(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
椅子本体部と、フットサポート部を備え、前記椅子本体部が、座部および背凭れ部を有し、前記フットサポート部が、足を受ける足載せ部と、一端に前記足載せ部が支持され、他端が前記椅子本体部に支持されたフレーム状の足載せ支持部を有し、条体により前記フットサポート部が引き上げられる介護用椅子であって、
前記座部が座板およびこの座板を下方から支持する座板支持フレームを有し、
前記足載せ支持部の他端が、前記足載せ部側を上下方向に回動自在に、前記座板の前端より前記背凭れ部側にある前記座板支持フレームの端部に枢支されているとともに、
前記条体の係止部が、前記フットサポート部に設けられていることを特徴とする介護用椅子。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜
図9は、本発明の介護用椅子の第1の実施の形態をあらわしている。
【0022】
図1〜
図8に示すように、この介護用椅子Aは、椅子本体部1aと、フットサポート部2aと、台車部3を備えている。
椅子本体部1aは、座部4aと、背凭れ部5aと、左右一対のアームレスト6と、ヘッドレスト7を備えている。
【0023】
座部4aは、座板支持フレーム41と座板42を備えている。
座板支持フレーム41は、アルミニウム、アルミニウム合金やステンレス鋼からなる金属パイプを用いて枠状に形成されている。
座板支持フレーム41の下面側には、
図3および
図8に示すように、後述する台車部3に設けられた横ズレ防止係合部30に係合する係合部43が設けられている。
また、座板支持フレーム41の側面には、後述する台車部3側に設けられたフック受部30aに係脱可能で係合によって台車部3に椅子本体部1aを固定するレバー状の係止フック41gが設けられている。
【0024】
座板42は、合成樹脂の成形品であって、四周が座板支持フレーム41によって下方から支持され、
図4に示すように、下方からシャワー水を被介護者Mの臀部に噴射できるとともに、介護者が座板42の下側から手を差し入れて、被介護者Mの介護を容易に行えるように、中央に孔40が設けられている。
また、座板42は、椅子本体部1aを、後述するように台車部3に支持し、浴室Rの床面に載置した状態で、座板42の上面が浴槽Tの框T1上面に略一致するように設けられている。
【0025】
背凭れ部5aは、背凭れ板51と、背凭れ支持フレーム52を備えている。
背凭れ板51は、合成樹脂の成形品であって、幅方向(
図1の左右方向)の両側に、背凭れ板51の幅方向内側に向かって切り欠かれた形状の上部切欠部51aおよび下部切欠部51bがそれぞれ左右対称に設けられている。
【0026】
背凭れ支持フレーム52は、アルミニウム、アルミニウム合金やステンレス鋼からなる金属パイプを用いて枠状に形成されていて、上部切欠部51aおよび下部切欠部51bの部分を除き、背凭れ板51の周囲を背面側から受けた状態で、背凭れ板51が固定されている。
また、背凭れ支持フレーム52は、その下端が座板支持フレーム41に回動可能に連結されている。
【0027】
背凭れ支持フレーム52の上部切欠部51aを臨む位置には、椅子本体部の吊り上げ用吊りベルトSの下端が取り付けられる第1係止部53が背凭れ支持フレーム52の幅方向外側に張り出すように設けられている。
また、背凭れ支持フレーム52の第1係止部53より下方の上部切欠部51aを臨む部分には、第1グリップ部材54が外嵌一体化されている。
第1グリップ部材54は、合成ゴム、合成樹脂エラストマー、その発泡体等のクッション性およびグリップ性に優れた材料によって形成されていて、被介護者Mが椅子本体部1aに乗り移る際に手がかりとなるように設けられている。
【0028】
アームレスト6は、アームレスト本体部61と、握り手部62を備えている。
アームレスト本体部61は、
図3に示すように、アルミニウムやステンレス鋼等の金属パイプで形成された本体芯部61aを有し、この本体芯部61aの一端が背凭れ支持フレーム52の下部切欠部51bを臨む位置に上下方向に回動自在に枢支されている。
また、本体芯部61aには、筒状のクッション部材61bが外嵌されている。
クッション部材61bは、合成ゴム、合成樹脂エラストマー、その発泡体等のクッション性に優れた材料によって形成されている。
【0029】
握り手部62は、アルミニウム、アルミニウム合金やステンレス鋼からなる金属パイプを用いて形成された略L字形をした握り手芯部62aを有し、この握り手芯部62aのL字の一辺側が、本体芯部61aの一端に本体芯部61aの中心軸を中心に回動可能に嵌合されている。
また、握り手芯部62aのL字の他辺には、筒状の第2グリップ部材62bが外嵌されている。
【0030】
第2グリップ部材62bは、合成ゴム、合成樹脂エラストマー、その発泡体等のクッション性およびグリップ性に優れた材料によって形成されている。
そして、アームレスト6は、被介護者Mが椅子本体部1aへ乗り移る際に邪魔にならないように、それぞれ
図3に2点鎖線で示すように、跳ね上げることができるようになっている。
【0031】
ヘッドレスト7は、ヘッドレスト本体71と、このヘッドレスト本体71の背面側に設けられた支柱部72を備え、支柱部72がヘッドレスト本体71の高さを変更可能に背凭れ支持フレーム52の上端に支持されている。
【0032】
フットサポート部2aは、左右一対の足載せ部21と、左右一対の足載せ支持部22を備えている。
足載せ部21は、合成樹脂成形品であって、後述する足載せ支持部22の下側支持部22bに回動自在に支持されている。
【0033】
足載せ支持部22は、アルミニウム、アルミニウム合金やステンレス鋼からなる金属パイプを用いて形成された上側支持部22aと、下側支持部22bを備えている。
上側支持部22aは、略への字形に屈曲した形状になって、上端が座板支持フレーム41の下面側に設けられた枢支軸41aを介して支持され、枢支軸41aを中心に上下方向に回動可能になっている。
また、上側支持部22aには、吊りベルトSの下端が係止される第2係止部24が設けられている。
【0034】
下側支持部22bは、略への字形に屈曲した形状になって、上側支持部22aに対して逆方向に屈曲するとともに、への字の一端部が上側支持部22aの下端側に嵌合長さを調整可能にはめ込まれている。すなわち、嵌合長さを変えることによって、足載せ部21の高さを被介護者Mに合わせて調整できるようになっている。
また、左右の足載せ支持部22は、
図1、
図2に示すように、アルミニウム、アルミニウム合金やステンレス鋼からなる金属パイプを用いて形成されたレッグサポート23を介して連結されている。
【0035】
そして、フットサポート部2aは、椅子本体部1aが台車部3に下方から受けられた状態で、
図9(a)に示すように、自重で、下がった位置となり、第2係止部24に係止された吊りベルトSを介して吊り上げ方向の力が加わると、
図9(b)に示すように、背凭れ部5aが同じ姿勢(背凭れ部5aの傾斜角度が水平面に対して一定に保たれた姿勢)を保持した状態で、足載せ支持部22が、枢支軸41aを中心に上方へ回動し、足載せ部21が上方に移動するようになっている。
【0036】
台車部3は、台車本体31と、左右一対の前輪32と、左右一対の後輪33を備えている。
台車本体31は、アルミニウム、アルミニウム合金やステンレス鋼からなる金属パイプを用いて形成されていて、操作ハンドル部31aと、座部支持部31bと、脚部31cを備えている。
前輪32、後輪33は、それぞれロック機構(図示せず)付きのキャスター輪になっている。
【0037】
操作ハンドル部31aは、背凭れ部5aの背面側に立ち上げるように設けられていて、リクライニング手段のリクライニング動作レバー34が設けられている。
リクライニング動作レバー34は、図示していないが、ワイヤを介して脚部31cに支持されたブレーキ(図示せず)付きのシリンダ機構35に連結されている。
シリンダ機構35は、リクライニング動作レバー34を握ることによって前記ブレーキが解除され、シリンダロッド35aが伸縮可能になり、リクライニング動作レバー34の握りを解除するとスプリングによって元の状態に戻り、シリンダロッド35aがブレーキによって任意の伸縮位置で固定できるようになっている。
【0038】
座部支持部31bは、
図3に示すように、コの字形をしていて、コの字の横片部の両先端(
図3では片側しかあらわれていない)が脚部31cに軸31dを介して枢支されている。
そして、座部支持部31bは、リクライニング動作レバー34を握り、シリンダ機構35のブレーキが解除されると、操作ハンドル部31aを上下に押し引きすることによって操作ハンドル部31aの押し引き方向に軸31dを中心に回動するようになっている。
すなわち、リクライニング動作レバー34を握り操作ハンドル部31aを下方に押すと、座部支持部31bに支持された椅子本体部1aは、図示していないが、背凭れ部5aが後方に傾き(座部4aの前側が上がる)、リクライニング姿勢になり、リクライニング動作レバー34の握りを解除すると、そのリクライニング姿勢で固定された状態になる。
一方、リクライニング動作レバー34を握りながら操作ハンドル部31aを上方に引き上げると、背凭れ部5aが立ち上がった状態となる。
また、座部支持部31bは、コの字の両横辺部からそれぞれ他方の横辺部側に張り出すように設けられた横ズレ防止係合部30と、フック受部30aを備えている。
横ズレ防止係合部30は、座板支持フレーム41を下方から受けるとともに、座板支持フレーム41の係合部43が嵌り込んで台車部3に支持された椅子本体部1aが横ズレしないように作用する。
フック受部30aは、座板支持フレーム41が座部支持部31bに受けられた状態で上記係止フック41gが係脱可能な位置に設けられている。
また、フック受部30aは、図示していないが、先端部が拡径していて、この拡径部が係止フック41gを係合状態としたとき、座部4aの幅方向への移動を防止するようになっている。
【0039】
この介護用椅子Aは、上記のようになっており、たとえば、以下のようにして被介護者Mを入浴介護することができる。
(1)介護者が寝室や浴室の隣室で衣服を脱がせて被介護者Mを介護用椅子Aに移乗させたのち、
図5に示すように、浴室まで移送し、前輪32及び後輪33をロック状態にする。なお、被介護者Mを介護用椅子Aに載せて移送中は、安全面から、係止フック41gをフック受部30aに係止された状態にしておく。
(2)
図6に示すように、リフト装置Lの吊下げ部L1を介護用椅子Aのほぼ直上に配置し、吊下げ部L1を吊りベルトSが係止できる位置まで下げたのち、4本の吊りベルトSを吊下げ部L1に係止させる。
(3)係止フック41gを操作してフック受部30aとの係合を解除する。なお、(3)の動作は、上記(2)の動作より先に行ってもよいが、安全性を考慮すると、上記(2)の動作の後で行うことが好ましい。
(4)リフト装置Lの吊下げ部L1を足載せ部21の下端が、浴槽Tの框T1上面より少し高い位置(水平移動させたときに、足載せ部21の下端が框T1に衝突することがない最低位置、あるいはそれに近い位置)になるまで上昇させる。すなわち、吊下げ部L1を上昇させていくと、まず、
図7及び
図9(b)に示すように、フットサポート部2aが、座板42および背凭れ板51の姿勢が
図9(a)に示す姿勢(台車部3に支持された姿勢)を保持した状態で、足載せ支持部22が枢支軸41aを中心に回動し、それにともない足載せ部21が上方に移動する。すなわち、被介護者Mは、臀部より上側に部分が座部4aおよび背凭れ部5aに支持された姿勢が保たれたまま、足Fが上方に持ち上げられる。
そして、足載せ支持部22の上側支持部22aが、座板支持フレーム41の下面に沿う位置までくると、椅子本体部1aが足載せ部21が上方に移動した状態を保ちながら、椅子本体部1aが台車部3から離脱し、フットサポート部2aとともに上方に吊り上げられる。
(5)リフト装置Lによって(4)の吊り上げ状態を保ちながら、椅子本体部1aおよびフットサポート部2aを浴槽T上の入槽位置直上まで移動させる。
(6)リフト装置Lの吊下げ部L1を、座部4aの下端およびフットサポート部2aの足載せ部21が浴槽Tの底に着くまで下降させて、被介護者Mを浴槽T内に入槽させる。
(7)被介護者Mの入浴が完了すると、吊下げ部L1を上昇させて、足載せ部21の下端が框T1より少し高い位置(水平移動させたときに、足載せ部21の下端が框T1に衝突することがない最低位置、あるいはそれに近い位置)になるまで上昇させる。
(8)リフト装置Lによって(7)の吊り上げ状態を保ちながら、椅子本体部1aをフットサポート部2aとともに、台車部3の直上まで移動させる。
(9)吊下げ部L1を下降させて、椅子本体部1aを台車部3に固定する。
【0040】
上記のように、この介護用椅子Aは、椅子本体部1aにフットサポート部2aが支持されているので、足載せ部21に被介護者Mの足Fを載せた安定した姿勢で被介護者Mを椅子本体部1aとともに吊り上げることができる。
しかも、吊り上げによって、足載せ部21が上方に移動し、足載せ部21の下端が上方にあがった状態に保持されるので、椅子本体部1aを高く吊り上げなくても、足載せ部21の下端を浴槽Tの框T1より高い位置にすることができる。
すなわち、被介護者Mを必要最小限の高さまで吊り上げるだけでよいため、被介護者Mが安心して入浴介護を受けることができるとともに、天井高の低い浴室でもリフト装置Lを利用して着座状態の被介護者Mを安定した着座状態のまま入槽させることができる。
【0041】
また、背凭れ部5aの姿勢が台車部3に支持されていた時と同様の姿勢を保持しながら、足載せ支持部22を回動させることができるので、すなわち、吊り上げによって足載せ部21を上方に移動させることができるので、椅子本体部1aの背凭れ部5aを水平方向に傾けなくてもよい。
したがって、長手寸法の短い浴槽Tであっても入槽させることができる。
勿論、この介護用椅子Aは、浴槽Tの長手寸法が長い浴槽が設置された浴室で用いる場合、第1係止部53と第2係止部24に係止される吊りベルトSの長さ比を変えるなどして
図3に示す背凭れ部5aの姿勢より水平方向に傾けた状態にして椅子本体部1aおよびフットサポート部2aを吊り上げるようにしても構わない。
【0042】
また、この介護用椅子Aは、台車部3に椅子本体部1aが支持固定された状態で、座板42の上面が浴槽Tの框T1上面に略一致するように設けられているとともに、アームレスト6を跳ね上げ姿勢にすることができるようになっているので、この介護用椅子Aを、リフト装置Lが不要で、椅子本体部1aの座部4aから浴槽Tの框T1に移乗可能な被介護者Mに用いた場合でも、被介護者Mの座部4aから浴槽Tの框T1への移乗あるいは浴槽Tの框T1から座部4aへの移乗を容易かつ安全に行うことができる。
【0043】
図10は
、介護用椅子の参考例1であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を台車部上から吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図10に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1bおよびフットサポート部2bが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
【0044】
すなわち、椅子本体部1bは、座部4bより下方に突出するように筒状ガイド部41b(
図10では一方しかあらわれていない)を座部4bの両側部に一体に備え、フットサポート部2bの第2係止部24に吊りベルトSによって吊り上げ方向の力が加わると、この筒状ガイド部41bに沿って足載せ支持部22が上方にスライドし、足載せ部21が
図10(a)に示す下方位置から、
図10(b)に示す上方位置まで、椅子本体部1aの姿勢を変えることなく、上方に移動するようになっている。
なお、
図10中、5bは背凭れ部である。
【0045】
図11は
、介護用椅子の参考例2であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図11に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1cおよびフットサポート部2cが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
【0046】
すなわち、椅子本体部1cは、座部4cより上方に突出するように筒状ガイド部41c(
図10では一方しかあらわれていない)を座部4cの両側部に一体に備え、フットサポート部2cの第2係止部24に吊りベルトSによって吊り上げ方向の力が加わると、この筒状ガイド部41cに沿って足載せ支持部22が上方にスライドし、足載せ部21が
図11(a)に示す下方位置から、
図11(b)に示す上方位置まで、椅子本体部1cの姿勢を変えることなく、上方に移動するようになっている。
なお、
図11中、5cは背凭れ部である。
【0047】
図12は
、介護用椅子の参考例3であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図12に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1dおよびフットサポート部2dが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
【0048】
すなわち、椅子本体部1dは、座部4dの下面側に設けられた固定軸41dを介してリンクバー41eが座部4aの前後方向に回動可能に支持されている。
また、リンクバー41eの先端に可動枢支軸41fが設けられていて、この可動枢支軸41fに上記フットサポート部2aと同様の構造をしたフットサポート部2dの足載せ支持部22が枢支されている。
【0049】
したがって、フットサポート部2dの第2係止部24に吊りベルトSによって吊り上げ方向の力が加わると、
図12(b)に示すように、フットサポート部2dの足載せ支持部22が可動枢支軸41fを中心に足載せ部21が上方に移動するように回動するとともに、リンクバー41eが固定軸41dを中心に可動枢支軸41fが座部4aの後方側に移動するように回動する。
すなわち、この介護用椅子は、足載せ部21を座部4aの下面にできるだけ近い位置まで移動できるようになり、吊り上げ高さをより少なくすることができるとともに、椅子本体部1aとともに、被介護者Mを浴槽Tの深い位置まで入槽させることができる。
なお、
図12中、5dは背凭れ部である。
【0050】
図13は
、介護用椅子の参考例4であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図13に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1eおよびフットサポート部2eが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
【0051】
すなわち、この介護用椅子は、椅子本体部1eの座部4eと、背凭れ部5eとが連結軸11によって接続されている。
座部4eの先端にフットサポート部2eの足載せ支持部22が固定状態となっている。
【0052】
また、座部4eは、その座板46が側面視で下側に凸の湾曲形状になっている。
そして、フットサポート部2eの第2係止部24に吊りベルトSによって吊り上げ方向の力が加わると、
図13(b)に示すように、足載せ部21側が上方に移動し、この移動に伴って、背凭れ部5eの姿勢を
図13(a)に示すように吊り上げ前の状態に保持した状態で、座部4eが連結軸11を中心にフットサポート部2e側が持ち上がるように回動する。
【0053】
この介護用椅子は、上記のように座部4eの座板46が側面視で下側に凸の湾曲形状になっているので、被介護者Mをより安定した状態で座部4eに座らせることができる。
【0054】
図14は
、介護用椅子の参考例5であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図14に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1fの座部4eの先端に設けられた枢支軸47にフットサポート部2fの足載せ支持部22の上端が枢支されている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
なお、
図14中、5fは背凭れ部である。
【0055】
図15は
、介護用椅子の参考例6であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図15に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1gおよびフットサポート部2gが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
【0056】
すなわち、椅子本体部1gは、座部4gの上面側に設けられた固定軸48aを介してリンクバー48bが座部4gの前後方向に回動可能に支持されている。
また、リンクバー48bの先端に可動枢支軸48cが設けられていて、この可動枢支軸48cに上記フットサポート部2aと同様の構造をしたフットサポート部2gの足載せ支持部22が枢支されている。
【0057】
したがって、フットサポート部2gの第2係止部24に吊りベルトSによって吊り上げ方向の力が加わると、
図15(b)に示すように、フットサポート部2gの足載せ支持部22が可動枢支軸48cを中心に足載せ部21が上方に移動するように回動するとともに、リンクバー48bが固定軸48aを中心に可動枢支軸48cが座部4gの後方側に移動するように回動する。
すなわち、この介護用椅子は、足載せ部21を座部4gの下面にできるだけ近い位置まで移動できるようになり、吊り上げ高さをより少なくすることができるとともに、椅子本体部1gとともに、被介護者Mを浴槽Tの深い位置まで入槽させることができる。
なお、
図15中、5gは背凭れ部である。
【0058】
図16は
、介護用椅子の参考例7であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図16に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1hおよびフットサポート部2hが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
【0059】
この介護用椅子は、椅子本体部1hの座部4hが、背凭れ部5hに設けられた固定アーム55と、固定アーム55に枢支軸56を介して回動可能に支持された可動アーム57とからなる座部支持手段を介して支持されている。
【0060】
座部4hは、座面が下に凸の湾曲形状になっていて、可動アーム57の下端に支持されている。
フットサポート部2hは、座部4hの反背凭れ部5h側に足載せ支持部22が固定状態となっている。
【0061】
そして、フットサポート部2hの第2係止部24に吊りベルトSによって吊り上げ方向の力が加わると、
図16(b)に示すように、足載せ部21側が上方に移動し、この移動に伴って、背凭れ部5hの姿勢を
図16(a)に示すように吊り上げ前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態に保持した状態で、座部4hが枢支軸56を中心にフットサポート部2h側が持ち上がるように回動する。
【0062】
図17は
、介護用椅子の参考例8であって、同図(a)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げる前(あるいは台車部上に吊り降ろした後)の状態、同図(b)は椅子本体部およびフットサポート部を吊り上げた状態をあらわしている。
図17に示すように、この介護用椅子は、椅子本体部1iおよびフットサポート部2iが、以下のような構成となっている以外は、上記介護用椅子Aと同様になっている。
同様になっている。
【0063】
すなわち、椅子本体部1iは、座部4iの下面側に設けられた第1固定軸49aを介して第1リンクバー49bが座部4iの前後方向に回動可能に支持されている。第1リンクバー49bの先端に第1可動軸49cが設けられている。
座部4iの上面側に設けられた第2固定軸41eを介して第2リンクバー49fが座部4iの前後方向に回動可能に支持されている。第2リンクバー49fの先端に第2可動軸49gが設けられている。
【0064】
そして、第1リンクバー49bと第2リンクバー49fとは、第1可動軸49cと第2可動軸49gとが連結バー49dを介して連結されていて、平行状態を保ちつつ回動するようになっている。
フットサポート部2iは、足載せ支持部22の上端が第2可動軸49gに枢支されている。
なお、
図17中、5iは背凭れ部である。
【0065】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、左右一対の足載せ部を備えていたが、左右の足載せ支持部を連結するように一つの足載せ部を設けて、両足をこの1つの足載せ部に載せるようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、座板および背凭れ板を座板支持フレームあるいは背凭れ支持フレームで支持することによって座部あるいは背凭れ部が形成されていたが、座板や背凭れ板に代えて、メッシュ状をしたシート材料の周囲をフレーム部に支持固定して背凭れ部としてもよい。