(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、配向膜なしで液晶分子を垂直配向しながらプレチルトを制御できる液晶組成物、液晶表示装置、及び液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による液晶組成物は、液晶と、第1配向補助剤と、第2配向補助剤と、を含み、前記第1配向補助剤と前記第2配向補助剤は互いに異なる波長領域で光反応する。
【0008】
前記第1配向補助剤は可視光領域で光反応し、前記第2配向補助剤は紫外線領域で光反応することができる。
【0009】
前記第1配向補助剤は垂直配向成分であり、前記第2配向補助剤はプレチルト成分でありうる。
【0010】
前記第1配向補助剤は、下記の化学式1乃至13で表される化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【化1】
・・・(化学式1)
【化2】
・・・(化学式2)
【化3】
・・・(化学式3)
【化4】
・・・(化学式4)
【化5】
・・・(化学式5)
【化6】
・・・(化学式6)
【化7】
・・・(化学式7)
【化8】
・・・(化学式8)
【化9】
・・・(化学式9)
【化10】
・・・(化学式10)
【化11】
・・・(化学式11)
【化12】
・・・(化学式12)
【化13】
・・・(化学式13)
ここで、nは、3乃至18である。
【0011】
前記第2配向補助剤は、下記の化学式14乃至18で表される化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【化14】
・・・(化学式14)
【化15】
・・・(化学式15)
【化16】
・・・(化学式16)
【化17】
・・・(化学式17)
【化18】
・・・(化学式18)
ここで、nは0乃至5である。
【0012】
前記第1配向補助剤の含有量は、前記液晶組成物内で0.5wt%以上30wt%以下でありうる。
【0013】
前記第2配向補助剤の含有量は、前記液晶組成物内で0.1wt%以上10wt%以下でありうる。
【0014】
本発明の一実施形態による液晶表示装置は、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間に介されており、液晶、第1配向重合体及び第2配向重合体を含む液晶層と、を含み、前記第1配向重合体は、第1波長領域で光反応する第1配向補助剤を光照射して形成され、前記第2配向重合体は、第2波長領域で光反応する第2配向補助剤を光照射して形成され、前記第1波長領域と前記第2波長領域は互いに異なる。
【0015】
前記第1波長領域は可視光領域であり、前記第2波長領域は紫外線領域でありうる。
【0016】
前記第1配向重合体は垂直配向成分であり、前記第2配向重合体はプレチルト成分でありうる。
【0017】
前記第1配向補助剤は、下記の化学式1乃至13で表される化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【化19】
・・・(化学式1)
【化20】
・・・(化学式2)
【化21】
・・・(化学式3)
【化22】
・・・(化学式4)
【化23】
・・・(化学式5)
【化24】
・・・(化学式6)
【化25】
・・・(化学式7)
【化26】
・・・(化学式8)
【化27】
・・・(化学式9)
【化28】
・・・(化学式10)
【化29】
・・・(化学式11)
【化30】
・・・(化学式12)
【化31】
・・・(化学式13)
ここで、nは3乃至18である。
【0018】
前記第2配向補助剤は、下記の化学式14乃至18で表される化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【化32】
・・・(化学式14)
【化33】
・・・(化学式15)
【化34】
・・・(化学式16)
【化35】
・・・(化学式17)
【化36】
・・・(化学式18)
ここで、nは0乃至5である。
【0019】
前記第1配向補助剤の含有量は、前記液晶、前記第1配向補助剤及び前記第2配向補助剤を含む液晶組成物内で0.5wt%以上30wt%以下でありうる。
【0020】
前記第2配向補助剤の含有量は、前記液晶組成物内で0.1wt%以上10wt%以下でありうる。
【0021】
本発明の一実施形態による液晶表示装置の製造方法は、第1基板、及び前記第1基板と対向する第2基板のうちの少なくとも一つの上に電界生成電極を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間に液晶、第1配向補助剤及び第2配向補助剤を含む液晶層を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間に第1波長領域の光を照射して第1配向重合体を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間に電界を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間に第2波長領域の光を照射して第2配向重合体を形成する段階と、を含み、前記第1波長領域と前記第2波長領域は互いに異なる。
【0022】
前記第1波長領域は可視光領域であり、前記第2波長領域は紫外線領域でありうる。
【0023】
前記第1配向重合体は垂直配向成分であり、前記第2配向重合体はプレチルト成分でありうる。
【0024】
前記第1配向補助剤は、下記の化学式1乃至13で表される化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【化37】
・・・(化学式1)
【化38】
・・・(化学式2)
【化39】
・・・(化学式3)
【化40】
・・・(化学式4)
【化41】
・・・(化学式5)
【化42】
・・・(化学式6)
【化43】
・・・(化学式7)
【化44】
・・・(化学式8)
【化45】
・・・(化学式9)
【化46】
・・・(化学式10)
【化47】
・・・(化学式11)
【化48】
・・・(化学式12)
【化49】
・・・(化学式13)
ここで、nは3乃至18である。
【0025】
前記第2配向補助剤は、下記の化学式14乃至18で表される化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【化50】
・・・(化学式14)
【化51】
・・・(化学式15)
【化52】
・・・(化学式16)
【化53】
・・・(化学式17)
【化54】
・・・(化学式18)
ここで、nは0乃至5である。
【0026】
前記第1配向補助剤の含有量は、前記液晶、前記第1配向補助剤及び前記第2配向補助剤を含む液晶組成物内で0.5wt%以上30wt%以下でありうる。
【0027】
前記第2配向補助剤の含有量は、前記液晶組成物内で0.1wt%以上10wt%以下でありうる。
【0028】
前記第1配向重合体を形成する段階は、前記第1基板と前記第2基板との間に電界を形成しない状態で行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
このように本発明の一実施形態によれば、互いに異なる光反応領域を有する配向補助剤を用いて垂直配向成分とプレチルト成分を効率的に形成することにより、液晶制御力を向上させることができる。したがって、高速応答実現が可能な液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化することもできる。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底で、かつ完全なものとなり、また当業者に本発明の思想が十分に伝達されるように提供されるものである。
【0032】
図面において、層及び領域の厚さは明確性を期するために誇張して示した。また、層が他の層または基板「上」にあると言及される場合、それは他の層または基板上に直接形成されるか、またはそれらの間に第3の層が介されてもよい。明細書の全体にわたって同一の参照番号で表示された部分は、同一の構成要素を意味する。
【0033】
本発明の一実施形態による液晶組成物は、液晶、第1配向補助剤、及び第2配向補助剤を含む。第1配向補助剤と第2配向補助剤は互いに異なる波長領域で光反応してもよい。第1配向補助剤は可視光領域で光反応して硬化でき、第2配向補助剤は紫外線領域で光反応して硬化できる。ここで、可視光波長領域は380nm乃至770nmであってもよく、紫外線波長領域は380nm未満であってもよい。
【0034】
本実施形態で、第1配向補助剤は、下記の化学式1乃至13で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【化55】
・・・(化学式1)
【化56】
・・・(化学式2)
【化57】
・・・(化学式3)
【化58】
・・・(化学式4)
【化59】
・・・(化学式5)
【化60】
・・・(化学式6)
【化61】
・・・(化学式7)
【化62】
・・・(化学式8)
【化63】
・・・(化学式9)
【化64】
・・・(化学式10)
【化65】
・・・(化学式11)
【化66】
・・・(化学式12)
【化67】
・・・(化学式13)
ここで、nは3乃至18である。
【0035】
本実施形態で、第1配向補助剤は、可視光領域の光を吸収できるクロモホア(Chromophore)グループをアクリレート(Acrylate)グループに連結した形態を有してもよい。また、第1配向補助剤は、光硬化して液晶が垂直配向するようにする垂直配向成分である。
【0036】
第1配向補助剤は、液晶組成物内でほぼ0.5wt%以上30wt%以下の含有量で含まれる。
【0037】
本実施形態で、第2配向補助剤は、下記の化学式14乃至18で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【化68】
・・・(化学式14)
【化69】
・・・(化学式15)
【化70】
・・・(化学式16)
【化71】
・・・(化学式17)
【化72】
・・・(化学式18)
ここで、nは0乃至5である。
【0038】
本実施形態で、第2配向補助剤は、光硬化して液晶をプレチルトを提供するプレチルト成分である。第2配向補助剤は、液晶組成物内で0.1wt%以上10wt%以下の含有量で含まれる。
【0039】
以下、上述した液晶組成物を使用して形成された液晶層を含む液晶表示装置について説明する。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態による液晶表示装置を示す平面図である。
図2は、
図1の切断線II-IIに沿った断面図である。
図3及び
図4は、それぞれ
図1の実施形態で画素電極及び基本電極を示す平面図である。
【0041】
図1及び
図2を参照すれば、本発明の実施形態による液晶表示装置は、互いに対向する下部表示板100と上部表示板200、及びこれら二つの表示板100、200の間に介されている液晶層3を含む。液晶層3は、液晶分子310、第1配向重合体50a、及び第2配向重合体60aを含む。第1配向重合体50aは、下部表示板100と液晶層3の境界部分、または上部表示板200と液晶層3の境界部分に対応する面に沿って配列され、液晶分子310を垂直配向させることができる。第2配向重合体60aは、配向補助剤が光重合されてプレチルトを有して液晶層3内に含まれている。
【0042】
先ず、下部表示板100について説明する。
【0043】
絶縁基板110の上に複数のゲート線121及び複数の維持電極線131、135が形成されている。
【0044】
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に横方向に延在している。各ゲート線121は、上に突出した複数の第1ゲート電極124a及び第2ゲート電極124bを含む。
【0045】
維持電極線は、ゲート線121と実質的に平行に延在している幹線131、及び幹線131から延在している複数の維持電極135を含む。維持電極線131、135の形状及び配置は種々の形態に変更されてもよい。
【0046】
ゲート線121及び維持電極線131、135の上にはゲート絶縁膜140が形成されており、ゲート絶縁膜140の上には非晶質シリコンまたは結晶質シリコンなどからなる複数の半導体154a、154bが形成されている。
【0047】
半導体154a、154bの上には、それぞれ複数対のオーミックコンタクト部材163b、165bが形成されており、オーミックコンタクト部材163b、165bは、シリサイド(silicide)またはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質で形成されることができる。
【0048】
オーミックコンタクト部材163b、165b及びゲート絶縁膜140の上には、複数対のデータ線171a、171bと、複数対の第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bが形成されている。
【0049】
データ線171a、171bはデータ信号を伝達し、主に縦方向に延在してゲート線121及び維持電極線の幹線131と交差する。データ線171a、171bは、第1ゲート電極124a及び第2ゲート電極124bに向かって延在してU字状に曲がった第1ソース電極173a及び第2ソース電極173bを含み、第1ソース電極173a及び第2ソース電極173bは、第1ゲート電極124a及び第2ゲート電極124bを中心に第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bと対向する。第1ソース電極173a及び第2ソース電極173bは、例えば
図1に示すように
図1の平面上において、上に開口を有するU字形状を有している。
【0050】
第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bは、それぞれ第1ソース電極173a及び第2ソース電極173bによって一部が取り囲まれた一端から、
図1の平面上において上に延在しており、反対側の他端は他の層との接続のために面積が広くてもよい。
【0051】
しかし、第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bをはじめとするデータ線171a、171bの形状及び配置は種々の形態に変更されてもよい。
【0052】
第1ゲート電極124a及び第2ゲート電極124b、第1ソース電極173a及び第2ソース電極173b、並びに第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bは、第1半導体154a及び第2半導体154bと共に第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタを形成し、第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタのチャネルは、第1ソース電極173a及び第2ソース電極173bと、第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bとの間の第1半導体154a及び第2半導体154bに形成される。
【0053】
オーミックコンタクト部材163b、165bは、その下の半導体154a、154bと、その上のデータ線171a、171b及びドレイン電極175a、175bとの間にだけ存在して、これらの間の接触抵抗を低くする。半導体154a、154bには、ソース電極173a、173bとドレイン電極175a、175bとの間にはデータ線171a、171b及びドレイン電極175a、175bによって覆われずに露出した部分がある。
【0054】
データ線171a、171b、ドレイン電極175a、175b、及び露出した半導体154a、154b部分の上には、窒化ケイ素または酸化ケイ素などからなる下部保護膜180pが形成されている。
【0055】
下部保護膜180pの上にはカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は赤色、緑色、青色の3色カラーフィルタを含むことができる。カラーフィルタ230の上にクロム及びクロム酸化物の単一層や二重層または有機物質からなる遮光部材220が形成されている。遮光部材220はマトリックス状に配列されている開口部を有することができる。
【0056】
カラーフィルタ230と遮光部材220の上には透明な有機絶縁物質からなる上部保護膜180qが形成されている。上部保護膜180qは、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。上部保護膜180qには第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bを露出する複数のコンタクトホール185a、185bが形成されている。
【0057】
上部保護膜180qの上には複数の画素電極191が形成されている。画素電極191は、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属で形成されてもよい。
【0058】
各画素電極191は、互いに分離されている第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bを含み、第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bは、それぞれ
図6に示した基本電極199またはその変形を一つ以上含んでいる。
【0059】
それでは、
図3及び
図4を参照して、基本電極199について詳細に説明する。
【0060】
図4に示したように、基本電極199の全体的な形状は四角形であり、横幹部193及び横幹部193と直交する縦幹部192からなる十字状の幹部を含む。また、基本電極199は、横幹部193と縦幹部192によって第1副領域Da、第2副領域Db、第3副領域Dc、及び第4副領域Ddに分けられ、各部領域Da、Db、Dc、Ddは、複数の第1乃至第4微細枝部(194a、194b、194c、194d)を含む。
【0061】
図4の平面上において、第1微細枝部194aは、横幹部193または縦幹部192から左側上方に斜めに延在しており、第2微細枝部194bは、横幹部193または縦幹部192から右側上方に斜めに延在している。また、第3微細枝部194cは、横幹部193または縦幹部192から左側下方に延在しており、第4微細枝部194dは、横幹部193または縦幹部192から右側下方に斜めに延在している。
【0062】
第1乃至第4微細枝部(194a、194b、194c、194d)は、ゲート線121または横幹部193とほぼ45°または135°の角をなす。また、隣接する二つの副領域Da、Db、Dc、Ddの微細枝部194a、194b、194c、194dは互いに直交してもよい。例えば、微細枝部194aと微細枝部194bとが概ね直交していてもよい。また、微細枝部194bと微細枝部194dとが概ね直交していてもよい。微細枝部194dと微細枝部194cとが概ね直交していてもよい。微細枝部194aと微細枝部194cとが概ね直交していてもよい。
【0063】
微細枝部(194a〜194d)の幅は、2.0μm乃至5.0μmであってもよく、一つの領域(Da〜Dd)内で隣接する微細枝部(194a〜194d)間の間隔は、2.5μm乃至5.0μmであってもよい。
【0064】
図示していないが、微細枝部194a、194b、194c、194dの幅は、横幹部193または縦幹部192に近いほど広くなってもよい。
【0065】
図1乃至
図4をさらに参照すれば、第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bはそれぞれ一つの基本電極199を含む。ただし、画素電極191の全体で第2副画素電極191bが占める面積が、第1副画素電極191aが占める面積より大きくてもよく、このとき、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aの面積より1.0倍から2.2倍程度大きいように、基本電極199の大きさを異なるように形成する。
【0066】
第2副画素電極191bは、データ線171に沿って延在した一対の枝195を含む。枝195は、第1副画素電極191aとデータ線171a、171bとの間に位置して、第1副画素電極191aの下端で枝195が接続されることで第1副画素電極191aを取り囲むように形成されている。第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bは、コンタクトホール185a、185bを通じて第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bと物理的、電気的に接続されており、第1ドレイン電極175a及び第2ドレイン電極175bからデータ電圧の印加を受ける。
【0067】
次に、上部表示板200について説明する。
【0068】
上部表示板200には透明な絶縁基板210の上に共通電極270が全面に形成されている。
【0069】
上部表示板200と下部表示板100との間の間隔を維持するための間隔材363が形成されている。
【0070】
一般に、垂直配向モード液晶表示装置の場合に、下部表示板100及び上部表示板200の内側面には垂直配向膜がそれぞれ塗布されているが、本実施形態では配向膜を形成しない。
【0071】
下部表示板100及び上部表示板200の外側面には偏光子(polarization)(図示せず)が備えられてもよい。
【0072】
下部表示板100と上部表示板200の間には液晶層3が介されている。本実施形態で、液晶層3は複数の液晶分子310、第1配向補助剤が光重合して形成された第1配向重合体50a、及び第2配向補助剤が光重合して形成された第2配向重合体60aを含む。
【0073】
液晶分子310は負の誘電率異方性を有し、電界がない状態でその長軸が二つの表示板100、200の表面に対してほぼ垂直になるように配向されている。本実施形態では、垂直配向成分を有する第1配向補助剤が光重合されて形成された第1配向重合体50aが液晶層3に含まれているため、配向膜がないにもかかわらず、液晶分子310が垂直配向することができる。
【0074】
本実施形態で、第1配向補助剤と第2配向補助剤は、互いに異なる波長領域で光反応することができる。第1配向補助剤は可視光領域で光反応して硬化でき、第2配向補助剤は紫外線領域で光反応して硬化できる。ここで、可視光波長領域は380nm乃至770nmであってもよく、紫外線波長領域は380nm未満であってもよい。
【0075】
本実施形態で、第1配向補助剤は、下記の化学式1乃至13で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【化73】
・・・(化学式1)
【化74】
・・・(化学式2)
【化75】
・・・(化学式3)
【化76】
・・・(化学式4)
【化77】
・・・(化学式5)
【化78】
・・・(化学式6)
【化79】
・・・(化学式7)
【化80】
・・・(化学式8)
【化81】
・・・(化学式9)
【化82】
・・・(化学式10)
【化83】
・・・(化学式11)
【化84】
・・・(化学式12)
【化85】
・・・(化学式13)
ここで、nは、3乃至18である。
【0076】
本実施形態で、第1配向補助剤は、可視光領域の光を吸収して硬化して第1配向重合体50aを形成する。第1配向重合体50aは、下部表示板100と液晶層3の境界部分または上部表示板200と液晶層3の境界部分に対応する面に沿って配列され、実質的に垂直配向膜と同一の役割を果たす。言い換えると、第1配向重合体50aは、液晶分子310を垂直配向させる垂直配向成分であってもよい。
【0077】
第1配向補助剤は、液晶分子310、第1配向補助剤、及び第2配向補助剤からなる液晶組成物内で、ほぼ0.5wt%以上30wt%以下の含有量で含まれる。
【0078】
本実施形態で、第2配向補助剤は、下記の化学式14乃至18に表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【化86】
・・・(化学式14)
【化87】
・・・(化学式15)
【化88】
・・・(化学式16)
【化89】
・・・(化学式17)
【化90】
・・・(化学式18)
ここで、nは、0乃至5である。
【0079】
本実施形態で、第2配向補助剤は、光硬化してプレチルトを有する第2配向重合体60aを形成する。したがって、第2配向重合体60aは、本実施形態による液晶表示装置が駆動するとき、液晶分子310の初期配向方向のプレチルトを制御して応答速度を速くするプレチルト成分だ。第2配向補助剤は、液晶組成物内で0.1wt%以上10wt%以下の含有量で含まれる。
【0080】
画素電極191及び共通電極270に電圧が印加されると、液晶分子310は画素電極191と共通電極270の間に形成された電界に応答して、その長軸が電界の方向に対して垂直方向に方向を変える。液晶分子310が傾いた程度によって液晶層3に入射光の偏光の変化程度が変わり、このような偏光の変化は偏光子によって透過率の変化として表れ
これを通じて液晶表示装置は映像を表示する。
【0081】
液晶分子310の傾いた方向は、画素電極191の微細枝194a、194b、194c、194dによって決定され、液晶310は、微細枝194a、194b、194c、194dの長さ方向に平行な方向に傾く。一つの画素電極191は、微細枝194a、194b、194c、194dの長さ方向が互いに異なる四つの副領域Da、Db、Dc、Ddを含むので、液晶310が傾く方向はほぼ4方向であり、液晶層3には液晶310の配向方向が異なる四つのドメイン(domain)が形成される。このように液晶が傾く方向を多様にすることにより、液晶表示装置の視野角を改善することができる。
【0082】
以上の上述した本実施形態による液晶表示装置において、薄膜トランジスタ構造及び画素電極構造に関する説明は、側面視認性を向上させるための視認性構造の一例であり、薄膜トランジスタ構造及び画素電極構造のデザインは本実施形態で説明した内容に限定されず、変更可能である。
【0083】
図5は、本発明の一実施形態による配向補助剤に対する紫外線及び可視光線スペクトルを示すグラフである。
【0084】
図5では、上述した化学式1で表される第1配向補助剤RM1と、化学式5で表される第2配向補助剤RM2とを実験例にして、紫外線(UV)及び可視光線(Vis)スペクトルを測定した。
【0085】
図5を参照すれば、第1配向補助剤RM1は、ほぼ380nm以上の可視光線領域の光を吸収し、第2配向補助剤RM2は、ほぼ350nm以下の紫外線領域の光を吸収することが確認される。本発明の実施形態によれば、第1配向補助剤の物質は、可視光線領域の光を吸収する物質に拡張して実施でき、第2配向補助剤の物質は、紫外線領域の光を吸収する物質に拡張して実施可能である。したがって、本実施形態で、可視光波長領域は380nm乃至770nmであってもよく、紫外線波長領域は380nm未満であってもよい。
【0086】
図6乃至
図8は、本発明の一実施形態による配向補助剤によって液晶の垂直配向及びプレチルトを形成する方法を示した概略図である。
【0087】
これと関連して、
図1乃至
図4と共に
図6乃至
図8を参照して説明する。
【0088】
図1乃至
図4を参照すれば、先ず、薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200をそれぞれ製造する。
【0089】
下部表示板100は、次のような方法によって製造する。
【0090】
基板110の上に複数の薄膜を積層及びパターニングして、ゲート電極124a、124bを含むゲート線121、ゲート絶縁膜140、半導体154a、154b、ソース電極173a、173bを含むデータ線171a、171b、ドレイン電極175a、175b、及び下部保護膜180pを順次に形成する。
【0091】
次に、下部保護膜180pの上にカラーフィルタ230を形成し、その上に遮光部材220を形成する。カラーフィルタ230及び遮光部材220の上に上部保護膜180qを形成する。
【0092】
上部保護膜180qの上にITOまたはIZOなどの導電層を積層しパターニングして、
図3及び
図4に示したように、縦部192、横部193、及びこれらから延在した複数の微細枝194a、194b、194c、194dを有する画素電極191を形成する。
【0093】
上部表示板200は、次のような方法によって製造する。
【0094】
基板210の上に共通電極270を形成する。
【0095】
次に、
図6を参照すれば、上記のような方法で製造された下部表示板100と上部表示板200とを合着(assembly)し、その間に液晶分子310、上述した第1配向補助剤50及び第2配向補助剤60の混合物を注入して液晶層3を形成する。しかし、液晶層3は、下部表示板100または上部表示板200の上に液晶分子310、第1配向補助剤50及び第2配向補助剤60の混合物を滴下する方式で形成してもよい。
【0096】
図7を参照すれば、画素電極191と共通電極270に電圧を印加しない状態で光1を照射する。このときの光1は、波長帯がほぼ380nm以上770nm以下である可視光領域の光に該当する。ここで、第1配向補助剤50は、光硬化して、画素電極191と液晶層3の境界部分または共通電極270と液晶層3の境界部分に対応する面に沿って配列された第1配向重合体50aを形成し、第1配向重合体50aは、液晶分子310を垂直配向させるためのネットワークを形成する。そのために、液晶分子310は、その長軸が二つの表示板100、200の表面に対してほぼ垂直となるように配向されてもよい。このとき、第2配向補助剤60は光反応しないのが好ましい。
【0097】
図8を参照すれば、画素電極191と共通電極270に電圧を印加する。電圧の印加により、液晶分子310及び第2配向補助剤50は画素電極191の微細枝(194a〜194d)の長さ方向に平行な方向に傾く。画素電極191及び共通電極270付近に位置する液晶分子310は、第1配向重合体50aによって垂直配向を維持する。
【0098】
このように、画素電極191と共通電極270の間に電圧が印加された状態で光1を照射する。このときの光1は、波長帯がほぼ380nm未満の紫外線領域の光に該当する。紫外線領域の光1は、第2配向補助剤60を重合させて第2配向重合体60aを形成する。このような第2配向重合体60aは、液晶分子310のプレチルトを制御することができる。
【0099】
以下、本発明の一実施形態による液晶組成物に含まれる第1配向補助剤及び第2配向補助剤の好ましい含有量について、実験例を通して説明する。
【0100】
下記表1を参照すれば、実験例1として、第2配向補助剤の含有量を1.0wt%に維持した状態で、第1配向補助剤の含有量を0.5wt%、1.0wt%、15wt%、30wt%に変化させながら、応答速度及びブラック特性(ブラック光漏れ)をテストした。
【0101】
実験例2として、第1配向補助剤の含有量を15wt%に維持した状態で、第2配向補助剤の含有量を0.1wt%、1.0wt%、10wt%に変化させながら、応答速度及びブラック特性(ブラック光漏れ)をテストした。
【0102】
実験結果、本実施形態の液晶組成物内において、第1配向補助剤の含有量は0.5wt%以上30wt%以下であるのが好ましく、第2配向補助剤の含有量は0.1wt%以上10wt%以下であるのが好ましいことを確認した。第1配向補助剤の場合、その含有量が0.5wt%未満の場合、光漏れが発生する可能性が高まり、30wt%より大きい場合、応答速度が低下する。第2配向補助剤の場合、その含有量が0.1wt%未満のとき、応答速度が低下し、10wt%より大きい場合、光漏れが発生する可能性が高まる。
【0103】
【表1】
本発明の実施形態によれば、垂直配向成分に該当する物質と、プレチルト成分に該当する物質が、実質的に独立的に光反応する。したがって、従来、垂直配向成分の無電界光反応時、プレチルト成分に該当する物質まで一部が光反応するため電界光反応するプレチルト成分が不足する現象を防止することができる。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。