(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図面において同一、又は類似の参照符号は、同一、類似、又は等価な構成要素を示している。以下では、表示パネルを駆動するドライバICに搭載された集積回路装置を一例として本発明による集積回路装置の詳細を説明する。
【0017】
(概要)
本発明による集積回路装置は、出力電圧としてゲート電源電圧を生成する昇圧回路とプリチャージ回路を具備する。昇圧回路は、バックゲートにゲート電源電圧が供給される昇圧用スイッチを利用した昇圧動作により、ゲート電源電圧を所定の電圧まで昇圧する。プリチャージ回路は、昇圧回路に対して基準電源電圧が供給される前に、基準電源電圧と異なる他の電源電圧により、ゲート電源電圧が供給される予定のノードをプリチャージする。これにより、昇圧動作を行う昇圧用スイッチにおいて、バックゲートと、基準電源電圧が供給される拡散層との電位差が、寄生トランジスタの動作電圧を超えずラッチアップの発生を防止することができる。
【0018】
1.第1の実施の形態
第1の実施の形態では、ロジック回路(制御信号生成回路12)からの制御信号に応じて、昇圧回路14に対する基準電源電圧VCI1の供給や、正側ゲート電源電圧VGH(出力電圧とも称す)が供給されるノードN10へのプリチャージ動作が制御される。以下、
図5から
図9を参照して、本発明による表示装置100の第1の実施の形態を説明する。
【0019】
(表示装置の構成)
図5は、第1の実施の形態における表示装置100の構成の一例を示す図である。
図5を参照して、表示装置100は、ドライバIC1及び表示パネル2を具備する。ドライバICは、表示パネル2のゲート線(図示なし)を駆動するゲート駆動回路15と、ソース線(図示なし)を駆動するソース駆動回路16を具備する。詳細には、ドライバIC1は、ロジック用電源回路11、制御信号生成回路12、アナログ用電源回路13、昇圧回路14、ゲート駆動回路15、ソース駆動回路16、及びプリチャージ回路17を具備する。ロジック用電源回路11、制御信号生成回路12、アナログ用電源回路13、昇圧回路14、ゲート駆動回路15、ソース駆動回路16、及びプリチャージ回路17は、1チップに集積されていることが好ましい。
【0020】
ロジック用電源回路11は、外部電源(図示なし)から供給されるロジック用電源電圧VDDIに応じてロジック電源電圧VDDを生成する。制御信号生成回路12は、ロジック電源電圧VDDに応じて動作するロジック回路である。制御信号生成回路12は、ドライバIC内の構成要素の動作タイミングを規定する制御信号120〜124を生成する。例えば、制御信号生成回路12は、制御信号120をアナログ用電源回路13に出力し、アナログ用電源回路13の起動タイミングを制御する。制御信号生成回路12は、制御信号121をゲート駆動回路15に出力し、ゲート駆動回路15におけるゲート駆動動作のタイミングを制御する。制御信号生成回路12は、制御信号122をソース駆動回路16に出力し、ソース駆動回路16におけるソース駆動動作のタイミングを制御する。制御信号生成回路12は、制御信号123を昇圧回路14に出力し、昇圧回路14における起動や昇圧動作を制御する。制御信号生成回路12は、制御信号124をプリチャージ回路17に出力し、プリチャージ回路17における起動やプリチャージ動作を制御する。
【0021】
アナログ用電源回路13は、外部電源から供給されるアナログ用電源電圧VSP、VSNに基づいて、基準電源電圧VCI1、VCI2を生成する。
図6を参照して、アナログ用電源回路13は、制御信号SEQ_DC2を含む制御信号120に応じて、基準電源電圧VCI1、VCI2を生成する。詳細には、アナログ用電源回路13は、制御信号SEQ_DC2に応じたタイミングで基準電源電圧VCI1、VCI2の生成を開始するレギュレータ(図示なし)を備える。例えば、アナログ用電源回路13は、正側のアナログ用電源電圧VSPから正側の基準電源電圧VCI1(例えば6V)を生成する正電圧レギュレータ(図示なし)と、負側のアナログ用電源電圧VSNから負側の基準電源電圧VCI2(例えば−6V)を生成する負電圧レギュレータ(図示なし)を備える。アナログ用電源回路13は、ドライバIC1の外部に設けられても構わない。この場合、後述する所定のタイミングで、昇圧回路14に対し基準電源電圧VCI1、VCI2が供給されることが好ましい。
【0022】
昇圧回路14は、基準電源電圧VCI1を昇圧して生成した正側ゲート電源電圧VGHを出力するとともに、基準電源電圧VCI2を負昇圧して生成した負側ゲート電源電圧VGLを出力する。詳細には、
図6を参照して、第1の実施の形態における昇圧回路14の昇圧動作は、クロック信号CLK、CLKB及び制御信号SEQ_DC2を含む制御信号123に応じて制御される。
【0023】
より詳細には、昇圧回路14は、基準電源電圧VCI1を昇圧して正側ゲート電源電圧VGHを生成するチャージポンプ回路40を備える(
図3及び
図4参照)。
図3を参照して、チャージポンプ回路40は、昇圧用スイッチSW11〜SW14、及び容量C1、C2を備える。詳細には、基準電源電圧VCI1が供給されるノードN11とノードN10との間に昇圧用スイッチSW11と昇圧用スイッチSW12が直列接続され、ノードN11と接地ノードN12との間に昇圧用スイッチSW13と昇圧用スイッチSW14が直列接続される。昇圧用スイッチSW11と昇圧用スイッチSW12が接続される一端と、昇圧用スイッチSW13と昇圧用スイッチSW14とが接続される一端との間に、容量C1が接続される。又、ノードN10と接地ノードN12との間に容量C2が接続される。昇圧用スイッチSW11〜SW14は、
図4に示すトランスファゲートに例示され、制御信号生成回路12から供給されるクロック信号CLK、CLKBにより、そのスイッチング動作が制御される。ここで、昇圧用スイッチSW11及び昇圧用スイッチSW14のPチャネル型トランジスタMP1(Nチャネル型トランジスタ)に入力されるクロック信号CLK(CLKB)に対して論理値が反対のクロック信号CLKB(CLK)が、昇圧用スイッチSW12及び昇圧用スイッチSW13のPチャネル型トランジスタMP1(Nチャネル型トランジスタ)に入力される。又、チャージポンプ回路40の動作開始及び動作終了は、制御信号生成回路12からの制御信号SEQ_DC2によって制御される。例えば、制御信号SEQ_DC2の論理レベルがローレベルのときチャージポンプ回路40は動作せず、ハイレベルのとき昇圧動作する。
【0024】
チャージポンプ回路40は、昇圧用スイッチSW11〜SW14によるスイッチング動作によって、容量C1、C2を充放電することで、ノードN11に供給される基準電源電圧VCI1の2倍の電圧を正側ゲート電源電圧VGHとしてノードN10に出力する。尚、
図3では、2倍昇圧するチャージポンプ回路40を一例として説明したが、昇圧倍数は、昇圧用スイッチと容量の接続数を変更することで任意に変更できる。
【0025】
詳細な構成は省略するが、昇圧回路14は、基準電源電圧VCI2を降圧(負昇圧とも称す)して負側ゲート電源電圧VGLを生成する一般的なチャージポンプ回路を備える。例えば、負側ゲート電源電圧VGLを生成するチャージポンプ回路は、
図13に示すチャージポンプ回路50と同様の構成である。ただし、
図13には図示しないが、ノードN20には、順方向接続されたダイオードを介して負側のアナログ用電源電圧VSNが供給される。尚、
図13では、2倍に降圧するチャージポンプ回路50が例示されるが、降圧倍数は、昇圧用スイッチと容量の接続数を変更することで任意に変更できる。
【0026】
ゲート駆動回路15は、正側ゲート電源電圧VGH及び負側ゲート電源電圧VGLに基づいて表示パネル2のゲート線(図示なし)を駆動するゲート線駆動信号150を生成する。この際、駆動するゲート線の選択や駆動タイミング等は制御信号121によって制御される。
【0027】
ソース駆動回路16は、アナログ用電源電圧VSP、VSNに基づいて表示パネル2のソース線(図示なし)を駆動するソース線駆動信号160を生成する。この際、駆動するソース線の選択や駆動タイミング等は制御信号122によって制御される。
【0028】
ゲート駆動回路15及びソース駆動回路16の具体的な構成及び動作は、一般的なゲート駆動回路及びソース駆動回路と同様である。
【0029】
第1の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI1が供給される前に、正側のアナログ用電源電圧VSPに応じたプリチャージ電圧VPC1によって、正側ゲート電源電圧VGHを昇圧する。
【0030】
図6を参照して、第1の実施の形態においてノードN10(正側ゲート電源電圧VGH)に対するプリチャージ電圧VPC1の供給動作は、制御信号SEQ_ON及び制御信号VGIN1を含む制御信号124に応じて制御される。
【0031】
図7は、第1の実施の形態におけるプリチャージ回路17の構成の一例を示す図である。
図7を参照して、第1の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、インバータINV10、CMOS回路71、及びプリチャージ制御スイッチ72を備える。インバータINV10は、制御信号SEQ_ONが入力されるノードN30とCMOS回路の71の入力となるノードN31の間に接続される。本実施の形態におけるプリチャージ制御スイッチ72は、Pチャネル型のMOSトランジスタに例示されるPチャネル型トランジスタMP20が好適である。Pチャネル型トランジスタMP20のソース及びドレインは、CMOS回路71の出力となるノードN32と、正側ゲート電源電圧VGHが供給されるノードN10との間に接続される。Pチャネル型トランジスタMP20のゲートには、制御信号VGIN1が入力される。CMOS回路71は、正側のアナログ用電源電圧VSPが供給されるノードN33にソースが接続されたPチャネル型トランジスタMP10と、接地電位のノードN34にソースが接続されるNチャネル型トランジスタMN10を備える。Pチャネル型トランジスタMP10とNチャネル型トランジスタMN10のゲートは、ノードN31に共通接続され、それぞれのドレインはノードN32に共通接続される。
【0032】
CMOS回路71は、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移すると、ノードN32にアナログ用電源電圧VSPを供給する。これにより、ノードN32の電圧VSPINは、アナログ用電源電圧VSPの電位まで上昇する。この間、論理レベルがローレベルの制御信号VGIN1が入力されることで、Pチャネル型トランジスタMP20はターンオンし、ノードN32の電圧VSPINはプリチャージ電圧VPC1としてノードN10に供給される。これにより、ノードN10の電圧(正側ゲート電源電圧VGH)は、アナログ用電源電圧VSPの電位まで上昇する。すなわち、制御信号SEQ_ONがハイレベル、且つ制御信号VGIN1がローレベルの間、プリチャージ回路17は、ノードN10にプリチャージ電圧VPC1を供給し、正側ゲート電源電圧VGHを昇圧(プリチャージ)する。
【0033】
ノードN10(正側ゲート電源電圧VGH)に対するプリチャージ期間は、制御信号VGIN1によって制御される。詳細には、制御信号VGIN1の論理レベルがハイレベルに遷移することで、Pチャネル型トランジスタMP20はオフとなり、ノードN10に対するプリチャージ電圧VPC1の供給は遮断される。
【0034】
このように、プリチャージ回路17は、制御信号SEQ_ON及び制御信号VGIN1によって決められた期間、ノードN10(正側ゲート電源電圧VGH)を所定の電位(例えばアナログ用電源電圧VSP)まで昇圧(プリチャージ)することができる。尚、本実施の形態におけるプリチャージ期間は、制御信号生成回路12によって設定される。
【0035】
以上のような構成において、外部電源(図示なし)からの電源電圧の投入時期、及び制御信号120、123、124を適切に制御することにより、ドライバIC1の起動時において、基準電源電圧VCI1が正側ゲート電源電圧VGHを上回ることを防止できる。以下、電源電圧の投入タイミングとドライバIC1の起動時における正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作について詳細に説明する。
【0036】
(電源投入のタイミングと正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作)
図8は、第1及び第2の実施の形態における電源投入タイミングの一例を示すタイミングチャートである。又、
図9は、第1及び第2の実施の形態におけるドライバICの起動動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0037】
図8を参照して、時刻t1において、外部電源(図示なし)からロジック用電源電圧VDDI、アナログ用電源電圧VSP、VSNが供給される。この際、負側のアナログ用電源電圧VSNの立下りに応じて、負側ゲート電源電圧VGLは立ち下がる。ここでは詳細な説明は省略するが、第1、第2の実施の形態における負側のチャージポンプ回路は、
図13に示すチャージポンプ回路50と同様の構成であり、負側のアナログ用電源電圧VSNが図示しないダイオードを介してノードN20に供給される。このため、時刻t1において負側ゲート電源電圧VGLは立ち下がる。又、ロジック用電源電圧VDDIの供給に伴い、ロジック電源電圧VDDが所望の電圧に至り、制御信号生成回路12が動作を開始する。
【0038】
ロジック電源電圧VDD、アナログ用電源電圧VSP、VSNが所望の電圧に至り、十分な時間が経過した時刻t2において、正側ゲート電源電圧VGHがプリチャージされる。
図9を参照して、時刻t2において、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移し、CMOS回路71の出力ノード(ノードN32)の電圧VSPINは、正側のアナログ用電源電圧VSPにより上昇する。このとき、制御信号VGIN1の論理レベルはローレベルに固定されているため、昇圧回路14の正側出力ノード(ノードN10)の電圧(正側ゲート電源電圧VGH)は、電圧VSPINに応じたプリチャージ電圧VPC1により昇圧される。又、時刻t2において、制御信号SEQ_DC2の論理レベルはローレベルに固定されているため、
図8に示すように、基準電源電圧VCI1は昇圧回路14に供給されず、昇圧回路14は昇圧動作を行わない。
【0039】
続いて、正側ゲート電源電圧VGHが、正側のアナログ用電源電圧VSPと略同値まで引き上げられる時刻t3において、制御信号SEQ_DC2はハイレベルに遷移する。これにより、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI1が供給され始め、昇圧回路14は昇圧動作を開始する。一方、制御信号SEQ_DC2のハイレベルへの遷移と略同時的、又は、制御信号SEQ_DC2のハイレベルへの遷移よりも後に、制御信号VGIN1はハイレベルに遷移する。これにより、プリチャージ制御スイッチ72(Pチャネル型トランジスタMP20)はターンオフし、プリチャージ回路17による正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作(プリチャージ)は終了する。
【0040】
時刻t3以降、昇圧回路14の昇圧動作により正側ゲート電源電圧VGHは、所定の電圧(例えば15V)まで昇圧される。又、
図8を参照して、通常の昇圧回路と同様に、正側ゲート電源電圧VGHが所定の電圧で安定した時刻t4において、負側ゲート電源電圧VGLは所定の電圧(例えば−15V)まで負昇圧される。
【0041】
本実施の形態では、時刻t2から時刻t3の間、基準電源電圧VCI1の供給が行われないが、正側ゲート電源電圧VGHは、所定の電位(ここでは、正側のアナログ用電源電圧VSP(例えば6V))まで昇圧される。このため、立ち上がり時間の短い基準電源電圧VCI1が時刻t3に供給され始めても、基準電源電圧VCI1が正側ゲート電源電圧VGHを超えることはない。この結果、昇圧回路14内の昇圧用スイッチSW11〜SW14において寄生トランジスタがターンオンすることがなくなり、ラッチアップの発生が抑制される。
【0042】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態では、プリチャージ回路17によって生成された制御信号に応じて、昇圧回路14に対する基準電源電圧VCI1の供給や、正側ゲート電源電圧VGH(出力電圧とも称す)が供給されるノードN10へのプリチャージ動作が制御される。以下、
図8、
図9から
図12を参照して、本発明による表示装置100の第2の実施の形態を説明する。
【0043】
(表示装置の構成)
図10は、第2の実施の形態における表示装置100の構成の一例を示す図である。
図10を参照して、表示装置100は、ドライバIC1及び表示パネル2を具備する。第2の実施の形態は、基準電源電圧VCI1の生成及び昇圧回路14における昇圧動作がプリチャージ回路17によって制御される点で、第1の実施の形態と相違する。この相違点以外の構成は、第1の実施の形態と同様の構成である。以下では、第1の実施の形態との相違点について説明する。
【0044】
図11を参照して、第2の実施の形態における昇圧回路14の昇圧動作は、クロック信号CLK、CLKBを含む制御信号123、及び、プリチャージ回路17から出力される制御信号SEQ_DC2に応じて制御される。
【0045】
第2の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI1が供給される前に、正側ゲート電源電圧VGHが供給される予定のノードN10の電位をプリチャージ電圧VPC1によって昇圧する。詳細には、
図11を参照して、第2の実施の形態では、ノードN10に対するプリチャージ電圧VPC1の供給動作は、制御信号SEQ_ONを含む制御信号124に応じて制御される。
【0046】
図12は、第2の実施の形態におけるプリチャージ回路17の構成の一例を示す図である。
図12を参照して、第2の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、インバータINV10、CMOS回路71、プリチャージ制御スイッチ72、コンパレータCMP1、及びレベルシフタLS1、LS2を備える。インバータINV10は、制御信号SEQ_ONが入力されるノードN30とCMOS回路の71の入力となるノードN31の間に接続される。本実施の形態におけるプリチャージ制御スイッチ72は、Pチャネル型のMOSトランジスタに例示されるPチャネル型トランジスタMP20が好適であり、CMOS回路71と出力となるノードN32と正側ゲート電源電圧VGHが供給されるノードN10との間に接続される。Pチャネル型トランジスタMP20のゲートには、制御信号VGIN1が入力される。CMOS回路71は、正側のアナログ用電源電圧VSPが供給されるノードN33にソースが接続されたPチャネル型トランジスタMP10と、接地電位のノードN34にソースが接続されるNチャネル型トランジスタMN10を備える。Pチャネル型トランジスタMP10とNチャネル型トランジスタMN10のゲートは、ノードN31に共通接続され、それぞれのドレインはノードN32に共通接続される。
【0047】
ノードN32(CMOS回路71の出力)は、コンパレータCMP1の非反転入力端子に接続されるとともに、プリチャージ制御スイッチ72(Pチャネル型トランジスタMP20)を介してノードN10に接続される。ノードN33は、コンパレータCMP1の反転入力端子に接続される。コンパレータCMP1の出力端子は、レベルシフタLS1、LS2の入力端子に接続される。レベルシフタLS1の出力端子はノードN40を介してアナログ用電源回路13及び昇圧回路14に接続される(
図11及び
図12参照)。レベルシフタLS2の出力端子はプリチャージ制御スイッチ72の制御ノード(ここではPチャネル型トランジスタMP20のゲート)に接続される。
【0048】
コンパレータCMP1は、ノードN33に供給されるアナログ用電源電圧VSPとノードN32の電圧VSPINの比較結果に応じた論理レベルの信号を、レベルシフタLS1、LS2に出力する。レベルシフタLS1は、コンパレータCMP1の出力信号レベルをアナログ用電源電圧レベル(VSP)からロジック用電源電圧レベル(VDD)にレベルシフトし、制御信号SEQ_DC2として出力する。レベルシフタLS2は、コンパレータCMP1の出力信号レベルをアナログ用電圧電源レベル(VSP)からゲート電源電圧レベル(VGH−VGL)にレベルシフトし、制御信号VGIN1として出力する。
【0049】
CMOS回路71は、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移すると、ノードN32にアナログ用電源電圧VSPを供給する。これにより、ノードN32の電圧VSPINは、アナログ用電源電圧VSPの電位まで上昇する。電圧VSPINが正側のアナログ用電源電圧VSPよりも小さいとき、コンパレータCMP1は論理レベルがローレベルの信号を出力する。具体的には、電圧VSPINが、正側のアナログ用電源電圧VSPからオフセット電圧を減じた値(例えばVSP−100mV)よりも小さいとき、コンパレータCMP1は論理レベルがローレベルの信号を出力する。このとき、レベルシフタLS2から出力される制御信号VGIN1はローレベルとなり、Pチャネル型トランジスタMP20はターンオンする。この結果、ノードN32の電圧VSPINはプリチャージ電圧VPC1としてノードN10に供給され、ノードN10の電圧(正側ゲート電源電圧VGH)は、アナログ用電源電圧VSPの電位まで上昇する。一方、レベルシフタLS1から出力される制御信号SEQ_DC2はローレベルとなり、アナログ用電源回路13による基準電源電圧VCI1の生成動作、及び昇圧回路14の昇圧動作を停止する(又は動作を開始させない)。
【0050】
電圧VSPINが正側のアナログ用電源電圧VSPよりも大きくなると、コンパレータCMP1は論理レベルがハイレベルの信号を出力する。具体的には、電圧VSPINが、正側のアナログ用電源電圧VSPからオフセット電圧を減じた値(例えばVSP−100mV)よりも大きいとき、コンパレータCMP1は論理レベルがハイレベルの信号を出力する。このとき、レベルシフタLS2から出力される制御信号VGIN1はハイレベルとなり、Pチャネル型トランジスタMP20はターンオフする。この結果、ノードN10に対するプリチャージ電圧VPC1の供給は遮断される。一方、レベルシフタLS1から出力される制御信号SEQ_DC2はハイレベルとなり、アナログ用電源回路13による基準電源電圧VCI1の生成動作、及び昇圧回路14の昇圧動作が実行される。
【0051】
すなわち、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、制御信号SEQ_ONがハイレベル、制御信号VGIN1がローレベルの間、プリチャージ回路17は、ノードN10にプリチャージ電圧VPC1を供給し、正側ゲート電源電圧VGHを昇圧(プリチャージ)する。又、第2の実施の形態では、ノードN32の電圧VSPINがアナログ用電源電圧VSPと略同値となることを検出し、これを、制御信号SEQ_DC2(基準電源電圧VCI1の生成動作及び昇圧回路14の昇圧動作の制御)にフィードバックしている。このため、第1の実施の形態と比較して、第2の実施の形態におけるドライバIC1では、制御信号生成回路12からの制御信号120、123として制御信号SEQ_DC2を出力する必要がなくなるとともに、制御信号124として制御信号VGIN1を出力する必要がなくなる(
図6及び
図11参照)。
【0052】
以上のような構成において、外部電源(図示なし)からの電源電圧の投入時期、及び制御信号124を適切に制御することにより、ドライバIC1の起動時において、基準電源電圧VCIが正側ゲート電源電圧VGHを上回ることを防止できる。
【0053】
(電源投入のタイミングと正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作)
以下、
図8及び
図9を参照して、第2の実施の形態における電源電圧の投入タイミングとドライバIC1の起動時における正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作について詳細に説明する。
【0054】
図8を参照して、時刻t1において、外部電源(図示なし)からロジック用電源電圧VDDI、アナログ用電源電圧VSP、VSNが供給される。この際、負側のアナログ用電源電圧VSNの立下りに応じて、負側ゲート電源電圧VGLは立ち下がる。又、ロジック用電源電圧VDDIの供給に伴い、ロジック電源電圧VDDが所望の電圧に至り、制御信号生成回路12が動作を開始する。
【0055】
ロジック電源電圧VDD、アナログ用電源電圧VSP、VSNが所望の電圧に至り、十分な時間が経過した時刻t2において、正側ゲート電源電圧VGHがプリチャージされる。
図9を参照して、時刻t2において、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移し、CMOS回路71の出力ノード(ノードN32)の電圧VSPINは、正側のアナログ用電源電圧VSPにより上昇する。このとき、電圧VSPINがアナログ用電源電圧VSPを下回る期間、制御信号VGIN1の論理レベルはローレベルに固定されているため、昇圧回路14の正側出力ノード(ノードN10)の電圧(正側ゲート電源電圧VGH)は、電圧VSPINに応じたプリチャージ電圧VPC1により昇圧される。又、この間、制御信号SEQ_DC2の論理レベルはローレベルに固定されているため、
図8に示すように、基準電源電圧VCI1は昇圧回路14に供給されず、昇圧回路14は昇圧動作(負昇圧動作も含む)を行わない。
【0056】
続いて、時刻t3において、正側ゲート電源電圧VGHが、正側のアナログ用電源電圧VSPと略同値まで引き上げられると、制御信号SEQ_DC2はハイレベルに遷移する。これにより、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI1が供給され始め、昇圧回路14は昇圧動作を開始する。又、時刻t3において、正側ゲート電源電圧VGHが、正側のアナログ用電源電圧VSPと略同値まで引き上げられると、制御信号VGIN1はハイレベルに遷移する。これにより、プリチャージ制御スイッチ72(Pチャネル型トランジスタMP20)はターンオフし、プリチャージ回路17による正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作(プリチャージ)は終了する。
【0057】
時刻t3以降、昇圧回路14の昇圧動作により正側ゲート電源電圧VGHは、所定の電圧(例えば15V)まで昇圧される。又、
図8を参照して、通常の昇圧回路と同様に、正側ゲート電源電圧VGHが所定の電圧で安定した時刻t4において、負側ゲート電源電圧VGLは所定の電圧(例えば−15V)まで負昇圧される。
【0058】
本実施の形態では、時刻t2から時刻t3の間、基準電源電圧VCI1の供給が行われないが、正側ゲート電源電圧VGHは、所定の電位(ここでは、正側のアナログ用電源電圧VSP(例えば6V))まで昇圧される。このため、立ち上がり時間の短い基準電源電圧VCI1が時刻t3に供給され始めても、基準電源電圧VCI1が正側ゲート電源電圧VGHを超えることはない。この結果、昇圧回路14内の昇圧用スイッチSW11〜SW14において寄生トランジスタがターンオンすることがなくなり、ラッチアップの発生が抑制される。
【0059】
又、本実施の形態におけるプリチャージ回路17は、正側ゲート電源電圧VGHの大きさに応じて、基準電源電圧VCI1の生成開始及び昇圧回路14の昇圧開始を制御する。このため、第1の実施の形態で必要とした制御信号生成回路12からの制御信号SEQ_DC2、VGIN1が不要となる。
【0060】
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、ロジック回路(制御信号生成回路12)からの制御信号に応じて、昇圧回路14に対する基準電源電圧VCI2の供給や、負側ゲート電源電圧VGLが供給されるノードN20へのプリチャージ動作が制御される。以下、
図5、
図6、
図13から
図16を参照して、本発明による表示装置100の第3の実施の形態を説明する。
【0061】
(表示装置の構成)
第3の実施の形態は、基準電源電圧VCI2の投入前に負側ゲート電源電圧VGL(出力電圧とも称す)がプリチャージされる点で、第1の実施の形態と相違する。この相違点以外の構成は、第1の実施の形態と同様の構成である。以下では、第1の実施の形態との相違点について説明する。
【0062】
昇圧回路14は、基準電源電圧VCI1を昇圧して生成した正側ゲート電源電圧VGHを出力するとともに、基準電源電圧VCI2を負昇圧して生成した負側ゲート電源電圧VGLを出力する。詳細には、
図6を参照して、第3の実施の形態における昇圧回路14の降圧動作(負昇圧動作とも称す)は、クロック信号CLK、CLKB及び制御信号SEQ_DC2を含む制御信号123に応じて制御される。
【0063】
より詳細には、昇圧回路14は、基準電源電圧VCI2を降圧して負側ゲート電源電圧VGLを生成するチャージポンプ回路50を備える(
図4及び
図13参照)。
図13を参照して、チャージポンプ回路50は、昇圧用スイッチSW21〜SW24、及び容量C3、C4を備える。詳細には、基準電源電圧VCI2が供給されるノードN21と接地ノードN23との間に昇圧用スイッチSW21と昇圧用スイッチSW22が直列接続され、ノードN21とノードN20との間に昇圧用スイッチSW23と昇圧用スイッチSW24が直列接続される。昇圧用スイッチSW21と昇圧用スイッチSW22が接続される一端と、昇圧用スイッチSW23と昇圧用スイッチSW24とが接続される一端との間に、容量C3が接続される。又、ノードN20と接地ノードN23との間に容量C4が接続される。昇圧用スイッチSW21〜SW24は、
図4に示すトランスファゲートに例示され、制御信号生成回路12から供給されるクロック信号CLK、CLKBにより、そのスイッチング動作が制御される。ここで、昇圧用スイッチSW21及び昇圧用スイッチSW24のPチャネル型トランジスタMP1(Nチャネル型トランジスタ)に入力されるクロック信号CLK(CLKB)に対して論理値が反対のクロック信号CLKB(CLK)が、昇圧用スイッチSW22及び昇圧用スイッチSW23のPチャネル型トランジスタMP1(Nチャネル型トランジスタ)に入力される。又、チャージポンプ回路50の動作開始及び動作終了は、制御信号生成回路12からの制御信号SEQ_DC2によって制御される。例えば、制御信号SEQ_DC2の論理レベルがローレベルのときチャージポンプ回路50は動作せず、ハイレベルのとき負昇圧動作する。
【0064】
チャージポンプ回路50は、昇圧用スイッチSW21〜SW24によるスイッチング動作によって、容量C3、C4を充放電することで、ノードN21に供給される基準電源電圧VCI2の2倍の電圧を負側ゲート電源電圧VGLとしてノードN20に出力する。尚、
図13では、2倍降圧するチャージポンプ回路50を一例として説明したが、降圧倍数は、昇圧用スイッチと容量の接続数を変更することで任意に変更できる。
【0065】
詳細な構成は省略するが、昇圧回路14は、基準電源電圧VCI1を昇圧して正側ゲート電源電圧VGHを生成する一般的なチャージポンプ回路を備える。例えば、正側ゲート電源電圧VGHを生成するチャージポンプ回路は、
図3に示すチャージポンプ回路40と同様の構成である。ただし、
図3には図示しないが、ノードN10には、順方向接続されたダイオードを介して正側のアナログ用電源電圧VSPが供給される。尚、
図3では、アナログ用電源電圧VSPの2倍に昇圧するチャージポンプ回路40が例示されるが、昇圧倍数は、昇圧用スイッチと容量の接続数を変更することで任意に変更できる。
【0066】
図5を参照して、第3の実施の形態におけるプリチャージ回路17には、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI2が供給される前に、負側のアナログ用電源電圧VSN(
図5の点線)に応じたプリチャージ電圧VPC2によって、正側ゲート電源電圧VGHを昇圧する。
【0067】
図6を参照して、第3の実施の形態においてノードN20(負側ゲート電源電圧VGL)に対するプリチャージ電圧VPC2の供給動作は、制御信号SEQ_ON及び制御信号VGIN2を含む制御信号124に応じて制御される。
【0068】
図14は、第3の実施の形態におけるプリチャージ回路17の構成の一例を示す図である。
図14を参照して、第3の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、CMOS回路73、及びプリチャージ制御スイッチ74を備える。本実施の形態におけるプリチャージ制御スイッチ74は、Nチャネル型のMOSトランジスタに例示されるNチャネル型トランジスタMN40が好適である。Nチャネル型トランジスタMN40のソース及びドレインは、CMOS回路73の出力となるノードN52と負側ゲート電源電圧VGLが供給されるノードN20との間に接続される。Nチャネル型トランジスタMN40のゲートには、制御信号VGIN2が入力される。CMOS回路73は、負側のアナログ用電源電圧VSNが供給されるノードN53にソースが接続されたNチャネル型トランジスタMN30と、接地電位のノードN54にソースが接続されるPチャネル型トランジスタMP30を備える。Pチャネル型トランジスタMP30とNチャネル型トランジスタMN30のゲートは、ノードN50に共通接続され、それぞれのドレインはノードN52に共通接続される。
【0069】
CMOS回路73は、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移すると、ノードN52にアナログ用電源電圧VSNを供給する。これにより、ノードN52の電圧VSNINは、アナログ用電源電圧VSNの電位まで降下する。この間、論理レベルがハイレベルの制御信号VGIN2が入力されることで、Nチャネル型トランジスタMN40はターンオンし、ノードN52の電圧VSNINはプリチャージ電圧VPC2としてノードN20に供給される。これにより、ノードN20の電圧(負側ゲート電源電圧VGL)は、アナログ用電源電圧VSNの電位まで降下する。すなわち、制御信号SEQ_ONがハイレベル、且つ制御信号VGIN2がハイレベルの間、プリチャージ回路17は、ノードN20にプリチャージ電圧VPC2を供給し、負側ゲート電源電圧VGLを降圧(プリチャージ)する。
【0070】
ノードN20(負側ゲート電源電圧VGL)に対するプリチャージ期間は、制御信号VGIN2によって制御される。詳細には、制御信号VGIN2の論理レベルがローレベルに遷移することで、Nチャネル型トランジスタMN40はオフとなり、ノードN20に対するプリチャージ電圧VPC2の供給は遮断される。
【0071】
このように、プリチャージ回路17は、制御信号SEQ_ON及び制御信号VGIN2によって決められた期間、ノードN20(負側ゲート電源電圧VGL)を所定の電位(例えばアナログ用電源電圧VSN)まで降圧(プリチャージ)することができる。尚、本実施の形態におけるプリチャージ期間は、制御信号生成回路12によって設定される。
【0072】
以上のような構成において、外部電源(図示なし)からの電源電圧の投入時期、及び制御信号120、123、124を適切に制御することにより、ドライバIC1の起動時において、基準電源電圧VCI2が負側ゲート電源電圧VGLを下回ることを防止できる。以下、電源電圧の投入タイミングとドライバIC1の起動時における負側ゲート電源電圧VGLの降圧動作について詳細に説明する。
【0073】
(電源投入のタイミングと負側ゲート電源電圧VGLの降圧動作)
図15は、第3及び第4の実施の形態における電源投入タイミングの一例を示すタイミングチャートである。又、
図16は、第3及び第4の実施の形態におけるドライバICの起動動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0074】
図15を参照して、時刻t1において、外部電源(図示なし)からロジック用電源電圧VDDI、アナログ用電源電圧VSP、VSNが供給される。この際、正側のアナログ用電源電圧VSPの立上りに応じて、正側ゲート電源電圧VGHは立ち上る。ここでは詳細な説明は省略するが、第3及び第4の実施の形態における正側のチャージポンプ回路は、
図3に示すチャージポンプ回路40と同様の構成であり、正側のアナログ用電源電圧VSPが図示しないダイオードを介してノードN10に供給される。このため、時刻t1において正側ゲート電源電圧VGHは立ち上る。又、ロジック用電源電圧VDDIの供給に伴い、ロジック電源電圧VDDが所望の電圧に至り、制御信号生成回路12が動作を開始する。
【0075】
ロジック電源電圧VDD、アナログ用電源電圧VSP、VSNが所望の電圧に至り、十分な時間が経過した時刻t2において、負側ゲート電源電圧VGLが負電圧でプリチャージされる。
図16を参照して、時刻t2において、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移し、CMOS回路73の出力ノード(ノードN52)の電圧VSNINは、負側のアナログ用電源電圧VSNにより降下する。このとき、制御信号VGIN2の論理レベルはハイレベルに固定されているため、昇圧回路14の負側出力ノード(ノードN20)の電圧(負側ゲート電源電圧VGL)は、電圧VSNINに応じたプリチャージ電圧VPC2により降圧される。又、時刻t2において、制御信号SEQ_DC2の論理レベルはローレベルに固定されているため、
図8に示すように、基準電源電圧VCI2は昇圧回路14に供給されず、昇圧回路14は昇圧動作(負昇圧動作も含む)を行わない。
【0076】
続いて、負側ゲート電源電圧VGLが、負側のアナログ用電源電圧VSNと略同値まで引き上げられる時刻t3において、制御信号SEQ_DC2はハイレベルに遷移する。これにより、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI2が供給され始め、昇圧回路14は昇圧動作を開始する。一方、制御信号SEQ_DC2のハイレベルへの遷移と略同時的、又は、制御信号SEQ_DC2のハイレベルへの遷移よりも後に、制御信号VGIN2はローレベルに遷移する。これにより、プリチャージ制御スイッチ74(Nチャネル型トランジスタMN40)はターンオフし、プリチャージ回路17による負側ゲート電源電圧VGLの負昇圧動作(プリチャージ)は終了する。
【0077】
時刻t3以降、昇圧回路14の負昇圧動作により負側ゲート電源電圧VGLは、所定の電圧(例えば−15V)まで負昇圧される。又、
図15を参照して、通常の昇圧回路と同様に、負側ゲート電源電圧VGLが所定の電圧で安定した時刻t4において、正側ゲート電源電圧VGHは所定の電圧(例えば15V)まで昇圧される。
【0078】
ここで、チャージポンプ回路50の昇圧用スイッチSW21〜SW24の基板電位VP(Nチャネル型トランジスタMN1のバックゲート電位)が、負側ゲート電源電圧VGLよりも低い場合、基準電源電圧VCI2が負側ゲート電源電圧VGLを下回ると寄生トランジスタが動作しラッチアップが発生する。しかし、本実施の形態では、時刻t2から時刻t3の間、基準電源電圧VCI2の供給が行われず、負側ゲート電源電圧VGLは、所定の電位(ここでは、負側のアナログ用電源電圧VSN(例えば−6V))まで降圧される。このため、立ち下がり時間の短い基準電源電圧VCI2が時刻t3に供給され始めても、基準電源電圧VCI2が負側ゲート電源電圧VGLを下回ることはない。この結果、昇圧回路14内の昇圧用スイッチSW21〜SW24において寄生トランジスタがターンオンすることがなくなり、ラッチアップの発生が抑制される。
【0079】
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態では、第2の実施の形態の変形例であり、プリチャージ回路17によって形成された制御信号に応じて、昇圧回路14に対する基準電源電圧VCI2の供給や、負側ゲート電源電圧VGL(出力電圧とも称す)が供給されるノードN20へのプリチャージ動作が制御される。以下、
図10、
図11、
図13、
図15から
図17を参照して、本発明による表示装置100の第4の実施の形態を説明する。
【0080】
(表示装置の構成)
図10は、第4の実施の形態における表示装置100の構成の一例を示す図である。
図14を参照して、表示装置100は、ドライバIC1及び表示パネル2を具備する。第4の実施の形態は、基準電源電圧VCI2の生成及び昇圧回路14における負昇圧動作がプリチャージ回路17によって制御される点で、第3の実施の形態と相違する。この相違点以外の構成は、第3の実施の形態と同様の構成である。以下では、第3の実施の形態との相違点について説明する。
【0081】
図11を参照して、第4の実施の形態における昇圧回路14の昇圧動作は、クロック信号CLK、CLKBを含む制御信号123、及び、プリチャージ回路17から出力される制御信号SEQ_DC2に応じて制御される。
【0082】
第4の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI2が供給される前に、負側ゲート電源電圧VGLが供給される予定のノードN20の電位をプリチャージ電圧VPC2によって昇圧する。詳細には、
図11を参照して、第4の実施の形態では、ノードN20に対するプリチャージ電圧VPC2の供給動作は、制御信号SEQ_ONを含む制御信号124に応じて制御される。
【0083】
図17は、第4の実施の形態におけるプリチャージ回路17の構成の一例を示す図である。
図17を参照して、第4の実施の形態におけるプリチャージ回路17は、CMOS回路73、プリチャージ制御スイッチ74、コンパレータCMP2、インバータINV20、及びレベルシフタLS3、LS4を備える。本実施の形態におけるプリチャージ制御スイッチ74は、Nチャネル型のMOSトランジスタに例示されるNチャネル型トランジスタMN40が好適である。Nチャネル型トランジスタMN40のソース及びドレインは、CMOS回路73の出力となるノードN52と負側ゲート電源電圧VGLが供給されるノードN20との間に接続される。Nチャネル型トランジスタMN40のゲートには、制御信号VGIN2が入力される。CMOS回路73は、負側のアナログ用電源電圧VSNが供給されるノードN53にソースが接続されたNチャネル型トランジスタMN30と、接地電位のノードN54にソースが接続されるPチャネル型トランジスタMP30を備える。Pチャネル型トランジスタMP30とNチャネル型トランジスタMN30のゲートは、ノードN50に共通接続され、それぞれのドレインはノードN52に共通接続される。インバータINV20は、コンパレータCMP2の出力端と、レベルシフタLS3の入力端との間に接続され、コンパレータCMP2の出力を反転してレベルシフタLS3に入力する。
【0084】
ノードN52(CMOS回路73の出力)は、コンパレータCMP2の非反転入力端子に接続されるとともに、プリチャージ制御スイッチ74(Nチャネル型トランジスタMN40)を介してノードN20に接続される。ノードN53は、コンパレータCMP2の反転入力端子に接続される。コンパレータCMP2の出力端子はレベルシフタLS4の入力端子に接続されるとともに、インバータINV20を介してレベルシフタLS3の入力端子に接続される。レベルシフタLS3の出力端子はノードN40を介してアナログ用電源回路13及び昇圧回路14に接続される(
図11及び
図17参照)。レベルシフタLS4の出力端子はプリチャージ制御スイッチ74の制御ノード(ここではNチャネル型トランジスタMN40のゲート)に接続される。
【0085】
コンパレータCMP2は、ノードN53に供給されるアナログ用電源電圧VSNとノードN52の電圧VSNINの比較結果に応じた論理レベルの信号を、レベルシフタLS3、LS4に出力する。レベルシフタLS2は、コンパレータCMP2の出力信号レベルをアナログ用電源電圧レベル(VSN)からロジック用電源電圧レベル(VDD)にレベルシフトし、制御信号SEQ_DC2として出力する。レベルシフタLS4は、コンパレータCMP2の出力信号レベルをアナログ用電源電圧レベル(VSN)からゲート電源電圧レベル(VGH−VGL)にレベルシフトし、制御信号VGIN2として出力する。
【0086】
CMOS回路73は、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移すると、ノードN52にアナログ用電源電圧VSNを供給する。これにより、ノードN52の電圧VSNINは、アナログ用電源電圧VSNの電位まで降下する。電圧VSNINが負側のアナログ用電源電圧VSNよりも大きいとき、コンパレータCMP2は論理レベルがハイレベルの信号を出力する。具体的には、電圧VSNINが、負側のアナログ用電源電圧VSNからオフセット電圧を減じた値(例えばVSN−100mV)よりも大きいとき、コンパレータCMP2は論理レベルがハイレベルの信号を出力する。このとき、レベルシフタLS2から出力される制御信号VGIN2はハイレベルとなり、Nチャネル型トランジスタMN40はターンオンする。この結果、ノードN52の電圧VSNINはプリチャージ電圧VPC2としてノードN20に供給され、ノードN20の電圧(負側ゲート電源電圧VGL)は、アナログ用電源電圧VSNの電位まで降下する。一方、レベルシフタLS3から出力される制御信号SEQ_DC2はローレベルとなり、アナログ用電源回路13による基準電源電圧VCI1の生成動作、及び昇圧回路14の昇圧動作を停止する(又は動作を開始させない)。
【0087】
電圧VSNINが負側のアナログ用電源電圧VSNよりも小さくなると、コンパレータCMP2は論理レベルがローレベルの信号を出力する。具体的には、電圧VSNINが、負側のアナログ用電源電圧VSNからオフセット電圧を減じた値(例えばVSN−100mV)よりも小さいとき、コンパレータCMP2は論理レベルがローレベルの信号を出力する。このとき、レベルシフタLS4から出力される制御信号VGIN2はローレベルとなり、Nチャネル型トランジスタMN40はターンオフする。この結果、ノードN20に対するプリチャージ電圧VPC2の供給は遮断される。一方、レベルシフタLS3から出力される制御信号SEQ_DC2はハイレベルとなり、アナログ用電源回路13による基準電源電圧VCI1の生成動作、及び昇圧回路14の昇圧動作が実行される。
【0088】
すなわち、本実施の形態においても、第3の実施の形態と同様に、制御信号SEQ_ONがハイレベル、制御信号VGIN2がハイレベルの間、プリチャージ回路17は、ノードN20にプリチャージ電圧VPC2を供給し、負側ゲート電源電圧VGLを降圧(プリチャージ)する。又、第4の実施の形態では、ノードN52の電圧VSNINがアナログ用電源電圧VSNと略同値となることを検出し、これを、制御信号SEQ_DC2(基準電源電圧VCI2の生成動作及び昇圧回路14の降圧動作の制御)にフィードバックしている。このため、第3の実施の形態と比較して、第4の実施の形態におけるドライバIC1では、制御信号生成回路12からの制御信号120、123として制御信号SEQ_DC2を出力する必要がなくなるとともに、制御信号124として制御信号VGIN1を出力する必要がなくなる(
図6及び
図11参照)。
【0089】
以上のような構成において、外部電源(図示なし)からの電源電圧の投入時期、及び制御信号124を適切に制御することにより、ドライバIC1の起動時において、基準電源電圧VCI2が負側ゲート電源電圧VGLを上回ることを防止できる。
【0090】
(電源投入のタイミングと正側ゲート電源電圧VGHの昇圧動作)
以下、
図15及び
図16を参照して、第4の実施の形態における電源電圧の投入タイミングとドライバIC1の起動時における負側ゲート電源電圧VGLの昇圧動作について詳細に説明する。
【0091】
図15を参照して、時刻t1において、外部電源(図示なし)からロジック用電源電圧VDDI、アナログ用電源電圧VSP、VSNが供給される。この際、正側のアナログ用電源電圧VSPの立下りに応じて、正側ゲート電源電圧VGHは立ち上る。又、ロジック用電源電圧VDDIの供給に伴い、ロジック電源電圧VDDが所望の電圧に至り、制御信号生成回路12が動作を開始する。
【0092】
ロジック電源電圧VDD、アナログ用電源電圧VSP、VSNが所望の電圧に至り、十分な時間が経過した時刻t2において、負側ゲート電源電圧VGLがプリチャージされる。
図16を参照して、時刻t2において、制御信号SEQ_ONの論理レベルがハイレベルに遷移し、CMOS回路73の出力ノード(ノードN52)の電圧VSNINは、負側のアナログ用電源電圧VSNにより降下する。このとき、電圧VSNINがアナログ用電源電圧VSNを上回る期間、制御信号VGIN2の論理レベルはハイレベルに固定されているため、昇圧回路14の負側出力ノード(ノードN20)の電圧(負側ゲート電源電圧VGL)は、電圧VSNINに応じたプリチャージ電圧VPC2により降圧される。又、この間、制御信号SEQ_DC2の論理レベルはローレベルに固定されているため、
図15に示すように、基準電源電圧VCI2は昇圧回路14に供給されず、昇圧回路14は昇圧動作(負昇圧動作も含む)を行わない。
【0093】
続いて、時刻t3において、負側ゲート電源電圧VGLが、負側のアナログ用電源電圧VSNと略同値まで引き下げられると、制御信号SEQ_DC2はハイレベルに遷移する。これにより、昇圧回路14に対して基準電源電圧VCI2が供給され始め、昇圧回路14は昇圧動作を開始する。又、時刻t3において、負側ゲート電源電圧VGLが、負側のアナログ用電源電圧VSNと略同値まで引き下げられると、制御信号VGIN2はローレベルに遷移する。これにより、プリチャージ制御スイッチ74(Nチャネル型トランジスタMN40)はターンオフし、プリチャージ回路17による負側ゲート電源電圧VGLの降圧動作(プリチャージ)は終了する。
【0094】
時刻t3以降、昇圧回路14の昇圧動作により負側ゲート電源電圧VGLは、所定の電圧(例えば−15V)まで負昇圧される。又、
図15を参照して、通常の昇圧回路と同様に、負側ゲート電源電圧VGLが所定の電圧で安定した時刻t4において、正側ゲート電源電圧VGHは所定の電圧(例えば15V)まで負昇圧される。
【0095】
本実施の形態では、時刻t2から時刻t3の間、基準電源電圧VCI2の供給が行われないが、負側ゲート電源電圧VGLは、所定の電位(ここでは、負側のアナログ用電源電圧VSN(例えば−6V))まで降圧される。このため、立ち下がり時間の短い基準電源電圧VCI2が時刻t3に供給され始めても、基準電源電圧VCI2が負側ゲート電源電圧VGLを下回ることはない。この結果、昇圧回路14内の昇圧用スイッチSW21〜SW24の基板電位VPが、負側ゲート電源電圧VGLよりも低い場合においても、昇圧用スイッチSW21〜SW24における寄生トランジスタがターンオンすることがなくなり、ラッチアップの発生が抑制される。
【0096】
又、本実施の形態におけるプリチャージ回路17は、負側ゲート電源電圧VGLの大きさに応じて、基準電源電圧VCI2の生成開始及び昇圧回路14の昇圧開始を制御する。このため、第3の実施の形態で必要とした制御信号生成回路12からの制御信号SEQ_DC2、VGIN2が不要となる。
【0097】
以上のように、本発明によれば、ドライバIC1に搭載された内部回路によって起動時における昇圧回路のラッチアップを防止できるため、ショットキーバリアダイオードのような外付け素子を必要としない。このため、実装面積やコストの増大を抑制しつつドライバICの起動時におけるラッチアップの発生を防止することが可能となる。
【0098】
又、基準電源電圧VCI1、VCI2の供給前に、外部電源から供給されるアナログ用電源電圧VSP又はアナログ用電源電圧VSNを利用して、正側ゲート電源電圧VGHの昇圧、又は負側ゲート電源電圧VGLの負昇圧を行っているため、ゲート電源電圧VGH、VGLが所望の値で安定するまでの時間が従来よりも短縮される。
【0099】
更に、本発明では、ゲート電源電圧VGH、VGLの一方(例えば正側ゲート電源電圧VGH)の昇圧開始時におけるラッチアップを防止する際、他方(例えば負側ゲート電源電圧VGL)は従来通りの動作により昇圧され得る。すなわち、本発明によれば、上述したラッチアップを防止する構成は、ゲート電源電圧VGH、VGLの一方に組み込めばよく、他方を制御する構成を変更する必要はない。
【0100】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。例えば、上述の実施の形態では、基準電源電圧VCI1、VCI2が内部回路であるアナログ用電源回路13によって生成されているが、これに限らず、外部電源から供給されても構わない。ただし、基準電源電圧VCI1、VCI2の供給タイミングは、上述のタイミングである必要があることは言うまでもない。
【0101】
又、上述の実施の形態では、表示パネル2を駆動するドライバICに利用される集積回路装置を一例としたが、これに限らない。出力電圧を基準電源電圧の供給よりも前に昇圧(負昇圧を含む)し、昇圧開始時におけるラッチアップを防止できれば、他の装置(例えば、メモリセルを駆動するドライバIC)にも適用できる。