特許第6406770号(P6406770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6406770-無端ベルト式研削工具 図000002
  • 特許6406770-無端ベルト式研削工具 図000003
  • 特許6406770-無端ベルト式研削工具 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406770
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】無端ベルト式研削工具
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/06 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   B24B23/06
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-58322(P2017-58322)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-158430(P2018-158430A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 賢典
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−161693(JP,U)
【文献】 特開2004−001102(JP,A)
【文献】 米国特許第04195449(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 21/00,23/00−23/06
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者によって把持される把持部を有する本体部と、
該本体部に内蔵され動力源となるモータと、
該モータの外周を覆うように配置され該モータに駆動連結された原動滑車と、
該原動滑車と並行に配置された静滑車とを有し、
該モータ、該原動滑車、及び該静滑車が該把持部の長手軸線上に配置されており、
該原動滑車と該静滑車との間にかけ回された無端研削ベルトにより研削作業を行なう無端ベルト式研削工具。
【請求項2】
該原動滑車が、該モータの出力軸に固定された側面部と、該側面部から該モータの外周を覆うように該出力軸の回転中心軸線方向に伸びる円筒状のベルト支持部とを有する請求項1に記載の無端ベルト式研削工具。
【請求項3】
該原動滑車の該側面部と該静滑車の回転軸方向端面を同一平面上に有する請求項2に記載の無端ベルト式研削工具。
【請求項4】
該原動滑車の外周を覆うように配置され該原動滑車の上面方向若しくは底面方向の少なくともどちらか一方を覆うガード部を有する請求項1乃至のいずれか一項に記載の無端ベルト式研削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削工具に関し、特に、無端状にした研削ベルトを回転駆動して対象物に当接させることにより、対象物の研削を行なうようにしたベルト式研削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような無端ベルト式研削工具では、通常、モータにより回転駆動される原動滑車と、回転自在な静滑車と、該原動滑車と該静滑車とにかけ回される無端研削ベルトと、を備えており、該原動滑車の回転に伴って回転駆動される該無端研削ベルトを対象物に当接させることにより、対象物の研削を行なう。把持部の長手軸線と重心がずれている場合には保持の際に、把持部の長手軸線と研削ベルトがずれている場合には研削の際に、把持部の長手軸線の周りでのねじり方向の力が発生し使用するのに余分な力を必要としてしまう。この為、把持部の長手軸線上に重心を有し、なおかつ同一線上に研削ベルトが配置されている形状が望ましい。例えば特許文献1に開示されているように、通常、研削ベルトを把持部の長手軸線上付近に配置するようにしたものは、ギアなどを介し駆動力を原動滑車へと伝達する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−130640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような無端ベルト式研削工具においては、ギアなどを介し駆動力を原動滑車へと伝達する必要があるため部品点数の増加、構造の複雑化などの問題が発生する。
【0005】
本発明は、従来の無端ベルト式研削工具と比較し、研削ベルトを把持部の長手軸線上に配置する際に部品点数を削減し、構造を単純化することができる無端ベルト式研削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
作業者によって把持される把持部を有する本体部と、
該本体部に内蔵され動力源となるモータと、
該モータの外周を覆うように配置され該モータに駆動連結された原動滑車と、
該原動滑車と並行に配置された静滑車とを有し、
該原動滑車と該静滑車との間にかけ回された無端研削ベルトにより研削作業を行なう無端ベルト式研削工具を提供する。
【0007】
当該無端ベルト式研削工具においては、モータの外周を覆うように原動滑車を配置するようになっているので、該モータ、該原動滑車、静滑車、及び無端研削ベルトを把持部の長手軸線上に配置するのに際し、ギアなどの動力伝達部品を使用する必要がなく、従来のものに比べて部品点数を削減し単純構造とすることができる。
【0008】
好ましくは、該原動滑車が、該モータの出力軸に固定された側面部と、該側面部から該モータの外周を覆うように該出力軸の軸線方向に伸びる円筒状のベルト支持部とを有する形状とすることができる。
【0009】
また好ましくは、該原動滑車の該側面部と該静滑車の回転軸方向端面を同一平面上に有するようにすることができる。
【0010】
より好ましくは、該モータ、該原動滑車、及び該静滑車が該把持部の長手軸線上に配置されているようにすることができる。
【0011】
さらに好ましくは、該原動滑車の外周を覆うように配置され該原動滑車の上面方向若しくは底面方向の少なくともどちらか一方を覆うガード部を有するようにすることができる。
【0012】
以下、本発明に係る無端ベルト式研削工具の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る無端ベルト式研削工具の側面図である。
図2図1の無端ベルト式研削工具の上面図である。
図3図1のIII−III線における、無端ベルト式研削工具の上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る無端ベルト式研削工具10は、図1乃至図3に示すように、原動滑車12を回転駆動するためのエアモータ14と、このエアモータ14を収納する本体部16と、この本体部16を把持するための把持部18と、原動滑車12との間に無端研削ベルト20をかけ回す静滑車22と、静滑車22を支持するテンションバー24と、テンションバー24を原動滑車12と静滑車22との間の距離が広がる方向へ付勢するスプリング26と、原動滑車12の外周を覆うように配置されたガード部28を有する。当該無端ベルト式研削工具10は、原動滑車12と静滑車22との間にかけ回されスプリング26の付勢力によって張力を与えられた無端研削ベルト20をエアモータ14により回転駆動した状態で被削材に押し当てることで被削材を研削するようになっている。
【0015】
原動滑車12はエアモータ14の出力軸30に圧入により固定されており、回転中心軸線32に対し直行する側面部12aと、エアモータ14の外周を覆うように回転中心軸線32の方向に伸びる円筒状のベルト支持部12bとを有している。原動滑車12と静滑車22との間にかけ回された無端研削ベルト20が把持部18の長手軸線34上に配置されるようになっている。
【0016】
次に当該無端ベルト式研削工具10の動作について説明する。把持部18の内部の管路(図示しない)を通して圧縮空気を供給するとエアモータ14が回転駆動し、エアモータ14に固定された原動滑車12が同様に駆動され、原動滑車12と静滑車22との間にかけ回された研削ベルト20がベルト支持部12bとの摩擦力によって回転する。この状態で把持部18を把持し、無端研削ベルト20を被削材へと押し当てることによって研削を行なう。エアモータ14の外周を覆うように原動滑車12が固定されている為、テンションバー24と原動滑車12とエアモータ14と把持部18とを長手軸線34上に一直線に配置することができるため、当該無端ベルト式研削工具10の重心が長手軸線34上に位置するようにすることができる。これにより、把持部を把持したときに長手軸線34の周りでのねじり方向への力が作用しづらく、無駄な力を必要とせず把持することが可能である。また研削作業の際は、無端研削ベルト20が把持部18の長手軸線34上に配置されている為、長手軸線34を中心に回転する方向への力が作用しづらく、無駄な力を必要とせず研削作業を行うことが可能である。
【0017】
上記実施形態では、動力源をエアモータ14としているが電動モータとすることもできる。
【0018】
また、原動滑車12の側面部12aと静滑車22の端面を同一平面上に設けるようにすれば、より当該無端ベルト式研削工具10を壁面に寄せた状態で使用することができる。
【0019】
さらに、ガード部26は研削の際に研削粉が周囲に飛散するのを防止する役割を果たすが、上面ではなく、底面、もしくは両方を覆うように配置することもできる。
【0020】
このように当該無端ベルト式研削工具10においては、エアモータ14の外周を覆うように原動滑車12を配置することにより、エアモータ14、原動滑車12、無端研削ベルト20、及び静滑車22を把持部18の長手軸線34上に配置するのに際し、ギアなどの動力伝達部品を使用する必要がなく、従来のものに比べて部品点数を削減し単純構造とすることができる。
【符号の説明】
【0021】
無端ベルト式研削工具10;原動滑車12;側面部12a;ベルト支持部12b;エアモータ14;本体部16;把持部18;無端研削ベルト20;静滑車22;テンションバー24;スプリング26;ガード部28;出力軸30;回転中心軸線32;長手軸線34;

図1
図2
図3