特許第6406963号(P6406963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406963
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】太陽光発電システム用の集電ボックス
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   H02B1/40 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-203726(P2014-203726)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-73172(P2016-73172A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 宏樹
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−244066(JP,A)
【文献】 特開平11−163381(JP,A)
【文献】 特開2001−015005(JP,A)
【文献】 実開昭56−113408(JP,U)
【文献】 特開2010−272559(JP,A)
【文献】 特開2001−186639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器取付板上に、複数の太陽電池モジュールの電路を開閉する複数の分岐開閉器と、分岐開閉器の端子部の配線及び正極バーへの配線が接続される複数の接続端子を有する逆流防止ダイオードモジュールを複数備えた太陽光発電システム用の集電ボックスにおいて、
逆流防止ダイオードモジュールが2つの分岐開閉器毎に配置され、各逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子を筐体の上下方向に配置し、一方の分岐開閉器からの配線を筐体の上下方向から接続端子に接続し、他方の分岐開閉器からの配線を筐体の上下方向とは異なる角度から接続したことを特徴とする太陽光発電システム用の集電ボックス。
【請求項2】
逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子の中央線と、一方の分岐開閉器の端子部の中央線とを同一直線上に配置したことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システム用の集電ボックス。
【請求項3】
機器取付板上に、複数の太陽電池モジュールの電路を開閉する複数の分岐開閉器と、分岐開閉器の端子部の配線及び正極バーへの配線が接続される複数の接続端子を有する逆流防止ダイオードモジュールを複数備えた太陽光発電システム用の集電ボックスにおいて、
逆流防止ダイオードモジュールが2つの分岐開閉器毎に配置され、各逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子を筐体の上下方向に配置し、各分岐開閉器からの配線を全て筐体の上下方向とは異なる角度から接続したことを特徴とする太陽光発電システム用の集電ボックス。
【請求項4】
正極バーは筐体の上下方向とは異なる方向に延び、複数の逆流防止ダイオードモジュールの接続端子を渡すように接続することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の太陽光発電システム用の集電ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに用いられる集電ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムでは、太陽電池パネルまたはストリングからなる太陽電池設備を、集電ボックスを介してパワーコンディショナに接続している。特許文献1に示されるように、この集電ボックス内には、複数の太陽電池設備の各々に接続される複数の分岐開閉器と、その正極に接続される逆流防止ダイオードモジュールと、逆流防止ダイオードモジュールを介して接続される正極バーと、分岐開閉器の他極が接続される負極バーと、これらの正極バーと負極バーとに接続される集電開閉器が収納されている。
【0003】
従来の集電ボックスの逆流防止ダイオードモジュールは、分岐開閉器の正極端子部に接続される電線を複数接続できる接続端子を筐体内部に左右方向に並べて形成されていた。このように接続端子が横方向であるため、複数の逆流防止ダイオードモジュールを横並びに設置すると、集電ボックスの筐体が左右方向に大きくなってしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、逆流防止ダイオードモジュールを上下方向に配置することも考えられるが、逆流防止ダイオードモジュールから発生した熱は上方に移動するため、真上に他の逆流防止ダイオードモジュールを配置すると伝熱する恐れがある。このため特許文献1においても千鳥配列が採用されているが、この場合には筐体を幅方向のみならず、上下方向にも大きくしなければならなかった。
【0005】
また、逆流防止ダイオードモジュールを千鳥配列すると、分岐開閉器と逆流防止ダイオードモジュールとの距離が異なるためにリードバーではなく電線を利用する構造となり、配線の作業性が低下し、組立工数が増加するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−149766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、筐体の小型化を可能とし、配線作業も行い易い太陽光発電システム用の集電ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、機器取付板上に、複数の太陽電池モジュールの電路を開閉する複数の分岐開閉器と、分岐開閉器の端子部の配線及び正極バーへの配線が接続される複数の接続端子を有する逆流防止ダイオードモジュールを複数備えた太陽光発電システム用の集電ボックスにおいて、逆流防止ダイオードモジュールが2つの分岐開閉器毎に配置され、各逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子を筐体の上下方向に配置し、一方の分岐開閉器からの配線を筐体の上下方向から接続端子に接続し、他方の分岐開閉器からの配線を筐体の上下方向とは異なる角度から接続したことを特徴とするものである。なお請求項2のように、逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子の中央線と、一方の分岐開閉器の端子部の中央線とを同一直線上に配置した構造とすることができる。
【0009】
また上記の課題を解決するためになされた請求項3の発明は、機器取付板上に、複数の太陽電池モジュールの電路を開閉する複数の分岐開閉器と、分岐開閉器の端子部の配線及び正極バーへの配線が接続される複数の接続端子を有する逆流防止ダイオードモジュールを複数備えた太陽光発電システム用の集電ボックスにおいて、逆流防止ダイオードモジュールが2つの分岐開閉器毎に配置され、各逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子を筐体の上下方向に配置し、各分岐開閉器からの配線を全て筐体の上下方向とは異なる角度から接続したことを特徴とするものである。さらに請求項4のように、正極バーは筐体の上下方向とは異なる方向に延び、複数の逆流防止ダイオードモジュールの接続端子を渡すように接続する構造とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽光発電システム用の集電ボックスは、逆流防止ダイオードモジュールの複数の接続端子を筐体の上下方向に配置したので、内部機器を密集させて配置することができ、筐体の小型化を図ることができる。しかもこれらの接続端子に対して、分岐開閉器からの配線を筐体の上下方向とは異なる角度から接続するようにしたので、配線作業が行い易い。
【0011】
また、逆流防止ダイオードモジュールを2つの分岐開閉器毎に配置するようにしたので、等間隔に配置することとなり、リードバーを利用する場合にもその種類を2種類とすることができる。さらに請求項4の構成を採用すれば、正極バーが複数の逆流防止ダイオードモジュールの接続端子を渡すように接続することができるので、配線数の削減を図ることができるとともに、筐体も小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】集電ボックスの外観斜視図である。
図2】カバーを取り外して示す内部機器の正面図である。
図3】要部の拡大正面図である。
図4】逆流防止ダイオードモジュールの斜視図である。
図5】内部構造の拡大斜視図である。
図6】内部構造の側面図である。
図7】正極リードバーの斜視図である。
図8】他の実施形態を示す斜視図である。
図9】他の実施形態を示す斜視図である。
図10】更に他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は太陽光発電システム用の集電ボックスの外観斜視図であり、1は集電ボックスの筐体、2は扉、3は多数の分岐開閉器である。図1では筐体の内部機器はカバー4に覆われているため、分岐開閉器3のハンドル部分のみがカバー4の窓孔から露出している。
【0014】
図2はカバー4を取り外し、筐体1から内部機器を取り外した状態を示した正面図である。5は筐体1の内部に垂直配置される鉄ベースの機器取付板であり、図示のように多数の分岐開閉器3が機器取付板5上に横方向に密着配置されている。これらの分岐開閉器3は、図示しない太陽電池モジュール毎に形成されている。太陽電池モジュールは太陽電池のストリング(太陽電池セルを直列接続したもの)や、太陽電池パネルの単体である。分岐開閉器3の下側の端子に各太陽電池モジュールの配線が接続される。これらの分岐開閉器3は複数の太陽電池モジュールの電路を開閉する役割を持つ。
【0015】
分岐開閉器3の上方位置には、横方向(左右方向)に正極バー6と負極バー7とが設けられている。これらはバーホルダ8等によって絶縁距離を持たせて、機器取付板5上に固定されている。太陽電池モジュールが発生した電流は最終的にこれらの正極バー6と負極バー7に集められ、図2の右端に示される集電ケーブル25を通じて図示しない集電開閉器に供給される。本実施形態においては、集電開閉器は筐体1外に形成するものであるが、集電ケーブル25の代わりに集電開閉器を筐体内に形成するものであっても良い。しかし太陽電池モジュールの起電力は日照状態に応じて大幅に変動するため、起電力が低下したときに系統からの逆潮流が発生するおそれがある。そこで分岐開閉器3と正極バー6との間には、逆流防止ダイオードモジュール9が配置されている。
【0016】
図4に示すように、逆流防止ダイオードモジュール9は端子台のような構造を有し、その内部に逆流防止用のダイオードを収納したものである。逆流防止ダイオードモジュール9は2つの分岐開閉器3毎に1個が配置され、同一高さ位置に等間隔に配置されている。このため隣接する逆流防止ダイオードモジュール9、9間には空隙部19が形成されている。逆流防止ダイオードモジュール9は発熱量が大きいので、この空隙部19により隣接する逆流防止ダイオードモジュール9の空間を介しての伝熱を防止可能としている。なお特許文献1のような千鳥配列を採用していないため、分岐開閉器3と逆流防止ダイオードモジュール9が全て同じ所定間隔で形成しているため、後述するリードバーの種類を減少させることができる。
【0017】
この実施形態では、各逆流防止ダイオードモジュール9の上面に3つの接続端子10,11,12が設けられており、これらの接続端子10,11,12は筐体の上下方向に配置されている。上段の接続端子10は正極バー6用の接続端子であり、配線として正極バー6が直接接続される。接続端子10は後述する接続端子11、12の出力端子となる。なお、配線として電線を接続端子10に接続することも可能であるが、正極バー6を直接配線として接続することにより、電線を省略して配線作業の効率化が可能となる。また配線スペースが不要であるため、筐体の上下方向のサイズを小型化することができる。図2に示すように、正極バー6は複数の逆流防止ダイオードモジュール間を渡り接続している。
【0018】
各逆流防止ダイオードモジュール9の中段と下段の接続端子11,12は、分岐開閉器3の上側の端子のうち、正極端子13が、正極リードバー14,15が接続される入力端子であり、内部に前述の逆流防止ダイオードが接続している。図3に示すように、片側(左側)の分岐開閉器3の正極端子13は正極リードバー14によって下段の接続端子12に接続されているが、反対側(右側)の分岐開閉器3の正極端子13は、形状の異なる正極リードバー15によって、筐体1の上下方向とは異なる角度から中段の接続端子11に接続されている。
【0019】
これらの正極リードバー14,15の形状は図5図7に示される通りであり、ともに機器取付板5に向かう方向に途中部分が屈曲しているが、正極リードバー14は左右方向には屈曲していない。すなわち、正極リードバー14によって接続される下段の接続端子12の中央線と、片側(左側)の分岐開閉器3の正極端子13の中央線とはほぼ同一である。これに対して正極リードバー15は先端が左右方向に屈曲させてあり、左右方向から中段の接続端子11に接続される。この構造によって、図5に示すように密着配置された各分岐開閉器3の正極端子13を、各逆流防止ダイオードモジュール9の中段と下段の接続端子11,12に、正極リードバー14、15間に絶縁を確保できる空隙を持たせて接続することができる。
【0020】
一方、分岐開閉器3の上側の端子のうち負極端子16は逆流防止ダイオードモジュール9を経由せず、図5図6に示される負極リードバー17によって前述の負極バー7に直接接続されている。負極リードバー17の接続端子18は正極リードバー14、15間に位置するようにし、容易にねじ止めができるようになっている。また図6に示すように機器取付板5からの高さを変え、正極リードバー14、15との間の絶縁距離を確保している。なお、分岐開閉器3は取付具18によって機器取付板5からの高さを確保している。
【0021】
前記したように、逆流防止ダイオードモジュール9は発熱量が大きいので、相互間に空隙部19を形成して配置されているが、図4に示すように空隙部19の機器取付板5にスリット20を形成しておくことが好ましい。逆流防止ダイオードモジュール9、9相互間の機器取付板5を通じての伝熱を防止するために、このスリット20は逆流防止ダイオードモジュール9の上下方向長さと同等あるいはそれ以上としておくことが好ましい。
【0022】
以上に説明した実施形態では、1枚の機器取付板5の上に分岐開閉器3や逆流防止ダイオードモジュール9を多数配置した。しかし図8図9に示すように、ユニット化された機器取付板21を用い、取付レール22上に配置することもできる。この実施形態ではユニット化された機器取付板21の上に4つの分岐開閉器3と2つの逆流防止ダイオードモジュール9が搭載されている。隣接する機器取付板21、21間に空隙部19が形成されているが、同一の機器取付板21上に搭載された2つの逆流防止ダイオードモジュール9、9間には、スリット20は形成されていない。
【0023】
図8図9の構造においては、同様の複数のユニットを筐体1左右方向に配置した際に、隣接するユニット間に空間部30が形成される幅で構成するものとしている。このような構成によって、所定の取付位置にユニットを設置することのみで、逆流防止ダイオードモジュール9間の伝熱を抑制するための空間部30を設けることが可能となる。なお、このようなユニットを取り付けた後に上記に示した直線状の正極リードバー14、先端が屈折させた正極リードバー15、負極リードバー17を取り付けるとともに、その他正極バー6、負極バー7を、複数のユニットを渡すように取り付けるものである。
【0024】
図10に示す他の実施形態では、分岐開閉器3の上側の正極端子13を逆流防止ダイオードモジュール9の中段と下段の接続端子11,12に接続するための正極リードバー23,24の先端が、左右逆方向に屈曲させてある。すなわち、逆流防止ダイオードモジュール9の中段の接続端子11に接続される右側の正極リードバー23は先端が左向きに屈曲され、下段の接続端子12に接続される右側の正極リードバー24は先端が右向きに屈曲されている。このため、各分岐開閉器3からの配線は全て筐体1の上下方向とは異なる角度から接続されることとなる。このような構造とすれば、逆流防止ダイオードモジュール9の左右方向の幅内に正極リードバー23,24を収めることが可能となる。また分岐開閉器3の負極端子16を負極リードバー17に接続する作業も容易となる。
【0025】
以上に説明したように、本発明の太陽光発電システム用の集電ボックスは、内部機器を密集させて配置することができ、筐体の小型化を図ることができるとともに、配線作業性に優れる利点がある。
【符号の説明】
【0026】
1 筐体
2 扉
3 分岐開閉器
4 カバー
5 機器取付板
6 正極バー
7 負極バー
8 バーホルダ
9 逆流防止ダイオードモジュール
10 上段の接続端子
11 中段の接続端子
12 下段の接続端子
13 正極端子
14 正極リードバー
15 正極リードバー
16 負極端子
17 負極リードバー
18 接続端子
19 空隙部
20 スリット
21 ユニット化された機器取付板
22 取付レール
23 正極リードバー
24 正極リードバー
25 集電ケーブル
30 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10