特許第6406535号(P6406535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406535
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】浴室乾燥機付きユニットバス
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/02 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   F26B9/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-72881(P2014-72881)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194312(P2015-194312A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100123641
【弁理士】
【氏名又は名称】茜ヶ久保 公二
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 賢二
(72)【発明者】
【氏名】力丸 光生
(72)【発明者】
【氏名】弓田 基晴
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−286777(JP,A)
【文献】 特開平08−145559(JP,A)
【文献】 特開平10−290896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と洗い場とが第1方向に並ぶ浴室の天井に浴室乾燥機が設けられた浴室乾燥機付き
ユニットバスであって、
前記浴室乾燥機は、
前記浴室内の空気を吸い込む吸込部と、
前記吸込部から吸い込まれた空気を流す内部流路と
前記内部流路を流れた空気を前記浴室内に吹き出す吹出部であって、その長手方向が前記第1方向と直交する第2方向に沿うように設けられる前記吹出部と、を備え、
前記第1方向において、前記天井の一端部から他端部までの領域を3等分して見た場合に、前記吹出部は前記一端部側の領域に設けられ、前記吸込部は前記他端部側の領域に設けられており、
前記浴室乾燥機は、前記吹出部から空気を吹き出す方向を変更する風向変更手段を備え、
前記吹出部は、
前記第1方向において前記吸込部よりも前記浴槽側に設けられ、
前記浴槽側に設けられる第1吹出部と前記洗い場側に設けられる第2吹出部とを有し、
前記第1吹出部及び前記第2吹出部から前記浴槽側と前記洗い場側とに向けて同時に空気を吹き出すように構成され、
前記第2吹出部から前記洗い場側に向けて吹き出す空気の流量が、前記第1吹出部から前記浴槽側に向けて吹き出す空気の流量よりも大きいことを特徴とする浴室乾燥機付きユニットバス。
【請求項2】
前記第1吹出部及び前記第2吹出部のうち少なくともいずれか一方は、単一の開口で構成されていることを特徴とする請求項に記載の浴室乾燥機付きユニットバス。
【請求項3】
前記吸込部は、単一の開口で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室乾燥機付きユニットバス。
【請求項4】
前記吹出部の長手方向において、前記吹出部の一端部から該一端部寄りの前記浴室の壁面までの距離と、前記吹出部の他端部から該他端部寄りの前記浴室の壁面までの距離とは、いずれも前記吹出部の長手方向寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の浴室乾燥機付きユニットバス。
【請求項5】
前記吸込部の長手方向において、前記吸込部の一端部から該一端部寄りの前記浴室の壁面までの距離と、前記吸込部の他端部から該他端部寄りの前記浴室の壁面までの距離とは、いずれも前記吸込部の長手方向寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の浴室乾燥機付きユニットバス。
【請求項6】
前記吸込部及び前記吹出部は、それぞれの長手方向が互いに略平行となるように設けられていることを特徴とする請求項又はに記載の浴室乾燥機付きユニットバス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の天井に浴室乾燥機が設けられた浴室乾燥機付きユニットバスに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内に気流を生成することで、浴室内を乾燥させる浴室乾燥機が広く普及している。このような浴室乾燥機では、ファンの駆動により浴室内の空気を吸い込み、当該空気を浴室内に吹き出して戻すものが一般的である。浴室内を循環する気流により、浴室内の残水の蒸発が促され、カビの発生を抑制することができる。
【0003】
浴室乾燥機は、一般的に装置全体がユニット化されており、浴室の天井にユニット全体を嵌め込むことにより構成される。例えば、下記特許文献1に開示される浴室乾燥機も、ユニット状の本体を浴室の天井パネルの中央に嵌め込むことにより取り付ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−145559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示されるようなユニット式の浴室乾燥機は、吹出口と吸込口の間の距離が小さいことから、吹出口から吹出す空気により浴室内に形成される気流が、浴室の床面等に到達することなく吸込口に向かって進行してしまうショートカット現象を起こし得る。
【0006】
しかしながら、浴室内においては、入浴者が洗身や洗髪を行う場所である洗い場の隅部や、天井の隅部などでカビの発生が顕著となる。このため、浴室乾燥機は、浴室の床面、壁面、及び天井の中央部はもちろん、それらの隅部にも気流を行きわたらせ、残水の蒸発を促す必要がある。特許文献1においても、ショートサーキット現象に対する課題は提示されているが、その解決手段は、吸込口と吹出口との間に遮蔽パネルを設け吹出口から吹き出される温風の方向を可変にすることで吹出口から吹き出された温風が直接吸込口に吸い込まれるのを防止し、効率的な衣類乾燥を目的とするものに過ぎず、浴室全体に気流を行きわたらせるような構成にはなっていない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気を吹き出して形成する気流を広範囲に行きわたらせ、浴室内を乾燥させることが可能な浴室乾燥機付きユニットバスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスは、浴槽と洗い場とが第1方向に並ぶ浴室の天井に浴室乾燥機が設けられた浴室乾燥機付きユニットバスであって、前記浴室乾燥機は、前記浴室内の空気を吸い込む吸込部と、前記吸込部から吸い込まれた空気を流す内部流路と、前記内部流路を流れた空気を前記浴室内に吹き出す吹出部であって、その長手方向が前記第1方向と直交する第2方向に沿うように設けられる前記吹出部と、を備え、前記第1方向において、前記天井の一端部から他端部までの領域を3等分して見た場合に、前記吹出部は前記一端部側の領域に設けられ、前記吸込部は前記他端部側の領域に設けられており、前記浴室乾燥機は、前記吹出部から空気を吹き出す方向を変更する風向変更手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスによれば、まず、第1方向に3等分して見た天井の領域のうち、吹出部は一端部側の領域に設けられ、吸込部は当該一端部側の領域から最も離れた他端部側の領域に設けられるため、吹出部と吸込部とが第1方向に大きく離間する。したがって、吹出部から吹き出す空気により形成される気流が、浴室の床面等に到達することなく吸込部に向かって進行してしまうショートサーキット現象の発現を抑制することができる。
【0010】
さらに、浴室乾燥機は、吹出部から空気を吹き出す方向を変更する風向変更手段を有しているため、吹出部が、その長手方向が、浴槽と洗い場とが並ぶ方向(第1方向)と直交する方向(第2方向)に沿うように配置されている場合でも、吹き出す空気により形成される気流を浴槽と洗い場の双方に到達させ、浴室内を乾燥させることが可能となる。
【0011】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吹出部から前記洗い場側に向けて吹き出す空気の流量が、前記吹出部から前記浴槽側に向けて吹き出す空気の流量よりも大きいことも好ましい。
【0012】
浴室内では、洗い場は浴槽に比べて排水性能が劣るため、入浴者の身体から出た皮脂や垢が残存し易く、それらを栄養源とするカビが発生し易い。この好ましい態様では、洗い場側に向けて優先的に空気を吹き出して気流を形成し、洗い場を優先的に乾燥させてカビの発生を抑制することが可能となる。
【0013】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吹出部は、前記第1方向において前記吸込部よりも前記浴槽側に設けられ、前記浴槽側と前記洗い場側とに向けて同時に空気を吹き出すように構成されていることも好ましい。
【0014】
この好ましい態様では、吹出部から浴槽側に向けて吹き出す空気により形成される気流が、浴槽の内部形状に沿って旋回した場合でも、同時に洗い場側に向けて吹き出す空気により形成される気流によって上方から押さえ込むことが可能となるため、気流の乱れを抑制して浴室内の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0015】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吹出部の長手方向において、前記吹出部の一端部から該一端部寄りの前記浴室の壁面までの距離と、前記吹出部の他端部から該他端部寄りの前記浴室の壁面までの距離とは、いずれも前記吹出部の長手方向寸法よりも小さいことも好ましい。
【0016】
この好ましい態様では、吹出部の長手方向寸法に対して、吹出部の各端部から浴室の各壁面までの距離を小さくしたことで、吹出部から吹き出した空気は、各壁面近傍の空気を巻き込みながら、幅広のカーテン状の気流を形成するため、気流を浴室内の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0017】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吸込部の長手方向において、前記吸込部の一端部から該一端部寄りの前記浴室の壁面までの距離と、前記吸込部の他端部から該他端部寄りの前記浴室の壁面までの距離とは、いずれも前記吸込部の長手方向寸法よりも小さいことも好ましい。
【0018】
この好ましい態様では、吸込部の長手方向寸法に対して、吸込部の各端部から浴室の各壁面までの距離を小さくしたことで、吸込部により吸い込む浴室内の空気は、各壁面近傍の空気を巻き込みながら、幅広のカーテン状の気流を形成するため、気流を浴室内の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0019】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吸込部及び前記吹出部は、それぞれの長手方向が互いに略平行となるように設けられていることも好ましい。
【0020】
この好ましい態様では、吸込部と吹出部のそれぞれの長手方向を互いに略平行とすることで、吹出部から空気を吹き出すことで形成した幅広のカーテン状の気流を、その形状を崩すことなく吸込部に至らせることができるため、気流を浴室内の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0021】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吹出部は、単一の開口で構成されていることも好ましい。
【0022】
例えば、吹出部が互いに離間した複数の開口で構成される場合、各開口から吹き出す空気により形成される気流が互いに干渉し、吹出部近傍の気流に乱れが生じるおそれがある。そこで、この好ましい態様では、吹出部を単一の開口で構成することで、吹き出す気流も単一となるため、吹出部を互いに離間した複数の開口で構成する場合に比べて、吹出部近傍における気流の乱れを抑制し、浴室内に幅広のカーテン状の気流を確実に形成することが可能となる。
【0023】
また本発明に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、前記吸込部は、単一の開口で構成されていることも好ましい。
【0024】
例えば、吸込部が互いに離間した複数の開口で構成される場合、各開口により吸い込まれる空気により形成される気流が互いに干渉し、吸込部近傍の気流に乱れが生じるおそれがある。そこで、この好ましい態様では、吸込部を単一の開口で構成することで、吸い込まれる空気により形成される気流も単一となるため、吸込部を互いに離間した複数の開口で構成する場合に比べて、吸込部近傍における気流の乱れを抑制し、浴室内に幅広のカーテン状の気流を確実に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、空気を吹き出して形成する気流を広範囲に行きわたらせ、浴室内を乾燥させることが可能な浴室乾燥機付きユニットバスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスを表す斜視模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスに設けられた浴室乾燥機の送気装置を表す斜視模式図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスを表す平面視模式図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスに設けられた浴室乾燥機の吹出口近傍を表す断面視模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスの浴室空間の気流を表す正面視模式図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスに設けられた浴室乾燥機の吹出口近傍を表す断面視模式図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスの浴室空間の気流を表す正面視模式図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスを表す平面視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るユニットバスの概略を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスを表す斜視模式図である。
【0029】
図1に表すように、浴室乾燥機付きユニットバス1は、ユニットバス2と、浴室乾燥機3と、を有している。
【0030】
ユニットバス2は、正面パネル21と、背面パネル22と、左側面パネル23と、右側面パネル24と、床パネル25と、天井パネル26と、を有している。ユニットバス2の内部には、これら6枚のパネルによって囲まれる略直方体形状の浴室空間20が形成されている。
【0031】
以下、背面パネル22から正面パネル21にわたる方向(矢印X方向)を「奥行方向」という。また、奥行方向に直交する方向であって、左側面パネル23から右側面パネル24にわたる方向(矢印Y方向)を「左右方向」という。さらに、床パネル25から天井パネル26にわたる方向を「上下方向」という。
【0032】
浴室空間20には、浴槽2Bが設けられている。浴槽2Bは、左右方向がその長手方向となるように設けられ、背面パネル22寄りの位置に配置されている。床パネル25の上面のうち、浴槽2Bよりも正面パネル21側の部分は、入浴者が洗身や洗髪を行う場所となる洗い場2Wとされており、浴槽2Bと洗い場2Wとは奥行方向に並べられている。浴槽2Bと洗い場2Wが並べられることにより、浴室空間20の下部には段差が生じることとなり、洗い場2Wの端部と、浴槽2Bのリム部2B1の端部とを繋ぐように、浴槽2Bの側面を隠す化粧板であるエプロン2Eが立設されている。
【0033】
浴室乾燥機3は、吸気装置31と、連通管33と、送気装置34と、を有しており、浴室空間20の天井パネル26に設けられている。吸気装置31は、その下方に開設された吸込口32から浴室空間20の空気を吸い込み、その内部に取り込む装置である。送気装置34は、吸気装置31と奥行方向に間隔を空けて配置されており、内部に取り込んだ空気を加熱し、その下方に開設された吹出口35から浴室空間20に吹き出す装置である。連通管33は、吸気装置31及び送気装置34の内部に連通しており、吸気装置31の内部に取り込まれた空気を、送気装置34の内部に流す管状部材である。尚、図1では、吸気装置31及び送気装置34の内部構成の図示を省略している。
【0034】
浴室乾燥機3が運転することにより、浴室空間20の空気は、吸気装置31によって吸い込まれ、その後、送気装置34によって浴室空間20に吹き出して戻される。すなわち、浴室乾燥機3を介して浴室空間20の空気が循環することとなる。循環しながら送気装置34によって繰り返し加熱されることで、浴室空間20の空気が昇温していく。
【0035】
吸気装置31の吸込口32は、複数の孔32aが左右方向に互いに離間して1列に並べられることで構成されており、その外形は、左右方向を長手方向とする扁平形状となっている。同様に、送気装置34の吹出口35は、複数の孔35aが左右方向に互いに離間して1列に並べられることで構成されており、その外形は、左右方向を長手方向とする扁平形状となっている。吸込口32の複数の孔32aが並べられる方向と、吹出口35の複数の孔35aが並べられる方向とは、略平行とされている。吸込口32と吹出口35は、それぞれ空気の吸い込みと吹き出しを行うことにより、浴室空間20に幅広のカーテン状の気流を形成する。
【0036】
次に、図2を参照して、送気装置34の構成について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスに設けられた浴室乾燥機の送気装置を表す斜視模式図である。
【0037】
図2に表すように、送気装置34は、ケーシング36と、温風供給ユニット40と、を有している。
【0038】
ケーシング36は、送気装置34の筐体となる金属製箱体であり、その外形は左右方向(矢印Y方向)を長手方向とする略直方体形状を呈している。ケーシング36の吸気装置31側の側面には、ケーシング36の内部に連通する連通口37が開設されており、連通管33の端部がこの連通口37に接続されている。
【0039】
温風供給ユニット40は、空気を加熱して浴室空間20に吹き出すためのユニットであり、ケーシング36の内部に配置されている。温風供給ユニット40は、ファン41と、パイプ43と、を有している。また、パイプ43の内部には、3つのヒータ44a、44b、44cが配置されている。
【0040】
ファン41は、電力の供給を受けて運転する電動送風機であり、ここでは遠心型ファンを採用している。ファン41は、電力の供給を受けるとモータ(図示せず)が回転駆動し、その出力軸に固定されたシロッコファン(図示せず)が、上下方向に延びる軸を中心として回転する。これにより、上方に向けて開口する吸引口41aから空気が吸引され、左右方向で右側面パネル24側に向けて吹き出される。
【0041】
パイプ43は、ファン41と左右方向(矢印Y方向)に隣り合うように配置された金属製の管状部材である。パイプ43は、ファン41とは反対側の端部43bが閉塞されている一方で、ファン41側の端部43aが開放されている。これにより、ファン41が吹き出した空気は、端部43aからパイプ43の内部に流入する。後述するように、パイプ43の内部には、ルーバー461(図2では図示せず)が回動自在に設けられている。
【0042】
ケーシング36の内部は、パイプ43が配置されることにより、パイプ43の外部の第1内部流路401と、第1内部流路401の下流側の流路であってパイプ43の内部の第2内部流路402とに区画される。すなわち、連通口37からケーシング36の内部に取り込まれ、第1内部流路401を左右方向で左側面パネル23側に向かって流れた空気は、ファン41によって吹き出され、折り返すようにして第2内部流路402を左右方向で右側面パネル24側に向かって流れることになる。
【0043】
ヒータ44a、44b、44cは、いずれも、第2内部流路402の吹出口35の近傍に配置され、電力の供給を受けて発熱する。また、ヒータ44a、44b、44cは、吹出口35の長手方向(左右方向)に沿って、互いに間隔を空けて並べられている。
【0044】
次に、図3乃至図5を参照して、吸込口32及び吹出口35の配置と、それらによって浴室空間20に形成される気流について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスを表す平面視模式図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスに設けられた浴室乾燥機の吹出口近傍を表す断面視模式図である。図5は、本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスの浴室空間の気流を表す正面視模式図である。詳細には、図3は、ユニットバス2と、吸込口32及び吹出口35との位置関係を表す模式図であり、図4は、左右方向に垂直な平面におけるパイプ43の断面図である。
【0045】
図3に表すように、奥行方向(矢印X方向)において、天井パネル26の端部26B(背面パネル22側)から端部26F(正面パネル21側)までの領域を、領域X1、X2、X3に3等分して見た場合に、吹出口35は領域X1に設けられ、吸込口32は領域X3に設けられている。換言すれば、天井パネル26の奥行方向寸法をLxとすると、吹出口35は端部26Bから距離Lx/3の範囲内に設けられ、吸込口32は端部26Fから距離Lx/3の範囲内に設けられている。また、吹出口35は、奥行方向において吸込口32よりも浴槽2B側に設けられている。
【0046】
吹出口35の長手方向である左右方向(矢印Y方向)において、吹出口35の端部から左側面パネル23までの距離35Y1と、吹出口35の端部から右側面パネル24までの距離35Y2は、いずれも吹出口35の長手方向寸法35Yよりも小さい。
【0047】
また、吸込口32の長手方向である左右方向(矢印Y方向)において、吸込口32の端部から左側面パネル23までの距離32Y1と、吸込口32の端部から右側面パネル24までの距離32Y2は、いずれも吸込口32の長手方向寸法32Yよりも小さい。
【0048】
図4に表すように、パイプ43は、その下方の一部に切欠43cを有している。また、その切欠43cを覆うように、パイプ43の内部には断面が円弧形状のルーバー461が設けられている。ルーバー461は、その一部に複数の孔35aが開設されており、パイプ43の内部の第2内部流路402は、この複数の孔35aで構成される吹出口35を介して浴室空間20と連通している。
【0049】
ファン41(図2参照)によって吹き出され、パイプ43の内部の第2内部流路402に流入した空気は、ルーバー461に開設された吹出口35を上方から下方に通過し、浴室空間20に吹き出す。この際、ヒータ44a、44b、44c(図2参照)の近傍を通過する空気は、発熱して高温となっているヒータ44a、44b、44cからの熱伝達によって加熱され、高温となる。このため、空気はヒータ44a、44b、44cにより加熱された直後に、高温のまま浴室空間20に吹き出す。
【0050】
ルーバー461は、パイプ43の中心軸Cを中心として、パイプ43の内側面に沿って矢印Rで表す範囲で回動可能に構成されている。このルーバー461の回動により、吹出口35が空気を吹き出す方向が所定範囲内で変化する。このため、送気装置34は、吹出口35から吹き出す空気により、図5に矢印F11及び矢印F12で表すように、浴槽2Bに到達した後に吸込口32に向かう気流と、矢印F13で表すように、洗い場2Wに到達した後に吸込口32に向かう気流とを択一的に形成することができる。
【0051】
矢印F11で表すように、浴槽2Bに到達した気流は、背面パネル22に沿って進行した後、浴槽2Bの内槽部2B2に沿って旋回し、矢印F12で表すように吸込口32に向かう。一方、矢印F13で表すように、洗い場2Wに到達した空気は、洗い場2W及び正面パネル21に沿って進行した後、吸込口32に向かう。
【0052】
以上のように構成された本発明の第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスによれば、まず、奥行方向(矢印X方向)に3等分して見た天井パネル26の領域のうち、吹出口35は領域X1に設けられ、吸込口32は領域X1から最も離れた領域X3に設けられるため、吹出口35と吸込口32とが奥行方向に大きく離間する。これにより、吹出口35から吹き出す空気により形成される気流が、ユニットバス2の床パネル25等に到達することなく吸込口32に向かって進行してしまうショートサーキット現象の発現を抑制することができる。
【0053】
尚、ここでは、吹出口35及び吸込口32を、3等分して見た天井パネル26の領域のうち、両端の領域に設けることとしているが、ショートサーキット現象の発現をより確実に抑制するためには、天井パネル26の領域を4等分して見た場合の両端の領域に設けることがより好ましい。
【0054】
また、吹出口35から空気を吹き出す方向を変更するルーバー461を備えているため、吹出口35が、その長手方向が左右方向(矢印Y方向。浴槽2Bと洗い場2Wとが並ぶ方向と直交する方向)に沿うように配置されている場合でも、吹き出す空気により形成される気流を浴槽2Bと洗い場2Wの双方に到達させ、浴室空間20を乾燥させることが可能となる。
【0055】
また、吹出口35の端部から左側面パネル23までの距離35Y1と、吹出口35の端部から右側面パネル24までの距離35Y2を、いずれも吹出口35の長手方向寸法35Yよりも小さくしたことで、吹出口35から吹き出した空気は、左側面パネル23及び右側面パネル24近傍の空気を巻き込みながら、幅広のカーテン状の気流を形成する。これにより、気流を浴室空間20の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0056】
また、吸込口32の端部から左側面パネル23までの距離32Y1と、吸込口32の端部から右側面パネル24までの距離32Y2を、いずれも吸込口32の長手方向寸法32Yよりも小さくしたことで、吸込口32により吸い込む浴室空間20の空気は、左側面パネル23及び右側面パネル24近傍の空気を巻き込みながら、幅広のカーテン状の気流を形成するため、気流を浴室空間20の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0057】
また、吸込口32の複数の孔32aが並べられる方向であって、吸込口32の長手方向と、吹出口35の複数の孔35aが並べられる方向であって、吹出口35の長手方向とを、互いに略平行としたことで、吹出口35から空気を吹き出すことで形成した幅広のカーテン状の気流を、その形状を崩すことなく吸込口32に至らせることができるため、気流を浴室空間20に広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0058】
続いて、図6及び図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスの概略を説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスに設けられた浴室乾燥機の吹出口近傍を表す断面視模式図である。図7は、本発明の第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスの浴室空間の気流を表す正面視模式図である。詳細には、図6は、左右方向に垂直な平面におけるパイプ43の断面図である。第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスは、ルーバー462の構成が第1実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスのルーバー461と異なるものであり、その他の同一の構成については適宜説明を省略する。
【0059】
第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスが備えるルーバー462は、その一部に孔351aと、孔352aが、奥行方向(矢印X方向)に互いに離間した位置に開設されている。孔352aは、孔351aよりも洗い場2W寄りの部位に開設されており、その径は、孔351aの径よりも大きい。孔352aの中心軸C2が洗い場2W方向に向けられているのに対し、孔351aの中心軸C1は浴槽2B方向に向けられている。
【0060】
孔351a及び孔352aは、いずれも複数開設されている。左右方向(矢印Y方向)に互いに離間して1列に並べられる複数の孔351aにより、外形が左右方向を長手方向とする扁平形状の第1吹出口351が構成されている。同様に、左右方向(矢印Y方向)に互いに離間して1列に並べられる複数の孔352aにより、外形が左右方向を長手方向とする扁平形状の第2吹出口352が構成されている。
【0061】
ファン41(図2参照)によって吹き出され、パイプ43の内部の第2内部流路402に流入した空気は、ルーバー462に開設された第1吹出口351及び第2吹出口352を上方から下方に通過し、浴室空間20に吹き出す。この際、ヒータ44a、44b、44c(図2参照)の近傍を通過する空気は、発熱して高温となっているヒータ44a、44b、44cからの熱伝達によって加熱され、高温となる。このため、空気はヒータ44a、44b、44cにより加熱された直後に、高温のまま浴室空間20に吹き出す。
【0062】
ルーバー462に開設された第1吹出口351及び第2吹出口352を通過して浴室空間20に吹き出す空気により、浴室空間20には、浴槽2B側に向かう気流と、洗い場2W側に向かう気流とが同時に形成される。上記のように、第2吹出口352を構成する孔352aは、第1吹出口351を構成する孔351aよりも径が大きいため、第2吹出口352から洗い場2W側に向けて吹き出す空気の流量は、第1吹出口351から浴槽2B側に向けて吹き出す空気の流量よりも大きくなる。
【0063】
図7に矢印F21で表すように、第1吹出口351から吹き出す空気によって形成され、浴槽2Bに到達した気流は、背面パネル22に沿って進行した後、浴槽2Bの内槽部2B2に沿って旋回する。一方、矢印F23で表すように、第2吹出口352から吹き出す空気によって形成され、洗い場2Wに到達した空気は、洗い場2W及び正面パネル21に沿って進行した後、吸込口32に向かう。浴槽2Bの内槽部2B2に沿って旋回した気流(矢印F21)は、その上方で、浴槽2Bのリム部2B1近傍の気流(矢印F23)によって押さえ込まれ、その向きが洗い場2Wへと変化する(矢印F22)。
【0064】
以上のように構成された本発明の第2実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスによれば、まず、第2吹出口352から洗い場2W側に向けて吹き出す空気の流量が、第1吹出口351から浴槽2B側に向けて吹き出す空気の流量よりも大きいことで、浴槽2Bに比べて排水性能が劣る洗い場2W側に向けて優先的に空気を吹き出して気流を形成し、洗い場2Wを優先的に乾燥させてカビの発生を抑制することが可能となる。
【0065】
また、上述したように、第1吹出口351及び第2吹出口352は、奥行方向(矢印X方向)において吸込口32よりも浴槽2B側に設けられ、浴槽2B側と洗い場2W側とに向けて同時に空気を吹き出すように構成されている。これにより、第1吹出口351から浴槽2B側に向けて吹き出す空気により形成される気流が、浴槽2Bの内槽部2B2に沿って旋回した場合でも、同時に第2吹出口352から洗い場2W側に向けて吹き出す空気により形成される気流よって上方から押さえ込むことが可能となるため、気流の乱れを抑制して浴室空間20の広範囲に行きわたらせ、乾燥させることが可能となる。
【0066】
続いて、図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスの概略を説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスを表す平面視模式図である。詳細には、図8は、ユニットバス2と、吸込口323及び吹出口353との位置関係を表す模式図である。第3実施形態に係る浴室乾燥機つきユニットバスは、吹出口353及び吸込口323の構成が、第1実施形態に係る浴室乾燥機つきユニットバスの第1吹出口35及び吸込口32や、第2実施形態に係る浴室乾燥機つきユニットバスの第1吹出口351、第2吹出口352及び吸込口32と異なるものであり、その他の同一の構成については適宜説明を省略する。
【0067】
図8に表すように、本発明の第3実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスでは、浴室空間20の空気の吸い込みを行う吸込口323と、その空気を浴室空間20に吹き出す吹出口353は、それぞれ単一の開口323a、353aとされている。開口323a、353aは、いずれも、その左右方向寸法が奥行方向寸法よりも極端に大きい扁平形状のスリットとなっている。このため、吸込口323と吹出口353は、それぞれ空気の吸い込みと吹き出しを行うことにより、浴室空間20に幅広のカーテン状の気流を形成する。
【0068】
以上のように構成された第3実施形態に係る浴室乾燥機付きユニットバスによれば、吹出口353は単一の開口で構成されているため、吹出口353が互いに離間した複数の開口で構成される場合に比べて、吹出口353近傍における気流の乱れを抑制し、浴室空間20に幅広のカーテン状の気流を確実に形成することが可能となる。
【0069】
また、吸込口323は単一の開口で構成されているため、吸込口323が互いに離間した複数の開口で構成される場合に比べて、吸込口323近傍における気流の乱れを抑制し、浴室空間20に幅広のカーテン状の気流を確実に形成することが可能となる。
【0070】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0071】
1 :浴室乾燥機付きユニットバス
2 :ユニットバス
2B :浴槽
2W :洗い場
26 :天井パネル(天井)
3 :浴室乾燥機
20 :浴室空間(浴室)
32、323:吸込口(吸込部)
323a:開口
35、351、352、353:吹出口(吹出部)
353a:開口
401:第1内部流路(内部流路)
402:第2内部流路(内部流路)
461、462:ルーバー(風向変更手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8