(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記打球面に垂直な方向における前記ソール部の最大幅に対する、前記垂直2等分線を通り前記打球面に垂直な面における前記第2溝部の前記底部の幅の第4比率が0.31以上0.39以下である、請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
前記トゥ部側には前記第1溝部と前記第2溝部とに接続された第3溝部が形成され、前記ヒール部側には前記第1溝部と前記第2溝部とに接続された第4溝部が形成されており、
前記キャビティ部に面している前記フェースバック面の平面形状は多角形状であり、
前記フェースバック面の平面形状の外周は、前記第1溝部、前記第2溝部、前記第3溝部、および前記第4溝部に沿って配置されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
はじめに、
図1〜
図3を参照して、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1について説明する。本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1は、フェース部2とキャビティ部3とを備える。
【0011】
さらに、ゴルフクラブヘッド1は、打球面2Aに対して上方の端部に位置するトップエッジ部5と、打球面に対してトップエッジ部5と反対側の端部に位置するソール部6と、シャフト31(
図4参照)側の端部Bに位置するヒール部1hと、フェース面2Aに対してヒール部1hと反対側の端部Cに位置するトゥ部1tとを備える。
【0012】
フェース部2は、フェース面(打球面)2Aと、フェース面2Aの背面側に位置するフェースバック面2Bとを有する。フェース部2において、フェース面2Aとフェースバック面2Bとが所定の距離だけ離れて重なるように形成されている領域は、主として打球することが予定されている領域である。異なる観点からいえば、当該領域におけるフェース部2の厚みは、それ以外の領域におけるフェース部2の厚みよりも薄く、高反発(たとえば反発係数が0.75以上)な領域として形成されている。フェース面2Aとフェースバック面2Bとは、略平行に設けられている。
【0013】
フェース部2は、シャフト31側の端部Bに位置するヒール部1hから、フェース面2Aに対してヒール部1hと反対側の端部Cに位置するトゥ部1tまで延びている。フェース面2Aは一つの平面として形成されており、フェース面2Aには、ヒール部1hからトゥ部1tまで向かう方向に延びるスコアライン11がフェース面2Aに対する溝部として形成されている。スコアライン11は、トップエッジ部5からソール部6まで所定の間隔を開けて互いに平行に複数形成されている。フェース面2Aにおいてスコアライン11が形成されている領域は、フェースバック面2Bと重なるように配置されている
ここで、複数のスコアライン11のうちヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向において最長となるスコアライン11の垂直2等分線を直線Dとする。スコアライン11が延びる方向(ヒール部1hからトゥ部1tまで向かう方向)は、ゴルフクラブヘッド1が接続されるシャフト31(
図4参照)の軸Aが延びる方向と交差しており、当該ゴルフクラブヘッド1を備えるゴルフクラブ100を構えた時に地面と略平行となるように形成されている。
【0014】
フェースバック面2Bは、キャビティ部3に面している。フェースバック面2Bは、ゴルフクラブヘッド1を背面側から見たときに、たとえばキャビティ部3の底面を成すように設けられている。フェースバック面2Bの平面形状、すなわちフェース部2においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なるように形成されている領域の平面形状は、たとえば多角形状であり、好ましくは六角形状である。フェースバック面2Bがフェース面2Aと重なるように形成されている領域は、フェース部2における他の領域(後述するトップエッジ部5において第1溝部5Uの底部よりも上方に位置する領域、ソール部6において第2溝部6Uの底部よりも下方に位置する領域、第1領域7、第2領域8、第3領域9、および第4領域10など)よりも、フェース面2Aに垂直な方向における厚みが薄い領域である。また、フェースバック面2Bがフェース面2Aと重なるように形成されている領域は、第1領域7、第2領域8、第3領域9、および第4領域10などに囲まれるように配置されている。
【0015】
キャビティ部3は、上述のように、フェースバック面2Bの後方側に設けられている。キャビティ部3は、その大半の領域においてフェース面2A上に形成されているスコアライン11と重なるように設けられている。
【0016】
トップエッジ部5は、ヒール部1h側からトゥ部1t側に向かうにつれて、上方に向かうように形成されている。言い換えると、トップエッジ部5は、ヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向に対して交差する方向に延びるように形成されている。トップエッジ部5には、トップエッジ部5の外形に沿ってヒール部1h側からトゥ部1t側に向かって延びる第1溝部5Uが形成されている。言い換えると、第1溝部5Uは、ヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向に対して交差する方向(ヒール部1h側からトゥ部1t側に向かう方向)に延びるように形成されている。
【0017】
第1溝部5Uは、トップエッジ部5側に底部を有し、ソール部6側において開放されてキャビティ部3と接続されている。言い換えると、第1溝部5Uを構成する1つの面はフェースバック面2Bであり、トップエッジ部5側に配置されている第1溝部5Uの底部がフェースバック面2Bのトップエッジ部5側の端部を規定している。ここで、第1溝部5Uの底部を構成する底面は、所定の曲率半径を有する曲面(U字形状)であり、フェースバック面2Bと第1溝部5Uの底面との接続部で明確な境界(エッジ)が形成されておらず、これらが曲面状になめらかに接続されている。なお、第1溝部5Uの底部を構成する底面は、平面であってもよく、延びている方向が異なる複数の平面や曲面が連なるように形成されていてもよい。あるいは、フェースバック面2Bと第1溝部5Uの底面との間で明確な境界(エッジ)が形成されていてもよい。ヒール部1h側からトゥ部1t側に向かう方向における第1溝部5Uの底部の長さL1については、後述する。
【0018】
トップエッジ部5は、第1溝部5Uに対してトゥ部1t側に位置するとともにキャビティ部3に対して上方に位置する第1領域7と、第1溝部5Uに対してヒール部1h側に位置するとともにキャビティ部3に対して上方に位置する第2領域8とに、それぞれ接続されている。言い換えると、第1領域7と第2領域8とは、トップエッジ部5およびキャビティ部3を挟んで配置されている。異なる観点からいえば、第1領域7と第2領域8とは、それぞれ直線Dに対して間隔を隔てて配置されている。第1領域7は、第2領域8と比べて広く形成されていてもよい。
【0019】
ソール部6は、ヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向に延びるように形成されている。ソール部6には、ソール部6の外形に沿ってヒール部1hからトゥ部1tに向かって延びる第2溝部6Uが形成されている。第2溝部6Uは、ソール部6側に底部を有し、トップエッジ部5側において開放されてキャビティ部3と接続されている。言い換えると、第2溝部6Uを構成する1つの面はフェースバック面2Bであり、ソール部6側の配置されている第2溝部6Uの底部がフェースバック面2Bのソール部6側の端部を規定している。ここで、第2溝部6Uの底部を構成する底面は、所定の曲率半径を有する曲面(U字形状)であり、フェースバック面2Bと第2溝部6Uの底面との接続部で明確な境界(エッジ)が形成されておらず、これらが曲面状になめらかに接続されている。なお、第2溝部6Uの底部を構成する底面は、平面であってもよく、延びている方向が異なる複数の平面や曲面が連なるように形成されていてもよい。あるいは、フェースバック面2Bと第1溝部5Uの底面との間で明確な境界(エッジ)が形成されていてもよい。ヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向における第2溝部6Uの底部の長さL2については、後述する。
【0020】
ソール部6において、第2溝部6Uの後方側には厚肉部6Tが形成されている。厚肉部6Tの厚み(下方端面6Sから第2溝部6Uにおいてフェースバック面2Bと対向する側面または傾斜面6Vまでの距離)は、第2溝部6Uの底部の厚み(ソール部6において第2溝部6Uが形成されている領域の下方端面6Sから第2溝部6Uの底面までの距離)よりも厚い。直線Dを通るフェース面2Aに垂直な面において、フェース面2Aに対して垂直な方向における厚肉部6Tの幅は第2溝部6Uの底部の幅L4(
図2,3参照)よりも広く設けられているのが好ましい。第2溝部6Uの底部の幅L4については、後述する。
【0021】
ソール部6の厚肉部6Tは、第2溝部6Uおよびキャビティ部3に対してトゥ部1t側に位置する第3領域9と、第2溝部6Uおよびキャビティ部3に対してヒール部1h側に位置する第4領域10と、それぞれ接続されている。異なる観点からいえば、第3領域9と第4領域10とは、第2溝部6Uの前方側においてはフェース部2を介して接続されており、第2溝部6Uの後方側においてはソール部6の厚肉部6Tを介してそれぞれ接続されている。また、第3領域9と第4領域10とは、ソール部6およびキャビティ部3を挟んで配置されており、異なる観点からいえば、直線Dを挟んで配置されている。
【0022】
第1領域7、第2領域8、第3領域9、および第4領域10は、フェース部2においてキャビティ部3と重なる領域、すなわちフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なるように形成されている領域よりも、厚肉に設けられている。そのため、第1領域7、第2領域8、第3領域9、および第4領域10は、フェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なるように形成されている領域よりも剛性が高い一方で反発係数が低い。
【0023】
トップエッジ部5とソール部6とは、キャビティ部3あるいはフェースバック面2Bを挟んで対向するように形成されている。このとき、第1溝部5Uと第2溝部6Uとによって挟まれている領域は、フェース部2においてキャビティ部3と重なる領域、すなわちフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なるように形成されている領域である。つまり、トップエッジ部5において第1溝部5Uの底部よりも上方に位置する部分、およびソール部6において第2溝部6Uの底部よりも下方に位置する部分は、フェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なるように形成されている領域よりも厚肉に設けられている。そのため、当該部分は、フェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なるように形成されている領域よりも剛性が高い。
【0024】
トップエッジ部5は、フェース面2Aの上方に位置する端部を有している。さらに、トップエッジ部5は、フェース面2Aに対して第1溝部5Uよりも背面側に位置している傾斜面5Vを有している。傾斜面5Vはキャビティ部3に面している。傾斜面5Vは、第1溝部5Uの底部よりもソール部6側に位置している。
【0025】
同様に、ソール部6は、フェース面2Aの下方に位置する端部を有している。さらに、ソール部6は、フェース面2Aに対して第2溝部6Uよりも背面側に位置している傾斜面6Vを有しており、傾斜面6Vはキャビティ部3に面している。傾斜面6Vは、第2溝部6Uの底部よりもトップエッジ部5側に位置している。
【0026】
第1領域7、第2領域8、第3領域9、および第4領域10は、キャビティ部3に面して配置されている。具体的には、第1領域7は、フェース面2Aの背面側において傾斜面7Vを有しており、傾斜面7Vはキャビティ部3に面している。第2領域8は、フェース面2Aの背面側において傾斜面8Vを有しており、傾斜面8Vはキャビティ部3に面している。傾斜面7Vと傾斜面8Vとは、それぞれ傾斜面5Vと接続されている。
【0027】
第3領域9は、フェース面2Aの背面側において傾斜面9Vを有しており、傾斜面9Vはキャビティ部3に面している。第4領域10は、フェース面2Aの背面側において傾斜面10Vを有しており、傾斜面10Vはキャビティ部3に面している。傾斜面9Vと傾斜面10Vとは、それぞれ傾斜面6Vと接続されている。傾斜面9V,10Vは、第2溝部6Uの後方側において、第3領域9および第4領域10からそれぞれ厚肉部6T上に延びるように形成されている。言い換えると、傾斜面9V,10Vの一部は、傾斜面6Vとともに厚肉部6Tの上方の端面を構成している。
【0028】
なお、傾斜面5V,6V,7V,8V,9V,10Vは、それぞれ平面状に形成されていてもよいし、曲面状に形成されていてもよい。また、傾斜面5V,6V,7V,8V,9V,10Vは、それぞれ一平面や一曲面に限られるものではなく、延びている方向が異なる複数面が連なるように形成されていてもよい。
【0029】
図1および
図3を参照して、フェース部2において、フェース面2Aとフェースバック面2Bとの成す厚みが部分的に厚くなる厚肉領域13が形成されていてもよい。厚肉領域13は、たとえばフェースバック面2Bの他の領域に対して傾斜している傾斜面(フェース面2Aに対して傾斜している傾斜面)を有する段差部14に囲まれるように形成されている。厚肉領域13および段差部14は、たとえばフェース面2Aのソール部6側において、スコアライン11の垂直2等分線である直線Dを中心としてヒール部1h側およびトゥ部1t側に等しい距離だけ延びるように形成されていてもよい。この場合、厚肉領域13および段差部14は、少なくとも一部が第2溝部6Uの内部に位置するフェースバック面2B上に形成されていてもよい。
【0030】
ゴルフクラブヘッド1のヒール部1h側には、シャフト31(
図4参照)と接続されるホーゼル部12が形成されている。
【0031】
ゴルフクラブヘッド1は、一体として鋳造により作製されている。言い換えると、ゴルフクラブヘッド1は溶接により連接した部分を含んでいない。これにより、ゴルフクラブヘッド1は、低コストで作製することができるとともに、溶接により連接した部分を含んでいる場合と比べて高い耐久性を有している。
【0032】
次に、
図1〜
図3を参照して、ゴルフクラブヘッド1の寸法比について説明する。はじめに、ゴルフクラブヘッド1のヘッド長L5は、ヒール部1hにおいてシャフト31(あるいはホーゼル部12)の軸Aとソール部6の下方端面6Sとの交点Bと、トゥ部1tにおける先端点Cとの間の、スコアライン11が延びる方向における距離である。
【0033】
ゴルフクラブヘッド1のヘッド長L5に対し、ヒール部1h側からトゥ部1t側に向かう方向、すなわちヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向に対して交差する方向における第1溝部5Uの底部の長さL1の比率(第1比率L1/L5)は、0.48以上0.63以下である。上述のように、第1溝部5Uを構成する1つの面はフェースバック面2Bであり、トップエッジ部5側の配置されている第1溝部5Uの底部がフェースバック面2Bのトップエッジ部5側の端部を規定している。そのため、上記第1比率が0.48未満の場合には、トップエッジ部5側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域(フェース面2Aに垂直な方向における厚みが薄い領域)が占める割合が小さくなる。その結果、フェース面2Aにおける反発係数が低くなり、飛距離を向上させることが困難となる。また、上記第1比率が0.48未満の場合には、トップエッジ部5側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域が占める割合が小さくなることにより、トップエッジ部5側の質量が増加し、ゴルフクラブヘッド1の重心位置が高くなる。その結果、ゴルフクラブヘッド1の重心位置よりも下方の位置(ソール部6側の位置)で打球した場合には、打球時にゴルフクラブヘッド1が重心位置を中心としてソール部6が後方に向かって回転するとともに、いわゆるギア効果によって打球にはこれとは逆向きのバックスピンが加えられる。そのため、このようなゴルフクラブヘッドでは飛距離を向上させることが困難となる。
【0034】
一方、第1比率が0.63超えである場合には、トップエッジ部5側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域の占める割合が十分に大きくなるが、第1領域7および第2領域8が占める割合が小さくなることによってトップエッジ部5側の質量が軽くなる。つまり、ゴルフクラブヘッド1の重心から離れた位置の質量が軽くなる。そのため、ゴルフクラブヘッド1の慣性モーメントが小さくなり、打撃点がずれた場合の打球の方向安定性が低くなるため、このようなゴルフクラブヘッドはスイートエリアが小さくなる。その結果、飛距離を向上させることが困難となる。また、トップエッジ部5側において相対的に厚みの薄い第1溝部5Uが占める割合が高くなることにより、トップエッジ部5の剛性が低下して撓みやすくなる。その結果、打球音が大きくなり、かつ減衰しにくくなるため、打感が悪化するという問題も生じ得る。
【0035】
つまり、第1比率が0.48以上0.63以下であるゴルフクラブヘッド1は、反発係数が高いとともに、重心位置が低く、かつスイートエリアが大きいため、飛距離を効果的に向上することができる。また、このようなゴルフクラブヘッド1は、飛距離の向上に伴って生じ得る打感の悪化が抑制されている。
【0036】
ゴルフクラブヘッド1において、第1比率は0.54以上0.63以下であるのが好ましい。第1比率を0.54以上とすることにより、トップエッジ部5側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域の占める割合を十分に大きくすることができ、トップエッジ部5側の質量を軽くすることができる。その結果、重心位置を低くして、ゴルフクラブヘッド1の重心位置よりも上方の位置(トップエッジ部5側の位置)で打球しやすくすることができ、飛距離を向上させることができる。
【0037】
より好ましくは、第1比率が0.54以上0.59以下である。第1比率を0.59以下とすることにより、トップエッジ部5の剛性を高めることができる。その結果、打球時に生じる打球音を抑制することができるとともに、打球音を減衰し易くすることができるため、ゴルフクラブヘッド1の打感を向上させることができる。
【0038】
次に、ヘッド長L5に対する、ヒール部1hからトゥ部1tに向かう方向に延びる第2溝部6Uの底部の長さL2の比率(第2比率L2/L5)は、0.48以上0.63以下である。上述のように、第2溝部6Uを構成する1つの面はフェースバック面2Bであり、ソール部6側の配置されている第2溝部6Uの底部がフェースバック面2Bのソール部6側の端部を規定している。そのため、上記第2比率が0.48未満の場合には、ソール部6側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域(フェース面2Aに垂直な方向における厚みが薄い領域)が第3領域9および第4領域10と比べて相対的に狭くなる。その結果、フェース面2Aにおける反発係数が低くなり、飛距離を向上させることが困難となる。
【0039】
また、第2比率が0.63超えである場合には、ソール部6側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域の占める割合が十分に大きくなるが、第3領域9および第4領域10が占める割合が小さくなることによってソール部6側の質量が軽くなる。つまり、ゴルフクラブヘッド1の重心位置が高くなる。その結果、上述のように、このようなゴルフクラブヘッドでは飛距離を向上させることが困難となる。
【0040】
つまり、第2比率が0.48以上0.63以下であるゴルフクラブヘッド1は、反発係数が高く、かつ重心位置が低いため、飛距離を効果的に向上することができる。
【0041】
ゴルフクラブヘッド1において、第2比率が0.48以上0.58以下であるのが好ましい。第2比率を0.58以下とすることにより、ソール部6側においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域の占める割合が十分に大きくすることができるとともに、ソール部6側の質量を所定値以上とすることができる。つまり、ゴルフクラブヘッド1の重心位置を低く保つことができる。その結果、上述のように、このようなゴルフクラブヘッド1では飛距離を向上することができる。
【0042】
次に、
図1および
図3を参照して、上記直線D上におけるフェース面2Aの高さ(打球面の高さ)L6は、上記直線D上におけるフェース面2Aのトップエッジ部5における端部からソール部6における端部までの距離である。ここで、フェース面2Aは、上述のように、スコアライン11が形成されていない領域において1つの平面として形成されている。そのため、フェース面2Aのトップエッジ部5における端部とは、フェース面2Aと所定の曲率半径を有するトップエッジ部5の表面との境界部である。フェース面2Aのソール部6における端部とは、フェース面2Aと所定の曲率半径を有するソール部6の表面との境界部である。
【0043】
フェース面2Aの高さL6に対する、直線Dに沿ったフェースバック面2Bの高さL3の比率(第3比率)は0.97以上である。上述のように、フェースバック面2Bは、第1溝部5Uの底部によりトップエッジ部5側の端部が規定されており、第2溝部6Uの底部によりソール部6側の端部が規定されている。よって、直線Dに沿ったフェースバック面2Bの高さL3は、直線Dに沿ったフェースバック面2Bのトップエッジ部5側の端部からソール部6側の端部までの距離である。第1溝部5Uおよび第2溝部6Uの底面が所定の曲率半径を有するU字形状であって、フェースバック面2Bと第1溝部5Uまたは第2溝部6Uとの接続部に明確な境界(エッジ)が形成されてない場合には、フェースバック面2Bのトップエッジ部5側の端部とは、フェースバック面2Bと所定の曲率半径を有する第1溝部5Uの表面との境界部である。同様に、フェースバック面2Bのソール部6側の端部とは、フェースバック面2Bと所定の曲率半径を有する第2溝部6Uの表面との境界部である。
【0044】
なお、フェースバック面2Bと第1溝部5Uまたは第2溝部6Uとの接続部に明確な境界(エッジ)が形成されている場合には、フェースバック面2Bのトップエッジ部5側の端部またはフェースバック面2Bのソール部6側の端部とは、フェースバック面2Bと第1溝部5Uまたは第2溝部6Uとの接続部の明確な境界(エッジ)であればよい。
【0045】
上記第3比率が0.97未満である場合には、ゴルフクラブヘッド1においてフェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域が占める割合が小さくなる。その結果、ゴルフクラブヘッド1の反発係数が低くなり、飛距離を向上させることが困難となる。また、上記第3比率が0.97未満である場合には、ゴルフクラブヘッド1の重心位置が高くなるため、上述のように飛距離を向上させることが困難となる。
【0046】
つまり、第3比率が0.97以上であるゴルフクラブヘッド1は、反発係数が高く、かつ重心位置が低いため、飛距離を向上することができる。
【0047】
次に、
図3を参照して、フェース面2Aに垂直な方向におけるソール部6の最大幅L7は、フェース面2Aからフェース面2Aに垂直な方向における厚肉部6Tの端部までの距離であり、フェース部2の厚み、第2溝部6Uの底部の幅L4、および厚肉部6Tの厚みを含む。最大幅L7に対する、垂直2等分線Dを通り、フェース面2Aに垂直な面における第2溝部6Uの底部の幅L4の第4比率L4/L7が0.31以上0.39以下である。第2溝部6Uの底部の幅L4は、第2溝部6Uの底部を挟んで対向する一方の面であるフェースバック面2Bと、他方の面である厚肉部6Tの前方側の端面との距離である。上記第4比率が0.31未満である場合には、ゴルフクラブヘッド1の反発係数が低くなり、飛距離を向上させることが困難となる。一方、第4比率が0.39超えである場合には、ソール部6において厚肉部6Tが占める割合が小さくなるため、ソール部6の全体の質量が軽くなり、ゴルフクラブヘッド1の重心位置が高くなる。そのため、上述のように飛距離を向上させることが困難となる。また、ソール部6において第2溝部6Uが占める割合が大きくなることにより、ソール部6の剛性が低下する。その結果、ゴルフクラブヘッド1の反発係数が低くなり、飛距離を向上させることが困難となる。
【0048】
第4比率を0.50以上とさらに高くした場合には、ゴルフクラブヘッド1のソール部6側の質量が軽くなり、ゴルフクラブヘッド1の重心から離れた位置の質量が軽くなる。その結果、ゴルフクラブヘッド1の慣性モーメントが小さくなり、打撃点がずれた場合の打球の方向安定性が低くなるため、このようなゴルフクラブヘッドはスイートエリアが小さくなる。
【0049】
つまり、第4比率が0.31以上0.39以下であるゴルフクラブヘッド1は、反発係数が高いとともに、重心位置が低く、かつスイートエリアが大きいため、飛距離を効果的に向上することができる。
【0050】
図4を参照して、ゴルフクラブヘッド1は、ホーゼル部12がシャフト31に、シャフト31がグリップ32に接続されることにより、ゴルフクラブ100を構成する。ゴルフクラブ100において、ゴルフクラブヘッド1は番手(たとえば4I,5I,6I,7Iなど)に応じて任意のロフト角を有して形成され得る。
【0051】
図5を参照して、ゴルフクラブヘッド1には、トゥ部1t側において第1溝部5Uと第2溝部6Uとに接続された第3溝部7Uが形成されていてもよい。また、ヒール部1h側において第1溝部5Uと第2溝部6Uとに接続された第4溝部8Uが形成されていてもよい。第3溝部7Uは、たとえば傾斜面7Vと重なる領域において、トゥ部1t側に底部を有するように形成されていてもよい。第4溝部8Uは、たとえば傾斜面8Vと重なる領域において、ヒール部1h側に底部を有するように形成されていてもよい。
【0052】
この場合、キャビティ部3は、第1溝部5U、第2溝部6Uに加え、第3溝部7Uおよび第4溝部8Uに接続されている。また、フェースバック面2Bは、第3溝部7Uおよび第4溝部8Uの底部と連なる一方の面を構成している。つまり、フェースバック面2Bは、第3溝部7Uが形成されている分だけトゥ部1t側であってトップエッジ部5側に広く形成されており、第4溝部8Uが形成されている分だけヒール部1h側であってトップエッジ部5側に広く形成されている。これにより、フェース面2Aとフェースバック面2Bとが重なる領域を広く形成することができる。
【0053】
このようにしても、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1およびゴルフクラブ100と同様の効果を奏することができる。
【0054】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。