特許第6406504号(P6406504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406504
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】車体後部の構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20181004BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B62D25/04 D
   B62D25/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-180091(P2014-180091)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-52852(P2016-52852A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】村田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 和彦
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 カナダ国特許出願公開第02756721(CA,A1)
【文献】 特開平08−156836(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/168612(WO,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02569999(CA,A1)
【文献】 特開2006−298164(JP,A)
【文献】 実開平02−013886(JP,U)
【文献】 特開2006−312358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
B62D 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向へ延在するルーフサイドパネルと車両上下方向へ延在するリヤピラーとで区画されたウインド用の開口部及び後部ドアの開口部が設けられている車体後部の構造において、
前記リヤピラーは、アウターパネルとピラーインナーパネルとを備え、前記ピラーインナーパネルは、車両幅方向に面して配置される前後方向パネル面部と車両前後方向に面して配置される上下方向パネル面部とによって断面略L字形状に形成され、
前記ルーフサイドパネルのルーフサイドアウタパネルとルーフサイドインナーパネルによって、内部に空間を有する閉断面形状が形成され、前記ピラーインナーパネルの上部は、断面略L字形状を維持しながら、前記閉断面形状を上下に横断して配置されているとともに、前記ルーフサイドインナーパネルの上辺部及び下辺部に接合され
前記ピラーインナーパネルの前記上下方向パネル面部の上部は、バルクヘッドに形成され、該バルクヘッドの車両外側の辺部は、前記ルーフサイドインナーパネルの上辺部へ向かって延びていることを特徴とする車体後部の構造。
【請求項2】
前記ルーフサイドインナーパネルと前記ピラーインナーパネルの前記前後方向パネル面部とは、重ね合わされた状態で接合されていることを特徴とする請求項1に記載の車体後部の構造。
【請求項3】
前記ルーフサイドインナーパネルと前記ピラーインナーパネルの前記前後方向パネル面部とは、L字状角部に沿って設けられた接合点で接合され、前記上下方向パネル面部の後方には、車両前後方向へ延びる平面部が形成されていることを特徴とする請求項1又はのいずれかに記載の車体後部の構造。
【請求項4】
前記ピラーインナーパネルの前記上下方向パネル面部は、前記ウインド用の開口部に面して配置される縦壁として構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車体後部の構造。
【請求項5】
前記ピラーインナーパネルは、リンフォースメントによって構成されていることを特徴とする請求項〜4のいずれかに記載の車体後部の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフサイドパネルとリヤピラーとで区画されたウインド用の開口部及び後部ドアの開口部が設けられている車両の車体後部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の中には、車両前後方向へ延在するルーフサイドパネルと車両上下方向へ延在するリヤピラー(Cピラー)とで区画されたウインド用の開口部及び後部ドアの開口部が設けられている車体後部の構造を備えているものがある。
このような構造の車体後部では、リヤピラーがアウターパネルとインナーパネルとを互いに接合することによって閉断面に構成されており、当該リヤピラーの閉断面内には、剛性を向上させるリンフォースメントが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3506414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の車体後部の構造においては、リヤピラーの閉断面内にリンフォースメントが設けられているが、該リンフォースメントは、ルーフサイドパネルとリヤピラーとの接合部分に入り込んで設けられていないので、当該接合部分において十分な接合強度が得られず、車体後部に捩じり変形や曲げ変形が発生し易いという問題を有していた。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、ルーフサイドパネルとリヤピラーとの接合部における接合強度を高めることによって、車体後部の捩じり剛性及び曲げ剛性を向上させることが可能な車体後部の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、車両前後方向へ延在するルーフサイドパネルと車両上下方向へ延在するリヤピラーとで区画されたウインド用の開口部及び後部ドアの開口部が設けられている車体後部の構造において、前記リヤピラーは、アウターパネルとピラーインナーパネルとを備え、前記ピラーインナーパネルは、車両幅方向に面して配置される前後方向パネル面部と車両前後方向に面して配置される上下方向パネル面部とによって断面略L字形状に形成され、前記ルーフサイドパネルのルーフサイドアウタパネルとルーフサイドインナーパネルによって、内部に空間を有する閉断面形状が形成され、前記ピラーインナーパネルの上部は、断面略L字形状を維持しながら、前記閉断面形状を上下に横断して配置されているとともに、前記ルーフサイドインナーパネルの上辺部及び下辺部に接合され、前記ピラーインナーパネルの前記上下方向パネル面部の上部は、バルクヘッドに形成され、該バルクヘッドの車両外側の辺部は、前記ルーフサイドインナーパネルの上辺部へ向かって延びている。
【0008】
さらに、本発明において、前記ルーフサイドインナーパネルと前記ピラーインナーパネルの前記前後方向パネル面部とは、重ね合わされた状態で接合されている。
【0009】
そして、本発明において、前記ルーフサイドインナーパネルと前記ピラーインナーパネルの前記前後方向パネル面部とは、L字状角部に沿って設けられた接合点で接合され、前記上下方向パネル面部の後方には、車両前後方向へ延びる平面部が形成されている。
【0010】
また、本発明において、前記ピラーインナーパネルの前記上下方向パネル面部は、前記ウインド用の開口部に面して配置される縦壁として構成されている。
【0011】
さらに、本発明において、前記ピラーインナーパネルは、リンフォースメントによって構成されている。
【発明の効果】
【0012】
上述の如く、本発明に係る車体後部の構造は、車両前後方向へ延在するルーフサイドパネルと車両上下方向へ延在するリヤピラーとで区画されたウインド用の開口部及び後部ドアの開口部が設けられているものであって、前記リヤピラーは、アウターパネルとピラーインナーパネルとを備え、前記ピラーインナーパネルは、車両幅方向に面して配置される前後方向パネル面部と車両前後方向に面して配置される上下方向パネル面部とによって断面略L字形状に形成され、前記ルーフサイドパネルのルーフサイドアウタパネルとルーフサイドインナーパネルによって、内部に空間を有する閉断面形状が形成され、前記ピラーインナーパネルの上部は、断面略L字形状を維持しながら、前記閉断面形状を上下に横断して配置されているとともに、前記ルーフサイドインナーパネルの上辺部及び下辺部に接合され、前記ピラーインナーパネルの前記上下方向パネル面部の上部は、バルクヘッドに形成され、該バルクヘッドの車両外側の辺部は、前記ルーフサイドインナーパネルの上辺部へ向かって延びているので、従来の構造と比べて簡単かつ効率の良いパネル構成で、ルーフサイドパネルとリヤピラーとのT字状接合部における接合強度を高めることが可能となり、車体後部の捩じり剛性及び曲げ剛性を向上させることができる。したがって、本発明の車体後部の構造によれば、ルーフサイドパネルとリヤピラーとのT字状接合部における平面内変形及び回転変形を低減させることができる。
また、本発明の車体後部の構造によれば、ルーフサイドインナーパネルが捩じれる時に、バルクヘッドの車両外側の辺部が突っ張って、ルーフサイドインナーパネルの上辺部を効率良く支えることができ、ルーフサイドパネルとリヤピラーとのT字状接合部の回転変形をより一層抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記ルーフサイドインナーパネルと前記ピラーインナーパネルの前記前後方向パネル面部とは、重ね合わされた状態で接合されているので、ルーフサイドインナーパネルと前後方向パネル面部とが、段差なくほぼ同じ平面上に配置されることになり、上下方向パネル面部によるルーフサイドインナーパネルの捩じれ抑え効果をより顕著に発揮することができる。換言すると、ピラーインナーパネルの前後方向パネル面部と上下方向パネル面部の折部稜線が屈曲することなくリヤピラーからルーフサイドインナーパネルを横断してルーフサイドインナーパネルの上辺部近傍まで配置されているので、断面略L字形状のピラーインナーパネルによる接合部の捩じり剛性及び曲げ剛性をさらに向上させる効果を得ることができる。
【0015】
そして、本発明において、前記ルーフサイドインナーパネルと前記ピラーインナーパネルの前記前後方向パネル面部とは、L字状角部に沿って設けられた接合点で接合され、前記上下方向パネル面部の後方には、車両前後方向へ延びる平面部が形成されているので、ルーフサイドインナーパネル及びピラーインナーパネルの接合部の剛性向上を図ることができる。しかも、ピラーインナーパネルの上下方向パネル面部の上部に形成された三角形のバルクヘッドによる支え効果を強化することになるので、ルーフサイドパネルとリヤピラーとのT字状接合部の回転変形をより一層低減させることができる。
【0016】
また、本発明において、前記ピラーインナーパネルの前記上下方向パネル面部は、前記ウインド用の開口部に面して配置される縦壁として構成されているので、縦壁である上下方向パネル面部がウインド用の開口部を周回して配置されることになり、車体後部の面剛性を向上させることができる。これに伴って、リヤピラーの剛性も向上することになるので、ルーフサイドパネルの捩じれなどにより生じるリヤピラーの上部の変形に対して、リヤピラー全体で支えることが可能となり、リヤピラーの上部の変形を効果的に抑えることができる。
【0017】
さらに、本発明において、前記ピラーインナーパネルは、リンフォースメントによって構成されているので、ピラーインナーパネルがルーフサイドインナーパネルの車室内側に取付けられる場合や、リヤピラーの剛性をさらに向上させたい場合に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る構造が適用される車両の車体後部を車両外側から見た側面図である。
図2図1における車体後部のルーフサイドパネル及びリヤピラーの接合部付近を車両斜め前方から見た斜視図である。
図3図2におけるA−A線断面図である。
図4図1におけるB−B線断面図であって、図2のZ方向から見た矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1図4は本発明の実施形態に係る車体後部の構造を示すものである。
【0020】
本発明の実施形態の構造が適用される車両の車体後部1の側面には、図1図3に示すように、ウインド用の開口部2と後部ドア(図示せず)で開閉されるドア用の開口部3とが設けられている。これらウインド用の開口部2及びドア用の開口部3は、車両前後方向へ延在するルーフサイドパネル4と車両上下方向へ延在するリヤピラー(Cピラー)5とによって区画されており、ウインド用の開口部2は、リヤピラー5に対して車両後方側に配置され、ドア用の開口部3は、リヤピラー5に対して車両前方側に配置されている。また、ルーフサイドパネル4とリヤピラー5の上部とは、互いに接合されており、両者の接合部は、車両側方視でT字状に形成されている。
【0021】
本実施形態のルーフサイドパネル4は、図2及び図4に示すように、車両外側に配置されるサイドアウターパネル6の上下フランジ部分と、車両内側に配置されるルーフサイドインナーパネル7の上下フランジ部分とを互いに接合することによって、内部に空間を有する閉断面形状に形成されている。サイドアウターパネル6は、リヤピラー5の配設箇所及びその周辺箇所において、ピラーアウターパネルとして構成されている。
【0022】
本実施形態のリヤピラー5は、図1図4に示すように、車両外側に配置されるサイドアウターパネル6と車両内側に配置されるピラーインナーパネル8とを備えており、互いの重ね合わせ部を接合することによって、内部に空間を有する閉断面形状に形成されている。ピラーインナーパネル8は、車両幅方向に面して配置される前後方向パネル面部9と車両前後方向に面して配置される上下方向パネル面部10とによって断面略L字形状に形成されており、上下方向パネル面部10は、前後方向パネル面部9の車両後方位置に起立して設けられている。ピラーインナーパネル8の上部は、断面略L字形状を維持しながら、ルーフサイドパネル4のルーフサイドインナーパネル7を上下に横断して配置されており、上側接合部W1及び下側接合部W2でルーフサイドインナーパネル7の上辺部7a及び下辺部7bにそれぞれ接合されている。このため、ルーフサイドインナーパネル7の上辺部7aは、車両内側へ向かって斜め上方に屈曲されており、ルーフサイドインナーパネル7の下辺部7bは、車両外側へ向かって斜め下方に屈曲されている。なお、ピラーインナーパネル8とサイドアウターパネル6との接合箇所では、ルーフサイドインナーパネル7の上辺部7a及び下辺部7bに3枚重ねの状態でそれぞれ接合されている。
【0023】
ピラーインナーパネル8の上下方向パネル面部10の上部は、図4に示すように、ルーフサイドパネル4の閉断面形状の空間内において、車両前方視(図2の矢印Z方向)で三角形のバルクヘッド11に屈曲形成されており、該バルクヘッド11の車両外側の斜辺部11aは、ルーフサイドインナーパネル7の上辺部7aへ向かって斜めに延びている。このため、車両走行時などにおいてルーフサイドインナーパネル7が捩じれた場合でも、バルクヘッド11の車両外側の斜辺部11aが突っ張る作用を果たし、当該斜辺部11aによってルーフサイドインナーパネル7の上辺部7aが支えられることになり、ルーフサイドパネル4とリヤピラー5とのT字状接合部の回転変形が抑えられるようになっている。
【0024】
また、ルーフサイドインナーパネル7とピラーインナーパネル8の前後方向パネル面部9とは、重ね合わされた状態で接合されている。このため、ルーフサイドインナーパネル7は、ピラーインナーパネル8の車両前後で平板状に形成されているとともに、前後方向パネル面部9は、ルーフサイドインナーパネル7に対応する平面状に形成されており、重ね合わされた状態で段差が小さくなるように設定されている。これにより、ルーフサイドインナーパネル7と前後方向パネル面部9とが、段差なくほぼ同じ平面上に配置されることになり、上述した上下方向パネル面部10によるルーフサイドインナーパネル7の捩じれが抑えられるようになっている。すなわち、ピラーインナーパネル8の前後方向パネル面部9と上下方向パネル面部10の折部稜線が屈曲することなくリヤピラー5からルーフサイドインナーパネル7を横断してルーフサイドインナーパネル7の上辺部7aの近傍まで配置されているため、断面略L字形状のピラーインナーパネル8による接合部の捩じり剛性及び曲げ剛性が向上することになる。
【0025】
さらに、ルーフサイドインナーパネル7とピラーインナーパネル8の前後方向パネル面部9とは、図2及び図3に示すように、当該前後方向パネル面部9の車両後方に位置するL字状角部12に沿って設けられた接合点W3で接合され、三角形のバルクヘッド11の1辺がルーフサイドインナーパネル7に固定されている。また、上下方向パネル面部10の車両後方には、車両前後方向へ延びる平面部10aが形成されており、三角形のバルクヘッド11の他方の辺が稜線として、ルーフサイドインナーパネル7及びピラーインナーパネル8の接合部の剛性が高められている。これにより、ピラーインナーパネル8の上下方向パネル面部10の上部に形成された三角形のバルクヘッド11による支え効果が強化されることになり、ルーフサイドパネル4とリヤピラー5とのT字状接合部の回転変形が低減されるようになっている。
【0026】
一方、本実施形態の構造におけるピラーインナーパネル8の上下方向パネル面部10は、図2に示すように、ウインド用の開口部2に面して連続的に配置される縦壁として構成されており、縦壁である上下方向パネル面部10がウインド用の開口部4を周回して配置されることによって、車体後部1の面剛性が向上する構造になっている。また、これと連動して、リヤピラー5の剛性も向上することになる。そのため、ルーフサイドパネル4の捩じれなどにより生じるリヤピラー5の上部の変形に対して、リヤピラー5の全体で支えることが可能となり、リヤピラー5の上部の変形が抑えられるようになっている。
【0027】
このように、本発明の実施形態の構造における車体後部1には、車両前後方向へ延在する閉断面形状のルーフサイドパネル4と車両上下方向へ延在する閉断面形状のリヤピラー5とで区画されたウインド用の開口部2及びドア用の開口部3が設けられ、リヤピラー5は、サイドアウターパネル6とピラーインナーパネル8とから構成され、ピラーインナーパネル8は、車両幅方向に面して配置される前後方向パネル面部9と、前後方向パネル面部9の車両後方位置で車両前後方向に面して配置される上下方向パネル面部10とによって断面略L字形状に形成されており、ピラーインナーパネル8の上部は、断面略L字形状を維持しながら、ルーフサイドインナーパネル7を上下に横断して配置されているとともに、ルーフサイドインナーパネル7の上辺部7a及び下辺部7bに接合されている。
したがって、本実施形態の車体後部1の構造によれば、従来の構造のものよりも簡単でかつ効率の良いパネル構成が得られることになり、ルーフサイドパネル4とリヤピラー5とのT字状接合部における接合強度を高めることができ、車体後部1の捩じり剛性及び曲げ剛性の向上を図ることができる。また、本実施形態の車体後部1の構造によれば、ルーフサイドパネル4とリヤピラー5とのT字状接合部における平面内変形及び回転変形を低減させることができ、乗り心地性能や操縦安定性を向上させることもできる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0029】
例えば、既述の実施の形態におけるリヤピラー5は、サイドアウターパネル6とピラーインナーパネル8とから構成されているが、ピラーインナーパネル8は、断面略L字形状のリンフォースメントによって構成されていても良い。この際、リヤピラー5は、更なる剛性を高めるなどの理由から、リンフォースメントの下面側を覆うようにピラーインナーパネルが配置されるような構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 車体後部
2 ウインド用の開口部
3 ドア用の開口部(後部ドアの開口部)
4 ルーフサイドパネル
5 リヤピラー
6 サイドアウターパネル(アウターパネル)
7 ルーフサイドインナーパネル
7a 上辺部
7b 下辺部
8 ピラーインナーパネル
9 前後方向パネル面部
10 上下方向パネル面部
10a 平面部
11 バルクヘッド
11a 車両外側の斜辺部
12 L字状角部
W1 上側接合部
W2 下側接合部
W3 接合点
図1
図2
図3
図4