特許第6406860号(P6406860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406860
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】カプラ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/133 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   F16L37/133
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-87829(P2014-87829)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-214876(P2014-214876A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2017年2月13日
(31)【優先権主張番号】13164946.9
(32)【優先日】2013年4月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503126212
【氏名又は名称】ティ・アイ・オートモーティヴ(フルダブリュック)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】イーリス・バルテル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ボール
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・イェンゼン
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−255669(JP,A)
【文献】 特開2010−270867(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/093627(WO,A1)
【文献】 米国特許第06293596(US,B1)
【文献】 特開2011−174508(JP,A)
【文献】 特開2005−172161(JP,A)
【文献】 特開2006−316944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00 − 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプラ本体(2)と保持部材(6)を備えた原動機付き車両の液体導管のためのカプラであって、
前記カプラ本体(2)が孔(3)を備え、この孔(3)がカプラ本体(2)の差込み要素収容端部(入口開口部)(4)から延びており、その際に、カプラ本体(2)が、組立てられた状態で差込み要素(5)を機能を果たすように収容しており、この差込み要素(5)が、カプラ本体(2)の入口開口部(4)を通って孔(3)内に延びており、
前記保持部材(6)が横方向要素(7)を備え、この横方向要素(7)に互いに間隔をおいて設けられた二つの保持脚部(8)が接続しており、その際に、両保持脚部(8)の間で少なくとも一つのロックアーム(9)が横方向要素に接続しており、保持部材(6)が前記カプラ本体(2)内の孔(3)に対して半径方向に移動可能に支承されており、
初期位置において、前記差込み要素(5)がカプラ本体(2)内に差込まれてないかあるいは不完全に差込まれていると、保持脚部(8)の自由端部(11)がカプラ本体側のブロック面(22)に当接し、かつカプラ本体(2)内での保持部材(6)のロック位置への移動をブロックし、その際に、横方向要素(7)が初期位置において実質的にカプラ本体(2)から突出しているカプラにおいて、
前記差込み要素(5)がカプラ本体(2)内に機能を果たすように差込まれ、保持部材(6)がロック位置に移動すると、保持脚部(8)の少なくとも一つの自由端部(11)が、カプラ本体側の収容空間(38)内に配置されていること、そして前記横方向要素(7)が、組立てられた状態を示すためのロック位置において、実質的にカプラ本体(2)の横方向要素収容部(15)内に配置されていること、
前記ロックアーム(9)がロック要素(13)を備え、このロック要素(13)が初期位置において、カプラ本体側の補完的ロック要素(14)と協働しており、かつ保持部材(6)カプラ本体(2)内で復元可能にロック
保持脚部(8)が各々少なくとも一つの出口開口部側のロック部分(34,35)を備えており、これらのロック部分(34,35)がロック位置で、前記組立てられた状態で差込み要素(5)の圧縮変形部(26)に当接することを特徴とするカプラ。
【請求項2】
収容空間(38)により保持脚部(8)の孔(3)に対する半径方向の移動が阻止され、あるいは実質的に阻止されるように、カプラ本体側の収容空間(38)が量定されていることを特徴とする請求項1記載のカプラ。
【請求項3】
どの保持脚部(8)も自由端部(11)を備え、これらの自由端部(11)が初期位置で、各々カプラ本体側のブロック面(22)に当接していること、および
これらの自由端部(11)がロック位置で、各々カプラ本体側の収容空間(38)内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプラ。
【請求項4】
両保持脚部(8)が各差込み面(30)を備えており、差込み要素(5)の管部分(25)よりも大きな直径を有する、差込み要素(5)の圧縮変形部(26)でもって差込み面(30)に力を加えると、保持脚部(6)が広がり、保持部材(6)が半径方向で初期位置から開放位置に移動し、
保持部材(6)の横方向要素(7)が、保持部材(6)が初期位置から開放位置に移動する際にカプラ本体(2)により離間するように移動させられることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項5】
第一のロック部分(34)と第二のロック部分(35)とが設けられており、
ロック部分(34,35)が各々、差込み要素(5)の差込み方向(27)に対して横方向に向けられた支承面(36)と、差込み方向に対して平行にあるいはほぼ平行に向けられた彎曲面(37a,37b)を備えており、
第一のロック部分(34)の彎曲面(37a)が各々、第一の円軌道上にあり、この第一の円軌道が第二のロック部分(35)の彎曲面(37b)により各々形成された第二の円軌道とは異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカプラ。
【請求項6】
込み要素(5)の圧縮変形部(26)を用いて保持脚部(8)に力を加えることにより保持部材(6)が開放位置に持上げられていると、孔(3)に向けられた力を横方向要素(7)に加えることにより保持部材が単に初期位置からロック位置に移動されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項7】
保持脚部(8)が各々、広げ面(23)を備えており、これらの広げ面(23)が保持部材(6)の初期位置ではカプラ本体側の補完的広げ面(24)に当接していること、
そして
補完的広げ面(24)が、孔側の端部から始まって孔(3)とは反対側の端部まで分岐するように配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項8】
ロック位置から開放位置に保持部材(6)が移動する際に、広げ面(23)がカプラ本体側の補完的広げ面(24)に当接可能であること、
保持部材側の広げ面(23)とカプラ本体側の広げ面(24)とが重なり合って滑動することにより、広げる力が保持脚部(8)に及ぼされていること、
保持脚部(8)は互いに離れるように押圧され、差込み要素(5)の圧縮変形部(26)が保持脚部(8)の間で入口開口部(4)方向へ移動可能であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項9】
横方向要素(7)に二つのロックアーム(9)が接続しており、これらのロックアーム(9)が互いに間隔をおいて設けられており、かつ各々保持脚部(8)の間に位置決めされており、どのロックアーム(9)にも一つのロック要素(13)が接続していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項10】
どのロックアーム(9)も孔(3)内に突出する頭部(12)を備えており、この頭部(12)がロック要素(13)を担持し、かつ当接部分(32)を備えていること、
ロック要素(13)が保持部材(6)の開放位置においてカプラ本体側の補完的ロック要素(14)に当接していること、
当接部分(32)が保持部材(6)のロック位置において圧縮変形部(26)に当接し、かつ差込み要素(5)を保持脚部(8)とは別に孔(3)内でロックすることを特徴とする請求項に記載のカプラ。
【請求項11】
少なくとも一つのロックアーム(9)に少なくとも一つの係止要素が配置されており、この係止要素により保持部材(6)が、ロック位置および/または初期位置あるいは開放位置においてカプラ本体(2)と係止可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項12】
横方向要素(7)が少なくとも一つの操作要素を備えており、操作要素に力を加えることにより、ロック位置から開放位置へのおよび/または開放位置からロック位置への保持部材(6)の移動が行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載のカプラ。
【請求項13】
差込み要素(5)が、ロック位置にある保持部材(6)によってのみカプラ本体(2)内でロックされており、保持部材(6)が、差込み要素(5)をカプラ本体(2)内に機能を果たすように収容するための表示要素であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のカプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラ本体と保持部材を備えた、好ましくは原動機付き車両の、特に液体導管のためのカプラであって、
前記カプラ本体が孔を備え、この孔がカプラ本体の差込み要素収容端部(入口開口部)から延びており、その際に、カプラ本体が、組立てられた状態で差込み要素を機能を果たすように収容しており、この差込み要素が、カプラ本体の入口開口部を通って孔内に延びており、
前記保持部材が横方向要素を備え、この横方向要素に互いに間隔をおいて設けられた二つの保持脚部が接続しており、その際に、両保持脚部の間で少なくとも一つのロックアームが横方向要素に接続しており、保持部材が前記カプラ本体内の孔に対して半径方向に移動可能に支承されており、
初期位置において、前記差込み要素がカプラ本体内に差込まれてないかあるいは不完全に差込まれていると、保持脚部の自由端部がカプラ本体側のブロック面に当接し、かつカプラ本体内での保持部材のロック位置への移動をブロックし、その際に、横方向要素が開放位置において実質的にカプラ本体から突出しているカプラに関する。
【背景技術】
【0002】
先に挙げた様式のカプラは、実務経験から基本的に公知である。この場合、差込み要素をロックするための保持部材をカプラ本体内に差込むことが実証された。さらに特許文献1からは、保持部材を表示要素と組合せることが知られており、表示要素は、差込み要素とカプラ本体の間における規則通りのあるいは機能を果たす接続を表示する。このようなカプラ装置は、実務経験では基本的に実証されてきた。しかし、液体カプラの構造を損失なく動作能力のもとで受け入れねばならず、簡素化することは追及に値する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1719944号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の根底をなす課技術的課題は、簡単な構造、高い信頼性そして組立て易さを特徴とする、冒頭に挙げた様式のカプラを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術的な問題を解決するために、本発明は最初に挙げた様式のカプラを教示しており、このカプラは、
前記差込み要素がカプラ本体内に機能を果たすように差込まれており、保持部材がロック位置に移動すると、保持脚部の少なくとも一つの自由端部が、カプラ本体側の収容空間内に配置されていること、そして前記横方向要素が、組立てられた状態を示すためのロック位置において、実質的にカプラ本体の横方向要素収容部内に配置されていること、
前記ロックアームがロック要素を備え、このロック要素が初期位置において、カプラ本体側の補完的ロック要素と協働しており、かつ保持部材を好ましくはカプラ本体内で復元可能にロックすることを特徴とする。
【0006】
カプラは例えばクイックコネクタ(迅速コネクタ)である。カプラは、SCRシステム、燃料導管システムあるいはブレーキ導管内に配置されている流体導管内で使用可能であるのが好ましい。カプラはSCRシステム(選択的接触還元システム)の尿素溶液を輸送するための液体流体導管システム内で使用するのが特に好ましい。
【0007】
本発明の範囲内には、カプラ本体(ケーシング)が一つの部分あるいは複数の部分から構成されていることが含まれている。実施形態によれば、カプラ本体は封止部材と封止部材から独立した接続部材から形成され、封止部材と接続部材は好ましくはただ一つの材料で互いに接続していることが可能である。カプラ本体は実質的に合成樹脂から、例えばポリフタルアミド(PPA)あるいは金属、例えばアルミニウムから成る。差込み要素収容端部(入口開口部)は封止部材に配置されているのが効果的である。接続部材内には、初期開口部(出口開口部)が配置されているのが好ましく、孔(貫通孔)は入口開口部から初期開口部まで延びている。貫通孔は一直線にあるいは曲げられて構成されていてもよい。孔の長手方向軸線は、特に入口開口部から出口開口部まで延びている。接続部材は、例えば管路、管、あるいはタンクもしくはそのような物が接続している接続部分を備えているのが好ましい。封止部材には、少なくとも一つの封止要素が配置されており、この封止要素はカプラの組立てられた状態で差込み要素に液密に当接しているのが好ましい。
【0008】
差込み要素は、効果的には硬質導管であるのが特に好ましく、この導管は円形横断面を備えているのが有利である。導管上には半径方向に拡張された圧縮変形部(Stauchung)が配置されており、この圧縮変形部が好ましくは硬質導管よりも大きな横断面備えていることが有効である。圧縮変形部は本発明の範囲内では、半径方向の当接面とほぼ軸方向の回転面を備えている。差込み要素の自由端部は、入口開口部を通って、カプラ本体内に、好ましくは差込み方向に差込み可能である。軸方向とは、特に孔の長手方向軸線に対して平行あるいはほぼ平行な方向を指し、半径方向とは、本発明の範囲内では、孔の長手方向軸線に対して横向き方向あるいはほぼ横向き方向を指す。
【0009】
保持部材は、蹄鉄型の保持部材であるのが特に好ましい。特に好ましい実施形態によれば、保持部材はただ一つの材料であるいは一つの部材として構成されている。保持部材の保持脚部は、弾性のバネ部分と保持部分を備えており、このバネ部分によってのみ保持脚部は復元可能に変形することができる。保持脚部は、横方向要素から始まって、さらにカプラ本体の中に向かって一つのロックアームあるいは複数のロックアームとして突出している。本発明の範囲内には、保持部材横方向要素(横桁)が、孔の横方向要素とは反対側に、カプラ本体の輪郭にほぼ一致する輪郭を備えている。横方向要素の横方向全長は、保持脚部の距離よりも長いことが好ましく、保持脚部は実施形態によれば、横方向要素の両端部領域から間隔をおいて配置されている。
【0010】
横方向要素が初期位置において実質的にカプラ本体から突出していることは、特に横方向要素が完全にあるいはほぼ完全にカプラ本体の外側に配置されているか、あるいは横方向要素の一部だけが初期位置において横方向要素収容部内に配置されていることを指す。差込み要素がカプラ本体内に機能を果たすように収容されていると、孔の方向に向けられた力による圧力あるいは横方向要素の孔に対する半径方向の力による圧力により、保持部材は目に見える位置あるいは初期位置からロック位置に移行可能である。差込み要素がカプラ本体内に機能を果たすように収容されていることは、差込み要素の好ましくは硬質導管の部分が、カプラ本体内で、特にカプラ本体の封止部材内で液密に収容されており、差込み要素の圧縮変形部が、保持部材の保持脚部により捕捉される(hintergreifen)ことを指すのが好ましい。この状態を組立てられた状態と呼ぶのが好ましい。保持部材は、組立てられた状態では、カプラ本体の入口開口部と差込み要素の圧縮変形部の間に配置されているのが特に好ましい。
【0011】
組立てられた状態で、保持部材はロック位置にあり、ロック位置において横方向要素は実質的に横方向要素収容部内に配置されている。保持部材は、ロック位置で、押込まれた位置にあるのが好ましい。横方向要素がロック位置において実質的に横方向要素収容部内に配置されていることは、横方向要素の大部分が、好ましくは横方向要素が完全に横方向要素収容部内に収容されていることを指すのが好ましい。ロック位置で横方向要素収容部内に配置されている横方向要素の部分は、初期位置で横方向要素収容部内に配置されている横方向要素の部分よりも大きいのが有利である。
【0012】
どの保持脚部も、初期位置で各々カプラ本体側のブロック面に当接する自由端部を備えているのが有利である。保持脚部の両自由端部が互いに接続していないのが特に好ましい。保持脚部のバネ部分が横方向要素に接続しているのは効果的であり、バネ部分には保持部分が形成されている。保持脚部の自由端部は、本発明の範囲内では、バネ部分と反対側の保持部分の端部に配置されている。カプラ本体は二つのブロック面が配置されているブロック突出部を備えており、どの保持脚部あるいは保持脚部のどの自由端部にも、各々ブロック面が割当てられている。孔に対してブロック突出部は横方向要素収容部に対向して直径上にカプラ本体内に配置されている。本発明の範囲内には、横方向要素から自由端部までの保持脚部の長さが、孔の直径よりも大きいことが含まれている。初期位置において、保持脚部が好ましくは孔の側面に並び、保持脚部の保持部分が各々その一部が孔内に突出するように、両持脚部は各々ブロック面に当接する。孔内で突出している保持脚部の部分の間の間隔は、差込み要素の圧縮変形部の直径よりも小さい。
【0013】
収容空間によりロック位置における保持脚部のに対する半径方向の移動が阻止され、あるいは実質的に阻止されるように、カプラ本体側の収容空間は量定されているのが有利である。特に両自由端部を各々の自由端部に割当てられた収容空間内に問題なく差込むことを可能にするために、収容空間の横断面は、場合によっては保持脚部の自由端部の横断面よりもほんの少しだけ大きいのが効果的である。カプラが組立てられた状態で液体系の圧力を加えることにより、差込み要素は入口開口部の方向に、あるいは差込み方向とは逆方向に圧縮力を加えられる。好適に両自由端部が保持部材のロック位置で収容空間内に配置されていることにより、特に圧縮変形部が保持部材に抗して押圧されると、保持脚部の半径方向の拡がりはなくなっている。ロック位置において、両保持脚部の間の間隔、あるいは孔内に配置された保持脚部の保持部分の間の間隔は、圧縮変形部の直径よりも小さい。
【0014】
保持脚部および/またはロックアームの入口開口部側の表面には、好ましくはどの保持脚部および/またはどのロックアームの入口開口部側の表面にも、差込み要素の差込み方向に対して平行にあるいはほぼ平行に向けられた側方の突出部面が配置されており、この側方の突出部面がロック位置で、カプラ本体側の補完的な一つの突出部面に当接しているか、あるいはカプラ本体側の補完的な複数の突出部面に当接しているのが効果的である。突出部面および/または補完的な突出部面は曲げられて構成されているのが特に好ましく、保持脚部および/またはロックアーム突出部面は円軌道上にある。好ましくは液体系あるいは孔により形成されたカプラの流路に圧力を加えることにより、差込み要素と差込み要素の圧縮変形部は保持部材に抗して加圧されるので、保持部材は軸方向にあるいは差込み要素の差込み方向とは逆に、カプラ本体に抗して押圧される。保持部材に圧力を加えた結果、保持脚部および/またはロックアームの入口開口部側の表面(正面)は、入口開口部とは反対側のカプラ本体の表面に抗して加圧されるので、保持部材側の一つの突出部面あるいは複数の突出部面は、補完的なカプラ本体側の突出部面に爪による形状嵌合で当接する。このようにして、特にカプラ本体の内部空間内での、あるいはカプラ本体の孔内での運転に起因して、好ましくはカプラの周りを囲む気圧である圧力よりも高い圧力(運転圧力)がかかると、組立てられた状態での初期位置の方向へのロック位置からの保持部材の移動は阻止される。保持部材が、差込み要素の軸方向に、あるいは差込み要素の差込み方向に入口開口部から離間するように押圧されると、保持部材側の突出部面は、カプラ本体側の補完的な突出部面から分離可能である。差込み方向(軸線方向)に対して平行な、保持部材の軸方向の移動経路は、突出部面の軸方向の長さ(Ausdehnung)とほぼ同じくらいに長い。軸方向の長さとは、特に差込み方向での保持部材側の側方の当接面の長さを指す。
【0015】
本発明の範囲内には、両保持脚部が各々入口開口部とは反対側の端面に好ましくは円錐形の差込み面を備えていることが含まれている。差込み面が半径方向で内側にむかって延びており、かつ軸方向で出口開口部の方向に傾斜しているのが効果的である。半径方向で内側に向かってとは、孔の長手軸線の方向に向かってということを指すのが好ましい。差込み要素の圧縮変形部でもって差込み面に力を加えると、保持脚部は広がり、保持部材は半径方向で初期位置から開放位置に移動し、その際に、保持部材の横方向要素は、保持部材が初期位置から開放位置に移動する際にカプラ本体により離間するように移動させられる。開放位置において、孔内に突出する両保持脚部の保持部分の間の間隔は、少なくとも差込み要素の圧縮変形部の直径程度に大きい。開放位置において、保持脚部は孔の領域において互いに最大の間隔を有しており、両保持脚部が初期位置から開放位置に移行する際に、バネ部分だけが張られ、および/または弾性的に動かされるのが好ましい。開放位置において、両保持脚部は好ましくはバネ部分により、孔の長手方向軸線の方向に押圧され、バネ部分は両保持脚部の初期位置で好ましくは緊張を緩和されているかあるいは緊張を解かれている。
【0016】
本発明の範囲内には、差込み要素の圧縮変形部でもって差込み面に力を加えることにより、保持部材は半径方向で初期開口部の方向へ移動されており、従って保持部材側の突出部面はカプラ本体側の補完的な突出部面から解放されるのが好ましい。圧縮変形部でもって差込み面に力を加えると、保持部材は横方向要素でもって初期位置から始まって半径方向にカプラ本体から押出されるのが有利である。開放位置において、横方向要素は横方向要素収容部からできるだけ最大限遠くに持上げられているのが有利であり、一つのロックアームあるいは複数のロックアームは、保持部材がカプラ本体から離れられなくする。
【0017】
実施形態によれば、両保持脚部は各々少なくとも一つの後方の(出口開口部側の)ロック部分を備えており、これらのロック部分はロック位置で差込み要素の圧縮変形部に当接する。ロック部分は各々凹部を備えているのが好ましく、凹部において、差込み方向に対して横方向に配置された支承面(Lagerflaeche)は、好ましくは組立てられた状態で、あるいは保持部材のロック位置において、差込み要素の当接面に当接するのが効果的である。ロック部分は各々差込み方向に対して平行に向けられ、支承面の境をなす好ましくは円弧状の彎曲面(Mantelflaeche)を備え、これらの彎曲面は圧縮変形部の周囲面に当接するのが効果的である。
【0018】
両保持脚部は各々第一のロック部分と第二のロック部分を備えていることが可能であり、ロック部分は各々、差込み要素の差込み方向に対して横方向に向けられた支承面と、差込み方向に対して平行にあるいはほぼ平行に向けられた彎曲面を備えている。二つのロック面は各々、第一のロック面と保持脚部の自由端部の間に好ましくは保持部分が配置されているのが効果的である。実施形態によれば、第一のロック部分の好ましくは円弧状の彎曲面は各々、第一の円軌道上にあり、この第一の円軌道は第二のロック部分の好ましくは円弧状の彎曲面により各々形成された第二の円軌道とは異なる。第一および第二のロック部分の特に円弧状の彎曲面の半径は、差込み要素の圧縮変形部の半径に一致している。差込み要素の圧縮変形部が差込み方向で保持部材の保持脚部を通過し、出口開口部側で、あるいは入口開口部とは反対の保持部材の側で保持部材に当接すると、保持部材は、特に保持脚部のバネ部分により、ロック位置から孔に対して半径方向にカプラ本体内に移動可能である。
【0019】
実施形態によれば、差込み要素が出口開口部側で保持部材に当接し、保持部材が、バネ部分のバネ力を加えることにより半径方向で開放位置からほぼロック位置にしなると、両保持脚部は各々、孔の長手軸線の方向にしなる。一時的なロック位置において、両保持脚部の各第一のロック部分は、差込み要素の圧縮変形部に当接する。孔の長手方向軸線の方向に横方向要素あるいは保持部材に力を加えることにより、保持部材は一時的なロック位置から出発して、ロック位置に半径方向へカプラ本体内へ移動可能であり、ロック位置において、保持脚部の各第二のロック部分は、差込み要素の圧縮変形部に当接している。差込み要素が完全にあるいは機能を果たすようにカプラ本体内に差込まれていると、開放位置から一時的ロック位置おとびロック位置に保持部材が移動することは、本発明の範囲内ではもっぱら可能である。
【0020】
実施形態によれば、管圧縮変形の無い部分が保持部材の両保持脚部の間に配置されているように差込み要素が単にカプラ本体内に差込まれているだけだと、保持脚部の広がりは起こらず、従って保持脚部の両自由端部はブロック面から離れず、保持部材はロック位置に移動可能ではない。例えば圧縮変形部が保持脚部間に配置されていると、保持脚部は広げられ、保持部材は初期位置から開放位置に押圧される。一時的なロック位置に達する前に、一つのロックアームあるいは複数のロックアームが圧縮変形部に当接することにより、保持部材が開放位置からロック位置に移動することは防止される。
【0021】
差込み要素の圧縮変形部を用いて保持脚部を広げることにより保持部材が持上げられていると、孔に向けられた力を横方向要素に加えることにより保持部材が単に初期位置からロック位置に移動されているのは特に好ましい。保持部材が初期位置から開放位置に移動することにより、保持脚部の自由端部は各々、ブロック面から持上げられるのは好ましい。保持部材が初期位置から開放位置に持上ることは、差込み用をカプラ本体内に差込む際に、圧縮変形部は少なくとも保持部材の保持脚部の間に位置決めされていることを示すのが効果的である。
【0022】
保持脚部は各々、広げ面を備えており、これらの広げ面は保持部材の初期位置ではカプラ本体側の補完的広げ面に当接しているのが特に好ましく、補完的広げ面は、孔側の端部から始まって孔とは反対側の端部まで分岐するように配置されている。カプラ本体側の補完的広げ面は、カプラ本体側の広げ要素に接続しており、この広げ要素は例えば台形状の横断面を備えているのが好ましい。広げ要素の孔側の端部で、カプラ本体側の補完的広げ面の間隔は、孔と反対側の広げ要素の端部における補完的広げ面の間隔よりも小さい。
【0023】
実施形態によれば、ロック位置および/または初期位置から開放位置に保持部材が移動する際に、広げ面はカプラ本体側の補完的広げ面に沿って滑動し、従って広げる力は保持脚部に及ぼされており、その際に保持脚部は互いに離れるように押圧される。開放位置において、差込み要素の圧縮変形部は保持脚部の間で入口開口部方向へ移動可能である。保持脚部を広げることにより、バネエネルギーは特に保持脚部のバネ部分に蓄積され、保持部材はバネ部分内に蓄積されたバネエネルギーがあるので、開放位置からロック位置および/または初期位置に移動可能であるのが有利である。例えば手動操作により横方向要素あるいは保持部材がカプラ本体から引出される際に、保持部材がロック位置および/または初期位置から開放位置に移動することはが単に可能であるのは有利である。
【0024】
横方向要素に二つのロックアームが接続しており、これらのロックアームが互いに間隔をおいて設けられており、かつ各々保持脚部の間に位置決めされているのは有利であり、どのロックアームにも一つのロック要素が接続している。保持部材が孔に対して半径方向に初期位置、開放位置およびロック位置の間で復元可能に行ったり来たり移動する際に、カプラ本体は、ロックアーム間に配置された間隙内で捕捉する案内要素を備えているのが好ましい。例えば保持部材がカプラ本体内で傾くかあるいは傾倒するのをなくすために、案内要素を用いて、保持部材の正確な案内が保証される。
【0025】
好ましい実施形態によれば、どのロックアームも横桁から離間するように突出する端部に頭部を備えており、この頭部はロック要素を担持し、かつ当接部分を備えている。ロック要素は保持部材の開放位置においてカプラ本体側の補完的ロック要素に当接しているのが有利であり、当接部分はロック位置において圧縮変形部に当接し、かつ差込み要素を保持脚部とは別に孔内でロックする。補完的なロック要素はカプラ本体側の遮断面として構成されているのが特に好ましい。ロック要素は例えば突出部として構成されており、この突出部は開放位置で、遮断面として構成された、補完的なロック要素に当接する。差込み要素の圧縮変形部が、差込み要素の差込み方向への差込み時に、カプラ本体内で保持脚部の間にあると、孔の方向で横方向要素に半径方向の力を加える際に、ロックアームの当接部分は圧縮変形部の周囲面当接し、従って開放位置からロック位置への保持部材の移動は阻止される。ロック位置において、一つのロックアームあるいは複数のロックアームの一つの当接部分あるいは複数の当接部分は、差込み要素の導管あるいは圧縮変形部の当接面に当接する。
【0026】
一つのロックアームあるいは複数のロックアームの軸方向の長さは、保持脚部の軸方向の長さよりも小さいのが好ましい。一つのロックアームあるいは複数のロックアームの軸方向の長さは、保持脚部側のロック部分の彎曲面の軸方向の長さを除いた、および/または突出部面の軸方向の長さを除いた、保持脚部の軸方向の長さにほぼ一致するのが好ましい。一つのロックアームあるいは複数のロックアームの出口開口部側の端面は、差込み要素の差込み方向に対して横方向に向いた第一のロック部分および/または第二のロック部分の支承面と一直線に並んでいるのが特に好ましい。
【0027】
少なくとも一つのロックアームには少なくとも一つの係止要素が配置されており、この係止要素により保持部材は、ロック位置および/または初期位置あるいは開放位置においてカプラ本体と係止可能であるのが有効である。係止要素は例えば球形部分あるいは半球形部分として構成されている。両ロックアームには各々、係止要素が設けられているのが有効である。係止要素は本発明の範囲内では、特にロックアームの外側面に配置されており、これらの外側面はロックアームの間に配置された間隙により離間して設けられている。一つの係止要素あるいは複数の係止要素は、保持部材の初期位置において、孔と反対側の広がり要素の表面に載置されている。本発明の範囲内において、保持部材のロック位置では、一つのロックアームの係止要素あるいは複数のロックアームの係止要素は、孔側で広がり要素内に配置されているか、あるいは孔側で遮断面に当接している。さらに一つあるいは複数の係止要素により、保持部材が初期位置あるいはロック位置にあるのかどうかを示す。
【0028】
横方向要素は少なくとも一つの操作要素を備えているのが好ましく、操作要素に力を加えることにより、ロック位置から開放位置へのおよび/または開放位置からロック位置への保持部材の移動は行われる。操作要素は例えば操作者により捕捉可能であるグリップであってもよい。操作要素は工具のための係合領域として構成されているのも基本的に可能である。
【0029】
差込み要素は、ロック位置にある保持部材によってのみカプラ本体内でロックされているのが特に好ましく、保持部材は、差込み要素をカプラ本体内に機能を果たすように収容するための表示要素である。有利な実施形態によれば、保持部材の保持脚部は、各々直接かつ好ましくは他の部材の中間接続せずに差込み要素に当接している。
【0030】
本発明の根底を成す認識は、本発明によるカプラにあって、保持部材により差込み要素はカプラ本体内で確実にロック可能であることにある。有利な方法において、差込み要素をカプラ本体内への機能を果たすようなあるいは秩序のある配設を表示するために、保持部材はカプラ本体内での差込み要素であるのと同時に表示要素としても使用される。保持部材保持部材の機能と同時に表示要素の機能も果たすことにより、本発明によるカプラは少ない部材と折り合い、その理由で、本発明によるカプラは驚くほど単純な構成を備えることを特徴とする。さらにカプラ本体と保持部材の単純な構造により、差込み要素をカプラ内に連結するあるいは嵌め込む組立作業が容易にできる。特に、保持部材はロックアームに配置されたロック要素があるので、カプラ本体内で無くなることなく保持されている。差込み要素がカプラ本体内に配置されているかどうかに左右されず、保持部材が例えば動作エラーによりカプラ本体から引出されることはありえない。本発明の範囲内において、保持部材は差込み要素の組立てられた状態あるいは機能を果たす収容状態を表示し、かつ組立てられた状態では差込み要素を幾重にも重複した方法でカプラ本体内でロックする。一つの保持脚部および/または複数の保持脚部の欠損それ自体により、差込み要素がカプラ本体内に安全に収容されることが危険に曝されることはない。
【0031】
以下に本発明をただ一つの実施例を示した図に基づいて補足して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明によるカプラの斜視図である。
図2A】一時的なロック位置における、差込まれた差込み要素と保持部材を備えた本発明によるカプラの斜視図である。
図2B】差込まれた差込み要素を備えた本発明によるカプラ本体の斜視図であり、保持部材はロック位置にある。
図3A】ホルダ部材を取付ける際の本発明によるカプラのカプラ本体の平面図であり、より正確な平面図はカプラ本体の入口開口部側のフランジのために省略した。
図3B図3aによるカプラ本体の平面図であり、保持部材の保持脚部はカプラ本体内に差込まれている。
図3C】開放位置において、保持部材を備えた図3aによるカプラ本体の平面図である。
図3D図3aによるカプラ本体の平面図であり、保持部材は初期位置にある。
図4A図3aによるカプラ本体の平面図であり、差込み要素の一部はカプラ本体内に差込まれている
図4B図3aによるカプラ本体の平面図であり、差込み要素の圧縮変形部は両保持脚部の間に配置されている。
図4C】開放位置において、差込まれた差込み要素と保持部材を備えた図3aによるカプラ本体の平面図である。
図4D図3aによるカプラ本体の平面図であり、カプラ本体内に差込み要素が完全に差込まれており、保持部材は一時的にロック位置にある。
図4E図4dによるカプラ本体の下面図である。
図4F】組立てられた状態の差込み要素とロック位置での保持部材を備えた本発明によるカプラ本体の平面図である。
図4G図4fによる本発明によるカプラ本体の下面図である。
図5A】差込み要素を備えた本発明によるカプラ本体の平面図であり、保持部材はロック位置から持上げられている。
図5B】開放位置において、完全に差込まれた差込み要素と保持部材を備えた図5aによる本発明によるカプラ本体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0033】
図1にはカプラ本体2を備えたカプラ1が示してある。好ましくはそして実施例によれば、カプラ1はどの図にも示していないSCR導管システムに使用されている。カプラ本体2は、貫通孔あるいは孔3を備えている。孔3は図1によれば入口開口部(差込み要素収容部端部)4から出発してカプラ本体2内に延びている。図2a及び2aによれば、カプラ本体2内では差込み要素5が収容可能であり、この差込み要素5は保持部材6とカプラ本体2内で固定可能である。
【0034】
図1には、保持部材6が横方向要素(横桁)7を備えており、この横方向要素7に二つの保持脚部8と二つのロックアーム9が接続されていることが示してあり、ロックアーム9は横桁7の保持脚部8の間で互いに間隔をおいて形成されている。図2aおよび2bには、双方向矢印10により、保持部材6が孔3に対して半径方向にカプラ本体2内で移動可能に支承されているかあるいは案内されている。横方向要素7は図2aにおいては実質的にカプラ本体2の外側に配置されており、それにより実施例によれば、保持部材6を通る差込み要素5がカプラ本体2内では固定されていないことが示してある。図2bでは保持部材6がロック位置にあり、ロック位置において、横方向要素7は実質的にカプラ本体2の横方向要素収容部15内に収容されており、これによりカプラ本体2内での差込み要素5の運転中の収容部が示してある。
【0035】
図3aには保持部材6をカプラ本体2内に差込むための第一の工程が示してある。保持部材6の保持脚部8を広げるかあるいは開くことにより、保持脚部8は各々カプラ本体側の開き要素16のそばを通る。開き要素16の方に向いた保持脚部8の内側面17が曲げられて形成されていることにより、保持部材6がカプラ本体2内で図3bに示した差込み状態にあると、保持部材6はカプラ本体2から脱落しないことが保証されている。さらに図3bでは、保持脚部8が各々バネ部分18と保持部分19を備えていることが示してあり、開き要素16により保持脚部8を開くことは、保持部材6のバネ部分18の張力と変形だけに作用する。
【0036】
図3cでは、ロックアーム9の頭部12が、各々突出部13として構成されたロック要素を備えており、これらの突出部13は、各々カプラ本体側の係止突出部21として構成された補完的ロック要素14を後側で捕捉する。このようにして、保持部材6はカプラ本体2内で誤って外れないようにロックされる。好ましくはそして実施例によれば、保持部材6はロックアーム9の協働する押圧によりカプラ本体2から取外し可能であり、このようにして、頭部12に配置された突出部13は係止突出部21から解除可能である。
【0037】
図3dには初期位置にある保持部材6を備えたカプラ本体2が示してあり、この初期位置において横方向要素7は実質的にカプラ本体2の横方向要素収容部15の外側に配置されている。保持脚部8の自由端部11は、図3dによる初期位置ではカプラ本体側のブロックする面22に当接しており、これにより孔3の長手方向軸線Lの方向での(に対する)カプラ本体2の中への保持部材6の半径方向の移動は防止される。さらにどの保持脚部8にも各々広げ面23が配置されており、この広げ面23は保持部材6の初期位置においてカプラ本体側の補完的な広げ面24に当接する。補完的広げ面24は、開き要素16に構成されており、かつ貫通孔側の端部から始まって横方向要素側の端部まで分岐する(divergieren)。一点鎖線で図3には差込み要素5が示してある。
【0038】
図4aでは、差込み要素5が半径方向の圧縮変形部26を備えた管部分25を有することが認められ、半径方向の圧縮変形部26の直径は管部分25の直径あるいは横断面よりも大きい。矢印27により示した差込み方向に対して横方向に、圧縮変形部26の当接面28が延びている。軸方向にあるいは差込み方向に対して平行に、圧縮変形部26は回転面29を備えている。圧縮変形部26は、図4aに示した通りかつ実施例によれば、保持部材6の円錐形の差込み面30に当たり、それにより保持部材6の保持脚部8は広げられる。広げることは、好ましくはかつ実施例によれば、保持脚部8のばね部分18が張られることにより行われる。保持脚部8を広げることにより、保持脚部8の自由端11は、図4bに示したようにブロックする面22から離れる。半径方向の圧縮変形部26は、図4bでは広げられた両保持脚部8の間に置かれており、保持脚部8の内側面17に当接する。
【0039】
図4bには、横方向要素7に力を加えることにより、孔方向3でロックアーム側の頭部12の当接部分32が差込み要素5の圧縮変形部26に当接し、従って横方向要素7は矢印31の記号で表した衝突力によってカプラ本体2の横方向要素収容部15内には移動しないことが示してある。差込み要素5は図4bによれば単に不完全にあるいは機能を果たさずカプラ本体2内に差込まれている。
【0040】
図4cで、保持部材6は開放位置にある。差込み要素5の圧縮変形部26は、保持脚部8が広げられるように保持脚部8の差込み面30に当たる。加えて、保持脚部側の広げ面23が補完的な広げ面24に当接することにより、保持部材6の半径方向の移動は、カプラ本体2の孔3から離間するように引き起こされる。その結果、横方向要素7は図4cに示した開放位置では起こりうる最も遠く持上った位置にあり、かつ好ましくはそして実施例によれば、観察者にとっては良く見える。さらに図4cにおいて保持脚部8の保持部分19は孔3の領域において、両保持脚部8間の間隔が、差込み要素5の圧縮変形部26の直径より少なくとも広いように構成された間隔を互いに備えていることが認められる。
【0041】
図4dでは、保持部材6は図4cによる開放位置から一時的なロック位置に移動していることが示してあり、保持部材6はカプラ本体2の方向へあるいは孔3の長手方向軸線Lの方向へ、ロック位置から出発して半径方向に移動している。差込み要素5の圧縮変形部26により、保持部材6の保持脚部8は、保持脚部8の自由端部11間の間隔が、ブロック面22が配置されているカプラ本体側のブロック要素33の幅よりも広いように量定されて広げられる。
【0042】
図4eと4fによる下面図では、差込み面30と反対側の保持脚部8の表面には、各々二つのロック部分34,35が配置されていることが認められる。どのロック部分34,35も、差込み方向27に対して横方向に向いた支承面36と差込み方向27に対して平行に向いた彎曲面37a,37bを備えている。第一のロック部分34の彎曲面37aは、各々第一の円軌道上にあり、この第一の円軌道は第二のロック部分35の彎曲面37bから各々形成された第二の円軌道とは異なっていることが認められる。図4eによる一時的なロック位置において、第一のロック部分34の彎曲面37aと支承面36は、差込み要素5の圧縮変形部26に当接する。
【0043】
図4fによれば、差込み要素5はカプラ本体2内で与えられた役割を果たすように収容されている。圧縮変形部26の当接面28は、第二のロック部分35の支承面36に当接するが、圧縮変形部26の回転面29は、第二のロック部分35の彎曲面37bに当接する。好ましくはそして実施例によれば、保持部材6が図4dに示した一時的なロック位置から図4fに示したロック位置に移動すると、保持脚部8はばね部分18により、孔3に対して半径方向に内側に向かって、あるいは孔3の長手方向軸線Lの方向に押圧される。保持部材6が一時的なロック位置からロック位置に移動する際に、圧縮変形部26は第一のロック位置34から第二のロック位置35に引渡され、圧縮変形部26を第一のロック位置34から第二のロック位置35に引渡す際に、保持脚部分8はばね部分18により圧縮される。保持脚部8間の間隔が小さくなることは、保持脚部8の両自由端部11が、図4fによる保持部材6のロック位置において各々カプラ本体側の収容シャフト38内に差込まれる際に生じる。このことは図4gによる平面図でも示してある。さらに図4gでは、ロックアーム9の当接部32が、差込み要素5の管部分25と圧縮変形部26に当接していることが認められる。
【0044】
その上さらに、保持部材6が開放位置からロック位置に移動する際に、係止鼻状部20としてロックアーム9の係止要素が開き要素16に当接するので、ロックアーム9は、ロックアーム9間に設けられた間隙39の幅を使って圧縮され、かつ一時的ロック位置に達すると再度互いに弾性的に離れる。このようにして、保持部材6はさらに係止鼻状部20によりカプラ本体2のロック位置においてあるいは係止突出部21の後側でロックされる。
【0045】
特に図4fと4gでは、横方向要素7が保持部材6のロック位置において、カプラ本体の横方向要素収容部15内に完全に収容されていることが示してある。これにより差込み要素5がカプラ本体2内に完全にかつ機能を果たすように収容され、ならびに保持部材6によりカプラ本体2内に配置される。図4fと4gに示した、組立てられた状態において、保持部材6は圧縮変形部26とカプラ本体2の入口開口部4の間にある。
【0046】
図1と4gでは、保持部材6の入口開口部側の表面40では、保持脚部8とロックアーム9上に、各々当接突出部41が位置決めされており、これらの当接突出部41が孔3の当接突出部とは反対側に弓形の突出部面を備えていることが認められる。突出部面42は実施例によれば円軌道上にある。図4fと4gによる組立てられた状態で、カプラ本体2内の圧力が加えられると、差込み要素5は保持部材6抗して押圧されるので、保持部材6はカプラ本体2のフランジ43の保持部材側の表面に抗して押圧される。フランジ43は図示していないが、当接突出部41に対して補完的な凹部を備えており、カプラ本体内で圧力がかけられていると、その凹部の中に当接突出部41がカプラの組立てられた状態で食い込む。圧縮変形部26と保持部材6が差込み方向27とは逆にフランジ43に抗して押圧されると、突出部面42は、好ましくはそして実施例によれば、図示していないフランジ43の補完的当接部面に当接する。
【0047】
差込み要素5をカプラ本体2から取除くために、保持部材6を図4fと4gによるロック位置から開放位置に移動させねばならない。この目的で、保持部材6の横方向要素7は、捕捉要素44として構成された操作要素を備えており、これらの操作要素と、横方向要素収容部15内でロック位置にある保持部材6は係合し、かつ孔3に対して半径方向に、カプラ本体2からかつロック位置から図5bに示した開放位置に移動可能である。この移動の際に、さらに保持脚部8の両自由端部11は、カプラ本体側の収容シャフト38から持上げられ、保持脚部側の広げ面23は開き要素側の補完的な広げ面24に当接する。これは図5aに示してある、好ましくはそして図5aによれば、差込み要素5の圧縮変形部26は、保持部材6のロック部分34に位置決めされている。図5aに示した、カプラ本体2内におけるホルダ部材6の一時的なロック位置から出発して、ホルダ部材6の半径方向の外側への動きは、ロックアーム9の突出部13が、ロック要素14の係止突出部21に当接することにより防止される。図5bに示した開放位置において、圧縮変形部26を備えた差込み要素5が保持脚部8の傍らを通り過ぎて、差込み方向27とは逆に入口開口部4の方向へ滑動し、入口開口部4を通ってカプラ本体2から取除くことができるように保持脚部8が広げられていることが示してある。孔3から離間するように調整された牽引力(Zugkraft)がもはや横方向要素7あるいは保持部材6に作用しなくなるのと同時に、バネ部分18内に蓄積されたバネのエネルギーは保持脚部8の圧縮に作用するので、保持部材6は、広げ面23と補完的な広げ面24を斜めに構成することを前提にして、カプラ本体内へ移動され、これによりバネ部分18は緊張を解除され、保持脚部18の自由端部11はブロック面22に当接される。このことは図3dに示してある。
【符号の説明】
【0048】
1 カプラ
2 カプラ本体
3 孔
4 入口開口部
5 差込み要素
保持部材
7 横方向要素
8 保持脚部
9 ロックアーム
11 自由端部
12 突出する頭部
13 ロック要素
14 補完的ロック要素
15 横方向要素収容部
22 ブロック面
23 広げ面
24 補完的広げ面
25 管部分
26 圧縮変形部
27 差込み方向
32 当接部分
34 ロック部分
35 ロック部分
37 a彎曲面
37 b彎曲面
38 収容空間
40 入口開口部側の表面
42 側方の突出
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B