(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、各機能は、高度化されており、例えば、印刷機能又はコピー機能においては、1つの画像記録媒体としての1枚のコピー用紙等の用紙に、複数の画像をまとめて印刷することが可能となっている。以下、この印刷の機能のことを、必要に応じて、リピート印刷と称することにする。ここで、例えば、1枚のコピー用紙に複数の画像をまとめて印刷する場合には、同一の画像、又は、別々の画像を用紙の縦横に並べて印刷をする。縦横の並べ方としては、縦×横=1×2、2×1、2×2、2×4、4×2、4×4等の様々な並べ方がある。例えば、縦2×横2の並びのリピート印刷を1枚の用紙に対して行う場合、4枚の同一の画像を1枚の用紙に対して印刷してもよいし、3枚の同一の画像と1枚の別の画像を1枚の用紙に対して印刷してもよいし、4枚の別々の画像を1枚ずつ1枚の用紙に対して印刷してもよい。また、これを、両面印刷機能又は両面コピー機能と組み合わせることも可能である。例えば、1枚の用紙の表面に縦2×横2のリピート印刷をして、その用紙の裏面に縦2×横2のリピート印刷をすることも可能である。
【0008】
次に、通常技術における問題点についての説明をする。
【0009】
一例として、A3横長の用紙に、A4縦長の画像を横に2枚並べてリピート印刷をすることを考える。
【0010】
図1(a)に、A3横長の用紙101を示す。右上の星印は、印刷の基準点を示す。用紙101は、
図1(a)で見ると、左から右に向かって搬送される。そして、露光による描画の主走査は、
図1(a)で見ると、上から下に向かってなされ、描画の副走査は、
図1(a)で見ると、右から左に向かってなされる。この用紙101の上下左右の辺縁部にある右上がりのハッチング部(符号103)は、固有ボイドを示す。主走査先端側(図面上側)の固有ボイドの幅をVt、主走査末端側(図面下側)の固有ボイドの幅をVb、副走査先端側(図面右側)の固有ボイドの幅をVf、副走査末端側(図面左側)の固有ボイドの幅をVrとする。これらの4つの側の固有ボイドには、印刷内容にかかわらず、印刷が行われない。
図1(b)及び
図1(c)には、印刷される画像の一例を示す。双方とも、2行横組みの「ABC/DEF」を印刷されるべき文字列として含む。ここで、「/」は、改行を表す。
【0011】
図1(a)のA3横長用紙101及び固有ボイド103並びに
図1(b)のA4縦長画像105及び
図1(c)のA4縦長画像107を用いた場合、
図2(a)に示すような印刷結果111が得られる。用紙を裁断することにより、
図2(a)に示す印刷結果111を左右に分離すると、
図2(b)に示す印刷済みのA4縦長用紙113及び
図2(c)に示す印刷済みのA4縦長用紙115を2つの印刷分離結果として得ることができる。
図2(b)の印刷済みの用紙113と、
図2(c)の印刷済みの用紙115とを比較すると明らかなように、1枚の用紙に集約印刷することにより得た複数の画像を含む印刷結果を、個々の画像毎に分離して、これらを比較すると、これらの印刷分離結果の間で固有ボイドの配置が異なる。この例では、
図2(b)の印刷分離結果113では、固有左側ボイド、固有上側ボイド及び固有下側ボイドがあり、固有右側ボイドがないのに対して、
図2(c)の印刷分離結果115では、固有右側ボイド、固有上側ボイド及び固有下側ボイドがあるが、固有左側ボイドがない。
【0012】
図3は、縦2×横2のリピート印刷結果及び印刷分離結果の例を示す。
図3(a)は、集約印刷してから、分離する前の用紙121を示す。
図3(b)は、分離後の左上の印刷分離結果123を示す。
図3(c)は、分離後の右上の印刷分離結果125を示す。
図3(d)は、分離後の左下の印刷分離結果127を示す。
図3(e)は、分離後の右下の印刷分離結果129を示す。
【0013】
図3(b)〜(e)を見て明らかなように、固有ボイドが印刷分離結果123、125、127及び129の間で揃っていない。
【0014】
このようにリピート印刷をしたのちに分離をすることにより得た複数の印刷分離結果を見ると、これらの間で、固有ボイドが一致せずに、不揃いであり、体裁が良くない。また、固有ボイドを見越して画像の内容を調整しようとしても、そのような調整は複雑なものとなってしまう。
【0015】
なお、特許文献1には、ダブルコピー機能で印刷する場合、用紙の第2の画面には原稿画像データを180度回転させて印刷することが記載されているが、固有ボイドを考慮するようなことは一切記載されていないし、イメージロスを考慮するようなことも一切記載されていない。
【0016】
従って、本発明は、複数の画像をリピート印刷してから分離をすることにより複数の印刷分離結果を得る場合、複数の印刷分離結果の間でボイドが一致することを可能にする画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び画像形成用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、画像記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、同一の前記画像記録媒体の少なくとも片面に、複数の画像を並べて形成するための画像形成手段と、前記画像記録媒体に印刷の設定に応じて複数の画像を並べて形成した際に、前記複数の画像の各画像の同方向の各辺に同じ長さの合成ボイドを
、前記画像形成装置の構成に起因した固有ボイドに基づいて生成する合成ボイド生成手段と、を備え、前記画像形成手段は、前記合成ボイドが付加された前記複数の画像を並べて形成することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、上記の画像形成装置を第1の画像形成装置として備え、該第1の画像形成装置に接続された少なくとも1台の他の画像形成装置を少なくとも1台の第2の画像形成装置として備える画像形成システムであって、前記第1の画像形成装置の他に、各前記第2の画像形成装置も、前記画像形成手段を備え、前記第1の画像形成装置に備わる合成ボイド生成手段は、前記第1の画像形成装置の構成に起因した固有ボイド、及び、各前記第2の画像形成装置の構成に起因した固有ボイドの双方に基づいて、前記第1の画像形成装置で形成される前記複数の画像及び少なくとも1台の前記第2の画像形成装置で形成される複数の画像に共通に付加する合成ボイドを
、前記画像形成装置の構成に起因した固有ボイドに基づいて生成することを特徴とする画像形成システムが提供される。
【0019】
更に、本発明によれば、複数の画像形成装置に接続される画像形成用コンピュータであって、前記複数の画像形成装置の各々は、前記画像形成用コンピュータからの指示に基づき、各画像形成装置毎に同一の画像記録媒体の少なくとも片面に、複数の画像を並べて形成するための画像形成手段を備え、前記画像形成用コンピュータは、前記画像記録媒体に印刷の設定に応じて複数の画像を並べて形成した際に、前記複数の画像の各画像の同方向の各辺に同じ長さの合成ボイドであって、前記複数の画像形成装置で形成される複数の画像に共通に付加する合成ボイドを
、前記画像形成装置の構成に起因した固有ボイドに基づいて生成する合成ボイド生成手段と、前記合成ボイドに関する情報を前記複数の画像形成装置に出す前記指示に含める指示生成手段と、を備え、前記複数の画像形成装置の各々の前記画像形成手段は、前記合成ボイドが付加された前記複数の画像を並べて形成することを特徴とする画像形成用コンピュータが提供される。
【0020】
更に、本発明によれば、画像記録媒体に画像を形成する画像形成方法であって、同一の前記画像記録媒体の少なくとも片面に、複数の画像を並べて形成するための画像形成ステップと、前記画像記録媒体に印刷の設定に応じて複数の画像を並べて形成した際に、前記複数の画像の各画像の同方向の各辺に同じ長さの合成ボイドを
、画像形成装置の構成に起因した固有ボイドに基づいて生成する合成ボイド生成ステップと、を有し、前記画像形成ステップでは、前記合成ボイドが付加された前記複数の画像を並べて形成することを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0021】
更に、本発明によれば、コンピュータを上記の画像形成装置として機能させるための画像形成用プログラムが提供される。
【0022】
更に、本発明によれば、コンピュータを上記の画像形成システムにおける前記第1の画像形成装置として機能させるための画像形成用プログラムが提供される。
【0023】
更に、本発明によれば、コンピュータを上記の画像形成用コンピュータとして機能させるための画像形成用プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数の画像をリピート印刷してから分離をすることにより複数の印刷分離結果を得る場合、複数の印刷分離結果の間でボイドが一致することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0027】
[実施形態1]
図4は、本発明の実施形態1によるリピート印刷の結果を示す。
図4(a)に示すものは、A3横長印刷用紙にA4縦長の画像を縦1×横2でリピート印刷することにより得た印刷結果131であり、
図4(b)及び
図4(c)に示すものは、それぞれ、
図4(a)に示す印刷結果131を、裁断することにより、左右2つに分離して得た左側印刷分離結果133と右側印刷分離結果135である。
【0028】
右上がりのハッチングで示す部分(符号137)は、従来の多機能印刷装置の印刷機能でも、本実施形態による多機能印刷装置の多機能印刷機能でも発生する固有ボイドを示す。固有ボイドに関しては、既に説明をしているが、再度の説明をすると、例えば、カールソン・プロセスによる印刷において、転写の工程で用紙の外縁部に付着したトナーが、転写の工程以降の工程に対して、悪影響を与えることを防止することを目的として、用紙の外縁部に意図的に設けられた余白のことであり、この部分には、印刷はされない。
【0029】
右下がりのハッチングで示す部分(符号139)は、本発明に従って設けられた擬似ボイドである。
図4(b)と
図4(c)とを比較すると明らかなように、固有ボイドと、擬似ボイドとを含む合成ボイドが、左側印刷分離結果133と右側印刷分離結果135との間で同一となるように擬似ボイドの寸法が決定される。そして、固有ボイド全体に加えて、擬似ボイド全体が印刷禁止の領域とされる。つまり、合成ボイドの全域が印刷禁止の領域となる。なお、疑似ボイドを間接的に用いずに、固有ボイドから直接的に合成ボイドを求めても良い。
【0030】
固有ボイドに擬似ボイドを追加することにより得た合成ボイド全体は、複数の印刷分離結果間で共通となるため、複数の印刷分離結果は、合成ボイドに関しては、共通となる。従って、印刷内容を表す画像が複数の印刷分離結果間で共通であれば、複数の印刷分離結果は、全く同一となる。印刷内容を表す画像が複数の印刷分離結果間で異なっていれば、余白である合成ボイドが揃った複数の印刷分離結果を得ることが可能となる。
【0031】
次に、固有ボイドと擬似ボイドと合成ボイドの寸法についての説明をする。
【0032】
一例として、縦1×横2のリピート印刷をする場合には、次の通りとなる。
【0033】
上側固有ボイドは、左側の個別印刷結果と右側の個別印刷結果との間で共通であり、また、下側固有ボイドも、左側の個別印刷結果と右側の個別印刷結果との間で共通であるため、上側擬似ボイドも下側擬似ボイドも発生させずに、上側固有ボイドは、そのまま上側合成ボイドとして用いられ、下側固有ボイドは、そのまま下側合成ボイドとして用いられる。ここで、個別印刷結果とは、リピート印刷の結果として得られる複数の印刷結果のうちの個々の印刷結果のことをいう。
【0034】
左側固有ボイドの幅は、Vr(>0)であり、左側固有ボイドは、左側の個別印刷結果の左辺に沿った辺縁部に配置される。これに対して、右側の個別印刷結果の左辺に沿った辺縁部はA3横長用紙の中央部にあり、従って、この辺縁部にはどの側にある固有ボイドも対応しない。そこで、左側の個別印刷結果と右側の個別印刷結果との間で共通な左側合成ボイドを設け、この幅をVrに設定する。このためには、右側個別印刷結果に対応する左側擬似ボイドの幅をVrに設定する。
【0035】
同様に、右側固有ボイドの幅は、Vf(>0)であり、右側固有ボイドは、右側の個別印刷結果の右辺に沿った辺縁部に配置される。これに対して、左側の個別印刷結果の右辺に沿った辺縁部はA3横長用紙の中央部にあり、従って、この辺縁部にはどの側にある固有ボイドも対応しない。そこで、左側の個別印刷結果と右側の個別印刷結果との間で共通な右側合成ボイドを設け、この幅をVrに設定する。このためには、左側個別印刷結果に対応する右側擬似ボイドの幅をVfに設定する。
【0036】
図4の例を一般化すると次の通りとなる。
【0037】
左側固有ボイド(副走査末端側固有ボイド)の幅をVr、右側固有ボイド(副走査先端側固有ボイド)の幅をVf、上側固有ボイド(主走査先端側固有ボイド)の幅をVt、下側固有ボイド(主走査末端側固有ボイド)の幅をVbとすると、各個別印刷結果の左側合成ボイド(副走査末端側合成ボイド)の幅SVr、右側合成ボイド(副走査先端側合成ボイド)の幅SVf、上側合成ボイド(主走査先端側合成ボイド)の幅SVt、下側合成ボイド(副走査末端側合成ボイド)の幅SVbは、下式の通りとなる。
【0038】
SVr=Vr
SVf=Vf
SVt=Vt
SVb=Vb
合成ボイドの幅が決定したならば、それに合わせて、原画像のトリミングと、印刷位置の調整を行う。原画像のサイズが、個別印刷結果のサイズと等しいことを前提とすると、トリミングは、合成ボイドと同一の幅を原画像の辺縁部から削除するものとなる。主走査方向の原画像のサイズをH1、及び副走査方向の原画像のサイズW1とした場合、トリミング後の主走査方向の画像サイズ、及び、副走査方向の画像サイズは、それぞれ、下記の通りとなる。
【0039】
トリミング後の主走査方向の画像サイズ:H1−(SVt+SVb)
トリミング後の副走査方向の画像サイズ:W1−(SVf+SVr)
印刷位置の調整は、次の通りとなる。右側個別印刷結果に対応する印刷開始位置P1(h1、w1)の主走査方向の印刷開始位置h1及び副走査方向の印刷開始位置w1は、下式の通りとなる。
【0040】
h1=SVt
w1=SVf
左側個別印刷結果に対応する印刷開始位置P2(h2、w2)の主走査方向の印刷開始位置h2及び副走査方向の印刷開始位置w2は、下式の通りとなる。
【0041】
h2=SVt
w2=W1+SVf
[実施形態2]
実施形態1は、縦1×横2のリピート印刷をしてから、リピート印刷後の用紙を2枚に分離することとしているものである。これに対して、実施形態2は、縦2×横2のリピート印刷をしてから、リピート印刷後の用紙を4枚に分離することとするものである。参考までに、本発明を導入しないと、
図3に示すように、ボイドが印刷分離結果の間で揃わない。
【0042】
図5(a)は、本発明に従って、擬似ボイドを導入して、合成ボイドを設けた場合のリピート印刷結果141を示し、
図5(b)乃至(e)は、そのリピート印刷結果を分離することにより得た4つの印刷分離結果143、145、147及び149を示す。
【0043】
図5(b)乃至(e)に示す印刷分離結果143、145、147及び149は、実施形態1の印刷分離結果133及び135と同様に、共通に下記の関係を満たす合成ボイドを含んでいる。
【0044】
左側固有ボイド(副走査末端側固有ボイド)の幅をVr、右側固有ボイド(副走査先端側固有ボイド)の幅をVf、上側固有ボイド(主走査先端側固有ボイド)の幅をVt、下側固有ボイド(主走査末端側固有ボイド)の幅をVbとすると、各個別印刷結果の左側合成ボイド(副走査末端側合成ボイド)の幅SVr、右側合成ボイド(副走査先端側合成ボイド)の幅SVf、上側合成ボイド(主走査先端側合成ボイド)の幅SVt、下側合成ボイド(副走査末端側合成ボイド)の幅SVbは、下式の通りとなる。
【0045】
SVr=Vr
SVf=Vf
SVt=Vt
SVb=Vb
但し、固有ボイドと擬似ボイドをどのように混在させて合成ボイドを構成するかという点は、実施形態1とは異なり、また、実施形態2でも、個々の印刷分離結果毎に異なる。つまり、
図5(b)に示す左上の印刷分離結果143の場合であれば、左側と上側の合成ボイドは、固有ボイドより構成され、右側と下側の合成ボイドは、擬似ボイドより構成される。
図5(c)に示す右上の印刷分離結果145の場合であれば、右側と上側の合成ボイドは、固有ボイドより構成され、左側と下側の合成ボイドは、擬似ボイドより構成される。
図5(d)に示す左下の印刷分離結果147の場合であれば、左側と下側の合成ボイドは、固有ボイドより構成され、右側と上側の合成ボイドは、擬似ボイドより構成される。
図5(e)に示す右下の印刷分離結果149の場合であれば、右側と下側の合成ボイドは、固有ボイドより構成され、左側と上側の合成ボイドは、擬似ボイドより構成される。
【0046】
合成ボイドの幅が決定したならば、それに合わせて、原画像のトリミングと、印刷位置の調整を行う。原画像のサイズが、個別印刷結果のサイズと等しいことを前提とすると、トリミングは、合成ボイドと同一の幅を原画像の辺縁部から削除するものとなる。主走査方向の原画像のサイズをH2、及び副走査方向の原画像のサイズW2とした場合、トリミング後の主走査方向の画像サイズ、及び、副走査方向の画像サイズは、それぞれ、下記の通りとなる。
【0047】
トリミング後の主走査方向の画像サイズ:H2−(SVt+SVb)
トリミング後の副走査方向の画像サイズ:W2−(SVf+SVr)
印刷位置の調整は、次の通りとなる。右上側個別印刷結果に対応する印刷開始位置P11(h11、w11)の主走査方向の印刷開始位置h11及び副走査方向の印刷開始位置w11は、下式の通りとなる。
【0048】
h11=SVt
w11=SVf
左上側個別印刷結果に対応する印刷開始位置P12(h12、w12)の主走査方向の印刷開始位置h12及び副走査方向の印刷開始位置w12は、下式の通りとなる。
【0049】
h12=SVt
w12=W2+SVf
右下個別印刷結果に対応する印刷開始位置P21(h21、w21)の主走査方向の印刷開始位置h21及び副走査方向の印刷開始位置w21は、下式の通りとなる。
【0050】
h21=H2+SVt
w21=SVf
左下個別印刷結果に対応する印刷開始位置P22(h22、w22)の主走査方向の印刷開始位置h22及び副走査方向の印刷開始位置w22は、下式の通りとなる。
【0051】
h22=H2+SVt
w22=W2+SVf
[実施形態3]
実施形態3は、イメージロス(image loss)を考慮にいれたものである。ここで、イメージロスについての説明を次にする。イメージロスとは、スキャン機能部が出力する読取画像の辺縁部に存在する余白部のことである。スキャン機能部が撮像素子を用いて撮像した画像のうちのイメージロスの部分の画像は、画像処理により強制的に所定の色(たとえば、白色)とされる。例えば、スキャン対象を撮像素子が撮像して得た画像の辺縁部にスキャン対象として相応しくない画像が混在していても、画像の辺縁部に所定幅のイメージロスを設けることにより、混在した画像をスキャン機能部が出力する読取画像から除くことができ、これにより、読取画像の品位を維持することができる。本実施形態は、イメージロスを含む画像をスキャナ機能部から入力して、それを印刷するものである。
【0052】
実質的には、次の方法で合成ボイドを形成する。まず、固有ボイドと、これに基づいて生成した擬似ボイドとを合わせて、合成ボイドを形成する。次に、リピート印刷により得られる少なくとも1つの個別画像において、合成ボイドの領域からはみ出るイメージロスがあるならば、そのはみ出るイメージロスを追加の固有ボイドとして扱い、通常の固有ボイドと追加の固有ボイドに基づいて、擬似ボイドを生成し直して、それから合成ボイドを形成し直す。こうすることにより、複数の個別画像間で、固有ボイドのみならずイメージロスも考慮した上での共通の合成ボイドを形成することができる。
【0053】
しかし、処理の上では、単に、最初から、イメージロスを固有ボイドとして扱い、普通の固有ボイドにそれを追加して、実施形態1又は2と同様な方法により、合成ボイドを生成すれば足りる。
【0054】
実施形態3では、
図1(a)に示すA3横長の用紙101に、
図6に示すようなイメージロスを含むA4縦長画像を縦1×横2でリピート印刷する。縦横の細かいクロスハッチングをかけている部分151がイメージロス部である。
【0055】
図7(a)は、実施形態3により得られる2つの個別画像が分離される前の状態を示す。
【0056】
図面上は、各個別画像の左側の合成ボイド153rは、右上がりのハッチングと縦横のクロスハッチングが混在して構成されている。このような構成となっていることの理由は、
図1(a)と
図6とを参照すると明らかなように、左側のイメージロス151rの幅Lrよりも、左側の固有ボイド103rの幅Vrの方が広いためである(Vr>Lr)。従って、左側の固有ボイド103rの幅Vrをそのまま左側の合成ボイド153rの幅SVrとして利用する(SVr=Vr)。
【0057】
図面上は、各個別画像の右側の合成ボイド153fは、縦横のクロスハッチングのみより構成されている。このような構成となっていることの理由は、
図1(a)と
図6とを参照すると明らかなように、右側の固有ボイド103fの幅Vfよりも、右側のイメージロス151fの幅Lfの方が広いためである(Lf>Vr)。従って、右側のイメージロス151fの幅Lfをそのまま右側の合成ボイド153fの幅SVfとして利用する(SVf=Lf)。
【0058】
図面上は、各個別画像の上側の合成ボイド153tは、縦横のクロスハッチングのみより構成されている。このような構成となっていることの理由は、
図1(a)と
図6とを参照すると明らかなように、上側の固有ボイド103tの幅Vtよりも、上側のイメージロス151tの幅Ltの方が広いためである(Lt>Vt)。従って、上側のイメージロス151tの幅Ltをそのまま上側の合成ボイド153tの幅SVtとして利用する(SVt=Lt)。
【0059】
図面上は、各個別画像の下側の合成ボイド153bは、高さ方向では右上がりハッチングのみより構成されている。このような構成となっていることの理由は、
図1(a)と
図6とを参照すると明らかなように、下側のイメージロス151bの幅であるゼロよりも、下側の固有ボイド103bの幅Vbの方が広いためである(Vb>0)。従って、下側の固有ボイド103bの幅Vbをそのまま下側の合成ボイド153bの幅SVbとして利用する(SVb=Vb)。
【0060】
上記から明らかなように、各側において、固有ボイドの幅Vとイメージロスの幅Lのうちの広いほうの幅を、合成ボイドの幅として利用する(SV=max(V,L))。
【0061】
図7(b)及び
図7(c)は、それぞれ、
図7(a)に示すリピート印刷結果を分離することにより得られる左側印刷分離結果及び右側印刷分離結果である。
【0062】
左側固有ボイド(副走査末端側固有ボイド)の幅をVr、右側固有ボイド(副走査先端側固有ボイド)の幅をVf、上側固有ボイド(主走査先端側固有ボイド)の幅をVt、下側固有ボイド(主走査末端側固有ボイド)の幅をVb、左側イメージロスの幅をLr、右側イメージロスの幅をLf、上側イメージロスの幅をLt、下側イメージロスの幅をLbとすると、各個別印刷結果の左側合成ボイド(副走査末端側合成ボイド)の幅SVr、右側合成ボイド(副走査先端側合成ボイド)の幅SVf、上側合成ボイド(主走査先端側合成ボイド)の幅SVt、下側合成ボイド(主走査末端側合成ボイド)の幅SVbは、下式の通りとなる。
【0063】
SVr=max(Vr,Lr)
SVf=max(Vf,Lf)
SVt=max(Vt,Lt)
SVb=max(Vb,Lb)
合成ボイドの幅が決定したならば、それに合わせて、画像のトリミングと、印刷位置の調整を行う。原画像のサイズが、個別印刷結果のサイズと等しいことを前提とすると、トリミングは、合成ボイドと同一の幅を原画像の辺縁部から削除するものとなる。主走査方向の原画像のサイズをH1、及び副走査方向の原画像のサイズW1とした場合、トリミング後の主走査方向の画像サイズ、及び、副走査方向の画像サイズは、それぞれ、下記の通りとなる。
【0064】
トリミング後の主走査方向の画像サイズ:H1−(SVt+SVb)
トリミング後の副走査方向の画像サイズ:W1−(SVf+SVr)
但し、既に、原画像からイメージロスの部分が削除されているならば、その削除により、原画像のサイズは、下記のように変更されている。
【0065】
主走査方向の原画像サイズ:H1−(Lt+Lb)
副走査方向の原画像サイズ:W1−(Lf+Lr)
イメージロスの幅よりも、固有ボイドの幅のほうが狭い側においては、更に、トリミングをする必要はない。しかし、逆に、イメージロスの幅よりも、固有ボイドの幅の方が広い側においては、両者の差分の幅だけ更にトリミングをする必要がある。従って、トリミング後の主走査方向の画像サイズ、及び、副操作方向の画像サイズは、それぞれ、下記の通りとなる。
トリミング後の主走査方向の画像サイズ:
H1−(Lt+Lb)
−max{(SVt−Lt),0}
−max{(SVb−Lb),0}
トリミング後の副走査方向の画像サイズ:
W1−(Lf+Lr)
−max{(SVf−Lf),0}
−max{(SVr−Lr),0}
印刷位置の調整方法は、次の通りとなる。右側個別印刷結果に対応する印刷開始位置P1(h1、w1)の主走査方向の印刷開始位置h1及び副走査方向の印刷開始位置w1は、下式の通りとなる。
【0066】
h1=SVt
w1=SVf
左側個別印刷結果に対応する印刷開始位置P2(h2、w2)の主走査方向の印刷開始位置h2及び副走査方向の印刷開始位置w2は、下式の通りとなる。
【0067】
h2=SVt
w2=W1+SVf
但し、右側個別印刷結果について、既に、原画像からイメージロスの分だけ調整済みの印刷開始位置Q1(hh1,ww1)が得られているとする。
【0068】
hh1=Lt
ww1=Lf
走査の開始側のイメージロスの幅よりも、固有ボイドの幅のほうが狭い側においては、合成ボイドの幅はイメージロスの幅に等しいので、更に、印刷の開始位置を調整する必要はない。しかし、逆に、走査の開始側のイメージロスの幅よりも、固有ボイドの幅の方が広い側においては、合成ボイドの幅は固有ボイドの幅に等しいので、イメージロスの幅と固有ボイドの幅の差分だけ更に印刷の開始位置を調整する必要がある。主走査方向と副走査方向について、これらの2つの場合をまとめると下式のようになる。
【0069】
h1=hh1+max{(SVt−Lt),0}
w1=ww1+max{(SVf−Lf),0}
同様に、右側個別印刷結果について、既に、原画像からイメージロスの分だけ調整済みの印刷開始位置Q2(hh2,ww2)が得られているとする。
【0070】
hh2=Lt
ww2=W1+Lf
走査の開始側のイメージロスの幅よりも、固有ボイドの幅のほうが狭い側においては、合成ボイドの幅はイメージロスの幅に等しいので、更に、印刷の開始位置を調整する必要はない。しかし、逆に、走査の開始側のイメージロスの幅よりも、固有ボイドの幅の方が広い側においては、合成ボイドの幅は固有ボイドの幅に等しいので、イメージロスの幅と固有ボイドの幅の差分だけ更に印刷の開始位置を調整する必要がある。主走査方向と副走査方向について、これらの2つの場合をまとめると下式のようになる。
【0071】
h2=hh2+max{(SVt−Lt),0}
w2=ww2+max{(SVf−Lf),0}
[実施形態4]
図2に示した従来技術は、左右の個別印刷結果が共に正立するように縦1×横2のリピート印刷をする場合における課題を示すものである。実施形態1は、このような場合における課題を解決するような合成ボイドを導入するものである。
【0072】
これに対して、
図8(a)に示す従来技術は、左の個別印刷結果が正立するが、右の個別印刷結果が倒立するように縦1×横2のリピート印刷をする場合における課題を示すものである。実施形態4は、このような場合における課題を解決するような合成ボイドを導入するものである。
【0073】
図8(a)に示すように、左の個別印刷結果と右の個別印刷結果との間では、画像の向きを基準にしてみた場合、上側の固有ボイドと下側の固有ボイドの位置が逆の関係にあるので、上側の固有ボイドの幅が下側の固有ボイドの幅と異なる場合には、左側の個別印刷結果の上側のボイドは、右側の個別印刷結果の上側のボイドと異なってしまい、更には、左側の個別印刷結果の下側のボイドは、右側の個別印刷結果の下側のボイドと異なってしまう。また、
図8に示すように、画像の向きを基準にしてみた場合、左側の個別印刷結果の左側のボイドとしては、左側の固有ボイドが用いられ、右側のリピート印刷結果の左側のボイドとしては、右側の固有ボイドが用いられる。従って、左側の固有ボイドの幅が右側の固有ボイドの幅と異なると、左側のリピート印刷結果の左側のボイドは、右側のリピート印刷結果の左側のボイドと異なってしまう。
図8(a)に示す左右のリピート印刷結果を分離して得られる左右のリピート印刷分離結果を、それぞれ、
図8(b)及び
図8(c)に示す。
【0074】
本実施形態は、このような課題を解決するものである。本実施形態では、相互間で異なっていることが問題となっている固有ボイドの幅を比較して、広い方の幅を合成ボイドの幅として利用する方法を用いる。すなわち、上側固有ボイドと下側固有ボイドのうちの幅が広い方の固有ボイドの幅を、両方の個別印刷結果の上側の合成ボイド及び下側の合成ボイドの幅として設定する。同様に、左側固有ボイドと右側固有ボイドのうちの幅が広い方の固有ボイドの幅を、両方の個別印刷結果の左側の合成ボイドの幅として設定する。なお、両方の個別印刷結果の右側の合成ボイドの幅はゼロである。すなわち、両方の個別印刷結果の右側の合成ボイドは設けない。
【0075】
このような解決方法を適用して得られる分離前の左側個別印刷結果及び右側個別印刷結果を
図9(a)に示し、分離後の左側個別印刷結果を
図9(b)に示し、分離後の右側個別印刷結果を
図9(c)に示す。
【0076】
[実施形態5]
図2に示した従来技術は、左右の個別印刷結果が共に正立するように縦1×横2のリピート印刷をする場合における課題を示すものである。実施形態1は、このような場合における課題を解決するような合成ボイドを導入するものである。
【0077】
また、
図2に示した従来技術と実施形態1においては、片面印刷を前提としていた。
【0078】
これに対して、
図10に示す従来技術は、両面印刷をするものである。
図10に示す従来技術は、表面においても裏面においても、左右の個別印刷結果が共に正立するような縦1×横2のリピート印刷をするので、表面と裏面を個々に見れば、
図2に示した従来技術と同様なものとなるが、両面印刷をすることに起因する新たな課題を持つこととなる。その課題とは、分離後の個別印刷結果の表面における合成ボイドを裏から透かして見たものと裏面における合成ボイドとが一致しないことである。合成ボイド部を切り落とさないで、そのまま残しておくのであれば、これは課題とはならないが、合成ボイド部を切り落とす場合には、例えば、表面における合成ボイドに合わせて用紙を切断すると、裏面の一部の合成ボイドが残り、また、裏面の有効な画像が削除されてしまうということが解決するべき課題となる。
【0079】
図10(a)は、リピート印刷された表面を示し、
図10(b)は、リピート印刷された裏面を示す。横綴じを想定して、リピート印刷結果を分離した後に、分離結果を、例えば、文字が正立する向きで見た左側で綴じることとする。表面の左の個別印刷結果と裏面の右の個別印刷結果が背中合わせとなり、「ABC/DEF」と「GHI/JKL」は共に正立している。これを「A/D」の左側で綴じる。また、表面の右の個別印刷結果と裏面の左の個別印刷結果が背中合わせとなり、「ABC/DEF」と「GHI/JKL」は共に正立している。これも「A/D」の左側で綴じる。
【0080】
そうすると、表面の左の個別印刷結果と裏面の右の個別印刷結果が背中合わせとなっている用紙においては、表面の左の個別印刷結果と裏面の右の個別印刷結果との間では、上側のボイドと下側のボイドは共に一致しているが、左側のボイドも右側のボイドも一致していない。他方の用紙においても、各面でのボイドの左右が逆となる点を除き、同様である。
【0081】
そこで、本実施形態では、
図11に示すように、左側固有ボイドの幅と右側固有ボイドの幅のうちの広い方の幅を、左側合成ボイドの幅及び右側合成ボイドの幅として設定する。なお、上側固有ボイドの幅はそのまま上側合成ボイドの幅として設定して、下側固有ボイドの幅もそのまま下側合成ボイドの幅として設定する。
【0082】
[実施形態6]
実施形態5は、両面印刷と横綴じとの組み合わせにおける課題を解決するものである。これに対し、本実施形態は、両面印刷と縦綴じとの組み合わせにおける課題を解決するものである。
【0083】
両面印刷した用紙を横綴じにするか、縦綴じにするかによって、表面のどの側にあるボイドが、裏面のどの側にあるボイドと重なるようになるかという組合せが、異なってくる。従って、この重なりの組合せに応じて、実施形態5を変更したものが、本実施形態である。
【0084】
図12(a)は、リピート印刷された表面を示し、
図12(b)は、リピート印刷された裏面を示す。縦綴じを想定して、リピート印刷結果を分離した後に、分離結果を、例えば、文字が正立する向きで見た上側で綴じることとする。表面の左の個別印刷結果と裏面の右の個別印刷結果が背中合わせとなり、「ABC/DEF」は正立しており、「GHI/JKL」は倒立している。これを用紙の上側で綴じる。また、表面の右の個別印刷結果と裏面の左の個別印刷結果が背中合わせとなり、「ABC/DEF」は倒立しており、「GHI/JKL」は正立している。これを用紙の下側で綴じる。
【0085】
そうすると、表面の左の個別印刷結果と裏面の右の個別印刷結果が背中合わせとなっている用紙においては、表面の左の個別印刷結果と裏面の右の個別印刷結果との間では、上側のボイドと下側のボイドは共に一致しているが、表面から見た場合の左側が一致していない。なお、表面から見た場合の右側のボイドはない。他方の用紙においても、各面でのボイドの左右が逆となる点を除き、同様である。
【0086】
そこで、本実施形態では、
図13に示すように、左側固有ボイドの幅と右側固有ボイドの幅のうちの広い方の幅を、左側合成ボイドの幅及び右側合成ボイドの幅として設定する。なお、上側固有ボイドの幅はそのまま上側合成ボイドの幅として設定して、下側固有ボイドの幅もそのまま下側合成ボイドの幅として設定する。
【0087】
[実施形態7]
次に、上記の実施形態1乃至6のリピート印刷方法を行う画像形成装置を含む多機能印刷機についての説明をする。
【0088】
図14は、本実施形態による多機能印刷機200の機能ブロック図である。
【0089】
図14を参照すると、多機能印刷機200は、外部インターフェース201、スキャナ(スキャン機能部)203、画像データ記憶部205、ユーザインターフェース207、固有ボイド記憶部208、合成ボイド算出部209、トリミング位置算出部213、印刷開始位置算出部215、フィッティング縮小率算出部217、印刷エンジン駆動情報生成部219、印刷エンジン221、プレビュー画像生成部223を含む。
【0090】
外部インターフェース201は、外部の機器(例えば、他の多機能印刷機、コピー機、パーソナルコンピュータ等)との間でデータの入出力をするためのインターフェースである。また、外部インターフェース201は、外部の機器から入力した画像データを、外部入力画像データとして出力する。更に、外部インターフェース201は、他の多機能印刷機又はコピー機の固有ボイド情報を入力して、それを外部固有ボイド情報として出力する。
【0091】
スキャナ(スキャン機能部)203は、スキャナに置かれた原稿又は、フィーダで送られた原稿から画像をラインセンサなどで読み取り、それにより得たスキャン画像データを出力する。また、スキャナ203は、当該スキャナに固有なイメージロスを表すイメージロス情報を出力する。
【0092】
画像データ記憶部205は、外部インターフェース201から外部入力画像データを入力し、これを記憶する。また、画像データ記憶部205は、スキャナ203からスキャン画像データを入力して、これを記憶する。ここで、外部入力画像データ及びスキャン画像データには、画像のサイズ及び縦長か横長かの方向を表す画像サイズ/方向情報も含まれる。画像データ記憶部205は、記憶している画像データに基づいて、処理前画像データ及び処理前画像サイズ/方向情報を出力する。
【0093】
ユーザインターフェース207は、例えば、液晶タッチパネルであり、ユーザ向けの画面を表示し、ユーザからの入力を受け付ける。また、ユーザインターフェース207は、プレビュー画像生成部223から入力したプレビュー画面データに基づいて、プレビュー画面を表示する。更に、ユーザインターフェース207は、表示している各種設定画面に対するユーザによる入力に基づいて、縦部数情報、横部数情報、両面/片面情報、綴じ方向情報、タンデム情報、印刷用紙サイズ/方向情報、イメージロス算入情報及びフィッティング要否情報を出力する。ここで、縦部数情報及び横部数情報とは、リピート印刷をする際の縦に並ぶ個別画像の部数及び横に並ぶ個別画像の部数のことである。両面/片面情報は、両面印刷又は片面印刷の選択を表す。綴じ方向情報は、縦綴じ又は横綴じの選択を表す。タンデム情報は、タンデム印刷のON又はOFFの選択を表す。印刷用紙サイズ/方向情報は、印刷用紙のサイズの選択及び縦方向又は横方向の選択を表す。イメージロス算入情報は、合成ボイドを算出する際に、イメージロスを考慮して算入するか否かを表す。フィッティング要否情報は、フィッティングの要否を表す。フィッティングについては、後述する。
【0094】
固有ボイド記憶部208は、印刷エンジン221を含む印刷機能部の固有ボイドに関する固有ボイド情報を保持する。固有ボイド記憶部208に保持されている固有ボイド情報は、後述するように、多機能印刷機200自身の合成ボイド算出部209で用いられるのみならず、他の多機能印刷機の印刷機能部を用いてタンデム印刷をする場合には、該他の多機能印刷機で外部固有ボイド情報として用いられる。
【0095】
合成ボイド算出部209は、固有ボイド情報、縦部数情報、横部数情報、両面/片面情報、綴じ方向情報、タンデム情報、印刷用紙サイズ/方向情報、処理前画像サイズ/方向情報及びイメージロス算入情報に基づいて合成ボイドを算出し、これを表す合成ボイド情報を出力する。また、合成ボイド算出部209は、多機能印刷機200自身の印刷機能部を用いてタンデム印刷をする場合には、外部固有ボイド情報にも基づいて合成ボイドを算出する。更に、合成ボイド算出部209は、イメージロス算入情報が、イメージロスを算入することを表している場合には、イメージロス情報にも基づいて合成ボイドを算出する。
【0096】
トリミング位置算出部213は、合成ボイド情報に基づいて、各個別画像に対するトリミング位置を算出し、これを表すトリミング位置情報を出力する。但し、固有ボイドは、全個別画像に対して共通であるので、トリミング位置も全個別画像に対して共通である。また、トリミング位置を算出するためには、合成ボイド情報の他に、処理前画像の四隅の座標又は四辺の座標を処理前画像サイズ/方向情報から得る。四隅の座標又は四辺の座標を基準にしてトリミング位置が定まる。
図14には図示していないが、トリミング位置算出部213は、処理前画像サイズ/方向情報も入力する。
【0097】
印刷開始位置算出部215は、合成ボイド情報に基づいて、各個別画像に対する印刷開始位置を算出し、これを表す印刷開始位置情報を出力する。印刷開始位置は、印刷用紙における各個別画像毎のものであり、各個別画像の縦方向及び横方向の順序毎に異なる。また、印刷開始位置を算出するためには、印刷用紙サイズ、印刷用紙方向、縦方向部数、横方向部数も用いる。従って、図示していないが、印刷開始位置算出部215は、各個別画像の縦方向及び横方向の印刷順序を表す情報、印刷用紙サイズ/方向情報、縦部数情報及び横部数情報も入力する。
【0098】
フィッティング縮小率算出部217は、フィッティング要否情報がフィッティング必要を示している場合には、合成ボイド情報に基づいて、フィッティング縮小率を算出し、これを表す縮小率情報を出力する。なお、フィッティング要否情報がフィッティング不要を示している場合には、縮小率は一倍である。ここで、フィッティング印刷とは、トリミングして残った領域に、処理前画像の全領域が含まれるように処理前画像のサイズを変更して行う印刷のことである。例えば、トリミングにより縦方向に70%の領域が残り、横方向に75%の領域が残れば、これらの最小値を取って変倍率を70%とする。
【0099】
印刷エンジン駆動情報生成部219は、処理前画像データ、トリミング位置情報、印刷開始位置情報、縮小率情報、縦部数情報及び横部数情報に基づいて、印刷エンジン駆動情報を生成する。印刷エンジン駆動情報生成部219は、縮小率に基づいて、処理前画像を縮小する。縮小率が100%である場合には、縮小はしない。また、印刷エンジン駆動情報生成部219は、変倍率が100%以外である場合には、更に、変倍率に基づいて処理前画像を変倍する。それから、印刷エンジン駆動情報生成部219は、トリミング位置情報に基づいて各処理前画像のトリミングを行う。それから、印刷エンジン駆動情報生成部219は、印刷開始位置情報に基づいて、印刷用紙に印刷する全ての画像(処理前画像であって、必要に応じて縮小、変倍及びトリミングが行われた画像)を配置し、これにより、印刷エンジン駆動情報を得る。
【0100】
印刷エンジン221は、印刷エンジン駆動情報に含まれる画像データ、描画命令などに従って、印刷用紙に対してリピート印刷をする。
【0101】
なお、
図14に基づいた説明においては、処理前画像サイズと印刷用紙サイズとの比率に応じて算出されたり、ユーザに指定されたりする変倍率に関連した処理、両面印刷をする場合の処理、綴じ方向に応じた処理に関連した部分は、発明の範囲外であるので、省略した。
【0102】
次に、上記の実施形態1乃至6のリピート印刷方法を
図14に示す画像形成装置により行う場合の装置の動作について
図15などを参照して説明する。
【0103】
図15を参照すると、まず、前設定を行う(ステップS301)。ここで、前設定とは、ユーザインターフェース207を用いて行う各種情報(縦部数情報、横部数情報、両面/片面情報、綴じ方向情報、タンデム情報、印刷用紙サイズ/方向情報、イメージロス情報など)の設定である。
【0104】
次に、画像入力及び/又は画像スキャンを行う(ステップS303)。ここで、画像入力とは、外部インターフェース201を用いて外部から画像データを入力することである。また、画像スキャンとは、スキャナ203を用いて画像をスキャンすることである。
【0105】
次に、ステップS303で取得した画像データを画像データ記憶部205に格納する(ステップS305)。
【0106】
次に、合成ボイド算出部209は、合成ボイドを算出する(ステップS307)。これの詳細は後述する。
【0107】
次に、トリミング位置算出部213、印刷開始位置算出部215及びフィッティング縮小率算出部217は、それぞれ、トリミング位置、印刷開始位置及びフィッティング縮小率を算出し、これらに対応したトリミング位置情報、位置開始位置情報及び縮小率情報を生成する(ステップS309)。これの詳細も後述する。
【0108】
次に、ユーザインターフェース207を介してユーザがプレビュー表示を要求するかどうかを問い合わせ、要求している場合には(ステップS311でYES)、プレビュー画像生成部223がプレビュー画像を生成し(ステップS313)、ユーザインターフェース207に含まれる表示部がプレビュー画像を表示する(ステップS315)。
【0109】
次に、ユーザインターフェース207を介してユーザが設定変更を要求するかどうかを問い合わせ、要求している場合には(ステップS317でYES)、設定変更をして(ステップS319)、合成ボイドを算出するステップS307に戻り、合成ボイドの算出からやり直す。
【0110】
ユーザがプレビュー表示を要求していない場合(ステップS311でNO)及びユーザが設定変更を要求していない場合(ステップS317でNO)には、印刷エンジン駆動情報生成部219は、印刷エンジン駆動情報を生成し(ステップS321)、印刷エンジン221は、リピート印刷を行う(ステップS323)。
【0111】
次に、合成ボイド算出ステップS307の詳細について
図16を参照して説明する。
【0112】
まず、合成ボイド算出部209は、各種情報を入力する(ステップS307−1)。ここで、各種情報とは、上述したように固有ボイド情報、縦部数情報、横部数情報、両面/片面情報、綴じ方向情報、タンデム情報、印刷用紙サイズ/方向情報、処理前画像サイズ/方向情報及びイメージロス算入情報などを含む。
【0113】
次に、S307−3SからS307−3Eまでの間にあるステップを辺毎に繰り返す。
【0114】
各繰り返しでは、まず、現在対象としている辺に対応した合成ボイドの算出のために必要な固有ボイド情報を集める(ステップS307−5)。どのような固有ボイド情報を集める必要があるかということに関する説明は既に実施形態1乃至6で説明したとおりである。
【0115】
次に、ステップS307−5で集めた各固有ボイドの幅の中で最大の幅を合成ボイドの幅として設定する(ステップS307−7)。
【0116】
ステップS307−5及びステップS307−7を一般的に説明すると、各個別画像の各辺毎に、その辺に対応する固有ボイド情報を集めることにより一次集合を各個別画像毎・各辺毎に求め、更に、個別画像間で対応する辺の間で一次集合の和集合を取り、それを二次集合とする。そして、一次集合毎に、幅が最大の固有ボイドを探し、その固有ボイドの幅を、その一次集合に対応する辺の合成ボイドの幅とする。一次集合を元に各個別画像毎に一次合成ボイドを生成してから、辺毎に個別画像間で幅が最大の一次合成ボイドを探し、それをその辺に対応する個別画像間で共通な合成ボイドとしてもよい。どの個別画像の辺であるかということには関係なく、各方向の辺毎に、その辺に対応する固有ボイド情報を集め、その中から幅が最大である固有ボイドをその辺に対応する合成ボイドとしてもよい。ここで、個別画像間で集めた各方向の辺を辺集合と称することとすると、辺集合毎に、それに対応する固有ボイド情報を集め、その中から幅が最大である固有ボイドをその辺集合に含まれる辺の合成ボイドとする動作となる。辺集合をどのような辺を集めたものとするかについては、実施形態毎に既に説明した。
【0117】
次に、イメージロス算入情報がイメージロスも合成ボイドの幅の算出に必要であることを示している場合には(ステップS307−9でYES)、現在対象としている辺に対応したイメージロス幅のほうがステップS307−7で算出した現在対象としている辺に対応した合成ボイド幅よりも広いか否かを判断する(ステップS307−11)。合成ボイド幅よりイメージロス幅のほうが広い場合は(ステップS308−11でYES)、そのイメージロス幅を合成ボイド幅として設定する(ステップS307−13)。
【0118】
イメージロス算入情報がイメージロスも合成ボイドの幅の算出に必要であることを示していない場合(ステップS307−9でNO)及び現在対象としている辺に対応したイメージロス幅のほうがステップS307−7で算出した現在対象としている辺に対応した合成ボイド幅以下である場合(ステップS307−11でNO)には、S307−13をスキップする。
【0119】
次に、各種情報(トリミング位置情報、位置開始位置情報及び縮小率情報)を算出するステップS309の詳細について
図17を参照して説明する。
【0120】
S309−1SからS309−1Eまでの間にあるステップを個別画像毎に繰り返す。
【0121】
各繰り返しで、まず、印刷開始位置算出部215は、現在対象となっている個別画像の印刷開始位置を算出する(ステップS309−3)。
【0122】
次に、フィッティング縮小率算出部217は、フィッティング要否情報が、フィッティング必要を示しているならば、現在対象となっている個別画像について、フィッティング縮小率を算出する(ステップS309−5)。
【0123】
次に、トリミング位置算出部213は、現在対象となっている個別画像の各辺毎にトリミング位置を算出する(S309−7S、S309−9、S309−7E)。
【0124】
[実施形態8]
本実施形態は、タンデム印刷とリピート印刷を併用するものである。
【0125】
図18(a)に、タンデム印刷とリピート印刷を併用する第1の形態を示す。この形態においては、多機能印刷機#1(符号200#1)が、他の多機能印刷機#2(符号200#2)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)と接続されている。そして、多機能印刷機200#1が多機能印刷機#2(符号200#2)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)それぞれの固有ボイド情報を取得し、多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)の全てがリピート印刷をする際に、それぞれの多機能印刷機内において個別画像間で合成ボイドが揃うようにするだけではなく、多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)の間で合成ボイドが揃うようにする。
【0126】
多機能印刷機#1(符号200#1)に備わる合成ボイド算出部209は、他の多機能印刷機#2(符号200#2)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)の固有ボイド情報を
図14に示す外部固有ボイド情報として入力する。多機能印刷機#1(符号200#1)に備わる合成ボイド算出部209が出力する合成ボイド情報を他の多機能印刷機#2(符号200#2)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)に出力するようにしてもよい。又は、多機能印刷機#1(符号200#1)に備わる合成ボイド算出部209よりも後段にある機能ブロックを利用して、それらの機能ブロックが出力する情報を他の多機能印刷機#2(符号200#2)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)に出力するようにしてもよい。
【0127】
図18(b)に、タンデム印刷とリピート印刷を併用する第2の形態を示す。この形態においては、コンピュータ290が、多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)と接続されている。そして、コンピュータ290が多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)それぞれの固有ボイド情報を取得し、多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)の全てがリピート印刷をする際に、それぞれの多機能印刷機内において個別画像間で合成ボイドが揃うようにするだけではなく、多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)の間で合成ボイドが揃うようにする。
【0128】
コンピュータ290が合成ボイド算出部209を含むようにして、多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)の固有ボイド情報を
図14に示す外部固有ボイド情報として入力する。コンピュータ290に備わる合成ボイド算出部209が出力する合成ボイド情報を多機能印刷機#1(符号200#2)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)に出力するようにしてもよい。又は、コンピュータ290が
図14にある合成ボイド算出部209よりも後段にある機能ブロックを含むようにして、それらの機能ブロックが出力する情報を多機能印刷機#1(符号200#1)乃至多機能印刷機#n(符号200#n)に出力するようにしてもよい。
【0129】
以上、本発明の実施形態についての説明をした。
【0130】
なお、合成ボイドの幅は、上記の実施形態で求めた幅よりも広くてもよい。上記の実施形態では、合成ボイドの必要最小幅を求めた。
【0131】
また、原画像は、共通でなくてもよい。一部の個別画像の間のみで共通であってもよい。全ての個別画像間で異なっていてもよい。例えば、リピート印刷において、ページ間で内容が異なるプレゼンテーション画像や、写真を扱えば、特に、余白部分が揃うこととなり、体裁が良くなる。
【0132】
なお、上記の多機能印刷機は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。また、上記のリピート印刷方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらに組合せにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0133】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。