特許第6406581号(P6406581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406581
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】オプシンポリペプチドおよびその使用法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/405 20060101AFI20181004BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20181004BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20181004BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20181004BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20181004BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C07K14/405
   C12N15/31ZNA
   C12N5/10
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   A61K38/16
   A61K48/00
   A61K31/7088
【請求項の数】18
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2014-547366(P2014-547366)
(86)(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公表番号】特表2015-502364(P2015-502364A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】US2012069133
(87)【国際公開番号】WO2013090356
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】61/576,858
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】ディーセロス,カール
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フェン
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0165681(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/116238(WO,A2)
【文献】 特開2005−034073(JP,A)
【文献】 Cell,2010年,Vol. 141, No. 1,pp. 154-165
【文献】 J. Mol. Biol.,1999年,Vol. 285, No. 1,pp. 163-174
【文献】 BMC Evolution Biology,2007年,7:79
【文献】 Genome,2001年,Vol. 44, No. 2,pp. 167-171
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/405
C12N 15/00−15/90
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号22に示されるアミノ酸配列に対し少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離オプシンポリペプチド。
【請求項2】
配列番号22に示されるアミノ酸配列に対し少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のオプシンポリペプチド。
【請求項3】
配列番号22に示されるアミノ酸配列に対し少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のオプシンポリペプチド。
【請求項4】
小胞体(ER)移行配列および/または輸送配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のオプシンポリペプチド。
【請求項5】
前記ER移行配列が、アミノ酸配列VKESL(配列番号1)、VLGSL(配列番号2)またはFCYENEV(配列番号5)を含む、請求項4に記載のオプシンポリペプチド。
【請求項6】
前記輸送配列が、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)を含む、請求項4に記載のオプシンポリペプチド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のオプシンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドが、哺乳類細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記ヌクレオチド配列が、プロモーターに作用可能に連結している、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記ヌクレオチド配列が、ニューロン特異的転写調節領域に作用可能に連結している、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター。
【請求項12】
前記組換えベクターが、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項11に記載の組換えベクター。
【請求項13】
請求項11または12に記載の組換えベクターを含む、インビトロの遺伝子改変細胞。
【請求項14】
請求項7から10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項11または12に記載の組換えベクターを含む、インビトロの遺伝子改変哺乳類細胞。
【請求項15】
前記細胞がニューロンである、請求項14に記載のインビトロの遺伝子改変細胞。
【請求項16】
哺乳類対象の治療に使用するための、請求項1から6のいずれか一項に記載のオプシンポリペプチド。
【請求項17】
哺乳類対象の治療に使用するための、請求項7から10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
哺乳類対象の治療に使用するための、請求項11または12に記載のベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月16日に出願された米国仮特許出願第61/576,858号の利益を主張するものであり、この出願はその全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
多様で洗練された機構が進化した結果、生物は、エネルギー生成および適切な生存環境の特定を含む種々の生存機能のために、光を取り入れることが可能となった。光感受性タンパク質の主要クラスは、生物界全般に存在し様々な機能を果たし得る、7回膜貫通型のロドプシン類で構成される。多くの原核生物はこれらのタンパク質を利用することで、水素イオン勾配を調節し、膜電位およびイオン恒常性を維持しており、多くの運動性微生物は、鞭毛の振動を調節し、それにより走光性を光合成に最適な光強度を有する環境へと方向づけるために、オプシン系光受容体を進化させている。
【0003】
その構造の単純さ(光感受性ドメインおよび効果ドメインの両方が単一の遺伝子にコードされている)および高速な動力学のために、微生物のオプシンは、非光感受性細胞に導入することで特定の細胞プロセスの迅速な光学的調節を可能にするための、正確なモジュール式光増感成分として扱うことができる。近年、これらおよび他の光感受性タンパク質に基づく細胞撹乱手段の開発により、生体組織の特定の細胞内の正確に定義された事象の機能獲得または機能喪失を達成するための、遺伝学的調節および光学的調節の統合に関する、光遺伝学と呼ばれる技術がもたらされた。
【0004】
当該技術分野において、例えば、神経活動の調節用に、脱分極性および過分極性の光遺伝学的手段が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、活性が増大した、および/または原形質膜への輸送が増加した変異型オプシンを含む、オプシンを提供する。オプシンは治療またはスクリーニングへの応用においても有用であり、これらもまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1-1】図1A図1Fは過分極手段の特性を示している。
図1-2】同上。
図2図2A図2Fは過分極手段の成績を示している。
図3図3A図3Fはシオヒゲムシ(Dunaliella salina)由来ChRの特徴を示している。図3Bについて、DChR1(配列番号15)、CChR1(配列番号16)、CChR2(配列番号17)、VChR1(配列番号18)、およびVChR2(配列番号19)。
図4図4は、シオヒゲムシ(Dunaliella salina)由来ChRをコードするヌクレオチド配列(配列番号20)を示している。
図5図5は、哺乳類細胞内での発現のためにコドン最適化された、シオヒゲムシ(Dunaliella salina)由来ChRをコードするヌクレオチド配列(配列番号21)を示している。
図6図6はシオヒゲムシ(Dunaliella salina)ChRのアミノ酸配列(配列番号22)を示している。
図7-1】図7A図7Eは、例示的な変異型オプシンのアミノ酸配列を示している:図7A(配列番号23);図7B(配列番号24);図7C(配列番号25);図7D(配列番号26);および図7E(配列番号27)。
図7-2】同上。
図8-1】図8A図8Cは、ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)のアーキロドプシン−3のアミノ酸配列;およびそれをコードするヌクレオチド配列を示している:図8A(配列番号28);図8B(配列番号29);および図8C(配列番号30)。
図8-2】同上。
図9図9Aおよび図9Bは、ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)TP009株のオプシンのアミノ酸配列;およびそれをコードするヌクレオチド配列を示している:図9A(配列番号31)および図9B(配列番号32)。
図10-1】図10A図10Cは、レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)のオプシンのアミノ酸配列、およびそれをコードするヌクレオチド配列を示している:図10A(配列番号33);図10B(配列番号34);および図10C(配列番号35)。
図10-2】同上。
図10-3】同上。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書では同義的に使用され、任意の長さのアミノ酸の多量体形態を指し、コードされたアミノ酸およびコードされていないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、並びに修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことがある。前記用語には融合タンパク質が含まれ、限定はされないが、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有する、または有さない、異種リーダー配列と同族リーダー配列との融合体;免疫学的にタグ化されたタンパク質;等が挙げられる。NHは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を指す。COOHは、ポリペプチドのカルボキシル末端に存在する遊離カルボキシル基を指す。標準的なポリペプチド命名法に従い、J. Biol. Chem., 243 (1969), 3552-59を使用する。
【0008】
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書では同義的に使用され、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのいずれかである、任意の長さのヌクレオチドの多量体形態を指す。従って、この用語には、限定はされないが、一本鎖、二本鎖、または多重鎖のDNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNAハイブリッド、またはプリン塩基およびピリミジン塩基もしくは他の天然の、化学修飾もしくは生化学修飾された、非天然の、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含む多量体が含まれる。
【0009】
核酸は、二本鎖でも一本鎖でもよく、または二本鎖配列もしくは一本鎖配列の両方の部分を含んでいてもよい。当業者には明らかなように、一本鎖(「ワトソン」)に関する記述によって、他方の鎖(「クリック」)の配列も定義される。用語「組換え型核酸」は、本明細書において、天然には通常存在しない形態にある、一般的にはエンドヌクレアーゼによる核酸の操作によってインビトロで独自に形成される、核酸を意味する。従って、直鎖型の単離核酸、または通常は連結されていないDNA分子を連結することによりインビトロで形成される発現ベクターは共に、本発明を目的として、組換え型と見なされる。組換え型核酸が作製され、宿主細胞または生物に再導入されると、組換え型核酸は非組換え的に、すなわち、インビトロ操作ではなく宿主細胞のインビボ細胞機構を用いて、複製するが;そのような核酸は、一度組換え的に産生されたら、後に非組換え的に複製されたとしても、本発明を目的として、組換え型と見なされることが理解されよう。
【0010】
核酸配列同一性(並びに、アミノ酸配列同一性)は、保存されたモチーフ、コード領域、隣接領域等のより大きな配列の一部で有り得る参照配列に基づいて算出される。参照配列は一般的には少なくとも約18残基長、より一般的には少なくとも約30残基長であり、比較されている完全配列まで伸長してもよい。配列解析用アルゴリズムは、Altschul et al. (1990), J. Mol. Biol. 215:403-10に記載されるBLAST(初期設定、すなわち、w=4およびT=17のパラメーターを使用)等、当該技術分野において公知である。
【0011】
用語「遺伝子改変(genetic modification)」は、細胞中に新しい核酸(すなわち、細胞にとって外来性の核酸)を導入した後に細胞内に誘導される、永続性または一過性の遺伝的変化を指す。遺伝的変化(「改変」)は、新しい核酸を宿主細胞のゲノムに組み込むことにより、または新しい核酸を染色体外因子として一過的または安定に保持することにより、達成することができる。細胞が真核細胞である場合、永続性の遺伝的変化は、核酸を細胞のゲノム中に導入することにより達成することができる。適切な遺伝子改変法としては、ウイルス感染、トランスフェクション、接合、原形質融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション等が挙げられる。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または細胞が、天然に発生する環境とは異なる環境内に存在することを記述するよう意図されている。単離された遺伝子改変型宿主細胞は、遺伝子改変型宿主細胞の混合集団中に存在していてもよい。単離ポリペプチドは、いくつかの実施形態においては、合成ポリペプチドである。「合成的ポリペプチド」はアミノ酸から構築され、当業者に公知の手順を用いて、インビトロで化学合成(例えば、無細胞系化学合成)される。
【0013】
「精製された」は、目的の化合物(例えば、ポリペプチド)が、天然においてはそれに付随する成分から分離されていることを意味する。「精製された」は、製造中(例えば、化学合成中)にそれに付随し得る成分から分離された目的の化合物を指すように使用することもできる。いくつかの実施形態において、少なくとも50重量%〜60重量%であり、天然に付随する、または製造中に付随する有機分子を含有しない場合、化合物は実質的に純粋である。いくつかの実施形態において、調製物は、目的の化合物の、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%である。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、ポリペプチドを化学合成することによって、または精製および化学修飾を組み合わせることによって、得ることができる。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、アフィニティークロマトグラフィーによっても得ることができる。純度は、例えば、クロマトグラフィー、質量分析、高速液体クロマトグラフィー解析等の、いかなる適切な方法によっても測定することができる。
【0014】
用語「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」は、本明細書では同義的に使用され、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)等を含むがこれらに限定はされない哺乳動物を指す。いくつかの実施形態において、個体はヒトである。いくつかの実施形態において、個体はマウスである。
【0015】
用語「処置」、「処置すること」、「処置する」等は、一般的に、望ましい薬理学的効果および/または生理的効果を得ることを指すように、本明細書で使用される。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという点から予防的であってもよいし、並びに/または、疾患および/もしくはその疾患に起因する有害作用に対する部分的もしくは完全な安定化もしくは治癒という点から治療的であってもよい。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のいかなる処置をも包含し、(a)疾患もしくは症状が、その疾患もしくは症状に罹患し易い場合があるが、まだそれを有しているとは診断されていない対象において発生することを予防すること;(b)病徴を抑制すること、すなわち、その発生を抑止すること;または(c)病徴を軽減すること、すなわち、疾患もしくは症状の退縮を引き起こすこと、を含む。
【0016】
「治療有効量」または「有効量(efficacious amount)」は、疾患を治療するために哺乳動物または他の対象に投与された場合に、疾患に対して係る治療を成し遂げるのに十分な作用剤の量を意味する。「治療有効量」は、作用剤、疾患または状態およびその重症度、並びに処置される対象の年齢、体重等に応じて変動する。
【0017】
本発明についてさらに記述するに先立ち、本発明が、記載される特定の実施形態に限定されず、従って、当然ながら、変化し得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書で使用される専門用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0018】
値の範囲が与えられた場合、その範囲の上限と下限の間にある、文脈によって特に明示されない限り下限の単位の10分の1までの、間に存在する各値、およびその記載範囲内の他の記載の、または間に存在するいかなる値も、本発明に包含されることを理解されたい。これらのより小さな範囲の上限および下限は、そのより小さな範囲に独立して含まれてもよく、記載範囲に具体的に除外される境界値がある場合も本発明に含まれる。記載範囲が一方または両方の境界値を含む場合、それら含まれる境界値の一方または両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0019】
特別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または等価であるいかなる方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物が参照によって本明細書に組み込まれることによって、刊行物の引用が関連する方法および/または材料が開示および記述される。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈によって特に明示されない限り、複数形の指示対象を含むことに注意しなければならない。従って、例えば、「変異型オプシンポリペプチド(a variant opsin polypeptide)」への言及には複数の係るポリペプチドが含まれ、「輸送シグナル(the trafficking signal)」への言及には一つまたは複数の輸送シグナルへの言及、および当業者に公知のその等価物等が含まれる。さらに、いかなる随意的な要件をも排除するように特許請求の範囲を起草してもよいことにも注意されたい。従って、この記述は、クレーム要件の記述に関連しての「単に(solely)」、「のみ(only)」等の排他的な用語の使用、または「消極的」限定の使用のための先の記載となるように意図されている。
【0021】
明確さのために別々の実施形態に関連して記載されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことは明らかである。逆に、簡潔さのために単一の実施形態に関連して記載されている本発明の種々の特徴は、別々に提供されてもよいし、あるいはいかなる適切な小組み合わせ(sub-combination)において提供されてもよい。本発明に関する実施形態の全ての組み合わせは、本発明によって明確に包含され、あたかも一つ一つの組み合わせが個別に且つ明示的に開示されるかのように本明細書で開示される。さらに、種々の実施形態およびその要素の全ての小組み合わせも、本発明によって明確に包含され、あたかも一つ一つの小組み合わせが個別に且つ明示的に本明細書で開示されるかのように本明細書で開示される。
【0022】
本明細書において考察される刊行物は、本出願の出願日よりも前のそれらの開示のみを提供する。本明細書における何ものも、先願発明の理由から、本発明がそのような公開に先行する資格がないことを承認するものと解釈されるべきではない。さらに、記載される公開の日付は実際の公開日と異なる場合があり、別に確認を要する場合がある。
【0023】
詳細な説明
本開示は、活性が増大した、および/または原形質膜への輸送が増加した変異型オプシンを含む、オプシンを提供する。オプシンは治療またはスクリーニングへの応用においても有用であり、これらもまた提供される。
【0024】
オプシン
本開示は、オプシンポリペプチド、およびオプシンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸(「オプシン核酸」)を提供する。本開示はオプシン核酸を含む遺伝子改変型宿主細胞も提供する。オプシンポリペプチドは「手段」とも称される。
【0025】
主題の単離オプシンポリペプチドは、図6に示されるアミノ酸配列の約500アミノ酸〜約550アミノ酸、約550アミノ酸〜約600アミノ酸、約600アミノ酸〜約650アミノ酸、約650アミノ酸〜約700アミノ酸、または約700アミノ酸〜720アミノ酸の一続きに対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。そのようなオプシンは「DChR1」と称されることがある。
【0026】
主題の単離オプシンポリペプチドは、約500アミノ酸〜約550アミノ酸、約550アミノ酸〜約600アミノ酸、約600アミノ酸〜約650アミノ酸、約650アミノ酸〜約700アミノ酸、または約700アミノ酸〜約720アミノ酸の長さを有し得る。
【0027】
本開示の単離オプシンポリペプチドは、図4または図5に示されるヌクレオチド配列の約1800ヌクレオチド〜約1900ヌクレオチド、約1900ヌクレオチド〜約2000ヌクレオチド、約2000ヌクレオチド〜約2100ヌクレオチド、または約2100ヌクレオチド〜2163ヌクレオチドの一続きに対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ得る。
【0028】
本開示の単離オプシンポリペプチドは光活性化型水素イオンチャネルとして機能し、例えば、主題の単離オプシンはプロトンポンプとして機能する。
【0029】
いくつかの実施形態において、主題のDChR1オプシンは、以下に詳細に記載される、ER移行配列および/または輸送配列を含むよう改変される。従って、いくつかの実施形態において、主題のDChR1オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、DChR1オプシン;およびER移行配列を含む。いくつかの実施形態において、主題のDChR1オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、DChR1オプシン;輸送配列;およびER移行配列を含む。いくつかの実施形態において、主題のDChR1オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、DChR1オプシン;輸送配列;介在配列;およびER移行配列を含む。適切なER移行配列、輸送配列、および介在配列は、以下に詳細に記載される。
【0030】
本開示は主題のオプシンポリペプチドを含む組成物を提供する。主題のオプシンポリペプチド組成物は、主題のオプシンポリペプチドに加えて、以下のうちの一つまたは複数を含み得る:塩、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO等;緩衝剤、例えば、トリス緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス[ヒロドキシメチル]メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)等;可溶化剤;界面活性剤、例えば、Tween−20等の非イオン性界面活性剤;プロテアーゼ阻害剤;グリセロール;等。
【0031】
核酸
本開示は主題のオプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。主題のオプシンをコードするヌクレオチド配列は、目的の標的細胞(例えば、コードされたオプシンを合成するよう遺伝子改変されている細胞)内での該ヌクレオチド配列の発現を可能にするプロモーターおよびエンハンサー等の一つまたは複数の調節エレメントに作用可能に連結することができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、DChR1コードヌクレオチド配列は、図4に示されるヌクレオチド配列の約1800ヌクレオチド〜約1900ヌクレオチド、約1900ヌクレオチド〜約2000ヌクレオチド、約2000ヌクレオチド〜約2100ヌクレオチド、または約2100ヌクレオチド〜2163ヌクレオチドの一続きに対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のヌクレオチド配列同一性を有する。いくつかの場合において、ヌクレオチド配列は哺乳類細胞内の発現のためにコドン最適化されている。
【0033】
適切なプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメントは当該技術分野において公知である。細菌細胞内の発現において、適切なプロモーターとしては、限定はされないが、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPおよびtrcが挙げられる。真核細胞内での発現において、適切なプロモーターとしては、限定はされないが、軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子のプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;単純ヘルペスウィルスサイミジンキナーゼプロモーター;初期および後期SV40プロモーター;レトロウイルス由来の末端反復配列内に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン−Iプロモーター;並びに種々の当該技術分野において公知の組織特異的プロモーターが挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態において、例えば、酵母細胞内での発現において、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーター等の構成的(恒常的)プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1等の調節可能プロモーター(例えば、ピキア属(Pichia)での使用用)である。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当該技術分野において、十分に通常の技術の範囲内である。
【0035】
原核生物性宿主細胞内での使用に適したプロモーターとしては、限定はされないが、バクテリオファージT7RNAポリメラーゼプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーター等;araBADプロモーター;インビボ制御型プロモーター、例えばssaGプロモーターまたは関連プロモーター(例えば、米国特許公開第20040131637号参照)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J. Bacteriol., 1991: 173(1): 86-93; Alpuche-Aranda et al., PNAS, 1992; 89(21): 10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al. (1992) Mol. Micro. 6:2805-2813)等(例えば、Dunstan et al. (1999) Infect. Immun. 67:5133-5141; McKelvie et al. (2004) Vaccine 22:3243-3255;およびChatfield et al. (1992) Biotechnol. 10:888-892参照);σ70プロモーター、例えば、コンセンサスσ70プロモーター(例えば、GenBank受入番号AX798980、AX798961、およびAX798183参照);定常期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーター等;病原性アイランドSPI−2由来のプロモーター(例えば、WO96/17951参照);actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al. (2002) Infect. Immun. 70: 1087-1096参照);rpsMプロモーター(例えば、Valdivia and Falkow (1996). Mol. Microbiol. 22:367参照);tetプロモーター(例えば、Hillen,W. and Wissmann,A. (1989) In Saenger,W. and Heinemann,U. (eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein-Nucleic Acid Interaction. Macmillan, London, UK, Vol. 10, pp. 143-162参照);SP6プロモーター(例えば、Melton et al. (1984) Nucl. Acids Res. 12:7035参照);等が挙げられる。大腸菌(Escherichia coli)等の原核生物内での使用に適した強力なプロモーターとしては、限定はされないが、Trc、Tac、T5、T7、およびPλが挙げられる。細菌性宿主細胞内での使用のためのオペレーターの例としては、限定はされないが、ラクトースプロモーターオペレーター(LacI抑制タンパク質はラクトースと接触すると高次構造を変化させ、それによってLacI抑制タンパク質がオペレーターに結合することを阻止する)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体化したとき、TrpR抑制タンパク質はオペレーターと結合する高次構造を有する;トリプトファンが存在しない場合、TrpR抑制タンパク質はオペレーターに結合しない高次構造を有する)、およびtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25参照)が挙げられる。
【0036】
主題のオプシンをコードするヌクレオチド配列は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクター内に存在することができる。発現ベクターは、選択マーカー、複製開始点、およびベクターの複製および/または維持を提供する他の特徴を含み得る。
【0037】
多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており;多くは目的の組換え構築物を作製するために市販されている。以下のベクターは例として提供される。細菌性:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(ストラタジーン社、米国カリフォルニア州ラホヤ);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、およびpRIT5(ファルマシア社、スウェーデン、ウプサラ)。真核生物性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(ストラタジーン社) pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(ファルマシア社)。
【0038】
発現ベクターは通常、プロモーター配列の近くに位置することで目的のタンパク質(例えば、オプシン)をコードする核酸配列の挿入に供する、簡便な制限酵素認識部位を有している。発現宿主内で効力のある選択マーカーが存在していてもよい。適切な発現ベクターとしては、限定はされないが、ウイルスベクター(例えば、以下に基づくウイルスベクター:ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al., Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549, 1994; Borras et al., Gene Ther 6:515 524, 1999; Li and Davidson, PNAS 92:7700 7704, 1995; Sakamoto et al., H Gene Ther 5: 1088 1097, 1999;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984およびWO95/00655を参照);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al., Hum Gene Ther 9:81 86, 1998, Flannery et al., PNAS 94:6916 6921, 1997; Bennett et al., Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863, 1997; Jomary et al., Gene Ther 4:683 690, 1997, Rolling et al., Hum Gene Ther 10:641 648, 1999; Ali et al., Hum Mol Genet 5:591 594, 1996; Srivastava in WO 93/09239、Samulski et al., J. Vir. (1989) 63:3822-3828; Mendelson et al., Virol. (1988) 166: 154-165;およびFlotte et al., PNAS (1993) 90: 10613-10617を参照);SV40;単純疱疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., PNAS 94: 10319 23, 1997; Takahashi et al., J Virol 73:7812 7816, 1999を参照);レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾壊死ウイルス、並びにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス(myeloproliferative sarcoma virus)、および乳癌ウイルス等のレトロウイルスに由来するベクター);等。
【0039】
主題のオプシンまたはそのあらゆる変異体をコードする主題のポリヌクレオチドを含む組換えベクターもまた本明細書で提供される。主題の組換えベクターには、ベクターのポリヌクレオチドから転写される場合に標的動物細胞の原形質膜上に主題のオプシンの蓄積をもたらすRNA(例えば、mRNA)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターも含まれる。使用してもよいベクターとしては、限定はされないが、レンチウイルスベクター、HSVベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられる。レンチウイルスとしては、限定はされないが、HIV−1、HIV−2、SIV、FIVおよびEIAVが挙げられる。レンチウイルスは、他のウイルス(例えば、限定はされないが、VSV、狂犬病、Mo−MLV、バキュロウイルスおよびエボラ)のエンベロープタンパク質を有する偽型であり得る。そのようなベクターは、当該技術分野における標準方法を用いて調製され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、ベクターは組換えAAVベクターである。AAVベクターは、それらが感染した細胞のゲノム内への安定且つ部位特異的な組み込みが可能な、比較的小型のDNAウイルスである。AAVベクターは、細胞の増殖、形態または分化に何ら影響を及ぼすことなく広範囲の細胞に感染することが可能であり、ヒトの病理には関与しないように思われる。AAVゲノムはクローン化、配列決定および特徴付けがなされている。AAVゲノムはおよそ4700塩基を含み、ウイルスにおいて複製開始点として働くおよそ145塩基の逆位末端配列(ITR)領域を各末端に含有する。ゲノムの残りはキャプシド形成機能を保持する2つの必須領域に分けられる:ウイルス複製およびウイルス遺伝子の発現に関与するrep遺伝子を含有するゲノムの左側部分;並びにウイルスのカプシドタンパク質をコードするcap遺伝子を含有するゲノムの右側部分。
【0041】
AAVベクターは、当該技術分野における標準方法を用いて調製され得る。いかなる血清型のアデノ随伴ウイルスも適切である(例えば、Blacklow, pp. 165-174 of ″Parvoviruses and Human Disease″ J. R. Pattison, ed. (1988); Rose, Comprehensive Virology 3: 1, 1974; P. Tattersall ″The Evolution of Parvovirus Taxonomy″ in Parvoviruses(JR Kerr, SF Cotmore. ME Bloom, RM Linden, CR Parrish, Eds.) p5-14, Hudder Arnold, London, UK (2006);およびDE Bowles, JE Rabinowitz, RJ Samulski ″The Genus Dependovirus″ (JR Kerr, SF Cotmore. ME Bloom, RM Linden, CR Parrish, Eds.) p15-23, Hudder Arnold, London, UK (2006)を参照(これらの開示はそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。ベクターの精製法は、例えば、米国特許第6566118号、同第6989264号、および同第6995006号、並びに「Methods for Generating High Titer Helper-free Preparation of Recombinant AAV Vectors」という題名の国際特許出願公開番号WO/1999/011764から入手してもよい(これらの開示はこれらの開示はそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。ハイブリッドベクターの調製は、例えば、PCT出願番号PCT/US2005/027091に記載されている(この開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。インビトロおよびインビボにおいて遺伝子を導入するためのAAV由来ベクターの使用は、報告されている(例えば、国際特許出願公開番号WO91/18088およびWO93/09239;米国特許第4,797,368号、同第6,596,535号、および同第5,139,941号;並びに欧州特許第0488528号を参照(これら全てはそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。これらの刊行物は、rep遺伝子および/またはcap遺伝子が欠失し目的の遺伝子と置換されている種々のAAV由来コンストラクト、および目的の遺伝子をインビトロ(培養細胞中に)またはインビボ(生物中に直接)で導入するためのこれらのコンストラクトの使用について記載している。複製欠損組換えAAVは、2つのAAV逆位末端配列(ITR)領域に挟まれた目的の核酸配列を含有するプラスミドおよびAAVキャプシド形成遺伝子(rep遺伝子およびcap遺伝子)を保有するプラスミドを、ヒトヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス)に感染された細胞株に同時導入することにより、調製することができる。作製されたAAV組換え体は次に、標準的な技術で精製される。
【0042】
いくつかの実施形態において、主題の組換えベクターは、ウイルス粒子中にキャプシド形成される(例えば、AAVウイルス粒子としては、限定はされないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、およびAAV16が挙げられる)。従って、本開示は、本明細書に記載のベクターのいずれかを含む組換えウイルス粒子(組換えポリヌクレオチドを含有することから組換え体)を含む。そのような粒子の製造法は、当該技術分野において公知であり、米国特許第6,596,535号に記載されている。
【0043】
いくつかの場合、主題のオプシン核酸は、ニューロン特異的転写調節領域に作用可能に連結している、オプシンをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。
【0044】
ニューロン特異的プロモーターおよび他の調節領域(例えば、エンハンサー)は、当該技術分野において公知である。適切なニューロン特異的制御配列としては、限定はされないが、神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(例えば、EMBL HSENO2、X51956を参照;また、例えば、米国特許第6,649,811号、米国特許第5,387,742号も参照);芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)プロモーター;神経フィラメントプロモーター(例えば、GenBank HUMNFL、L04147を参照);シナプシンプロモーター(例えば、GenBank HUMSYNIB、M55301を参照);thy−1プロモーター(例えば、Chen et al. (1987) Cell 51:7-19; およびLlewellyn et al. (2010) Nat. Med. 16: 1161を参照);セロトニン受容体プロモーター(例えば、GenBank S62283を参照);チロシン水酸化酵素プロモーター(TH)(例えば、Nucl. Acids. Res. 15:2363-2384 (1987)およびNeuron 6:583-594 (1991)を参照);GnRHプロモーター(例えば、Radovick et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3402-3406 (1991)を参照);L7プロモーター(例えば、Oberdick et al., Science 248:223-226 (1990)を参照);DNMTプロモーター(例えば、Bartge et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3648-3652 (1988)を参照);エンケファリンプロモーター(例えば、Comb et al., EMBO J. 17:3793-3805 (1988)を参照);ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター;CMVエンハンサー/血小板由来増殖因子−βプロモーター(例えば、Liu et al. (2004) Gene Therapy 11:52-60を参照);運動ニューロン特異的遺伝子Hb9プロモーター(例えば、米国特許第7,632,679号;およびLee et al. (2004) Development 131:3295- 3306を参照);およびCa(2+)−カルモジュリン−依存性プロテインキナーゼIIのαサブユニット(CaMKIIα)のプロモーター(例えば、Mayford et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 13250を参照)が挙げられる。
【0045】
宿主細胞
本開示は、主題の核酸を用いて遺伝子改変された、単離された遺伝子改変宿主細胞(例えば、インビトロ細胞)を提供する。いくつかの実施形態において、主題の単離遺伝子改変宿主細胞は、本開示のオプシンを生成することができる。
【0046】
適切な宿主細胞としては、哺乳類細胞、昆虫宿主細胞、酵母細胞等の真核性宿主細胞;および細菌細胞等の原核細胞が挙げられる。宿主細胞中への主題の核酸の導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、リポソーム媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、または他の公知の方法によって達成することができる。
【0047】
適切な哺乳類細胞としては、初代細胞および不死化細胞株が挙げられる。いくつかの場合、哺乳類細胞はニューロン、例えば、非不死化(初代)ニューロンである。他の場合では、哺乳類細胞は不死化細胞株である。
【0048】
適切な哺乳類細胞株としては、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株等が挙げられる。適切な哺乳類細胞株としては、限定はされないが、HeLa細胞(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)番号CCL−2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL−1573)、ベロ細胞、NIH3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL−1658)、Huh−7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS−7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胚腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、細胞は神経細胞または神経様細胞である。細胞は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、またはラット起源であるか、またはヒト、非ヒト霊長類、ラット、もしくはマウス以外の哺乳動物由来であり得る。適切な細胞株としては、限定はされないが、ヒト神経膠腫細胞株、例えば、SVGp12(ATCC CRL−8621)、CCF−STTG1(ATCC CRL−1718)、SW1088(ATCC HTB−12)、SW1783(ATCC HTB−13)、LLN−18(ATCC CRL−2610)、LNZTA3WT4(ATCC CRL−11543)、LNZTA3WT11(ATCC CRL−11544)、U−138MG(ATCC HTB−16)、U−87MG(ATCC HTB−14)、H4(ATCC HTB−148)、およびLN−229(ATCC CRL−2611);ヒト髄芽細胞腫由来細胞株、例えば、D342Med(ATCC HTB−187)、Daoy(ATCC HTB−186)、D283Med(ATCC HTB−185);ヒト腫瘍由来神経様細胞、例えば、PFSK−1(ATCC CRL−2060)、SK−N−DZ(ATCC CRL−2149)、SK−N−AS(ATCC CRL−2137)、SK−N−FI(ATCC CRL−2142)、IMR−32(ATCC CCL−127)等;マウス神経細胞株、例えば、BC3H1(ATCC CRL−1443)、EOC1(ATCC CRL−2467)、C8−D30(ATCC CRL−2534)、C8−S(ATCC CRL−2535)、Neuro−2a(ATCC CCL−131)、NB41A3(ATCC CCL−147)、SW10(ATCC CRL−2766)、NG108−15(ATCC HB−12317);ラット神経細胞株、例えば、PC−12(ATCC CRL−1721)、CTX TNA2(ATCC CRL−2006)、C6(ATCC CCL−107)、F98(ATCC CRL−2397)、RG2(ATCC CRL−2433)、B35(ATCC CRL−2754)、R3(ATCC CRL−2764)、SCP(ATCC CRL−1700)、OA1(ATCC CRL−6538)が挙げられる。
【0050】
適切な酵母細胞としては、限定はされないが、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロピラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メムブラナエファキエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・オプンティアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・テルモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・サリクタリア(Pichia guercuum)、ピキア・ピユペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア属種(Pichia sp.)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス属種(Saccharomyces sp.)、ハンセヌラ・ポリモルパ(Hansenula polymorpha)、クリベロマイセス属種(Kluyveromyces sp.)、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、偽巣性コウジ菌(Aspergillus nidulans)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルククノウェンセ(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属種(Fusarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナトゥム(Fusarium venenatum)、アカパンカビ(Neurospora crassa))、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)等が挙げられる。
【0051】
適切な原核細胞としては、限定はされないが、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバチルス属種(Lactobacillus sp.)、サルモネラ属種(Salmonella sp.)、赤痢菌(Shigella sp.)等の種々の実験室株のうちのいずれかが挙げられる。例えば、Carrier et al. (1992) J. Immunol. 148: 1176-1181;米国特許第6,447,784号;およびSizemore et al. (1995) Science 270:299-302を参照されたい。本発明で使用することができるサルモネラ菌株の例としては、限定はされないが、チフス菌(Salmonella typhi)およびネズミチフス菌(S. typhimurium)が挙げられる。適切な赤痢菌株としては、限定はされないが、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、および志賀赤痢菌(Shigella disenteriae)が挙げられる。典型的に、実験室株は非病原性の菌株である。他の適切な細菌の非限定例としては、限定はされないが、枯草菌(Bacillus subtilis)、プチダ菌(Pseudomonas pudita)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、プセウドモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、紅色非イオウ光合成細菌(Rhodobacter capsulatus)、ロドスピリルム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドコッカス属種(Rhodococcus sp.)等が挙げられる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は大腸菌(Escherichia coli)である。
【0052】
膜輸送が増強された変異型オプシン
本開示は膜輸送特性が向上した変異型オプシンを提供する。本開示は変異型オプシンをコードする核酸も提供する。具体的には、主題の変異型オプシンは、小胞体(ER)移行配列、輸送配列(TS)、またはER移行配列およびTSの両方を含む過分極オプシン(hyperpolarizing opsin)である。ER移行配列および/またはTSの存在は、膜(例えば、原形質膜)局在化およびER移行の増強に供する。いくつかの場合、主題の変異型オプシンは、TSとERの間および/またはオプシンとTSの間に配置され得る一つまたは複数の追加のアミノ酸を含む。
【0053】
従って、いくつかの場合、変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、オプシンポリペプチド;輸送配列;およびER移行配列を含む。
【0054】
過分極オプシン
主題の変異型オプシンへの包含に適したオプシンのアミノ酸配列には、図8Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)アーキロドプシン−3)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。
【0055】
主題の変異型オプシンへの包含に適したオプシンのアミノ酸配列には、図9Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)TP009株アーキロドプシン)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。
【0056】
主題の変異型オプシンへの包含に適したオプシンのアミノ酸配列には、図10Aに示されるアミノ酸配列(レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)オプシン)の約200アミノ酸〜約225アミノ酸、約225アミノ酸〜約250アミノ酸、約250アミノ酸〜約275アミノ酸、約275アミノ酸〜約300アミノ酸、または約300アミノ酸〜約313アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。
【0057】
小胞体移行配列
本開示の改変オプシンにおける使用に適した小胞体(ER)移行配列としては、例えば、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);FXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5);等が挙げられる。ER移行配列は、約5アミノ酸〜約25アミノ酸、例えば、約5アミノ酸〜約10アミノ酸、約10アミノ酸〜約15アミノ酸、約15アミノ酸〜約20アミノ酸、または約20アミノ酸〜約25アミノ酸の長さを有し得る。
【0058】
輸送配列
本開示の改変オプシンにおける使用に適した輸送配列は、以下のうちの1つ等のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む:
【0059】
1)hChR2のシグナルペプチド(例えば、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6))
【0060】
2)神経細胞のニコチン性アセチルコリン受容体のβ2サブユニットシグナルペプチド(例えば、MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7));
【0061】
3)ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル配列(例えば、MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8));
【0062】
4)ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル配列(例えば、MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9));
【0063】
5)ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のシグナル配列(例えば、KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10))。
【0064】
輸送配列は、約10アミノ酸〜約50アミノ酸、例えば、約10アミノ酸〜約20アミノ酸、約20アミノ酸〜約30アミノ酸、約30アミノ酸〜約40アミノ酸、または約40アミノ酸〜約50アミノ酸の長さを有し得る。
【0065】
追加配列
上記で言及したように、いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、オプシン、TS、およびER移行配列に加えて、一つまたは複数のアミノ酸を含む。例えば、いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、オプシン;TS;介在アミノ酸配列;およびER移行シグナル配列を含む。
【0066】
適切な介在アミノ酸配列としては、例えば、リンカー;エピトープ標識;蛍光タンパク質;精製を容易にするペプチド;切断可能なリンカーペプチド;等が挙げられる。
【0067】
主題の変異型オプシンに含まれ得る適切な蛍光タンパク質としては、限定はされないが、例えば、米国特許第6,066,476号;同第6,020,192号;同第5,985,577号;同第5,976,796号;同第5,968,750号;同第5,968,738号;同第5,958,713号;同第5,919,445号;同第5,874,304号に記載の、オワンクラゲ(Aequoria victoria)由来の緑色蛍光タンパク質またはその変異体もしくは誘導体;例えば、高感度GFP(多くのそのようなGFPは市販品(例えば、クロンテック社製)である);赤色蛍光タンパク質;黄色蛍光タンパク質;mCherry;例えば、Matz et al. (1999) Nature Biotechnol. 17:969-973に記載の、花虫類種(Anthozoan species)由来の種々の蛍光および有色タンパク質のうちのいずれか;等が挙げられる。
【0068】
例示的な変異型オプシン
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図8Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)アーキロドプシン−3)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;並びにb)ER移行配列を含む。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0069】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図8Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)アーキロドプシン−3)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)蛍光タンパク質;並びにc)ER移行配列を含む。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0070】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、図7Aに示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図8Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)アーキロドプシン−3)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)TS配列;並びにc)ER移行配列を含む。例えば、TS配列は、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6);MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7);MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8);MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9);およびKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)から選択されるアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0072】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図8Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)アーキロドプシン−3)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)TS配列;c)蛍光タンパク質;並びにd)ER移行配列を含む。例えば、TS配列は、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6);MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7);MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8);MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9);およびKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)から選択されるアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、図7Bに示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図9Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)TP009株オプシン)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)TS配列;並びにc)ER移行配列を含む。例えば、TS配列は、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6);MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7);MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8);MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9);およびKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)から選択されるアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図9Aに示されるアミノ酸配列(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)TP009株オプシン)の約200アミノ酸〜約220アミノ酸、約220アミノ酸〜約230アミノ酸、約230アミノ酸〜約240アミノ酸、または約240アミノ酸〜約257アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)TS配列;c)蛍光タンパク質;並びにd)ER移行配列を含む。例えば、TS配列は、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6);MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7);MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8);MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9);およびKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)から選択されるアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0076】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、図7Cに示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図10Aに示されるアミノ酸配列(レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)オプシン)の約200アミノ酸〜約225アミノ酸、約225アミノ酸〜約250アミノ酸、約250アミノ酸〜約275アミノ酸、約275アミノ酸〜約300アミノ酸、または約300アミノ酸〜約313アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;並びにb)ER移行配列を含む。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0078】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図10Aに示されるアミノ酸配列(レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)オプシン)の約200アミノ酸〜約225アミノ酸、約225アミノ酸〜約250アミノ酸、約250アミノ酸〜約275アミノ酸、約275アミノ酸〜約300アミノ酸、または約300アミノ酸〜約313アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)蛍光タンパク質;並びにc)ER移行配列を含む。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、図7Dに示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図10Aに示されるアミノ酸配列(レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)オプシン)の約200アミノ酸〜約225アミノ酸、約225アミノ酸〜約250アミノ酸、約250アミノ酸〜約275アミノ酸、約275アミノ酸〜約300アミノ酸、または約300アミノ酸〜約313アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)TS配列;並びにc)ER移行配列を含む。例えば、TS配列は、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6);MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7);MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8);MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9);およびKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)から選択されるアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、アミノ末端からカルボキシル末端に順に、a)図10Aに示されるアミノ酸配列(レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)オプシン)の約200アミノ酸〜約225アミノ酸、約225アミノ酸〜約250アミノ酸、約250アミノ酸〜約275アミノ酸、約275アミノ酸〜約300アミノ酸、または約300アミノ酸〜約313アミノ酸の一続きに対して、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む過分極オプシン;b)TS配列;c)蛍光タンパク質;並びにd)ER移行配列を含む。例えば、TS配列は、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号6);MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号7);MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号8);MRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号9);およびKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号10)から選択されるアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、ER移行配列は、VXXSL(Xが任意のアミノ酸である)(例えば、VKESL(配列番号1);VLGSL(配列番号2);等);NANSFCYENEVALTSK(配列番号3);およびFXYENE(配列番号4)(Xが任意のアミノ酸である)、例えば、FCYENEV(配列番号5)から選択される。
【0082】
いくつかの実施形態において、主題の変異型オプシンは、図7Eに示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0083】
核酸
本開示は主題の変異型オプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。主題の変異型オプシンをコードするヌクレオチド配列は、目的の標的細胞(例えば、コードされた変異型オプシンを合成するよう遺伝子改変されている細胞)内での該ヌクレオチド配列の発現を可能にするプロモーターおよびエンハンサー等の一つまたは複数の調節エレメントに作用可能に連結することができる。いくつかの場合、変異型オプシンをコードするヌクレオチド配列は、ニューロン特異的発現に供する転写調節因子(複数可)に作用可能に連結している。いくつかの場合、主題の変異型オプシンをコードするヌクレオチド配列は、哺乳類細胞内での発現用にコドン最適化されている。
【0084】
適切なプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメントは当該技術分野において公知である。細菌細胞内の発現において、適切なプロモーターとしては、限定はされないが、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPおよびtrcが挙げられる。真核細胞内での発現において、適切なプロモーターとしては、限定はされないが、軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子のプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;単純ヘルペスウィルスサイミジンキナーゼプロモーター;初期および後期SV40プロモーター;レトロウイルス由来の末端反復配列内に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン−Iプロモーター;並びに種々の当該技術分野において公知の組織特異的プロモーターが挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態において、例えば、酵母細胞内での発現において、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーター等の構成的(恒常的)プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1等の調節可能プロモーター(例えば、ピキア属(Pichia)での使用用)である。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当該技術分野において、十分に通常の技術の範囲内である。
【0086】
原核生物性宿主細胞内での使用に適したプロモーターとしては、限定はされないが、バクテリオファージT7RNAポリメラーゼプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーター等;araBADプロモーター;インビボ制御型プロモーター、例えばssaGプロモーターまたは関連プロモーター(例えば、米国特許公開第20040131637号参照)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J. Bacteriol., 1991: 173(1): 86-93; Alpuche-Aranda et al., PNAS, 1992; 89(21): 10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al. (1992) Mol. Micro. 6:2805-2813)等(例えば、Dunstan et al. (1999) Infect. Immun. 67:5133-5141; McKelvie et al. (2004) Vaccine 22:3243-3255;およびChatfield et al. (1992) Biotechnol. 10:888-892参照);σ70プロモーター、例えば、コンセンサスσ70プロモーター(例えば、GenBank受入番号AX798980、AX798961、およびAX798183参照);定常期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーター等;病原性アイランドSPI−2由来のプロモーター(例えば、WO96/17951参照);actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al. (2002) Infect. Immun. 70: 1087-1096参照);rpsMプロモーター(例えば、Valdivia and Falkow (1996). Mol. Microbiol. 22:367参照);tetプロモーター(例えば、Hillen,W. and Wissmann,A. (1989) In Saenger,W. and Heinemann,U. (eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein-Nucleic Acid Interaction. Macmillan, London, UK, Vol. 10, pp. 143-162参照);SP6プロモーター(例えば、Melton et al. (1984) Nucl. Acids Res. 12:7035参照);等が挙げられる。大腸菌(Escherichia coli)等の原核生物内での使用に適した強力なプロモーターとしては、限定はされないが、Trc、Tac、T5、T7、およびPλが挙げられる。細菌性宿主細胞内での使用のためのオペレーターの例としては、限定はされないが、ラクトースプロモーターオペレーター(LacI抑制タンパク質はラクトースと接触すると高次構造を変化させ、それによってLacI抑制タンパク質がオペレーターに結合することを阻止する)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体化したとき、TrpR抑制タンパク質はオペレーターと結合する高次構造を有する;トリプトファンが存在しない場合、TrpR抑制タンパク質はオペレーターに結合しない高次構造を有する)、およびtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25参照)が挙げられる。
【0087】
主題のオプシンをコードするヌクレオチド配列は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクター内に存在することができる。発現ベクターは、選択マーカー、複製開始点、およびベクターの複製および/または維持を提供する他の特徴を含み得る。
【0088】
多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており;多くは目的の組換え構築物を作製するために市販されている。以下のベクターは例として提供される。細菌性:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(ストラタジーン社、米国カリフォルニア州ラホヤ);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、およびpRIT5(ファルマシア社、スウェーデン、ウプサラ)。真核生物性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(ストラタジーン社) pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(ファルマシア社)。
【0089】
発現ベクターは通常、プロモーター配列の近くに位置することで目的のタンパク質(例えば、変異型オプシン)をコードする核酸配列の挿入に供する、簡便な制限酵素認識部位を有している。発現宿主内で効力のある選択マーカーが存在していてもよい。適切な発現ベクターとしては、限定はされないが、ウイルスベクター(例えば、以下に基づくウイルスベクター:ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al., Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549, 1994; Borras et al., Gene Ther 6:515 524, 1999; Li and Davidson, PNAS 92:7700 7704, 1995; Sakamoto et al., H Gene Ther 5: 1088 1097, 1999;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984およびWO95/00655を参照);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al., Hum Gene Ther 9:81 86, 1998, Flannery et al., PNAS 94:6916 6921, 1997; Bennett et al., Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863, 1997; Jomary et al., Gene Ther 4:683 690, 1997, Rolling et al., Hum Gene Ther 10:641 648, 1999; Ali et al., Hum Mol Genet 5:591 594, 1996; Srivastava in WO 93/09239、Samulski et al., J. Vir. (1989) 63:3822-3828; Mendelson et al., Virol. (1988) 166: 154-165;およびFlotte et al., PNAS (1993) 90: 10613-10617を参照);SV40;単純疱疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., PNAS 94: 10319 23, 1997; Takahashi et al., J Virol 73:7812 7816, 1999を参照);レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾壊死ウイルス、並びにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス(myeloproliferative sarcoma virus)、および乳癌ウイルス等のレトロウイルスに由来するベクター);等。
【0090】
主題の変異型オプシンまたはそのあらゆる変異体をコードする主題のポリヌクレオチドを含む組換えベクターもまた本明細書で提供される。主題の組換えベクターには、ベクターのポリヌクレオチドから転写される場合に標的動物細胞の原形質膜上に主題のオプシンの蓄積をもたらすRNA(例えば、mRNA)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターも含まれる。使用してもよいベクターとしては、限定はされないが、レンチウイルスベクター、HSVベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられる。レンチウイルスとしては、限定はされないが、HIV−1、HIV−2、SIV、FIVおよびEIAVが挙げられる。レンチウイルスは、他のウイルス(例えば、限定はされないが、VSV、狂犬病、Mo−MLV、バキュロウイルスおよびエボラ)のエンベロープタンパク質を有する偽型であり得る。そのようなベクターは、当該技術分野における標準方法を用いて調製され得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、ベクターは組換えAAVベクターである。AAVベクターは、それらが感染した細胞のゲノム内への安定且つ部位特異的な組み込みが可能な、比較的小型のDNAウイルスである。AAVベクターは、細胞の増殖、形態または分化に何ら影響を及ぼすことなく広範囲の細胞に感染することが可能であり、ヒトの病理には関与しないように思われる。AAVゲノムはクローン化、配列決定および特徴付けがなされている。AAVゲノムはおよそ4700塩基を含み、ウイルスにおいて複製開始点として働くおよそ145塩基の逆位末端配列(ITR)領域を各末端に含有する。ゲノムの残りはキャプシド形成機能を保持する2つの必須領域に分けられる:ウイルス複製およびウイルス遺伝子の発現に関与するrep遺伝子を含有するゲノムの左側部分;並びにウイルスのカプシドタンパク質をコードするcap遺伝子を含有するゲノムの右側部分。
【0092】
AAVベクターは、当該技術分野における標準方法を用いて調製され得る。いかなる血清型のアデノ随伴ウイルスも適切である(例えば、Blacklow, pp. 165-174 of ″Parvoviruses and Human Disease″ J. R. Pattison, ed. (1988); Rose, Comprehensive Virology 3: 1, 1974; P. Tattersall ″The Evolution of Parvovirus Taxonomy″ in Parvoviruses(JR Kerr, SF Cotmore. ME Bloom, RM Linden, CR Parrish, Eds.) p5-14, Hudder Arnold, London, UK (2006); および DE Bowles, JE Rabinowitz, RJ Samulski ″The Genus Dependovirus″ (JR Kerr, SF Cotmore. ME Bloom, RM Linden, CR Parrish, Eds.) p15-23, Hudder Arnold, London, UK (2006)を参照(これらの開示はそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。ベクターの精製法は、例えば、米国特許第6566118号、同第6989264号、および同第6995006号、並びに「Methods for Generating High Titer Helper-free Preparation of Recombinant AAV Vectors」という題名の国際特許出願公開番号WO/1999/011764から入手してもよい(これらの開示はこれらの開示はそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。ハイブリッドベクターの調製は、例えば、PCT出願番号PCT/US2005/027091に記載されている(この開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。インビトロおよびインビボにおいて遺伝子を導入するためのAAV由来ベクターの使用は、報告されている(例えば、国際特許出願公開番号WO91/18088およびWO93/09239;米国特許第4,797,368号、同第6,596,535号、および同第5,139,941号;並びに欧州特許第0488528号を参照(これら全てはそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。これらの刊行物は、rep遺伝子および/またはcap遺伝子が欠失し目的の遺伝子と置換されている種々のAAV由来コンストラクト、および目的の遺伝子をインビトロ(培養細胞中に)またはインビボ(生物中に直接)で導入するためのこれらのコンストラクトの使用について記載している。複製欠損組換えAAVは、2つのAAV逆位末端配列(ITR)領域に挟まれた目的の核酸配列を含有するプラスミドおよびAAVキャプシド形成遺伝子(rep遺伝子およびcap遺伝子)を保有するプラスミドを、ヒトヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス)に感染された細胞株に同時導入することにより、調製することができる。作製されたAAV組換え体は次に、標準的な技術で精製される。
【0093】
いくつかの実施形態において、主題の組換えベクターは、ウイルス粒子中にキャプシド形成される(例えば、AAVウイルス粒子としては、限定はされないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、およびAAV16が挙げられる)。従って、本開示は、本明細書に記載のベクターのいずれかを含む組換えウイルス粒子(組換えポリヌクレオチドを含有することから組換え体)を含む。そのような粒子の製造法は、当該技術分野において公知であり、米国特許第6,596,535号に記載されている。
【0094】
上記で言及したように、いくつかの場合、主題の変異型オプシンをコードするヌクレオチド配列はニューロン特異的プロモーターに作用可能に連結している。ニューロン特異的プロモーターおよび他の調節領域(例えば、エンハンサー)は、当該技術分野において公知である。適切なニューロン特異的制御配列としては、限定はされないが、神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(例えば、EMBL HSENO2、X51956を参照;また、例えば、米国特許第6,649,811号、米国特許第5,387,742号も参照);芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)プロモーター;神経フィラメントプロモーター(例えば、GenBank HUMNFL、L04147を参照);シナプシンプロモーター(例えば、GenBank HUMSYNIB、M55301を参照);thy−1プロモーター(例えば、Chen et al. (1987) Cell 51:7- 19を参照);セロトニン受容体プロモーター(例えば、GenBank S62283を参照);チロシン水酸化酵素プロモーター(TH)(例えば、Nucl. Acids. Res. 15:2363-2384 (1987)およびNeuron 6:583-594 (1991)を参照);GnRHプロモーター(例えば、Radovick et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3402-3406 (1991)を参照);L7プロモーター(例えば、Oberdick et al., Science 248:223-226 (1990)を参照);DNMTプロモーター(例えば、Bartge et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3648-3652 (1988)を参照);エンケファリンプロモーター(例えば、Comb et al., EMBO J. 17:3793-3805 (1988)を参照);ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター;CMVエンハンサー/血小板由来増殖因子−βプロモーター(例えば、Liu et al. (2004) Gene Therapy 11:52-60を参照);運動ニューロン特異的遺伝子Hb9プロモーター(例えば、米国特許第7,632,679号;およびLee et al. (2004) Development 131:3295- 3306を参照);およびCa(2+)−カルモジュリン−依存性プロテインキナーゼIIのαサブユニット(CaMKIIα)のプロモーター(例えば、Mayford et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 13250を参照)が挙げられる。
【0095】
有用性
主題のオプシンは細胞の電位差(voltage potential)を調節するのに有用である。主題のオプシンは治療的応用および薬物スクリーニング応用において有用である。主題のオプシンは疾病モデルを作製するのに有用である。
【0096】
細胞の電位差の調節
例えば、主題のオプシンは、細胞(例えば、ニューロン)の電位差を調節するのに有用である。細胞はインビトロまたはインビボに存在し得る。従って、例えば、本開示は、特定波長の光に応答して膜電位差を変化させるように作動する主題のオプシン(例えば、光活性化型プロトンポンプ)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を、少なくとも1つの標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域に導入すること;および標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域の電位差を増加または減少させるように設計された方法で、標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域を特定波長の光に暴露することにより該核酸の発現を引き起こすこと、を一般的に含む、細胞、細胞内領域、または細胞外領域の電位差を調節するための方法を提供する。
【0097】
いくつかの場合、主題の方法は、標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域の電位差を、過分極になるまで、増加または減少させるステップをさらに含む。標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域がニューロンである場合、過分極は神経サイレンシング(neural silencing)を達成する。
【0098】
いくつかの場合、主題の方法は、異なる細胞集団において各オプシン(例えば、光活性化型プロトンポンプ)を発現させ;細胞に異なる色の光を照射するステップによる、多色神経サイレンシング(multi-color neural silencing)を達成するために、異なる光波長に応答する複数の異なるオプシン(例えば、光活性化型プロトンポンプ)を用いるステップをさらに含む。
【0099】
本開示は、特定波長の光に応答して細胞、細胞内領域または細胞外領域のpHを変化させるように作動する主題のオプシン(例えば、光活性化型プロトンポンプ)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を、少なくとも1つの標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域に導入すること;および標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域のpHを増加または減少させるように設計された方法で、標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域を特定波長の光に暴露することにより該核酸の発現を引き起こすこと、を一般的に含む、細胞、細胞内領域、または細胞外領域のpHを調節するための方法を提供する。
【0100】
本開示は、特定波長の光に応答して水素イオン放出を引き起こすように作動する主題のオプシン(例えば、光活性化型プロトンポンプ)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を少なくとも1つの標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域に導入すること;および標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域に水素イオンを放出させるように設計された方法で標的細胞、細胞内領域、または細胞外領域を特定波長の光に暴露することにより核酸の発現を引き起こすこと、を一般的に含む、細胞、細胞内領域、または細胞外領域に化学伝達物質として水素イオンを放出させるための方法を提供する。
【0101】
標的細胞を改変する応用
いくつかの実施形態において、標的細胞は主題の核酸(例えば、オプシン(例えば、変異型オプシン)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸)を用いて遺伝子改変される。いくつかの場合、標的細胞は哺乳動物の脳内に位置するニューロンである。標的細胞は、上記のように、感光性オプシン、例えば、主題のオプシン(例えば、主題の変異型オプシン)を発現するように遺伝子改変される。次に、光を用いてニューロンを刺激することができる。脳内の位置および刺激の頻度および長さ等のいくつかの要素に応じて、異なる目標を達成することができる。例えば、脳深部刺激(DBS)の現在の技術では、電極を用いることで、電流が脳の標的領域に直接流される。電気刺激の頻度は低頻度DBSまたは高頻度DBSと称される場合もある。研究により、高頻度DBSは刺激細胞からの活動電位の発生を阻害するが、低頻度DBSは刺激細胞からの活動電位の発生を促進することが示唆されている。低頻度DBSの、高頻度の効果を生じる頻度は、刺激されている脳の特定領域に応じて変動することも示されている。高頻度DBSの一例によれば、ニューロンは約100Hz以上の周波数で電流パルスを供給する電極を用いて刺激される。そのような周波数は、本明細書にさらに記載されるような、特定の応用において有効であることが示されている。
【0102】
DBSの具体例は、パーキンソン病の治療のための使用である。本願において、DBSはしばしば患者の脳内の淡蒼球内節または視床下核に適用される。光に応答するよう細胞を改変する生物学的造形物(biological arrangement)を移植することにより、発光灯(light flashing light)を、電極の代わりに使用することができる。従って、標的神経細胞および外部電気信号は、標的細胞に直接加えられる必要はない。さらに、光は電気よりもその発生点からより遠くに進むことができるため、刺激源と比較して実行面積(effective area)が増加し、光増感されたニューロンのみが刺激される。
【0103】
電極に基づくDBS法と同様に、本発明の一実施形態を、高頻度DBSを用いて実行することで、ニューロンから発生する活動電位(neuron generated impulse)を阻害することができる。高頻度DBSは約100Hzの周波数で達成されたが、本開示の種々の実施形態を用いる高頻度DBSは必ずしも同じ周波数を必要としない。例えば、光作動技術を用いた場合、低周波数(例えば、50Hz)において高頻度DBSの阻害効果を再現することが可能であり得る。例えば、過分極オプシンの活性化は、過分極および活動電位発生への抵抗をもたらす可能性がある。特定用途(例えば、脳の標的部位および所望の効果)、および適用されている刺激様式に応じて、様々な周波数を用いることができる。
【0104】
本発明の別の実施形態例と一致して、感光性生体分子の発現を誘導する遺伝子導入ベクターが、特定の細胞種を標的とするのに使用される。例えば、ウイルスに基づくタンパク質(例えば、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルスまたはレトロウイルス)を作製することで、唯一発現されるタンパク質に基づいて、特定の細胞種を標的とすることができる。次に、標的細胞は、ウイルスに基づく遺伝子導入タンパク質に感染されて、新しい種類のイオンチャネル(例えば主題のオプシン;主題の変異型オプシン)を産生し始めることにより、感光性となっていく。これは、標的細胞の近くに存在する他の細胞を刺激することなく標的細胞を刺激するのに特に有用である。例えば、長さ、直径、クロナキシー、他の膜特性、電気絶縁、神経伝達物質の排出量、および全体的機能が全く異なるニューロンが極めて近接して存在しているため、ニューロンの刺激を与えるために電極を用いる場合、刺激されてしまいがちである。例えば、Gradinaru et al. (2007) J. Neurosci. 27(52): 14231-14238, Zhang et al. (2007) Nature 446: 633-639, Zhang et al. (2007) Nature Reviews Neuroscience Vol. 8: 577-581を参照されたい。
【0105】
本開示はインビボで使用するための埋め込み型デバイスを提供する。発光するために、発光ダイオード、レーザーまたは同様の光源も含まれる。光源から生じた光に応答しての標的細胞の刺激を促進する光応答性分子を含むように標的細胞を改変する生体部位。
【0106】
本発明の別の実施形態は、光に応答して標的細胞を刺激する感光性タンパク質を用いる、標的細胞を刺激するためのデバイスを使用する。感光性タンパク質を含むように標的細胞を改変するベクターを埋め込むために、生物学的送達デバイスが使用される。標的細胞の近くに発光デバイスを埋め込むために、埋め込みコンポーネント(例えば、主題のオプシンをコードする組み換え発現ベクターを含む埋め込み型構成成分)が使用される。発光デバイスを活性化して、標的細胞に受け取られることとなる光を発生させ、それにより発せられた光に応答して標的細胞を刺激するための制御デバイスが使用される。
【0107】
例えば、光は生物(例えば、哺乳動物)の内部部位に送達され得る。インビボで発光する埋め込み型デバイス等の発光器が使用される。その部位の標的細胞に存在する主題のオプシン(例えば、主題の変異型オプシン)は、標的細胞を照らす発光器により発せられた光に応答して、標的細胞の刺激をもたらす。発光器は、およそ数ミリメータ程度のサイズの小型の電子デバイスであり得る。小型であることは、デバイスの侵害性(intrusiveness)および関連の埋め込み手順を最小化するために特に有用である。別の例では、発光器は、光を外部源から標的細胞へ伝達するために使用することができる光ファイバーデバイスを含み得る。例えば、標的細胞は光活性型プロトンポンプ/チャネルタンパク質を含有するように改変される。
【0108】
主題の光感受性タンパク質は、いくつかの異なる方法を用いて埋め込むことができる。例となる方法には、限定はされないが、ゼラチンカプセル、液体注射剤等の種々の送達デバイスの使用が含まれる。そのような方法には、埋め込みまたは身体部位へのアクセスのための、フレーム(frame)またはコンピュータ制御手術ナビゲーションシステム等の定位手術技術の使用も含まれる。
【0109】
一例として、感光性となるよう改変された、例えば、主題のオプシン(例えば、主題の変異型オプシン)を産生するよう改変された、標的細胞。従って、標的細胞は感光性である。標的細胞の刺激は埋め込み型デバイスによって制御することができる。例えば、光源を活性化もしくは不活性化させることにより、または光源に動力を供給する電池を充電することによって外部シグナルに応答するように、制御回路を配置することができる。一例では、外部シグナルは制御回路により受信される電磁放射である。例えば、高周波(RP)シグナルは、外部高周波(RF)送信器によって伝達し、制御回路により受信することができる。別の例では、磁場を利用することで、制御回路を活性化および/または動力供給することができる。
【0110】
制御回路は様々な程度の複雑性を用いて、実装することができる。一例では、回路は、磁場に曝されると電流を発生させる単純なコイルである。電流は後に光源に動力供給するのに用いられる。そのような実装は、サイズおよび複雑さを制限し、デバイスの寿命を延長させるのに特に有用である。別の例では、制御回路はRFアンテナを含み得る。所望により、電池または同様の電源(例えば、容量素子)を、制御回路の傍で使用することができる。荷電中、電源は、体外からの同時エネルギー配給の必要無しに、回路網が作動し続けることを可能にする。これは、光源が発する光を精密制御するのに、および発光の強度を増加させるのに、特に有用である。一実施形態では、光源は発光ダイオード(LED)を用いて実装される。LEDは低電力応用に有用であること、また電気信号に比較的素早く応答することも証明されている。
【0111】
別の実施形態では、標的細胞に侵入し標的細胞に感光性を与える、主題のオプシン(例えば、主題の変異型オプシン)をコードする組み換え発現ベクターを含有する基質(例えば、ゼラチンまたは同様の物質を含み得る基質)。一例では、ベクターは体内に埋め込まれるとすぐに放出される。これは、例えば、ベクターが水溶液中に放出されることを可能にする閉じ込め物質を用いることによって(例えば、脱水した、または水溶性の物質(例えば、ゼラチン)を用いて)、達成することができる。ベクターの放出によって、光源からの光に応答して刺激されるように改変された標的細胞がもたらされる。
【0112】
別の実施形態では、感光性細胞を含有する合成メッシュが使用される。一例では、細胞は感光性となるよう改変された(例えば、主題のオプシン(例えば、主題の変異型オプシン)を含むよう改変された)ニューロンである。合成メッシュは、ニューロン全体(例えば、細胞体)を通過させずに、樹状突起および軸索にメッシュを通過させるように、構築することができる。そのようなメッシュの一例は、直径およそ3〜7ミクロン程度の細孔を有しており、ポリエチレンテレフタラート製である。別の実施形態例では、注入機構が、主題のオプシン(例えば、主題の変異型オプシン)、例えば、主題のオプシンをコードする組み換え発現ベクターを送達するのに使用される。
【0113】
例えば、埋め込み型デバイスは磁場に応答性であり得る。例えば、誘導器は磁場に応答して電流/電位を発生させる。電流は導電路を通って制御回路を通過する。それに応じて、制御回路は導電路を用いて光源を活性化する。光源は、標的細胞を刺激するために生体部位を照射する。一例では、生体部位には、前述のゼラチン、合成メッシュ、または注入機構が含まれる。
【0114】
一実施形態では、制御部は単純な電気的接続、抵抗素子であってもよいし、または完全に取り除かれていてもよい。そのような実施形態では、発光の強度、持続時間および発生頻度は、磁場から発生した電流によって直接的に制御されるであろう。これは、安価で長持ちする小型のデバイスを作製するのに特に有用である。
【0115】
別の実施形態では、制御部はより複雑な回路として実装することができる。例えば、制御回路は異なる整流回路、電池、パルスタイミング、コンパレーター回路等を包含・実装していてもよい。具体的な例では、制御回路はCMOSまたは他のプロセスを用いて作製された集積回路(IC)を含む。集積回路技術は非常に小さな領域内での多数の回路素子の使用を可能にするため、いくつかの応用に、比較的複雑な制御回路を実装することができる。
【0116】
一例として、誘導器は、ゴワンダ・エレクトロニクス社により供給される100uH誘導器(部品番号CF1008−103K)等の面実装誘導器である。発光部は、0603パッケージサイズまたは0805パッケージサイズのLED等の青色LEDである。具体的な例は、LEDトロニクス社(LEDtronics, Inc)(カリフォルニア州トランス)から入手できる、部品番号SML0805を有する青色面実装LEDである。接続路は、導電性エポキシ樹脂、テープ、はんだまたは他の粘着性物質等の種々の導電体を用いて実装することができる。適切な周波数域で発光しているLED(主題のオプシンに適用可能)は、この同一製造業者を含む、商業的供給源から入手することができる。
【0117】
本開示は、ニューロンの遺伝子を組換えることで本明細書に記載の光感受性オプシンを発現させるための方法を提供する。例えば、主題のオプシンを用いることで哺乳類神経細胞に感光性を付与することができ、主題のオプシンをコードする核酸を標的神経細胞に導入するための発現ベクターを用いることにより、コードされるオプシンは後に産生される。光による標的細胞の刺激は、標的細胞の過分極をもたらす。
【0118】
本開示は、主題のオプシンを発現するようにニューロンを改変し;そのニューロンを光刺激に曝すことを含む、ニューロンにおいて抑制性ニューロンの電流フローを発生させるための方法を提供する。本開示は、主題のオプシンを発現するようにニューロンを改変し;そのニューロンを光刺激に曝すことを含む、ニューロンの活動電位を調節するための方法を提供する。本開示は、主題のオプシンを発現するように細胞を改変し;その細胞を光刺激に曝すことを含む、細胞の細胞膜を挟んだ電圧レベルを調節するための方法を提供する。
【0119】
本開示はインビボにおいてニューロンの活動電位を調節するための系を提供する。前記系は送達デバイス、光源、および制御デバイスを含む。送達デバイスは、光応答性タンパク質(主題のオプシン)をニューロンに導入し、その光応答性タンパク質は、抑制性電流を発生させる。光源は光応答性タンパク質を刺激するための光を発し、制御デバイスは光源による発光を制御する。
【0120】
本開示は疾患を治療するための方法を提供する。前記方法は前記疾患に関連するニューロンの一群を標的とし;標的のニューロンは主題のオプシンを発現するように改変され;改変された標的ニューロンはニューロンの脱分極を低減させる抑制性電流を発生させ;改変されたニューロンは光刺激への暴露によりニューロンの脱分極を低減させる。
【0121】
薬物スクリーニング
本発明の特定の実施形態は薬物スクリーニングに有用であり得る。光に応答して活性化(または不活性化)されたときにチャネルまたはポンプとして機能し、本明細書では光応答性イオンスイッチまたは光活性化型膜電位スイッチ(LAMPS)と称されるイオンスイッチを用いて膜電位を調節する働きをする、種々の光感受性タンパク質。
【0122】
例えば、本開示は、イオンチャネルおよびイオンポンプに影響を与える化合物のスクリーニングに供する。前記系によって、主題のオプシンを合成するよう改変された細胞における主題のオプシンの活性を遮断または増強し得る一つまたは複数の薬剤候補が提供される。光によって細胞における光学的応答性(optically responsive)イオンチャネルが誘起され、細胞膜を挟んでみられる電位に変化を生じさせる。電位変化は、細胞における電位開口型イオンチャネルを刺激し、次に、光学的出力として読み取ることが可能な、イオン濃度における変化を引き起こす。これらの光シグナルは、薬剤候補が電位開口型イオンチャネルに対して、もしあるならば、いかなる影響を有するのかを決定するために、検出および利用される。さらに特定の実施形態では、プロトンポンプを発現するタンパク質が細胞に導入される。
【0123】
一例では、前記系は、スクリーニングの間に大規模な機構を必要とすることなく、様々な薬剤候補のスクリーニングを可能にする。例えば、アッセイは、光学的応答性細胞の刺激および薬剤の有効性の検出の両方のために、光学素子を用いて、行ってもよい。例えば、ホールセルパッチクランプを用いる、手動的接触(manual contact)の代わりとしての光学素子の使用は、アッセイのスクリーニング工程の処理量を増加させるのに特に有用であり得る。例えば、その他の方法では標的細胞内のイオンフローを刺激または検出するのに必要な物理的な処置を最小化または排除することによって、スクリーニング間の時間を減少させることができる。試験デバイスは準備された細胞に光学的に結合されることのみを必要とするので、細胞はスクリーニング工程に先立って準備してもよい。別の例では、例えば、一連の光検出器および異なる薬剤に曝された対応する一連の改変細胞を用いて、いくつかの異なる薬剤を同時にスクリーニングすることによって、処理量を増加させてもよい。
【0124】
改変細胞の光刺激を変動させることで、導入された薬剤候補の特定の性質を決定することができる。例えば、光刺激の強度を調整することで、対応する脱分極レベルを変化させてもよい。所望の脱分極レベルを調整することで、試験中の薬剤の有効性をさらに特徴付けすることができる。別の例では、光刺激は急速な光パルスを含んでいてもよい。光刺激と結果として検出される蛍光との間の時間的関連性を相互に関連付けることによって、動的応答の面から薬剤をさらに特徴付けしてもよい。従って、薬剤は、イオン濃度に対する定常状態効果、電位開口型イオンチャネルを開口させるのに必要な脱分極レベルにおける変化、および反復的脱分極に対する影響を含むがこれらに限定はされない種々の異なる側面について、特徴付けしてもよい。
【0125】
一実施形態では、前記系は光刺激および/または検出の簡便な較正を可能にする。改変細胞を薬剤候補の導入の前に光刺激してもよい。イオンチャネル応答性が検出および記録される。記録された値は、試験中の薬剤を導入した後の同じ改変細胞のイオンチャネル応答性に対する比較用のベースラインとして用いてもよい。記録された値を用いて、光刺激または光学検波器の感度を調節してもよい。そのような調節を個々の試験試料または一連の試験試料に適用してもよい。そのような一連の試験試料において、各試験試料は対応する光刺激を調整することによって個々に較正されてもよい。同様に、それぞれの対応する光検出器を個々に調整してもよい。
【0126】
光の送達に割り当てられる時間は変動してもよく、光開口型水素イオンまたはイオンチャネル/ポンプの発現レベル、並びにその細胞集団の他の水素イオン/イオンチャネル 特徴の密度および特徴を含む要素に依存する。光の受信に割り当てられる時間は変動してもよく、スクリーニングセッションに必要な精度を含む要素に依存する。ウェル−プレート(トレイ)交換に割り当てられる時間は変動してもよく、自動デバイスの機械的速度を含む要素に依存する。高速なニューロンを試験される細胞として使用した場合、細胞刺激およびLEIA検出のプロセスはミリ秒で達成され得る。
【0127】
上記のプロセスを変動条件下で反復してもよい。例えば、所与の細胞集団は、薬剤の非存在下で試験し、その後に一つまたは複数の薬剤の存在下で試験してもよい。それらの条件下における電気的興奮性細胞の応答を、それによって実証、比較および研究してもよい。本発明がトレイ上の各ウェルに対する少なくとも1つの放射体/検出器および少なくとも2つの同時に作動するデバイスによって実行される場合、連続的な作動を長期間継続してもよい。
【0128】
例示的なスクリーニング法は、試料を切り替える必要なしに複数のデータ点を収集することを含み得る。活性化させる光を高速シャッターにより単にオンおよびオフにすることによって、試料に対する調節は同一の試料調製において可逆的なものであるため、同一試料は再利用することができる。さらに、異なる試料調製物間の差異に関して懸念することなく、試験を薬剤の効果について実施することができるように、一連の刺激パターンを同一の細胞試料に与えることができる。励起レベルを調節することによって(例えば、光無しから高強度または最大強度までレベルを傾斜させることによって)、一連の膜電位に対する薬剤の効果を試験することができる。これにより、過分極膜電位、自然膜電位、または脱分極膜電位の間に効果的である薬剤の同定が可能となる。
【0129】
本明細書に記載の細胞株は、薬剤候補の詳細な特徴付けをハイスループットに行うのに特に有用であり得る。光学制御が比較的迅速であるため、より生理的な形態の活性化の下で薬剤の活性を試験すること可能となる。例えば、薬剤が生理的形態の神経活動の下でどのようにしてチャネルと相互作用するのかを決定するために、異なる頻度の脱分極および/または過分極を用いてもよい。いくつかの例において、そのプロセスは高額な化学色素を細胞株に適用することなく達成され得る。
【0130】
本明細書で考察される様々な特性に関連して、本発明の種々の実施形態の使用は、煩わしい機械的操作および液体の取り扱いの必要を排除することにより、スクリーニングの処理量を向上させるのに特に有用であり得る。種々の実施形態は、同一試料を用いた反復可能なスクリーニング検査、化学的な蛍光レポーター(chemically- based fluorescence report)の必要を排除することによるスクリーニングコストの減少、高い時間精度および低いシグナルアーチファクト(電位操作の光学的性質による)の提示、刺激に用いられる光強度を減弱することによる脱分極レベルの調節、並びにパルス光パターン使用下における薬剤によるイオンチャネルに対する調節の動態確認にも有用であり得る。
【0131】
複数の独立して制御可能な励起タンパク質および阻害タンパク質の存在は様々な応用を可能にし、例えば、限定はされないが、種々の疾患の治療への応用、および複数の光波長それぞれに応答するように選択することができる複数の光応答性タンパク質の使用が挙げられる。常に明言されるわけではないが、阻害は、応用において、励起と組み合わせて、それに加えて、またはそれの代わりに、用いることができる。単一成分タンパク質のファミリーは、複数の波長および光の強度に応答することが示されている。開示の態様は、追加の光波長および/または個々に制御可能なタンパク質チャネルを可能にさせる配列に対する、さらなる変異および/または探索を可能とさせる。光刺激(例えば、波長、強度または持続期間の特性)に対する変化も用いられる。例えば、刺激特性は、両タンパク質を同時に励起させるために、2つの異なるイオンチャネルタンパク質の励起波長の重なりを利用してもよい。そのような一例において、タンパク質は異なるレベルの責任(responsibility)を有していてもよい。従って、神経応用において、ある一組のイオンチャネルは、第二の一組のイオンチャネルと比較して、異なる成功確率でスパイキング(spiking)をもたらしてもよい。同様に、2つの異なるイオンチャネル(またはポンプ)の阻害波長における重なりによって、両タンパク質の同時阻害が可能となる。
【0132】
あるいは、他のタンパク質を刺激させずに、所望の組み合わせの光応答性タンパク質を刺激できるようにするために、複数の光源を使用してもよい。
【0133】
治療的応用
本開示は種々の治療法を提供する。
【0134】
嗜癖は報酬および期待を含む、種々の脳機能に関連している。さらに、嗜癖を推進させる原因は個体間で異なり得る。一実施形態によれば、嗜癖(例えばニコチン嗜癖)は、島の小領域を光遺伝学的に安定化させることで治療してもよい。所望により、島表面上にインターベンションするための正確な標的スポットを決定するのに、脳機能イメージング(例えば、cued−state PETまたはfMRI)を使用して異化亢進性の病巣を特定してもよい。
【0135】
側坐核および中隔の光遺伝学的興奮は、物質の使用に頼る必要無しに患者に報酬および満足を与えることができため、嗜癖治療の鍵を握っていると考えられる。逆に、嗜癖と関連する薬物渇望を低減させるために、側坐核および中隔の光遺伝学的安定化を利用してもよい。別の実施形態では、前帯状回膝(BA32)で観察される異化亢進活性の光遺伝学的安定化を利用して薬物渇望を低減させることができる。プロオピオメラノコルチン(POMC)並びにコカイン・アンフェタミン調節転写物(CART)ペプチド産物を含有する、視床下部内側野の弓状核内の細胞の光遺伝学的安定化は、薬物嗜癖行動を低減させるのにも利用することができる。
【0136】
ソマトスタチンを分泌する視床下部脳室周囲核の神経内分泌ニューロンの光遺伝学的刺激を利用することで、例えば、先端巨大症における、下垂体前葉からの成長ホルモンの分泌を阻害することができる。ソマトスタチンまたは成長ホルモンを分泌する神経内分泌ニューロンの光遺伝学的安定化を利用することで、成長および身体発育を増大することができる。「正常な」加齢に伴う変化の一つとして、40代および50代以後の血清成長ホルモンレベルの急激な減少がある。結果として、脳室周囲核の光遺伝学的安定化を介して加齢に伴う肉体的衰退が軽減され得る。
【0137】
視床下部の腹内側核、特に弓状核のプロオピオメラノコルチン(POMC)およびコカイン・アンフェタミン調節転写物(CART)の光遺伝学的安定化を利用することで、食欲を増進させて、神経性食欲不振症を治療することができる。あるいは、視床下部の外側核の光遺伝学的刺激を利用することで、食欲および摂食行動を増進させることができる。
【0138】
側頭葉、NBM(マイネルト基底核)および後帯状回(BA31)を含む患部のコリン作動性細胞における光遺伝学的興奮は刺激をもたらすことで、悪化部分に神経栄養性駆動(neurotrophic drive)をもたらす。
【0139】
これらの患部は脳内の広範囲に及んでいるため、埋め込み電極を用いた同様な治療は、光遺伝学的アプローチよりも実現性が低いであろう。
【0140】
不安障害は、典型的には、左側頭部および前頭部の皮質および扁桃体の活動亢進が関連しており、その活動亢進は不安が解消されるにつれて正常に傾く。従って、患部である左側頭部および前頭部並びに扁桃体を光遺伝学的安定化によって処置し、それによってこれらの領域における活動を弱めてもよい。
【0141】
正常な生理機能において、受け取った光に応答して脱分極する網膜の感光性神経細胞は、受け取った光パターンの視覚地図をつくり出す。光遺伝学的イオンチャネルを用いることで多くの身体部位においてこのプロセスを模倣することができ、眼は例外ではなくなる。損傷した網膜に起因する視覚的機能障害または失明の場合、機能的な新しい網膜を成長させることが可能であり、これには埋め込みデバイスからの点滅光パターンではなく自然周辺光が用いられる。成長した人工網膜は元の網膜の位置に配置してもよい(視覚皮質へと繋がる導管として機能する視神経を利用することができる)。あるいは、脱分極シグナルのための導管が光遺伝学的感知マトリックスからのコード化情報を解読することができる皮質組織に届くのであれば、人工網膜は前頭等の別の場所に配置されてもよい。皮質盲は、視覚皮質の下流の視覚路を刺激することよっても治療できるかもしれない。その刺激は、視覚皮質の上流で、または人工的光センサーによってつくられた視覚データに応じて異なるだろう。
【0142】
頻拍症の治療は第X脳神経または迷走神経を含む副交感神経系線維に対する光遺伝学的刺激によって達成され得る。これは洞房結節レートの減少を引き起こし、それによって心拍数および収縮力を減少させる。同様に、脊髄神経T1〜T4内の交感神経系線維の光遺伝学的安定化は心臓を緩慢にさせる働きをする。病的徐脈の治療において、迷走神経の光遺伝学的安定化、またはT1〜T4内の交感神経線維の光遺伝学的刺激は、心拍数を増加させる働きをする。洞房結節より速い、異常な電気的フォーカスに起因する不整脈(cardiac disrhythmia)は、適度な光遺伝学的安定化により異常な電気的フォーカスを処置することによって抑制され得る。これにより処置組織内の固有の発火率が減少し、洞房結節は心臓の電気系のペースを調整するその役割を回復させる。同様に、いかなるタイプの心不整脈も、治療することができる。心筋症または鬱血性心不全で起こる心臓組織の変性も、本発明を用いて治療することができ;残りの組織本発明の種々の実施形態を用いて興奮させることができる。
【0143】
前頭葉、頭頂葉および海馬を含む脳領域の光遺伝学的興奮刺激は、処理速度を増加し、記憶力を向上し、そして神経前駆細胞の発達促進を含むニューロンの成長および相互接続を刺激し得る。一例として、本発明の一つのそのような応用は、患者を近植物(かろうじて意識がある)状態から抜け出させることを目的とした、視床における標的ニューロンの光遺伝学的興奮刺激に関する。標的視床ニューロンの膜における光開口型イオンチャネルまたはポンプの成長が影響を受ける。次に、これらの改変ニューロンは、標的ニューロンおよび/または周辺細胞の機能を調節するために、フラッシュ光がそれに向けられることによって、刺激される(例えば、同じ通路でもアクセスし得る光学素子を介して)。
【0144】
別の実施形態では、鬱血性心不全等の状態にある弱った心筋を治療するために、光遺伝学的興奮が用いられ得る。CHFである不全心筋に対する電気的補助は通常、心臓壁の薄く伸びた脆弱な状態、並びに電極および筋肉間の均等に分散した電気的結合を与えることの難しさから、一般的には実用的ではない。この理由から、心筋収縮能を増加させるための今日までの方法には、β作動薬等の薬理学的方法、および心室補助装置等の機械的手法が含まれている。本発明のこの実施形態において、光遺伝学的興奮は、心臓を囲む包被(jacket)の内側表面上の発光要素を介して弱った心筋に、または患部心臓壁に対して、送達される。当該技術分野において周知の手段によって光を拡散して筋肉の広い面積を円滑にカバーし、それぞれの光パルスによる収縮を促してもよい。
【0145】
帯状回膝下部(Cg25)における光遺伝学的安定化、黄色光が埋め込みデバイスによって適用され得る。目的は、Mayberg HS et al, ″Deep Brain Stimulation for Treatment-Resistant Depression,″ Neuron, Vol. 45, 651-660, March 3, 2005, pp. 651-660(参照によって本明細書に完全に組み込まれる)により教示される方法と類似の方法で、標的活性を抑制することにより鬱病を治療することであろう。別の実施形態では、光遺伝学的興奮刺激法は、Schlaepfer et al., ″Deep Brain stimulation to Reward Circuitry Alleviates Anhedonia in Refractory Major Depression,″ Neuropsychopharmacology 2007, pp. 1-10(参照によって本明細書に完全に組み込まれる)により教示される方法と類似の方法で、その領域における活性を増加させることである。
【0146】
さらに別の実施形態では、左背外側前頭前皮質(LDPFC)は、光遺伝学的興奮刺激法により標的とされる。5〜20HzでのLDLPFCのペーシングは、この構造体の基礎代謝レベルを増加させる働きをし、回路網との接続を介することでCg25における活性を減少させる働きをし、その過程において鬱病を改善する。右背外側前頭前皮質(RDLPFC)の抑制も、効果的な鬱病治療法である。これはRDLPFCに対する光遺伝学的安定化によって達成され得、または、抑制は、光遺伝学的興奮刺激の使用および遅い速度(例えば1Hz以下)でのパルシングによっても達成され得、その過程において鬱病は改善される。迷走神経刺激(VNS)は光遺伝学的手法を用いることで改善され得る。光遺伝学的興奮の使用は、節上神経節および頚静脈神経節等の脳への求心性迷走神経のみを刺激するために利用してもよい。
【0147】
脳からの遠心性神経は、この手法によって刺激を受け取らないであろうことから、咽頭における不快感、咳、嚥下困難および嗄声を含むVNSの副作用のいくつかを排除する。別の実施形態では、海馬が光遺伝学的に興奮させられることで、樹枝状新芽形成および軸索新芽形成の増加、並びに海馬の全体的な成長をもたらし得る。本発明を用いることで治療され得る鬱病に関与する他の脳領域には、扁桃体、側坐核、眼窩前頭皮質および眼窩内側(orbitomedial)皮質、海馬、嗅覚皮質、並びにドーパミン作動性投射、セロトニン作動性投射、およびノルアドレナリン作動性投射が含まれる。光遺伝学的手法を用いることで、海馬の様な構造体を介する活性の伝播を制御して、抑鬱症状を制御することができる。
【0148】
膵臓ランゲルハンス島内に生きたαおよびβ細胞集団が存在する限り、その島を糖尿病治療のための標的とすることができる。例えば、血清グルコース(手動で、または閉ループグルコース検出系によって決定される)が高いときに、光遺伝学的興奮を用いて膵臓におけるランゲルハンス島のβ細胞からのインスリン放出を引き起こしてもよく、一方、光遺伝学的安定化は膵臓におけるランゲルハンス島のα細胞からのグルカゴン放出を阻止するために使用される。逆に、血糖が低過ぎるときに(手動で、または閉ループグルコース検出系によって決定される)、光遺伝学的安定化を用いてβ細胞のインスリン分泌を止めてもよく、光遺伝学的興奮を用いてα細胞のグルカゴン分泌を増加させてもよい。
【0149】
癲癇の治療において、癲癇誘発活性の抑制または遮断は、光遺伝学的手法に適している。大部分の癲癇患者は、癲癇誘発性病巣に起因する型通りの活性伝播パターンを有する。光遺伝学的安定化を用いることで、異常な活性をそれが広がる前に抑制したり、あるいはその途中で初期に打ち切ることができる。あるいは、光遺伝学的興奮刺激を介した興奮性組織の活性化を、一連の故意的な非同期性パターンで送達することで、発生しつつある発作活動を撹乱することができる。もう1つの方法は、GABA作動性ニューロンにおける光遺伝学的興奮刺激の活性化を含み、同様の結果が得られる。視床中継(thalamic relay)を、異常なEEGパターンが検出される際に誘発される光遺伝学的安定化の標的としてもよい。
【0150】
別の実施形態は胃腸障害の治療を含む。消化器系は、感覚ニューロン、運動ニューロンおよび介在ニューロンを含む、それ自体の半自律的な神経系を有する。これらのニューロンは胃腸管の運動を制御し、さらに腸の特定の細胞による酸、消化酵素、並びにガストリン、コレシストキニンおよびセクレチンを含むホルモンの放出を誘発する。これらの細胞生産物のいずれかの分泌不全を含む症候群は、生産細胞型、またはそれらの活性を促すニューロンの光遺伝学的刺激で治療され得る。
【0151】
逆に、光遺伝学的安定化を用いて、過剰な内分泌産物および外分泌産物が生成されている症候群を治療してもよい。腸運動低下による障害は、便秘症(特に脊髄損傷を有する患者)から巨大結腸(megacolan)までに及ぶが、腸の運動ニューロンを光遺伝学的興奮することにより治療され得る。
【0152】
腸運動過剰による障害は、いくつかの形態の過敏性腸症候を含むが、運動性を制御するニューロンの光遺伝学的安定化により治療され得る。
【0153】
神経原性幽門狭窄症は、義足(pylon)におけるニューロンおよび筋系の光遺伝学的安定化によって治療され得る。運動性低下症候群に対する別の手法は、腸壁内の進展感受性ニューロンに光遺伝学的興奮を与えて、腸が満杯であり、排泄を必要としているというシグナルを増加させることである。
【0154】
この同一のパラダイムにおいて、腸の過剰可動性症候群に対する手法は、下部胃腸(lower GI)における伸張受容器ニューロンに対して光遺伝学的安定化を与えることによって、腸は空であり、排泄を必要としていないという「偽合図」を与えることである。真性(frank)便失禁の場合、内外括約筋の制御改善の獲得は、管全体の運動性を緩慢にするのに好ましい場合がある。患者が便を我慢する必要がある期間中、内肛門括約筋の光遺伝学的興奮によって、保持が可能となる。外括約筋への光遺伝学的刺激の提供は、さらなる排泄抑制能力を与えるのに用いられ得る。患者が排便しなければならない場合、光遺伝学的刺激を休止するか、または光遺伝学的安定化を加えることによって、内肛門括約筋、次に外肛門括約筋が弛緩されるべきである。
【0155】
伝音難聴は光学的人工内耳の使用によって治療され得る。蝸牛が光遺伝学的刺激用に準備された後に、光を発する人工内耳が使用され得る。感音難聴は聴覚路における下流の標的の光刺激を介して治療され得る。
【0156】
本発明の別の実施形態は、血圧障害(例えば、高血圧症)の治療を対象とする。大動脈(大動脈体および大動脈傍体)および頚動脈(「頚動脈小体」)等の領域における圧受容器および化学受容器は、求心性神経を、迷走神経(第X脳神経)および他の経路を介して、髄質および脳橋、特に孤束および孤束核に送ることにより、血圧および呼吸の制御に関与する。頚動脈小体、大動脈体、大動脈傍体(paraortic body)の光遺伝学的興奮は、孤束核および孤束に「高血圧症」の偽メッセージを送り、血圧を下げるべきであると報告させるために、使用され得る。適切な脳幹部位への直接の光遺伝学的興奮または光遺伝学的安定化も、血圧を低下させるのに使用され得る。反対の様式によって、光遺伝学的手法は昇圧的に機能し、血圧を上昇させる。同様の効果は、迷走神経の光遺伝学的興奮を介して、または脊髄神経T1〜T4内の交感神経線維の光遺伝学的安定化によっても、達成され得る。別の実施形態では、高血圧症は、心臓を光遺伝学的に安定化させることで、心拍出量の減少および血圧の低下をもたらすことにより、治療され得る。別の実施形態によれば、副腎皮質内のアルドステロン産生細胞の光遺伝学的安定化は、血圧を低下させるのに使用され得る。さらに別の実施形態では、高血圧症は血管平滑筋の光遺伝学的安定化によって治療され得る。活性化光は末梢血管床へと経皮的に通過してもよい。
【0157】
別の実施形態例は視床下部・下垂体・副腎軸障害の治療を対象とする。甲状腺機能低下症の治療において、小細胞性神経内分泌、室傍核および前視床下部核内のニューロンの光遺伝学的興奮は、甲状腺刺激ホルモン−放出ホルモン(TRH)の分泌を増加させるのに用いることができる。TRHは、引き続いて、下垂体前葉を刺激してTSHを分泌させる。逆に、小細胞性(provocellular)神経内分泌ニューロンの光遺伝学的安定化によって甲状腺機能亢進症を治療してもよい。副腎不全の治療またはアジソン病の治療において、視索上核および室傍核内の小細胞性神経内分泌ニューロンの光遺伝学的興奮は、バソプレシンの分泌を増加させるために使用され得、バソプレシンは副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)との共同で下垂体前葉を刺激してACTHを分泌させる。過剰なACTH分泌により頻繁に引き起こされるクッシング症候群は、上記の同じ生理的作用連鎖を介して視索上核の小細胞性神経内分泌ニューロンの光遺伝学的安定化によって治療され得る。弓状核の神経内分泌ニューロンはドーパミンを産生し、ドーパミンは下垂体前葉からのプロラクチンの分泌を阻害する。従って、高プロラクチン血症は光遺伝学的興奮によって治療することができ、一方、低プロラクチン血症は弓状核の神経内分泌細胞の光遺伝学的安定化によって治療することができる。
【0158】
過自律状態(hyperautonomic state)、例えば不安障害の治療では、副腎髄質の光遺伝学的安定化を用いてノルエピネフリンの産生量を低下させてもよい。同様に、アドレナリンの急増加が必要な患者(例えば、重度の喘息または慢性的な眠気として現れる障害を有する患者)で、副腎髄質の光遺伝学的刺激を用いてもよい。
【0159】
副腎皮質の光遺伝学的刺激は、コルチゾル、テストステロン、およびアルドステロンを含む化学物質の放出を引き起こす。副腎髄質(adrenal medualla)と異なり、副腎皮質は下垂体および視床下部、肺、並びに腎臓から分泌される神経内分泌ホルモンから指令を受ける。しかし、副腎皮質は光遺伝学的刺激に適している。副腎皮質のコルチゾル産生細胞の光遺伝学的刺激をアジソン病を治療するのに用いてもよい。副腎皮質のコルチゾル産生細胞の光遺伝学的安定化を用いてクッシング病を治療してもよい。女性の性的関心障害を治療するのにテストステロン産生細胞の光遺伝学的刺激を用いてもよく、女性の顔の毛を減少させるのにテストステロン産生細胞の光遺伝学的安定化を用いてもよい。副腎皮質内のアルドステロン産生細胞の光遺伝学的安定化を用いて血圧を低下させてもよい。副腎皮質内のアルドステロン産生細胞の光遺伝学的興奮を用いて血圧を上昇させてもよい。
【0160】
特定の患部脳領域の光遺伝学的興奮刺激を、処理速度を増加させ、ニューロンの成長および相互接続を刺激(神経前駆細胞の成熟刺激を含む)するために用いてもよい。そのような使用は、精神遅滞の治療に特に有用であり得る。
【0161】
別の実施形態によれば、種々の筋肉疾患および筋損傷を治療することができる。筋損傷、末梢神経損傷およびジストロフィー疾患に関連する麻痺は、収縮を引き起こすための光遺伝学的興奮および弛緩を引き起こすための光遺伝学的安定化によって治療することができる。この後者の光遺伝学的安定化アプローチによる弛緩は、筋消耗を予防し、緊張を維持し、対立筋群が収縮する際の協調運動を可能とさせるのにも用いることができる。同様に、臨床的に明白な痙縮も光遺伝学的安定化によって治療することができる。
【0162】
末梢神経切断、脳卒中、外傷性脳障害および脊髄損傷程の広い領域においては、新たなニューロンの成長を促し、それらが他のニューロンおよびそれらの標的組織との機能的ネットワークに組み込まれるのを支援する必要がある。光遺伝学的興奮によって新しい神経路の再発達を促してもよく、光遺伝学的興奮は、幹細胞に軸索および樹状突起を発芽させて、それら自体をネットワークに統合させるシグナルを送る働きをする。光遺伝学的技術の使用は(電極とは対照的に)、無傷組織によるシグナルの受容を防ぎ、電極から発生する電流のような人工的シグナルとではなく、発達中のニューロンと情報交換が行われることによって新しい標的組織が成長していることを確実にするために働く。
【0163】
肥満は、視床下部の腹内側核、特に弓状核のプロオピオメラノコルチン(POMC)およびコカイン・アンフェタミン調節転写産物(CART)への光遺伝学的興奮によって治療することができる。別の実施形態では、肥満は、視床下部の外側核の光遺伝学的安定化によって治療することができる。別の実施形態では、レプチン産生細胞または視床下部内のレプチン受容体を有する細胞への光遺伝学的刺激を、食欲を低下させるために用いることで肥満を治療することができる。
【0164】
前嚢の破壊性病変(destructive lesion)およびその領域への類似のDBSは、重度の難治性強迫性障害48(OCD48)を治療するための確立された手段である。そのような手法は、内包前脚、またはOCDが寛解するにつれて代謝の低下を示すBA32およびCg24等の領域への光遺伝学的安定化を用いて模倣してもよい。
【0165】
慢性疼痛は本開示の別の実施形態を用いて治療することができる。電気刺激法には、局所末梢神経刺激、局所脳神経刺激および「閾値下の」運動皮質刺激が含まれる。合理的な自律性アプローチには、局所的有痛部位における光遺伝学的安定化が含まれる。注意してプロモーターを選択することで、他の感覚神経線維および運動神経線維が影響を受けないようにすることができよう。
【0166】
一次運動野における介在ニューロンの選択的光遺伝学的興奮も、効果的な鎮痛を与え得る。また、感覚系視床(特に内側視床核)、脳室周囲灰白質、および腹側縫線核での光遺伝学的安定化を用いて鎮痛を与えてもよい。別の実施形態では、標的戦略として標的とするパルブアルブミン発現細胞の光遺伝学的安定化を用いて、サブスタンスP産生を低下させることにより疼痛を治療してもよい。光遺伝学的興奮を用い側坐核における活性を増大させることによって、内因性オピオイド(endogenous opiod)の放出を達成してもよい。別の実施形態では、視床下部内側野の弓状核のPOMCニューロンを光遺伝学的に興奮させたとき、βエンドルフィンが増加して、鬱病および慢性疼痛に対する実行可能な治療法が提供される。
【0167】
境界型および反社会型を含むある種の人格障害は、「前頭葉機能低下」を含む脳障害における局所的欠損を示す。これらの領域の直接的または間接的な光遺伝学的興奮は、症状の改善を与えることが期待される。扁桃体における異常な活性バーストは、突発的で自発的な怒りへの移行を誘発することも知られており、これは境界型人格障害および他の状態の症状であり、扁桃体の光遺伝学的安定化から恩恵を得ることができる。光遺伝学的手法は、扁桃体、線条体、および前頭皮質を含む脳の異なる部位間の情報交換および同期化を向上させることができ、これは衝動性の軽減および洞察の向上の助けと成り得る。
【0168】
扁桃体に焦点を当てた外傷後ストレス障害(PTSD)モデルによって、PTSDが扁桃体の過覚醒および内側前頭前皮質および海馬による不十分なトップ−ダウン制御に関連していることが提唱されている。従って、PTSDは扁桃体(amygdale)または海馬の光遺伝学的安定化によって治療してもよい。
【0169】
精神分裂病は幻聴を含む異常を特徴とする。これらは光遺伝学的安定化を用いる聴覚皮質の抑制によって治療され得る。精神分裂病に付随する前頭葉機能低下は、患部である前頭部における光遺伝学的興奮によって治療され得る。光遺伝学的手法は脳の異なる部位間の情報交換および同期化を向上させることができ、それは自身が発生した刺激を誤って外来刺激として帰属することを減らす助けと成り得る。
【0170】
プロオピオメラノコルチン(POMC)およびコカイン・アンフェタミン調節転写産物(CART)のペプチド産物を含有する視床下部内側野の弓状核内の細胞の光遺伝学的安定化は、脅迫的性行動の低減に用いることができる。プロオピオメラノコルチン(POMC)およびコカイン・アンフェタミン調節転写産物(CART)のペプチド産物を含有する視床下部内側野の弓状核内の細胞の光遺伝学的興奮を用いて、性欲障害の症例の治療において性的関心を増大させてもよい。性的欲求低下障害の治療では、精巣および副腎によるテストステロン産生を、脳下垂体の光遺伝学的興奮を介して増加させることができる。側坐核の光遺伝学的興奮は無オルガスム症の治療に使用することができる。
【0171】
視交叉上核はメラトニンを分泌し、メラトニンは睡眠/覚醒サイクルを制御する働きをする。視交叉上核(suprachiasmic nucleus)への光遺伝学的興奮を用いることで、メラトニン産生を増加させ、睡眠を誘導して、不眠症を治療することができる。オレキシン(ヒポクレチン)ニューロンは、覚醒を促すために多数の脳核を強力に興奮させる。オレキシン産生細胞集団の光遺伝学的興奮を用いることで、ナルコレプシーおよび慢性的な日中の眠気を治療することができる。
【0172】
視索上核の光遺伝学的刺激を用いることでオキシトシンの分泌を誘導してもよく、該刺激は、出産中の分娩を促すのに用いることができ、さらに社会性障害の治療に用いることができる。
【0173】
筋肉麻痺同様、脊髄損傷により求心路が遮断された運動機能も、収縮を引き起こす光遺伝学的興奮、および弛緩を引き起こす光遺伝学的安定化によって治療され得る。この後者の光遺伝学的安定化アプローチによる弛緩は、筋消耗を予防し、緊張を維持し、対立筋群が収縮する際の協調運動を可能とさせるのにも用いることができる。同様に、臨床的に明白な痙縮も光遺伝学的安定化によって治療することができる。光遺伝学的興奮によって新しい脊髄神経路の再発達を促してもよく、光遺伝学的興奮は、幹細胞に軸索および樹状突起を発芽させて、それら自体をネットワークに統合させるシグナルを送る働きをする。
【0174】
脳卒中による欠損には、人格変化、運動障害、感覚消失、認知欠損、および情動不安定性が含まれる。脳卒中による欠損を治療するための1つの戦略は、興奮性結合から求心路遮断された脳および身体構造に光遺伝学的刺激を与えることである。同様に、抑制性結合から求心路遮断された脳および身体構造に光遺伝学的安定化能を付与することができる。
【0175】
トゥレット症候群の根底にある病理は皮質領、皮質下領、視床、脳幹神経節、および前頭皮質におけるドーパミン伝達の一過性の機能障害であることが研究により指摘されている。治療を提供するために、脳機能イメージングおよび脳磁気図検査(MEG)等の技術を用いて最初に患部を特定することが好ましい。具体的に特定されてもされなくても、候補となる路の光遺伝学的安定化を、運動性チックを抑制するために用いてもよい。移植後にデバイスパラメータを実証的に調べることで、光遺伝学的安定化がどの部位か、および継続の必要のない部位はどれかが明らかになる。
【0176】
特定のニューロン集団、例えばある疾病の病状に関わるニューロン集団を選択的に興奮/抑制するために、いくつかの戦略を用いて光遺伝学的タンパク質/分子を特定の集団に標的化することができる。
【0177】
本発明の種々の実施形態において、種々の光遺伝学的タンパク質または分子を発現させるために遺伝的標的化を用いてもよい。そのような標的化には、プロモーター(例えば、パルブアルブミン、ソマトスタチン、コレシストキニン、GFAP)、エンハンサー/サイレンサー(例えば、サイトメガロウイルス(cytomaglovirus)最初期エンハンサー)、および他の転写調節エレメントまたは翻訳調節エレメント(例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント)等の遺伝子調節領域を介した、光遺伝学的タンパク質/分子の標的化された発現が含まれる。プロモーター+エンハンサー+調節エレメントの組み合わせの順列を用いることで、光遺伝学的プローブの発現を遺伝的に定義された集団に限定することができる。
【0178】
空間的/解剖学的標的化を用いて本発明の種々の実施形態を実施してもよい。そのような標的化はニューロンの投射パターンを利用し、ウイルスまたは遺伝情報を保持するその他の試薬(DNAプラスミド、断片等)を特定のニューロン集団が投射する領域に局所的に送達することができる。その後、遺伝物質はニューロン本体へと輸送により戻され、光遺伝学的プローブの発現を仲介する。あるいは、局所領域内の細胞を標識することが望ましい場合、局所的発現を仲介するために目的の領域にウイルスまたは遺伝物質を局所的に送達してもよい。
【0179】
遺伝子送達系
種々の遺伝子送達系は本開示の一つまたは複数の実施形態を実行するのに有用である。そのような送達系の一つはアデノ随伴ウイルス(AAV)である。AAVを用いることで、プロモーター+光遺伝学的プローブ(オプシン)カセットを目的の特定領域に送達することができる。本明細書で使用される場合、「光遺伝学的プローブ」とは、オプシン、例えば、本開示のオプシン、または変異型オプシンを指す。プロモーターの選択は特定のニューロン集団における発現を促す。例えば、CaMKIIαプロモーターを用いると、興奮性ニューロン特異的な光遺伝学的プローブの発現が促される。AAVは、少なくとも1年以上にわたる光遺伝学的プローブ(オプシン)の長期発現を仲介する。更なる特異性を達成するために、種々の細胞型に対してそれぞれ異なる親和性を有する特異的な血清型1、2、3、4、5、6、7および8を用いてAAVを偽型化してもよい。例えば、血清型2および5はニューロン特異的親和性が高いことが知られている。
【0180】
別の遺伝子送達機構は、レトロウイルスの使用である。目的の特定領域にプロモーター+光遺伝学的プローブカセットを送達するために、HIVまたは他のレンチウイルス系レトロウイルスベクターを用いることができる。レトロウイルスも、軸索投射パターンに基づいて細胞を標識するための逆行性輸送を達成するために、狂犬病ウイルス外被糖タンパク質を用いて偽型化してよい。レトロウイルスは、宿主細胞ゲノムと一体化するので、光遺伝学的プローブの永久的発現を仲介することができる。非レンチウイルス系レトロウイルスベクターを用いて分裂細胞を選択的に標識することができる。
【0181】
ガットレス(gutless)アデノウイルスおよび単純疱疹ウイルス(HSV)の2つも、脳の特定領域にプロモーター+光遺伝学的プローブカセットを送達するために用いることができるDNAウイルスである。HSVおよびアデノウイルスはかなり大きなパッケージング容量を有しているため、かなり大きいプロモーターエレメントを収容することができ、また複数の光遺伝学的プローブまたは光遺伝学的プローブに加えて別の治療的遺伝子を送達するためにも用いることができる。
【0182】
ニューロンを一過性にトランスフェクトするために局所的エレクトロポレーションを用いることもできる。DNAプラスミドまたは断片を脳の特定領域に局所的に送達することができる。穏やかな電流を与えることで、周囲の局所細胞がDNA物質を受け取り、光遺伝学的プローブを発現する。
【0183】
別の例では、リポフェクションを、遺伝物質を脂質試薬と混合することによって使用して、その後脳に注入することで、局所細胞のトランスフェクションを仲介することができる。
【0184】
種々の実施形態は種々の調節領域の使用を含む。遺伝的調節領域に加えて、他の調節領域(特に、活性が化学的刺激・磁気的刺激、または赤外線に感受性であるプロモーターおよびエンハンサー)を、光遺伝学的プローブの時間制御発現の仲介に用いることができる。例えば、転写活性が赤外線の影響を受けやすいプロモーターは、集束させた照射を用いて、所望の時間だけ、局所領域での光遺伝学的プローブの発現を微調整することを可能にする。
【0185】
パーキンソン病は、CaMKIIa等の興奮特異性プロモーターを用いて、視床下核(STN)または淡蒼球内節(GPi)内のグルタミン酸作動性ニューロンにおいて光遺伝学的安定化を発現させ、光遺伝学的安定化を適用することによって治療することができる。全細胞型が影響を受ける電気的調節と異なり、グルタミン酸作動性STNニューロンだけが抑制されるであろう。
【0186】
疾病モデル
本開示の態様は、神経回路または神経疾患のモデルの試験に関する。前記モデルは、入力シグナルの関数として回路の出力応答を決定することができる。出力応答は、いくつかの異なる測定可能な特性を用いて評価することができる。例えば、特性には、下流ニューロンの電気的応答および/または患者の行動反応が含まれ得る。モデルを試験するために、モデルの入力位置で光遺伝的プローブを発現させる。光遺伝学的プローブを刺激し、出力特性をモニターし、モデルにより予測される出力と比較する。
【0187】
ある特定の実施において、光遺伝学的プローブの使用によって、電気的プローブを用いて決定されたモデルの微調整が可能となる。電気的プローブは刺激を方向づける能力を限定するだけであるため、近くの領域を直接刺激することなく特定の領域を刺激するのにはあまり適していない。本明細書で開示される光遺伝学的プローブは、刺激位置をより正確に選択する機構を提供する。例えば、光遺伝学的プローブからの刺激は、求心性線維等の非常に特定された種類の回路/細胞に方向づけることができる。以下の記載は、そのような実施形態に係る実施例を提供するものであり、本発明の態様の実行可能性および広い適用性を示すことを意図する。
【0188】
本開示の一実施形態によれば、本発明を、DBSの動物モデル(例えばパーキンソン病ラット)において用いて、治療効果に関与する標的細胞型(激しい議論がある領域であり、臨床的に極めて重要)を特定してもよい。この知見だけでも、ヒトの疾患を治療するための改善された薬理学的戦略および外科的戦略の発展につながり得る。
【0189】
そのような応用の1つは、2つのニューロン群の間における長期増強(LTP)および/または長期抑圧(LTD)を含む。主題のオプシンの発現を異なるニューロン集団に標的化し、それぞれを異なる周波数の光で刺激することで、2群間でLTPまたはLTDを達成することができる。各群は、それぞれの光波長を用いることで個別に制御することができる。これは、同じ光波長を用いて個別に制御する際に2群の空間的配置が問題となる用途で特に有用であり得る。したがって、光送達デバイスは、間違ったニューロン群を興奮させにくく、光刺激の正確な空間的位置への依存が少なくなり得る。
【0190】
インビボでの細胞へのタンパク質送達は、いくつかの異なる導入デバイス、方法、および系を用いて達成することができる。そのような導入デバイスの1つは、インビボで細胞を改変するためのヌクレオチド配列(例えばウイルスベクター)を送達する埋め込み型デバイスである。埋め込み型デバイスは光送達機構も含み得る。光送達は、例えば発光ダイオード(LED)、光ファイバー、および/またはレーザーを用いて達成することができる。
【実施例】
【0191】
以下の実施例は、本発明を如何に成し使用するかについての完全な開示および記述を当業者に提供するために記載され、発明者らが自身の発明と見なすものの範囲を限定することは意図しておらず、また以下の実験が行われた実験の全てまたは唯一のものであることを表そうと意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確さを確実にするための努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差は考慮されるべきである。特に指示しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度単位であり、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。標準的な略語、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内;i.p.、腹腔内;s.c、皮下;等が使用され得る。
【0192】
実施例1:過分極オプシン
材料と方法
全ての実験は、実験動物飼育に関するスタンフォード管理検討会(Stanford Administrative Panel on Laboratory Animal Care)によって承諾されたプロトコールに基づいて行った。
【0193】
分子クローニング
レンチウイルスコンストラクトは、プロモーターとオプシンの間にBamHI、オプシンとフルオロフォアの間にNotI、そしてフルオロフォアとWPREの間にEcoRIを含んでいる。オプシン−eYFP断片を、gtggcgcgccctattacttgtacagctcgtccatg(配列番号11)(全オプシン用)、tatgctagccaccatggactatggcggcgc(配列番号12)(ChR2変異体用)、およびgttatgctagcgccaccatgtcgcggaggccatggc(配列番号13)(ChIEF用)を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅させてAscIおよびNheIを付加し、次にそれらの部位で切断したAAV−Ef1α −DIO骨格にライゲーションした。
【0194】
MacおよびArchを緑色蛍光タンパク質(GFP)融合遺伝子としてアドジーン社(Addgene)から入手し、一貫性のために増強黄色蛍光タンパク質(eYFP)に切り替えた。ヒト化ArchTをDNA2.0により合成した。Mac、Arch、およびArchTを、以前に記載されたように33、小胞体(ER)移行エレメントのみを用いてバージョン2.0に増強し、ER移行モチーフおよび輸送シグナルの両方を用いてバージョン3.0に増強した。
【0195】
全てのコンストラクトを完全に配列決定して精度をチェックし、全てのAAVベクターをウイルス産生の前にインビトロ発現について試験した。完全な配列情報はウェブサイト:www(dot)optogenetics(dot)orgに存在する。
【0196】
海馬ニューロン培養およびリン酸カルシウムトランスフェクション
初代培養した海馬ニューロンをP0スプラーグドーリー子ラット(チャールスリバー社)から用意した。CA1およびCA3を単離し、0.4mg/mLパパイン(ワージントン社(Worthington)で消化し、1:30Matrigel(ベクトンディッキンソン社(Beckton Dickinson Lab ware))で事前に被覆したカバーガラス上に播種した。培養物を、5%CO加湿恒温器中、1.25%ウシ胎児血清(FBS)(ハイクローン社(Hyclone))、4%B−27サプリメント(ギブコ社)、2mM Glutamax(ギブコ社)、および2mg/mL 5−フルオロ−2’−デオキシウリジン(FUDR)(シグマ社)を含有するNeurobasal−A培地(インビトロジェン社)と共に維持し、65,000細胞/ウェルの密度で24ウェルプレート中のカバーガラス上で増殖させた。
【0197】
各ウェルにおいて、DNA/CaCl混合物を、15μLのHO中の2μgのDNA(キアゲン社 無エンドトキシン調製物)および1.875μLの2M CaCl(最終Ca2+濃度 250mM)を用いて調製した。DNA/CaClに、15μLの2×HEPES−緩衝食塩水(pH7.05)を加えた。室温(RT)で20分後、混合物を各ウェル(ウェルからは増殖培地が取り除かれ、予め温めたMEMで置き換えられてある)に滴加し、トランスフェクションを45〜60分間37℃で進行させ、その後各ウェルを3×1mLの温めたMEMで洗浄し、その後元の増殖培地を戻した。
【0198】
定位的注射
アデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2/5はカロライナ大学チャペルヒルベクターコア(University of Carolina Chapel Hill Vector Core)によって作製された。ゲノム力価(genomic titer)は、ChETA、ChETATR、およびChIEFについては1.5×1012cfu/mLで、eYFP、eNpHR3.0、およびeArch3.0については4×1012cfu/mLであった。1μLのウイルスを3〜4週齢マウスの内側前頭前皮質の、+1.7前後方向、0.4内外方向、および2.5背腹側(十字縫合からmm単位)に、両側に定位注射した。
【0199】
ホールセル電気生理の記録
培養したニューロンにおける記録を、タイロード液(320mOsm)(125mM NaCl、2mM KCl、2mM CaCl、2mM MgCl、30mM グルコース、および25mM HEPES、NaOHでpH7.3〜7.4に滴定)中で、トランスフェクションの4〜6日後に行った。タイロードを1〜2mL/分の速度で潅流させ室温(20〜22℃)に保った。細胞内液(300mOsm)は、130mM K−グルコン酸塩、10mM KCl、10mM HEPES、10mM EGTA、および2mM MgClを含有しており、KOHでpH7.3に滴定された。興奮性オプシンの特徴付けを、槽に添加した(bath-applied)テトロドトキシン(TTX)(1μΜ;シグマ−アルドリッチ社)および細胞内QX−314クロライド(1mM;トクリス・バイオサイエンス社(Tocris Bioscience))を用いて行った。過分極オプシンのインビトロパッチングおよびオプシンを脱分極させるための電流固定記録を、シナプス伝達遮断剤である6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン(CNQX;10μΜ;シグマ‐アルドリッチ社)およびD(−)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸(APV;25μΜ、シグマ‐アルドリッチ社)、並びに電流固定実験用のガバジン(10μΜ;シグマ‐アルドリッチ社)の存在下で行った。培養したニューロンの全記録は正立ライカ社製DM−LFSA顕微鏡上で行った。
【0200】
eYFP、eNpHR3.0、およびeArch3.0を発現する錐体細胞の記録は、ウイルス注射の6〜7週間後の野生型C57BL/6マウスから得られた急性スライスにおいて行った。ACSFはCNQX、APV、およびガバジンを含有していた。細胞内液(280mOsm)は、135mM K−グルコン酸塩、5mM KCl、10mM HEPES、0.1mM EGTA、2mM MgCl、2mM Mg−ATP、および0.2mM Na−GTPを含有し、KOHでpH 7.4に滴定された。錐体細胞を形態および特徴的な電気生理学的性質によって同定した。記録は正立オリンパス社製BX51顕微鏡上で行った。全てのパッチング実験において、ホウケイ酸ガラス(サッター・インスツルメンツ社(Sutter Instruments))ピペットの抵抗は3〜6ΜΩであった。セルアタッチ電気生理学的記録において、GΩシールを得る際、正味電流が膜を横断して流れないように保持電位を設定した;同じ刺激プロトコールをホールセルスパイキング実験に用いた。セルアタッチ記録を行った後、ピペットに対して吸引を行って細胞内に侵入させ、ホールセルにおいて同じ実験を繰り返して直接的な細胞内比較を行った。いかなる調製においても外来性網膜補因子はニューロンに添加されなかった。
【0201】
光送達
全ての実験は単一光子活性化を用いて行った。培養したニューロンにおいて、光を、300W DG−4ランプ(サッター・インスツルメンツ社、カリフォルニア州ノバート)から放射し、40倍の0.8NA液浸対物レンズを通して送達させた。パルス入力シグナルを、BNC接続を介してpClamp(アクソン・インスツルメンツ社(Axon Instruments))からDG−4に送達した。DG−4トリガーシグナルから完全な光出力までの遅延は、増幅光検出器(ソーラボ社(Thorlabs))を用いて約1msと測定され、立上り時間は200μsであった。頂点および潜時までの時間の測定は全て、この遅延に対して補正した。
【0202】
光感受性測定において、光を、470/40nmのフィルター(青色光感受性興奮性オプシン用)または562/40nmのフィルター(C1V1および全ての抑制性オプシン用)に通過させ、次に一連の中性(ND)フィルターに通過させて、約0.1〜20mW/mmの範囲の出力密度を達成した。他の特性は約5mW/mmで研究した。これらの実験において、光を、異なる波長のフィルターのための10ポジションホイールを備えたLambda 10−3フィルターホイール(サッター・インスツルメンツ社)に通し、厳密に一致した出力密度を生むためにND正規化した。フィルターは、406/15;427/20;445/20;470/20;494/20;520/15;542/20;560/25;590/20であった。抑制性スペクトルは607/45フィルターも用いた。培養液中での脱分極手段の機能的実行には、470/40nmフィルター(青色光感受性興奮性手段用)または562/40nmフィルター(CIVT用)が使用され、次に2、6、および20mW/mmの出力密度を達成するためにNDフィルターが使用された。
【0203】
スライスにおいて高速脱分極手段を調べる実験において、光を同じ300W DG−4ランプ(サッター・インスツルメンツ社)から放射し、40倍0.8NA液浸対物レンズを通して送達した。光を470/40nmフィルターに通過させ、5.1mW/mmの光パワー密度を達成するように調整した。スライスにおいて過分極手段を調べる実験において、40倍/0.8NA LUMPlanFL/IR対物レンズ(オリンパス社)、XCiteハロゲン光源(エクスポ社(EXPO))を用いた。光を589/15フィルター(eNpHR3.0)または560/14フィルター(eArch3.0)に通過させた。一致条件下での光電流および過分極の振幅を比較する実験において、光パワー密度を約5mW/mmに調整した。残りの実験において、光を、両オプシンに対して比較可能な範囲の光電流を達成するために、ある範囲の光出力密度(eNpHR3.0については5〜10mW/mm;eArch3.0については0.25〜5mW/mm)に調整した。
【0204】
全ての実験は、ベースラインを回復させるために、スイープの間に少なくとも30秒の暗闇を含んだ。全てのフィルターは本明細書においては、nm単位の波長/nm単位のバンド幅として与えられる。全ての光出力密度は、40倍対物レンズから、およそ試料距離で測定された。
【0205】
データ解析
生理学的結果の解析は、ClampFitソフトウェア(アクソン・インスツルメンツ社)またはMATLAB(マスワークス社(Mathworks))で書かれた特注ソフトウェアを用いて行った。
【0206】
アクセス抵抗(R)および入力抵抗(Rin)を継続的にモニターし、Rが30ΜΩ未満でありRinが90ΜΩ超であった場合のデータのみが含まれる。逸脱したスパイクを含むいかなるトレースもピーク光電流または速度論の解析から除外したが、定常状態光電流は可能な場合に測定した。培養液中の電流固定記録には、それらの基準に当てはまり、−150pA超のリーク電流を有した(−65mVに保持)細胞のみが解析用に含まれた。急性スライスにおける電流固定記録には、それらの基準に当てはまり、−55mV未満の静止電位を有した細胞のみが含まれた。
【0207】
ピーク光電流を特定するために、2msのフィルター幅を有するロバストなレス法(Loess method)を用いてトレースを平坦化し、ピークを、ベースライン電流を下回る(レーザー発生前500msを超える平均から)、レーザー発生からレーザー発生後200msまでの極値として定義した。目視検査により、逸脱スパイクまたは他の異常が発生していないことを確認した。レーザー発生からこの顕著なピーク時間までの、ピークに達するまでの時間(Time-to-peak)を測定した。単一指数関数曲線をピークの2ms後からレーザー発生時までの平坦化された波形にフィッティングすることによって、定常状態光電流を決定した。定常状態電流はこのフィッティングのパラメーターから取られた。ClampFitを用いてτoffおよびτdesを算出した。トレースをまず、1,000Hzにおいて−3dBカットオフで低域ガウスフィルターを用いて平坦化し;次に、単一指数関数曲線を平坦化した波形にフィッティングした。全ての曲線を、当てはまりのよさについて視覚的に検査した。
【0208】
脱分極手段ChR2、ChETA、およびChIEFの光電流特性を、レンチウイルスコンストラクトおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)コンストラクトの両方を用いてインビトロで特徴付けした。単一分子特性に依存するパラメーター(定常状態:ピーク率、作用スペクトル、光感受性、および速度論)について、データセットが統計学的に相違していないことを確認した後に、複数の実験に渡って値をプールした。過分極手段の光電流特性を、別々の2ラウンドの実験において評価した。eNpHR3.0光電流量が2つのデータセット間で統計学的に異なっていたため、正規化数を考慮した場合のデータセット、またはeNpHR3.0が複数のデータセットに渡って同様に実行されたことを確認した後の内因的な単一分子特性(作用スペクトル、光感受性、および速度論)が組み合わされているのみである。
【0209】
ホールセルスパイクは高閾値(スライスにおける高速脱分極オプシンの比較においては−20mV;他の全ての比較においては0mV)を超える上昇、およびその後の低域値(−30mV)を下回る急降下として定義された。前のスパイクの2ms以内に発生した次のスパイクは無視した。光によって励起されたスパイクを検出するため、パルス発生後1〜50msの時間枠を定義した。20Hz以上では、この枠は電流パルス発生後に1msまで、次のパルス発生後に1msまで切り詰められた。最後の光パルスあたりの枠は同じ長さに切り詰められた。セルアタッチスパイクをClampFitにおいて閾値関数を用いて特定した。非常に小さな広範な事象はスパイクとして含まなかった。スパイクデータが曖昧な場合、トレースを手動で検査した。各ホールセルパルストレインにおいて、1以上のスパイクを誘発した光パルスの比率(パルス効率)および1を超えるスパイクを誘発した光パルスの比率(多数スパイクの可能性)を算出した。
【0210】
プラトー電位を、ベースラインからのスパイク波形の発生として定義した。インビトロでの脱分極手段において、1以上のスパイクを発火した全ての細胞が解析に含まれた。スライスにおける高速スパイク細胞において、100%のパルス効率を有したトレースのみが解析に含まれた。時間に対して同じ信頼度でスパイキングが持続される程度である時間的定常性を、光パルスを四分位値に分割し、各四分位値のパルス効率を算出することにより、算出した。潜時およびパルストレインを横切る潜時幅を以下の通りに決定した。各光パルスについて、光パルス発生からスパイク時間までの時間δを測定した。潜時はこれらの時間δの平均であり、潜時幅はこれらの時間δの標準偏差である。従って、潜時幅が、潜時が各細胞内でどれほど変化し易いかの尺度であり、一方で、潜時のエラーバーが細胞間の平均潜時の標準誤差であることに注意されたい。細胞が5未満の活動電位を発火したトレースは解析から除外した。
【0211】
統計解析
全ての統計解析は、Windows版Graphpad Prismバージョン5.04(グラフパッドソフトウェア社(GraphPad Software)、www(dot)graphpad(dot)com)を用いて行った。単一変数の2試料間比較(例えば、スライスにおけるChETA対ChIEFの速度論)において、データがガウス分布に従っているかどうかが最初に調べられた(シャピロ・ウィルク正規性検定)。データが検出可能な程度に非ガウス的であった場合、ノンパラメトリックなマンホイットニー検定を行った。データが十分に近似したガウス分布であった場合、独立な2試料間t検定(等分散)を行った。不等分散の場合(F検定によって決定)、ウエルチ補正を適用した。全ての試験は95%の信頼水準を有する両側検定であった。
【0212】
単一変数の多元比較(例えば、培養液中の全ての脱分極性オプシンの速度論)において、データがガウス分布に従っているかどうかを最初に調べた(シャピロ・ウィルク正規性検定)。分布が検出可能な程度に非ガウス的であった場合、平方根変換を用いて分散を安定化させ、データをおよそ正規にした。次に、全データをある特定の「対照」と比較し、ダネット検定を用いてファミリーあたりの誤り(family- wise error)を補正した。変換データがまだ非ガウス的であった場合、ノンパラメトリックなダン検定(Dunn’s test)を用いた。あらゆる場合においても、α=0.05の全体の有意水準(95%信頼区間)を維持した。多数のオプシンの比較は、従って、より保存的なαを有する(有意性のより厳密な必要性)。これは、いかに多くの比較が並行して行われているかに依存して、同じ比較に異なる有意値(significance value)が割り当てられることにも繋がり得る。具体的には、いくつかの同じChR2およびChETAのデータが2つの比較に含まれていたため、報告された有意値における矛盾は、比較の各セットに含まれるオプシンの全数に起因している可能性がある。
【0213】
複数変数の全体にわたっての比較(例えば、周波数全体にわたってのスパイキング性能)において、二元ANOVAを行い、次に、ペアの間で、または特定の「対照」に対して、事後検査(post-test)を行った。保存的なボンフェローニの補正を用いて偽陽性率を調節した。2つのオプシン特性(例えば、τoff対EPD50)間の関連性を試験するため、95%の信頼水準を有するノンパラメトリックな両側スピアマン相関(Spearman correlation)を行った。傾きを推定するため、最小二乗回帰(直線または対数の対数変換データ上の直線)、相対距離の2乗(1/Y^2)の最小化を行った。
【0214】
実験条件に対するオプシン特性の依存性(例えば、光電流対光パワー密度)を試験するため、回帰を以下の通りに行った。第一に、ピークに達するまでの時間対光パワー密度の解析において、対数の対数変換データに対して線形回帰を行い、各オプシンについて、最も適合した傾きが0と有意に異なるかどうかを比較した。第二に、脱感作からの回復の解析において、非線形回帰を用いて、平均光電流回復データをY=0およびプラトー=1を含む二相結合曲線に適合させた。この適合を用いて曲線およびR−2乗値を求めた。別の解析において、個々の細胞それぞれについてのデータを適合して、50%回復に必要な時間を算出した。第三に、光感受性の解析について、生データの母平均を一部位特異的結合曲線に適合した:Y=BmaxX/(Kd+X)。別の解析において、各細胞の光電流を正規化し;各オプシンの母平均および標準誤差をプロットした。この母集団データを同じ方法で適合して、曲線およびR−2乗値を求めた。個々の細胞それぞれについて、EPD50(50%有効光パワー密度)と称するKd(平衡結合定数)を得た。
【0215】
母集団有意閾値は常に、比較のファミリー全体に対して、P<0.05()、P<0.01(**)、およびP<0.001(***)に設定した。全てのグラフは平均値+平均値の標準誤差(s.e.m.)として示す。
【0216】
免疫組織化学
注射の6または4週間後、マウスを、PBS、続いて4%パラホルムアルデヒド(PFA)で経心的に潅流した。PFA固定後の一晩後、脳をPBS中30%スクロースにおいて少なくとも24時間平衡化した。凍結ミクロトームを用いて40μm切片を得て、DAPI染色し(1:50,000)、PVA−DABCO(シグマ‐アルドリッチ社)と共にカバーガラスをかけた。トランスフェクトした初代海馬培養物を4%PFAで15分間固定した。KDEL(配列番号14)を用いた染色において、培養物を次に、2%正常ロバ血清(NDS)中0.4%サポニンで30分間透過処理した。一次抗体とのインキュベーションを、KDEL(配列番号14)保留シグナルを含む内在性小胞体タンパク質に対するモノクローナル抗体(抗KDEL1:200、アビーム社(Abeam))を用いて、4℃で一晩行った。二次抗体(ジャクソン・ラボラトリーズ社(Jackson Laboratories))を2%NDSに含ませて、室温で1時間加えた。
【0217】
機器および設定
全ての画像は、1024×1024解像度(ピクセル寸法=3.03μm)として、ライカ社製共焦点顕微鏡(DM600B)上で得た。画像は、以下の対物レンズを用いて得た:10倍/0.40NA(乾燥系)、40倍/1.25NA(油浸)、および63倍/1.4NA(油浸)。励起波長および放射波長は以下の通りである:図5bのeYFP、514nm/512〜600nm;他の全ての図のeYFP、488nm/500〜545nm;GFP、488nm/500〜600nm;Cy5、633nm/650〜750nm。以下の図ではライン−平均化(line-averaging)を用いた:図3e、h(2)、図5b(4)、図6a(3)。所与のパネル図のそれぞれにおける全ての画像に対して一貫した設定を用いた。図5bの全てのeYFP画像の輝度およびコントラストは、Photoshop(アドビ社)で一律且つ同様に調節した。他の全ての画像は撮影後に未加工であった。
【0218】
トランスフェクト細胞における蛍光レベルの定量化
蛍光画像を、発現レベルおよび光電流/蛍光の関係の定量化を可能にするためにパッチされた同一細胞から撮影した。画像を、一定の設定を維持するMetamorphを用いて撮影し、ImageJを用いてオフライン加工した。手書きのROIには神経細胞体および近位樹状突起が含まれた。
【0219】
結果
過分極手段および特性
種々の過分極性光遺伝学的手段を一対一で比較した。各実験はそれ自体に独特の、過分極性光電流特性に関する一連の要件を有するため、いくつかの共通の指針が初めに明らかであるように思われる。第一に、大部分の実験的応用において、過分極性光電流は、興奮性入力の存在下であってもスパイキングを強く且つ安全に抑制するために、十分に大きい必要がある。第二に、より高い光感受性は、より大きな体積の組織の調節、より小さな光力の使用、および/または浸潤性がより少ない光送達を可能にし得る。第三に、正確な、同期した(time-locked)抑制には、急激に発生および停止する光電流が恐らく必要であるが、一方、長期的な抑制には最小限に脱感作する安定な光電流が必要である。そして、作用スペクトルの性質は同一調製物中で他の光活性型試薬と組み合わせる可能性を示している32、33
【0220】
ニューロンにおいて効果的であることが示された第一の過分極手段は、N. pharaonis由来ハロロドプシン(NpHR)、哺乳類脳のスライス32、自由に動いている虫32、培養ニューロン32、34、および行動中の哺乳動物35〜38に渡る調製で現在使用されている黄色光活性型クロライドポンプである。eNpHR 2.039およびeNpHR3.033と名付けられた、哺乳類ニューロンにおける膜標的化の増強のために調節された2つのバージョンが、それ以後報告されている。外向きプロトンポンプArch40(ハロルブラム・ソドメンセ(Halorubrum sodomense)由来)、ArchT41(ハロルブラムTP009株由来)、eBR33(ハロ細菌由来)およびMac40(レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)由来)も、ニューロン抑制で成功を収めたことが最近示された。eNpHR3.0はeNpHR2.0よりも大きな光電流を有し、ArchはeNpHR2.0よりも大きな光電流を有するが40、eNpHR3.0と、Archまたはプロトンポンプのいずれかとの直接比較はまだ報告されていない。最も強力な過分極オプシンの直接比較(図1A)が以下に示され、例えば、未だ報告されていない、最も高い発現レベルおよび抑制性光電流をもたらす新規の膜輸送増強バージョンのプロトンポンプである。特性をインビトロで特徴付けし;次に、急性スライスにおける最も有望な候補のうちの2つの機能的性能を試験した。
【0221】
各過分極手段を高感度黄色蛍光タンパク質(eYFP)とインフレームで融合し、オプシン興奮性CaMKIIαプロモーターを有する同一のレンチウイルス骨格中にクローニングし(図1A);オプシンを培養ニューロンにおいて発現させた(図1B)。eNpHR3.0を膜に十分に標的化したが、Arch、ArchT、およびMacは全て、NpHR1.0で観察された小胞体(ER)凝集39を連想させる細胞内蓄積を示した。同じ蓄積がGFPバージョンのコンストラクトにおいても観察され;GFPおよびYFP1.0バージョンは同様の光電流を有した。ERマーカーであるKDEL(配列番号14)で共染色することによりER凝集を確認した(図1B)。eNpHR3.0に適用された輸送調節をArch、ArchT、およびMacに適用した。(NpHRバージョンの進行から類推して)eArch3.0、eArchT3.0、およびeMac3.0と名付けられたこれらの新規の輸送増強バージョンは、細胞プロセス標識による、著しく減少した細胞内標識および向上した膜局在性を有した(図1B)。中間体バージョン「2.0」は、強力であったが、バージョン3.0程は成功しなかった。
【0222】
膜上に発現されるタンパク質のみが測定される光電流に寄与し得るため、この向上したオプシン輸送が光電流規模を増加させるはずであることが予測された。実際に、3つ全ての増強されたプロトンポンプは劇的に増加した光電流を有した(P<0.001;図1C)。プロトンポンプのバージョン1.0はeNpHR3.0よりも有意に小さな光電流を有したが、eArch3.0およびeArchT3.0の光電流は有意により大きかった(それぞれの比較においてP<0.001;図1C)。eNpHR3.0発現細胞は、これらの手段のうち、最も暗い蛍光を有したが、蛍光あたり最も大きな光電流を有した。
【0223】
最大のeMac3.0光電流は増強オプシンの中で最も小さかった(そして、eNpHR3.0よりも有意に小さい;P<0.05)が、Macは、eNpHR3.0との組み合わせにおいて二重抑制を可能にするのに十分に青色シフトした活性化スペクトルを有することが報告されている64。膜輸送がスペクトルを変化させないことを確認した後、増強ポンプのスペクトルを、参照のためにChR2と比較しプロットした(図1D)。3つのプロトンポンプ(520〜560nmにピーク)と比較して、eNpHR3.0は赤色シフトし(560〜590nmにピーク)、ChR2と最も少ない重なりを示し;機能的に意味のある差異はこれらのプロトンポンプ間に見られなかった。
【0224】
過分極性光電流の時間精度を、1s光パルスの最初と終わりにオン‐カイネティクス(on-kinetics)(τοn)およびオフ‐カイネティクス(off-kinetics)(τoff)を数量化することにより調べた。全てのポンプが急速に活性化され、プロトンポンプはeNpHR3.0よりも有意に速く活性化された(全て、1.5〜3msの範囲内、図1E)。Mac変異体は両方とも、他のポンプと比較してさらに遅いオフ‐カイネティクスを有した(P<0.001;図1E)。
【0225】
過分極性ポンプの光感受性を、約0.05〜約20mW/mmの範囲の光出力密度範囲に渡って光電流を測定することにより評価した(図1F)(光電流が小さいことから、Mac1.0は評価および後の解析から除外した)。予想通り、輸送増強は母集団感受性(正規化電流量またはEPD50)には影響を与えなかったが、3.0ポンプは1.0の対応物よりもさらに大きな現用(operational)光感受性(つまり、絶対電流量)を有した。eMac3.0は最も感受性が高かった(eNpHR3.0については、EPD50=1.9±0.4mW/mm対5.4±0.2mW/mm;P<0.001)。従って、オフ‐カイネティクスおよび母集団光感受性は過分極手段に対して逆相関し、脱分極手段で観察されたパターンを連想させた。
【0226】
多くの行動神経科学実験がおよそ数分程度の長い抑制を必要とし得ることを考慮して、過分極性光電流の安定性を調べた。全てのポンプ光電流は60sの連続光にわたって減衰したが、インビトロにおいて、eNpHR3.0電流は最も持続性があり、大きな3.0プロトンポンプ電流は(eArch3.0およびeArchT3.0)最も大きく減少した。全てのポンプはこれらの培養ニューロン条件下で、同様の効率で光電流を回復した。
【0227】
図1:過分極手段の特性
(a)NpHRは内向きクロライドポンプ(ハロロドプシン型;HR)であり、Arch、ArchT、およびMacは外向きプロトンポンプ(バクテリオロドプシン型;BR)である。バージョン3.0は、オプシンとフルオロフォアの間に輸送配列(TS)、およびフルオロフォアの後ろに2.0型小胞体移行配列(ER)を含む。(b)バージョン1.0および3.0の共焦点像(緑色)を培地中で発現させ、ERマーカー(抗KDEL(配列番号14);赤色)で免疫標識された。横スケールバーは25μmを表す。(c)Arch(n=15〜19)、ArchT(n=14〜16)、およびMac(n=8〜12)のバージョン1.0(白色バー)対バージョン3.0(黒色バー)について、1s光に応答する代表的なトレースおよび生の光電流。縦スケールバーおよび横スケールバーは500pAおよび500msをそれぞれ表す。光電流を同一実験からのeNpHR3.0の値に対して正規化して、オプシン間の直接比較を可能にした(n=8〜35)。(d)ChR2(黒)と並べた、バージョン3.0(n=7〜20)の作用スペクトル。(e)τοnおよびτoff(n=7〜35)。縦スケールバーおよび横スケールバーは200pAおよび5msをそれぞれ表す。(f)全ての過分極オプシンのEPD50(n=5〜14)。実験内(within-experiment)eNpHR3.0と並べてプロットされた生の光電流対光パワー密度(n=5〜14)。全ての母集団データは平均±s.e.mとしてプロットされている。星は有意水準を示す:P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。特に明記しない限り、eNpHR3.0は590nmの光で、他の全ての手段は560nm光で、共に約5mW/mmにおいて活性化された。
【0228】
過分極手段:急性スライスにおける抑制性スパイク
インビボ実験により関連した条件下で長期の光電流の特徴をさらに調べるため、および過分極が安定にスパイキングを抑制する機能的能力を試験するために、急性スライス調製物を用いた。この解析において、それぞれの広範な種類のうちの1つの過分極手段(すなわち、プロトンポンプのうちの1つに対してクロライドポンプeNpHR3.0)を比較した。現在までに最もよく確立されているプロトンポンプ(Arch1.0)の増強された対応物、すなわちeArch3.0を用いた。eNpHR3.0およびeArch3.0をインビボで発現させるため、CaMKIIαプロモーターの制御下にあるオプシン−eYFP融合遺伝子を有するアデノ随伴ウイルスベクター(AAV血清型2/5)を定位注射した。適合条件下で、eArch3.0は、注射部位および扁桃体基底外側部等の下流標的にある軸索の両方において、さらにより強く蛍光に基づく発現をした(BLA;図2A)。eYFPを形質導入した対照と比較して、両方のオプシンを発現する細胞は、オプシン発現HEK細胞で以前に観察された通り42、同様のベースライン入力抵抗(図2B)および静止電位を有したが、僅かに高い膜電気容量を有した。また、インビトロ実験(図1)から予測された通り、適合光出力密度(5mW/mm)において、eArch3.0は、eNpHR3.0の450±70pAに対して平均1680±360pAの、有意により大きな光電流を有した(P=0.01)(図2C)。電流固定下で、eArch3.0を介した過分極はまた、有意により大きかった(−41±4mVに対して−94±12mV、P=0.005;図2D);過分極における、光電流と比較してより小さな差異は、プロトンポンプにおける光周期回転率の電位依存的な緩徐化に起因している可能性がある。
【0229】
光電流安定性および過分極に対する細胞応答は光電流量に依存し得ることから、非適合光出力密度(eNpHR3.0については5〜10mW/mm;eArch3.0については0.25〜5mW/mm)を用いて一連の実験を行ったところ、その2つの手段において同様の範囲の光電流を得た。細胞に電位固定下で60秒間照射し、各細胞について初めおよび終わりの光電流を測定した。これらのデータは線形回帰によって十分に適合され(eNpHR3.0 R=0.68、eArch3.0 R=0.88)、eArch3.0は有意により高い傾斜を有しており(F1、36=22.2、P<0.001)、このことは、同様の開始光電流を有する細胞において、eArch3.0発現細胞は、これらのスライス条件下で、例示的なトレースで見られた様に、そしてインビトロで観察された安定性のパターンとは対照的に、光パルスの終わりに残存している、より多くの光電流を有していたという事実を反映している。
【0230】
eArch3.0およびeNpHR3.0が電流固定においてスパイキングを抑制する能力を評価した。スパイキングを、5Hzの適度に閾値上の電流注入、30sベースライン(光の前)、60s光、および30s(光の後)で誘発させた。両方のポンプが、長期光刺激の持続時間の全体を通じて、スパイクの遮断に成功した(図2E)。両グループから、いくつかの細胞が、長期的過分極、特に50mV超の長期的過分極の後に不安定になり、電流注入に対してスパイクできなかったこと、または光停止後により脱分極性の静止電位まで回復することを観察した。これらの要素を各細胞について数量化し、過分極の程度に対してそれぞれをプロットした(図2F)。より穏やかな(50mV超)過分極下では、興奮性または膜抵抗に対する一貫した、または持続的な効果は観察されなかった。
【0231】
図2:過分極手段の性能。(a)内側前頭前皮質(mPFC)および下流扁桃体基底外側部(BLA)の注射部位におけるeNpHR3.0およびeArch3.0発現の共焦点像。スケールバーは250μmおよび25μmを表す。DAPI染色(白)は細胞体を表す。(b)オプシン発現細胞およびeYFP対照の平均入力抵抗(n=10〜22)。(c)60秒の5mW/mm光パルスに応答した、eArch3.0およびeNpHR3.0の代表的なトレースおよび平均開始光電流(n=8〜10)。縦および横のスケールバーは400pAおよび10秒をそれぞれ表す。(d)60秒の5mW/mm光パルスでeArch3.0およびeNpHR3.0によってもたらされた平均ピーク過分極(n=6〜10)。(e)eNpHR3.0またはeArch3.0を発現している細胞における、60秒の連続光による、確実に発火している細胞において電流注入により誘起されたスパイキングの抑制。細胞に、およそ適合した過分極を達成するように設定された光出力密度を照射した。縦および横のスケールバーは40mVおよび20秒をそれぞれ表す。(f)過分極の大きさおよび細胞安定性の間の関連性。誘起されたスパイキングの光照射後回復(光照射前の性能と比較)および光により誘起された過分極に対してプロットされた静止電位の変化。全ての母集団データは平均±s.e.mとしてプロットされる。星は有意水準を示す:P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。eNpHR3.0は590nmの光で活性化し、一方、eArch3.0は560nmの光で活性化した。
【0232】
実施例2:シオヒゲムシ(Dunaliella salina)オプシンのクローニングおよび特徴付け。
典型的には蒸発塩原等の高塩環境に存在しているため、単細胞の(2本の鞭毛を有する卵円)緑藻類シオヒゲムシ(Dunaliella salina)は塩耐性である。緑藻コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)およびオオヒゲマワリ(Volvox carteri)と同じ目に属しているのにもかかわらず、高レベルのカロテノイド分子の蓄積によってドナリエラは赤味を帯びているように見える(図3A)。ドナリエラChRが珍しい特性を有しているかもしれないと仮定し、この鞭毛藻類種からChRをクローニングする試みにとりかかった。
【0233】
他の既知のChRとの高い相同性にもかかわらず、DChR1配列はいくつかの注目すべき特徴を含む(図3B)。第一に、RSBの複合対イオンの原因となると考えられている残基の一つ、前述のChR2内のE123は、DChR1 TM3においてAlaによって置換されており(図3B、C);構造モデル化(図3C)から、対イオン機能がBR(D212)またはアナベナ感覚性ロドプシン(ASR)において重要でない役割しか担っていない位置である(Vogeley et al., 2004)、DChR1内のE309によって想定されることが予想された。さらにより注目すべきことに、他のいかなる既知のChRとも異なり、DChR1光電流はもっぱら水素イオンによってのみ運ばれ、細胞外の陽イオン組成の変化によって全く影響を受けなかった(図3D)。結果的に、光電流はpH環境の変化に高感度であり、高pHにおいて完全に消滅した(図3E)。
【0234】
構造機能相関の完全な理解には複数の光周期状態の高解像度の結晶構造が必要である。しかし、定方向突然変異誘発の研究では、他の既知のChRと比較してDChR1が異なる対イオン配置およびイオン選択性を有することが示されている。ChR2内に存在するようなより典型的な推定対イオンGluでのA178の置換は、活性化スペクトルを赤色シフト(図3F、475から510nm)するのみで、電流振幅または電流動態に対しては最小の効果しか有さないため、DChR1の厳密なH選択性は異常なプロトン化レチナールシッフ塩基(RSBH)対イオンによって媒介されていない。同様に、AspでのE309の置換はわずかなスペクトルシフトおよびわずかな電流増加を引き起こしたが、Alaによる荷電E309の置換は前記タンパク質をほぼ完全に不活性にした(図3F)。
【0235】
典型的な電気化学的プロトン勾配と仮定すると、DChR1 H流向はバクテリオロドプシン(BR)ポンプ活性によってつくられたH流に対して反対方向であり;そのため、DChR1およびBRは、細胞pHの両方向的な調節等の処置、例えば、細胞内区画(ミトコンドリアおよびシナプス小胞)のpHの操作を可能にし得る。従ってDChR1は、ChR1およびChR2を含む他のいかなる微生物オプシンとも異なる新規クラスの微生物オプシン(光活性型水素イオンチャネル)を明示する。これらの発見により、膨大な微生物オプシンゲノム内に存在し得る機能の多様性が説明される。
【0236】
図3. シオヒゲムシ(Dunaliella salina)由来のチャネルロドプシンの特徴付け。A. 好塩性単細胞藻類シオヒゲムシ(Dunaliella salina)。B. 藻類チャネルロドプシンおよび第三膜貫通ヘリックス内のBRの間の配列相同性。典型的に保存されたE123位はDChR1においてはAlaと置換されており(黄色背景上に示される)、保存残基は青色背景上にしめされ、発色団と相互作用し得るアミノ酸は赤色で示される。C. BRおよびクラミドモナスChR2(CChR2)と比較した、DChR1における水素イオン受容体の欠如。ASR(アナベナ感覚性ロドプシン)は、上敷きとしてみられるオールトランスレチナールの混合物と一緒に結晶化されている(Vogeley et al., 2004)。D. DChR1光電流は細胞外陽イオン組成の変化によって影響を受けない(カテゴリーX軸上に示される各条件において存在する唯一の陽イオン)。100mM LiCl、KCl、NaCl、塩化グアニジウムまたはNMGクロライド(pH7.5)を含有する5mM Mops−NMG、0.1mM MgCl中で陽イオン交換を行った。T7 RNAポリメラーゼ(mMessage mMachine、アンビオン社)によるキャッピRNA合成用に、ヒト−コドン適合DChR配列(アミノ酸残基1〜339)をテンプレートとして用いた。卵母細胞調製、キャップRNAの注入を以前に報告された(Berthold et al. 2008)通りに行い、キャップRNA注入の3〜7日後の卵母細胞に対してTurbo Tec−05(NPIエレクトロニック(NPI Electronic))またはGeneClamp 500(モレキュラーデバイス社)増幅器を用いて二電極電位固定を行った。連続光は75−Wキセノンランプ(イェナ・インスツルメンツ(Jena Instruments))によって与えられ、3mm光ファイバーを介して卵母細胞に送達された。光は46mW/cmの強度で、500の25nm広帯域フィルター(バルザース社(Balzers))を通過した。E. 対照的に、DChR1光電流はpH環境の変化に対して高感受性である。溶液は、5mMグリシン(pH9.0)、5mM Mops−NMG(pH7.5)、5mMクエン酸塩(pH6、5.5、5.0、4.6、4.2)と一緒に100mM NMGクロライド、0.1mM MgCl、0.1mM CaClを含有する。F. 水素イオン受容体(A178EまたはE309D)のDChR1レチナール結合ポケットへの導入または変化は、吸収スペクトルにおける明白な赤色シフトを引き起こす。以前に報告された(Berthold et al. 2008)通りに10ナノ秒のレーザーフラッシュを適応し;作用スペクトル記録のための溶液は100mM NaCl、0.1mM MgCl、0.1mM CaClおよび5mM クエン酸塩(pH4.2)を含有していた。
【0237】
シオヒゲムシ(D. salina)DChR1をコードするヌクレオチド配列は図4に示される。DChR1をコードするヌクレオチド配列は哺乳類発現用にコドン最適化されており;コドン最適化されたヌクレオチド配列は図5に示される。図6はシオヒゲムシ(D. salina)DChR1のアミノ酸配列を提供する。
【0238】
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本発明はその特定の実施形態を参照して説明されたが、様々な変更が可能であり、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく等価物を置き換えてもよいことは、当業者によって理解されるはずである。
さらに、多くの改変を成すことで、特定の状況、材料、組成物、工程、工程段階または段階を、目的である本発明の精神および範囲に適合させてもよい。
全てのそのような改変は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10-1】
図10-2】
図10-3】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]