(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鋳型によって梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴を、代表値として予め記憶しておき、
照合対象の物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴を取得し、
前記取得した画像特徴と前記記憶されている代表値の画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を、前記鋳型単位で照合する
照合方法。
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
請求項9に記載の照合方法。
鋳型によって梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴が、代表値として記憶された画像特徴記憶手段と、
照合対象の物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴と前記記憶されている代表値の画像特徴とを用いて、前記鋳型単位で前記照合対象の物品を照合する照合手段と
を有する照合システム。
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
請求項19に記載の照合システム。
鋳型によって梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域の梨地模様画像特徴が代表値として記憶されており、前記代表値の画像特徴と、取得した照合対象の物品の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を照合する照合手段を有する照合装置。
前記梨地模様は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工が施されたものであり、前記鋳型による梨地模様の粗さは、前記後段の加工によって生じる個体差の模様よりも粗く処理されたものであり、
前記照合手段は、鋳型の照合と個体差の照合とを独立に行う
請求項22から請求項24のいずれかに記載の照合装置。
鋳型によって梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域の梨地模様の画像特徴が代表値として記憶されており、前記代表値の画像特徴と、取得した照合対象の物品の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を照合する照合処理を
コンピュータに実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態のブロック図である。
【0019】
本発明の第1の実施の形態は、梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、その照合領域の梨地模様の画像特徴が記憶された画像特徴記憶部1と、照合対象の物品の照合領域の梨地模様の画像特徴と前記記憶されている画像特徴とを用いて、照合対象の物品を照合する照合部2とを有する照合システムである。
【0020】
すなわち、本実施の形態は、物品に施された梨地模様が個体毎に微妙に異なること、又は、後述するように、同一種類の物品であるならば、梨地模様がある程度の共通性を持つこと等の特徴を利用し、梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、その照合領域の梨地模様により、物品の照合(識別)を行うことを特徴とする。
【0021】
ここで、物品とは、製造業者により生産される生産物をいい、テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやバック等のように、一般消費者がひとつの完成品として購入するものや、ひとつの完成品に使用される部品、例えば、ファスニング部品(ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタン等)や、ネジ、釘、半導体チップ、プラスチック部品等がある。
【0022】
また、梨地模様は、例えば、デザインとして梨地模様が形成されている場合のみならず、物品の識別又は照合のために、故意に照合領域に梨地模様を形成した場合も含む。
【0023】
更に、梨地模様は、後述する金属や合成樹脂(プラスチック等)等への加工処理によって施された梨地模様のみならず、皮革製品に表面処理(例えば、シボ加工)することにより得られたシワ模様(シボ)等も含む概念である。例えば、
図2に示されるように、シボ加工が施された皮革のバックの場合、バックの皮の表面には微少な凹凸がランダムに形成されており、これらの微少な凹凸は梨地模様と同様とみなすことができる。
【0024】
物品に施される梨地模様の加工処理、例えば、金属や合成樹脂(プラスチック等)等への加工処理は大きく分けて二通りの方法が考えられる。
【0025】
ひとつは、物品を射出成型や鋳造によって製造するための鋳型に対して梨地模様を施す処理方法である。鋳型に対する梨地加工は、エッチング、ブラストなど様々な手法を用いることが可能である。一般的な手法では、梨地の粒度などを制御可能であるが、微細な凹凸のひとつひとつの位置や大きさまで正確に再現されることはなく、加工の都度、ランダムなパターンが生成される。従って、同一の物品を製造する鋳型が複数作成される場合には、それぞれの鋳型の梨地加工領域の微細凹凸は、鋳造型毎に異なる。当然、模造品を生成する場合にも、一見して同じ鋳型を模造することは可能であるが、梨地の微細な凹凸のひとつひとつまでを完全に写し取ることは困難である。この処理方法によると、同一の鋳型から生産される全ての個体にほぼ一致する梨地模様を施すことができる。逆に、異なる鋳型であれば、梨地模様の微細特徴は異なっている。このような処理による場合、ある鋳型によってされた個体群(物品群)のうち少なくとも一以上を選択し、その個体の照合領域の梨地模様の画像特徴を、照合の基準となる代表値として画像特徴記憶部1に登録しておく。そして、画像特徴記憶部1に登録された画像特徴と一致する画像特徴を持つ物品個体は、その鋳型により梨地模様が施された物品であることを照合することができる。
【0026】
この方法では、特定の鋳型から生産された個体群(物品群)を少ない登録データによって照合できるという利点がある。
【0027】
他の方法は、エッチング、ブラスト、切削、結晶・紛体塗装、分散メッキ処理などの物品個体毎にランダムな微細凹凸模様を発生させる加工による梨地処理、あるいは、メッキ処理や塗装による微細な面凹凸の発生である。このような処理による場合、施された梨地模様は物品個体毎に異なる。そこで、物品個体毎に、その照合領域に施された梨地模様の画像特徴を画像特徴記憶部1に登録しておく。そして、画像特徴記憶部1に登録された画像特徴と一致する画像特徴を持つ物品は、画像特徴記憶部1に登録されている物品であることを照合することができる。
【0028】
この方法では、物品個体毎に梨地模様が異なるため、物品の個体単位で照合(識別)することができるという効果がある。
【0029】
更に、上記のふたつの方法を組み合わせて、鋳型により梨地加工された部分に、さらに、前記塗装やメッキ処理を加えることにより、微細凹凸の個体差の発生を促進し、さらに識別性が向上させることができる。このとき、鋳型毎の特徴差は残ったまま、加工による個体毎の特徴差がさらに加わることにより、両者それぞれの照合が可能になる。特に、鋳型に施す梨地加工の凹凸の大きさを、後段の梨地加工よりも粗くしておくことによって、個体差より鋳型差を大きくすることが可能である。このようにすれば、照合時の特徴量の類似度に対する閾値を、鋳型毎の照合時には個体毎の照合時よりも緩く設定し、上述したように少ない登録データで照合することが可能になる。さらに、この利点を活用して、階層的な照合によって照合処理量を削減することも可能である。
【0030】
次に、照合領域であるが、梨地模様が施された領域であれば、特に限定されないが、照合処理の容易さを考慮し、予め照合領域を定めておくことが望ましい。照合領域としては、物品に共通して存在する基準部位を基準として定められる位置の領域を照合領域とすることが考えられる。例えば、物品の基準部位とは、物品に貼付、印刷、刻印、焼印された製品の商標、ロゴ、製造者名、製造会社、ブランド名、製品名、製品番号等である。これらの基準部位は、同一物品であれば個体に寄らず、同一のパターンを共通に保有しており、外観上の特徴的な見え方をする。そして、これらの基準部位の位置姿勢を基準として定め、その特徴を記憶しておけば、物品の照合領域を自動的に検出することができる。
【0031】
また、物品の梨地模様が施された側に嵌合する部材(アダプター)を用意し、その部材の一部に外部より梨地模様が視認(撮影)できる空壁(穴)を設け、その視認(撮影)できる領域を照合領域としても良い。このようにすれば、照合領域の位置姿勢を識別の都度、認識する必要はなく、確実に照合領域を特定することができる。
【0032】
尚、照合のための梨地模様の画像特徴であるが、同一の物品個体でも、その物品に施された梨地模様を撮影する時の照明条件によって、その画像特徴が異なる場合がある。これは、梨地模様は細やかな凹凸から形成されており、光の照射方向によっては凹凸によって生じる影の位置が異なり、別の画像特徴となってしまうからである。従って、画像特徴記憶部1に登録する梨地模様と照合対象の物品の梨地模様とを、同様な照明条件の下で撮影することが好ましい。前記アダプターの使用によって、物品・照明・撮像素子の位置・姿勢を互いに固定すれば、この問題を解決できる。
【0033】
次に、物品の一例としてファスナー10を例にして、具体的な実施の形態を説明する。
【0034】
図3は物品の一例としてファスナー10を説明する為の図である。
【0035】
ファスナー10の引手部分の所定の領域には梨地模様11が施されている。本例では、梨地模様11の所定の範囲を照合領域12とするが、梨地模様11が施されている全ての領域を照合領域としてもかまわない。
【0036】
ここで、照合領域の定め方であるが、本実施の形態では、ファスナー10の梨地模様11側に嵌合するアダプター13により、照合領域12を定める。アダプター13の一例を、
図4に示す。アダプター13は、ファスナー10の梨地模様11側に嵌合するように構成され、ファスナー10を覆うような形に形成されており、ファスナー10をアダプター13の内壁奥まで挿入することにより、ファスナー10の位置・姿勢を固定されるように構成されている。更に、アダプター13には、ファスナー10の梨地模様11の一部が撮影できるように撮影穴14が設けられている。そして、撮影穴14で定められる領域を照合領域12としている。
【0037】
次に、照合領域12の梨地模様11の撮影であるが、撮影装置15により撮影する。撮影装置15は、撮影穴14に被せるように装着されて固定される。そして、そのアダプター13側には撮影用の光源16が設けられている。
【0038】
アダプター13及び撮影装置15を、このような構成にすることにより、ファスナー10の照合領域12を画一的に定めることができる。また、照合領域12に対して、光源16が一定の位置に配置されることにより、照合領域12の梨地模様が同一の照明条件により撮影することができ、照明条件の変化によって生じる梨地模様の画像特徴の変化を防ぐことができる。
【0039】
次に、画像特徴記憶部1の画像特徴の登録であるが、鋳型による梨地処理では、その鋳型により梨地処理されたファスナー10から数個程度を選択し、それらファスナー10にアダプター13を嵌合し、照合領域12の梨地模様11を撮影装置15により撮影する。また、加工による梨地処理では、それぞれのファスナー10にアダプター13を嵌合し、照合領域12の梨地模様11を撮影装置15により撮影する。これら撮影された梨地模様11から画像特徴を抽出し、画像特徴記憶部1に登録する。尚、撮影画像からの画像特徴の抽出は、画像の輝度値、特徴点、2値化画像の線の変曲点、交点、端点及び中心点など、指紋の画像特徴の抽出技術を用いることができる。
【0040】
一方、ファスナー10を照合する場合、照合対象のファスナー10を、上述したものと同様な撮影方法で撮影し、照合対象のファスナー10の照合領域12の梨地模様11の画像を取得する。撮影画像からの画像特徴の抽出は、上記と同様である。
【0041】
照合部2は、照合対象のファスナー10の画像特徴と、画像特徴記憶部1に記憶されている画像特徴とを比較し、例えば、同じ位置(ある閾値以内の範囲)にある特徴点の組数が所定数以上である場合には同一と判定し、照合対象のファスナー10は、画像特徴記憶部1に登録されているファスナー10と同じものであると判定する。
【0042】
このように、第1の実施の形態によれば、特に、物品を識別するタグや、RFIDタグのような特別な装置を用いることなく、部品の通常の生産過程で生じる梨地模様により、部品の照合を行うことができる。
【0043】
尚、上述した第1の実施の形態では、照合部2が梨地模様の画像特徴を入力して照合する構成を取ったが、これに限られない。例えば、
図5に示すように、取得部3が第1の梨地画像と第2の梨地画像とを取得し、照合部4が取得した第1の梨地画像と第2の梨地画像とを照合し、照合結果を出力するようにしても良い。
【0044】
このような構成であっても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
【0046】
第2の実施の形態は、物品の一例をファスナーとし、鋳型により、ファスナーに梨地模様を施す場合におけるファスナーの照合システムに関する。
【0047】
図6はファスナーの照合システムの構成図である。
【0048】
撮像部101は、ファスナー100の生産に係る者(ファスナーの生産業者等)や、ファスナー100の品質管理を行う者側に存在し、生産者等により、ファスナー100の照合領域を撮像するものである。撮像部101は、上述したアダプター13及び撮影装置15と同様なものである。尚、撮影する個数であるが、鋳型による梨地処理の場合、鋳型毎にほぼ同一の梨地模様が形成されるため、鋳型毎に数個のファスナーを選択し、選択したファスナーを撮影すれば良い。また、撮像された画像のファイル形式も問わず、JPEG等で良い。
【0049】
画像特徴抽出部102は、撮像部101で撮像された画像から照合領域の梨地模様の画像特徴を抽出するものである。画像特徴の抽出は、画像の輝度値、特徴点、2値化画像の線の変曲点、交点、端点及び中心点など、指紋の画像特徴の抽出技術を用いることができる。このようにして抽出された画像特徴は、画像特徴データベース103に登録される。
【0050】
画像特徴データベース103は、
図7に示す如く、鋳型とその鋳型で処理されたファスナー100の照合領域における梨地模様の画像特徴とが対応付けられて記憶されている。尚、生産場所、品種、生産日時の生産情報や、出荷先や出荷日等の流通情報等と関連付けて記憶させても良い。このようにすることにより、照合されたファスナーの履歴情報も取得できる。
【0051】
撮像部104及び画像特徴抽出部105は、ファスナーの検査部門や、ファスナーの出荷先等のファスナーの照合を行う側に存在し、撮像部101及び画像特徴抽出部102と同様な構成である。
【0052】
照合部106は、画像特徴抽出部105で抽出された、照合対象のファスナー107の照合領域の画像特徴と、画像特徴データベース103に記憶されている画像特徴とを照合し、一致するものがある場合、照合対象のファスナー107が画像特徴データベース103に登録された正規のファスナーであると判定する。例えば、ファスナー107の画像特徴が“YYY”である時、ファスナー107は鋳型2より処理されたファスナーであることが識別できる。尚、画像特徴の照合方法であるが、例えば、梨地模様の線の端点、交点、角を特徴点とし、特徴点の配置を照合し、同じ位置(ある閾値以内の範囲)にある特徴点の組数が所定数以上である場合同一と判定する。このような照合技術は、既存の指紋照合の技術を用いることができる。
【0053】
尚、上述した、撮像部、画像特徴抽出部、画像特徴データベース及び照合部は、それぞれ単独で存在し、互いにネットワークで接続されていても良いし、いくつかの部がまとめられて存在しても良い。
【0054】
以上の如く、本実施の形態によれば、物品を識別するタグや、RFIDタグのような特別な装置が不要で、部品の通常の生産過程で生じる梨地模様により、部品の個体、あるいは、物品を製造した鋳型の照合を行うことができる。特に、本第2の実施の形態では、鋳型による梨地処理なので、鋳型毎にほぼ同一の梨地模様が形成されるため、鋳型毎に照合を行う場合、例えば、鋳型毎の品質検査等に有用である。また、模造品等は正規品とは異なる鋳型を用いて製造されるので、模造品を判定することも可能になる。
(第3の実施の形態)
【0056】
第3の実施の形態は、物品の一例をファスナーとし、ブラスト処理により、ファスナーに個別に梨地模様を施す場合におけるファスナーの照合システムに関する。
【0057】
図8はファスナーの照合システムの構成図である。
【0058】
撮像部201は、ファスナー200の生産に係る者(ファスナーの生産業者等)や、ファスナー200の品質管理を行う者側に存在し、生産者等により、ファスナー200の照合領域を撮像するものである。撮像部201は、上述したアダプター13及び撮影装置15と同様なものである。尚、撮像された画像のファイル形式も問わず、JPEG等で良い。
【0059】
画像特徴抽出部202は、撮像部201で撮像された画像から照合領域の梨地模様の画像特徴を抽出するものである。画像特徴の抽出は、画像の輝度値、特徴点、2値化画像の線の変曲点、交点、端点及び中心点など、指紋の画像特徴の抽出技術を用いることができる。このようにして抽出された画像特徴は、画像特徴データベース203に登録される。
【0060】
画像特徴データベース203は、
図9に示す如く、ファスナー200の個体を識別する識別情報と、ファスナー200の照合領域における梨地模様の画像特徴とが対応付けられて記憶されている。尚、生産場所、品種、生産日時の生産情報や、出荷先や出荷日等の流通情報等と関連付けて記憶させても良い。このようにすることにより、照合されたファスナーの履歴情報も取得できる。
【0061】
撮像部204及び画像特徴抽出部205は、ファスナーの検査部門や、ファスナーの出荷先等のファスナーの照合を行う側に存在し、撮像部201及び画像特徴抽出部202と同様な構成である。
【0062】
照合部206は、画像特徴抽出部205で抽出された、照合対象のファスナー207の照合領域の画像特徴と、画像特徴データベース203に記憶されている画像特徴とを照合し、一致するものがある場合、照合対象のファスナー207が画像特徴データベース203に登録された正規のファスナーであると判定する。例えば、ファスナー207の画像特徴が“YYY”である時、ファスナー207は識別情報“ファスナー2”で特定されるファスナーであることが識別できる。尚、画像特徴の照合方法であるが、例えば、梨地模様の線の端点、交点、角を特徴点とし、特徴点の配置を照合し、同じ位置(ある閾値以内の範囲)にある特徴点の組数が所定数以上である場合同一と判定する。このような照合技術は、既存の指紋照合の技術を用いることができる。
【0063】
尚、上述した、撮像部、画像特徴抽出部、画像特徴データベース及び照合部は、それぞれ単独で存在し、互いにネットワークで接続されていても良いし、いくつかの部がまとめられて存在しても良い。
【0064】
以上の如く、本実施の形態によれば、物品を識別するタグや、RFIDタグのような特別な装置が不要で、部品の通常の生産過程で生じる梨地模様により、部品の照合を行うことができる。特に、本第3の実施の形態では、加工痕による梨地処理なので、部品ごとに異なる梨地模様が形成されるため、部品の照合を個体レベルで識別することができる。
(第4の実施の形態)
【0066】
第4の実施の形態は、物品の一例をファスナーとし、鋳型によって施されたファスナーの梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工を施した場合におけるファスナーの照合システムに関する。
【0067】
図10はファスナーの照合システムの構成図である。
【0068】
撮像部301は、ファスナー300の生産に係る者(ファスナーの生産業者等)や、ファスナー300の品質管理を行う者側に存在し、生産者等により、ファスナー300の照合領域を撮像するものである。撮像部301は、上述したアダプター13及び撮影装置15と同様なものである。尚、撮像された画像のファイル形式も問わず、JPEG等で良い。
【0069】
画像特徴抽出部302は、撮像部301で撮像された画像から照合領域の梨地模様の画像特徴を抽出するものである。画像特徴の抽出は、画像の輝度値、特徴点、2値化画像の線の変曲点、交点、端点及び中心点など、指紋の画像特徴の抽出技術を用いることができる。このようにして抽出された画像特徴は、画像特徴データベース303に登録される。
【0070】
尚、ファスナー300の画像特徴の取得であるが、ファスナー300は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工を施されている。よって、上述したように、鋳型毎の特徴差は残ったまま、加工による個体毎の特徴差がさらに加わっている。そこで、鋳型毎に、ファスナー300のサンプルを数個選択し、後段の加工前の鋳型による梨地模様の画像特徴(鋳型差画像特徴と呼ぶ)だけを取得することが望ましい。そして、他の個体については、鋳型による梨地模様に加え、後段の加工処理後の梨地模様の画像特徴(個体差画像特徴)を取得する。
【0071】
前記鋳型差画像特徴・個体差画像特徴のそれぞれの取得方法の一例として、次のような方法がある。鋳型に対する梨地加工によって生じる個々の微細凹凸のサイズをa、後段の加工によってさらに生じる凹凸のサイズをbとする。ここで、たとえばa>bとなるように加工を制御しておくとする。同じ鋳型から製造された個体の画像には、サイズaの斑点とサイズbの斑点とが混在して発生している。ここで、サイズがほぼaの斑点のみを特徴点として取得すれば、鋳型差画像特徴を取得できる。さらに、サイズbの斑点を抽出すれば、個体差画像特徴を取得できる。
【0072】
鋳型差特徴は、複数のサンプルから抽出し、その平均等を取ることによって、より安定した鋳型の照合が可能になる。
【0073】
画像特徴データベース303は、
図11に示す如く、ファスナー300の個体を識別する識別情報と、ファスナー300が生産された鋳型による照合領域における梨地模様の画像特徴と、各鋳型によって生産されたファスナー300群の照合領域における梨地模様の画像特徴とが対応付けられて記憶されている。尚、生産場所、品種、生産日時の生産情報や、出荷先や出荷日等の流通情報等と関連付けて記憶させても良い。このようにすることにより、照合されたファスナーの履歴情報も取得できる。
【0074】
撮像部304及び画像特徴抽出部305は、ファスナーの検査部門や、ファスナーの出荷先等のファスナーの照合を行う側に存在し、撮像部301及び画像特徴抽出部302と同様な構成である。
【0075】
照合部306は、画像特徴抽出部305で抽出された、照合対象のファスナー307の照合領域の画像特徴と、画像特徴データベース303に記憶されている画像特徴とを照合し、一致するものがある場合、照合対象のファスナー207が画像特徴データベース203に登録された正規のファスナーであると判定する。ここで、照合部306は、まず、照合対象のファスナー307の照合領域の画像特徴と、鋳型による照合領域における梨地模様の画像特徴(鋳型差画像特徴)とを照合することにより、ファスナー307を生産した鋳型を判別する。次に、判別した鋳型で生産されたファスナー群の個体差画像特徴と、ファスナー307の個体差画像特徴とを照合し、ファスナー307の個体を照合する。
【0076】
例えば、ファスナー307の画像特徴が“AAA+YYY”である場合、上述したように、たとえば斑点のサイズや線の太さによる選別によって、画像特徴AAAと画像特徴YYYに画像特徴を分離できる。ここで、ファスナー307の画像特徴が“AAA”を持つことにより、鋳型Aより生産されたものであることが判別できる。そして、鋳型Aより生産されたファスナー307群の画像特徴と、照合対象のファスナー307の画像特徴“AAA+YYY”とを照合することにより、ファスナー307は識別情報ファスナー2で特定されるファスナーであることが識別できる。尚、画像特徴の照合方法であるが、例えば、梨地模様の線の端点、交点、角を特徴点とし、特徴点の配置を照合し、同じ位置(ある閾値以内の範囲)にある特徴点の組数が所定数以上である場合同一と判定する。このような照合技術は、既存の指紋照合の技術を用いることができる。
【0077】
尚、上述した、撮像部、画像特徴抽出部、画像特徴データベース及び照合部は、それぞれ単独で存在し、互いにネットワークで接続されていても良いし、いくつかの部がまとめられて存在しても良い。
【0078】
以上の如く、本第4の実施の形態の特徴的な所は、上述した第2の実施の形態、2の効果に加えて、個体を識別する場合であっても、登録されている全ての画像特徴と照合する必要はなく、照合処理が高速に行える点である。また、ファスナーの個体レベルまでの照合を必要とせず、ファスナーを生産した鋳型レベルの照合のみ行うといった階層的な照合も行うことができる。
【0079】
尚、上述した第1の実施の形態から第4の実施の形態では、記憶されている梨地模様の画像特徴と、照合対象の梨地模様の画像特徴とを照合する例を説明したが、これに限られない。例えば、画像特徴ではなく、記憶されている梨地模様の画像と、照合対象の梨地模様の画像とを照合するようにしても良い。
【0080】
また、梨地模様が施されたファスナーを例にして、第1の実施の形態から第4の実施の形態を説明したが、物品や梨地模様はこれに限られない。例えば、梨地模様がデザインとして施されている場合に限らず、識別・照合ために梨地模様を物品の所定の照合領域に故意に施した場合も、上述した第1の実施の形態から第4の実施の形態を同様に適用することができるのは明らかである。
【0081】
更に、梨地模様はファスナーのような金属や合成樹脂(プラスチック等)等への加工処理によって施された梨地模様のみならず、上述したように、皮革製品の表面のシワ模様(シボ)等にも、第1の実施の形態から第4の実施の形態を同様に適用することができるのは明らかである。
【0082】
また、上述した説明からも明らかなように、画像特徴抽出部や照合部をハードウェアで構成することも可能であるが、コンピュータプログラムにより実現することも可能である。この場合、プログラムメモリに格納されているプログラムで動作するプロセッサによって、上述した実施の形態と同様の機能、動作を実現させる。
【0083】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0084】
(付記1)
梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、前記照合領域の梨地模様の少なくとも一つ以上の画像特徴を、予め記憶しておき、
照合対象の物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴を取得し、
前記取得した画像特徴と前記記憶されている画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を照合する
照合方法。
【0085】
(付記2)
前記記憶される画像特徴は、前記照合領域の梨地模様を、所定の照明条件により撮影して得られた画像の画像特徴であり、
前記照合対象の物品の画像特徴は、前記照合対象の物品の前記照合領域に施された梨地模様を、前記所定の照明条件と同様な照明条件で撮影して取得された画像特徴である
付記1に記載の照合方法。
【0086】
(付記3)
前記梨地模様は、鋳型によって施されたものである
付記1又は付記2に記載の照合方法。
【0087】
(付記4)
鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴を予め記憶する
付記3に記載の照合方法。
【0088】
(付記5)
前記梨地模様は、ブラスト加工、又は、紛体塗装によって施されたものである
付記1又は付記2に記載の照合方法。
【0089】
(付記6)
前記物品の個体毎に画像特徴を記憶する
付記5に記載の照合方法。
【0090】
(付記7)
前記梨地模様は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工が施されたものである
付記3から付記6のいずれかに記載の照合方法。
【0091】
(付記8)
前記鋳型による梨地模様の粗さを、前記後段の加工によって生じる個体差の模様よりも粗くしておくことにより、鋳型の識別と個体差の識別とを独立に行いやすくする
付記7に記載の照合方法。
【0092】
(付記9)
鋳型毎に鋳型による前記照合領域の梨地模様の画像特徴と、物品の個体毎の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とを記憶し、
前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と前記鋳型による画像特徴とを照合し、前記照合対象の物品に梨地模様を施した鋳型を特定し、
前記特定された鋳型によって梨地模様が施された物品の個体群の画像特徴と、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と照合する
付記3から付記8のいずれかに記載の照合方法。
【0093】
(付記10)
前記部品が、ファスニング部品である
付記1から付記9のいずれかに記載の照合方法。
【0094】
(付記11)
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
付記10に記載の照合方法。
【0095】
(付記12)
前記梨地模様は、識別又は照合用に物品に故意に施されたものである
付記1から付記10のいずれかに記載の照合方法。
【0096】
(付記13)
梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、前記照合領域の梨地模様の少なくとも一つ以上の画像特徴を取得するが記憶された画像特徴記憶手段と、
照合対象の物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴と前記記憶されている画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を照合する照合手段と
を有する照合システム。
【0097】
(付記14)
物品の前記照合領域の梨地模様を所定の照明条件により撮影し、前記物品の照合領域に施された梨地模様の画像特徴を取得する物品画像特徴取得手段と、
前記照合対象の物品の前記照合領域に施された梨地模様を、前記所定の照明条件と同様な照明条件で撮影し、前記照合対象の物品の画像特徴を取得する照合物品画像特徴取得手段と
を有する付記13に記載の照合システム。
【0098】
(付記15)
前記梨地模様は、鋳型によって施されたものである
付記13又は付記14に記載の照合システム。
【0099】
(付記16)
鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴を予め記憶する
付記15に記載の照合システム。
【0100】
(付記17)
前記梨地模様は、ブラスト加工、又は、紛体塗装によって施されたものである
付記13又は付記14に記載の照合システム。
【0101】
(付記18)
前記物品の個体毎に画像特徴を記憶する
付記17に記載の照合システム。
【0102】
(付記19)
前記梨地模様は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工が施されたものである
付記15から付記17のいずれかに記載の照合システム。
【0103】
(付記20)
前記鋳型による梨地模様の粗さを、前記後段の加工によって生じる個体差の模様よりも粗くしておくことにより、鋳型の識別と個体差の識別とを独立に行う
付記14から付記19のいずれかに記載の照合システム。
【0104】
(付記21)
前記画像特徴記憶手段は、鋳型毎に鋳型による前記照合領域の梨地模様の画像特徴と、物品の個体毎の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とが記憶され、
前記照合手段は、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と前記鋳型による画像特徴とを照合し、前記照合対象の物品に梨地模様を施した鋳型を特定し、前記特定された鋳型によって梨地模様が施された物品の個体群の画像特徴と、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と照合する
付記15から付記20のいずれかに記載の照合システム。
【0105】
(付記22)
前記部品が、ファスニング部品である
付記13から付記21のいずれかに記載の照合システム。
【0106】
(付記23)
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
付記22に記載の照合システム。
【0107】
(付記24)
前記梨地模様は、識別又は照合用に物品に故意に施されたものである
付記13から付記23のいずれかに記載の照合システム。
【0108】
(付記25)
物品に施された梨地模様を撮像した画像を取得する取得手段と、
物品に施された梨地模様を撮像した第一の画像と第二の画像とを照合した結果を出力する出力手段と
を有する装置。
【0109】
(付記26)
前記梨地模様は、鋳型によって施されたものである
付記25に記載の装置。
【0110】
(付記27)
前記梨地模様は、ブラスト加工、又は、紛体塗装によって施されたものである
付記25に記載の装置。
【0111】
(付記28)
前記梨地模様は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工が施され、前記鋳型による梨地模様の粗さが前記後段の加工によって生じる個体差の模様よりも粗く処理されたものであり、
前記出力手段は、鋳型の照合と個体差の照合とを独立に行う
付記25から付記27のいずれかに記載の装置。
【0112】
(付記29)
前記部品が、ファスニング部品である
付記25から付記28のいずれかに記載の装置。
【0113】
(付記30)
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
付記29に記載の装置。
【0114】
(付記31)
前記梨地模様は、識別又は照合用に物品に故意に施されたものである
付記25から付記30のいずれかに記載の装置。
【0115】
(付記32)
梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、前記照合領域の梨地模様の少なくとも一つ以上の予め記憶された画像特徴と、取得した照合対象の物品の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を照合する照合手段
を有する照合装置。
【0116】
(付記33)
前記梨地模様は、鋳型によって施されたものである
付記32に記載の照合装置。
【0117】
(付記34)
前記記憶されている画像特徴は、鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴である
付記32又は付記33に記載の照合装置。
【0118】
(付記35)
前記梨地模様は、ブラスト加工、又は、紛体塗装によって施されたものである
付記32に記載の照合装置。
【0119】
(付記36)
前記記憶されている画像特徴は、前記物品の個体毎の画像特徴である
付記35に記載の照合装置。
【0120】
(付記37)
前記梨地模様は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工が施されたものであり、前記鋳型による梨地模様の粗さを、前記後段の加工によって生じる個体差の模様よりも粗く処理されたものであり、
前記照合手段は、鋳型の照合と個体差の照合とを独立に行う
付記32から付記33のいずれかに記載の照合装置。
【0121】
(付記38)
前記記憶されている画像特徴は、鋳型毎に鋳型による前記照合領域の梨地模様の画像特徴と、物品の個体毎の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とであり、
前記照合手段は、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と前記鋳型による画像特徴とを照合し、前記照合対象の物品に梨地模様を施した鋳型を特定し、前記特定された鋳型によって梨地模様が施された物品の個体群の画像特徴と、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と照合する
付記32から付記37のいずれかに記載の照合装置。
【0122】
(付記39)
前記部品が、ファスニング部品である
付記32から付記38のいずれかに記載の照合装置。
【0123】
(付記40)
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
付記39に記載の照合装置。
【0124】
(付記41)
前記梨地模様は、識別又は照合用に物品に故意に施されたものである
付記32から付記40のいずれかに記載の照合装置。
【0125】
(付記42)
梨地模様が施された物品の所定領域の少なくとも一部を照合領域とし、前記照合領域の梨地模様の少なくとも一つ以上の予め記憶された画像特徴と、取得した照合対象の物品の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とを用いて、前記照合対象の物品を照合する照合処理を
コンピュータに実行させるプログラム。
【0126】
(付記43)
前記梨地模様は、鋳型によって施されたものである
付記42に記載のプログラム。
【0127】
(付記44)
前記記憶されている画像特徴は、鋳型毎に、同一の鋳型によって梨地模様が施された複数の物品のうち少なくとも一つの物品の前記照合領域に施された梨地模様の画像特徴である
付記42又は付記43に記載のプログラム。
【0128】
(付記45)
前記梨地模様は、ブラスト加工、又は、紛体塗装によって施されたものである
付記42に記載のプログラム。
【0129】
(付記46)
前記記憶されている画像特徴は、前記物品の個体毎の画像特徴である
付記45に記載のプログラム。
【0130】
(付記47)
前記梨地模様は、鋳型によって施された梨地模様の上に、後段の加工として、ブラスト加工、又は、紛体塗装による梨地加工、あるいはめっき加工が施されたものであり、前記鋳型による梨地模様の粗さを、前記後段の加工によって生じる個体差の模様よりも粗く処理されたものであり、
前記照合処理は、鋳型の照合と個体差の照合とを独立に行う
付記42から付記46のいずれかに記載のプログラム。
【0131】
(付記48)
前記記憶されている画像特徴は、鋳型毎に鋳型による前記照合領域の梨地模様の画像特徴と、物品の個体毎の前記照合領域の梨地模様の画像特徴とであり、
前記照合処理は、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と前記鋳型による画像特徴とを照合し、前記照合対象の物品に梨地模様を施した鋳型を特定し、前記特定された鋳型によって梨地模様が施された物品の個体群の画像特徴と、前記照合対象の物品の前記照合領域の画像特徴と照合する
付記42から付記47のいずれかに記載のプログラム。
【0132】
(付記49)
前記部品が、ファスニング部品である
付記42から付記48のいずれかに記載のプログラム。
【0133】
(付記50)
前記ファスニング部品が、ライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンの少なくともいずれかである
付記49に記載のプログラム。
【0134】
(付記51)
前記梨地模様は、識別又は照合用に物品に故意に施されたものである
付記42から付記50のいずれかに記載のプログラム。
【0135】
以上好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
【0136】
本出願は、2012年6月22日に出願された日本出願特願2012−140356号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。