特許第6406819号(P6406819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アモーレパシフィックの特許一覧

<>
  • 特許6406819-皮膚類型の判断方法 図000002
  • 特許6406819-皮膚類型の判断方法 図000003
  • 特許6406819-皮膚類型の判断方法 図000004
  • 特許6406819-皮膚類型の判断方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406819
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】皮膚類型の判断方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20181004BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61B5/00 M
   A61B5/01 100
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-261153(P2013-261153)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-121605(P2014-121605A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0149382
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ガ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジ ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヨム, ミョン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジュン チョル
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0239547(US,A1)
【文献】 特開2005−095317(JP,A)
【文献】 特開2006−103051(JP,A)
【文献】 特表2009−531119(JP,A)
【文献】 特開2000−051154(JP,A)
【文献】 実開平05−024006(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/01
A61B 9/00 − 10/06
A61K 8/00 − 8/99
A61Q 1/00 − 90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)´皮膚類型に応じて複数の皮膚体質群に分け、各皮膚体質群の皮膚類型の特性をあらかじめ決定しておくステップ;
(a)対象皮膚の温度および厚さを測定するステップ;
(b)前記測定値が属する皮膚体質群を決定するステップ;および、
(c)皮膚体質群に応じて皮膚類型を予測するステップ;を含み
前記皮膚体質群は、
皮膚の温度が基準点以下で、かつ皮膚の厚さが基準点以上であるグループ1;
皮膚の温度が基準点以上で、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるグループ2;
皮膚の温度が基準点以上で、かつ皮膚の厚さが基準点以上であるグループ3;および
皮膚の温度が基準点以下で、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるグループ4;
を含み、
前記皮膚は表皮、真皮、および皮下脂肪を含み、
前記皮膚温度の基準点は30〜31℃であり、前記皮膚の厚さの基準点は3〜3.5mmで皮膚類型を判別する方法。
【請求項2】
判別される皮膚類型は、皮膚の水分量、油分量、粗さおよび弾力のいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚類型の判別方法。
【請求項3】
測定される皮膚は、手または顔の皮膚であることを特徴とする、請求項1または2に記載の皮膚類型の判別方法。
【請求項4】
皮膚体質群のうちグループ1の場合、皮膚が正常な皮膚に比べて低い水分量および高い粗さのうちいずれか一つ以上を有するものと予測される、請求項1〜のいずれか一項に記載の皮膚類型の判別方法。
【請求項5】
皮膚体質群のうちグループ2の場合、皮膚が正常な皮膚に比べて高い水分量および高い弾力のうちいずれか一つ以上を有するものと予測される、請求項1〜のいずれか一項に記載の皮膚類型の判別方法。
【請求項6】
皮膚体質群のうちグループ3の場合、皮膚が正常な皮膚に比べて高い水分量、高い油分量、高い粗さおよび高い弾力のうちいずれか一つ以上を有するものと予測される、請求項1〜のいずれか一項に記載の皮膚類型の判別方法。
【請求項7】
皮膚体質群のうちグループ4の場合、皮膚が正常な皮膚に比べて低い水分量、低い油分量および低い弾力のうちいずれか一つ以上を有するものと予測される、請求項1〜のいずれか一項に記載の皮膚類型の判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された内容は、皮膚の体質による皮膚類型を判別する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外部から順に、表皮、真皮、皮下脂肪組織の3つの層に大きく区分され、外部環境からの物理的、化学的な刺激から人体を保護する機能をするが、特に、皮膚は人体が持っている約65〜70%の水分が体外へ蒸発することを調整する。その中でも表皮は、外部から角質層、顆粒層、有棘層、基底層の順に区分されるが、表皮の角質層は、約10〜20%の水分を含有し、人体の最外殻に存在して体内からの水分蒸発を抑制する一方、外部からの物質の過剰浸透を遮断する(J. Invest. Dermatol 80(Suppl.), 44〜49, 1983)。こうした角質層を構成している細胞には、水溶性成分である高濃度の天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor, NMF)が存在して、皮膚が柔軟性を示すように作用することはもちろん、適切な水分を維持できるように助ける(J. Invest. Dermatol. 54,24〜31, 1970)。
【0003】
しかし、人によって、皮膚の温度、厚さ等、体質が異なるので、こうした内的要因により、人ごとに皮膚の水分および油分量や、弾力性、粗さなど、皮膚体質に差が生じることがあり、外的要因として環境の変化あるいは生活パターンの変化、社会生活において発生する各種ストレスや、環境汚染、化粧習慣に伴う頻繁な洗顔および年齢増加に伴う自然的な皮膚老化等によっても、角質層の水分が減少して皮膚が乾燥し、表面が荒れるようになり、皮膚が潤いを失ってくすんで見える等の現象が発生する。また、個々人の皮膚体質といった内的要因によって、外的要因の皮膚への影響力に差が発生したりもする。
【0004】
したがって、根本的な皮膚類型の維持および改善のためには、皮膚の体質を把握し、それに合った方法を選択することが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Invest. Dermatol. 80(Suppl.)、44〜49, 1983.
【非特許文献2】J. Invest. Dermatol. 54,24〜31, 1970.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、皮膚体質によって皮膚類型を判別する新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例は、皮膚の温度および厚さを測定することを含む皮膚類型を判別する方法を提供する。
【0008】
また、本発明の一実施例は、
(a)対象皮膚の温度および厚さを測定するステップ;
(b)測定値が属する皮膚体質群を決定するステップ;および、
(c)皮膚体質群に応じて皮膚類型を予測するステップを含む皮膚類型判別方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法は、皮膚の温度と厚さの測定のみで、皮膚の水分感、油分量、粗さ、弾力等の皮膚類型を簡単に予測することができるという効果を提供する。
【0010】
これにより、予測された皮膚類型結果を利用して、皮膚類型に合った化粧品および医薬品を選択することができ、また、その使用量、使用順序、使用時期等を決定することができる。
【0011】
また、手軽に皮膚類型を管理および維持することができ、所望する皮膚状態へと根本的に補完、改善することができる。したがって、これを化粧品および医薬分野において多様に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例による方法であって、皮膚の温度および厚さを測定し、それによる皮膚の水分量の差を示した図である。
図2】本発明の一実施例による方法であって、皮膚の温度および厚さを測定し、それによる皮膚の油分量の差を示した図である。
図3】本発明の一実施例による方法であって、皮膚の温度および厚さを測定し、それによる皮膚の粗さの差を示した図である。
図4】本発明の一実施例による方法であって、皮膚の温度および厚さを測定し、それによる皮膚の弾力の差を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「皮膚」とは、動物の体表を覆う組織を意味するものであって、顔またはボディ等の体表を覆う組織だけでなく、頭皮や毛髪を含む最広義の概念である。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施例は、皮膚の温度および厚さを測定することを含む、皮膚類型を判別する方法を提供する。
【0016】
また、本発明の一実施例は、
(a)対象皮膚の温度および厚さを測定するステップ;
(b)前記測定値が属する皮膚体質群を決定するステップ;および、
(c)皮膚体質群に応じて皮膚類型を予測するステップ;
を含む方法により皮膚類型を判別してよい。
【0017】
また、本発明の一実施例として、前記方法は、ステップ(a)の前に、
(a)´皮膚類型に応じて複数の皮膚体質群に分け、各皮膚体質群の皮膚類型の特性をあらかじめ決定しておくステップ;をさらに含んでよい。
【0018】
皮膚体質群は、たとえば、正常な皮膚温度および皮膚の厚さである、皮膚温度が30℃超過31℃未満、皮膚の厚さが3mm 超過3.5mm未満である場合を基準として分けることができる。前記皮膚温度および厚さの範囲を基準点とすると、皮膚体質群は、
皮膚の温度が基準点以下で、かつ皮膚の厚さが基準点以上であるグループ1;
皮膚の温度が基準点以上で、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるグループ2;
皮膚の温度が基準点以上で、かつ皮膚の厚さが基準点以上であるグループ3;および
皮膚の温度が基準点以下で、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるグループ4;
を含んでよい。
【0019】
本発明の一実施形態の方法によって決定される皮膚類型は、制限なしに区別し得るあらゆる皮膚類型を含む。皮膚類型としては、たとえば、皮膚の水分感、油分量、粗さ、弾力、炎症の程度、皮膚角質の程度、経皮水分損失量等がある。
【0020】
本発明の一実施例による方法において、測定対象となる皮膚は、特に制限されず、顔、手、頭皮等の他、身体の体表を覆うあらゆる組織すべてを含む。また、皮膚の構造のうち、表皮や真皮だけでなく、皮下脂肪を含んでよい。
【0021】
このとき、対象皮膚の温度および厚さを測定する方法は、特に限定されず、当業界において一般的に使用されるあらゆる方法によって測定されてよい。
【0022】
本発明の一実施例によれば、皮膚の温度の程度によって、皮膚類型を予測してよい。たとえば、皮膚の温度が基準温度よりも低ければ皮膚の水分感が正常な皮膚に比べて低く、温度が基準温度よりも高ければ水分感が正常な皮膚に比べて高いものと予測してよい。また、皮膚の温度が基準温度よりも低ければ正常な皮膚に比べて油分量が低く、基準温度よりも高ければ皮膚の油分量が正常皮膚に比べて高いものと予測してよい。さらに、皮膚の温度が基準温度よりも低ければ正常な皮膚に比べて皮膚の弾力が低く、基準温度よりも高ければ皮膚の弾力が正常な皮膚に比べて高いものと予測してよい。
【0023】
本発明の他の一実施例によれば、皮膚の厚さの程度によって、皮膚類型を予測してよい。たとえば、皮膚の厚さが基準厚さよりも薄ければ正常な皮膚に比べて油分量が低く、基準厚さよりも厚ければ皮膚油分量が正常な皮膚に比べて高いものと予測してよい。また、皮膚の厚さが基準厚さよりも薄ければ正常な皮膚に比べて皮膚の粗さが少なく、基準厚さよりも厚ければ皮膚の粗さが正常な皮膚に比べて大きいものと予測してよい。さらに、皮膚の厚さが基準厚さよりも薄ければ正常な皮膚に比べて皮膚の弾力が低く、基準厚さよりも厚ければ皮膚の弾力が正常な皮膚に比べて高いものと予測してよい。
【0024】
したがって、本発明の一実施例によれば、対象皮膚が皮膚体質群のうちグループ1に属するならば、皮膚が正常な皮膚に比べて低い水分感および高い粗さのうちいずれかを有するものと予測することができ、グループ2に属するならば、皮膚が正常な皮膚に比べて高い水分感および高い弾力のうちいずれかを有するものと予測することができる。
【0025】
また、対象皮膚が皮膚体質群のグループ3に属するならば、皮膚が正常な皮膚に比べて高い水分感、高い油分量、高い粗さおよび高い弾力のうちいずれか一つ以上を有するものと予測することができ、グループ4に属するならば、皮膚が正常な皮膚に比べて低い水分感、低い油分量および低い弾力のうちいずれか一つ以上を有するものと予測することができる。
【0026】
このように、本発明の皮膚類型判別方法による場合、皮膚の温度と厚さ等の測定のみで皮膚体質を把握して、皮膚の水分感、油分量、粗さ、弾力等の皮膚類型を簡単に予測することができるという効果を提供する。
【0027】
これにより、本発明による方法で皮膚類型予測することにより、皮膚類型に合った化粧品または医薬等の種類および使用方法を選択することができ、皮膚類型を維持または向上させることが容易である。
【0028】
以下、本発明について、以下の実施例および実験例を通じて説明する。実施例および実験例は本発明をより詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲は、以下の実施例の範囲に制限されるものではない。
【0029】
また、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でもこの発明の技術思想の範疇を遺脱することなく、添付した特許請求の範囲内において多様な変形および模倣が可能であることは明白な事実である。
【0030】
皮膚類型によって皮膚体質群として分け、各皮膚体質群の皮膚類型特性をあらかじめ決定するために、実施例1〜4を実施した。
【0031】
[実施例1]皮膚の温度および厚さによる水分量の測定
皮膚の温度および厚さによる水分量を測定する実験を実施した。
【0032】
皮膚の水分量は、in vivo類型において静電容量(capacitance)を測定する機器であるCorneometer CM 825(C&K Electronic GmbH, Germany)を利用して測定した。測定の前に、実験対象者の皮膚を洗浄剤で洗顔後、恒温恒湿室(20〜21℃、48〜50%)で20分間安静後、評価を遂行した。顔面部の頬正面を3回測定して平均値を求めた。
【0033】
測定の結果、図1に示されたところのように、温度が基準点30℃未満である皮膚は、皮膚の水分量が約34〜38Skin Capacitance(A.U.)と非常に低く測定され(図1の水分_寒)、温度が32℃で基準点以上である皮膚は、皮膚の水分量が約43〜46Skin Capacitance(A.U.)と高く測定された(図1の水分_熱)。
【0034】
また、皮膚の厚さが基準点3.5mm以上である皮膚は、皮膚の水分量が約41〜46Skin Capacitance(A.U.)(図1の水分_厚)、皮膚の厚さが基準点3mm未満である皮膚は、皮膚の水分量が約43〜45Skin Capacitance(A.U.)と測定された(図1の水分_薄)。
【0035】
前記結果を総合すると、皮膚の水分量は、主に皮膚の温度に影響を受け、皮膚の温度が基準点以下であるグループ1およびグループ4は、正常な皮膚に比べて低い水分感を有し、皮膚の温度が基準点以上であるグループ2およびグループ3は、正常な皮膚に比べて高い水分感を有するものと予測することができる。
【0036】
[実施例2]皮膚の温度および厚さによる油分量の測定
皮膚の温度および厚さによる油分量を測定する実験を実施した。
【0037】
皮膚の油分量は、Sebumeter(MPA580, C+K, Germany)を利用して、半透明Sebum tapeを実験対象者の皮膚表面に接触して付着する皮脂量を光学的反射原理により測定した。測定時ごとに半透明Sebum tapeを交換して使用し、皮膚測定後に示される数値をμg/cmで表示した。本実験においては、同一位置の皮膚表面を1回測定して得られた値を測定値として使用した。
【0038】
測定の結果、図2に示されたところのように、温度が基準点30℃未満である皮膚は、皮膚油分量が約13〜20Sebum content(A.U.)と非常に低く測定され(図2の油分_寒)、温度が32℃で基準点以上である皮膚は、皮膚の油分量が約25〜29Sebum content(A.U.)と比較的高く測定された(図2の油分_熱)。
【0039】
また、皮膚の厚さが基準点3.5mm以上である皮膚は、皮膚の油分量が約32〜41Sebum content(A.U.)と非常に高く測定され(図2の油分_厚)、皮膚の厚さが基準点以下の3mm未満である皮膚は、皮膚の油分量が約12〜19Sebum content(A.U.)と非常に低く測定された(図2の油分_薄)。
【0040】
前記結果を総合すると、皮膚の油分量は、皮膚の温度および厚さの両方に影響を受け、特に、皮膚の厚さに大きな影響を受けることを意味する。したがって、皮膚の温度が基準点以上であり、かつ皮膚の厚さが基準点以上であるグループ3は、正常な皮膚に比べて高い油分感を有し、皮膚の温度が基準点以下であり、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるグループ4は、正常な皮膚に比べて低い油分感を有するものと予測することができる。
【0041】
[実施例3]皮膚の温度および厚さによる皮膚の粗さの測定
皮膚の温度および厚さによる皮膚の粗さを測定する実験を実施した。
【0042】
皮膚の粗さは、光の3次元皮膚測定機器であるPRIMOS(Phaseshift Rapid In vivo Measurement Of Skin, GFMesstechnik GmbH, Germany)を利用して、各評価時点において顔面部位を測定することにより行われた。PRIMOSの3次元測定は、皮膚に投影されたparallel projection stripesが皮膚表面の高さの差に応じて変化することを利用して測定することができ、皮膚の粗さは、その変化の程度を併せて接続されたコンピュータ上で定量的に計算して得ることができる。このとき、変数の値が大きくなれば、皮膚のキメが粗いことを意味する。
【0043】
測定の結果、図3に示されたところのように、温度が基準点30℃未満である皮膚は、皮膚の粗さが約3〜4Ra(μm)と測定され(図3の皮膚のキメ_寒)、温度が32℃で基準点以上である皮膚は、皮膚の粗さが約2〜4Ra(μm)と類似に測定された(図3の皮膚のキメ_熱)。
【0044】
また、皮膚の厚さが基準点3.5mm以上である皮膚は、皮膚の粗さが約4〜10Ra(μm)と高く測定され(図3の皮膚のキメ_厚)、皮膚の厚さが基準点以下の3mm未満である皮膚は、皮膚の粗さが約3〜9Ra(μm)と比較的低く測定された(図3の皮膚のキメ_薄)。
【0045】
前記結果を総合すると、皮膚の粗さは、主に皮膚の厚さに影響を受けることを意味する。したがって、皮膚の厚さが基準点以上であるグループ1およびグループ3は、正常な皮膚に比べて高い粗さを有し、皮膚の厚さが基準点以下であるグループ2およびグループ4は、正常な皮膚に比べて低い粗さを有するものと予測することができる。
【0046】
[実施例4]皮膚の温度および厚さによる皮膚の弾力の測定
皮膚の温度および厚さによる皮膚の弾力を測定する実験を実施した。
【0047】
皮膚の弾力性は、Cutometer MPA580を利用して測定した。Cutometer MPA580は、陰圧により皮膚を吸引して、真皮層の弾力度を測定して評価する機器であって、chamber/probeを介して450mbの陰圧で皮膚に適用する。本実験においては、同一位置の皮膚表面に、各部位ごとに3回ずつ反復測定して、その平均値を測定値として使用した。
【0048】
測定の結果、図4に示されたところのように、温度が基準点30℃未満である皮膚は、皮膚の弾力が約25〜32(A.U.)と低く測定され(図4の弾力_寒)、温度が32℃で基準点以上である皮膚は、皮膚の弾力が約30〜36(A.U.)と比較的高く測定された(図4の弾力_熱)。
【0049】
また、皮膚の厚さが基準点3.5mm以上である皮膚は、皮膚の弾力が約32〜39(A.U.)と測定され(図4の弾力_厚)、皮膚の厚さが基準点以下の3mm未満である皮膚は、皮膚の弾力が約30〜34(A.U.)と測定された(図4の弾力_薄)。
【0050】
前記結果を総合すると、皮膚の弾力は、皮膚の温度および厚さの両方に影響を受け、特に、皮膚の温度に大きな影響を受けることを意味する。したがって、皮膚の温度が基準点以上であるグループ2は、正常な皮膚に比べて高い皮膚の弾力を有し、皮膚の温度が基準点以下であり、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるグループ4は、正常な皮膚に比べて低い皮膚の弾力を有するものと予測することができる。
【0051】
[実施例5]皮膚類型判別実験
本発明による皮膚類型判別方法に基づき、35±1.4歳の成人女性50名を対象として、顔の皮膚の温度および厚さをそれぞれ測定した。このとき、皮膚の温度は、IRカメラを利用して画像写真をイメージ解析して測定し、皮膚の厚さは、専門家のpinch testと専用スケールを使用して測定した。
【0052】
測定後、皮膚の温度が基準点(30℃ 超過 31℃未満)、皮膚の厚さが基準点(3mm 超過 3.5mm未満)である正常な皮膚の温度および厚さを有する女性を除き、残った女性のうち2名を選別して、本発明の一実施形態による皮膚類型の判断方法に従って皮膚類型を判別し、それを確認した。
【0053】
まず、皮膚の温度が32℃、皮膚の厚さが2.8mmと測定された成人女性Aの場合、皮膚の温度が基準点以上で、かつ皮膚の厚さが基準点以下であるので、グループ2と判断され、皮膚の高い水分量および高い皮膚の弾力のうち一つ以上を有するものと予測された。そして、実際に皮膚の水分量と弾力度を測定した結果、皮膚の水分量が約44(A.U.)、弾力が約30(A.U.)と測定されたため、いずれも正常な皮膚よりも高い水分量と弾力を有するものと示された。したがって、本発明の一実施例に係る方法により皮膚の温度、厚さといった皮膚体質から予測した皮膚類型が実際に測定した結果とほぼ一致することを確認することができた。
【0054】
また、皮膚の温度が32℃、皮膚の厚さが3.5mmと測定された成人女性Bの場合、皮膚の温度が基準点以上で、かつ皮膚の厚さが基準点以上であるので、グループ3と判断され、皮膚の高い水分量、高い油分量、高い粗さおよび高い弾力のうち一つ以上を有するものと予測された。そして、実際に皮膚の水分量と弾力度を測定した結果、皮膚の水分量が約45(A.U.)、油分量が約34(A.U.)、粗さが約7Ra(μm)、弾力が約35(A.U.)と測定されたため、正常な皮膚よりも高い水分量と油分量を有し、高い粗さと弾力を有するものと示された。したがって、本発明の一実施例に係る方法により皮膚の温度、厚さといった皮膚体質から予測した皮膚類型が実際に測定した結果とほぼ一致することを確認することができた。
【0055】
このように、本発明に係る皮膚類型の判別方法によれば、皮膚体質に伴う皮膚の水分量、油分量、皮膚の粗さおよび弾力性等の皮膚類型を容易に予測することができる。
図1
図2
図3
図4