(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係る電子筆記具について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子筆記具10の斜視図である。
図2は、
図1に示す電子筆記具10の断面図である。
図2は、電子筆記具10における押圧検出装置100が装着された領域の断面図である。なお、
図2中の矢印は、操作者が押圧する方向を示している。
【0019】
電子筆記具10は
図1に示すように、筐体101、操作部12及び押圧検出装置100を備える。
【0020】
なお、電子筆記具10が本発明の電子機器の一例に相当する。
【0021】
筐体101は、円筒状である。筐体101は、絶縁性材料からなる。筐体101の内部は、
図2に示すように支柱103を有している。筐体101の長尺方向(円周方向に直交する方向)の先端は、
図1に示すように、先細り形状の端部102となっている。
【0022】
なお、筺体101は、押圧検出装置100にその変形が伝達可能な程度の強度(剛性)があればよく、金属であってもよい。
【0023】
操作部12は、筐体101の一部を構成する。操作部12は、操作者の押圧入力を受け付ける操作面12Aを有する。操作部12は、可撓性を有する材料からなる。操作部12の材料は例えば樹脂である。
【0024】
押圧検出装置100は、基材26を備える。基材26は可撓性を有する。基材26の材料は例えば、ポリイミド樹脂等である。押圧検出装置100は
図2に示すように、操作部12の内壁面の円周方向に沿って湾曲した状態で操作部12の内壁面に装着されている。そのため、押圧検出装置100の各箇所では、基材26が曲がることによって曲げ負荷が生じる。
【0025】
次に、押圧検出装置100の構成について説明する。
【0026】
図3は、
図2に示す押圧検出装置100の分解斜視図である。
図4は、
図2に示す押圧検出装置100の概略断面図である。なお、
図3中の矢印は、操作者が押圧する方向を示している。
【0027】
押圧検出装置100は
図3、
図4に示すように、電極25と、圧電フィルム21と、電極24と、基材90と、電極125と、歪み抵抗素子41と、電極124と、基材26と、グランド電極126と、検出部30を含む回路110とを備える。
【0028】
なお、検出部30が本発明の押圧検出部の一例に相当する。歪み抵抗素子41が本発明の変位検出素子の一例に相当する。
【0029】
基材26は表面上に、検出部30を含む回路110と電極124とを実装している。基材26は裏面上に、グランド電極126を実装している。電極124及びグランド電極126は例えば銅箔等の金属膜からなる。基材26は、
図3に示すようにフレキシブルプリント配線板を構成している。
【0030】
なお、グランド電極126は、基材26の裏面側から侵入する外来ノイズの影響を軽減することができる。
【0031】
基材90は表面上に電極24を実装している。基材90は裏面上に電極125を実装している。電極24及び電極125は例えば銅箔等の金属膜からなる。基材90は、フレキシブルプリント配線板を構成している。基材26及び基材90は不図示の配線を介して接続されている。
【0032】
歪み抵抗素子41の両面は、電極124及び電極125に電気的に接続している。また、圧電フィルム21の両面は、電極24及び電極25に電気的に接続している。電極25は例えば銅箔等の導電テープからなる。圧電フィルム21、電極24及び電極25は、圧電素子20を構成する。
【0033】
そして、電極124、電極125、電極24及び電極25のそれぞれは、回路110に電気的に接続している。
【0034】
ここで、圧電フィルム21の材料は例えば、PLLA(L型ポリ乳酸)である。PLLAは、キラル高分子であり、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸され、分子が配向すると、圧電性を有する。一軸延伸されたPLLAの圧電定数は、高分子中で非常に高い部類に属する。
【0035】
なお、圧電フィルム21は、PLLAを主材料とするフィルムに限られず、D型ポリ乳酸(PDLA)や、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタメート(PBLG)等の他のキラル高分子を主材料とするフィルムであってもよい。
【0036】
ただし、PLLAやPDLAのようなキラル高分子を主材料とする圧電フィルム21の圧電性は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。
【0037】
このため、PLLAは、延伸等による分子の配向処理で圧電性を生じ、PVDF等の他のポリマーや圧電セラミックスのように、ポーリング処理を行う必要がない。すなわち、強誘電体に属さないPLLAの圧電性は、PVDFやPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。
【0038】
このため、PLLAには、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性が生じない。さらに、PVDF等は経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、PLLAの圧電定数は経時的に極めて安定している。
【0039】
PLLAの延伸方向に3軸をとり、3軸方向に垂直な方向に1軸および2軸をとると、PLLAにはd
14の圧電定数(ずりの圧電定数)が存在する。すなわちPLLAはずり圧電性を有する圧電体である。1軸方向が厚み方向となり、3軸方向(延伸方向)に対して45°の角度をなす方向が長手方向となるように、ストライプ状の圧電フィルム21が切り出される。これにより、圧電フィルム21が長手方向に伸縮すると、圧電フィルム21は厚み方向に分極する。
【0040】
なお、1軸方向は、45°であることが最も効果的であるが、例えば45±10°の範囲であっても略同等の効果が得られる。
【0041】
以上より、電極25と、圧電フィルム21と、電極24と、基材90と、電極125と、歪み抵抗素子41と、電極124と、基材26と、グランド電極126とのそれぞれは、操作面12Aに対して平行となるよう積層され、操作部12の内壁面に固定されている。
【0042】
さらに、圧電素子20と歪み抵抗素子41とは、操作面12Aを正面視して重なる。圧電素子20と歪み抵抗素子41とは、操作面12Aを正面視して操作面12Aの中心に位置している。
【0043】
そのため、操作面12Aが操作者の押圧又は押圧の開放によって変位すると、歪み抵抗素子41と圧電フィルム21とは変位する。そして、圧電フィルム21の変位量は操作面12Aの変位量と同じである。歪み抵抗素子41の変位量は操作面12Aの変位量と同じである。
【0044】
図5は、
図1に示す押圧検出装置100のブロック図である。
図6は、
図5に示す増幅回路19の出力電圧と経過時間との関係の一例を示す図である。
図7は、
図5に示す増幅回路19の出力電圧および基準電圧の差分の積算値と経過時間との関係の一例を示す図である。
図8は、
図5に示す増幅回路19の出力電圧および基準電圧の差分の積算値と経過時間との関係の一例を示す図である。
【0045】
押圧検出装置100は
図5に示すように、圧電素子20と、増幅回路19と、歪み抵抗素子41を含む歪み抵抗回路40と、検出部30と、を備える。増幅回路19と、歪み抵抗回路40と、検出部30とは、回路110を構成する。
【0046】
操作者が操作面12Aを押圧したとき、操作部12は押圧された方向に凸となるように撓む。圧電素子20も、押圧された方向に凸となるように撓む。同様に、操作者が操作面12Aに対する押圧を開放したとき、操作部12が押圧された方向とは逆方向へ変位し、元の形状に戻る。圧電素子20も、操作部12が押圧された方向とは逆方向へ変位し、元の形状に戻る。
【0047】
そのため、操作者が操作面12Aを押圧したとき、又は操作者が操作面12Aに対する押圧を開放したとき、圧電効果により圧電フィルム21は厚み方向に分極する。これにより、電極24,25に電荷が誘起される。電極24,25で発生した電荷は、増幅回路19へ出力される。
【0048】
増幅回路19は、チャージ増幅器19Aを有する。チャージ増幅器19は、圧電素子20で発生した電荷を電圧に変換する。増幅回路19は、チャージ増幅器19で変換された電圧を増幅し、検出部30に出力する。
【0049】
検出部30は、例えばマイクロコンピュータで構成される。検出部30は、
図6に示すように増幅回路19から出力された電圧および基準電圧Vcの差分を積算し、
図7、
図8に示すように積算値を算出する。検出部30は、積算値から、操作面12Aの変位量を操作者の押圧量として算出する。
【0050】
ここで、チャージ増幅器19は、圧電素子20で発生した電荷の微分に比例した電圧に変換する。そのため、押圧検出装置100は、押圧量を検出するため、増幅回路19から出力された電圧を検出部30において積分することが必要となる。
【0051】
よって、圧電素子20を用いた場合、一定時間経過すると、
図7、
図8に示すように積分(積算)による誤差ΔZが蓄積するという問題がある。その結果、押圧検出装置100は、操作者が押圧を加えていないにも関わらず、操作者が押圧を加えていると誤って検出する可能性がある。
【0052】
そこで、押圧検出装置100は、歪み抵抗素子41を備えている。歪み抵抗素子41は、操作面12Aの変位量に応じて抵抗値が変化する素子である。歪み抵抗素子41の抵抗値の変化量は小さいため、
図9に示すホイートストンブリッジ回路を使用することが好ましい。
【0053】
図9は、
図5に示す歪み抵抗回路40の一例を示す回路図である。歪み抵抗回路40は、歪み抵抗素子41と抵抗R2と抵抗R3と抵抗R4と差動増幅器A1とを含む。歪み抵抗回路40は、ホイートストンブリッジ回路を構成する。
【0054】
歪み抵抗回路40において、歪み抵抗素子41と抵抗R2と抵抗R3と抵抗R4とのそれぞれの抵抗値は同じである。そして、歪み抵抗素子41及び抵抗R2を結ぶ線と、抵抗R3及び抵抗R4を結ぶ線は、差動増幅器A1の入力端子に接続する。差動増幅器A1の出力端子は、検出部30に接続する。
【0055】
以上の回路において検出部30から供給される駆動電圧V
INは、歪み抵抗素子41及び抵抗R2で分圧され、第1抵抗分圧が差動増幅器A1に入力する。同様に、その駆動電圧は、抵抗R3及び抵抗R4で分圧され、第2抵抗分圧が差動増幅器A1に入力する。第1抵抗分圧と第2抵抗分圧との差は差動増幅器A1で増幅され、差動増幅器A1は電圧Voutを検出部30に出力する。
【0056】
ここで、操作面12Aが操作者の押圧又は押圧の開放によって変位すると、歪み抵抗素子41は、操作部12の変位に応じて、歪み抵抗素子41の長手方向へ伸びる。これにより、歪み抵抗素子41の断面積が小さくなり、歪み抵抗素子41の抵抗値が高くなる。すなわち、操作面12Aが操作者の押圧又は押圧の開放によって変位すると、歪み抵抗素子41の抵抗値が変化する。
【0057】
これにより、歪み抵抗回路40は、操作面12Aの変位量に応じた電圧を差動増幅器A1から出力する。すなわち歪み抵抗素子41は、操作面12Aの変位量に応じた出力を行う。そして、検出部30は、歪み抵抗素子41の出力を入力する。
【0058】
よって、検出部30は、積算値を、歪み抵抗素子41の出力(具体的には歪み抵抗回路40が出力する電圧の値)によって補正できる。例えば
図7、
図8に示すように検出部30は、誤差ΔZを、歪み抵抗素子41の出力(具体的には歪み抵抗回路40が出力する電圧の値)によって初期値0に補正できる。そのため、押圧検出装置100では、例えば積算値が最大値になる前に操作者が押圧を開放した場合でも、積算値が初期値にリセットされる。
【0059】
したがって、押圧検出装置100は、どのタイミングでも積算値を適正に補正できる。
【0060】
なお、歪み抵抗素子41は、絶対値で押圧量を検出できるため、圧電素子20のように誤差ΔZが蓄積することは無い。
【0061】
しかし、歪み抵抗素子41は、抵抗値の変化によって押圧量を検出する素子である。歪み抵抗素子41の抵抗値は数百Ω〜数kΩ程度である。そのため、歪み抵抗素子41は、消費電流を絞ると感度が低下する。歪み抵抗素子41は実用上、大きな消費電力を必要とするという欠点を持つ。
【0062】
そこで、検出部30は、歪み抵抗素子41を間欠的に動作させる。そのため、押圧検出装置100は、消費電力を小さくすることができる。また、電子筆記具10も、押圧検出装置100を備えるため、押圧検出装置100と同様の効果を備える。
【0063】
ここで、歪み抵抗素子41を間欠的に動作させた場合、検出部30は、歪み抵抗素子41を動作させていない間の押圧データを歪み抵抗回路40から得られないという問題がある。しかし、検出部30は、歪み抵抗素子41を動作させていない間の押圧データを、圧電素子20から連続的に得られる。
【0064】
以上の理由から押圧検出装置100は、歪み抵抗素子41及び圧電素子20の両方を備えている。
【0065】
なお、検出部30は、操作者が押圧又は押圧の開放を行っていないタイミングで積算値を補正することが好ましい。例えば
図7に示すように検出部30は、積算値が所定値Z
th以下のときに補正することが好ましい。
【0066】
以下、本発明の第2実施形態に係るスマートフォンについて、図を参照して説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るスマートフォン210の正面図である。
図11は、
図10に示すA−A線の断面図である。
図11中の矢印は、操作者が押圧する方向を示している。
【0067】
スマートフォン210は、筐体11、操作板212、及び押圧検出装置200を備える。
【0068】
なお、スマートフォン210は、本発明の電子機器の一例に相当する。
【0069】
筐体11は、枠状の側板および矩形状の底板から構成され、矩形状の開口部を上面に有する。筐体11の開口部を塞ぐように操作板212が筐体11に接合する。これにより、筐体11及び操作板212は、押圧検出装置200を収納する。
【0070】
操作板212は、操作者の押圧入力を受け付ける操作面212Aを有する。操作板212の材料は例えばガラス、FR4である。
【0071】
押圧検出装置200は
図11に示すように、前述の電極25と、前述の圧電フィルム21と、前述の電極24と、前述の電極125と、前述の歪み抵抗素子41と、前述の電極124と、基材290と、基材291と、基材292と、前述の検出部30を含む前述の回路110と、支持板226と、を備える。なお、押圧検出装置100と同じ構成の部材に関しては説明を省略する。
【0072】
基材290は表面上に、検出部30を含む回路110を実装している。基材290は、フレキシブルプリント配線板を構成している。基材290の裏面は支持板226の表面に接合している。
【0073】
基材291は裏面上に、電極25と圧電フィルム21と電極24とを実装している。基材291は、フレキシブルプリント配線板を構成している。基材291の表面は支持板226の裏面に接合している。基材291は配線L1を介して基材290に接続している。そのため、電極24及び電極25は、配線L1を介して回路110に電気的に接続している。
【0074】
基材292は表面上に、電極125と歪み抵抗素子41と電極124とを実装している。基材292は、フレキシブルプリント配線板を構成している。基材292の裏面は支持板226の表面に接合している。基材292は配線L2を介して基材290に接続している。そのため、電極124及び電極125は、配線L2を介して回路110に電気的に接続している。
【0075】
以上より、操作板212と、電極125と、歪み抵抗素子41と、電極124と、基材292と、支持板226と、基材291と、電極25と、圧電フィルム21と、電極24と、のそれぞれは、操作面212Aに対して平行となるよう積層されている。歪み抵抗素子41は、操作面12Aを正面視して操作面12Aの中心に位置している。そして、支持板226は筐体11の内壁面に固定されている。
【0076】
なお、押圧検出装置100では圧電素子20と歪み抵抗素子41とは、操作面12Aを正面視して重なっていたが、押圧検出装置200では圧電素子20と歪み抵抗素子41とは、操作面212Aを正面視して重ならない。
【0077】
操作者が操作面212Aを押圧すると、操作板212は押圧された方向に凸となるように撓む。支持板226も、押圧された方向に凸となるように撓む。同様に、操作者が操作面212Aに対する押圧を開放すると、操作板212が押圧された方向とは逆方向へ変位し、元の形状に戻る。支持板226も、操作板212が押圧された方向とは逆方向へ変位し、元の形状に戻る。
【0078】
そして、支持板226の変形に併せて、歪み抵抗素子41と圧電フィルム21とも変形する。歪み抵抗素子41の変位量は操作面212Aの変位量と同じである。圧電フィルム21の変位量は操作面212Aの変位量に比例するものの、圧電フィルム21の変位量は操作面212Aの変位量に比べて小さい。
【0079】
しかし、圧電フィルム21の感度は歪み抵抗素子41の感度より高いため、圧電フィルム21は、操作面212Aを正面視して操作面212Aの中心に位置していなくてもよい。
【0080】
ここで、押圧検出装置200は、歪み抵抗素子41を備える。そのため、操作面212Aが操作者の押圧又は押圧の開放によって変位すると、歪み抵抗素子41の抵抗値が変化する。そのため、歪み抵抗素子41は、操作面212Aの変位量に応じた出力を行う。そして、検出部30は、歪み抵抗素子41の出力を入力する。
【0081】
よって、検出部30は、積算値を、歪み抵抗素子41の出力(具体的には歪み抵抗回路40が出力する電圧の値)によって補正できる。例えば
図7、
図8に示すように検出部30は、誤差ΔZを、歪み抵抗素子41の出力(具体的には歪み抵抗回路40が出力する電圧の値)によって初期値0に補正できる。
【0082】
したがって、押圧検出装置200は押圧検出装置100と同様に、どのタイミングでも積算値を適正に補正できる。
【0083】
さらに、検出部30は、歪み抵抗素子41を間欠的に動作させる。そのため、押圧検出装置200は押圧検出装置100と同様に、消費電力を小さくすることができる。
【0084】
また、スマートフォン210も、押圧検出装置200を備えるため、押圧検出装置200と同様の効果を備える。
【0085】
なお、前述の実施形態では、電子機器の一例として電子筆記具10とスマートフォン210とを示したが、これに限るものではない。実施の際、例えばマウス、タブレット端末等の他の電子機器に適用することができる。
【0086】
また、上述の実施形態では、押圧検出装置100、200は、ポリ乳酸の圧電フィルム21を備えるが、これに限るものではない。実施の際、押圧検出装置は、PVDF等の他の圧電フィルムを備えることも可能である。
【0087】
また、押圧検出装置100、200は例えば
図9に示すように、歪み抵抗素子41を含む歪み抵抗回路40を備えるが、これに限るものではない。実施の際、押圧検出装置は例えば歪み抵抗回路40の代わりに、
図12に示す抵抗回路140を備えてもよい。
【0088】
図12は、歪み抵抗回路40の変形例に係る抵抗回路140の一例を示す回路図である。抵抗回路140は、抵抗Roと抵抗素子Rsと差動増幅器A2とを含む。抵抗Ro及び抵抗素子Rsを結ぶ線は、差動増幅器A2の非反転入力端子に接続する。差動増幅器A2の出力端子は、差動増幅器A2の反転入力端子および検出部30に接続する。
【0089】
以上の回路において検出部30から供給される駆動電圧V
INは、抵抗Ro及び抵抗素子Rsで分圧され、抵抗分圧が差動増幅器A2の非反転入力端子に入力する。同様に、差動増幅器A2の出力電圧は、差動増幅器A2の反転入力端子に入力する。抵抗分圧と出力電圧との差は差動増幅器A2で増幅され、差動増幅器A2は電圧Voutを検出部30に出力する。
【0090】
ここで、抵抗素子Rsは、高分子厚膜インクを使用した素子である。抵抗素子Rsも、操作面が操作者の押圧又は押圧の開放によって変位すると、抵抗値が変化する。
【0091】
図13は、
図12に示す抵抗素子Rsに加えられる加重と抵抗値との関係の一例を示す回路図である。
図14は、
図12に示す抵抗素子Rsに加えられる加重と抵抗回路140の出力電圧との関係の一例を示す回路図である。
図14は、抵抗素子Rsの抵抗値に応じて4つのグラフを示している。
図13、
図14は、駆動電圧V
INが3Vであるときのグラフを示している。
【0092】
図14に示すように、抵抗素子Rsの抵抗値が例えば1MΩのように大きい場合、消費電流は例えば数uA程度に小さくなるものの、抵抗回路140の出力電圧は急峻に立ち上がる。そのため、検出部30は、「押圧した」「押圧していない」の2値を検出することしかできない。
【0093】
一方、抵抗素子Rsの抵抗値が例えば1kΩのように小さい場合、抵抗回路140は押圧量に応じた電圧を出力する。この場合、検出部30は、押圧量を詳細に検出することができるものの、数百uAから数mA程度の電流が抵抗回路140に流れる。そのため、抵抗素子Rsは前述の歪み抵抗素子41と同様に、消費電力が比較的大きくなるという欠点を持つ。
【0094】
そこで、検出部30は、抵抗素子Rsを間欠的に動作させる。そのため、抵抗回路140は歪み抵抗回路40と同様に、消費電力を小さくすることができる。
【0095】
なお、歪み抵抗素子41は圧電フィルム21と同様に、歪みを検出する素子である。そのため、歪み抵抗素子41は、圧電フィルム21と併用しやすいという特徴を持つ。一方、高分子厚膜インクを使用した抵抗素子Rsは、垂直な力を直接検出する素子である。そのため、抵抗素子Rsの抵抗値の変化量は大きい。よって、抵抗素子Rsは、扱いやすいという特徴を持つ。
【0096】
最後に、前記実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲とを含む。