特許第6406736号(P6406736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406736
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】プロジェクタおよび画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20181004BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20181004BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20181004BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20181004BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20181004BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20181004BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   F21S2/00 340
   F21V7/00 300
   F21V7/28 240
   H04N9/31 500
   F21Y115:30
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-512167(P2017-512167)
(86)(22)【出願日】2015年4月17日
(86)【国際出願番号】JP2015061852
(87)【国際公開番号】WO2016166885
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】石川 孝史
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−145681(JP,A)
【文献】 特開2012−247491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00−21/10;21/12−21/13;
21/134−21/30;33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の蛍光領域にて発生した第1の蛍光を含む第1の光を出力する第1の光源と、
第2の蛍光領域にて発生した第2の蛍光を含む第2の光を出力する第2の光源と、
第1乃至第3の画像表示素子と、
入力された前記第1の光と第2の光からそれぞれ色が異なる前記第1乃至第3の画像表示素子を照明する照明光を生成して前記第1乃至第3の画像表示素子へ照射する光分離光学系と、
入力された映像信号および前記第1乃至第3の画像表示素子に照射される照明光の色に応じた画像を前記第1乃至第3の画像表示素子に表示させる制御装置と、
を有し、
前記第1の光源は前記第1の光として常時黄色光を出力し、前記第2の光源は前記第2の光として青色光と黄色光を順次出力することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の蛍光および第2の蛍光の少なくとも一方は、前記分離光学系で生成される照明光の色のうちの2つの色の成分を含む混色光であるプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の蛍光領域は第1の蛍光ホイールに設けられ、前記第2の蛍光領域は第2の蛍光ホイールに設けられているプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の蛍光領域と前記第2の蛍光領域は、前記第1の光源と前記第2の光源に共通に設けられた蛍光ホイールに設けられたプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記光分離光学系で生成される照明光のいずれかの色の光を前記分離光学系に出力する第3の光源を有するプロジェクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子と前記光分離光学系の間に設けられ、該分離光学系からの照明光を前記第1乃至第3の画像表示素子上に収束させる第1乃至第3の照明光学系を有するプロジェクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子が透過型液晶ライトバルブであるプロジェクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子がDMDであるプロジェクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子がLCOSであるプロジェクタ。
【請求項10】
第1の光源から第1の蛍光領域にて発生した第1の蛍光を含む第1の光を出力させ、
第2の光源から第2の蛍光領域にて発生した第2の蛍光を含む第2の光を出力させ、
前記第1の光と第2の光からそれぞれ色が異なる前記第1乃至第3の画像表示素子を照明する照明光を生成し、
当該照明光を前記第1乃至第3の画像表示素子へ照射させ、
入力された映像信号および前記照明光に応じた画像を前記第1乃至第3の画像表示素子に表示させる画像表示方法であって、
前記第1の光として前記第1の光源から常時黄色光を出力させ、前記第2の光として前記第2の光源から青色光と黄色光を順次出力させる画像表示方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタおよび画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタの光源として高圧水銀ランプなどが用いられてきた。しかしながら、ランプ光源は寿命が比較的短く、定期的な交換が必要であった。
そこで、ランプ光源に代わる光源として、蛍光体を用いた光源を有するプロジェクタが提案されている。
特許文献1(特開2012−123179号公報)にはレーザ光源と蛍光体を用いた光源を有するプロジェクタが開示されている。
特許文献1の図1に示されるプロジェクタ1は、光源装置2と、色分離光学系3と、液晶ライトバルブ4R、4G、4Bと、色合成素子5と、投射光学系6を有している。光源装置2は、レーザ光源9とダイクロイックミラー10と、1/4波長板11と、蛍光体ホイール12と、コリメート光学系13と、レンズアレイ14、15と、偏光変換素子16と、重畳レンズ17を有している。
レーザ光源9から出射されたp偏光の青色光はダイクロイックミラー10と1/4波長板11を透過して蛍光体ホイール12に入射する。青色光によって励起された蛍光体は黄色蛍光を出射するとともに、入射した青色光の一部を反射する。
【0003】
したがって、蛍光体ホイール12からは黄色蛍光と、青色光の合成光が白色光として出射される。黄色蛍光と青色光は1/4波長板11に入射する。黄色蛍光は非偏光(ランダム偏光)のため、偏光上の変化は起こらない。
一方、青色光の一部は1/4波長板11を2回透過することによってp偏光からs偏光に変換される。ダイクロイックミラー10は青色のp偏光を透過し、青色のs偏光と黄色光を反射するよう構成されているため、黄色蛍光とs偏光の青色光は反射され、コリメート光学系13に入射する。コリメート光学系によって発散角度が調整された黄色蛍光と青色光の合成光である白色光は、レンズアレイ14、15と偏光変換素子16と重畳レンズ17からなる、いわゆるインテグレータ光学系によって、液晶ライトバルブ4R、4G、4Bを均一照明する単一偏光に変換される。色分離系3によって、前記の白色光は、黄色蛍光と青色光が分離され、黄色蛍光が緑色光と赤色光に分離されることで、赤色光と緑色光と青色光の三原色に分光されたのち、それぞれライトバルブ4R、4G、4Bに入射する。ライトバルブによって空間変調された各色光は光合成素子5によって同一光軸上に合成されたのち、投射光学系6によってスクリーン7に拡大投射される。
【0004】
特許文献2(特開2012−141495号公報)には、レーザ光源と蛍光体を用いた光源を有し、かつ、高輝度なプロジェクタが開示されている。
特許文献2の図1に示される光源装置100は、励起光発光手段として、第1の光源10と、第2の光源11を有している。それぞれの光源から出射された励起光は合成されて蛍光体50A上に集光するため、光源10もしくは光源11が単一で用いられたときの励起光を上回るパワーで蛍光体50Aを励起する。結果として特許文献1よりも増強された蛍光パワーが得られ、高輝度なプロジェクタを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−123179号公報
【0006】
【特許文献2】特開2012−141495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高輝度なプロジェクタを実現する方法の一つとして、特許文献2に開示されるように、蛍光体ホイールに入射する励起光のパワーを増強する手法がある。
しかしながら、励起光のパワーを増強すると、蛍光体の発熱量が増加するため、蛍光体の量子効率が低下し、励起光から蛍光への変換効率が低下する。蛍光体の量子効率が低下すると、励起光のうちの熱に変換されるエネルギーがさらに増大し、蛍光パワーがさらに減少する、いわゆる温度消光という現象が発生する。
したがって、高輝度なプロジェクタを実現するための励起光パワーは、蛍光体の特性と蛍光体ホイールの構成を考慮する必要がある。一般的に、蛍光パワーを増強するためには、レーザ出力を増強するとともに、蛍光体の冷却性能を併せて向上する必要がある。そのため、励起光源と蛍光体に対して大規模な冷却機構が必要となっていた。
また、蛍光体を用いた光源で高輝度なプロジェクタを実現するに当たり、考慮しなければならない点として、赤色、緑色、青色のカラーバランスがある。適切な白色を表現するためには、光の三原色である赤色、緑色、青色を特定のパワー比率で含有していなければならない。
【0008】
図1Aは、励起光であるレーザ光源の青色光と、黄色蛍光から構成される白色光源のスペクトラムの一例を示している。一般的な黄色蛍光体から得られる緑色と赤色は、適切な白色が得られるパワー比率とほぼ同一であり、図1Bに示すように、黄色蛍光と青色蛍光の色バランスによって適切な白色光を得ることができる。
つまり、黄色蛍光体を用いた光源を有するプロジェクタの輝度を増強するためには、赤色、緑色、青色を同じ割合で増強する必要がある。仮に、黄色蛍光体を光源として有するプロジェクタに対して、緑色のみを増強して高輝度なプロジェクタを実現しようとすると、白色点が緑色の色度域方向に偏ることになる。換言すると、適切な白色を表現するための赤色および青色が不足する。この結果、投射画面のカラーバランスが崩れて、白色を表示した場合の投射画面が緑色に偏り、画質を大きく低下させる。
本発明は、上記の問題を解決し、高輝度なプロジェクタ、画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロジェクタは、
第1の蛍光領域にて発生した第1の蛍光を含む第1の光を出力する第1の光源と、
第2の蛍光領域にて発生した第2の蛍光を含む第2の光を出力する第2の光源と、
第1乃至第3の画像表示素子と、
入力された前記第1の光と第2の光からそれぞれ色が異なる前記第1乃至第3の画像表示素子を照明する照明光を生成して前記第1乃至第3の画像表示素子へ照射する光分離光学系と、
入力された映像信号および前記第1乃至第3の画像表示素子に照射される照明光の色に応じた画像を前記第1乃至第3の画像表示素子に表示させる制御装置と、を有する。
本発明による画像表示方法は、第1の光源から第1の蛍光領域にて発生した第1の蛍光を含む第1の光を出力させ、
第2の光源から第2の蛍光領域にて発生した第2の蛍光を含む第2の光を出力させ、
前記第1の光と第2の光からそれぞれ色が異なる前記第1乃至第3の画像表示素子を照明する照明光を生成し、
当該照明光を前記第1乃至第3の画像表示素子へ照射させ、
入力された映像信号および前記照明光に応じた画像を前記第1乃至第3の画像表示素子に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】レーザ光源と黄色蛍光のスペクトラムの模式図である。
図1B】レーザ光源と黄色蛍光体と、それを用いた白色光源の色度点の模式図である。
図2】本発明によるプロジェクタの第1の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
図3A図2中の第1の光源10を構成する蛍光体ホイール15の平面図である。
図3B図2中の第1の光源10を構成する蛍光体ホイール15の側面図である。
図3C図2中の第2の光源11を構成する蛍光体ホイール28の平面図である。
図3D図2中の第2の光源11を構成する蛍光体ホイール28の側面図である。
図4図2中の光合成素子5の構成と効果を説明するための概略図である。
図5A図2中の第1の光源10および第2の光源11から出射される照明光の色と、表示素子41〜43が出射する画像光の色の関係を示す図である。
図5B】第1の実施形態における画像生成部の構成を示すブロック図である。
図6】本発明によるプロジェクタの第2の実施形態の光学系の要部構成を説明するための概略図である。
図7図6中の第2の光源11を構成する蛍光体ホイール628の平面図である。
図8】本発明によるプロジェクタの第3の実施形態で用いられる蛍光ホイール801の平面図である。
図9】本発明によるプロジェクタの第4の実施形態の要部構成を示す図である。
図10図9中の蛍光ホイール901の平面図および側面図である。
図11】本発明の第5の実施形態による第2の光源の構成を示す図である。
図12】本発明の第6の実施形態による第2の光源の構成を示す図である。
図13】本発明によるプロジェクタの第7の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
図14】本発明によるプロジェクタの第8の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
図15】本発明によるプロジェクタの第9の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
第1の実施形態
図2は、本発明によるプロジェクタの第1の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
図2を参照すると、プロジェクタ1は、光源部2と、光分離光学系3と、表示素子41、42、43と、色合成素子5と、投射光学系6と、を有している。プロジェクタには上記の光学系の他に、映像信号を受け付けて表示素子41、42、43に表示を行わせる画像生成部、電源部、冷却部等が設けられるが、図2には光学系の要部のみを示している。
(光源部)
光源部2は、第1の光源10と、第2の光源11と、からなる。
【0012】
(第1の光源)
第1の光源10は、レーザ光源12、レンズ群13、ダイクロイックミラー14、蛍光体ホイール15、照明光学系16を備えている。なお、上記の構成部品以外にも、光路調整用などのレンズやミラーが必要に応じて設けられる。
蛍光体ホイール15は、図3Aの平面図および図3Bの側面図に示すように、円板状の基板17と回転モータ18とを含む。基板17上には、黄色の蛍光を発生する黄色蛍光体19が全周にわたって形成されている。
レーザ光源12から出射された青色励起光は、レンズ群13によって光束径が縮小されたのち、ダイクロイックミラー14に入射する。ダイクロイックミラー14は青色励起光の波長の光を反射し、黄色蛍光体19で発生した黄色の蛍光の波長の光を透過するように構成されている。ダイクロイックミラー14で反射された青色励起光は蛍光体ホイール15上に集光されて黄色蛍光体19に入射する。
【0013】
基板17は回転モータ18によって回転するため、青色励起光のスポット位置は黄色蛍光体19の周方向に掃引される。黄色蛍光体19は青色励起光によって励起されたのち、黄色の蛍光を出射する。蛍光体ホイール15から出射された蛍光は、ダイクロイックミラー14を透過したのち、照明光学系16に入射する。
照明光学系16は、レンズアレイ20、21と、偏光変換素子22と、重畳レンズ23、を有する。ダイクロイックミラー14から出射した黄色の蛍光は、第1のレンズアレイ20によって複数の部分光束に分割される。第2のレンズアレイ21および重畳レンズ23は、第1のレンズアレイ20からの部分光束を後述する表示素子上で収束するように構成されている。第2のレンズアレイ21から出射した黄色の蛍光は、偏光変換素子22によってs偏光の黄色部分光束に変換されたのち、重畳レンズ23を通って光分離光学系3に入射する。
【0014】
(第2の光源)
第2の光源11は、レーザ光源24、レンズ群25、プリズム26、1/4波長板27、蛍光体ホイール28、照明光学系29を備えている。なお、上記の構成部品以外にも、光路調整用などのレンズやミラーが必要に応じて設けられる。
蛍光体ホイール28は、図3Cの平面図および図3Dの側面図に示すように、円板状の基板30と回転モータ31とを含む。基板30は第1のセグメントと第2のセグメントに分割されている。第1のセグメントには、黄色の蛍光を発光する黄色蛍光体32aが形成されており、第2のセグメントには、反射面32bが形成されている。
レーザ光源24から出射された青色励起光は、レンズ群25によって光束径が縮小されたのち、プリズム26に入射する。青色励起光はプリズム26の光学面に対してs偏光である。プリズム26は青色励起光の波長のs偏光の光を反射して、青色励起光のp偏光の光と、黄色蛍光体32aで発生した黄色の蛍光の波長の光を透過するよう構成されている。プリズム26で反射した青色励起光は1/4波長板27を透過したのち、蛍光体ホイール28上に集光されて黄色蛍光体32aもしくは反射面32bのいずれかに入射する。
【0015】
第1のセグメントに形成された黄色蛍光体32aに青色励起光が入射した場合には、黄色蛍光体32aが励起光によって励起され、黄色の蛍光がプリズム26方向に出射される。第2のセグメントに形成された反射面32bに青色励起光が入射した場合には、反射面32bは青色励起光をプリズム26方向に反射する。
上記のように、青色励起光が蛍光体ホイール28に入射すると、第1のセグメントと第2のセグメントの分配率に応じた黄色の蛍光と青色励起光がプリズム26方向に出射される。第1のセグメントと第2のセグメントの分配率は、青色光と黄色蛍光のパワー比率が白色を表現するのに最適になるように調整されていることが好ましい。
蛍光体ホイール28から出射される黄色蛍光と青色励起光は、1/4波長板27とプリズム26を透過したのち、照明光学系29に入射する。ここで、1/4波長板27が蛍光体ホイール28からの出射光に及ぼす効果について説明する。前述のように、レーザ光源24から出射される青色励起光は、プリズム26の光学面に対してs偏光のため、プリズム26で反射され、1/4波長板27を透過する際に、s偏光から円偏光に変換される。この後、蛍光体ホイール28の反射面31bで反射された場合には、再度1/4波長板27を透過する。このとき、光学的には青色励起光は1/2波長板を透過したことと等価となり、偏光軸が90度回転してプリズム26の光学面に対してp偏光に変換される。したがって、反射面32bで反射された青色励起光はプリズム26に入射するときはp偏光であり、プリズム26を透過して、照明光学系29に入射する。
照明光学系29は、第1の光源の照明光学系と同様の構成のため、説明は省略するが、結果として、s偏光の黄色蛍光と青色励起光の部分光束に変換されたのち、光分離光学系3に入射する。
【0016】
(光分離光学系)
光分離光学系3は第1のダイクロイックミラー33と第2のダイクロイックミラー34とミラー35、36、37からなる。なお、上記の構成部品以外にも、光路調整用などのレンズやミラーが必要に応じて設けられる。
第1のダイクロイックミラー33は、緑色の波長領域の光を透過し、赤色の波長領域の光を反射するように構成されている。これにより、第1の光源10から出射した黄色蛍光は、第1のダイクロイックミラー33によって、緑色光と赤色光(以下、それぞれ第1の緑色光と第1の赤色光と称する)に分離される。より具体的には、第1のダイクロイックミラー33を透過する第1の緑色光は表示素子42に入射し、第1のダイクロイックミラー33により反射される第1の赤色光は、さらにミラー34、35によって反射されたのちに表示素子41に入射する。
第2のダイクロイックミラー34は、青色と緑色の波長領域の光を透過し、赤色の波長領域の光を反射するように構成されている。第2の光源11からは黄色蛍光と青色励起光(以下、青色光と称する)が時系列に出射されるが、黄色蛍光は第2のダイクロイックミラー34を透過する緑色光(以下、第2の緑色光と称する)と第2のダイクロイックミラー34により反射される赤色光(以下、第2の赤色光と称する)に分離され、青色光は第2のダイクロイックミラー34を透過する。
【0017】
第1のダイクロイックミラー33が青色の波長領域の光を透過する性能をも有している場合は、第1のダイクロイックミラー33と第2のダイクロイックミラー34は同一部品で構成することができる。
第2のダイクロイックミラー34の反射光軸は、第1のダイクロイックミラー33の反射光軸と一致するように配置されている。したがって、第2のダイクロイックミラー34で反射された第2の赤色光は、第1のダイクロイックミラー33に入射する。第1のダイクロイックミラー33は赤色の波長領域の光を反射するため、第2の赤色光は第1の緑色光と同一光軸上に合成されたのちに表示素子42に入射する。第2のダイクロイックミラー34を透過した第2の緑色光および青色光は、ミラー36で反射されたのちに青色用表示素子43に時系列で入射する。
【0018】
(表示素子)
本実施の形態において、表示素子41、42、43は、透過型液晶ライトバルブで構成されている。表示素子41、42、43は、前後に不図示の偏光板を備えるもので、光分離光学系3と光合成光学素子5の間に配置されており、供給される駆動信号に従って、光分離光学系3から出射された各色の照明光を空間的に変調し、各色の画像光として出射する。
光合成素子5は、表示素子41、42、43からの各色の画像光を合成する合成手段であり、一般的にクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0019】
(光合成素子)
図4は、光合成素子5の構成と効果を説明するための概略図である。光合成素子5は、直角をなす面が互いに接合された4つの直角プリズム50a、50b、50c、50d、からなる。直角プリズム50a、50bの接合面と、直角プリズム50c、50dの接合面により、一様な第1のダイクロイック面(RR面)51が形成される。直角プリズム50a、50dの接合面と、プリズム50b、50cの接合面により、第1のダイクロイック面51に対して直交する第2のダイクロイック面(BR面)52が形成される。
第1のダイクロイック面(RR面)51は、s偏光に対して、青色及び緑色の波長領域の光を透過して、赤色の波長領域の光を反射する特性を有し、p偏光に対して、少なくとも赤色と緑色の波長領域の光を透過する特性を有する。第2のダイクロイック面(BR面)52は、s偏光に対して青色及び緑色の波長領域の光を反射して、赤色の波長領域の光を透過する特性を有し、p偏光に対して、少なくとも赤色と緑色の波長領域の光を透過する特性を有している。
表示素子41から出射される第1の赤色光による画像光は、光分離素子5の第1のダイクロイック面51に反射され、第2のダイクロイック面52を透過することで、投射光学系6に入射する。表示素子42から出射される第1の緑色光による画像光と第2の赤色光による画像光は、第1のダイクロイック面51と第2のダイクロイック面52を透過することで、投射光学系6に入射する。表示素子43から出射される第2の緑色光による画像光と青色光による画像光は、第2のダイクロイック面52に反射され、第1のダイクロイック面51を透過することで、投射光学系6に入射する。
【0020】
(投射光学系)
投射光学系6は、同一光軸上に合成された各色の画像光を不図示のスクリーンに投射光として拡大投射する。
(第1の実施形態の制御方法)
次に、本実施形態のプロジェクタの制御方法について説明する。
図5Aは、蛍光体ホイール15、28が1回転する1フレーム中に、第1の光源10および第2の光源11から出射される照明光の色と、表示素子41〜43が出射する画像光の色の関係を示す図である。ここでは、第2の光源11を構成する蛍光体ホイール28のセグメントが、黄色蛍光体32aが形成された領域と反射面32bが形成された領域が180度ずつに2分割されているものとしている。この場合、蛍光体ホイール1周を1フレームと仮定した時、1フレーム期間はサブフレーム1およびサブフレーム2に等分される。
第1の光源10は常時黄色光を出射する。一方、第2の光源11はサブフレーム1では青色光を出射し、サブフレーム2では黄色光を出射する。
【0021】
次に、表示素子41〜43に入射する照明光について説明する。表示素子41にはサブフレーム1、2のいずれにおいても第1の赤色光が入射する。
表示素子42には、第1の緑色光がサブフレーム1、2のいずれにおいても入射する。サブフレーム2では第1の緑色光に加えて第2の赤色光が入射するため、結果として緑色光と黄色光が時分割で入射することとなる。
表示素子43には、第2の緑色光と青色光が時分割で入射する。
上記の結果、第1のサブフレームでは、表示素子41からは赤色画像光が、表示素子42からは緑色画像光が、青色用表示素子43からは青色画像光が出射され、光合成素子5によって合成されたのち、スクリーンに投射される。
第2のサブフレームでは、表示素子41からは赤色画像光が、表示素子42からは黄色画像光が、表示素子43からは緑色画像光が出射され、光合成素子5によって合成されたのち、スクリーンに投射される。
【0022】
図5Bは、本実施形態における画像生成部の構成を示すブロック図である。
制御装置70は、モータ18およびモータ31の回転動作を制御するとともに、表示素子41〜43に対して表示を行わせるための画像信号を供給する。制御装置70は、プロジェクタ1に供給される映像信号V1を入力されている。各モータ18、31に対してその回転制御を行っており、モータ31の回転によって発生するサブフレーム1とサブフレーム2のそれぞれにおいて、表示素子41〜43に異なる画像信号を供給する。
表示素子41に対してはサブフレーム1、2のいずれにおいても赤色用の画像を表示させる画像信号を供給する。表示素子42に対しては、サブフレーム1では緑色用の画像を表示させる画像信号を供給し、サブフレーム2では黄色用の画像を表示させる画像信号を供給する。表示素子43に対しては、サブフレーム1では青色用の画像を表示させる画像信号を供給し、サブフレーム2では緑色用の画像を表示させる画像信号を供給する。
【0023】
上述した本実施形態のプロジェクタによれば、それぞれ異なる蛍光体にて発生した蛍光を足し合わせて光量の増強が図られている。このため、励起光のパワーを増強したときの温度消光現象が発生することないため、大規模な冷却機構を必要とすることなく、光の三原色である赤色、緑色、青色を同じ比率で増強することが可能で、適切な白色を表現できる高輝度なプロジェクタを実現可能である。
本実施の形態のプロジェクタの効果についてより具体的に説明する。比較として、特許文献2に示されるような蛍光体ホイールに入射する励起光パワーを増強する方法での高輝度化方式を考える。この場合、蛍光体ホイールに強力な励起光が入射するため、蛍光体の温度消光により蛍光の輝度が低下する。対策としては励起光のスポットサイズを大きくして、蛍光体上での局所的な温度上昇を緩和することで、温度消光を抑制することが考えられる。
しかしながら、スポットサイズを大きくすると、蛍光体発光面積と光線の発散角度で定義される、光源のエテンデュが増大し、光学系の効率が低下する。したがって、大きくできるスポットサイズには上限がある。すなわち、単独の蛍光体ホイールに対して入射する光源パワーを増強したとしても、同比率の高輝度化は極めて困難である。
【0024】
次に、蛍光体ホイールに対する冷却を考える。単独の蛍光体ホイールを強力な励起光パワーで励起する場合、冷却性能として、局所的な大熱量を効率的に蛍光体から排出する必要性がある。しかしながら、蛍光体ホイールを用いている場合では、高速回転する基板から放熱する冷却構成が必要であり、構造物の接触が不可能であるため、効率的な放熱効果を得ることは困難である。対策としては、蛍光体ホイールの大口径化などが考えられるが、部品サイズの拡大や部品の安定性を保持するための高コスト化は避けられない。
一方、本実施の形態のプロジェクタによれば、蛍光体ホイールに入射する励起光パワーを複数の蛍光体ホイールに分散することが可能であり、1つの蛍光体ホイール上のスポット中に入射する励起光パワーが増加することはない。したがって、プロジェクタ全体としての励起光パワーの増大に対して、蛍光体発光部である光源のエテンデュを増加させることなく高輝度化の効果が得られる。したがって、温度消光によって発生する熱量も低下し、なおかつ、熱源を独立させることができるため、簡易な冷却構成によって放熱が可能となる。
また、一般的な黄色蛍光体のスペクトラム特性を考慮した場合、白色を表現するための緑色と赤色を同じ割合で増強することが可能であるため、輝度を増加しながらも白色の再現性を保つことができる。
【0025】
第2の実施形態
次に、本発明による第2の実施形態について説明する。
図6は本発明によるプロジェクタの第2の実施形態の光学系の要部構成を説明するための概略図である。
本実施形態のプロジェクタ601は、図2に示したプロジェクタ1における青色の励起光を出力していたレーザ光源24を波長405nmの青紫色の励起光を発生するレーザ光源624とし、プリズム26と波長板27の代わりにダイクロイックミラー626を配置し、蛍光ホイール28を図7に示すよう黄色蛍光体632aと青色蛍光体632bがそれぞれ形成された蛍光ホイール628としたものである。これら以外の構成は図2に示したプロジェクタ1と同じであるため、図2と同じ番号を付して説明は省略する。
【0026】
本実施形態においては、プリズム26と波長板27ではなく、第1の光源10と同様にダイクロイックミラー626が配置されている。このダイクロイックミラー626は、光源624が出射する励起光を反射して、蛍光体ホイール628が出射する蛍光を透過するように構成されている。
蛍光体ホイール628には、黄色蛍光体632aと青色蛍光体632bがそれぞれ形成されているため、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の光源10からは黄色蛍光が常時出射され、第2の光源11からは黄色蛍光と青色蛍光が時分割で出射されることとなる。
なお、本実施形態において、レーザ光源624は波長405nmの青紫色の励起光を発生するものとしたが、これに限定されるものではない。レーザ光源624としては、蛍光ホイール628に形成された黄色蛍光体632aと青色蛍光体632bを励起して黄色、青色をそれぞれ発生する光を出力すればよく、例えば紫外領域の波長の光を発生するものであってもよい。
【0027】
第3の実施形態
次に、本発明による第3の実施形態について説明する。
図2に示した第1の実施形態、図6に示した第2の実施形態のいずれにおいても、励起光が照射される円環領域に設けられる蛍光体や反射板は、円環を等分する2つのセグメントに形成され、これにより、第1の実施形態、第2の実施形態のいずれにおいても発生するサブフレームは期間が等しい2つのサブフレームとされていた。
本実施形態においては、図8の平面図に示すように、第2の光源に設けられる蛍光ホイール801の励起光が照射される円環領域は領域8001〜800nに等分されている。領域8001〜800nには黄色蛍光体と反射板が交互に設けられている。本実施形態における光学系は第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
本実施形態の場合、サブフレーム数はn個となり、図5Bに示した制御装置70はサブフレームが切り替わるたびに表示素子42および表示素子43に表示させる画像を切り替える。本実施形態の場合には、1フレーム中に発生するサブフレームの数が増加し、カラーブレイキングが抑制されるため、画質が向上する。
なお、領域8001〜800nには黄色蛍光体と青色蛍光体を交互に設けることとし、光学系を第2の実施形態と同様のものとしてもよい。この場合には第2の実施形態と同様に第2の光源11からは青色蛍光と黄色蛍光が交互に出射されることとなる。
【0028】
第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図9は本発明によるプロジェクタの第4の実施形態の要部構成を示す図である。
上述した各実施形態においては、第1の光源10と第2の光源11に蛍光ホイール15、18をそれぞれ設けられる構成であったのに対し、本実施形態は、第1の光源10と第2の光源11に対して1つの蛍光ホイール901が設けられる。その他の構成は図2に示したプロジェクタ1と同じであるため、図2と同じ番号を付して説明は省略する。
蛍光ホイール901は、図10の平面図および側面図に示すように、外周に沿って設けられた円環状の黄色蛍光体904と、黄色蛍光体904の内部に円環が等分された2つのセグメントにそれぞれ設けられた黄色蛍光体905および反射板906を備えている。黄色蛍光体12上には光源12からの励起光が照射される。また、黄色蛍光体905および反射板906上には光源12からの励起光が照射される。
上記のように構成される本実施形態では、第1の実施形態と同様に第1の光源10からは黄色の蛍光が出射され、第2の光源11からは黄色の蛍光と青色の励起光が交互に出射される。なお、光学系を第2の実施形態と同様のものとしてもよい。この場合には第2の実施形態と同様に第2の光源11からは青色蛍光と黄色蛍光が交互に出射されることとなる。
【0029】
第5の実施形態
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図2に示した第1の実施形態では、第2の光源11は、プリズム26、1/4波長板27、黄色蛍光体と反射板が形成された蛍光体ホイール28を用いて黄色蛍光と青色光を時分割で出射していた。これに対し、本実施形態では、励起光を透過するセグメントが形成された蛍光ホイールを用いており、蛍光ホイールを透過した励起光を折り返して、蛍光体ホイールで発生した蛍光と同一光軸上に合成する形態である。
本実施形態による第2の光源の構成を図11に示す。本実施形態は、第1に実施形態で用いられていた第2の光源11の構成を異なるものとしたものである。第2の光源の以外の構成は図2に示した光学系と同様であるため、図示は省略し、図11には第2の光源の要部の概略構成のみを示す。
【0030】
本実施形態による第2の光源は、レーザ光源1101、レンズ群1102、ダイクロイックミラー1103、蛍光ホイール1104、ミラー1105〜1107、レンズ1108〜1110を備えている。レーザ光源1101から出射した青色の励起光はレンズ群1102によって光束径が縮小されたのち、ダイクロイックミラー1103に入射する。ダイクロイックミラー1103は青色光を反射し、黄色光を通過させるもので、レーザ光源1101からの励起光は蛍光ホイール1104に向けて反射する。
蛍光ホイール1104には励起光の照射により黄色の蛍光を発生する蛍光体が設けられた第1のセグメントと励起光を透過させる第2のセグメントが設けられている(ともに不図示)。蛍光ホイール1104で発生した黄色蛍光はダイクロイックミラー1103を通過して光分離光学系3(図2参照)に向けて出射し、蛍光ホイール1104を透過した励起光はミラー1105〜1107、レンズ1108〜1110を通った後にダイクロイックミラー1103で反射して光分離光学系3に向けて出射する。
【0031】
上記のように構成される本実施形態による第2の光源は図2に示された第2の光源と同様に黄色の蛍光と励起光とが時系列に出射する。
本実施形態においては、青色光を反射するダイクロイックミラー1103を用いているため、プリズム26と1/4波長板27を用いて青色光の反射状態を制御していた第1の実施形態と比較すると、黄色蛍光に青色励起光が混入する成分を完全に取り除くことができ、第2の緑色光の色純度が高いものとなっている。
【0032】
第6の実施形態
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
本実施形態による第2の光源の構成を図12に示す。本実施形態は、第5の実施形態と同様に、第1の実施形態で用いられていた第2の光源11の構成を異なるものとしたものである。第2の光源以外の構成は図2に示した光学系と同様であるため、図示は省略し、図12には第2の光源の要部の概略構成のみを示す。
本実施形態は、励起用の光を発生するレーザ光源以外に、光分離光学系に出射する青色光を出力するレーザ光源を備えるもので、図12に示すように、レーザ光源1201、レンズ群1202、1206、ダイクロイックミラー1203、蛍光ホイール1204を備えている。
【0033】
レーザ光源1201が出力した青色の励起光はレンズ群1202によって光束径が縮小されたのち、ダイクロイックミラー1203に入射する。ダイクロイックミラー1203は青色光を反射し、黄色光を通過させるもので、レーザ光源1201からの励起光は蛍光ホイール1204に向けて反射する。蛍光ホイール1204には励起光の照射により黄色の蛍光を発生する蛍光体が設けられており(不図示)、蛍光ホイール1204で発生した黄色蛍光はダイクロイックミラー1203を通過して光分離光学系3(図2参照)に向けて出射する。
レーザ光源1205はダイクロイックミラー1203を挟んでレーザ光源1201に正対する位置に設けられている。レーザ光源1205から出射した青色光はレンズ群1206によって光束径が縮小されたのち、ダイクロイックミラー1203で反射して、蛍光体ホイール1204が出射した黄色光と同一光軸上に合成されたのち、光分離光学系3に向けて出射する。
本実施形態においては、蛍光体ホイール1204に反射面や透過部を形成する必要がなくなり、第1の光源10に用いる蛍光体ホイール15と同一部品を使用することができる。また、レーザ光源1201、1205の出力状態を制御することにより、1フレーム中のサブフレーム数を任意に設定でき、蛍光ホイール1204上に設けられる蛍光体を複数のセグメントに分割する必要もなくなる。
【0034】
第7の実施形態
次に、本発明の第7の実施形態について図13を参照して説明する。
図13は、本発明によるプロジェクタの第7の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
上記各実施形態では画像光を生成するために透過型液晶ライトバルブが使用されていたが、表示素子はこれに限定されるものではない。例えば、反射型表示素子であるLCOS(Liquid crysal on silicon)やDMD(Digital Mirror Device)を用いてもよい。
図13に示す実施形態は、表示素子にDMDを用いている。また、第1の光源、第2の光源に設けられていた照明光学系を各表示素子に対応して設けている。
図2に示した実施形態で使用されていた表示素子41〜43に代えて、DMD1301〜1303とTIR(Total Internal Reflection)プリズム1304〜1306を組み合わせて用いている。TIRプリズム1304〜1306には照明光学系1316、1320、1330を介して照明光が入射される。このほかの構成は図2に示した第1の実施形態と同様であるため、図2と同じ番号を付して説明は省略する。
【0035】
照明光学系1316は、レンズアレイ1320、1321と、偏光変換素子1322と、重畳レンズ1323、を有する。ミラー35から入射した赤色光は、第1のレンズアレイ1320によって複数の部分光束に分割される。第2のレンズアレイ1321および重畳レンズ1323は、第1のレンズアレイ1320からの部分光束をDMD1301上で収束するように構成されている。第2のレンズアレイ1321から出射した赤色光は、偏光変換素子1322によってs偏光の赤色部分光束に変換されたのち、重畳レンズ1323を通ってTIRプリズム1304に入射する。この後、DMD1301で反射させることにより形成された赤色の画像光はTIRプリズム1304を通って光合成素子5において他の色の画像光と合成され、投射光学系6により投射される。
照明光学系1320、1330の構成も照明光学系1316と同様である。本実施形態では、図2に示した第1の実施形態と同様の色分離と色合成が第1のダイクロイックミラー33、第2のダイクロイックミラー34にて行われ、それらによって得られた緑色光と黄色光がDMD1302に入射し、青色光と緑色光がDMD1303に入射する。図5Bに示した制御装置70は、各DMDに入射する色光に応じた画像を表示させる。
【0036】
本実施形態によるプロジェクタにおいても図2に示した第1の実施形態と同様の画像投射が行われる。本実施形態ではDMDを用いているが、上述したようにLCOSを用いてもよい。
本実施形態においては、DMD1301〜1303のそれぞれに対応して照明光学系1316、1320、1330が設けられている。このため、照明光を精度よく各表示素子上に収束させることができ、この点からも高輝度なものとなっている。
【0037】
第8の実施形態
次に、本発明の第8の実施形態について図14を参照して説明する。
図14は、本発明によるプロジェクタの第8の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
本実施形態は、図13に示した第6の実施形態に第3の光源として赤色の光を出力するレーザ光源1424およびレンズ群1425を設け、表示素子として図2に示した表示素子41〜43を用いたものである。また、第2の光源を構成する蛍光ホイール1428として、励起光の照射により緑色の蛍光を発生する蛍光体が設けられた第1のセグメントと励起光を反射させる反射板が形成された第2のセグメントが設けられている(ともに不図示)。このほかの構成部材は図13に示した第7の実施形態と同様であるため、図13と同じ番号を付して説明は省略する。
【0038】
本実施形態においては、第2のダイクロイックミラーが省かれている。蛍光ホイール1428にて順次発生した緑色の蛍光と青色の励起光は、表示素子43に対応して設けられた照明光学系1330に直接入射する。
レーザ光源1424を出射した赤色光はレンズ群1425によって光束系が縮小されたのち、第1のダイクロイックミラー33に反射されて表示素子42へ向かう。
蛍光ホイール15で発生した黄色の蛍光は第1のダイクロイックミラー33により緑色光と赤色光に分離される。緑色光は第1のダイクロイックミラー33を透過して表示素子42へ向かい、赤色光は第1のダイクロイックミラー33にて反射され、ミラー35、36を介して表示素子41へ向かう。この結果、各画像素子41〜42を照明する画像光は図5Aに示したものと同様となる。
【0039】
第9の実施形態
次に、本発明の第9の実施形態について図15を参照して説明する。
図15は、本発明によるプロジェクタの第9の実施形態の要部構成を説明するための概略図である。
本実施形態は、図14に示した第7の実施形態における第3の光源としての赤色の光を出力するレーザ光源1424およびレンズ群1425の代わりに青色の光を出力するレーザ光源1524およびレンズ群1525を設け、また、第2のダイクロイックミラー1534を設けたものである。また、第2の光源を構成するレーザ光源、レンズ群、ダイクロイックミラーとしては、図6に示したレーザ光源624、レンズ群25、ダイクロイックミラー626が用いられ、蛍光ホイールとしてはレーザ光源624が出力する青紫色の励起光により黄色蛍光を発生する蛍光体がセグメント状に設けられた蛍光ホイール1528が用いられている。このほかの構成部材は図14に示した第8の実施形態と同様であるため、図14と同じ番号を付して説明は省略する。
【0040】
本実施形態における第2のダイクロイックミラー1534には、青色光と赤色光を反射し、緑色光を透過する、いわゆるバンドパスフィルターとして機能するものが用いられている。
第2のダイクロイックミラー1534には蛍光ホイール1528からの黄色蛍光とレーザ光源1524からの青色光が入射される。レーザ光源1524は図5Aに示したサブフレーム1に対応するときに青色光が第2のダイクロイックミラー1534に入射するように駆動され、また、図5Bに示した制御装置70は図5Aに示したサブフレーム2に対応するときに黄色蛍光が第2のダイクロイックミラー1534に入射するように蛍光ホイール1528を回転させるモータを駆動する。この結果、各画像素子41〜42を照明する画像光は図5Aに示したものと同様となる。
【0041】
図14に示した第8の実施形態および図15に示した第9の実施形態では、蛍光ホイールで発生した光のほかに、第3の光源として赤色や青色の光源が照明光として用いられる。これらの出力を調節することにより、図1Bに示した白色光を容易に実現することができる効果がある。
なお、上述した各実施形態のいずれにおいても第1の光源、第2の光源はそれぞれ1つのものとし、蛍光ホイールが2つ用いられるものについて説明したが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。蛍光ホイールを含む第1の光源、および、蛍光ホイールを含む第2の光源をそれぞれ複数設け、集光器を用いて出力光を集光して光分離光学系に出力させる構成としてもよい。このとき、第1乃至第6の実施形態のように、偏光状態を保存する必要がある場合には偏波面を保存する機能を備える光ファイバや導波管などの集光器を用いればよい。このような構成とすることにより、蛍光体の温度消光を発生させることなく照明光の強度をさらに増強することが可能となる。
【0042】
なお、上述した各実施形態に示した構成要素を組み合わせても当然よい。例えば、第1乃至第6の実施形態では第1の光源、第2の光源に設けられていた照明光学系を、第7乃至第9の実施形態に示したように、DMD、LCOSを含む表示素子に対応して設けてもよく、本発明は各実施形態の構成要素を組み合わせた形態も含む。
【0043】
また、本発明は、以下の付記1〜10のような形態をとり得るが、これらの形態に限定されない。
[付記1] 第1の蛍光領域にて発生した第1の蛍光を含む第1の光を出力する第1の光源と、
第2の蛍光領域にて発生した第2の蛍光を含む第2の光を出力する第2の光源と、
第1乃至第3の画像表示素子と、
入力された前記第1の光と第2の光からそれぞれ色が異なる前記第1乃至第3の画像表示素子を照明する照明光を生成して前記第1乃至第3の画像表示素子へ照射する光分離光学系と、
入力された映像信号および前記第1乃至第3の画像表示素子に照射される照明光の色に応じた画像を前記第1乃至第3の画像表示素子に表示させる制御装置と、
を有することを特徴とするプロジェクタ。
[付記2] 付記1に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の蛍光および第2の蛍光の少なくとも一方は、前記分離光学系で生成される照明光の色のうちの2つの色の成分を含む混色光であるプロジェクタ。
[付記3] 付記1または付記2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の蛍光領域は第1の蛍光ホイールに設けられ、前記第2の蛍光領域は第2の蛍光ホイールに設けられているプロジェクタ。
[付記4] 付記1または付記2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の蛍光領域と前記第2の蛍光領域は、前記第1の光源と前記第2の光源に共通に設けられた蛍光ホイールに設けられたプロジェクタ。
[付記5] 付記1乃至付記4のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記光分離光学系で生成される照明光のいずれかの色の光を前記分離光学系に出力する第3の光源を有するプロジェクタ。
[付記6] 付記1乃至付記5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子と前記光分離光学系の間に設けられ、該分離光学系からの照明光を前記第1乃至第3の画像表示素子上に収束させる第1乃至第3の照明光学系を有するプロジェクタ。
[付記7] 付記1乃至付記6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子が透過型液晶ライトバルブであるプロジェクタ。
[付記8] 付記1乃至付記6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子がDMDであるプロジェクタ。
[付記9] 付記1乃至付記6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1乃至第3の画像表示素子がLCOSであるプロジェクタ。
[付記10] 第1の光源から第1の蛍光領域にて発生した第1の蛍光を含む第1の光を出力させ、
第2の光源から第2の蛍光領域にて発生した第2の蛍光を含む第2の光を出力させ、
前記第1の光と第2の光からそれぞれ色が異なる前記第1乃至第3の画像表示素子を照明する照明光を生成し、
当該照明光を前記第1乃至第3の画像表示素子へ照射させ、
入力された映像信号および前記照明光に応じた画像を前記第1乃至第3の画像表示素子に表示させる画像表示方法。
【符号の説明】
【0044】
1 プロジェクタ
2 光源部
3 光分離光学系
5 色合成素子
6 投射光学系
41〜43 表示素子
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15