特許第6406621号(P6406621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000002
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000003
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000004
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000005
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000006
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000007
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000008
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000009
  • 特許6406621-静止測光ユニット 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406621
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】静止測光ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   G01J1/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-116048(P2016-116048)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-219506(P2017-219506A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】石田 康史
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−026525(JP,A)
【文献】 特開2005−030791(JP,A)
【文献】 実開昭49−144284(JP,U)
【文献】 特開2007−097946(JP,A)
【文献】 特開2015−031514(JP,A)
【文献】 特開平09−196984(JP,A)
【文献】 特開平06−117923(JP,A)
【文献】 特開平10−009951(JP,A)
【文献】 特開平07−329895(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0177426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00−1/70
B64C 1/00−99/00
B64D 1/00−47/08
B64F 1/00−5/00
B64G 1/00−99/00
G01D 18/00−21/02
G01J 1/00−1/60
11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な架台と;
前記架台に取り付けられた光センサと;
前記架台に取り付けられた取っ手と;
前記架台に回転自在に取り付けられた一対の主輪と;
前記架台に取り付けられ、直径が前記主輪の直径よりも小さく、回転軸が回転可能な補助輪と;
前記架台の上面における前記一対の主輪間に設けられ、人が上方から視認することにより照明装置に対する前記架台の位置決めを補助する位置決め手段と;
を具備し、
前記取っ手と前記主輪との距離は、前記取っ手と前記補助輪との距離よりも短く、
前記架台が地表に固定された前記照明装置を覆った状態で、前記光センサにより前記照明装置の光強度を測定可能な静止測定ユニット。
【請求項2】
前記光センサの側方に配置された遮光板をさらに具備した請求項1記載の静止測定ユニット。
【請求項3】
前記架台に対して固定可能であり、水平方向に延び、側面が円弧に沿って凹状に湾曲したフレームをさらに具備し、
前記光センサは複数個設けられており、前記複数個の光センサは前記側面に取り付けられている請求項1または2に記載の静止測定ユニット。
【請求項4】
前記架台に搭載され、前記光センサを上下方向に移動させる上下移動手段をさらに具備した請求項1〜のいずれか1つに記載の静止測定ユニット。
【請求項5】
前記架台の下端は前記照明装置の上端よりも上方に位置する請求項1〜のいずれか1つに記載の静止測定ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、静止測光ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行場には、航空機の離着陸を支援するために、各種の飛行場灯火が設けられている。飛行場灯火のうち、例えば、滑走路の中心線に配置される滑走路中心線灯、及び、着陸する航空機の接地範囲を示す接地帯灯を構成する照明装置は、航空機に踏まれる位置にあるため、滑走路に埋め込まれており、発光部が路面から15mm程度突出している。一方、滑走路の外縁を示す滑走路灯を構成する照明装置は、視認性を優先して、地表から数十cm程度突出している。
【0003】
このような照明装置は、航空機の安全な運行を確保するために、常に所定値以上の光強度を実現している必要がある。しかしながら、照明装置の故障、経時劣化、発光面の汚れ等により、光強度が低下する可能性がある。このため、国際民間航空機関(ICAO)により、照明装置の性能を維持するように勧告されている。
【0004】
従来、照明装置の点検は、空港全体を複数のブロックに分け、ブロック毎に滑走路から照明装置を取り外し、他の場所に搬送して光強度を測定し、問題が無ければ元の位置に戻すことによって行われていた。しかしながら、空港は広いため、この方法では検査に多大な時間を要してしまう。照明装置の点検は、航空機が離着陸しない時間帯に行われなくてはならないため、検査時間の短縮は重要な課題となっていた。
【0005】
そこで、光センサを搭載した車両を滑走路内で走行させ、走行しながら照明装置の光強度を測定する方法が提案されている。例えば、滑走路中心線灯のように、多数の照明装置が直線に沿って一定周期で配列されている場合は、車両を灯火列に沿って一定の速度で走行させれば、複数の照明装置が一定の時間間隔で次々に光センサの検知領域に入ってくる。このため、一定の時間間隔で光センサの出力信号を取得することにより、多数の照明装置を効率よく検査することができる。
【0006】
但し、飛行場灯火の種類によっては、光センサを照明装置に対して静止させた状態で光強度を測定した方がよい場合もある。このような場合は、車両を照明装置に対して所定の位置に停車させて、光強度の測定を行っている。しかしながら、例えば照明装置は直径が200mm程度であり、車両は照明装置よりもかなり大きいため、適切な検査位置に車両を位置決めすることは困難である。このため、車両の位置決め及びそのやり直しの作業に時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3482571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態の目的は、照明装置を効率よく点検できる静止測光ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の静止測定ユニットは、移動可能な架台と;前記架台に取り付けられた光センサと;前記架台に取り付けられた取っ手と;前記架台に回転自在に取り付けられた一対の主輪と;前記架台に取り付けられ、直径が前記主輪の直径よりも小さく、回転軸が回転可能な補助輪と;前記架台の上面における前記一対の主輪間に設けられ、人が上方から視認することにより照明装置に対する前記架台の位置決めを補助する位置決め手段と;を具備する。前記取っ手と前記主輪との距離は、前記取っ手と前記補助輪との距離よりも短い。前記静止測定ユニットは、前記架台が地表に固定された前記照明装置を覆った状態で、前記光センサにより前記照明装置の光強度を測定可能である。
【0010】
請求項2に記載の静止測定ユニットは、請求項1記載の静止測定ユニットに加えて、前記光センサの側方に配置された遮光板をさらに具備する。
【0012】
請求項に記載の静止測定ユニットは、請求項1または2に記載の静止測定ユニットに加えて、前記架台に対して固定可能であり、水平方向に延び、側面が円弧に沿って凹状に湾曲したフレームをさらに具備する。前記光センサは複数個設けられており、前記複数個の光センサは前記側面に取り付けられている。
【0013】
請求項に記載の静止測定ユニットは、請求項1〜のいずれか1つに記載の静止測定ユニットに加えて、前記架台に搭載され、前記光センサを上下方向に移動させる上下移動手段をさらに具備する。
【0015】
請求項に記載の静止測定ユニットは、請求項1〜のいずれか1つに記載の静止測定ユニットにおいて、前記架台の下端は前記照明装置の上端よりも上方に位置する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の静止測定ユニットによれば、架台が照明装置を覆った状態で、光センサにより前記照明装置の光強度を測定できる。これにより、光センサと照明装置との位置関係を容易且つ正確に設定することができる。この結果、照明装置を効率よく点検できる。また、請求項1に記載の静止測定ユニットによれば、架台に、取っ手、主輪、補助輪がこの順に配列されて取り付けられている。また、補助輪の直径は主輪の直径よりも小さく、補助輪の回転軸は回転可能である。これにより、作業者が取っ手を用いて静止測定ユニットを動かすことができ、また、作業者が取っ手を把持して架台を回転させたときに、架台の回転軸が主輪間に位置するため、小回りが利きやすい。更に、照明装置に対する架台の位置決めを補助する位置決め手段が設けられているため、光センサと照明装置との位置関係をより精密に且つ迅速に設定することができる。この結果、照明装置の光強度を正確に効率よく測定することができる。
【0017】
請求項2に記載の静止測定ユニットによれば、光センサの側方に遮光板が配置されているため、外光が光センサに入射することを抑制できる。この結果、測定精度が向上する。
【0019】
請求項に記載の静止測定ユニットによれば、複数個の光センサが円弧に沿って凹状に湾曲した面に取り付けられているため、各光センサと照明装置との距離を均一にすることができる。これにより、測定精度が向上する。
【0020】
請求項に記載の静止測定ユニットによれば、光センサを上下方向に移動させる上下移動手段が設けられているため、測定対象となる照明装置の形状及び配光特性等に合わせて、光センサの高さを調節することができる。これにより、各照明装置に適した測定が可能となる。
【0022】
請求項に記載の静止測定ユニットによれば、架台の下端は照明装置の上端よりも上方に位置するため、架台に照明装置を覆わせることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態に係る測光システムを示す側面図である。
図2】第1の実施形態に係る測光システムを示す上面図である。
図3】第1の実施形態に係る測光システムを示すブロック図である。
図4】(a)は、第1の実施形態に係る静止測定ユニットを示す上面図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその背面図である。
図5】飛行場灯火の配置を示す図である。
図6】(a)〜(c)は、第1の実施形態における移動測定の方法を示す図である。
図7】横軸に時間をとり、縦軸に信号の強度をとって、信号の経時変化を示すタイミングチャートである。
図8】(a)〜(c)は、第1の実施形態において地上型の照明装置を静止測定する方法を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図であり、(c)は背面図である。
図9】第2の実施形態に係る測光システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。
本実施形態に係る測光システムは、地表に固定された照明装置の光強度を測定する測光システムである。地表に固定された照明装置は、例えば、滑走路に設けられた飛行場灯火である。
【0025】
<測光システムの全体構造>
先ず、本実施形態に係る測光システムの全体構造について説明する。
図1は、本実施形態に係る測光システムを示す側面図である。
図2は、本実施形態に係る測光システムを示す上面図である。
図3は、本実施形態に係る測光システムを示すブロック図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る測光システム1においては、測光車10と、静止測定ユニット20と、測光車10と静止測定ユニット20を接続するケーブル30が設けられている。
【0027】
測光車10は、移動しながら地表に固定された照明装置の光強度、例えば照度又は輝度等を測定することができる。測光車10においては、車両11が設けられており、車両11には、制御ユニット12及び移動測定ユニット13が搭載されている。車両11は内燃機関又はモーター等で自走可能な通常の自動車であり、例えばワゴン車であり、後面にハッチバック式のドア14が設けられている。また、ドア14を開いたときに、スロープ15を地表Gまで引き出すことができる。車両11は、例えば、車椅子を収納可能な福祉車両を改造して作製することができる。なお、スロープ15の替わりに、例えばパワーゲート(登録商標)方式等も適宜用いることができる。
【0028】
車両11は静止測定ユニット20を収納し運搬することができる。静止測定ユニット20は機械的に自立したユニットであり、人力で移動可能である。このため、静止測定ユニット20は、車両11からスロープ15を用いて地表Gに降ろすことができ、車両11から離れることもできる。このとき、移動測定ユニット20は、ケーブル30を介して、制御ユニット12から電源が供給される。移動測定ユニット20は地表の照明装置に対して静止した状態で、この照明装置の光強度を測定できる。
【0029】
<測光車の構造>
次に、測光車10の構成を詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、測光車10においては、制御ユニット12は車両11の内部に設けられている。例えば、車両11の助手席にはシートが設けられておらず、制御ユニット12が固定されている。制御ユニット12は、移動測定ユニット13及び静止測定ユニット20の双方に対して電源を供給すると共に、動作を制御し、検出信号を受け取る。なお、車両11の運転席には運転者用のシート16が設けられている。
【0030】
また、車両11の後部座席にもシートは設けられていない。車両11における運転席及び助手席よりも後方のスペースは床又はスロープ15が平坦になっており、静止測定ユニット20の収納場所とされている。なお、このスペースには作業者用の簡易シートが設けられていてもよい。
【0031】
移動測定ユニット13は車両11の外部に配置されており、車両11の前面に取り付けられている。移動測定ユニット13には、車両11に固定された支持台17が設けられており、支持台17の前面に、位置センサ18及び光センサ19が取り付けられている。例えば、位置センサ18は、本実施形態の場合は2個設けられており、支持台17の上部の左右に1個ずつ配置されている。位置センサ18は、例えば、所定の角度範囲内から入射する光の光度を測定する輝度計である。一方、光センサ19は例えば5個設けられており、前方から見て十字状に配置されている。光センサ19は、例えば、所定の角度範囲内から入射する光の照度を計測する照度計である。
【0032】
図3に示すように、制御ユニット12においては、電源部40、電源盤41及び分電器42が設けられている。電源部40にはリチウム電池等の二次電池が設けられており、所定の電力を電源盤41に対して出力する。電源盤41は、直接、又は分電器42を介して、制御ユニット12の各部及び静止測定ユニット20に対して電力を供給する。
【0033】
制御ユニット12においては、インターフェース(IF)盤43が設けられている。IF盤43には、位置センサ用ドライバ44、光センサ用ドライバ45及び46が設けられている。
【0034】
位置センサ用ドライバ44は、電源盤41から電力が供給され、位置センサ18に対して制御信号を出力して、位置センサ18を動作させる。そして、位置センサ用ドライバ44は、位置センサ18から入力された検出信号をトリガ信号に変換して出力する。
【0035】
光センサ用ドライバ45は、電源盤41から電力が供給され、光センサ19に対して制御信号を出力して、光センサ19を動作させる。そして、光センサ用ドライバ45は、光センサ19から入力された検出信号を、光強度を示す信号に変換して出力する。
【0036】
同様に、光センサ用ドライバ46は、電源盤41から電力が供給され、静止測定ユニット20の光センサ27に対して制御信号を出力して、光センサ27を動作させると共に、光センサ27から入力された検出信号を、光強度を示す信号に変換して出力する。
【0037】
また、制御ユニット12においては、車速センサ47、計測コントローラ48、ハブ・無線部49、計測・解析部51、入出力端末52及び表示部53が設けられている。車速センサ47は、車両11のシャフトに取り付けられたエンコーダ(図示せず)が生成するパルスを、速度パルスとして計測コントローラ48に対して出力する。
【0038】
計測コントローラ48は、電源盤41から電力が供給されて、IF盤43に対して制御信号を出力する。また、計測コントローラ48には、IF盤43から信号が入力される。そして、これらの信号を処理して、ハブ・無線部49を介して計測・解析部51に対して出力する。計測コントローラ48は、車速センサ47から出力される速度パルスに基づいて測光車10の走行距離を算出し、位置センサ用ドライバ44から出力されるトリガ信号により、測光車10が照明装置101に接近したことを検知し、光センサ用ドライバ45に対して制御信号を出力し、光センサ19を作動させる。
【0039】
計測・解析部51は、光センサ用ドライバ45又は46から出力される光強度信号に基づいて、照明装置101が正常であるか異常であるかを判定し、判定結果を記憶する。計測・解析部51は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成することができる。
【0040】
計測コントローラ48及び計測・解析部51は、ハブ・無線部49を介して入出力端末52に接続されている。入出力端末52は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータにより構成することができる。ハブ・無線部49、計測・解析部51及び入出力端末52は、分電器42を介して電力が供給される。なお、入出力端末52は車両11内及びその近傍を移動可能である。入出力端末52の位置によっては、分電器42を介さずに、電源盤41から直接電力の供給を受けることができる。
【0041】
表示部53は計測コントローラ48に接続されており、例えば、車両11の運転席から視認できる位置に配置されている。表示部53は、例えば、測光車10の基準位置からの走行距離及び現在位置、位置センサ18及び光センサ19の作動状態、位置センサ18及び光センサ19の出力信号、計測・解析部51による判定結果、並びに、各種の警報等を表示することができる。
【0042】
ハブ・無線部49は、制御ユニット12内のハブとして機能すると共に、測光システム1の外部に向けて、計測・解析部51の判定結果等を無線通信によって出力できる。
【0043】
<静止測定ユニットの構成>
次に、静止測定ユニット20の構成について、詳細に説明する。
図4(a)は、本実施形態に係る静止測定ユニットを示す上面図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその背面図である。
【0044】
図4(a)〜(c)に示すように、静止測定ユニット20においては、架台21が設けられている。架台21は、複数本のフレーム21fが仮想的な直方体の辺に沿って配置され、相互に結合されることにより、形成されている。従って、架台21の形状は略直方体である。架台21の長手方向は前後方向である。また、架台21の下端は、測定対象となる照明装置の上端よりも上方に位置している。
【0045】
架台21の後部の幅方向両側には、一対の主輪22が設けられている。主輪22は架台21に回転自在に支持されている。主輪22の回転軸方向は幅方向である。主輪22にはブレーキが付いていてもよい。フレーム21fのうち、架台21の前端部且つ幅方向両端部に配置され上下方向に延びる一対のフレーム21faは、架台21から下方に延出している。フレーム21faの下端には、補助輪23が回転自在に取り付けられている。補助輪23の直径は、主輪22の直径よりも小さい。補助輪23の回転軸の方向は、水平面内で自在に変化できる。このように、架台21は、後部に設けられた2つの主輪22、及び、前端部に設けられた2つの補助輪23により、地表Gに接している。
【0046】
架台21の後端部の上端部には、一対の取っ手24が取り付けられている。従って、取っ手24と主輪22との距離は、取っ手24と補助輪23との距離よりも短い。一対の取っ手24の位置及び形状は、作業者が両手で把持できるように設定されている。これにより、作業者は、取っ手24を押すことにより、静止測定ユニット20を前方に移動させることができ、取っ手24を引くことにより、静止測定ユニット20を後方に移動させることができる。また、左右の取っ手24に異なる方向又は異なる大きさの力を印加することにより、静止測定ユニット20の向きを変えることができる。このとき、補助輪23の回転軸が回転し、架台21の前端部は幅方向に移動する。これにより、架台21の回転軸は主輪22間に位置する。このように、静止測定ユニット20は人力で移動可能である。静止固定ユニット20の後部、すなわち、主輪22及び取っ手24を含む部分は、例えば、市販の車椅子を改造して作製してもよい。
【0047】
架台21の前部には、モーター25aが設けられている。モーター25aは例えばステッピングモーターであり、上下方向に延びるアクチュエーター25bを、一定の範囲内で上下方向に移動させることができる。モーター25aはモーターコントローラ25c(図3参照)によって制御される。モーター25a、アクチュエーター25b及びモーターコントローラ25cにより、上下移動手段25が構成されている。図3に示すように、モーターコントローラ25cは、制御ユニット12の電源盤41からケーブル30を介して電力が供給される。
【0048】
図4(a)〜(c)に示すように、アクチュエーター25bには、水平方向に延びる支持フレーム26が固定されている。支持フレーム26の後面26rは概ね幅方向に延びているが、半径rの円弧に沿って凹状に緩く湾曲している。後面26rが沿う円弧の中心を「中心C」とする。中心Cは、例えば、一対の主輪22の間に位置する。
【0049】
支持フレーム26の後面26rには、複数個の光センサ27が取り付けられている。光センサ27は後面26rがなす円弧の内側を向いている。複数個の光センサ27は、支持フレーム26の略全長にわたって、一列に配列されている。図3に示すように、光センサ27はケーブル30を介して光センサ用ドライバ46に接続可能である。これにより、光センサ27は、制御ユニット12の電源部40から、電源盤41、光センサ用ドライバ46及びケーブル30を介して電力が供給され、計測コントローラ48により、光センサ用ドライバ46及びケーブル30を介して制御され、ケーブル30を介して光センサ用ドライバ46に検出信号を出力する。なお、図示の便宜上、図4(c)においては、上下移動手段25は省略されている。後述する図8(c)においても同様である。
【0050】
光センサ27の側方には、遮光板28が設けられている。具体的には、遮光板28は、架台21の前面、背面、及び左右の側面に張り付けられている。一方、架台21の上面及び下面には、遮光板28は設けられていない。なお、夜間の月光、星明かり又は屋外照明設備の影響をより効果的に抑制したい場合には、光センサ27の上方に遮光板を設けてもよい。
【0051】
架台21の後部の上面には、位置決め手段29が設けられている。位置決め手段29は、作業者が照明装置101に対して架台21を位置決めする動作を補助する。例えば、位置決め手段29は、棒材を梯子状に組み合わせて正方形の枠を形成したものである。正方形の枠の中心は、中心Cの直上域に位置する。
【0052】
<動作>
次に、本実施形態に係る測光システム1の動作について説明する。
先ず、測定対象である照明装置について説明する。
図5は、飛行場灯火の配置を示す図である。
飛行場には、航空機の離着陸を支援するために種々の飛行場灯火が設けられているが、図5には、1本の滑走路Rに設けられた滑走路中心線灯L1、接地帯灯L2及び滑走路灯L3のみを示している。
【0053】
図5に示すように、滑走路中心線灯L1は、滑走路Rの中心線を示す灯火であり、図5では円形(○)で示されている。接地帯灯L2は航空機の接地領域を示す灯火であり、図5では四角形(□)で示されている。滑走路灯L3は滑走路の外縁を示す灯火であり、図5では三角形(△)で示されている。滑走路中心線灯L1及び接地帯灯L2には埋込型の照明装置が用いられており、滑走路灯L3には地上型の照明装置が用いられている。
【0054】
<移動測定>
次に、移動しながら照明装置の光強度を測定する方法について説明する。
図6(a)〜(c)は、本実施形態における移動測定の方法を示す図である。
図7(a)〜(e)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号の強度をとって、各信号の経時変化を示すタイミングチャートであり、(a)は速度パルスを示し、(b)は位置センサの出力信号を示し、(c)はトリガ信号を示し、(d)は光センサの状態を示し、(e)は光センサの出力信号を示す。
【0055】
図5に示すように、飛行場灯火のうち、滑走路中心線灯L1は埋込型の照明装置を用いているため、測光車10が照明装置の真上を通過することができる。また、滑走路中心線灯L1は一直線且つ等間隔に配列されているため、測光車10が等速直線運動をすると、一定の時間間隔で測光車10の検出可能領域に入ってくる。このため、滑走路中心線灯L1は測光車10による移動測定に適している。
【0056】
先ず、作業者が測光車10を運転して、駐車場所から滑走路Rの端部に向かう。このとき、制御ユニット12の計測コントローラ48には、滑走路中心線灯L1の位置を示す情報が記憶されている。位置センサ18及び光センサ19はオフ状態とされている。また、測光車10内には静止測定ユニット20が収納されている。なお、後述する静止測定を行わない場合は、静止測定ユニット20は収納されていなくてもよい。
【0057】
次に、測光車10は、滑走路Rの端部から滑走路Rの中心線上を一定の速度で走行する。また、図3及び図7(a)に示すように、計測コントローラ48は、車速センサ47から入力された速度パルスに基づいて、測光車10の走行距離の計測を開始する。
【0058】
図6(a)に示すように、測光車10の光センサ19は、所定の検出角度範囲から入射する光のみを検出する。光センサ19の地表Gからの高さ及び検出角度範囲を設定することにより、測光車10の前方に検出可能領域S1を設定することができる。検出可能領域S1の内部に照明装置101が位置したときに、その照明装置101の光強度を測定できる。同様に、位置センサ18の検出可能領域S2を設定することができる。測光車10を基準として、位置センサ18の検出可能領域S2は光センサ19の検出可能領域S1よりも前方に設定する。
【0059】
図6(a)に示す状態では、測光車10は照明装置101から遠く、照明装置101は検出可能領域S1内にも検出可能領域S2内にも位置していない。但し、計測コントローラ48は速度パルスに基づいて測光車10の走行距離を計測しているため、位置センサ18と光センサ19との相互位置関係に基づいて、最初の照明装置101までの距離を見積もることができる。最初の照明装置101までの距離が所定値以下となったときに、計測コントローラ48は位置センサ用ドライバ44を介して位置センサ18をオン状態とする。
【0060】
その後、図6(b)に示すように、照明装置101が位置センサ18の検出可能領域S2内に入ると、図7(b)に示すように、位置センサ18が照明装置101から出射された光を検知して、出力信号が増加する。そして、位置センサ18の出力信号が閾値を超えると、図7(c)に示すように、位置センサ用ドライバ44がトリガ信号を出力する。このように、位置センサ18の検知信号をトリガとすると共に、照明装置101までの距離に基づいて、図7(d)に示すように、計測コントローラ48が光センサ19をオン状態とする。このとき、測光車10の速度と照明装置101までの距離を考慮して、トリガ信号が出力されてから光センサ19をオン状態とするまでの間に、時間差を設けてもよい。
【0061】
そして、図6(c)に示すように、光センサ19がオン状態となった状態で、照明装置101が光センサ19の検出可能領域S1に入る。これにより、図7(e)に示すように、光センサ19が照明装置101から出射された光を検出して、出力信号が増加する。光センサ用ドライバ45は光センサ19の出力信号を光強度データに変換して計測コントローラ48に対して出力する。計測コントローラ48は、光強度データを測光車10の位置情報と関連付けて計測・解析部51に対して出力する。計測・解析部51は、測定対象となった照明装置101の光強度を基準値と比較し、光強度が基準値以上であればその照明装置101は正常と判定し、基準値未満であれば異常と判定して、その結果を記憶する。その後、計測コントローラ48は光センサ19をオフ状態とする。なお、異常判定については、複数回の計測を実施した後に別途解析してもよい。
【0062】
測光車10は一定速度で滑走路Rの中心線上を走行し続けて、次の照明装置101に向かう。そして、同様な手順により、次の照明装置101を判定する。以後、同様にして、滑走路Rの滑走路中心線灯L1を構成する全ての照明装置101を判定する。
【0063】
<静止測定>
次に、静止した状態で照明装置の光強度を測定する方法について説明する。
例えば、図5に示す接地帯灯L2のように、照明装置101の数が少ない場合は、光センサを照明装置101に対して静止させた状態で光強度を測定した方がよい場合もある。また、照明装置101の数が多い場合であっても、光の照射方向が不規則であったり異種の構造のものが混在している場合には、各々測定位置が変わるため、個別に微調整しながら光強度を測定した方がよい場合もある。
【0064】
図1図3に示すように、静止測定を行う際には、測光車10が測定対象となる照明装置101の近傍まで移動する。次に、測光車10を停止させて、ドア14を開き、スロープ15を地表Gまで引き出す。そして、作業者が手動で静止測定ユニット20を測光車10から降ろす。静止測定ユニット20は測光車10の電源盤41とケーブル30を介して接続されている。このとき、作業者は入出力端末52をドア14の近傍まで運搬し、電源盤11に接続してもよい。次に、作業者は、架台21が照明装置101を覆う位置まで、静止測定ユニット20を移動させる。
【0065】
そして、図4(a)〜(c)に示すように、位置決め手段29を用いて、照明装置101に対する静止測定ユニット20の位置を決める。例えば、真上から見て、位置決め手段29の正方形の枠内に照明装置101が位置するようにし、例えば、照明装置101の中心が中心Cと重なるようにする。これにより、照明装置101に対して光センサ27が精密に位置決めされる。
【0066】
また、作業者は、入出力端末52を操作することにより、モーターコントローラ25cに命令を出してモーター25aを駆動させ、アクチュエーター25bを上下動させる。アクチュエーター25bが上下動すると、支持フレーム26及び光センサ27も上下動する。このように、上下移動手段25により、光センサ27の高さを調節する。
【0067】
次に、作業者は、入出力端末52を操作することにより、光センサ用ドライバ46を介して光センサ27をオン状態とする。これにより、照明装置101から出射した光を光センサ27が検出し、その検出信号を光センサ用ドライバ46に対して出力する。図4(a)〜(c)においては、照明装置101から出射され光センサ27に入射される光路Pの一例を破線で示している。
【0068】
そして、計測コントローラ48及びハブ・無線部49が、照明装置101の光強度が基準値以上であるか否かを判定し、その結果を記憶する。このとき、光センサ27の周囲は遮光板28によって囲まれているため、外光、例えば、他の照明装置の光及び月光等が光センサ27に入射することを抑制でき、測定の精度を向上させることができる。
【0069】
次に、静止測定ユニット20を、次に測定対象となる照明装置101を覆う位置まで移動させ、停止させる。そして同様な操作により、この照明装置101の光強度を測定する。以後同様にして、接地帯灯L2を構成する照明装置101を順次測定していく。
【0070】
また、静止測定ユニット20は、地上型の照明装置の光強度を測定してもよい。地上型の照明装置は、例えば、滑走路灯L3を構成する照明装置である。
図8(a)〜(c)は、本実施形態において地上型の照明装置を静止測定する方法を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図であり、(c)は背面図である。
【0071】
図8(a)〜(c)に示すように、作業者は静止測定ユニット20を地上型の照明装置102を覆う位置まで移動させる。照明装置102は地表Gから数十cm程度突出している。なお、測定対象とする照明装置102の高さは予め分かっているため、架台21の下端が照明装置21の上端よりも上方に位置するように、静止測定ユニット20を設計する。
【0072】
作業者は上下移動手段25を作動させることにより、光センサ27の高さを照明装置102の発光面の高さに合わせて調節する。例えば、照明装置101を測定する場合よりも、光センサ27の位置を高くする。そして、照明装置101を測定したときと同様な方法により、照明装置102の光強度を測定する。
【0073】
測定が終了したら、静止測定ユニット20を測光車10内に収納する。そして、作業者は測光車10を運転して、所定の駐車場所に戻る。駐車場所には外部サーバ100(図3参照)又はその中継器が設置されている。測光車10が駐車場所に戻ると、ハブ・無線部49が測定データを無線通信により外部サーバ100に対して出力し、外部サーバ100はこの測定データを記憶する。また、作業者は電源部40の充電を開始して、次回の測定に備える。
【0074】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る測光システム1においては、移動測定が可能な測光車10に静止測定が可能な静止測定ユニット20を収納し、静止測定ユニット20を任意の場所で降ろすことができる。これにより、一度の出動で移動測定及び静止測定の両方を行うことができ、多種類の飛行場灯火を点検することができる。この結果、点検のために滑走路を占有する時間を短縮できる。
【0075】
また、静止測定ユニット20は測光車10よりも小型且つ軽量であるため、人力で移動可能である。また、人力で移動可能とすることにより、エンジン等の駆動装置が不要となり、より小型且つ軽量とすることができる。この結果、静止測定ユニット20は小回りが利き、照明装置に対する位置決めを迅速且つ正確に行うことができる。これにより、測定を効率的に行うことができる。
【0076】
更に、静止測定ユニット20には、測光車10の電源部40からケーブル30を介して電力が供給される。このため、静止測定ユニット20内に電源部を設ける必要が無く、静止測定ユニット20をより一層小型且つ軽量にすることができる。
【0077】
更にまた、静止測定ユニット20には架台21を設けられており、架台21には一対の主輪22、一対の補助輪23、一対の取っ手24が取り付けられている。これにより、作業者が取っ手24を把持して力を加えることにより、静止測定ユニット20を前後に移動させ、また、静止測定ユニット20の向きを変えることができる。また、取っ手24と主輪22との距離は、取っ手24と補助輪23との距離よりも短くなっている。これにより、静止測定ユニット20の向きを変えるときの回転軸は主輪22間に位置し、作業者に近い。この結果、静止測定ユニット20は小回りが利きやすく、操作性が高い。
【0078】
更にまた、架台21の下端は照明装置の上端よりも上方に位置している。これにより、架台21が照明装置を覆うような位置に静止測定ユニット20を配置することができる。この結果、位置決め手段29を用いて、照明装置に対する光センサ27の位置を精密に調整することができる。また、遮蔽板28により光センサ27の周囲を覆うことができるため、外光の干渉を抑制して、照明装置の光強度を精度良く測定することができる。このように、架台21が照明装置を覆った状態で照明装置の光強度を測定することにより、測定環境をある程度制御することができ、高精度な測定が可能となる。
【0079】
更にまた、静止測定ユニット20には水平方向に延びる支持フレーム26が設けられているため、この支持フレーム26に複数個の光センサ27を取り付けることができる。これにより、測定の信頼性が向上すると共に、照明装置の配光性も評価することができる。また、支持フレーム26における光センサ27が取り付けられた後面26rが円弧状に湾曲しているため、照明装置から光センサ27までの距離を均一にすることができる。これにより、測定の精度が向上する。
【0080】
更にまた、静止測定ユニット20には上下移動手段25が設けられているため、複数個の光センサ27を支持フレーム26ごと一括して上下動させることができる。これにより、照明装置の発光面の高さ及び光の出射角度等に合わせて、光センサ27の高さを調節することができる。
【0081】
更にまた、入出力端末52は分電盤42にも電源盤41にも接続可能であるため、入出力端末52を車両11内又はその近傍で移動させることができる。これにより、例えば、測光車10の走行中は入出力端末52を運転席の近傍に置いておき、静止測定中は入出力端末52をドア14の近傍に持っていくことで、作業者が一人で移動測定と静止測定の両方を行うことが容易になる。
【0082】
更にまた、車両11として福祉車両を改造して使用し、静止測定ユニット20の後部を車椅子を改造して作製することにより、市販の製品を利用して測光システム1を低コストに実現することができる。また、福祉車両と車椅子は構造的な整合性が高いため、静止測定ユニット20の乗降車が容易である。
【0083】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る測光システムを示すブロック図である。
【0084】
図9に示すように、本実施形態に係る測光システム2においては、ケーブル30(図1参照)が設けられておらず、静止測定ユニット60内に電源部を含む静止測定用制御61が設けられている。これにより、静止測定ユニット60は測光車10から完全に独立して、静止測定を行うことができる。
【0085】
<構成>
測光車10には、移動測定用制御ユニット62が設けられている。移動測定用制御ユニット62の基本的な構成は、前述の第1の実施形態における制御ユニット12(図3参照)とほぼ同じである。但し、制御ユニット12が移動測定ユニット13及び静止測定ユニット20の双方を制御するのに対して、移動測定用制御ユニット62は、外部サーバ100とのデータ通信を除いて、移動測定ユニット13のみを制御する。移動測定用制御ユニット62の詳細な説明は省略する。
【0086】
静止測定ユニット60には、静止測定用制御ユニット61の他に、図4(a)〜(c)に示す架台21、主輪22、補助輪23及び取っ手24が設けられており、人力で移動させることができる。また、静止測定ユニット60には、上下移動手段25、支持フレーム26、光センサ27、遮光板28及び位置決め手段29が設けられており、前述の第1の実施形態と同様な方法により、照明装置の光強度を測定できる。静止測定用制御ユニット61は架台21に搭載されている。
【0087】
静止測定用制御ユニット61においては、電源部70、電源盤71、分電器72、IF盤73、計測コントローラ78及び計測・解析部79が設けられている。計測・解析部79には、作業者がデータを入出力するための入出力手段(図示せず)が搭載されている。計測・解析部51についても同様である。例えば、計測・解析部79及び51は、それぞれ、パーソナルコンピュータにより構成してもよい。
【0088】
電源部70は電源盤71及び分電器72に電力を供給する。電源盤71はIF盤73、計測コントローラ78及びモーターコントローラ25cに電力を供給する。IF盤73には光センサ用ドライバ46が設けられている。光センサ用ドライバ46は光センサ27を制御する。光センサ用ドライバ46は計測コントローラ78に接続されている。計測コントローラ78及び計測・解析部79は、測光車10に搭載されたハブ・無線部49に無線又は有線にて接続可能である。また、計測コントローラ78、計測・解析部79及び移動測定用制御ユニット62の計測・解析部51は、無線又は有線により相互に接続可能である。
【0089】
<動作>
次に、本実施形態に係る測光システム2の動作について説明する。
本実施形態における移動測定方法は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0090】
本実施形態における静止測定方法について説明する。
静止測定の際には、静止測定ユニット60を測光車10から降ろす。そして、人力により、架台21が測定対象となる照明装置を覆うような位置に静止測定ユニット60を配置し、測定を開始する。一方、測光車10は静止測定ユニット60を降ろした後、移動測定に向かうことができる。但し、この場合は、二人以上の作業者が必要である。
【0091】
静止測定ユニット60においては、静止測定用制御ユニット61が上下移動手段25及び光センサ27を制御する。具体的には、電源部70が電源盤71を介してモーターコントローラ25cに対して電力を供給することにより、モーター25aを駆動して、光センサ27の高さを調整する。また、電源部70が電源盤71及び光センサ用ドライバ46を介して光センサ27に電力を供給すると共に、計測コントローラ78が光センサ用ドライバ46を介して光センサ27に制御信号を出力することにより、光センサ27を駆動する。光センサ27の検出信号は、光センサ用ドライバ46に送信され、光センサ用ドライバ46から計測コントローラ78にデータが送信され、計測コントローラ78から計測・解析部79にデータが送信される。
【0092】
静止測定が終了した後、静止測定ユニット60は測光車10に収納される。そして、計測コントローラ78及び計測・解析部79は、無線又は有線にて、測光車10のハブ・無線部49に測定結果を出力する。
【0093】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、静止測定ユニット60が測光車10にケーブル等により接続されていないため、測光車10及び静止測定ユニット60は相互に独立して稼働することができる。このため、例えば、測光車10による滑走路中央線灯L1の移動測定と、静止測定ユニット60による接地帯灯L2の静止測定を同時に行うことができる。
【0094】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0095】
なお、前述の第1及び第2の実施形態において、静止測定ユニットの移動を補助するために、静止測定ユニットに電動アシスト手段を設けてもよい。第1の実施形態においては、電動アシスト手段は電源部40からケーブル30を介して電力の供給を受けることができ、第2の実施形態においては、電動アシスト手段は電源部70から電力の供給を受けることができる。
【0096】
また、前述の第1及び第2の実施形態においては、支持フレーム26を円弧状に湾曲させる例を示したが、これには限定されず、支持フレーム26は幅方向に延びる直線状としてもよい。
【0097】
更に、前述の第1及び第2の実施形態においては、支持フレーム26の略全長にわたって複数の光センサ27を配列させる例を示したが、これには限定されない。例えば、支持フレーム26の替わりにレールを設け、レールに沿って移動可能な移動部材を設け、この移動部材に1個又は複数個の光センサ27を取り付けてもよい。これにより、移動部材をレールに沿って移動させながら、光センサ27により光強度を測定することにより、少数の光センサ27により照明装置の配光性を評価することができる。
【符号の説明】
【0098】
1、2:測光システム、10:測光車、11:車両、12:制御ユニット、13:移動測定ユニット、14:ドア、15:スロープ、16:シート、17:支持台、18:位置センサ、19:光センサ、20:静止測定ユニット、21:架台、21f、21fa:フレーム、22:主輪、23:補助輪、24:取っ手、25:上下移動手段、25a:モーター、25b:アクチュエーター、25c:モーターコントローラ、26:支持フレーム、26r:後面、27:光センサ、28:遮光板、29:位置決め手段、30:ケーブル、40:電源部、41:電源盤、42:分電器、43:IF盤、44:位置センサ用ドライバ、45、46:光センサ用ドライバ、47:車速センサ、48:計測コントローラ、49:ハブ・無線部、51:計測・解析部、52:入出力端末、53:表示部、60:静止測定ユニット、61:静止測定用制御、62:移動測定用制御ユニット、70:電源部、71:電源盤、72:分電器、73:IF盤、78:計測コントローラ、79:計測・解析部、100:外部サーバ、101、102:照明装置、C:中心、G:地表、L1:滑走路中心線灯、L2:接地帯灯、L3:滑走路灯、P:光路、R:滑走路、S1:検出可能領域、S2:検出可能領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9