特許第6406895号(P6406895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406895
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】貼付装置及び貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/30 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   B65C9/30
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-129330(P2014-129330)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-8063(P2016-8063A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】徳永 太志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 恒晴
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭48−015134(JP,Y1)
【文献】 実開平01−107509(JP,U)
【文献】 特開2013−107666(JP,A)
【文献】 米国特許第05676629(US,A)
【文献】 特開平07−256794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/30
B65C 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を被貼付面に押圧し貼付する貼付装置であって、
前記物品を押圧する外周面を有する押圧ローラと、
前記外周面に設けられた少なくとも1つの突起と、
前記外周面の中心軸線が回転軸線となるよう前記押圧ローラを回転自在に支持する支持体と
前記押圧ローラに加えられる押圧力が第1の所定値以下であるときに前記押圧ローラの回転を制限する第1の制限機構と
を備える、貼付装置。
【請求項2】
前記押圧ローラに加えられる押圧力が前記第1の所定値よりも大きな第2の所定値以上であるときに前記押圧ローラの回転を制限する第2の制限機構を更に備える、請求項1に記載の貼付装置。
【請求項3】
段ボールを自動車の内壁面に押圧し貼付する貼付装置であって、
前記段ボールを押圧する外周面を有する押圧ローラと、
前記外周面に設けられた少なくとも1つの突起と、
前記外周面の中心軸線が回転軸線となるよう前記押圧ローラを回転自在に支持する支持体と
を備え、
前記突起の先端部が略平坦面となっている、貼付装置。
【請求項4】
前記突起がその先端部に向けて先細りとなっている、請求項3に記載の貼付装置。
【請求項5】
前記突起の末端部の横断面が、該末端部の長さ方向の全体にわたり同一となっている、請求項3又は4に記載の貼付装置。
【請求項6】
前記支持体が、前記押圧ローラから離れる方向に延びる柄部を備える、請求項3〜5のいずれか一項に記載の貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を被貼付面に押圧し貼付する貼付装置に関し、特に、物品を押圧したことをチェックすることが可能である貼付装置に関する。また、本発明は、当該貼付装置を用いての貼付方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造においては、天井部やドア、床部等の内壁面に段ボールを補強材ないしは吸音材として貼り付ける場合がある。この段ボールの一面には両面テープが貼り付けられており、作業時には、両面テープの剥離シートを除去した後、段ボールを天井部等の内壁面の所定箇所に押し付けて段ボールを貼付する。この作業は押圧ローラを有する貼付装置を用いて手作業で行うこともあるが、手作業による場合には、作業中又は作業後に、段ボールを所定の押圧力で押圧したか、或いはどこを押圧したか等が不明になることがある。
【0003】
同様な問題点は、段ボールの貼付作業におけるものに限られず、一面に粘着面を有する硬質ウレタンフォームボード、発泡スチロールボード、木板(合板)等の物品を被貼付面に押圧ローラにより手作業で貼り付ける場合にも生じ得るものである。
【0004】
なお、かかる問題点に対する解決策としては従来から知られたものはない。下記の特許文献1に記載のような治具もあるが、この治具はテープを貼り付けるためのものであり、押圧ローラを用いるものでもなく、本発明の技術分野とは明らかに相違している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−136237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、物品を被貼付面に押圧し貼付する際、物品を所定の位置にて所定の押圧力で押圧したことをチェックすることが可能である貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、物品を被貼付面に押圧し貼付する貼付装置であって、物品を押圧する外周面を有する押圧ローラと、前記外周面に設けられた少なくとも1つの突起と、前記外周面の中心軸線が回転軸線となるよう前記押圧ローラを回転自在に支持する支持体とを備えるものを提供する。
【0008】
かかる構成によれば、押圧ローラの外周面上に突起があるため、押圧ローラで物品を押すと、物品の表面に穴が形成される。この穴が物品表面に形成されていることにより、物品のどの位置を押圧したから確認することができる。また、穴の形状を見ることで、押圧力が所定の範囲にあるかどうかも確認することができる。例えば、穴の形状が小さい場合には押圧力が小さく、貼付が適切に行われていない可能性があることを知ることができる。
【0009】
突起はその先端部に向けて先細りとなっていることが好適である。先細りの形状の場合は、物品に突起を差し込み易くすることができる。
【0010】
また、突起の末端部の横断面が、該末端部の長さ方向の全体にわたり同一となっていることが好適である。この定義によれば、例えば突起が円錐形であれば、その末端部は円柱形となる。一定以上の押圧力で押圧ローラを押すと、突起はその末端部まで物品に挿入される。したがって、このような形状の末端部を設けることで、形成される穴の直径が一定であると視認した場合には、一定以上の押圧力が作用したことが分かる。また、物品が段ボールである場合、穴の形成により吸音性が向上するが、この穴の直径が一定であれば、段ボールの吸音性はその全面にわたり一様なものとなる。
【0011】
更に、突起の先端部は略平坦面であることが好ましい。先端部が略平坦面である場合、突起が物品に差し込まれる際に抵抗が生じる。使用者はこの抵抗感により突起が物品に挿入されたことを知り、押圧ローラが所定の押圧力で物品を押圧したことを触感で知ることができる。また、突起の先端部が略平坦面である場合、物品に差し込まれた瞬間に貫通音も生じ易いので、聴覚によっても適正な押圧が行われたことを知ることができる。
【0012】
支持体については、操作性の観点から、押圧ローラから離れる方向に延びる柄部を備えることが有効である。
【0013】
また、押圧ローラに加えられる押圧力が第1の所定値以下であるときに押圧ローラの回転を制限する第1の制限機構や、押圧ローラに加えられる押圧力が前記第1の所定値よりも大きな第2の所定値以上であるときに押圧ローラの回転を制限する第2の制限機構を更に備えるとよい。このような制限機構によって押圧力を一定の範囲に保つことができ、物品の貼付を確実に行うことが可能となるからである。
【0014】
更に、本発明は、物品を被貼付面に押圧し貼付するための貼付方法に関する。この方法は、上記の貼付装置を用意するステップと、物品を被貼付面上に配置するステップと、貼付装置の押圧ローラを物品に当接させ、押圧ローラに支持体を介して押圧力を加えると共に該押圧ローラを物品上で転動させるステップとを含み、前記転動ステップにおいて突起により物品の表面に穴を形成することを特徴とする。この方法によれば、貼付物品の表面の押圧箇所に穴が形成されるので、作業中又は作業後のチェックすることが可能である。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明による貼付装置及びこの貼付装置を用いての貼付方法によれば、物品を被貼付面に押圧し貼付する際又はその後に、物品を所定の位置にて所定範囲の押圧力で押圧したことを確認する可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による貼付装置の一実施形態を示す正面図である。
図2図1の貼付装置を示す側面図である。
図3図1のIII-III線に沿っての断面図である。
図4図1図3に示す貼付装置に用いられている突起を示す拡大図である。
図5図1図3に示す貼付装置を用いての貼付方法を示す説明図である。
図6】突起のさまざまな変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に沿って本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図を通して同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0018】
図1は本発明による貼付装置10の一実施形態を示す正面図であり、図2はその側面図である。また、図3図1のIII−III線に沿っての断面図である。図示の貼付装置10は円筒状の押圧ローラ12を備えている。押圧ローラ12の外周はゴム又はエラストマー等の弾性材14で被覆されており、押圧ローラ12が押し付けられる面を保護し、また押圧ローラ12の幅方向において均等な押圧力が作用するようになっている。
【0019】
押圧ローラ12は支持体16により回転自在に支持されている。より詳細には、支持体16は、基部18と、基部18の各端部から折り曲げられ互いに対向する脚部20,22とからなるU字状部材であり、脚部20,22の端部間に横架された支持軸24が押圧ローラ12の中心穴に通されて押圧ローラ12を回転自在に支持するようになっている。
【0020】
支持体16は、使用者が把持してこの貼付装置10を取り扱うための柄部26を備えている。図示実施形態では、支持体16の基部18には押圧ローラ12から離れる方向に延びるシャフト28が設けられており、このシャフト28が柄部26の長手方向貫通孔30に、該貫通孔30の軸線に沿って摺動可能に嵌合している。なお、符号32は柄部本体であり、符号34はシャフト28と貫通孔30内面との間の摩耗を防ぐためのブシュ、符号36はグリップである。
【0021】
柄部26の側面にはステー38が固定され、このステー38は押圧ローラ12の一方の側面まで延びている。押圧ローラ12の側面には、押圧ローラ12の外周面により規定される中心軸線(押圧ローラ12の中心穴の軸線)と同軸である環状の溝40が形成されている。ステー38の先端に設けられた内向きのピン42は、支持体16の脚部22の長孔44を通り、対向する溝40内に延びている。これによって、柄部26からのシャフト28の抜落ちが防止される。
【0022】
押圧ローラ12とは反対側の、貫通孔30の端部には、ばね力調整ねじ46が螺合されている。ばね力調整ねじ46と支持体16のシャフト28との間には圧縮ばね48が配置されており、シャフト28を柄部26から離れる方向に付勢している。これによって、この貼付装置10を使用していない状態では、柄部26から延びるステー38のピン42は溝40の外側の側壁面に接することになる。
【0023】
溝40の外側の側壁面には、周方向に等間隔で複数の凹部50が形成されている。各凹部50はピン42が嵌合するサイズとなっており、ピン42が凹部50のいずれかに嵌合している状態では押圧ローラ12の回転が制限されることになる。押圧ローラ12を柄部26側に押すと、圧縮ばね48のばね力に抗して支持体16のシャフト28が柄部26内に押し入れられ、ステー38のピン42が凹部50から離脱し、押圧ローラ12は回転自在となる。押圧ローラ12を柄部26内に押し込む力は、柄部26から押圧ローラ12に加えられる押圧力に他ならず、この押圧力が圧縮ばね48により定まる値(第1の所定値)以下である場合には、押圧ローラ12の回転が制限され、第1の所定値を超えると、押圧ローラ12は回転自在となる。
【0024】
押圧ローラ12を圧縮ばね48のばね力に抗して更に柄部26に押し込んでいくと、ステー38のピン42は溝40の内側の側壁面に当接される。この内側の側壁面にも複数の凹部52が周方向に等間隔で形成されており、この凹部52にピン42が嵌合すると、押圧ローラ12の回転が再び制限される。すなわち、押圧ローラ12に加えられる押圧力が、前記第1の所定値よりも大きな第2の所定値以上となると、押圧ローラ12を回転させることができなくなる。
【0025】
なお、ばね力調整ねじ46を回すことで圧縮ばね48の長さを変え、前記の第1の所定値及び第2の所定値を調整することが可能である。
【0026】
図示実施形態では、押圧ローラ12の外周面には突起54が設けられている。突起54は、図1図3に示すように、複数を周方向に等間隔に、且つ、押圧ローラ12の幅方向における中央となる位置に配置することが好ましいが、突起は少なくとも1つあればよく、また、その位置も図示のものに限られない。例えば、複数の突起54を千鳥配置してもよい。各突起54は、その先端部に向けて先細りとなっていることが好ましく、本実施形態では、図4に明示するように、円錐形となっている。また、図4に示す突起54では、末端部56が円柱形となっている。更に、この突起54は切頭型、すなわち先端部が略平坦面58となっている。かかる突起54の寸法は適宜定めることができるが、以下で述べる段ボールを貼付する場合には、全高Hが約2mm〜約10mm、末端部56の高さhが約1mm、末端部56の直径Dが約2mm〜約3mm、先端部の略平坦面58の直径dが約1mmとすることが好適である。
【0027】
次に、上述したような構成の貼付装置10を用いての本発明による貼付方法の一実施形態について説明する。この実施形態は、段ボールを自動車の天井の内壁面等の被貼付面に貼付する場合である。図5に概略的に示すように、段ボール60は、その裏面に複数本の両面テープ62が一定の間隔で貼り付けられたものである。なお、両面テープ62が段ボール60の一面にランダムに又は一様に貼り付けられていてもよい。また、段ボール60の表面には、図5に示すように、両面テープ62の位置を示すガイドライン64a,64bが描かれていてもよい。
【0028】
まず、使用者は、段ボール60の両面テープ62から剥離シート(図示しない)を除去し、被貼付面の所定箇所に段ボール60を配置し、軽く手で段ボール60を押さえ付けて仮止めする。
【0029】
次いで、貼付装置10の柄部26を握り、ガイドライン64a,64bを目安にして押圧ローラ12を段ボール60の表面の、両面テープ62のちょうど反対側の位置に当接させる。そして、柄部26を段ボール60側に押すと、所定の押圧力を超えた時点で押圧ローラ12が回転自在となり、そのままガイドライン64a,64bに沿って押圧ローラ12を段ボール60上で転動させる。これによって、押圧ローラ12が適当な押圧力(前記第1の所定値を超える力)をもって段ボール60を押圧し、段ボール60を被貼付面に貼付することができる。同時に、押圧ローラ12上の突起54が段ボール60の表面に穴66を形成していくため、押圧が所望の箇所にて確実に行われたか否かを、作業中又は作業後にチェックすることができる。
【0030】
突起54が段ボール60に押し入って穴66を形成する際、突起54の先端部が略平坦面58であるため、小さな抵抗感を使用者に与えるが、この抵抗感によって押圧が行われていることが使用者に伝わる。また、突起54の先端部が略平坦面58である場合、突起54が段ボールに押し入る瞬間に小さな貫通音が生じ易い。抵抗感や貫通音は、押圧ローラ12が見にくい環境での作業において、押圧が確実に行われていることを知る上で極めて有効となる。
【0031】
なお、本実施形態では、柄部26に加える押圧力が第1の所定値を超えて第2の所定値に達すると、ステー38のピン42が押圧ローラ12の溝40の凹部52に嵌合し、押圧ローラ12の回転が制限される。このため、段ボール60の貼付作業が強制的に停止されることになるが、大きな押圧力により段ボール60が押圧ローラ12によりへこむという弊害が好適に防止される。
【0032】
かくして、段ボール60は、第1の所定値と第2の所定値との間の適正な押圧力で被貼付面に押し付けられ、貼付が確実に行われる。ここで、本実施形態では、突起54の末端部56が円柱形となっていることに留意されたい。突起54の末端部56が円柱形である場合、押圧力の第1の所定値と第2の所定値とを適正に定めると、突起54の突き刺し量を末端部56が位置する範囲内とすることができ、段ボール60に形成される穴66の直径を略一定とすることができる。これは、施工後の段ボール60の見栄えを向上させる。また、穴66は段ボール60の吸音性を向上させることが分かっているので、その直径が均等であれば、段ボール60の全面にわたって吸音性が一様に向上するという効果を奏する。なお、仮に突起54が末端部までも円錐形であるならば、押圧力が第1の所定値と第2の所定値との間であっても、形成される穴66の直径にばらつきが生じることになる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0034】
例えば、上記実施形態では、支持体16のシャフト28、柄部26、圧縮ばね48、ステー38のピン42及び溝40の外側の凹部50により押圧ローラ12の回転を制限する機構(第1の制限機構)が構成され、支持体16のシャフト28、柄部26、圧縮ばね48、ステー38のピン42及び溝40の内側の凹部52により押圧ローラ12の回転を制限する機構(第2の制限機構)が構成されるとしたが、これらの制限機構としては、凹部とピンとの嵌合以外にも、摩擦により回転を制限する手段が考えられる。また、押圧力を検知して電気的に制限機構を作動させるものも考えられ、更には、所定範囲外の押圧力が生じた場合にアラームを発するような手段も制限機構の一種としてもよい。
【0035】
また、第1の制限機構及び第2の制限機構又はその一方を有しない貼付装置10も請求項1に係る本発明に属するものである。この場合、突起54により形成された穴66の状態を見ることで、押圧力が適正に作用したか否かをチェックすることができる。
【0036】
更に、突起54の形状も、図6に示すように、種々考えられる。なお、図6の(a)に示す突起54は先端が尖塔形となっており、上述した抵抗感や貫通音の効果は得られないものの、押圧ローラ12の転動が円滑になるという効果がある。また、図6の(b)は突起54の先端部の形状が外方に僅かに突出した湾曲面となっており、突起の先端部が完全な平坦面である必要がないことを示している。このような面も略平坦面に含まれるものである。図6の(c)は突起54が多角錐(六角錐)形状でもよいことを示している。このような多角錐形状でも末端部56が角柱であること、すなわち、突起54と押圧ローラ12との交差部分から突起54の先端部に向けて所定の長さにわたる突起54の末端部56の横断面(突起54の長手方向軸線に直角の面での断面)が末端部56の全体にわたり同一となっていることが好ましい。図6の(d)は円柱形の突起54を示している。円柱形の突起54は、物品の表面に形成される穴66が長穴となる傾向があり、その穴66の長さを見ることで押圧の度合いをチェックすることができる。
【0037】
なお、突起54の末端部56は、上記実施形態では押圧ローラ12の外周面から突出するように図示してあるが、押圧ローラ12の弾性材14が柔軟であり、押圧時に弾性材14が容易に変形するような形態においては、末端部56はその全体が又は一部が弾性材14内に埋没した状態となっていてもよい。この場合、押圧ローラ12を物品に押し付けた際、弾性材14がへこみ、突起54の末端部56が押圧ローラ12の外周面から露出することになる。その結果、上述したような作用効果を奏することは容易に理解されよう。
【0038】
また、上記実施形態は、自動車の天井部等の内壁面に段ボールを貼付する場合を想定したものであるが、段ボールを貼付する用途のみならず、硬質ウレタンフォームボードや発泡スチロールボード、木板(合板等)、ゴム、発泡ゴム等の、圧力により陥没するタイプの物品、或いは、圧力を加えることで他の表面変化(例えば、発色、傷等)を起こすタイプの物品を家屋の壁や仕切り面、スピーカボックスの内面等に貼付する等の用途にも本発明は適用可能である。両面テープがなく片面全体が粘着面となっている物品にも本発明は適用可能であり、更には被貼付面に粘着面が設けられている場合にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10…貼付装置。12…押圧ローラ、14…弾性材、16…支持体、18…基部、20,22…脚部、24…支持軸、26…柄部、28…シャフト、30…貫通孔、32…柄部本体、34…ブシュ、36…グリップ、38…ステー、40…溝、42…ピン、44…長孔、50,52…凹部、54…突起、56…末端部、58…略平坦面、60…段ボール(物品)、62…両面テープ、64a,64b…ガイドライン、66…穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6