがSTEP1の際の回転に対して反転するように、第1の補正パルスP2を入力する。
この第1の補正パルスP2の入力パルス数は、センサ駆動モータ55cを構成する歯車のバックラッシュや回転軸551cとケース55aとの接続のガタ(遊び)を修正する程度の数である。ケース55aは回転せずに左突き当て位置0の位置に留まっている。
【0092】
ここで、STEP1が終了した状態からセンサ駆動モータ55cが駆動して右回転(STEP1の反回転)する状態を説明する。
まず、STEP1が終了した状態は、ケース55aの左側の回転規制リブ556aが、枠体51に突き当たった状態である。第1の補正パルスP2が入力されると、センサ駆動モータ55cを構成する歯車のバックラッシュや回転軸551cとケース55aとの接続のガタの分だけセンサ駆動モータ55cが回転駆動する。
【0093】
そして、このガタが無くなると、センサ駆動モータ55cの回転がケース55aに伝達し、ケース55aが右回転を始める。
つまり、ケース55aは、センサ駆動モータ55cが動作しても、センサ駆動モータ55cを構成する歯車のバックラッシュや回転軸551cとケース55aとの接続のガタが無くなるまでは、センサ駆動モータ55cの回転が伝達しないので、回転しない。
【0094】
従って、STEP1の状態からケース55aを右方向に回転(反転)させたい場合、ケース55aを回転させたい分だけのパルスをセンサ駆動モータ55cに入力しても、実際は歯車のバックラッシュや各部のガタがあるので、ケース55aはセンサ駆動モータ55cより遅れて動き出す。
【0095】
つまり、入力したパルスによりセンサ駆動モータ55cが回転する角度と、ケース55aが回転する角度と、に誤差が生じ、所定の角度回転させるパルスだけでは、ケース55aを正確な角度を回転させることができない。
このような誤差を減少させるため、STEP2において、第1の補正パルスP2を入力して、センサ駆動モータ55cを駆動させる。これにより、バックラッシュや各部のガタによる回転角度の誤差を小さくすることができる。
【0096】
次に、STEP3において、制御手段は、センサ駆動モータ55cに右回り3度回転させる初期位置設定パルスP3を入力する。センサ駆動モータ55cは、左突き当て位置0から左停止位置1まで駆動する。これにより、左突き当て位置0から左停止位置1には、3度の間隔が形成される。
この間隔は、人検出装置55が左右方向に回転動作を行い、人検出動作を行う過程において、回転方向を変える左停止位置1で、ケース55aが枠体51に突き当たることを防止するためのものである。
以上、STEP1〜STEP3までが、人検出装置55が人検出動作を行う前の初期位置設定動作となる。このように人検出装置55の回転初期位置を設定することで、人検出装置55の検出結果に基づき、空気清浄機Mの向きを正しく向けることができる。
【0097】
次に、人検出動作が開始されると、STEP4において、制御手段は、センサ駆動モータ55cに右回り150度回転させる右回転パルスP4を入力する。センサ駆動モータ55cは、左停止位置1から右停止位置3まで駆動する。
ここで、赤外線センサ55bは、検知視野の範囲にある対象物からの赤外線を検出し、その信号を制御手段に入力する。そして、制御手段は、赤外線センサ55bからの入力信号と、その信号が入力された位置のセンサ駆動モータ55cのパルスから、人が存在する位置を判定する。
【0098】
次に、右停止位置3まで人検出装置55が回転すると、STEP5において制御手段は、センサ駆動モータ55cを左回りに反転させるために、第2の補正パルスP5をセンサ駆動モータ55cに入力する。
この第2の補正パルスP5の入力パルス数は、センサ駆動モータ55cを構成する歯車のバックラッシュや回転軸551cとケース55aとの接続のガタ(遊び)を修正する程度の数である。
【0099】
この第2の補正パルスP5は、第1の補正パルスP2と同様に、入力したパルスによりセンサ駆動モータ55cが回転する角度と、ケース55aが回転する角度との誤差を小さくするためのものである。第2の補正パルスP5と第1の補正パルスP2とは、絶対値の比較がP2>P5となるように設定されている。
左突き当て位置0においては、ケース55aが枠体51に突き当たった状態となる。左突き当て位置0においては、回転方向に押圧された後なので、センサ駆動モータ55cが反転した際のガタが大きい。
【0100】
これに対して右停止位置3は右突き当て位置4との間に、3度のクリアランスがある。右停止位置3においては、ケース55aが枠体51に突き当たることが無いことから、センサ駆動モータ55cが反転した際のガタが小さい。
従って、第2の補正パルスP5の大きさを第1の補正パルスP2の大きさより小さく設定することにより、適切に上記の誤差を修正することができる。
【0101】
次に、STEP6において、制御手段は、センサ駆動モータ55cに左回り150度回転させる左回転パルスP6を入力する。センサ駆動モータ55cは、右停止位置3から左停止位置1まで駆動する。
ここで、赤外線センサ55bは、検知視野の範囲にある対象物からの赤外線を検出し、その信号を制御手段に入力する。そして、制御手段は、赤外線センサ55bからの入力信号と、その信号が入力された位置のセンサ駆動モータ55cのパルスから、人が存在する位置を判定する。
【0102】
次に、左停止位置1まで人検出装置55が回転すると、STEP7において制御手段は、センサ駆動モータ55cを右回りに反転させるために、第3の補正パルスP7をセンサ駆動モータ55cに入力する。
この第3の補正パルスP7の入力パルス数は、センサ駆動モータ55cを構成する歯車のバックラッシュや回転軸551cとケース55aとの接続のガタ(遊び)を修正する程度の数である。
【0103】
この第3の補正パルスP7は、第1の補正パルスP2と同様に、入力したパルスによりセンサ駆動モータ55cが回転する角度と、ケース55aが回転する角度と、の誤差を小さくするためのものである。第3の補正パルスP7と第1の補正パルスP2とは、絶対値の大きさの比較がP2>P7となるように、設定されている。
左突き当て位置0においては、ケース55aが枠体51に突き当たった状態となる。左突き当て位置0においては、回転方向に押圧された後なので、センサ駆動モータ55cが反転した際のガタが大きい。
【0104】
これに対して左停止位置1は左突き当て位置4との間に、3度のクリアランスがある。左停止位置1においては、ケース55aが枠体51に突き当たることが無いことから、センサ駆動モータ55cが反転した際のガタが小さい。
従って、第3の補正パルスP7の大きさを第1の補正パルスP2の大きさより小さく設定することにより、適切に上記の誤差を修正することができる。
【0105】
以上のように、制御手段は、STEP1〜STEP3で人検出装置55が人検出動作を行う前の初期位置設定動作を行う。制御手段は、STEP4〜STEP7を繰り返すことにより、人検出装置55が向く方向に対応する人の有無を検出し、人が存在する位置を把握することができる。
特に、人検出装置55のセンサ駆動モータ55cの走査動作に加えて、オートターンユニット40の回転によって本体ケース10の向きが変わることで、より広範囲の人の検出が可能となる。
そして、制御手段は、人検出装置55の検出結果に基づき、オートターンユニット40の回転駆動ユニット44と回転位置検知手段45とを駆動させて、人が存在する方向に空気清浄機Mの正面を向ける。
【0106】
更に、ルーバー駆動モータ53を駆動し、ルーバー52を垂直方向に向ける。空気取り込み口82aは、空気清浄機Mの左右方向に向いていることから、空気清浄機Mから人がいる方向に対して90°の向きを向く。このため、人がいる方向に吹き出し風を送風できるので、効率よく人の回りのホコリを空気清浄機Mのそばまで運ぶことができ、且つ人に吹き出し風があたることがない。
【0107】
また、このような状態で、埃センサ(図示せず)、臭気センサ(図示せず)からの検知結果に基づき、室内空気に埃が多い時や臭気が強い時は、ファンユニット20のモータ21の回転数を上げて、埃の量や臭気の強さが低下するまで、室内空気を強力に清浄する。
更に、上記状態で、一定時間、埃センサ、臭気センサで、室内の埃や臭気を汚れ検知しない、又は、検出値が所定の値以下であれば、再度、人検出装置55で人の検出を再開する。
【0108】
図14に室内分割エリアに対応する人検出装置の回転角度のイメージ図を示す。図のように、空気清浄機Mの正面の室内エリアを「左」「左中」「中央」「右中」「右」の5方向に分類する。上述のSTEP4〜STEP7を繰り返すことにより、人検出装置55が向く方向に対応する人の有無を検出し、分割した室内エリアのどの方向にいるかを判断する。例えば、人検出装置55の動作範囲を、回転軸線Jaを中心に5分割し、動作範囲Aで人を検出した場合、室内エリア「左」にいると判断する。
ここで、本体ケース10が正面方向を向いて停止している状態で、回転軸線Jaは、本体ケース10の幅の略中央に位置している回転軸線Jbと、本体を正面から見たときに重なるような位置関係となっている。このため、人検出装置55の動作範囲A〜Eは左右対称の角度とできる。ここでは、左右対称とは、AとE、BとDがそれぞれ同じ角度で良いことを意味する。そのため、判定制御が簡易で、正確な人の方向を検出できる。
【0109】
例えば、
図15のように、回転軸線Jaと回転軸線Jbとが本体を正面から見たときに重なるような位置関係になっていないとすると、人検出装置55の動作範囲A〜Eは左右対称の角度とならない。このため、人検出装置55の動作範囲A〜Eはそれぞれ設定する必要があり、判定制御が複雑になる。
【0110】
ここで、室内エリア「左」に本体ケース10が向いた図を
図16(a)に示す。室内エリア「右」に本体ケース10が向いた図を16(b)に示す。
図16(a)の位置において、人検出装置55が人検出動作を行うと、室内エリア「左」「左中」「中央」が、人検出装置55の動作範囲C、D、Eに対応する。同じように、
図16(b)の位置において、人検出装置55が人検出動作を行うと、室内エリア「中央」「右中」「右」が、人検出装置55の動作範囲A、B、Cに対応する。
このように、本体ケース10が正面方向を向いて停止している状態で、回転軸線Jaは、本体ケース10の幅の略中央に位置している回転軸線Jbと、本体を正面から見たときに重なるような位置関係となっているので、
図16(a)、
図16(b)においても、人検出装置55の動作範囲A〜Eは左右対称の角度とできる。そのため、判定制御が簡易で、正確な人の方向を検出できる。
【0111】
以上のように、空気清浄機Mは、本体ケース10と、本体ケース10の内部に室内空気を取り込むファンユニット20と、ファンユニット20により取り込んだ空気を清浄する空気清浄フィルター60と、人の位置を検出する人検出装置55と、本体ケース10の向きを変えるオートターンユニット40と、を有する。人検出装置55は、本体ケース10に設置され、鉛直方向の回転軸線Jaを中心に水平方向に回動する。オートターンユニット40は、鉛直方向の回転軸線Jbを中心に水平方向に回動して本体ケース10の向きを変える。またオートターンユニット40は、人検出装置55の検出結果に応じて駆動する。上記の構成により、人検出動作によって人に不快感を与えることなく、正確な人の方向を検知できる空気清浄機Mが得られる。
さらに、回転軸線Jaと回転軸線Jbとは、本体ケース10が正面方向を向いて停止している状態で、本体を正面から見たときに重なるような位置関係で本体ケース10の幅の略中央に配置される。このため、複雑な制御にすることなく正確な人の方向を検知できる。
【0112】
尚、本願において回転とは、それぞれの回転軸線を中心とした360度以上の回転動作のみならず、360度以下の回転動作を含む。例えば、正面を向いている本体ケース10や人検出装置55が、回転軸線を中心に右方向に45度動いて向きを変える動作も回転動作である。