特許第6406532号(P6406532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ダイヤモンド工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6406532-脆性材料基板の分断装置 図000002
  • 特許6406532-脆性材料基板の分断装置 図000003
  • 特許6406532-脆性材料基板の分断装置 図000004
  • 特許6406532-脆性材料基板の分断装置 図000005
  • 特許6406532-脆性材料基板の分断装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406532
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】脆性材料基板の分断装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20181004BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20181004BHJP
   B28D 1/24 20060101ALI20181004BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20181004BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H01L21/78 V
   B28D5/00 A
   B28D1/24
   H01L21/78 M
   B23K26/364
   C03B33/033
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-128223(P2017-128223)
(22)【出願日】2017年6月30日
(62)【分割の表示】特願2014-167322(P2014-167322)の分割
【原出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-212451(P2017-212451A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2017年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗山 規由
(72)【発明者】
【氏名】村上 健二
(72)【発明者】
【氏名】武田 真和
(72)【発明者】
【氏名】五十川 久司
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−171175(JP,A)
【文献】 特公昭58−003212(JP,B1)
【文献】 特開2000−154031(JP,A)
【文献】 特開平05−297334(JP,A)
【文献】 特開平03−002720(JP,A)
【文献】 特開平11−233459(JP,A)
【文献】 特開昭53−111586(JP,A)
【文献】 特開昭53−118366(JP,A)
【文献】 特公昭48−021421(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/364
B28D 1/24
B28D 5/00
C03B 33/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料基板を3点曲げ方式にて分断するための装置であって、前記脆性材料基板の一方主面側の分断対象位置にスクライブラインが形成され、当該一方主面が粘着フィルムに当該粘着フィルムの周囲に余白領域を設けつつ貼り付けられ、前記脆性材料基板の他方主面の全面に、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを接触させつつ、前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記粘着フィルムの前記余白領域に貼付することによって前記保護フィルムを配置されており、前記脆性材料基板を2つの下刃の間にスクライブラインの形成箇所を位置させる態様にて2つの下刃によって下方から支持する支持手段、先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接可能な上刃と、前記上刃を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面の分断予定位置に当接せるようにしながら下降させる手段と、を備えることを特徴とする脆性材料基板の分断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆性材料基板を分断する方法及び装置に関し、特に、3点曲げ方式にて分断する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板などの脆性材料基板を分割(チップの個片化)する手法として、ストリートと呼ばれる分割予定ラインに円形ホイールなどの刃先もしくはレーザーにて分割起点となるスクライブラインを形成し、その後ブレーク装置で脆性材料基板に対し3点曲げの手法にて曲げ応力を加えて分割起点からクラック(亀裂)を伸展させることによって基板を分断する態様がすでに公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
係る分断は、円形環状もしくは矩形環状の枠体であるダイシングフレームに張設された粘着性を有するダイシングテープの被接着面に分断対象たる脆性材料基板を貼付固定した状態で行うのが一般的である。
【0004】
また、分断に先立ち、キズ防止や汚染物の付着防止などを目的として、少なくとも脆性材料基板のブレーク装置の上刃(ブレーク刃)が当接する側の面(ブレーク時に下方支持される側の面の反対面)に、粘着力の弱い保護フィルムを貼付しておく態様も、すでに公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−83821号公報
【特許文献2】特許4198601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブレーク装置による脆性材料基板の分断は、下方支持された脆性材料基板の上面(被当接面)側に上刃(ブレーク刃)を当接させた状態でさらに押し込み、上刃先端の極小エリアに荷重を集中させることによってなされる。それゆえ、特許文献2に開示されているように、保護フィルムを使用した状態で分断を行った場合、たとえその粘着性が弱いものであったとしても、係る荷重集中の結果として、保護フィルムの粘着物が分断後の脆性材料基板に付着・残存してしまうことがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、脆性材料基板の被当接面を好適に保護しつつも粘着物等の付着・残存が生じることのない脆性材料基板の分断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の脆性材料基板の分断装置は、脆性材料基板を3点曲げ方式にて分断するための装置であって、前記脆性材料基板の一方主面側の分断対象位置にスクライブラインが形成され、当該一方主面が粘着フィルムに当該粘着フィルムの周囲に余白領域を設けつつ貼り付けられ、前記脆性材料基板の他方主面の全面に、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを接触させつつ、前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記粘着フィルムの前記余白領域に貼付することによって前記保護フィルムを配置されており、前記脆性材料基板を2つの下刃の間にスクライブラインの形成箇所を位置させる態様にて2つの下刃によって下方から支持する支持手段、先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接可能な上刃と、前記上刃を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面の分断予定位置に当接せるようにしながら下降させる手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の分断装置は、例えば、脆性材料基板を分断する方法であって、脆性材料基板の一方主面側の分断対象位置にスクライブラインを形成するスクライブライン形成工程と、前記スクライブラインが形成されてなる前記脆性材料基板の前記一方主面を、周囲に余白領域を設けつつ粘着フィルムに貼り付ける基板貼付工程と、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを前記脆性材料基板の他方主面の全面に接触させつつ前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記粘着フィルムの前記余白領域に貼付することによって前記保護フィルムを前記脆性材料基板上に配置する保護フィルム配置工程と、前記保護フィルムが配置されてなる前記脆性材料基板を下方から支持した状態で、上刃の先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接させるようにしながら下降させることによって前記脆性材料基板を分断する分断工程と、を備えることを特徴とする分断方法に使用することができる。
【0009】
発明の分断装置は、例えば、脆性材料基板を分断する方法であって、脆性材料基板の一方主面側の分断対象位置にスクライブラインを形成するスクライブライン形成工程と、前記スクライブラインが形成されてなる前記脆性材料基板の前記一方主面を、枠体に粘着フィルムを張設してなる基板保持部材の前記粘着フィルムに貼り付ける基板貼付工程と、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを前記脆性材料基板の他方主面の全面に接触させつつ前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記基板保持部材に固定することによって前記保護フィルムを前記脆性材料基板上に配置する保護フィルム配置工程と、前記保護フィルムが配置されてなる前記脆性材料基板を下方から支持した状態で、上刃の先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接させるようにしながら下降させることによって前記脆性材料基板を分断する分断工程と、を備えることを特徴とする分断方法に使用することができる
【0010】
発明の分断装置は、例えば、脆性材料基板を分断する方法であって、あらかじめ一方主面側の分断対象位置にスクライブラインが形成されてなる脆性材料基板の前記一方主面を、周囲に余白領域を設けつつ粘着フィルムに貼り付けるとともに、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを前記脆性材料基板の他方主面の全面に接触させつつ前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記粘着フィルムの前記余白領域に貼付したうえで、前記保護フィルムが配置されてなる前記脆性材料基板を下方から支持し、上刃の先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接させるようにしながら下降させることによって前記脆性材料基板を分断する、ことを特徴とする分断方法に使用することができる
【0011】
発明の分断装置は、例えば、脆性材料基板を分断する方法であって、あらかじめ一方主面側の分断対象位置にスクライブラインが形成されてなる脆性材料基板の前記一方主面を、枠体に粘着フィルムを張設してなる基板保持部材の前記粘着フィルムに貼り付けるとともに、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを前記脆性材料基板の他方主面の全面に接触させつつ前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記基板保持部材に固定したうえで、前記保護フィルムが配置されてなる前記脆性材料基板を下方から支持し、上刃の先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接させるようにしながら下降させることによって前記脆性材料基板を分断する、ことを特徴とする分断方法に使用することができる
【0012】
発明の分断装置は、脆性材料基板を分断するための装置であって、一方主面側の分断対象位置にスクライブラインが形成されてなる前記脆性材料基板の前記一方主面を、周囲に余白領域を設けつつ粘着フィルムに貼り付ける基板貼付手段と、前記脆性材料基板に対する粘着性を有さない保護フィルムを前記脆性材料基板の他方主面の全面に接触させつつ前記保護フィルムの前記脆性材料基板とは接触していない部分を前記粘着フィルムの前記余白領域に貼付することによって前記保護フィルムを前記脆性材料基板上に配置する保護フィルム配置手段と、前記保護フィルムが配置されてなる前記脆性材料基板を下方から支持する支持手段と、先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接可能な上刃と、前記上刃を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面の分断予定位置に当接せるようにしながら下降させる手段と、を備えることを特徴とすることもできる
【発明の効果】
【0013】
発明によれば、分断によって得られる個片に対する粘着物の付着・残存といった不具合を生じさせることなく脆性材料基板を分断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】脆性材料基板1を例示する断面図である。
図2】スクライブラインSを形成した脆性材料基板1を粘着フィルム2に貼付する様子を示す図である。
図3】保護フィルム4を脆性材料基板1の主面1b上に載置する様子を示す図である。
図4】主面1bからはみ出た保護フィルム4の外周部分を粘着フィルム2の粘着面2aに貼付する様子を示す図である。
図5】脆性材料基板1を分断する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態においては、脆性材料基板をいわゆる3点曲げ方式にて分断する手法について説明する。図1は、本発明の実施の形態において分断対象とされる脆性材料基板1を例示する断面図である。図2ないし図5は、脆性材料基板1を用意した後、分断に至るまでに行う主な手順につき、模式的に示す図である。
【0016】
脆性材料基板1としては、例えば、半導体基板(シリコン基板など)やガラス基板などが例示される。半導体基板の一方主面には、所定のデバイス(例えば、CMOSセンサなど)用のパターンが形成されていてもよい。
【0017】
脆性材料基板1を分断するにあたっては、まず、図1に示すように、その一方主面1aの分断予定位置にスクライブラインSを形成する。図1においては、図面に垂直な方向に分断予定位置およびスクライブラインSが延在する場合を表している。スクライブラインSは、脆性材料基板1の厚み方向に伸展するクラック(微小クラック)が脆性材料基板1の主面1a側において線状に連続したものである。
【0018】
なお、図1においては図示の簡単のため一のスクライブラインSのみを示しているが、例えば脆性材料基板1を短冊状もしくは格子状に分断するなど、複数箇所で分断して多数の個片を得るような場合には、全ての分断予定位置に対してスクライブラインSを形成する。以降、特に断らないが、その場合には、後段の処理についても、全ての分断予定位置に対してなされることになる。
【0019】
スクライブラインSの形成には、公知の技術を適用可能である。例えば、超硬合金、焼結ダイヤモンド、単結晶ダイヤモンド等からなり、円板状をなし、かつ、外周部分に刃として機能する稜線を備えるカッターホイール(スクライブホイール)を、分断予定位置に沿って圧接転動させることによって、スクライブラインSを形成する態様であってもよいし、分断予定位置に沿ってダイヤモンドポイントにより罫描くことによってスクライブラインSを形成する態様であってもよいし、レーザ(例えば、紫外線(UV)レーザ)照射によるアブレーションや変質層の形成によってスクライブラインSを形成する態様であってもよいし、レーザ(例えば、赤外線(IR)レーザ)による加熱と冷却とによる熱応力によってスクライブラインSを形成する態様であってもよい。
【0020】
次に、図2に示すように、スクライブラインSを形成した脆性材料基板1を、ダイシングテープとも称される粘着フィルム2に貼付する。粘着フィルム2は、その一方主面が粘着面2aとなっており、ダイシングフレームとも称される、円形環状もしくは矩形環状の枠体3に張設されてなる。また、粘着フィルム2としては、脆性材料基板1を貼付した際に枠体3と脆性材料基板との間に余白領域(非貼付領域)が形成されるサイズのものを用意する。脆性材料基板1を貼付するにあたっては、矢印AR1にて示すようにスクライブラインSが形成されてなる側の主面1aを粘着面2aに当接させ、他方主面1bが上面となるようにする。以降、粘着フィルム2が枠体3に張設されたものを、基板保持部材と総称する。
【0021】
脆性材料基板1を粘着フィルム2に貼付するためには、例えば、枠体3を水平状態に支持し、且つ、枠体3と同一平面内の枠体3の開口部(内環部)内に脆性材料基板1をスクライブラインが形成された一方主面を上向きとして支持することのできる支持手段(テーブル等)と、枠体3を覆う広さに裁断された粘着フィルム2に押し広げる張力を付加しながら粘着フィルム2を枠体3及び脆性材料基板1の上面上に配置することのできる粘着フィルム配置手段と、粘着フィルム2を上面側から押圧することによって枠体2及び脆性材料基板1に貼り付けることのできる粘着フィルム押圧手段と、を有する粘着フィルム貼付装置(基板貼付手段)を使用することができる。係る粘着フィルム貼付装置を用いる場合、基板保持部材の形成と脆性材料基板1の貼付とが同時に行われることになる。
【0022】
続いて、保護フィルム4を用意する。ただし、本実施の形態において用いる保護フィルム4は、特許文献2に開示されていたものとは異なり、少なくとも脆性材料基板1に対する粘着性を有していないものである。また、図3に示すように、本実施の形態においては、脆性材料基板1の平面サイズよりも十分に大きなサイズ(面積)の保護フィルム4を用いるものとする。係る保護フィルム4の材質としては、例えば、ポリエステル(PET)、ポ
リ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィンなどを例示することができる。
【0023】
そして、図3において矢印AR2にて示すように、係る保護フィルム4を脆性材料基板1の上方を向いた主面1bに近づけていき、該主面1b上に載置する。さらには、図4に示すように、係る載置状態を保ちつつ、主面1bからはみ出た保護フィルム4の外周部分(脆性材料基板1とは接触していない部分)を、粘着フィルム2の粘着面2aであって脆性材料基板1の周囲に存在する余白領域に貼付する。これによって、脆性材料基板1のうち少なくとも主面1bの上に保護フィルム4が配置固定された状態が実現される。上述したように、保護フィルム4は脆性材料基板1に対する粘着性を有していないので、係る配置状態においては、保護フィルム4は脆性材料基板1の主面1bの全面と隙間なく接触してはいるものの、粘着してはいない。
【0024】
保護フィルム4を脆性材料基板1のスクライブラインの形成されていない他方主面の全面に接触させつつ粘着フィルム2の前記余白領域に貼付するには、例えば、枠体3に張設された粘着フィルム2にスクライブラインが形成された一方主面が貼り付けられた脆性材料基板1の他方主面側を上向きとして枠体3及び脆性材料基板1を支持することのできる支持手段(テーブル等)と、脆性材料基板1を覆う広さに裁断された保護フィルム4に押し広げる張力を付加しながら保護フィルム4を脆性材料基板2の上面(他方主面)上に配置することのできる保護フィルム配置手段と、保護フィルム4の脆性材料基板2の上面上からはみ出た部分(脆性材料基板1とは接触していない部分)を上面側から押圧することによって粘着フィルム2の余白領域に貼付する保護フィルム貼付手段(ローラ等)と、を有する保護フィルム配置手段を使用することができる。
【0025】
本実施の形態においては、以上のような態様にて脆性材料基板1が貼付されてなるとともに保護フィルム4が主面1b上に配置されてなる基板保持部材を、ブレーク装置による分断に供する。具体的には、図5に示すように、水平方向において離隔させた2つの下刃101A、101Bの間にスクライブラインSの形成箇所を位置させる態様にて、換言すれば、互いに平行に配置された2つの下刃101A、101Bの間においてスクライブラインSをそれぞれに平行に配置させる態様にて、脆性材料基板1の主面1b上に保護フィルム4が配置された状態の基板保持部材を2つの下刃101A、101Bによって下方から支持させる。なお、下刃101A、101Bは脆性材料基板1に比して十分に剛性を有する部材にて設けられる。
【0026】
前記ブレーク装置としては、ブレーク刃を有する公知のブレーク装置を使用することができる。前記ブレーク装置としては、例えば、保護フィルム4が配置されてなる脆性材料基板1を下方から支持する支持手段(下刃101A、101B、テーブル等)と、先端を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面側の分断予定位置に当接可能な上刃(ブレーク刃)と、前記上刃を前記スクライブラインの形成位置に対応する前記他方主面の分断予定位置に当接せるようにしながら下降させる手段と、を備えるブレーク装置が例示される。
【0027】
あるいは、脆性材料基板1を保持してなる基板保持部材を下刃101A、101Bによって下方から支持させた後に保護フィルム4を配置するようにしてもよい。
【0028】
上述の支持状態を得た後、図5に矢印AR3にて示すように、上刃(ブレーク刃)102を上方からスクライブラインSの形成位置に向けて下降させてその先端を保護フィルム4を介して脆性材料基板1に当接させ、さらに上刃102を押し込むように下降させる。これにより、スクライブラインSから基板厚み方向にクラックが伸展して、脆性材料基板1が分断される。
【0029】
このとき、保護フィルム4は脆性材料基板1に対し粘着していないことから、特許文献2に開示されてなる技術のように粘着性のある保護フィルムを用いた場合に生じる、粘着物の付着・残存といった不具合が生じることはない。
【0030】
また、脆性材料基板1と保護フィルム4とは互いに直接には固定されてはいないものの、保護フィルム4の外周部分は粘着フィルム2に貼付固定されてなることから、分断に際して保護フィルム4に位置ずれが生じることはない。さらには、分断によって得られた個片(チップ)が浮き上がって近傍の個片と接触し、端部にカケが生じたりすることもない。
【0031】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、円形環状もしくは矩形環状の枠体に張設されてなる保護フィルムに貼付された状態の脆性材料基板を3点曲げ方式にて分断するに先立って、上刃(ブレーク刃)の被当接面となる脆性材料基板の上面の全面に粘着性のない保護フィルムを隙間なく接触させるとともに、該保護フィルムの外周部分を保護フィルムに貼付固定しておくようにすることで、分断によって得られる個片に対する粘着物の付着・残存といった不具合を生じさせることなく脆性材料基板を分断することができる。
【0032】
<変形例>
上述の実施の形態においては、保護フィルム4の外周部分を粘着フィルム2の粘着面2aの余白領域に貼付することによって保護フィルム4を配置固定するようにしているが、保護フィルム4を配置固定する態様はこれに限られない。例えば、基板保持部材の枠体3に保護フィルム4の外周部分を挟持固定する手段や貼付固定可能な粘着性を有する領域などが設けられるような態様であってもよい。係る場合、保護フィルム4を貼付するための余白領域を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0033】
1 脆性材料基板
1a、1b (脆性材料基板の)主面
2 粘着フィルム
2a (粘着フィルムの)粘着面
3 枠体 4 保護フィルム
101A、101B 下刃
102 上刃
S スクライブライン
図1
図2
図3
図4
図5