(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁性基材と、当該絶縁性基材を貫通して形成される貫通孔と、当該貫通孔に導電性ペーストを充填して形成される第1のビアと、前記絶縁性基材上に配設され、前記第1のビアに接続される第1の配線と、を備えるプリント配線板において、
前記第1の配線が、
前記第1のビアに接続され、前記第1の配線の下地膜として導電性ペーストにより形成される第1のシード層と、
前記第1のシード層を被覆する第1の無電解めっき層と、
を備え、
前記第1の配線の第1のシード層が、前記第1のビア上で周縁部のみに配設され、
前記第1の配線の第1の無電解めっき層が、前記第1のビアの中心領域で第1のビアに接触することを特徴とするプリント配線板。
絶縁性基材と、当該絶縁性基材を貫通して形成される貫通孔と、当該貫通孔に導電性ペーストを充填して形成される第1のビアと、前記絶縁性基材上に配設され、前記第1のビアに接続される第1の配線と、を備えるプリント配線板の製造方法において、
前記絶縁性基材に前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
スクリーン印刷により、前記貫通孔に前記導電性ペーストを充填して第1のビアを形成する第1のビア形成工程と、
スクリーン印刷により、前記絶縁性基材上に導電性ペーストを塗布し、前記第1の配線の下地膜として第1のシード層を形成する第1のシード層形成工程と、
無電解めっき処理により、前記第1のシード層上に第1の無電解めっき層を成長させる第1の無電解めっき層形成工程と、
を含み、
前記第1の配線の第1のシード層が、前記第1のビア上で周縁部のみに配設され、
前記第1の配線の第1の無電解めっき層が、前記第1のビアの中心領域で第1のビアに接触することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係るプリント配線板100は、両面プリント配線板(両面基板)であり、大別すると、
図1に示すように、絶縁性基材10と、当該絶縁性基材10を貫通して形成される貫通孔11aと、当該貫通孔11aに導電性ペースト(以下、第1の導電性ペースト1と称す)を充填して形成されるビア(以下、第1のビア11と称す)と、絶縁性基材10上に配設され、第1のビア11に接続される配線(以下、第1の配線21と称す)と、を備える。
【0012】
また、第1の配線21は、第1のビア11に接続され、第1の配線21の下地膜(めっき触媒層)として導電性ペースト(以下、第2の導電性ペースト2と称す)により形成されるシード層(以下、第1のシード層21aと称す)と、第1のシード層21aを被覆する無電解めっき層(以下、第1の無電解めっき層21bと称す)と、を備える。
【0013】
なお、本実施形態に係る絶縁性基材10は、ガラスエポキシ樹脂を材料とする基板を用いているが、絶縁材料であればガラスエポキシ樹脂に限られるものではなく、例えば、ポリイミドやセラミックスを材料とする基板であってもよい。
【0014】
また、本実施形態に係る第1の導電性ペースト1及び第2の導電性ペースト2は、樹脂成分として、エポキシ樹脂を用いているが、アクリレート樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂又はキシレン樹脂のうちの1種以上をエポキシ樹脂に混合したものであってもよい。
また、第1の導電性ペースト1及び第2の導電性ペースト2は、導電性粒子として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)又はニッケル(Ni)のうち、1種の金属粉(例えば、銅のみ、銀のみ)や、2種以上の金属を化合した化合物(合金)や、2種以上の金属粉を混合した混合物(例えば、銅及び銀の混合、銅及び銀とそれ以外の金属の配合、銅及び銀とはんだ粒子(例えば、スズ・銀系、スズ・ビスマス系など)の配合)や、1種の金属を他種の金属で被覆した金属粉であってもよい。
特に、銅及び銀とはんだ粒子の配合の場合は、メタライズペーストと称し、低温(160℃付近)で銅箔と合金化して安定した導電性を発現する。また、銅及び銀とはんだ粒子の配合の場合は、バルキ部分が合金化されて、融点が高温側(260℃以上)へシフトし、耐熱信頼性が向上する。
また、第1の導電性ペースト1及び第2の導電性ペースト2は、硬化剤として、フェノール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、カチオン系硬化剤又はラジカル系硬化剤等を用い、添加剤として、消泡剤、増粘剤又は粘着剤等を添加することもできる。
【0015】
なお、本実施形態においては、第1の導電性ペースト1及び第2の導電性ペースト2にタツタ電線株式会社製の金属フィラー(導電性粒子と絶縁材料のエポキシ樹脂等との混合物)を用い、第1のビア11の第1の導電性ペースト1の導電性粒子として、銅の金属粉を用いており、第1のシード層21aの第2の導電性ペースト2の導電性粒子として、銀の金属粉を用いている。
特に、第1のビア11の第1の導電性ペースト1の導電性粒子と第1のシード層21aの第2の導電性ペースト2の導電性粒子とは、1種若しくは複数種の金属組成、複数種の金属配合、又は、金属組成及び金属配合の組み合わせ、が略同一であることが好ましい。これにより、第1の導電性ペースト1と第2の導電性ペースト2との親和性を高め、第1のビア11及び第1のシード層21a間の結合が強固となり、第1の配線21に対する第1のビア11のアンカー機能により、絶縁性基材10からの第1の配線21の剥離を防止することができる。
【0016】
また、第2の導電性ペースト2における導電性粒子の平均粒子径は、第1のシード層21aを20μm以下の低膜厚にするために、20μm以下にする必要があるのに対し、第1の導電性ペースト1における導電性粒子の平均粒子径は、第1のビア11の直径が0.2mm〜0.3mm程度であるために、20μm以下にする必要がない。
すなわち、本実施形態に係るプリント配線板100においては、第1のシード層21aの第2の導電性ペースト2における導電性粒子の平均粒子径が、第1のビア11の第1の導電性ペースト1における導電性粒子の平均粒子径よりも小さいことも特徴である。
【0017】
また、第1の導電性ペースト1は、貫通孔11aに充填されるために、粒子径が大きい導電性粒子のみでは、隣接する導電性粒子間の間隔が大きくなり、第1のビア11の導通状態が不十分になる虞がある。このため、第1の導電性ペースト1は、粒子径が大きい導電性粒子の他に、粒子径が小さい導電性粒子を混在させることで、粒子径が大きい導電性粒子の間に粒子径が小さい導電性粒子を入り込ませ、第1のビア11の導通状態を確保すると共に、全体的な粘度の調整も行うことができる。
すなわち、本実施形態に係るプリント配線板100においては、第1のビア11の第1の導電性ペースト1における導電性粒子の粒子径の均一度が、第1のシード層21aの第2の導電性ペースト2における導電性粒子の粒子径の均一度より低いことも特徴である。
【0018】
なお、第1の導電性ペースト1及び第2の導電性ペースト2は、前述した導電性金属ペーストの代わりに、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポロピロール又はポリチオフェン等の導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
特に、導電性ポリマーは、絶縁性基材10の材料であるガラスエポキシ樹脂に近い有機材であり、熱的な性質が略同一で熱膨張係数が近似するため、第1の導電性ペースト1として導電性ポリマーを用いることにより、プリント配線板100に部品を実装する際に生じる高温下においても、絶縁性基材10及び第1のビア11の伸び率が近似し、歪みによるプリント配線板100に不具合が生じることを抑制することができる。
【0019】
また、本実施形態に係る第1の無電解めっき層21bは、無電解銅めっきからなり、奥野製薬工業株式会社製の独立回路基板用無電解銅めっき液「OPCカッパーNCA」を、無電解めっき処理に使用している。
なお、独立回路基板用無電解銅めっき液「OPCカッパーNCA」は、1時間につき6.0μm程度に銅めっきの膜厚を成長させることでき、従来の無電解銅めっき液と比較して、無電解めっき液の銀ペーストに対する析出速度を格段に向上させることができる。
特に、回路を構成する第1の配線21としては、20μm以上の厚みが必要であり、独立回路基板用無電解銅めっき液「OPCカッパーNCA」を用いることで、3時間以内で15μm以上の第1の無電解めっき層21bを形成することができ、有用である。
【0020】
つぎに、プリント配線板100の製造方法について、
図2を用いて説明する。
まず、ドリル加工、パンチ加工又はレーザー加工により、0.2mm〜0.3mm程度の貫通孔11aを絶縁性基材10に形成する(
図2(b)参照、貫通孔形成工程)。
【0021】
そして、絶縁性基材10の表面における貫通孔11aの形成位置に合わせて乳剤で開口形成したスクリーン印刷版(不図示)を絶縁性基材10に対向させて配置し、導電インク(第1の導電性ペースト1)をスクリーン印刷版上に塗布する。
スクリーン印刷機(不図示)は、スクリーン印刷版の表面にスキージを摺動させて、スクリーン印刷版を絶縁性基材10に押し当て、スクリーン印刷版の開口を通じて導電インク(第1の導電性ペースト1)を吐出し、絶縁性基材10の貫通孔11aに充填する。
なお、本実施形態に係るスクリーン印刷には、アサダメッシュ株式会社製の高強度スクリーンメッシュ「HS-D500メッシュ」(メッシュ数:500メッシュ、線径:19μm)に対して、乳剤で開口形成したスクリーン印刷版を用いている。
【0022】
そして、第1の導電性ペースト1を100℃〜200℃の硬化炉で30分〜120分間熱硬化(乾燥)させた後に、絶縁性基材10の両面(表面、裏面)から突出した硬化物を研磨により除去して、第1のビア11を形成する(
図2(c)参照、第1のビア形成工程)。
【0023】
そして、絶縁性基材10の表面における第1の配線21(第1のシード層21a)の形成位置に合わせて乳剤で開口形成したスクリーン印刷版(不図示)を絶縁性基材10に対向させて配置し、導電インク(第2の導電性ペースト2)をスクリーン印刷版上に塗布する。
スクリーン印刷機(不図示)は、スクリーン印刷版の表面にスキージを摺動させて、スクリーン印刷版を絶縁性基材10に押し当て、スクリーン印刷版の開口を通じて導電インク(第2の導電性ペースト2)を吐出し、絶縁性基材10の表面にライン状に塗布する。
なお、本実施形態に係るスクリーン印刷には、アサダメッシュ株式会社製の高強度スクリーンメッシュ「HS-D500メッシュ」(メッシュ数:500メッシュ、線径:19μm)に対して、乳剤で開口形成したスクリーン印刷版を用いている。高強度スクリーンメッシュ「HS-D500メッシュ」は、パターン形成における寸法安定性に寄与するスクリーンメッシュの強度が高く、線幅0.1mm程度の第1のシード層21aを形成することができる。
【0024】
そして、第2の導電性ペースト2を100℃〜200℃の硬化炉で30分〜120分間熱硬化(乾燥)させ、第1の配線21の下地膜として第1のシード層21aを形成する(
図2(d)参照、第1のシード層形成工程)。
なお、第1のシード層形成工程は、絶縁性基材10の表面側に第1のシード層21aを形成した後に、絶縁性基材10を裏返し、絶縁性基材10の表面側と同様の製造工程により、絶縁性基材10の裏面側に第1のシード層21aを形成する(
図2(e)参照)。
【0025】
そして、例えば、脱脂工程、プリディップ工程、パラジウム(Pd)置換処理工程、パラジウム残渣除去工程及び無電解銅めっき工程を含む無電解めっき処理により、第1のシード層21a上に第1の無電解めっき層21bを成長させる(
図1(b)参照、第1の無電解めっき層形成工程)。
【0026】
なお、本実施形態に係る脱脂工程は、奥野製薬工業株式会社製の薬液「OICクリーナー」を用いて、25℃の薬液中に3分間浸漬して、絶縁性基材10の両面(表面、裏面)を洗浄する。
また、本実施形態に係るプリディップ工程は、奥野製薬工業株式会社製の薬液「OICプリディップ」を用いて、25℃の薬液中に30秒間浸漬し、絶縁性基材10(第1のシード層21a)とパラジウムとの親和性を高める。
【0027】
また、本実施形態に係るパラジウム置換処理工程は、奥野製薬工業株式会社製の薬液「OICアクセラ」を用いて、25℃の薬液中に3分間浸漬し、絶縁性基材10上にパラジウムを吸着させる。
さらに、本実施形態に係るパラジウム残渣除去工程は、奥野製薬工業株式会社製の薬液「OICポストディップ」を用いて、25℃の薬液中に1分間浸漬し、絶縁性基材10における第1のシード層21a以外の下地からパラジウムを除去する。
【0028】
また、本実施形態に係る無電解銅めっき工程は、奥野製薬工業株式会社製の薬液「OPCカッパーNCA(高速タイプ)」を用いて、55℃の薬液中に180分間浸漬し、めっき液中に加えた還元剤による銅イオンの還元反応によって第1のシード層21a表面に吸着したパラジウム触媒粒子上に銅(第1の無電解めっき層21b)を析出させ、第1の配線21を形成する。
【0029】
そして、第1の配線21に接続する電極(不図示)を形成するために、絶縁性基材10(第1の配線21)上における電極の形成位置を除く領域にレジストによるマスクを形成し、第1の配線21の第1の無電解めっき層21bを下地膜として、無電解ニッケル/金めっきを施して、無電解ニッケル/金めっき層(電極)を形成する。
以上の工程を経て、本実施形態に係るプリント配線板100が完成する。
【0030】
ここで、サブトラクティブ工法を用いた従来のプリント配線板200は、絶縁性基材201の両面(表面、裏面)の全面に銅箔201aが貼着された基材(
図3(a)参照)を用い、
図3及び
図4に示す既知の製造工程により形成される。なお、
図3及び
図4において、符号202は貫通孔であり、符号203は無電解めっき層であり、符号204は電解めっき層であり、符号205はレジストであり、符号206はマスクである。
【0031】
従来のプリント配線板200の製造方法は、例えば、無電解めっき工程(
図3(c))の処理時間が40分であり、電解めっき工程(
図3(d))の処理時間が60分であり、マスク貼り付け工程(
図3(e))の処理時間が20分であり、露光(両面)工程(
図4(a))の処理時間が30分であり、現像工程(
図4(b))の処理時間が10分であり、エッチング工程(
図4(c))の処理時間が10分であり、マスク剥離工程(
図4(d))の処理時間が10分である。
【0032】
すなわち、
従来のプリント配線板
200の製造方法は、製造時間(貫通孔形成工程(
図3(b))を除く)が180分であり、現像工程、エッチング工程及びマスク除去工程が存在し、廃液が発生することになる。
【0033】
これに対し、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法は、第1の導電性ペースト1を印刷して貫通孔11aに充填し、第1の導電性ペースト1を乾燥させて第1のビア11を形成する第1のビア形成工程(穴埋印刷・乾燥、
図2(c))の処理時間が30分である。また、絶縁性基材10の表面に第2の導電性ペースト2を印刷して乾燥させて第1のシード層21aを形成する第1のシード層(表)形成工程(シード層(表)印刷・乾燥、
図2(d))の処理時間が30分であり、絶縁性基材10の裏面に第2の導電性ペースト2を印刷して乾燥させて第1のシード層21aを形成する第1のシード層(裏)形成工程(シード層(裏)印刷・乾燥、
図2(e))の処理時間が30分である。また、絶縁性基材10に無電解銅めっきを施し、第1のシード層21a上に第1の無電解めっき層21bを形成する第1の無電解めっき層形成工程(無電解めっき、
図1(b))の処理時間が80分である。
【0034】
すなわち、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法は、製造時間(貫通孔形成工程(
図2(b))を除く)が170分であり、サブトラクティブ工法を用いた従来のプリント配線板200の製造時間より短く、現像工程、エッチング工程及びマスク除去工程が存在せず、廃液を発生させない。
【0035】
以上のように、本実施形態に係るプリント配線板100は、第1のビア11となる第1の導電性ペースト1と、第1の配線21の第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2と、をスクリーン印刷により形成し、第1の配線21の第1の無電解めっき層21bを無電解めっきにより形成することにより、エッチング工程に関わる工程を削除でき、簡素な生産プロセスを実現することが可能である。
また、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法は、従来のプリント配線板の製造方法と比較して、廃液を削減することができ、銅の利用率を改善すると共に、現像工程、エッチング工程及び剥離工程に使用する製造装置が不要となり、設備コスト及び生産スペースを削減することができる。
【0036】
なお、本実施形態に係るプリント配線板100は、
図1に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11(貫通孔11a)上において、第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2を全面に塗布し、第1の無電解めっき層21bが第1のシード層21aを介して第1のビア11に間接的に接触しているが、この層構造に限られるものではない。
例えば、プリント配線板100は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11上において、第1のビア11の中心領域を除く周縁部のみに、第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2を塗布してもよい。
この場合には、
図5(c)に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11上の中心領域において、第1の導電性ペースト1が第1の無電解めっき層21bの下地膜になり、第1の無電解めっき層21bが第1のビア11に直接的に接触することになる。
【0037】
(本発明の第2の実施形態)
図6は第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明するための断面図であり、
図6(a)は絶縁性基材を示す断面図であり、
図6(b)は貫通孔を形成した状態を示す断面図であり、
図6(c)は第1の導電性ペーストを充填した状態を示す断面図であり、
図6(d)は絶縁性基材の両面に第1のシード層を形成した状態を示す断面図であり、
図6(e)は第1のシード層上に第2の無電解めっき層を形成した状態を示す断面図である。
図7は
図6に示すプリント配線板の製造方法の続きを説明するための断面図であり、
図7(a)は絶縁性基材の表面に絶縁層を形成した状態を示す断面図であり、
図7(b)は絶縁性基材の裏面に絶縁層を形成した状態を示す断面図であり、
図7(c)は絶縁性基材の表面側の開口部に第3の導電性ペーストを充填した状態を示す断面図であり、
図7(d)は絶縁性基材の裏面側の開口部に第3の導電性ペーストを充填した状態を示す断面図である。
図8は
図7に示すプリント配線板の製造方法の続きを説明するための断面図であり、
図8(a)は絶縁性基材の表面側に第2のシード層を形成した状態を示す断面図であり、
図8(b)は絶縁性基材の裏面側に第2のシード層を形成した状態を示す断面図であり、
図8(c)は第2のシード層上に第2の無電解めっき層を形成した状態を示す断面図である。
図9(a)は第2の実施形態に係るプリント配線板の概略構成の他の例を示す断面図である。
図6乃至
図9(a)において、
図1乃至
図5と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係るプリント配線板100は、
図8(c)に示すように、多層プリント配線板であり、第1の実施形態に係るプリント配線板100(以下、両面プリント配線板101と称す)の構成要素の他に、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上に積層される絶縁層10aと、絶縁層10aにおける第1の配線21に接続する部分に形成される開口部12aと、開口部12aに導電性ペースト(以下、第3の導電性ペースト3と称す)を充填して形成されるビア(以下、第2のビア12と称す)と、絶縁層10a上に配設され、第2のビア12に接続される配線(以下、第2の配線22と称す)と、をさらに備える。
【0039】
また、第2の配線22は、第2のビア12に接続され、第2の配線22の下地膜として導電性ペースト(以下、第4の導電性ペースト4と称す)により形成されるシード層(以下、第2のシード層22aと称す)と、第2のシード層22aを被覆する無電解めっき層(以下、第2の無電解めっき層22bと称す)と、を備える。
【0040】
なお、本実施形態においては、第3の導電性ペースト3が第1の導電性ペースト1に対応し、第4の導電性ペースト4が第2の導電性ペースト2に対応しており、第1の実施形態で前述した第1の導電性ペースト1又は第2の導電性ペースト2の材料を適用することができるため、第3の導電性ペースト3及び第4の導電性ペースト4の材料の説明は省略する。
また、第2の無電解めっき層22bは、第1の無電解めっき層21bと同様に、無電解銅めっきからなり、奥野製薬工業株式会社製の独立回路基板用無電解銅めっき液「OPCカッパーNCA」を、無電解めっき処理に使用している。
【0041】
つぎに、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法について、
図6乃至
図8を用いて説明する。
なお、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法は、絶縁性基材10に貫通孔11aを形成してから第1の配線21(第1の無電解めっき層21b)を形成するまでの製造工程(
図6参照)が、第1の実施形態に係る両面プリント配線板101の製造方法と同様の製造工程であるので説明を省略する。
【0042】
第1の配線21に接続する部分に形成される開口部12aを除いて乳剤で開口形成したスクリーン印刷版(不図示)を絶縁性基材10(両面プリント配線板101)に対向させて配置し、インク(絶縁樹脂)をスクリーン印刷版上に塗布する。
スクリーン印刷機(不図示)は、スクリーン印刷版の表面にスキージを摺動させて、スクリーン印刷版を絶縁性基材10(両面プリント配線板101)に押し当て、スクリーン印刷版の開口を通じてインク(絶縁樹脂)を吐出し、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面に開口部12aを除いて絶縁樹脂を塗布する。
【0043】
そして、絶縁樹脂を120℃〜130℃の硬化炉で30分間熱硬化(乾燥)させ、開口部12aを除いて、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面に絶縁層10aを形成する(
図7(a)参照、絶縁層積層工程)。
また、絶縁層積層工程は、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側の絶縁層10aを形成した後に、絶縁性基材10を裏返し、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側と同様の製造工程により、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の裏面側に絶縁層10aを形成する(
図7(b)参照)。
【0044】
なお、絶縁層積層工程は、プレス成形により、開口部12aを除いて、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上に絶縁層10aを積層する製造工程でもよい。
プレス成形は、プレス成形機により開口部12aとなる部分を刳り抜いた半硬化状態の強化プラスチック成形材料(プリプレグ)を絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上に積層し、プリプレグを加熱して溶解させ、絶縁性基材10及び第1の配線21に密着して硬化させることで、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上に絶縁層10aを形成する(
図7(a)(b)参照、絶縁層積層工程)。
【0045】
そして、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上の絶縁層10aの表面における開口部12aの形成位置に合わせて乳剤で開口形成したスクリーン印刷版(不図示)を絶縁性基材10に対向させて配置し、導電インク(第3の導電性ペースト3)をスクリーン印刷版上に塗布する。
また、スクリーン印刷機(不図示)は、スクリーン印刷版の表面にスキージを摺動させて、スクリーン印刷版を絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上の絶縁層10aに押し当て、スクリーン印刷版の開口を通じて導電インク(第3の導電性ペースト3)を吐出し、絶縁層10aの開口部12aに充填する。
【0046】
そして、第3の導電性ペースト3を100℃〜200℃の硬化炉で30分〜120分間熱硬化(乾燥)させた後に、絶縁層10aの表面から突出した硬化物を研磨により除去して、第2のビア12を形成する(
図7(c)参照、第2のビア形成工程)。
なお、第2のビア形成工程は、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側の第2のビア12を形成した後に、絶縁性基材10を裏返し、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側と同様の製造工程により、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の裏面側に第2のビア12を形成する(
図7(d)参照)。
【0047】
そして、絶縁層10aの表面における第2の配線22(第2のシード層22a)の形成位置に合わせて乳剤で開口形成したスクリーン印刷版(不図示)を絶縁性基材10に対向させて配置し、導電インク(第4の導電性ペースト4)をスクリーン印刷版上に塗布する。
また、スクリーン印刷機(不図示)は、スクリーン印刷版の表面にスキージを摺動させて、スクリーン印刷版を絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上の絶縁層10aに押し当て、スクリーン印刷版の開口を通じて導電インク(第4の導電性ペースト4)を吐出し、絶縁層10aの表面にライン状に塗布する。
【0048】
そして、第4の導電性ペースト4を100℃〜120℃の硬化炉で30分〜120分間熱硬化(乾燥)させ、第2の配線22の下地膜として第2のシード層22aを形成する(
図8(a)参照、第2のシード層形成工程)。
なお、第2のシード層形成工程は、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側に第2のシード層22aを形成した後に、絶縁性基材10を裏返し、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側と同様の製造工程により、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の裏面側に第2のシード層22aを形成する(
図8(b)参照)。
【0049】
そして、例えば、脱脂工程、プリディップ工程、パラジウム置換処理工程、パラジウム残渣除去工程及び無電解銅めっき工程を含む無電解めっき処理により、第2のシード層22a上に第2の無電解めっき層22bを成長させる(
図8(c)参照、第2の無電解めっき層形成工程)。
なお、本実施形態に係る無電解めっき処理(無電解銅めっき)は、第1の実施形態の無電解めっき処理(無電解銅めっき)と同一の製造工程であるために、詳細な説明を省略する。
【0050】
そして、第2の配線22に接続する電極(不図示)を形成するために、絶縁層10a(第2の配線22)上における電極の形成位置を除く領域にレジストによるマスクを形成し、第2の配線22の第2の無電解めっき層22bを下地膜として、無電解ニッケル/金めっきを施して、無電解ニッケル/金めっき層(電極)を形成する。
以上の工程を経て、本実施形態に係るプリント配線板100が完成する。
【0051】
なお、本実施形態においては、プリント配線板100が多層プリント配線板であるところのみが第1の実施形態と異なるところであり、多層プリント配線板及びその製造方法による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0052】
また、本実施形態に係るプリント配線板100は、4層の多層プリント配線板を例に挙げて説明したが、導電性ペーストによるビア及びシード層の製造工程並びに無電解めっきによる配線上層の製造工程を適用することで、4層以外の多層プリント配線板を形成することができる。
【0053】
なお、本実施形態に係るプリント配線板100は、
図8(c)に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11(貫通孔11a)上において、第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2を全面に塗布し、第1の無電解めっき層21bが第1のシード層21aを介して第1のビア11に間接的に接触している。
また、本実施形態に係るプリント配線板100は、
図8(c)に示すように、絶縁層10aの表面における第2のビア12(開口部12a)上において、第2のシード層22aとなる第4の導電性ペースト4を全面に塗布し、第2の無電解めっき層22bが第2のシード層22aを介して第2のビア12に間接的に接触している。
しかしながら、本実施形態に係るプリント配線板100は、この層構造に限られるものではない。
【0054】
例えば、プリント配線板100は、
図9(a)(
図5(a)、
図5(b))に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11上において、第1のビア11の中心領域を除く周縁部のみに、第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2を塗布してもよい。
この場合には、
図9(a)(
図5(c))に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11上の中心領域において、第1の導電性ペースト1が第1の無電解めっき層21bの下地膜になり、第1の無電解めっき層21bが第1のビア11に直接的に接触することになる。
同様に、プリント配線板100は、
図9(a)に示すように、絶縁層10aの表面における第2のビア12上において、第2のビア12の中心領域を除く周縁部のみに、第2のシード層22aとなる第4の導電性ペースト4を塗布してもよい。
この場合には、
図9(a)に示すように、絶縁層10aの表面における第2のビア12上の中心領域において、第3の導電性ペースト3が第2の無電解めっき層22bの下地膜になり、第2の無電解めっき層22bが第2のビア12に直接的に接触することになる。
【0055】
このような層構造にすることにより、プリント配線板100は、ビア(例えば、第1のビア11)の部分において、導電性ペースト(ここでは、第1の導電性ペースト1)/無電解めっき(ここでは、第1の無電解めっき層21b)/導電性ペースト(ここでは、第3の導電性ペースト3)/無電解めっき(ここでは、第2の無電解めっき層22b)というように、導電性ペーストと無電解めっきとの繰り返しの層になり、接合の信頼性を向上することができる。
【0056】
(本発明の第3の実施形態)
図9(b)は第3の実施形態に係るプリント配線板の概略構成の他の例を示す断面図である。
図10は第3の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明するための断面図であり、
図10(a)は絶縁性基材の表面側に第3のシード層を形成した状態を示す断面図であり、
図10(b)は絶縁性基材の裏面側に第3のシード層を形成した状態を示す断面図であり、
図10(c)は第3のシード層及び第1の無電解めっき層上に第3の無電解めっき層を形成した状態を示す断面図である。
図9(b)及び
図10において、
図1乃至
図9(a)と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係るプリント配線板100は、
図10(c)に示すように、多層プリント配線板であり、第1の実施形態に係る両面プリント配線板101の構成要素の他に、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上に積層される絶縁層10aと、絶縁層10aにおける第1の配線21に接続する部分に形成される開口部12aと、絶縁層10a上に配設され、第1の無電解めっき層21bに接続される配線(以下、第3の配線23と称す)と、をさらに備える。
【0058】
また、第3の配線23は、絶縁層10a上における開口部12aの周縁部及び当該周縁部から延在させる配線の形成位置に配設され、第3の配線23の下地膜として導電性ペースト(以下、第5の導電性ペースト5と称す)により形成されるシード層(以下、第3のシード層23aと称す)と、開口部12aに充填されると共に、第1の無電解めっき層21b及び第3のシード層23aを被覆する無電解めっき層(以下、第3の無電解めっき層23bと称す)と、を備える。
【0059】
なお、本実施形態においては、第5の導電性ペースト5が第2の導電性ペースト2に対応しており、第1の実施形態で前述した第2の導電性ペースト2の材料を適用することができるため、第5の導電性ペースト5の材料の説明は省略する。
また、第3の無電解めっき層23bは、第1の無電解めっき層21bと同様に、無電解銅めっきからなり、奥野製薬工業株式会社製の独立回路基板用無電解銅めっき液「OPCカッパーNCA」を、無電解めっき処理に使用している。
【0060】
つぎに、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法について、
図10を用いて説明する。
なお、本実施形態に係るプリント配線板100の製造方法は、絶縁性基材10に貫通孔11aを形成してから絶縁層10aを形成するまでの製造工程(
図6、
図7(a)、
図7(b)参照)が、第2の実施形態に係るプリント配線板100の製造方法と同様の製造工程であるので説明を省略する。
【0061】
絶縁層10aの表面における開口部12aの周縁部及び当該周縁部から延在させる配線の形成位置に合わせて乳剤で開口形成したスクリーン印刷版(不図示)を絶縁性基材10に対向させて配置し、導電インク(第5の導電性ペースト5)をスクリーン印刷版上に塗布する。
スクリーン印刷機(不図示)は、スクリーン印刷版の表面にスキージを摺動させて、スクリーン印刷版を絶縁性基材10(両面プリント配線板101)上の絶縁層10aに押し当て、スクリーン印刷版の開口を通じて導電インク(第5の導電性ペースト5)を吐出し、絶縁層10aの表面に環状(開口部12aの周縁部に対応)及びライン状(周縁部から延在させる配線部に対応)に塗布する。
【0062】
そして、第5の導電性ペースト5を100℃〜200℃の硬化炉で30分〜120分間熱硬化(乾燥)させ、第3の配線23の下地膜として第3のシード層23aを形成する(
図10(a)参照、第3のシード層形成工程)。
なお、第3のシード層形成工程は、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側に第3のシード層23aを形成した後に、絶縁性基材10を裏返し、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の表面側と同様の製造工程により、絶縁性基材10(両面プリント配線板101)の裏面側に第3のシード層23aを形成する(
図10(b)参照)。
【0063】
そして、例えば、脱脂工程、プリディップ工程、パラジウム置換処理工程、パラジウム残渣除去工程及び無電解銅めっき工程を含む無電解めっき処理により、第3のシード層23a及び第1の無電解めっき層21b上に第3の無電解めっき層23bを成長させる(
図10(c)参照、第3の無電解めっき層形成工程)。
なお、第1の無電解めっき層21b上に第3の無電解めっき層23bを成長させることは、開口部12a内に第3の無電解めっき層23bを充填させることであり、絶縁層10aにおけるビアを形成することになる。
また、本実施形態に係る無電解めっき処理(無電解銅めっき)は、無電解銅めっき液への浸漬が第1の実施形態の無電解めっき処理(無電解銅めっき)と比較して長時間であることを除き、第1の実施形態の無電解めっき処理(無電解銅めっき)と同一の製造工程であるために、詳細な説明を省略する。
【0064】
そして、第3の配線23に接続する電極(不図示)を形成するために、絶縁層10a(第3の配線23)上における電極の形成位置を除く領域にレジストによるマスクを形成し、第3の配線23の第3の無電解めっき層23bを下地膜として、無電解ニッケル/金めっきを施して、無電解ニッケル/金めっき層(電極)を形成する。
以上の工程を経て、本実施形態に係るプリント配線板100が完成する。
【0065】
なお、本実施形態においては、開口部12aに第3の導電性ペースト3を充填する工程を省略したところのみが第2の実施形態と異なるところであり、当該工程を省略したことによる作用効果以外は、第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0066】
また、本実施形態に係るプリント配線板100は、4層の多層プリント配線板を例に挙げて説明したが、導電性ペーストによるビア及びシード層の製造工程、並びに、無電解めっきによるビア及び配線上層の製造工程を適用することで、4層以外の多層プリント配線板を形成することができる。
【0067】
なお、本実施形態に係るプリント配線板100は、
図10(c)に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11(貫通孔11a)上において、第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2を全面に塗布し、第1の無電解めっき層21bが第1のシード層21aを介して第1のビア11に間接的に接触しているが、この層構造に限られるものではない。
【0068】
例えば、プリント配線板100は、
図9(b)(
図5(a)、
図5(b))に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11上において、第1のビア11の中心領域を除く周縁部のみに、第1のシード層21aとなる第2の導電性ペースト2を塗布してもよい。
この場合には、
図9(b)(
図5(c))に示すように、絶縁性基材10の表面及び裏面における第1のビア11上の中心領域において、第1の導電性ペースト1が第1の無電解めっき層21bの下地膜になり、第1の無電解めっき層21bが第1のビア11に直接的に接触することになる。
【0069】
そして、プリント配線板100は、前述した本実施形態に係る第3のシード層形成工程及び第3の無電解めっき層形成工程により、
図9(b)に示すように、第1の配線21の第1の無電解めっき層21b及び第3のシード層23aを下地膜として第3の無電解めっき層23bを成長させて、絶縁層10aにおけるビア及び第3の配線23を形成してもよい。