【実施例】
【0034】
上記美容器具の実施例について、
図1〜
図6を用いて説明する。美容器具1は、
図1〜
図5に示すように、ローラー2と、ハンドル3と、電源部4と、発光体51と、シート状発熱体としての発熱フィルム6とを有している。ローラー2は、
図2及び
図5に示すように、皮膚に接触させる筒状の側壁部21及び側壁部21の両端に配置される端板部22を有している。
【0035】
図1〜
図3及び
図5に示すように、ハンドル3は、ローラー2を回転可能に支持するローラー受け部31を有している。
図2及び
図4に示すように、電源部4はハンドル3に内蔵されており、電力を供給するオン状態と電力を遮断するオフ状態とを切り替え可能に構成されている。
図5に示すように、発光体51は、ローラー2の内部空間20に配置され、オン状態において発光するよう構成されている。発熱フィルム6は、側壁部21に熱的に接触し、オン状態において発熱するよう構成されている。また、側壁部21及び発熱フィルム6は発光体51からの光を透過するよう構成されており、側壁部21を透過した透過光が暖色を呈する。以下、詳説する。
【0036】
図1及び
図3に示すように、美容器具1は棒状を呈しており、その一端にローラー2を有している。ローラー2は、ハンドル3に設けられた一対のローラー受け部31の間において回転可能に支持されている。また、ローラー2の回転軸23は、美容器具1の長手方向に直交する方向を向いている。
【0037】
なお、以下において、美容器具1の長手方向におけるローラー2側を「前方」といい、ローラー2の反対側を「後方」ということがある。また、ローラー2の回転軸23が伸びる方向を「側方方向」ということがある。また、前後方向及び側方方向の双方に直交する方向を「上下方向」ということがある。美容器具1の方向に関するこれらの記載は便宜上のものであり、美容器具1を実際に使用する際の向きとは何ら関係がない。
【0038】
図1及び
図3に示すように、ハンドル3は略棒状を呈している。
図2及び
図4に示すように、ハンドル3の内部には、電源部4及び制御部7が配置されている。電源部4には、電力源として用いられる電池42が装着される。電池42は、接点金具41を介して制御部7に電気的に接続されている。
【0039】
制御部7は、電源部4のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチ部71と、オン状態が所定時間継続した場合にオン状態からオフ状態への切り替えを行うタイマー部(図示略)とを有している。制御部7は、接点金具41と電気的に接続されており、電源部4からの電力供給を常に受けている。そのため、使用者は、スイッチ部71を操作することによりオン状態とオフ状態との切り替えを所望のタイミングで行うことができる。
【0040】
スイッチ部71によるオン状態とオフ状態との切り替えは、
図3及び
図4に示す、ハンドル3の上方に突出した電源ボタン72を押下することにより行われる。また、タイマー部は、オフ状態からオン状態に切り替わった時点からの経過時間を計測し、経過時間が所定時間を超えた時点でオン状態からオフ状態への切り替えを自動的に行うように構成されている。なお、本例においては、上記所定時間は10分に設定されている。
【0041】
図1及び
図3に示すように、ハンドル3の前方端部には、一対のローラー受け部31が立設されている。一対のローラー受け部31は、側方方向において互いに対面している。また、
図1及び
図2に示すように、一対のローラー受け部31は、ハンドル3の長手方向に対して斜め下方に向けて立設されている。そして、
図4に示すように、側壁部21の少なくとも一部がハンドル3の側周面32よりも下方まで膨出している。
【0042】
図2及び
図5に示すように、一対のローラー受け部31は、互いに対面する側の壁面の中央部に、周囲よりも陥没した軸受凹部311を有している。軸受凹部311は、ローラー2の回転軸23上に配された中心凸部221(後述)を収容可能に構成されている。そして、軸受凹部311にローラー2の中心凸部221が収容されることにより、ローラー2が一対のローラー受け部31の間に回転可能に支持される。
【0043】
図2及び
図5に示すように、それぞれのローラー受け部31における軸受凹部311には、ハンドル側電極33が配設されている。ハンドル側電極33は、制御部7に接続される後方端部331(
図2参照)を基端として、各々のローラー受け部31における軸受凹部311まで延設されている。そして、ハンドル側電極33は、中心凸部221上に配されたローラー側電極222(後述)に接触している。
【0044】
図2及び
図5に示すように、一対のローラー受け部31の間に支持されるローラー2は、略円筒状を呈する側壁部21と、側壁部21の両端に配置された端板部22とを有している。そして、ローラー2は、端板部22がローラー受け部31と対面するようにして配置されている。
【0045】
図5に示すように、側壁部21の外表面211は、側方方向の両端から中央に向けて徐々に拡径しており、側方方向の中央が両端よりも外方に膨出している。側壁部21の内表面212は、側方方向の全体にわたって一定の内径を有している。また、側壁部21は透明なポリカーボネート樹脂より形成されており、発光体51からの光を透過するように構成されている。
【0046】
図2及び
図5に示すように、端板部22は略円板状を呈しており、側壁部21の側方方向の両端に圧入されている。また、端板部22は、ローラー2の内部空間20側に立設された発熱体規制部223と、ローラー受け部31側に立設された中心凸部221とを有している。
【0047】
発熱体規制部223は、端板部22の外径よりも直径の小さい円筒状を呈している。
図4及び
図5に示すように、発熱体規制部223は、ローラー2の径方向において側壁部21から離間している。そして、側壁部21と発熱体規制部223との間には、筒状に巻き回された発熱フィルム6の開口端部61が配されている。すなわち、端板部22はローラー2の内部空間20側に立設された発熱体規制部223を有しており、発熱体規制部223と側壁部21との間に発熱フィルム6の端部(開口端部61)が配されている。
【0048】
また、
図5に示すように、発熱体規制部223の筒内には、後述する発光体ユニット5が収容されている。発熱体規制部223の先端には、筒内方向に向けて突出形成された2箇所の爪部224が形成されており、2箇所の爪部224は、発光体ユニット5と係合している。これにより、発光体ユニット5が発熱体規制部223の筒内に保持されている。
【0049】
図2及び
図5に示すように、中心凸部221は、端板部22の中央に配置されており、ローラー受け部31側に向けて立設された略円筒状を呈している。また、中心凸部221はローラー受け部31の軸受凹部311に収容されており、中心凸部221と軸受凹部311との間に、ローラー2ががたつかない程度のクリアランスが形成されている。これにより、一対の中心凸部221を結ぶ中心線がローラー2の回転軸23となり、ローラー2がハンドル3受け部の間に回転可能に支持される。
【0050】
中心凸部221の筒内には、真鍮製のネジよりなるローラー側電極222が固定されている。
図5に示すように、ローラー側電極222はローラー受け部31上に設けられたハンドル側電極33と接触している。これにより、ローラー側電極222とハンドル側電極33とが導通している。そして、ローラー側電極222は、ローラー2の内部空間20に配置された発熱フィルム6及び発光体51の両方に電気的に接続されている(図示略)。
【0051】
すなわち、端板部22は発熱フィルム6及び発光体51の両方と電気的に接続されたローラー側電極222をローラー2の外側に有している。そして、ローラー受け部31は、電源部4と電気的に接続されたハンドル側電極33を有しており、ハンドル側電極33とローラー側電極222とが互いに接触している。
【0052】
図2及び
図5に示すように、側壁部21及び一対の端板部22により区画されたローラー2の内部空間20には、発光体51を有する一対の発光体ユニット5、発熱フィルム6及び発光体51からの光を拡散する光拡散部材11が配置されている。
【0053】
発光体ユニット5は、発光体51としてのLED素子511と、LED素子511が実装された回路基板52とを有している。
図4及び
図5に示すように、回路基板52は、それぞれ、端板部22における発熱体規制部223の筒内に保持されている。そして、一対の回路基板52は、
図5に示すリン青銅製の2本の金属棒53により互いに電気的に接続されている。また、図には示さないが、同一の端板部22に配された回路基板52とローラー側電極222とが電気的に接続されている。
【0054】
LED素子511には、回路基板52を介して電源部4から電力が供給される。なお、本例のLED素子511は、オン状態において赤色に発光する。
【0055】
図5に示すように、LED素子511の周囲には、LED素子511からの光を拡散する光拡散部材11が設けられている。そして、光拡散部材11により拡散された光が側壁部21の全面を透過するよう構成されている。本例においては、光拡散部材11として、筒状に巻き回された光拡散フィルムが用いられている。また、光拡散部材11は、自身の弾性力により側壁部21の内表面212に向けて付勢されており、内表面212の略全面に面接触している。
【0056】
発熱フィルム6は、
図6に示すように、平面視において略長方形状を呈する発熱部62と、発熱部62を電源部4と接続する端子部63とを有している。発熱部62は、一対の透明樹脂フィルム64と、一対の透明樹脂フィルム64に挟まれた、酸化インジウムスズよりなる透明抵抗膜65とを有している。透明抵抗膜65は、その一対の長辺に延設された電極膜66を介して端子部63と接続されている。
【0057】
発熱フィルム6は、発熱部62の長辺が開口端となるようにして筒状に巻き回された状態で光拡散部材11の内側に配置されている。そして、発熱フィルム6は、自身の弾性力により側壁部21の内表面212に向けて付勢されており、光拡散部材11の略全面と面接触している。これにより、発熱フィルム6は、光拡散部材11を介して側壁部21の内表面212における略全面と熱的に接触している。
【0058】
また、発熱フィルム6がローラー2の内部空間20に配置された状態において、端子部63は、ローラー2の内部空間20に配された2本の金属棒53と接続されている(図示略)。これにより、透明抵抗膜65に電源部4からの電力が供給される。
【0059】
本例の発熱フィルム6は、3Vの電圧を印加した場合に、表面温度が約55℃となる。また、発熱フィルム6により加温された状態の側壁部21の表面温度は、40〜45℃程度となる。
【0060】
次に、本例の作用効果を説明する。美容器具1は、側壁部21に熱的に接触し、オン状態において発熱するシート状発熱体としての発熱フィルム6を有している。そのため、美容器具1は、消費電力を容易に小さくすることができる。
【0061】
また、美容器具1は、オン状態において、発熱フィルム6を発熱させると共に、発光体51を発光させるよう構成されている。そのため、使用者が美容器具1を誤ってオン状態にすることを防止でき、電力の浪費を抑制することができる。
【0062】
このように、美容器具1は、小型軽量にしやすい。また、電力源として電池42を使用する場合には、連続使用時間の長時間化が容易である。それ故、美容器具1は、優れた携帯性を有するものとなりやすい。
【0063】
また、美容器具1は、光を透過可能に構成された側壁部21及び発熱フィルム6を有している。そして、発光体51が発光している状態において、発熱フィルム6及び側壁部21を透過する透過光が暖色を呈するよう構成されている。そのため、美容器具1は、暖色の透過光を視認することによる心理的な作用により、体感できる美容効果を高めることができる。
【0064】
また、発熱フィルム6は、筒状に巻き回された状態でローラー2の内部空間20に配置されると共に、発熱フィルム6自身の弾性力により側壁部21の内表面212に向けて付勢されている。そして、発熱フィルム6は側壁部21の内表面212における略全面と熱的に接触している。そのため、側壁部21をより小さな消費電力で十分に加温することができる。それ故、美容器具1は、より優れた携帯性を有するものとなりやすい。
【0065】
また、この場合には、発熱フィルム6を側壁部21側へ押し付けるための構造をローラー2内に設ける必要がない。そのため、ローラー2がより簡素な構造になりやすく、美容器具1全体の生産性を容易に向上させることができる。
【0066】
また、端板部22はローラー2の内部空間20側に立設された発熱体規制部223を有しており、発熱体規制部223と側壁部21との間に発熱フィルム6の開口端部61が配されている。そのため、発熱フィルム6と側壁部21との間に生じる隙間が過度に大きくなることを抑制し、ひいては側壁部21の加温が不十分となることを抑制できる。その結果、美容器具1は、優れた美容効果を安定して使用者に体感させることができる。
【0067】
また、端板部22は発熱フィルム6及び発光体51の両方と電気的に接続されたローラー側電極222をローラー2の外側に有しており、ローラー受け部31は、電源部4と電気的に接続されたハンドル側電極33を有しており、ハンドル側電極33とローラー側電極222とが互いに接触している。そのため、ローラー2は、配線のねじれ等により回転を規制されることなく、自由に回転することができる。
【0068】
また、ハンドル3は略棒状を呈しており、一対のローラー受け部31はハンドル3の端部に立設されており、ローラー2は、その回転軸23をハンドル3の長手方向に直交する方向に向けた状態で一対のローラー受け部31に支持されている。そのため、美容器具1は、ローラー2を回転させることが容易である。
【0069】
また、一対のローラー受け部31に支持されたローラー2の回転軸23がハンドル3の長手方向に直交する側方方向を向いているため、側壁部21における肌と接触可能な部分の面積を相対的に広くすることができる。そのため、使用者は、ローラー2を肌に接触させる際の美容器具1の姿勢をより自由に選択することができる。
【0070】
また、一対のローラー受け部31は、ハンドル3の長手方向に対して斜め下方に向かって立設されており、ローラー2の側壁部21の少なくとも一部がハンドル3の側周面32よりも下方まで膨出している。そのため、使用者は、側壁部21におけるハンドル3よりも外方まで膨出した側を肌に向けることにより、より容易にローラー2を肌に押し当てることができる。
【0071】
また、発光体51の周囲には、発光体51からの光を拡散する光拡散部材11が設けられており、光拡散部材11により拡散された光が側壁部21の全面を透過するよう構成されている。そのため、透過光がより視認され易くなる。
【0072】
これらの結果、美容器具1は、使用者にとってより扱い易いものとなる。
【0073】
また、発熱フィルム6は、一対の透明樹脂フィルム64と、一対の透明樹脂フィルム64に挟まれた透明抵抗膜65とを有しており、透明抵抗膜65は酸化インジウムスズより構成されている。そのため、透過光の光量が十分に大きくなり、透過光がより視認され易くなる。また、発熱フィルム6は通電時の温度が変動しにくいため、美容器具1は、側壁部21の加温特性が変動しにくく、安定して優れた性能を示す。
【0074】
また、ハンドル3は、オン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチ部71と、オン状態が所定時間継続した場合にオン状態からオフ状態への切り替えを行うタイマー部とを有する制御部7を有している。そのため、美容器具1は誤動作等による電力の浪費を低減でき、より長期にわたって使用可能なものとなる。
【0075】
以上のように、美容器具1は、携帯性に優れると共に、より優れた美容効果を示す可能性を有する。
【0076】
なお、上記の実施例においては、
図1〜
図3に示すように、側壁部21の外表面211が比較的平坦な形状を有するローラー2の例を示したが、外表面211は凹凸形状を有していてもよい。例えば、側壁部21の外表面211には、多数の柱状突起部が外方に向けて立設されていてもよい。また、外表面211には、複数の溝部が互いに平行な向きに延設されていてもよい。上記溝部の延設方向としては、例えば、ローラー2の周方向や軸方向等が考えられる。また、外表面211は、凹状部と凸状部とが交互に配置され、両者が滑らかな曲面により接続された波状形状を有していてもよい。