特許第6407027号(P6407027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6407027十二指腸および胃腸デバイスと関連する処置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407027
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】十二指腸および胃腸デバイスと関連する処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A61B17/00
【請求項の数】14
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2014-540099(P2014-540099)
(86)(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公表番号】特表2014-534873(P2014-534873A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】US2012063117
(87)【国際公開番号】WO2013067221
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/699,172
(32)【優先日】2012年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/554,429
(32)【優先日】2011年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/647,396
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508178353
【氏名又は名称】エンドスフィア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOSPHERE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エフ・ビンメラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ティ・マッキンリー
(72)【発明者】
【氏名】フィオナ・エム・サンダー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ピー・ランズフォード
(72)【発明者】
【氏名】ホアン・ジー・エム・ファン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ソーン
(72)【発明者】
【氏名】ナム・キュー・ニューエン
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4878905(US,A)
【文献】 特表2008−521550(JP,A)
【文献】 特開2009−165751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端とを備える伸長部材と、
伸長部材に接続されたアンカーとを有し、
アンカーが、
近位端と遠位端とを備えるステムであって、ステムの遠位端が伸長部材の近位端に取り付けられているものと、
第1および第2のアーチであって、各アーチが第1および第2の端とそれらの間の近位側ピークとを備え、各アーチの第1の端がステムの近位端に取り付けられ、且つ、各アーチの第2の端がステムから離れるように放射方向に延在しているものと、
第1のアーチの第2の端を第2のアーチの第2の端に接続する曲線要素と、を備え、
曲線要素が第1および第2の逆アーチを備え、
第1および第2の逆アーチが第1および第2のアーチに対して実質的に垂直な平面上を横たわり、
第1および第2の逆アーチそれぞれのピークが遠位側に且つ実質的に互いに正反対に放射方向に延在している胃内デバイス。
【請求項2】
ステム、第1のアーチ、第2のアーチ、および曲線要素が、単一ピースのワイヤから形成されている、請求項1の胃内デバイス。
【請求項3】
伸長部材が、同一の単一ピースのワイヤから形成されている、請求項2の胃内デバイス。
【請求項4】
曲線要素が、ステムの周りをループして該ステムに実質的に直交する少なくとも1つのコイルを含んでいる、請求項1の胃内デバイス。
【請求項5】
コイルが、ステムの周りに少なくとも1つの完全なループを形成する、請求項4の胃内デバイス。
【請求項6】
第1のアーチの第2の端が、第2のアーチの第2の端と同一の時計方向または反時計方向に曲がる、請求項1の胃内デバイス。
【請求項7】
第1のアーチおよび第2のアーチが、実質的に正反対の放射方向に延在する、請求項1の胃内デバイス。
【請求項8】
曲線要素が、ステムの近位側端から近位側に向かって且つ第1のアーチと第2のアーチとの間を延在する引っ張りループを含んでいる、請求項1の胃内デバイス。
【請求項9】
引っ張りループが、ステムから離れるように近位側に引っ張りループが移動されると第1のアーチおよび第2のアーチの曲率が減少するように構成されている、請求項8の胃内デバイス。
【請求項10】
消化管内での使用中、アンカーの直径が、伸長部材が通過する開口に比べて大きい、請求項1の胃内デバイス。
【請求項11】
開口が幽門である、請求項10の胃内デバイス。
【請求項12】
アーチおよび曲線要素が、アンカーを消化管にデリバリーする間または消化管から取り除く間、ほどかれてアンカーが直線状になるように構成されている、請求項1の胃内デバイス。
【請求項13】
直線状のアンカーが、デリバリーの間または取り除きの間、実質的に平行な2つの直線状のワイヤを有する、請求項12の胃内デバイス。
【請求項14】
消化管内での使用中において、アンカーの少なくとも一部分と他の部分とを締結してアンカーの形状を保持するように構成された締結要素をさらに有する、請求項1の胃内デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2011年11月1日に出願された、ビンメラー(Binmoeller)らの米国仮特許出願第61/554,429号「DUODENAL GASTROINTESTINAL DEVICES AND RELATED TREATMENT METHODS」、2012年5月15日に出願された、ビンメラーらの米国仮特許出願第61/647,396号「DUODENAL GASTROINTESTINAL DEVICES AND RELATED TREATMENT METHODS」、および 2012年9月10日に出願された、ビンメラーらの米国仮特許出願第61/699,172号「DUODENAL GASTROINTESTINAL DEVICES AND RELATED TREATMENT METHODS」に対して優先権を主張する。
【文献の引用】
【0002】
本明細書において言及されている出版物、特許、および特許出願の全ては、あたかも出版物、特許、または特許出願それぞれが参照として組み込まれることを具体的にまた個々に目的としていたように、参照として本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0003】
本発明は、消化管の内腔内に留置される医療デバイスの分野に属し、また医療アプリケーションのプラットフォームを提供する。特に、本発明の実施の形態は、その物理的構造によって内腔内の留置位置で安定する。
【背景技術】
【0004】
肥満度指数(BMI)が30を超える肥満は、米国や他の国において重要な健康問題である。肥満の人は、アメリカ人では3人に一人、世界では3億人と推定されている。肥満の合併症として、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患、まひ、鬱血性心不全、肺機能不全、多発性整形外科的問題、種々のがん、著しく寿命を縮めるものなどの極めて重篤な命に関わる病気が挙げられる。なお、意図的な減量により、肥満に関連するこれらの医学的合併症の多くを改善することができる。
【0005】
減量は肥満に関連する医学的合併症の多くを改善することができる一方、健康問題としてのその管理が困難であることが分かっている。食事療法、心理療法、行動療法、および薬物療法を含む様々なアプローチにおいて多くの成功がみられるが、米国においては、全体として、肥満の発生率や重症度の急激な増加を効率的にコントロールすることができていない。肥満に関連する問題の深刻さが、いくつかの劇的な外科的治療についての発展につながっている。このような身体的治療の1つでは、胃のサイズを小さくすることにより、その個人が以前の食事量を可能な限り消費できないようにする。これらの胃縮小治療は早期な成功が制限され、今現在においては、時間をかけて胃が拡大して大容量に戻ることが知られており、多くの個人において減量の維持の達成が制限されている。別の劇的な外科的治療として、通常は小腸のバイパス部を介することによって消化管(GI管)の吸収表面を減らすことによる食物の吸収不良などがある。この胃バイパス治療は、さらに胃縮小治療と組み合わせて行われる。これらの外科的治療は、効果的に食事摂取量の減少および/または場合によっては減量につながるが、その外科的治療が、浸潤性が高くまた必要以上の苦痛や不快感を招く。さらに、この治療は、術後に、非常に多くの命に関わる合併症を招く可能性がある。また、これらの外科的治療は、高価であり、国営医療サービス制度にとって大きな負担となり、その負担から脱却することは困難である。
【0006】
肥満の治療に関する非外科的アプローチが開発されている。例えば、肥満を治療するための非外科的且つ内視鏡的アプローチの1つでは、胃の内部に胃内バルーンを留置する。胃内バルーンは胃の一部分に充填され、患者に満腹感を与え、それにより食事摂取量を減少する。このアプローチは、いまだ納得できるような成功が見られず、忍耐弱い患者やバルーンの破裂や移動を原因とする合併症などの、胃内バルーンデバイスに関連する問題が複数存在する。減量用にデザインされた他の非外科的デバイスにおいては、食物が小腸内において完全に消化されて吸収されないように胃から小腸内のチューブに食物が流し込まれるため、小腸内での栄養素の吸収が制限される。このタイプのデバイスは摂取された食物の吸収を制限できる効果がいくらかあるものの、減量および/または食事摂取量の制限を行うようにデザインされた非外科的デバイスについては、いまだ様々な改良の余地がある。
【0007】
満腹信号の生成に寄与する生物学的事象の理解は、このような事象を引き起こすことができる”スマート”な非外科的デバイスの開発の機会を提供する。個人が消費する食物量は、胃腸と脳との間の生物学的信号に大きく左右される。具体的には、胃腸からの脳へのホルモン信号は、食物の摂取開始と終了の両方に関連している。グレリン、モチリン、およびアグーチ関連ペプチドなどのホルモンのレベル上昇は食欲の促進と食物の摂取開始に関連し、複数の他のホルモンのレベル上昇は食物の摂取終了に関連する。
【0008】
様々な生物学的事象は、食物摂取の生理的な終了に寄与する。多くの場合、食事が消費されるにつれて、摂取された食物および消化の副生成物が、GI管に沿って並ぶ受容体に作用し、満腹信号が生成される。適当な食物量が消費されたことを示し、生物に食事を止めさせるための満腹信号が脳に送られる。具体的には、GI管の化学受容体が消化の生成物(糖類、脂肪酸、アミノ酸、ペプチドなど)に反応し、胃内および小腸の近位側の伸張受容体が消費された食物の物理的存在に反応する。化学的受容体は、ホルモン信号または他の分子信号の放出が生じることにより、消化の生成物に反応する。これらの放出されたホルモン信号および/または他の分子信号は、満腹信号を脳に送るために、神経繊維を刺激することができる。これらの信号の脳内への到達は、食物摂取を減らすことできる様々な神経経路を始動させることができる。放出されたホルモン信号および/または他の分子信号はまた、満腹信号の生成を助けるために脳に向かうことができる。機械的受容体は、多くの場合、脳に信号を送る末梢内の神経繊維の刺激を介して、満腹信号を脳に送信する。本発明は、満腹信号の生成に寄与する上述の生物学的事象を引き起こす非外科的デバイスおよび方法を提供することにより、食物摂取量を減少させる手助けをする方法およびデバイスを提供する。
【発明の概要】
【0009】
本明細書において、胃内デバイスが説明される。
【0010】
概して、一実施の形態において、胃内デバイスは、近位端と遠位端とを備える伸長部材と、伸長部材に接続されたアンカーとを有する。アンカーは、ステム、第1のアーチ、第2のアーチ、および曲線要素を含んでいる。ステムは、近位端および遠位端を含んでいる。ステムの遠位端は、伸長部材の近位端に取り付けられている。各アーチは、第1の端、第2の端、およびそれらの間の近位側ピークを備える。各アーチの第1の端は、ステムの近位端に取り付けられている。各アーチの第2の端は、ステムから離れるように放射方向に延在している。曲線要素は、第1のアーチの第2の端を第2のアーチの第2の端に接続している。
【0011】
本実施の形態および他の実施の形態は、以下の特徴を1つまたはそれ以上含んでもよい。ステム、第1のアーチ、第2のアーチ、および曲線要素は、単一ピースのワイヤから形成されてもよい。伸長部材は、その同一の単一ピースのワイヤから形成されてもよい。曲線要素は、ステムの周りをループして該ステムに実質的に直交する少なくとも1つコイルを含んでもよい。そのコイルは、ステムの周りに少なくとも1つの完全なループを形成してもよい。第1のアーチの第2の端と第2のアーチの第2の端との間の距離は、コイルの直径に比べて大きくてもよい。第1のアーチの第2の端は、第2のアーチの第2の端と同一の時計方向または反時計方向に曲がってもよい。第1のアーチおよび第2のアーチは、実質的に正反対の放射方向に延在してもよい。曲線要素は、ステムの近位端から近位側に向かって且つ第1のアーチと第2のアーチとの間を延在する引っ張りループを含んでもよい。引っ張りループは、ステムから離れるように近位側に引っ張りループが移動されると第1のアーチおよび第2のアーチの曲率が減少するように構成されてもよい。曲線要素は少なくとも1つの逆アーチを含んでもよく、逆アーチは遠位側ピークを備えてもよい。消化管内での使用中、アンカーの直径は、伸長部材が通過する開口に比べて大きくてもよい。その開口が幽門であってもよい。アーチおよび曲線要素は、アンカーを消化管にデリバリーする間または消化管から取り除く間、ほどかれてアンカーが直線状になるように構成されてもよい。直線状のアンカーは、デリバリーの間または取り除きの間、実質的に平行な2つの直線状のワイヤを含んでもよい。デバイスは、消化管内での使用中において、アンカーの少なくとも一部分と他の部分とを締結してアンカーの形状を保持するように構成された締結要素をさらに含んでもよい。
【0012】
概して、一実施の形態において、胃内に処置デバイスを固定する方法においては、処置デバイスを幽門を通過して消化管内の位置に向かうように前進させ、デバイスに接続されたアンカーを収納形状で胃内に配置し、アンカーを収納形状から展開形状に拡大する。展開形状は、ステムと該ステムから放射方向に延在する第1のアーチと第2のアーチとを備える。展開形状のアンカーは、幽門の直径に比べて大きい直径を備える。
【0013】
本実施の形態および他の実施の形態は、以下の特徴を1つまたはそれ以上含んでもよい。収納形状におけるアンカーは、実質的に平行な2つの直線状のワイヤを含んでもよく、その実質的に平行な直線状のワイヤは、展開形状において第1および第2のアーチを形成してもよい。方法において、展開形状のアンカーの一部分を近位側に引っ張ることにより、アンカーを収納状態に折り畳んでもよい。アンカーのその一部分は、アーチに接続された引っ張りループであってもよい。アンカーは、第1および第2のアーチを接続する曲線要素をさらに含んでもよい。引っ張りループを近位側に引っ張ることにより、曲線要素が、近位側に第1および第2のアーチを過ぎて移動し、第1および第2のアーチを直線状になるように引き寄せてもよい。方法において、締結要素を用いてアンカーを展開形状に固定してもよい。
【0014】
上述の実施の形態の代替案において、アンカーは、単一のアーチを含んでもよい。別の代わりの実施の形態において、アンカーは、アーチがなくて、単一または複数のコイル、あるいはワイヤのループを含んでもよい。
【0015】
上述のいずれかの実施の形態は、以下の特徴を1つまたはそれ以上含んでもよい。
【0016】
デバイスは、立体配座的に安定化されるスパインを含んでもよい。流量減少要素が伸長部材を囲んでもよい。流量減少要素は、膨張可能なスリーブで形成されてもよい。流量減少要素および/または伸長部材は、その内部に生物活性材を含んでもよい。伸長部材の遠位端は、十二指腸空腸結合部近傍で終端してもよい。アンカーは、アンカーの2つの部分をロックするために、シンチ機構、ボール−スプリング締結具、小穴−二重返し締結具、ボール−二重内腔小穴締結具、ヘリカル−マルチボール締結具、小穴−ポスト/タブ締結具、スリーブ状締結具、またはマルチタブ−小穴締結具などの締結具を含んでもよい。伸長部材は、柔らかい(floppy)コードまたはチューブであってもよい。アンカーまたは伸長部材は、形状ロック機能を備えてもよい。デバイスの端は、球状またはコイル状であってもよい。ステムは、結合された2つのワイヤで形成されてもよい。2つのワイヤの結合は、2つのワイヤ間を溶接することなく、各ワイヤに溶接されたスリーブで行われてもよい。結合は、2つのワイヤ間の溶接を含んでもよい。アンカーは、ステムに対して非対称であってもよい。アンカーは、図8に示す形状を備えてもよい。アンカーは、その中に切断部を備える単一のワイヤで形成されてもよい。切断部は、締結具によって閉じられてもよい。デバイスは、十二指腸球部内で使用される二次的なアンカーを含んでもよい。デバイスは、デバイスのデリバリー中または取り除き中において、接触のための位置を提供するように構成されたプッシャーを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】胃と小腸の十二指腸とを示す概略図
【0018】
図2】満腹信号を発生させるいくつかの一例のメカニズムを示す図
【0019】
図3】胃および小腸の内部に配置された、本発明に係る一実施の形態の十二指腸/小腸インサートの透視図
【0020】
図4】取り付けられた流量減少要素と中央管腔とを示す中央チューブの部分的断面図
【0021】
図5】偏心して取り付けられた流量減少要素と中央管腔とを示す中央チューブの部分的断面図
【0022】
図6】伸長部材を示すとともに取り付けられた流量減少要素を示す代わりの実施の形態の斜視図
【0023】
図7】中央チューブとアンカー部材の断面図
【0024】
図8】中央チューブとアンカー部材の代わりの実施の形態の斜視図
【0025】
図9】膨張可能なスリーブに取り付けられた中央チューブを示し、その膨張可能なスリーブが流量減少要素を形成するために中央チューブの特定の部分の膨張を可能にする図
【0026】
図10】小腸内に挿入するために折り畳まれた状態の膨張可能なスリーブを示す図
【0027】
図11】所望の膨張形状の膨張可能なスリーブによって形成された、流量減少要素を維持するための1つの機構を示す図
【0028】
図12】1つまたはそれ以上の満腹信号の発生に寄与する小腸インサートの役割を示すフローチャート
【0029】
図13】十二指腸の斜視図
【0030】
図14】十二指腸の側面図であって、実施の形態のインサートデバイスが配置される内部空間の周囲を形成する胃粘膜などのひだを示す図
【0031】
図15】スリーブから形成された流量減少要素を備え、また胃前庭部内で終端する近位部と十二指腸結合部近傍で終端する遠位部とを備える実施の形態のデバイスを示す図
【0032】
図16A】交差する端間距離が異なるデバイスを示し、端間が相対的に大きく離れ、寸法と比較して相対的に大きい端間の状態のデバイスを示す図
図16B】交差する端間距離が異なるデバイスを示し、端間が相対的に小さく離れ、寸法と比較して相対的に小さい端間の状態のデバイスを示す図
【0033】
図17】消化管の留置部位内の図15に示すデバイスを示し、近位部が胃前庭部内で終端し、遠位部が十二指腸結合部近傍で終端する図
【0034】
図18図15に示すものと類似し、大きい単一の流量減少要素を備える代わりの実施の形態のデバイスを示す図
【0035】
図19】近位部が胃の活動部分を越えて延在され、十二指腸内にインプラントされているデバイスを備える胃の断面図
【0036】
図20】代わりの近位部が胃の活動部分を越えて延在され、十二指腸内にインプラントされている別のデバイスを備える胃の断面図
【0037】
図21】近位部が胃の活動部分を越えて存在され、十二指腸内にインプラントされている別のデバイスを備える胃の断面図
【0038】
図22】空腸内に延在する遠位部を備え、十二指腸内にインプラントされているデバイスを備える胃の断面図
【0039】
図23】空腸内に延在する遠位部を備え、十二指腸内にインプラントされているデバイスを備える胃の断面図
【0040】
図24】リング形状の近位側アンカーを備え、十二指腸内にインプラントされているデバイスを備える胃の断面図
【0041】
図25】伸長された近位側コイルを備え、十二指腸内にインプラントされているデバイスを備える胃の断面図
【0042】
図26A】伸長された近位側コイルとコイル上の保持リングとを備え、十二指腸内にインプラントされているデバイスを備える胃の断面図
図26B】コイル上の保持リングがよく見える拡大図
【0043】
図26C】コイルを保持するための代わりの締結具またはクリップを示す図
【0044】
図27A】成形された近位部と柔らかい(floppy)遠位部とを備えるデバイスを示し、遠位部に沿う流量減少要素を含む図
図27B】成形された近位部と柔らかい(floppy)遠位部とを備えるデバイスを示し、遠位部に沿う流量減少要素を含み、遠位部が十二指腸曲などの十二指腸内の異なる位置内に末端が配置される様々な長さを備える図
図27C】成形された近位部と柔らかい(floppy)遠位部とを備えるデバイスを示し、遠位部に沿う流量減少要素を含み、遠位部が空腸内の異なる位置内に末端が配置される様々な長さを備える図
図27D】成形された近位部と柔らかい(floppy)遠位部とを備えるデバイスを示し、遠位部に沿う流量減少要素を含み、遠位部が十二指腸水平部または垂直部内の異なる位置内に末端が配置される様々な長さを備える図
【0045】
図28A】形状ロック部を備えるデバイスの一部分を示す図
図28B】十二指腸の形状に一致する形状ロック部を備えるデバイスの一部分を示す図
【0046】
図29】十二指腸内に配置され、形状ロックする部分に様々なサイズのリンクとジョイントとを備える形状ロック部を備えるデバイスを示す図
【0047】
図30A】展開形状における、マルチストランドボールから形成された近位側アンカーを備えるデバイスを示す図
図30B】収納状態における、マルチストランドボールから形成された近位側アンカーを備えるデバイスを示す図
【0048】
図31A】展開形状における、薄膜コーティングを備えるマルチストランドボールから形成された近位側アンカーを備えるデバイスを示す図
図31B】収納状態における、薄膜コーティングを備えるマルチストランドボールから形成された近位側アンカーを備えるデバイスを示す図
【0049】
図32A】ステム、単一のアーチ、コイルを備え、曲線部またはコイル状部で終端する実施の形態の近位側アンカーを示す図
図32B】ステム、単一のアーチ、コイルを備え、曲線部またはコイル状部で終端する実施の形態の近位側アンカーを示す別の図
図32C】ステム、単一のアーチ、コイルを備え、曲線部またはコイル状部で終端する実施の形態の近位側アンカーを示すさらに別の図
【0050】
図33図32A〜32Cに類似するステム、アーチ、およびコイルを備え、また、32A〜32Cの小さいコイル状端の代わりにまたは該コイル状端とともに球状末端の代替物を有するデバイスを備える胃の断面図
【0051】
図34A】二重シャフトステムおよび巻きコイルの反対に至る一対のアーチを備える実施の形態の近位側アンカーを示す図
図34B】二重シャフトステムおよび巻きコイルの反対に至る一対のアーチを備える実施の形態の近位側アンカーを示す別の図
図34C】二重シャフトステムおよび巻きコイルの反対に至る一対のアーチを備える実施の形態の近位側アンカーを示すさらに別の図
【0052】
図35A】巻きコイルの反対に至る一対のアーチとアンカーを取り除くためにアーチ間を延在する引っ張りループとを備える実施の形態の近位側アンカーを示す図
図35B】巻きコイルの反対に至る一対のアーチとアンカーを取り除くためにアーチ間を延在する引っ張りループとを備える実施の形態の近位側アンカーを示す別の図
図35C】巻きコイルの反対に至る一対のアーチとアンカーを取り除くためにアーチ間を延在する引っ張りループとを備える実施の形態の近位側アンカーを示すさらに別図
図35D】巻きコイルの反対に至る一対のアーチとアンカーを取り除くためにアーチ間を延在する引っ張りループとを備える実施の形態の近位側アンカーを示すさらに別の図
【0053】
図36A】近位側アンカーのアーチの遠位端が2つのアーチの結合部で扁平されている、近位側アンカーの一部分を示す図
図36B】位側アンカーのアーチの遠位端が2つのアーチの結合部で扁平されている、近位側アンカーの一部分を示す図
図36C】アーチの遠位端がステムとアーチとの間の移行部がスムーズになるように傾斜している、近位側アンカーの一部分を示す図
図36D】アーチの遠位端がステムとアーチとの間の移行部がスムーズになるように傾斜している、近位側アンカーの一部分を示す図
図36E】アーチの遠位端がステムとアーチとの間の移行部がスムーズになるように傾斜している、近位側アンカーの一部分を示す図
【0054】
図37A】近位側アンカーをロックする一実施の形態の締結具を示す図
図37B】近位側アンカーをロックする一実施の形態の締結具を示す図
【0055】
図38A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図38B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図38C】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0056】
図39A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図39B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0057】
図40A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図40B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0058】
図41A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図41B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0059】
図42A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図42B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0060】
図43A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図43B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0061】
図44A】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
図44B】近位側アンカーをロックする別の実施の形態の締結具を示す図
【0062】
図45】消化管内の所定の位置内の一例のループ状近位側アンカーを示す図
【0063】
図46A】一例の非対称なループ状近位側アンカーを示す図
図46B】一例の非対称なループ状近位側アンカーを示す図
【0064】
図47A】一例の非対称なループ状近位側アンカーを示す図
図47B】一例の非対称なループ状近位側アンカーを示す図
図47C】一例の非対称なループ状近位側アンカーを示す図
図47D】一例の非対称なループ状近位側アンカーを示す図
【0065】
図48A】一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
図48B】一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
図48C】一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
図48D】一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
図48E】一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
【0066】
図49A】切断部と切断部を閉じるように構成された締結具とを備える一例の近位側アンカーを示す図
図49B】切断部と切断部を閉じるように構成された締結具とを備える一例の近位側アンカーを示す図
図49C】切断部と切断部を閉じるように構成された締結具とを備える一例の近位側アンカーを示す図
【0067】
図50A】形状の保持を助ける締結具を備える、一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
図50B】形状の保持を助ける締結具を備える、一例の”図8”のループ状近位側アンカーを示す図
【0068】
図51】一例の近位側アンカーのステム部を示す図
【0069】
図52A図35の近位側アンカーなどの、近位側アンカーの形成に使用される一例の単一ワイヤを示す図
図52B図35の近位側アンカーなどの、近位側アンカーの形成に使用される一例の単一ワイヤを示す図
図52C図35の近位側アンカーなどの、近位側アンカーの形成に使用される一例の単一ワイヤを示す図
【0070】
図53A】一例のスリーブと近位側アンカーのステムのための溶接構成とを示す図
図53B】一例のスリーブと近位側アンカーのステムのための溶接構成とを示す図
図53C】一例のスリーブと近位側アンカーのステムのための溶接構成とを示す図
【0071】
図54】一例の二次的なバルブ状アンカーを備える胃腸デバイスを示す図
【0072】
図55】別例の二次的なバルブ状アンカーを備える胃腸デバイスを示す図
【0073】
図56A】一例の形状ロック型近位側アンカーを示す図
図56B】一例の形状ロック型近位側アンカーを示す図
【0074】
図57A】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される一例のプッシャーを示す図
図57B】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される一例のプッシャーを示す図
図57C】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される一例のプッシャーを示す図
図57D】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される一例のプッシャーを示す図
【0075】
図58A】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される別例のプッシャーを示す図
図58B】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される別例のプッシャーを示す図
図58C】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される別例のプッシャーを示す図
図58D】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される別例のプッシャーを示す図
図58E】折り畳み可能なアンカーのデリバリーに使用される別例のプッシャーを示す図
【発明を実施するための形態】
【0076】
(体内デバイスの実施の形態)
図1は、胃4と小腸10の十二指腸とを含む人間の消化管を示している。重要な特徴部として、食道2、胃4、前庭部7、幽門8、幽門弁11、十二指腸10、空腸12、およびファーター膨大部(胆膵管膨大部)13があり、これらは、膵管と総胆管の結合によって形成されている。機能的には、食道2は、その上端で鼻または口からはじまり、その下端で胃4で終わる。胃4は、食道−胃連結部6(食道2のための開口部)と前庭部−幽門間連結部5(幽門8を通過する前庭部7と小腸の十二指腸10との間の流路)とによって特徴付けられるチャンバーを囲んでいる。幽門8は幽門弁11および括約筋を介して胃4の内容物の排出をコントロールし、幽門弁11により、十分に消化された胃の内容物(すなわち、約1立方センチメートル以下の物体)が十分に通過できるように幽門8が大きく開く。これらの胃の内容物は、十二指腸10内に入った後、続いて空腸12に入り、その後回腸(図示せず)に入る。十二指腸10、空腸12、および回腸は、いわゆる小腸を構成している。なお、消化管のこれらの部分はそれぞれが小腸と呼ばれる場合もある。本発明の明細書においては、十二指腸、空腸、および/または回腸の全てまたは一部を小腸と言及することがありうる。消化に役立つ胆液および膵液を提供するファーター膨大部13は、十二指腸10の内壁上の小さい突起として図示されている。
【0077】
本発明の実施の形態のデバイスは、消化管内の留置位置に、特に十二指腸に安定を与える様々な形態を含んでいる。腸インサートの同意語として言及されるいくつかの実施の形態のデバイスは、胃内に留まり且つ幽門を通過するには大き過ぎるアンカー部材によって腸内で安定される。他の実施の形態において、腸内で安定する特徴部として、十二指腸の遠位側の部分に比べて大きい十二指腸球部内で拡大し、それにより遠位側への移動が効率的に防止されるデバイスの部分が挙げられる(例えば、図89〜90)。
【0078】
デバイスおよびそのデバイスの使用方法のいくつかの実施の形態が、食物の移動速度に介入する物理的機構によって小腸を通過する食物の移動速度を減少させることを目的としている。他の態様において、本発明の実施の形態は、生理学的機構によって、その代わりとして、生体活性材または生物活性剤を介する満腹信号の直接的な提供によって、または、ニューロン刺激を介して満腹信号を生成することによって役割を果たし、それにより、食物摂取行動を抑える。実施の形態のデバイスおよび方法の満腹機能性および食物摂取機能性が本明細書で詳細に説明されるけれども、デバイスのいくつかの実施の形態は、満腹生理および消化生理のみに比べて広い医療的範囲を目的としている。非肥満医療または満腹誘発医療の利用の例として、いくつかの実施の形態のデバイスは、生物活性剤や当該デバイスによって送られる医療的に適切な薬品などの溶出源として使用されてもよい。いくつかの態様において、実施の形態のデバイスは、食物の移動を遅らせることおよび/またはデバイスの単なる物理的存在に直接的に反応する腸によって発生された満腹信号によって食物摂取量を抑えることに寄与してもよい。このような信号は、例えば、腸壁内のストレッチ応答ニューロンや機械的受容体によって調節されてもよい。他の実施の形態において、満腹信号は、腸内の物質の物理的存在に反応するホルモン、または機械的受容体に副次的に反応するホルモンによって調節されてもよい。他の実施の形態において、食物の速度の低下、残留時間の増加、その結果としての腸内の化学環境の変化は、満腹信号の正味の効果を持つようなニューロン的またはホルモン的な信号を送るために、腸内に存在する化学受容体の反応を引き起こしてもよい。
【0079】
さらに本発明の他の実施の形態において、デバイスは、時間をかけて腸内に放出される生物活性材または生物活性剤を搬送してもよく、その生物活性剤が、正味の満腹信号を搬送する。いくつかの実施の形態において、正味の満腹信号効果を備える生物活性剤は、デバイス内のコーティング、貯蔵部、容器などの場所から受動的に排出される。生物活性材または生物活性剤は、上述で詳細に説明したが、広い態様においては、ホルモン、薬剤、または細胞などが含まれてもよい。いくつかの実施の形態において、生物活性剤は、浸透圧ポンプに保持され、浸透圧ドライブ(osmotic drive)によって放出されてもよい。浸透圧ポンプなどの放出機構は、生物活性剤の放出に関してレベルの制御および予測を行うが、相対的に受動的であり、介入手段を用いない。なお、本発明の別の態様は、印加電流に対応して蓄えている生物活性剤を放出することができるまたは放出を促進する電気駆動ポンプまたは圧電素子によって生物活性剤を放出するまたはデリバリーする、より能動的な機構を含んでもよい。このようなデバイスは、蓄電要素を含んでもよい、または、有線アプローチまたは無線アプローチを介して外部電源から電力を供給されてもよい。
【0080】
本発明のさらに他の実施の形態において、デバイスは、腸内の神経に電気刺激を与える電極または導体要素を含んでもよく、その結果としての神経活性は脳内に満腹信号を送る正味の効果に寄与する。いくつかの実施の形態において、満腹に関連する神経活性は、内分泌機構によってさらに調節されてもよい。生物活性剤を放出するための動力機構を備える本発明の実施の形態のように、電気的機能を備える実施の形態は、蓄電デバイスを含んでもよく、または、外部電源から供給されたエネルギを受け取ることができるように構成されてもよい。
【0081】
本発明の他の態様において、アンカーを備えるまたは備えていない実施の形態のインサートデバイスは、満腹感への誘導や食物移動速度の低下を少なくとも含むより広い医療目的のために、生物活性剤デリバリー、神経刺激デリバリー、または放射線治療デリバリーのためのプラットフォームを提供してもよい。いくつかの生物活性剤のデリバリーに関して、腸内の部分に物質を局所的にデリバリーすることには多くの利点が存在する。そのような利点として、投薬が局所化すること、経口デリバリーにおいて生じるような胃酸への曝露がないこと、薬品デリバリーまたは他の形態の全身性のデリバリーが直面する肝臓および腎臓の代謝機構への曝露が減少することが挙げられる。さらに、実施の形態のデバイスは、複数の薬品を収容してもよく、いくつかの実施の形態においては、そのような複数の薬品の放出が独立して制御されてもよい。
【0082】
(本発明の消化系の背景)
ここでは、本発明の実施の形態に関連する、消化系、消化プロセス、および満腹の内分泌学的および神経生理学的な態様について説明する。大人の十二指腸は、約20〜25cmの長さであり、最も短く、最も幅広く、また最も有効的な小腸の部分である。十二指腸は、あおむけ姿勢における第1腰椎の位置と第3腰椎の位置との間に存在する細長い「C」字形状である。Susan Standring著、Gray’s Anatomy 39th 1163−64(2005)は、標準的基準を提供する。参照のために、また消化系の態様のさらなる詳細を説明するために、図1に戻る。多くの場合に十二指腸球部10aと呼ばれる十二指腸の第1部は、約5cmの長さであり、幽門8の十二指腸側端から連続的にはじまる。この十二指腸の第1部は、下方に鋭く曲がって十二指腸の第1部の端である十二指腸曲465に到達する前の5cmの間に、上方に、後方に、横方向に通過する。多くの場合に十二指腸下行部10bと呼ばれる十二指腸の第2部は、約8〜10cmの長さである。それは、上方の十二指腸曲465から始まり、緩やかなカーブで下方向に第3腰椎体に向かって進む。ここでは、十二指腸の第3部との結合部である下方側の十二指腸曲475に向かって内側に鋭く曲がる。多くの場合に十二指腸水平部10cと呼ばれる十二指腸の第3部は、下方側の十二指腸曲からはじまり、約10cmの長さである。それは、第3腰椎の下側縁の右側から進み、わずかに上方向に曲がり、左に曲がり、そして腹部大動脈の前側の十二指腸の第4部につながる。十二指腸の第4部は、約2.5cmの長さであり、大動脈の左に向かって始まり、第2腰椎の上側縁の高さ位置に上方向および横方向に進む。次に、十二指腸空腸曲で前方且つ下方に曲がり、空腸に結合する。本発明のいくつかの実施の形態は、以下においてさらに完全に説明するように、このような予測可能な小腸の形状を利用して、幽門内又は胃内にアンカーを下ろす必要がない十二指腸/小腸インプラントを提供する。
【0083】
消化プロセスは、消費された食物が胃内で唾液および酵素と混ざると開始する。ひとたび食物が飲み込まれると、消化は食道内および胃内で継続され、食物は酸および付加的な酵素と結合して液化される。食物は、一定期間、胃内に留まり、次に小腸の十二指腸内に移動して胆液と膵液とに混ざる。消費された食物と胆液および膵液との混合により、そこに含まれる栄養素を、小腸内の絨毛および微絨毛が、また身体の他の吸収器官が吸収可能になる。
【0084】
Robert C.Ritter著であって、Physiology&Behavior 81(2004)249−273によって公表された”Gastrointestinal mechanisms of satiation for food”は、食欲をコントロールのために消化管を利用する様々な手段の我々の理解を要約している。彼は、満腹状態での胃の役割は、食事から得られた摂取物の量を検出することと、満腹状態に関連する物質を示す様々な信号を生成することであると述べている。なお、これらの信号を受け取るのは、具体的には小腸である。さらに、摂取物のエネルギ密度に反応する腸は、さらなる胃内容排出を制限し、適切なカロリーが摂取されると満腹を示す信号を送る。求心性神経の位置の解析を介して(p.255)、Ritterは、迷走神経の求心性神経が十二指腸内に最も集中し、より遠位の回腸内では最も少ないこと述べている。この早期での求心性神経の集中は、食事プロセスの早期において食欲を抑制する。さらに、猿、ねずみ、人間を含む様々な哺乳類における栄養摂取に対する反応の瞬時性が、他の部分で証明されている。食物摂取の減少は摂取し始めてから数分内で始まること、および、そのためにその減少が吸収後の効果またはシステム的な代謝効果に対する反応ではないことは明らかにされている。これらのRitterの一節は、具体的には、本明細書で説明されるデバイスの配置に関連するまたは本発明の実施の形態の流量減少要素の位置および大きさに関する参照として本明細書に組み込まれている。
【0085】
胃および小腸内での部分的に消化された食物の存在により、続いて、食物摂取の停止に寄与する近位側の小腸から主に放出される満腹信号を生成する、生物学的信号生成が始まる。このような満腹信号の1つが、コレシストキニン(CCK)の放出によって開始される。小腸の細胞が、消化された食物の存在に反応して、特に、食物脂肪、脂肪酸、小ペプチド、およびアミノ酸に反応してCCKを放出する。CCKのレベル上昇により、食事量および食事期間が減少し、それは複数の異なる機構を介して行われる。例えば、CCKは、肝臓内のCCK−A受容体や満腹信号を生じさせる中枢神経系内に作用することができる。CCKは、肝臓内と弧束核に向かって突出する幽門との両方の内部の求心性迷走神経繊維を刺激し、脳の部分が、食物摂取量と摂取行動を中心的に規制する視床下部に連絡する。CCKはまた、胆嚢および膵臓からの酵素の放出を刺激し、胃内容排出を抑制する。CCKが胃内容排出の強力阻害剤であるため、食物摂取の制限へのいくつかの効果が、胃内の食物の貯留によって調節される。
【0086】
小腸の細胞(特にL細胞)はまた、消化の栄養シグナルに反応して、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)およびオキシントモジュリン(OXM)を放出する。GLP−1およびOXMのレベル上昇は、満腹信号および食物摂取の停止に関連している。これらのホルモンは、肝臓内および/またはGI管の求心性迷走神経上の受容体が活性化することにより、および/または胃内容排出を抑制することにより、満腹信号を送出することができる。
【0087】
膵臓ペプチド(PP)は、摂取されたカロリー量に比例して、また胃拡張に反応して放出される。PPレベルの上昇は、食物摂取および体重の減少を示している。PPは、脳幹につながる求心性迷走神経路を介して、胃内グレリンの生成を抑制するなどのより局所的な効果を介して、いくつかの食欲減退効果を発揮する。
【0088】
ペプチドYY3−36(PYY3−36)は、別の生物学的信号であり、その周辺への放出は、食物摂取の減少および/または食事の停止に関連する可能性がある。具体的には、低レベルのPYY3−36は肥満に関連し、それの投与がカロリー摂取および主観的な空腹度を減少させる。PYY3−36の静脈投与は、グレリン発現抑制効果、胃内容排出の遅延効果、膵臓および胃からの様々な分泌物に対する遅延効果、および食事後における回腸からの流体や電解液の吸収量の増加効果を介して、食物摂取を抑えることができる。
【0089】
インスリンおよびレプチンは、満腹や摂取行動を規制する2つの付加的な生物学的信号である。副交感神経支配を介して、膵島のベータ細胞は、グルコースやアミノ酸などの血中栄養素に反応して、またGLP−1や胃抑制ペプチド(GIP)に反応してインスリンを放出する。インスリンは、グルコース代謝の増加を介して脂肪組織から生成されたレプチンを刺激する。脳内のインスリンレベルが増加すると、食物摂取量が減少される。レプチンのレベル増加により、食物摂取量が減少され、減量を引き起こす。インスリンおよびレプチンの投与によって食物摂取量を減らすのみによって説明される体重減少に比べて大きい減量が引き起こされるため、インスリンおよびレプチンはエネルギ消費の規制に関与する。インスリンおよびレプチンの両方が、たぶん交換神経系を活性化することによって食物摂取を抑制してエネルギ消費を増加する中枢神経系内に作用する。食物摂取量を減少させるインスリンの効果は、例えば、NPYやメラノコルチンリガンドを介して、摂取行動の規制に関連するいくつかの視床下部神経ペプチドとの相互作用を引き起こす。
【0090】
食物摂取の抑制または阻止に関連する他のホルモン的または生物学的信号として、例えば、GIP(グルコース投与した後または高炭水化物食事の摂取後に腸内の内分泌腺のK細胞から分泌された)、エンテロスタチン(食物脂肪に反応して生成された)、アミリン(膵臓のベータ細胞からのインスリンと相互分泌された)、グルカゴン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、ソマトスタチン、ニューロテンシン、ボンベシン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、ニューロメジンU(NMU)、およびケトンなどがある。
【0091】
本発明の実施の形態に関して、消化された食物またはびじゅく(chyme)が部分的に小腸の十二指腸内で妨げられ、その領域を通過する流速が減少すると(または、滞留時間が増加するように別の方法で同一の現象を発現させると)、胃および十二指腸は徐々に空になる。このことは満腹感を継続し、それにより食物摂取量が減少する(胃内に食物が長時間保持されるため)。食物の移動速度の低下により、GI管に沿った化学受容体、伸張受容体、および機械的受容体に対して消化された食物が部分的に作用する時間が増加し、それにより、満腹信号の刺激が増加されるおよび/または長期化され、その結果、食事中および/または食物摂取間の長い期間において食物摂取量が減少される。
【0092】
長い期間小腸内に消化された食物が部分的に維持されることに加えて、本発明の方法およびデバイスは、小腸内に信号を放出することにより、満腹信号の放出を増進するおよび/または長期化してもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、本発明の方法およびデバイスは、化学受容体に刺激を与える消化産物の栄養素を放出することにより、満腹信号の生成に寄与するホルモン信号および/または他の分子信号の放出を起こしてもよい。別の実施の形態において、本発明の方法およびデバイスは、GI管の壁に低圧を作用させることによって胃(機械的受容体)を刺激し、それにより満腹信号が生成されて脳に送られるようにしてもよい。別の実施の形態において、本発明の方法およびデバイスは、上記のように化学受容体に刺激を与えるために、例えば、食物消化の副生成物の栄養素を介するなどして信号を放出してもよく、また上述したように小腸の壁に小さい圧力を作用させて満腹信号の生成に寄与してもよい。
【0093】
(流量制限要素を備えたデバイス)
図2は、満腹信号を発生させるいくつかの非限定的な実施の形態の機構を示している。図2に示すように、脂肪酸や他のタンパク質などの消化の副生成物は小腸のL細胞に刺激を与え、それによりCCKが局所的に放出されて血液循環に入る。局所的に放出されたCCKがその領域内の迷走神経の求心性神経繊維を刺激し、それにより、中枢神経系(CNS)に向かう満腹信号が生成される。血液循環に入ったCCKは、肝臓に移動することができ、その肝臓内の迷走神経の求心性神経繊維を刺激し、それによりCNSに向かう満腹信号が生成される。血液循環内のCCKは、胆嚢と膵臓とに移動することができ、これらの臓器の消化関連活動を上方制御する。血液循環内のCCKはまた、CNSに移動することができ、満腹信号の生成に寄与する。ひとたび満腹信号がCNS内に到達して取り入れられると、CNSは、膨満感および/または食物摂取の停止、速度低下、または量の減少に寄与する役割を果たす生理学的効果をもたらすことができる。
【0094】
次に本発明の実施の形態について説明する。図3は、満腹信号の生成に寄与する、本発明に係る一例の小腸インサート20を示している。インサート20は、胃4と小腸10内に配置される。インサート20は、近位部30と、遠位部40と、近位部30から遠位部40に向かって延在する中央チューブ50とを備える。小腸10内にフィットするサイズの1つまたはそれ以上の流量減少要素200が中央チューブ50に取り付けられてもよい。必要ないのであれば、小腸内への胆液および膵液の導入が妨害されないように、ファーター膨大部13に近い中央チューブ50の部分に、流量減少要素200がなくてもよい。
【0095】
いくつかの実施の形態において、中央チューブすなわちスパイン50は、その近位端52近傍に、アンカー部材100を備える。アンカー部材100は、中央チューブ50の近位端52を胃内に固定する。アンカー部材100は、幽門8を通過しないサイズである。このように、アンカー部材を含んでいる本発明の実施の形態は、小腸内に流量減少要素200を固定する。いくつかの実施の形態において、アンカー部材は、膨らむと幽門8に比べて大きい1つまたはそれ以上の膨張可能なバルーン102によって実現されてもよい。膨張可能なバルーン102は、胃内にデリバリーされるときはしぼみ、胃内で膨らんでもよい。膨張可能なバルーン102はまた、内視鏡的技術を用いて取り除かれるためにしぼんでもよい。
【0096】
以下にさらに詳細に説明するように、実施の形態の流量減少要素200は、様々な構成であってもよく、また、さらに、そのバルク材料の組成物、表面性質、および特性などの物理的特徴に関連して変更されてもよい。いくつかのさらなる例の実施の形態の流量減少要素200が図16〜25に示されている。図16に示すようないくつかの実施の形態において、中央チューブまたは中央部材は、伸長部材と呼ばれ、十二指腸内のびじゅく流れ(chyme flow)を減少させる形態に構成されてもよい。実施の形態の流量減少要素が持つ共通の機能的特性は、適切な臨床的ガイドラインの範囲内において、消化中の食物の移動をブロックすることなく、遅らせることである。その移動速度を遅らせるプロセスは、代謝される栄養化合物に対する生化学的プロフィールを変化させるなど、消化中の食物材料の組成物に影響を与えることできる。十二指腸の化学受容体および神経は、びじゅく内の代謝の生化学的プロフィールに対して反応し、その結果、消化生理、満腹生理、および空腹生理の調整にかかわる。流速やびじゅくの生化学的プロフィールが変化するなどによって、本発明の実施の形態の小腸インサートは、満腹に関連する信号の生成に寄与する。流量減少要素はさらに、その流量減少要素によって起こる混合作用によって消化中の食物材料の組成物に影響を与えてもよい。
【0097】
図4は、内部空間58を画定する外壁54と内壁56とを備える中央チューブ50を有する本発明の実施の形態を示している。内部空間58は、中央チューブ50の近位端52から中央チューブ50の遠位端53の手前まで連続する内腔59を形成する。中央チューブ50の遠位端53は先端55でシールされており、それにより中央チューブ50に導入された流体が小腸内の遠位で漏れ出ることがない。いくつかの実施の形態において、弁90が内腔59の実質的に近位端に配置されてもよい。弁90は、内腔59内に流体を導入するためのニードルまたは丸い先端を備えるチューブにアクセスされる隔膜92を備える自己シール弁であってもよい。弁90は、中央チューブ50の内腔59内の流体を吸引して取り除くために、アクセスされてもよい。弁のタイプは隔膜型弁のみに限定されず、また上述した隔膜弁に代わって他のタイプの機械式弁が使用されてもよいことは理解される。本発明の特定の実施の形態は、本発明のデバイスがしぼんだ状態でインプラントされ、その後に膨張した状態に拡大するために、流体を受け入れるように構成されている。
【0098】
図4に示すようにまた上述したように、1つまたはそれ以上の流量減少要素200が中央チューブ50に取り付けられてもよい。いくつかの実施の形態において、流量減少要素200それぞれの直径は、中央チューブ50の軸と同心であってもよい。図4に示す実施の形態において、流量減少要素200それぞれは、外壁210、内壁212、および内部空間214を備える。流量減少要素200それぞれは、その近位側表面220でまたはその近傍で且つ遠位側表面222でまたはその近傍で中央チューブ50に取り付けられてもよい。その場合、流量減少要素200の内部空間214は、その内部空間214が中央チューブ50の外壁54を囲むように、中央チューブ50の内腔59に流体接続されている。流量減少要素200それぞれは、例えば、接着剤、熱接着、機械的保持、または他の適切な手段によって中央チューブ50に取り付けられてもよい。
【0099】
図4に示すように、中央チューブ50は、流量減少要素200それぞれの内側に位置する部分に複数の入口/出口ポート216を備えるように形成されてもよい。具体的には、各ポート216は、中央チューブ50の内腔59と流量減少要素200の内部空間214との間の流体接続のための流路が確立されるように、中央チューブの壁51を貫通して形成されている。その結果、中央チューブ50の内腔59は、流量減少要素200の内部空間214内に流体を導入するために、また、流量減少要素200の挿入および取外しを容易にするために折り畳まれている状態から、図4に示すように食物の流路抵抗を増加して満腹感を引き起こす膨らんだ状態になるように流量減少要素200を膨らますために使用される。したがって、上述したように、本実施の形態における1つまたはそれ以上の流量減少要素200は、小腸内に導入されて適所で所望の直径に膨らむために、中央チューブ50の周りでしぼんで折り畳まれるバルーンとして機能する。
【0100】
実施の形態の流量減少要素は、周囲に配置されるまたは中心に配置される、コイル、リブ、ファン、スリーブ、メッシュケージ、バスケットなどの他の形態であってもよい。このような実施の形態は以下の”本発明のさらなる例の実施の形態”の一節で説明され、そこでは、図15〜31に示すような生分解可能な構成要素、能動的生体材料放出機構、および神経刺激機構を備える実施の形態が説明される。
【0101】
いくつかの実施の形態において、本発明のそれぞれの流量減少要素200は、弾性のバルーンであってもよく、または非弾性のバルーンであってもよい。流量減少要素200を確立するために弾性のバルーンが使用される場合、流量減少要素200は、流量減少要素の内部空間に導入される流体の量に依存する直径に膨張する。この実施の形態により、医者によって決定されたサイズにバルーンを調節することができる。もしバルーンが小さすぎる場合、例えば、追加の流体をバルーンの直径を拡大するために導入することができる。代わって、バルーンが大きすぎる場合、付加的な流体をバルーンの直径を縮小するために取り出すことができる。内部空間に導入される流体の量に依存しない直径に膨張する非弾性のバルーンからなる代わりの実施の形態は本発明の範囲内と理解される。このタイプのバルーンの直径は製造時に決まり、体内でのバルーンサイズの調整を許容しない。しなしながら、このタイプのバルーンは、バルーン内に大量の流体が導入されたときに過剰に膨らんで破裂する可能性を低くする。
【0102】
図4に示す流量減少要素200は、丸い球体形状である。しかしながら、他の形状も考えられ、消化された食物の小腸内の通過を抑制する機能を効果的に果たす任意の形状も本発明に係るものとして受け入れ可能である。小腸インサートの小腸内で留まる能力は、流量減少要素200の形状、姿勢、および膨張状態によって影響されうると理解される。例えば、卵形状、楕円形状、細長い楕円形状、でこぼこな非幾何学的形状などの代わりの形状も、本発明に係るものとして使用することができる。
【0103】
図5は、1つまたはそれ以上の流量減少要素300が中央チューブ350に偏心して取り付けられている、本発明の代わりの実施の形態を示している。この実施の形態において、1つまたはそれ以上の流量減少要素300の軸または直径は、中央チューブの軸に対して同心ではない。流量減少要素の外壁302は、中央チューブ350の外壁354の側面に取り付けられている。各流量減少要素300の内部空間314は、中央チューブ350の軸に対して偏心し、それぞれの開口316を介して中央チューブ350の内腔359に流体接続されている。図4に示す実施の形態の場合のように、図5に示す実施の形態においても、内腔359は、流量減少要素300の内部空間314内に対して流体を導入するおよび取り除くことによって流量減少要素300を膨張状態としぼんだ状態との間で推移させるために使用されてもよい。
【0104】
本発明のいくつかの実施の形態において、流量減少要素300は、液体および/または気体などの流体を用いて膨張されてもよい。いくつかの実施の形態において、気体は、例えば空気、窒素、または二酸化炭素であってもよい。別の実施の形態において、液体は、例えば、水または他の溶体と混合された水であってもよい。適切な膨張媒体は、満腹の生物学的信号を引き起こすために、小腸に対して本発明のインサートから拡散される生物活性材または他の溶液をデリバリーするように変更されてもよい。生物活性材が膨張媒体を介してデリバリーされる場合、スパインすなわち中央チューブおよび/または流量減少要素の全てまたは一部分の材料は、生物活性材を透過することができる材料から選択するべきである。多孔率が、生物活性材の拡散速度を制御するために調節されてもよい。
【0105】
代わりの一態様において、1つまたはそれ以上の容器が、1つまたはそれ以上の生物活性材を蓄えるために、および/またはそれらの放出を制御するために設けられてもよい。図7に示す代わりの構成において、1つまたはそれ以上の膨張可能なバルーン102が生物活性材を収容し、その生物活性材は、内腔59およびポート介してスパイン上の1つまたはそれ以上の要素にデリバリーされる、またはスパイン自体を介してデリバリーされる。バルーンは、デバイスが身体内に配置される前または後に充満されてもよく、または身体内にデバイスが留置されている間に再充満されてもよい。充満は、内視鏡的技術を用いてヘルスケア提供者がアクセスできるようにまたその目的のために設けられた弁、ポート、隔膜、または自己シール機構を使用して実行されてもよい。さらなる態様において、バルーン102内の生物活性材は、本明細書の他の場所で説明された流体供給システムとともに使用されてもよく、それによって、バルーン102が所望の治療効果または実行される治療に基づいて供給される流体の容器にされる。
【0106】
本発明の流量減少要素が膨張されるとき、医者にとって、小腸内に位置する流量減少要素300と小腸の直径に対する流量減少要素の直径とを監視することが重要かもしれない。このために、流量減少要素は、可視X線によって視認可能になるX線を通さない流体を用いて膨張されてもよい。流量減少要素にX線を通さない流体が収容される場合、医者は、患者の身体の外側から流量減少要素のサイズや位置を、非侵襲的に見ることができる。この情報により、医者は、流量減少要素のサイズや位置を調節することができる。同様に、図5に示すようなX線を通さないマーカーバンド218が、小腸内での中央チューブの位置を容易に視認できるように、中央チューブの周囲に設けられてもよい。X線を通さないマーカーバンド218は、深さマーカーとして使用されて小腸内部の距離を身体の外部から測定できるように、所定の間隔で設けられてもよい。
【0107】
本発明の中央チューブおよび流量減少要素はフレキシブルであってもよい。いくつかの実施の形態において、それらは、簡単に形成できるすなわち押し出し成型でき、且つ公知の技術によって内視鏡を用いてデリバリーすることができるポリマー材料から構成されてもよい。柔らかくてフレキシブルな中央チューブ50は、消化管の生体構造にぴったりと合い、腸の内層や胃の炎症を抑えることができる。
【0108】
図6は、概して自己拡大する流量減少要素を備え、また内腔を必要としない、本発明の代わりの実施の形態を示している。これらの実施の形態は中央シャフト450を含み、その中央シャフト450に対して、流量減少要素400が同心に取り付けられ、および/または流量減少要素410が偏心して取り付けられている。要素400、410は、中央シャフト450に対して、例えば、熱定着、接着剤、または他の公知の適切な方法によって取り付けられてもよい。これらの流量減少要素400は、内視鏡による挿入に適した第1の大きさに折り畳みまたはしぼむことができ、本発明に係る、消化された食物の一部の流れを制限するのに適した第2の大きさに自己拡大することができる材料から作製されてもよい。これらの流量減少要素は、小さい大きさにコンパクト化され、規制が解除されたときに所定の形状および大きさに自己拡大する、例えば、スポンジ、フォーム、ヒドロゲル、またはスプリングなどの形態をとるように構成された材料から作製されてもよい。ゲルまたはスポンジベースの実施の形態は、オープンセルまたはクローズドセルの形態を含んでもよい。ゲルまたはスポンジベースの実施の形態を配置のためにしぼんだり拡大したりすることができるようにする特徴を備えることに加えて、このような実施の形態は、通常、生物活性剤を含むことができ且つ生分解の目的に貢献することができる実施の形態にとって有益な大きい表面積を備える。他のフォーム関連の実施の形態が、以下の”本発明のさらなる実施の形態”の一節で説明され、また図21に示されている。流量減少要素が自己拡大するため、膨張システムの必要性がなくなり、この実施の形態はシンプルな機械的構成を示す。これらの流量減少要素は、生物活性材または満腹の生物学的信号を引き起こす他の信号を含んでもよい。
【0109】
図6などの実施の形態の中央シャフト450は、中実体であって内腔または内部空間を備えてなくてもよい。別の実施の形態において、中央シャフト450は、食物が完全に吸収されることなく小腸を通過するように、消費された食物のための通路を含んでもよい。
【0110】
(インサートの配置および流量減少要素)
ここでは、本発明のインサートの配置と、流量減少要素のいくつかの実施の形態とに関連する考察について説明する。流量減少要素は、その包括的な印象については符号200を用いて示されるが、いくつかの例の実施の形態については、その特有の特徴のために、異なる符号を用いて示されている。図9は、流量減少要素が膨張可能なスリーブの一部分が膨張することによって形成されている本発明の一実施の形態を示している。この実施の形態は、この後、流量減少要素を備えるデバイスの配置方法の例を説明する際に使用される。図9に示す実施の形態において、中央チューブ50は、本発明の十二指腸/小腸インサートの遠位部に近い膨張可能なスリーブ508の遠位端510で、その膨張可能なスリーブ508に取り付けられている。示された実施の形態のデリバリー構成において、中央チューブ50の反対側の近位端は、流量減少要素530が拡大されるとき(デリバリー後)に中央チューブ50の遠位部をロックする取り外し可能な拡張チューブ520に取り付けられている。非限定的な一例の取り外し可能なアタッチメントは、1つまたはそれ以上のねじ504を使用し、それにより、拡張チューブ520が中央チューブ50にねじ留めされる。中央チューブ50は、図1に示す十二指腸10の生体構造に一致する形状を備えるように予め形成されてもよい。記載するような中央チューブ50は、強制的に膨張可能なスリーブ508に中央チューブ50の形状をとらせる。中央チューブ50は、単に、例えば、ワイヤ、ばね、超弾性合金、形状記憶合金、中空鋼チューブ、またはプラスチックポリマーで構成されてもよい。いくつかの実施の形態において、補強ロッドまたはガイドワイヤ110が中央チューブ50の内腔に挿入されてもよい。
【0111】
ここで説明される膨張可能なスリーブ508は、流量減少要素530の形成が可能な所定の部分が膨張するように構成されている。いくつかの実施の形態において、膨張可能なスリーブ508の非膨張部532は、その拡大を防止するためにポリマーによって覆われてもよい。別の実施の形態において、流量減少要素530は、フレキシブルポリマーによって覆われ、消化された食物が部分的に流量減少要素530内に入らないようにされてもよい。別の実施の形態において、補強ロッドまたはガイドワイヤ110が、デバイスが十二指腸にデリバリーされるときに中央チューブ50を真っすぐにするために、中央チューブ50の内腔に挿入されてもよい。
【0112】
膨張可能なスリーブ508は、単に、例えば、ニット、織物、メッシュ、ひもの1つまたはそれ以上の形態として構成されてもよく、また単に、例えば、金属、ワイヤ、リボン、プラスチックポリマー、生分解性材料の1つまたはそれ以上から作製されてもよい。
【0113】
図10は、小腸内に挿入されるために流量減少要素530が折り畳まれた状態の膨張可能なスリーブ508を示している。この構成において、力Aが膨張可能なスリーブ508に加えられ、流量減少要素530が折り畳まれる。折り畳み形状は、単に、例えば、シースまたはきつく巻かれたストリングなどの拘束機構によって、または、膨張可能なスリーブ508の近位端を持続的に引っ張ることによって維持されてもよい。図10はまた、非膨張部532が維持されている中央チューブの部分と、取り外し可能な拡張チューブ520と、ガイドワイヤ110とを示している。
【0114】
図9および図10に示す実施の形態における流量減少要素530の膨張は、受動的にまたは積極的に生じてもよい。一例の受動的な膨張は、流量減少要素530が元の膨張状態に膨張するように拘束機構が外されることによって行われてもよい。別の非限定的機構では、膨張可能なスリーブ508の近位端に作用する引っ張りを解除することにより、流量減少要素530は元の膨張状態に膨張することができる。
【0115】
図10および図11に示す実施の形態の複数の流量減少要素530は、遠位側から近位側に向かって、近位側から遠位側に向かって、または、いくつかの実施の形態においては膨張可能なスリーブ508と中央チューブ50の相互運動に関する相対位置に依存する順番で膨張することができる。例えば、流量減少要素内腔の近位端が十二指腸球部内に保持されて中央チューブ50が後退した場合、まず、流量減少要素内腔の遠位端が膨張してもよい。この方向の膨張は、流量減少要素内腔の近位端の位置が十二指腸球部に存在するために、有利である。
【0116】
図11は、膨張可能なスリーブ508の近位端が、流量減少要素が所望の膨張状態で維持されるような中央チューブ50の位置にロックされている本発明のいくつかの実施の形態を示している。拡張チューブ520に作用する引っ張りが、くさび52が膨張可能なスリーブ508の近位端に係合するまで、中央チューブ50を後退させる。中央チューブ50は、異なる膨張の程度で膨張可能なスリーブ508をロックすることができるマルチラチェット状のくさびを備えてもよい。拡張チューブは、デバイスが配置されて膨張可能なスリーブ508が膨張した後に、中央チューブ50とのねじ留めを解消されてもよい。
【0117】
(デバイスの使用)
図12は、実施の形態のデバイスが被験者の生理に関与しまた最終的に食物摂取量を減らす満腹感の発生に介入する、様々な実施の形態のフローチャートを概略的に示している。本発明の実施の形態のデバイスは、2つの広義のアプローチによって消化および満腹の生理に介入する。2つの広義のアプローチそれぞれは、満腹の生来のメカニズムを模倣するまたは生かす。実施の形態は、(1)それらの単なる物理的存在が持つ効果および/または(2)生物活性剤の供給や神経への直接刺激によってより直接的または積極的に介入することにより、被験者の生理に関与することができる。図12および関連する記載は、発明を理解するためのシンプルで理論的な構想として提供され、それらは詳細を完全に示すものではなく、簡素化のために様々な相互作用、点線、不明りょうな特徴が省略されている。
【0118】
まず、デバイスの単なる物理的存在によって2つの主要な効果が得られ、それは膨張効果を持ち、それが明らかな流量減少要素を備える場合、びじゅくの流れを遅らせる。これらの2つの広義の効果それぞれは、後者の場合、デバイスやその流量減少要素の寸法に依存する。まず、デバイスの存在によって十二指腸が膨張され、その膨張が、例えば、十二指腸の伸張に過敏な神経などの神経によって感知されるすなわち検出される。結果的に、例えば、長さ、幅、全容量、全体構造、全体形状、密度、重量、表面形状などの物理的寸法、態様、または特徴が膨張に作用する、または何らかの方法を介して神経に検出される。次に、びじゅくの流れを物理的に遅らせることに関して、この遅延プロセスは、消化中のびじゅくの生化学的特徴を変化させ、十二指腸内の化学的受容体がその特徴をより完全に消化されたものとして感知する。膨張の神経的検知に関連する効果などの変化した生化学的特徴から独立している情報として、特に長いびじゅく滞留時間の神経認識が存在する場合がある。ニューロン経路は実際には膨張によって刺激を受け、神経電気信号および/または神経ペプチドおよび神経伝達物質が、局所的にまたは生理的作用からより離れた場所に放出される。神経フィードバックの連結は、代謝産物の特徴自体からのものとCCKなどのホルモンの分泌によるものとの両方の化学的信号である。神経反応および化学的反応は、中枢神経系や他の臓器に発散され、つまりそれは、十分量が食べられ、満腹が達成されたことを意味する。さらなる反応において、中枢神経系は、食事の停止や消化プロセスの速度の低下をサポートする。
【0119】
図12をさらに参照すると、実施の形態のデバイスは、単なる物理的存在によって誘発する上に、さらに積極的に介入してもよい。実施の形態のデバイスは、断定的に(1)生物活性剤を供給する、および/または(2)ほぼ同じ方法で満腹の生理と消化に関与する、または同一の生理的経路を介して神経の電気信号を供給してもよい。つまり、十二指腸内にデバイスが存在する様々な効果により、生化学的効果、または信号(ホルモン的反応などの信号、および/または腸内および血流内の代謝産物の生化学的特徴などの信号)、および電気信号を含む神経作用が生じ、それらの全ては、感知された満腹、感知または認識された食欲、精神的関連、行動反応、および習慣的反応の補完することにより、”満腹”のために生理学的に収束する。このように、デバイスの動作またはデバイスの存在は、治療方法の一部である。この治療は、デバイスから胃腸部分に生物活性剤を供給することを含んでもよい。さらに、この供給ステップは、患者の満腹感を生み出してもよい。
【0120】
小腸内のびじゅくの流れを遅くするために(言い換えると、びじゅくの滞留時間を増加させるために)、いくつかの実施の形態のデバイスでは流量減少要素を備える必要がなくまたいくつかの実施の形態では中央部材または伸長部材自体が流量を減少するように構成されているが、典型的には、本発明の実施の形態、小腸インサートは、少なくとも1つの角部と少なくとも1つの流量減少要素とを備える伸長部材を含んでいる。これらの実施の形態は、典型的には、十二指腸のターゲットの複数の角部に対応する1つまたは2つの角部を備える。流量減少要素を含むインサートの角部の構成により、デバイスは所定の期間十二指腸内に安定的に留まる。実施の形態のインサートは、1つまたはそれ以上の満腹の生理的信号の生成に寄与するアダプテーションを含んでもよい。実施の形態のインサートは、生分解可能な部分の介在物、神経刺激器、および生物活性材放出機構によって積極的に放出される生物活性材のための1つまたはそれ以上の取り外し可能な容器などの他の特徴部を備えてもよい。
【0121】
十二指腸内のターゲットの角部内に実施の形態のインサートが留置する時間は、実施の形態の構成に従って、およびデバイスの一部である特定の生分解可能材に従って変化する。生物学的プロセスによるデバイスの劣化はターゲット部位からのデバイスの離脱、退避、または撤退を引き起こし、腸管を介してデバイスが排除される。それゆえ、最初に小腸のターゲットの角部にセットまたは留置され、次に留置期間に分解作用を受け、続いて、ターゲットの部位から撤退し、そして排便によって身体から排除されるようにデバイスは構成されていると理解することができる。生分解は、いくつかのポリマーの特徴であり、また本明細書で説明される実施の形態のポリマー部分において起こってもよい。
【0122】
実施の形態のデバイスは、典型的には、ホルモン経路や神経経路を介して、満腹の生理的信号を引き起こす。いくつかの実施の形態において、経路は、中央部材および流量減少要素の一部分または全ての部分を含むデバイスの存在によって刺激を受ける。また、それらの寸法、長さ、幅、または全容積のそれぞれまたは集合、あるいは表面形状により、機械的受容体や伸張受容体などの腸の神経要素が、部分的に消化された食物の存在として解釈される物質の存在を検出する。それにより、飽食と解釈される神経的なメッセージが中枢神経系に与えられる。いくつかの実施の形態において、中央部材、伸長体、またはスパインが、主として、信号のトリガーを提供してもよい。いくつかの他の実施の形態において、1つまたはそれ以上の流量減少要素が、主として、信号のトリガーを提供してもよい。さらなる他の実施の形態において、1つまたは複数の流量減少要素と伸長体との組み合わせが、信号のトリガーを提供してもよい。
【0123】
他の実施の形態において、満腹信号はホルモンであってもよい。流量減少要素は、十二指腸内で処理されているびじゅくの流れを遅くし、食物の分解生成物の生化学的特徴が変化し、そして、十二指腸内の化学的受容体が変化した生化学的特徴に反応して満腹が中枢神経系および消化系の他の部分に運ばれる。
【0124】
さらなる他の実施の形態において、デバイスは、受動的機構または能動的機構のいずれかによって放出される生物活性材の容器を備える。この実施の形態の場合、満腹信号は、インサートのホストの内分泌経路によってではなく、デバイスによって直接的に供給される。実施の形態のデバイスは、例えば、能動的に溶出するドラッグコーティング、またはホストコーティング材の分解に呼応するなどの材料容器を含んでもよく、またいくつかの実施の形態は、ポンプに連結された容器を備える。このようなポンプは、例えば、蠕動によって運ばれる生物学的エネルギ、電気エネルギ、または機械的エネルギを機械的に利用してもよい。いくつかの実施の形態は、電気エネルギの入力を必要とせず、その代わりに、浸透圧勾配の蓄積エネルギを利用する浸透圧ポンプを含んでもよい。ポンプによる放出のために電気エネルギに依存する実施の形態は、典型的には、バッテリやキャパシタなどのエネルギ蓄積デバイスを含んでいる。いくつかの動力付き実施の形態は、大きなシステムの一部として、ポンプの動作を制御することができる遠隔刺激器を含んできる。いくつかの実施の形態において、デバイスは、十二指腸内の局所的な神経に刺激を与える電極を介して、中枢神経系に満腹感を与える直接神経刺激を提供してもよい。ポンプと同様に、神経刺激特徴部を含むデバイスは、エネルギ蓄積デバイスと、有線接続または例えば無線周波数信号を介するなどのワイヤレスのいずれかによって通信する外部on/offまたは可変電源制御デバイスとを含んでもよい。
【0125】
図13は、胃洞−幽門連結部5から始まり空腸12の入口に向かって延在し、小腸20の十二指腸にフォーカスを当てた人間の消化管の一部の斜視図である。胆膵管15の入口にファーター膨大部13が示されており、膵管(膵臓9からの)と肝臓からの総胆管との結合部によって形成されている。幽門8は、括約筋、幽門弁11を介して胃の内容物の排出をコントロールし、十分に消化された胃の内容物が通過できるように幽門8は幅広く開くことができる。これらの胃の内容物は、十二指腸10内を通過した後、続いて空腸12に入り、そして回腸に入る。十二指腸10、空腸12、および回腸は、小腸を構成するものと知られている。なお、消化管の個々の部分は、一般的に、小腸として言及される。本明細書において、小腸は、十二指腸、空腸、および/または回腸の全てまたは一部を言う。図14は、ひだ19、すなわち実施の形態のインサートが配置される内部空間の外縁を形成する十二指腸の内側に褶曲した内壁部を含む十二指腸10の平面図である、幽門8、幽門弁11、十二指腸球部10A、十二指腸垂直部10B、十二指腸水平部10C、ファーター膨大部13、空腸12の入口部が示されている。この図は、十二指腸のターゲット部位内に留置された発明の実施の形態のインサートデバイスをそれぞれ示す以下の複数の図に関する視覚的な背景を提供する。
【0126】
(留置部位内の立体配座的に安定されたデバイスの概論)
本発明の実施の形態は、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間の角部すなわち曲線部を備える伸長部材を有するデバイスすなわち腸内インサートを含んでいる。曲線部は、典型的には、例えば、消化管の部分、特に十二指腸などの、身体の内腔における曲線状の留置部位に対応する。デバイスは、留置部位に対応する構造によって、特に留置部位の近位側または遠位側直近の部位に対応しない構造によって、該留置部位に対する近位側または遠位側への移動に対抗して安定される。特有のデバイスデザインや留置部位に依存することにより、デバイスの構造は、デバイスの近位側への移動、遠位側への移動、回転挙動、またはこれらの組み合わせに対抗して、デバイスを安定させることができる。消化管内の内腔部位内において、通常、その内部に位置するデバイスを近位側方向に移動させる力に比べて大きい遠位側方向にデバイスを移動させる力が存在する。これは、内容物の通常の流れおよび蠕動方向が遠位側に向いているからである。したがって、デバイスの遠位側方向への移動に対抗してデバイスを安定させることが特に重要である。加えて、本明細書で説明されるデバイスはまた、逆流などの近位側方向の力に抵抗するように構成される。したがって、本明細書で説明されるいくつかの実施の形態のデバイスは、近位側方向または遠位側方向の力によって留置部位からデバイスを押しのける胃腸の力に抵抗するように構成されている。
【0127】
本明細書で説明されるいくつかの実施の形態の立体配座的に安定されるデバイスは、ターゲットの留置部位に安定させるための硬いまたは特定のアタッチメントまたは係留アンカーによらず、また幽門などの径方向寸法に制限ある部位を塞ぐことによって下流側へのドリフトに抵抗するアンカー機構に頼らない。代わりとして、実施の形態のデバイスは、留置部位に一部または全体がフィットするデバイスの構造自体によって留置部位で安定する。さらに、デバイスは、遠位側直近および/または近位側直近の部位がデバイスを収容できないことによって留置部位に対する相対移動に抵抗する十分な構造的全体性を備える。他の実施の形態は、デバイスの構造と協力して十二指腸内の一箇所にデバイスを留める近位側アンカーを備える。
【0128】
留置部位で安定するデバイスの構造は、スペース内の寸法の寄与に関連する、長さ、幅、体積、および形状を含む、デバイスの物理的全体性に帰する。理論によって拘束されることを所望しないが、留置部位内の位置がデバイスおよび留置部位を含む系において最小の自由エネルギの状態であるため、デバイスは留置部位で自己的に安定すると考えられる。他の態様において、曲線部に対応する近位端および遠位端は、さらなる安定のために相互に接近している。
【0129】
身体の内腔におけるターゲットの部位で立体配座的に安定するように構成された態様のデバイスは、内腔によって決定される長さ、幅、角度、または曲率などの物理的寸法を含んでいる。立体配座的な安定(すなわち立体配座的に安定可能なデバイス)は、ターゲットとされる腸内の留置部位の大きさおよび形状に一致する大きさおよび形状の物理的な態様の程度に対して変化してもよい。これらの特性は、これらの構造が、ひとたびその内部に配置されると、ターゲットの部位からの移動に抵抗するようにこれらを安定させるものである。特に、そのような安定は、留置部位の少なくとも1つの曲線状の角部に一致することによって収容されるデバイスの少なくとも1つの曲線部すなわち角部に関連し、デバイスの角部は、その部位内に曲線の保持力を特徴的に提供する。
【0130】
いくつかの立体配座的に安定可能な実施の形態は、内腔の周囲壁に作用する径方向外側の力を提供することによって留置部位でさらに安定してもよい。立体配座的に安定するデバイスはさらに、内腔の留置部位によって及ぼされる力に対する剛性または適合性に関して変化してもよい。剛性の程度が高いデバイスは、留置部位によって及ぼされる力に応答して相対的に小さく量で曲がるまたは形状変化する。一方、高い適合性を備えるデバイスは、曲がることによってまたは形状変化することにより、及ぼされた力に対してわずかに抵抗して適合する。したがって、立体配座的に安定されるデバイスは、その構造が安定性を維持するために、十分な剛性と全面的な構造的全体性を備える必要がある。
【0131】
いくつかの実施の形態の立体配座的に安定するデバイスは、デバイスによって占有されるときに留置部位が実質的に本来の形状を維持する場合、ターゲット部位のサイズおよび角度に対して一致の程度が高い。このようなターゲット部位に対する一致の程度が高い実施の形態のいくつかにおいて、デバイスの角度およびデバイスの長さに沿った角度位置は、留置部位の形状および線形的な寸法に実質的に一致する。他の実施の形態において、デバイスは留置部位で全体として安定する構造を備えているにもかかわらず、デバイスの好ましいまたは非拘束的な構造は、それでも、ターゲット部位に対してそのサイズおよび形状が変化してもよい。いくつかの実施の形態において、留置部位に対して変化する好ましい構造のデバイスは、デバイスが留置部位に比べて柔軟であるため、留置部位の形状を実質的には変化させない。デバイスの構造が留置部位の構造から変化するいくつかの実施の形態のデバイスにおいて、デバイスは、十分な剛性と構造的全体性を備える場合、内腔の留置部位の形状を変形させる。留置部位の形状を変化させるデバイスの構成は、通常、留置部位内でのデバイスの安定性に寄与する特徴である。
【0132】
立体配座的に安定するデバイスのいくつかの実施の形態は、物理的特徴全体を実質的に含んでいる、全体としての構造の立体配座が立体配座の安定性を実質的に目的とするように構成されている。なお、他の実施の形態の場合、様々な物理的特徴の立体配座のいくつかの態様は、立体配座の安定性を明確に目的とせず、むしろ、びじゅくの流量の低下などの他の機能的または治療的なことを目的とし(米国特許出願第11/300283号および第11/807107号に詳細されているような)、または本明細書で後述するように他の治療目的やモダリティを目的とすればよい。他の実施の形態において、物理的特徴は、単独で立体配座の安定性をサポートするように構成されるのではなく、むしろ、そのような特徴は、1つまたはそれ以上の機能的目的を果たすように構成されてもよい。物理的な特徴は、例えば、立体配座的安定性の提供と他の機能的目的または治療目的の両方に寄与してもよい。留置部位内でのデバイスの安定性への寄与に具体的にフォーカスしないまたは単独でフォーカスしない物理的特徴を含む上述の実施の形態において、これらの実施の形態は、そのような立体配座全体によって、デバイスが留置部位内、特に1つまたはそれ以上の曲線状または角のある態様を含む胃腸の内腔部位内で安定できる立体配座的安定性のサポートを行うことを目的とする、十分なトータルレベルまたはトータル量の立体配座的特徴を備える。
【0133】
いくつかの実施の形態は十二指腸をターゲットとしておりまた詳細に説明されているが、他の実施の形態は、消化管内の他の場所の留置部位をターゲットとしている。さらに、上述するように、いくつかのデバイスが指定された留置部位に高い程度で一致した状態で位置決めするように構成される一方で、他のデバイスでは一致の程度が変化する。さらに、いくつかのデバイスは、留置部位からのデバイスの移動を不可能にするデバイスの立体配座によって実質的に安定するけれども、構造的全体性、弾性、剛性、および径方向外側の反力によって内腔で発生した径方向内側の力に対抗する能力などの材料に基づく特徴と構造に基づく特徴のバランスから部位安定効果を得てもよい。
【0134】
立体配座は、スペースの寸法に寄与に関連する長さ、幅、体積、および形状を含む、デバイスの全体に物理的に帰する。理論によって本発明の請求項は拘束されないが、発明の理解のために、デバイスは十二指腸内の留置部位で自己安定し、それは、そこでの留置が消化管内のデバイスを含む系において最小の自由エネルギの状態であるからであると理論化される。
【0135】
いくつかの実施の形態の十二指腸デバイスは、十二指腸内に完全に含まれる消化管の留置部位内で留まるように構成されている。十二指腸は、解剖学上では、図13に示すように、幽門や胃より遠位に位置し、空腸より近位側に位置する。なお、いくつかの他の実施の形態は、最小の方法で近位に延在して幽門に入り、さらに近位に延在して胃洞に入る部分を備えてもよい。いくつかの実施の形態は、さらに遠位に延在して、トライツ靭帯の部位を通過し、空腸に入ってもよい。なお、十二指腸から近位側または遠位側に延在する部分を含むこれらの実施の形態は、留置部位からの除去やその結果としてのデバイスの全体としての移動を不可能にするために、十二指腸内での立体配座の安定性を当てにする。結果として、このようなデバイスは、例えば、幽門の径方向の拘束により、遠位側すなわち下流側への移動を制約する必要がない。
【0136】
実施の形態のデバイスの十二指腸内の留置部位は少なくとも1つの角部を含み、したがって、デバイスは、留置部位内の角部に一致する少なくとも1つの角部を備える。他の実施の形態のデバイスは、デバイスの近位端と遠位端との間に2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の角部を備え、これらの角度は留置部位の角度に一致する。十二指腸内の留置部位は、連続的な曲線形状として理解でき、したがって、いくつかの実施の形態のデバイスは、特定の角度領域を備えることなく、曲線形状として構成される。
【0137】
(胃前底部に配置される近位端と十二指腸空腸結合部近傍に配置される遠位端とを備える十二指腸デバイスの例)
次に、胃前庭部で終端する近位端と、十二指腸空調結合部の領域内で終端する遠位側端と、近位端と遠位端との間の十二指腸内腔に一致するように構成された中央曲線部とを備える、上述したような実施の形態のデバイスや様々な特徴の例を説明する。図15に示すデバイス(または本明細書で説明される任意のデバイス)は、デバイスを十二指腸内に固定するように構成された近位側アンカーをさらに含んでいる。
【0138】
図15は、胃前庭部で終端する近位部20Pと十二指腸空腸結合部近傍で終端する遠位部20Dとを備えるスパイン50に沿う流量減少要素200を含んでいる実施の形態のデバイス20を示している。スパイン50の中央曲線部はループを形成し、近位端20Pおよび遠位端20Dは互いに接近した状態で、多くの場合にはそれぞれの終端近傍で互いに交差した状態である。図15に示すデバイスは好ましい形状で示されており、すなわち静止時に取る形状が示されている。上述したように、デバイスは、配置の準備において内視鏡のワーキングチャンネル内に封入されるために、強制的に直線形状にすることができる。ひとたび消化管内の留置部位にインプラントされると、デバイスの全体形状はこのましい形状に近づくが、多くの場合、少し制限される。例えば、曲率が全面的に、消化管による反力がデバイスに作用することにより、すこしだけ鈍角化される。
【0139】
図15にはまた、放射方向に広かる複数の拡大部分を形成する複数の網状フィラメントを有する流量減少要素200が示されている。この網状要素は、デバイスのニチロール本体の周囲に同軸に配置されている。図では5つの部分が示されているが、その数は上述したように変更されてもよい。網状の流量減少要素200は、その遠位端でデバイスに固定されるが、近位端は制限範囲内において自由にスライド可能である。近位端のスライド移動の制限は、単に網状要素の長さによって決まる。スライドするためのたるみは、拡大可能部分の放射方向の拡大と拡大部分が引き込まれる網状部分の絶対直線長さとの間のトレードオフによってもたらされる。網状要素のスライド可能範囲の遠位側の制限は、スライドストッパ部730によって提供される。この部分は、ニチロール本体に融着され、また、網状要素200自体は自由にスライドできるが網状要素200の近位端のエンドリング740の遠位側への移動が十分に阻止されるような放射形状を備える。このストッパ部730の目的は、網状要素が機能できなくなるような(すなわち、ブロックせずにびじゅく流量を減少させることができなくなるような)網状要素全体の極端な遠位側への移動または折り畳みを阻止することである。
【0140】
図15はまた、デバイスの近位部に押圧可能なショルダー部720を示しており、その目的は、内視鏡のワーキングチャンネルからデバイス(直線形状の状態で)を放出する押圧要素に対抗する表面を提供することである。
【0141】
図17は、消化管の留置部位に位置する図15に示すデバイス20を示している。デバイスの近位部20Pは胃前庭部で終端し、遠位部20Dは十二指腸空腸結合部すなわち十二指腸空腸曲で終端する。見て分かるように、幽門8を通過するデバイス20の部分は、流量減少要素20がないデバイスの裸の部分である。スパイン50の寸法は十分小さく、上述した利点として、幽門はその存在を感じない。
【0142】
図18は、大きい単一の流量減少要素を備える、図15に示すものと類似する代わりの実施の形態のデバイス20を示している。このデバイスの他の特徴は、図15に示すものと実質的に同一である。この実施の形態は、デバイスのいくつかの特定の用途について治療的利点を備えてもよい。
【0143】
本発明のいくつかの実施の形態のデバイスにおいて、1つまたはそれ以上の流量減少要素が、インプラントされたときにその流量減少要素が体内の特定の部分内または流量要素が所望の効果を発揮できる部分内に位置するように、デバイスに対して設けられてもよい。1つまたはそれ以上の流量減少要素のための可能な位置として、(a)十二指腸球部内、(b)十二指腸の近位側、(c)十二指腸球部の遠位側、(d)十二指腸球部の遠位側であって十二指腸垂直部内、(e)5cmの幽門内、(f)十二指腸内のレクターアクティベーションの可能性を増加させるために選択される十二指腸内の1つまたはそれ以上の位置(上述したまた参照として具体的に組み込まれてるRitter論文に例示されている特定の位置)などが挙げられる。
【0144】
本発明の一態様において、ひとたびデバイスが留置部位内にインプラントされると、デバイスの近位端および遠位端はごく接近する。一態様において、近位端は、遠位端から1cm〜7cmの範囲内である。他の態様においては、近位端は、遠位端から1cm〜3cmの範囲内である。さらに別の態様においては、近位端は、遠位端から1cm〜5cmの範囲内である。さらに別の態様においては、近位端と遠位端は、1cmまたはそれ以下だけ離れている、または隣接する組織に積極的に接触してもよい。なお、これらの実施の形態において、接触は組織の移動を促し、また、回りの組織を圧迫壊死させる、ただれさせる、または損傷させる大きな圧力を組織に与えることなく、胃と十二指腸との間の接触を提供してもよい。
【0145】
(延在された近位端または遠位端を備える実施の形態)
図19〜23は、食道2、胃4、十二指腸10、および空腸12に関連して本明細書で説明されている本発明の実施の形態を示している。十二指腸10は、本明細書で説明したように、十二指腸球部10A、十二指腸垂直部または降下部10B、十二指腸水平部10C、および十二指腸上昇部10Dを含んでいる。複数の図に示されている他の解剖学的特徴として、食道2、食道括約筋6、胃4、空腸12、および十二指腸内の十二指腸空腸曲14などが挙げられる。これらの実施の形態はまた、大湾曲部4A、小湾曲部4B、および基底部4Cを含む胃4の様々な部分を図示している。
【0146】
一態様において、図19〜21の実施の形態は、デバイスの近位端にバリエーションを与えている。デバイスの近位端は、その末端が幽門より近位側の胃内に位置するように延在している。さらに、デバイスの近位端、近位側末端、または近位側端の特徴は、胃の活動領域を越えて(すなわち近位側に)位置する。この実施の形態において、胃の活動領域は、概ね幽門弁11、幽門8、および胃洞7または近傍の胃の遠位側部分を言う。一例において、スパイン50の長さ、曲率、または形状は、デバイスの近位部を活動領域を越えた胃の部分に配置するために調整される。デバイスのスパイン、機能的特徴および遠位端の他の詳細は、本明細書に記載されている他の代わりの態様にしたがって変化してもよい。以下の伸びる態様は、デバイスの長さを変化させるためにまたはインプラントされたデバイスの近位端と遠位端との間の相対位置を図示されたおよび上述されたこれらの位置から変化させるために、他の実施の形態に適用可能であることは理解される。
【0147】
図19は、食道に遠位側、胃、十二指腸、および空腸の近位側の断面を示しており、インプラントされたデバイスは胃内の近位部から延在し、遠位部は十二指腸水平部を越えて十二指腸空腸結合部にまたは近傍に位置する。本実施の形態において、図15のものと類似するスパイン50と端61が存在する。図19の実施の形態のスパイン50は、胃洞7を越えて終端する近位部20Pと十二指腸空腸結合部で終端する遠位部20Dとを備えるデバイスの留置部位への配置を提供する長さについて異なる。その長さは、図示するものと異なってもよい。例えば、スパイン50の長さは、近位部20Pの全てまたは一部があるいは端部61が幽門領域と対向するまたは隣接する胃壁に接触するように変更されてもよい。その長さは、胃の内壁に近位部20Pが触れるようにまたは並置の安定度が変わるように変更されてもよい。上述の実施の形態のように、スパイン50の中央曲線部は、近位端20Pおよび遠位端20Dの末端でループを形成する。代わりとして、デバイスは、端部または他の無傷末端を備えてもよい。図19に示すデバイスは、展開された後、好ましい形状で、すなわち静止時に取る形状で身体内に存在する。上述したように、デバイスは、展開の準備時において、内視鏡のワーキングチャンネル内に封入されるために強制的に直線形状にすることができる。ひとたび消化管内の留置部位にインプラントされると、デバイスの形状全体が好ましい形状に近づくが、多くの場合、わずかに制限される。例えば、曲率が全面的に、消化管からの反力がデバイスに作用することにより、わずかに鈍角化される。
【0148】
図20は、食道の遠位側、胃、十二指腸、空腸の近位側の断面を示しており、インプラントされたデバイスが胃の活動領域を越えた近位部から延在し、遠位部が十二指腸水平部を越えて十二指腸空腸結合部にまたは近傍に位置する。図20の実施の形態のスパイン50は、胃洞7を越えて小湾曲部4Cに沿って終端する近位部20Pを備えるデバイスの留置部位への配置を提供する長さについて、図19の実施の形態と異なる。さらに、スパイン50の曲率は、変曲点55Aで変わる。変曲点55Aは、近位領域55Cと遠位領域55Bとを生み出す、スパイン50の曲率全体の変化を示している。スパイン50の曲率は、変曲点より近位側の領域(領域55C)においてまたは変曲点より遠位側の領域(領域55B)において変化してもよい。図示する実施の形態において、近位領域55Bの曲率と変曲点55Aの曲率は協働し、近位端の全てまたは一部を小湾曲部に沿うように配置するために、スパインの近位部または近位端の部分をシフトする。変曲点55Aは、小湾曲部と一致するように形成されて構成された近位部とほぼ胃の下部および十二指腸の曲率に形成されて構成されたスパイン中央部との間で曲率半径を移行させるものとして示されてもよい。
【0149】
デバイスの長さは、図20に示すものから変化してもよい。例えば、スパイン50の長さは、近位部20Pの全てまたは一部あるいは端部61が、幽門近傍、下側食道括約筋6近傍、または小湾曲部の他の場所で小湾曲部に沿う胃壁に接触するように、変更されてもよい。近位部の特徴は、近位部20Pが小湾曲部の胃壁に触れるように、または小湾曲部の胃壁との並置の安定度が変化するように調整されてもよい。変更される近位部の特徴としては、例えば、変曲点50Aでのスパインの1つまたはそれ以上の角度、スパインの断面形状、末端のサイズや形状などが挙げられる。
【0150】
上述の実施の形態と同様に、図20のスパイン50の中央曲線部は、近位部20Pおよび遠位部20Dの末端でループ61を形成する。代わりとして、デバイスは、端部または他の無傷末端を備えてもよい。図20に示すデバイスは、展開された後、好ましい形状で、すなわち静止時に取る形状で身体内に存在する。上述したように、デバイスは、展開の準備において、内視鏡のワーキングチャンネル内に封入されるために、強制的に直線形状にすることができる。ひとたび消化管の留置部位にインプラントされると、デバイスの全体形状が好ましい形状に近づくが、多くの場合、少し制限される。例えば、曲率が全面的に、消化管からの反力がデバイスに作用することにより、すこし鈍角化される。
【0151】
図21は、食道の遠位側、胃、十二指腸、空腸の近位側の断面を示しており、インプラントされたデバイスが胃の活動領域を越えた近位部から延在し、遠位部が十二指腸水平部を越えて十二指腸空腸結合部にまたは近傍に位置する。図21の実施の形態は、胃上部に向かって上方に延在するために曲がる近位端を備える垂直な近位側アンカーを備える。さらに、このタイプのアンカーは、位置を維持して蠕動動作に抵抗するために、中央部材に1つまたはそれ以上の凹凸を含んでもよい。図21の実施の形態のスパイン50は、胃洞を越えて胃上側に向かう近位部20Pを備えるデバイスの留置部位への配置を提供する長さについて、図19および図20の実施の形態と異なる。図示する実施の形態において、末端61は基底部4C内に位置する。図20の実施の形態と同様に、スパイン50の曲率は、変曲点55Aで変化する。変曲点55Aは、近位領域55Cと遠位領域55Bとを生み出す、スパイン50の曲率全体の変化を示している。スパイン50の曲率はまた、変曲点の近位側の領域(領域55C)または変曲点の遠位側の領域(領域55B)内で変化してもよい。図示する実施の形態において、近位および遠位領域55B、55Cの曲率と変曲点55Aは協働し、近位端の全てまたは一部を上側胃または基底部4Cに沿うようにまたは内にあるように配置するために、近位部または近位端をシフトする。変曲点55Aは、小湾曲部と一致するように形成されて構成された近位部とほぼ十二指腸の曲率に形成されて構成されたスパイン中央部との間で曲率半径を移行させるものとして示されてもよい。蠕動は(矢印で示す)近位部20Pを下方向に動かし、それにより、変曲点55Aは、幽門領域または幽門に向かうよりは、胃を押圧する。
【0152】
デバイスの長さは、図21に示すものから変化してもよい。例えば、スパイン50の長さは、変曲点55Aの全て又は一部が幽門近傍または胃洞近傍に配置される一方で近位部20Pまたは端部61が基底部4C、胃の上部、または大湾曲部4Aに沿った胃壁、あるいは大湾曲部4Aに沿った任意の場所の胃壁に接触するように変更されてもよい。近位部の特徴は、近位部20Pが胃壁に触れるように、または胃壁との並置の安定度が変化するように調整されてもよい。変更される近位部の特徴としては、例えば、変曲点55Aでのスパインの1つまたはそれ以上の角度、近位領域55Cの曲率および/または長さ、遠位領域55Bの曲率および/または長さ、スパインの断面形状、末端のサイズや形状などが挙げられる。
【0153】
上述の実施の形態と同様に、図21のスパイン50の中央曲線部は、近位部20Pおよび遠位部20Dの末端でループ61を形成する。代わりとして、デバイスは、端部または他の無傷末端を備えてもよい。図21に示すデバイスは、展開された後、好ましい形状で、すなわち静止時に取る形状で身体内に存在する。上述したように、デバイスは、展開の準備において、内視鏡のワーキングチャンネルに封入されるために、強制的に直線形状にすることができる。ひとたび消化管の留置部位にインプラントされると、デバイスの全体形状が好ましい形状に近づくが、多くの場合、少し制限される。例えば、曲率が全面的に、消化管からの反力がデバイスに作用することにより、少し鈍角化される。
【0154】
図22は、食道の遠位側、胃、十二指腸、空腸の近位側の断面を示しており、デバイスの遠位部が十二指腸空腸曲14の場所に留置されている。デバイスは曲14と少なくとも部分的に一致する角度を備える曲線状であって、空腸12内に無傷遠位端61を配置するために、遠位端が曲14を越えて延在している。図22には、図76に示すように、胃内に配置されて幽門を越える近位端を備えるデバイスが示されている。図示されている実施の形態は、上述したようなコイル状部61をそれぞれ備える近位側および遠位側末端を備える。デバイスの遠位部は、近位領域57Bから遠位領域57Cまでのスパイン50の曲率を変化させる変曲点57Aを含んでいる。図示する実施の形態において、変曲点57A、領域57B、および領域57Bは、十二指腸上昇部10Dから十二指腸空腸曲14に沿う空腸12まで移行する消化管の曲率と一致するまたは近似する曲率半径を形成する。複数の流量減少要素200がスパイン50に沿って図示されている。流量減少要素は、十二指腸球部10A内の部分から空腸12内の遠位部20Dまでのデバイスの長さに沿って図示されている。流量減少要素200は、図示された実施の形態から変化してもよい。流量減少要素200は、本明細書に記載されている流量減少要素の形状、サイズ、構成、方向または任意の特性をとってもよい。
【0155】
図23は、食道の遠位側、胃、十二指腸、空腸の近位側の断面を示しており、デバイスの変曲点が十二指腸空腸曲14を模倣している。デバイスの遠位部は、十二指腸空腸曲14で十二指腸の構造の長さまたは形状と一致してもよい。他の態様において、デバイスは曲14と少なくとも部分的に一致する角度を備える曲線状であって、無傷遠位端61を空腸12内に配置するために、遠位端が曲14を越えて延在している。図23には、図76に示すように、胃内に配置されて幽門を越える近位端を備えるデバイスが示されている。図示されている実施の形態は、上述したようなコイル状部61をそれぞれ備える近位側および遠位側末端を備える。デバイスの遠位部は、近位領域57Bから遠位領域57Cまでのスパイン50の曲率を変化させる変曲点57Aを含んでいる。図示する実施の形態において、変曲点57A、領域57B、および領域57Bは、十二指腸上昇部10Dから十二指腸空腸曲14に沿う空腸12まで移行する消化管の曲率と一致するまたは近似する曲率半径を形成する。図23の変曲点57Aは、図22に比べて窮屈に示されている。図23の変曲点57Aは、自然状態の十二指腸空腸曲14に比べて小さい(すなわち小さい半径)または大きい(すなわち大きい半径)十二指腸空腸曲14の角度とより緊密に一致するために、変化してもよい。
【0156】
(胃内に配置されるアンカー部材を備えるデバイス)
胃内に留置され、幽門を通過できない大きさのアンカー部材は、本明細書に記載されている任意のデバイスおよび/または幽門より遠位側で延在する部分を備える任意のデバイスに使用可能である。
【0157】
(基本的なアンカーのデザイン)
図7は、1つのアンカー機構を示している。図7において、中央チューブ50は、その近位端52近傍にアンカー部材100を備える。アンカー部材100は、デバイスの近位端52に配置される1つまたはそれ以上の膨張可能なバルーン102によって実現される。これらのバルーン102は、中央チューブ50の近位端52近傍の地点52に偏心して取り付けられてもよい。これらのバルーンは、図示する球形に限定されず、様々な形状に形成してもよい。中央チューブは、中央チューブ50の内腔59とバルーン106の内部空間との間の流体接続を確立するために、バルーン102それぞれに対して開口116を備えるように形成されてもよい。内腔59は、バルーン106の内部空間に流体を導入するために使用され、バルーン106は折り畳まれた状態の第1の容積から第2の容積すなわち膨張した状態に膨張される。アンカー部材100の1つまたはそれ以上のバルーン102が完全に膨らんだとき、幽門8などの隣接するオリフィスを通過できないように中央チューブの近位端52を固定する。1つまたはそれ以上の膨張可能なバルーン102は、幽門の通過を防止するために、幽門弁の直径に比べて大きい複合断面直径を備える。膨張可能なバルーン102は、中央チューブの内腔から流体が供給されるまたは内腔から流体が取り除かれることにより、膨らむまたはしぼんでもよい。膨張可能なバルーン102は、中央チューブに取り付けられた1つまたはそれ以上の流量減少要素として、同一の中央チューブの内腔59に接続されてもよく、そして流量減少要素と同時に膨らんでもよい。また、中央チューブ50は1つ以上の内腔を備えてもよく、それにより膨張可能なバルーン102と1つまたはそれ以上の流量減少要素それぞれが独立して膨らんでしぼんでもよい。
【0158】
図8は、本発明の別の実施の形態を示しており、本発明のアンカー部材100が胃洞7内に配置されている。この実施の形態において、中央チューブ50は、逆傘状のスケルトン160に取り付けられている。このスケルトン160は、中央チューブ50を囲み、支柱によって支持されたリング162を備える。図示する実施の形態において、リング162は、3本の支柱164、165、および166によって支持されている。なお、それ以上に多いまたは少ない支柱を使用することも可能である。図8に示す実施の形態において、支柱は、地点167で中央チューブ50に結合され、地点170、171、および172でリング162に取り付けられている。このアンカー状のリング162は、例えば、幽門弁の直径に比べて十分に大きい直径を備えるフレキシブルなプラスチック材料またはワイヤで作製されてもよい。この傘状スケルトン160は、内視鏡を介して胃内に挿入するために、中央チューブ50の周りでしぼんでもよい。内視鏡からデバイスが放出される場合、傘状スケルトン160は、飛び出て図8に示すものと類似する形状をとってもよい。支柱164、165、および166は、例えば、プラスチック、金属、またはプラスチックで覆われた金属から作製されてもよい。胃洞壁163と接触するリングの縁は、胃洞壁への傘状リング162の固定を補助するように構成されてもよい。
【0159】
図24は、食道の遠位側、胃、十二指腸、空腸の近位側の断面を示しており、本発明の別の実施の形態のデバイスが示されている。本発明のアンカー部材5905が胃洞7内に配置されている。アンカー部材5905は、開口5915を備えるベース5910と1つまたはそれ以上のライン5920とを含んでいる。1つまたはそれ以上のライン5920は、スパイン50の近位端にまたは近傍に取り付け点5925を介してベース5910を取り付けるために使用されている。1つの代案において、ライン5920の代わりに、ベース5910をスパイン50に取り付けるためにコーンまたはファンネルが使用される。コーンまたはファンネルは、材料の固体シートまたはメッシュで作製することができる。スパイン50の残りの部分および遠位端は、本明細書で記載されている形状と異なる任意の形状をとってもよい。ベース5910は、胃洞に留まるための外周サイズを備え、および/または幽門は通過できないが、食物の通過を許容する開口中央部5915を備える。ベース5910は、円形、楕円形、長円形、方形などの任意の開口形状を備えてもよい。図示された実施の形態において、ベース5910はリングである。付加的な態様において、アンカー部材5905は、食物の通過量を計測するためのバルブを含んでもよい。アンカー部材5905は、生体適合性ポリマーで作製されてもよい。アンカー部材5905は、完全にまたは少なくとも部分的に中空であってもよい。アンカー部材5095の中空部には、空気または流体が充満されてもよい。中空のアンカー部材5905は、格納形状またはしぼんだ形状でインプラント部位に送られてもよく、またインプラント部位に配置された後に展開形状になるように充満されてもよい。
【0160】
図24の代わりの構成において、アンカー部材5905は、蠕動によってつぶれないように、金属などの剛性材料から作製されたリング状に形成されてもよい。他の態様において、アンカー部材5905は、デリバリー中は折り畳まれ、デリバリー後に元の形状に戻るフレーム構造または骨格構造が可能である。一態様において、アンカー部材5905は、図8に示すようなおよび上述したような支柱によって支持されるリングを備える逆傘状スケルトンのような形状であってもよい。アンカー部材5905の構成要素は、例えば、フレキシブルなプラスチック材料またはフレキシブルなワイヤによって作製され、幽門弁の直径に比べて十分に大きい直径を備える。アンカー部材5905は、内視鏡を介して胃や十二指腸に挿入されるために、スパイン50の周りで折り畳まれてもよい。内視鏡からデバイスが放出される場合、アンカー部材5905は飛び出て、図24に示すものと類似の形状をとるように、または適切に拡がった後にそのような形状を実現するようにしてもよい。1つまたはそれ以上のラインまたは支柱5920は、例えば、プラスチック、金属、またはプラスチックコーティングされた金属から作製されてもよい。他の態様において、胃壁と接触するリング5910の縁は、フック、返し、コイル、または他の穿孔または貫通デバイスの使用を介して、アンカー部材5905の胃壁への固定を補助するように構成されてもよい。
【0161】
(拡大可能な近位側アンカー)
図30〜34は、拡大可能な近位側アンカーの様々な代わりの実施の形態を示している。これらのアンカーの実施の形態は、ひとたび胃内で展開されると、アンカーの幽門の通過を防止する十分に大きい構造を提供するように構成されている。これらの実施の形態におけるスパインと遠位側アンカーが、近位側アンカーに関する付加的な詳細から逸脱しないような最小の方法で示されている。上述の流量減少要素、スリーブ、特徴、本明細書に記載された十二指腸ベースの処置デバイスの性質または能力は、本明細書に記載された近位側アンカーとともに使用されると理解される。それに加えてまたは代わって、図30〜34は、上述の十二指腸デバイスとともに使用されてもよい。
【0162】
図30A〜30Bは、実施の形態の近位側アンカー機構を示している。ボール6512は、拡大するように構成された複数の支柱6514を含むことができる。例えば、支柱6514は、スパインから長手方向にまた互いに平行に延在することができる。支柱6514を、図30Aに示すように、ボール6512から外部に向かって拡大するように構成することができる。例えば、支柱6514はニチロールなどの形状記憶合金から作製することができ、それにより、支柱は移動後に予め形成された形状に拡大することができる。したがって、支柱6514は、薄くでき、および/または、過分な力を必要とすることなくおよび/または支柱6614が損傷することなく折り畳まれたり拡大したりすることが可能に柔らかくすることができる。さらに、ボール6512は実質的に球形として図示されているが、楕円形状などの他の形状も取ることが可能である。
【0163】
図30Aおよび30Bについてさらに言えば、支柱6514は、塗装されていない、研磨された、または、代わりとして薄い布やポリマー、例えばePTFE、シリコン、またはポリウレタンなどの薄膜によって覆われたものでも可能である。薄膜は、支柱自体に縫合するまたは固定することができ、または支柱に直接的に浸漬被覆することができ、それによりボール6512は拡大状態で形成される。支柱が本明細書に記載するように挙動できるように、または複数の支柱によって形成されるボールが本明細書に記載する特徴を備えるように被膜が適用できることは理解される。薄膜を用いて支柱6514を被膜することにより、ボール6512を形成する支柱1つまたは支柱全体は、水、生理食塩水、ヒドロゲル、移動後に有益な生体吸収性薬剤化合物などの流体、空気、CO2などのガス用の容器を提供する閉じた中空空間を形成することができる。薄膜は、ガスまたは液体を通さないもの、または時間をかけてその内部の材料が通過するものが可能である。
【0164】
一態様において、通過不可能な構造(すなわち、支柱、ボール、またはそれらの組み合わせ)は、デバイスのアンカー特性を向上させるために、支柱および/またはボールを膨張させる選択された材料を用いて充填されてもよい。加えてまたは代わって、充填量を維持するが、時間をかけて充填材料が漏れ出る、充填材料および薄膜が選択されてもよい。この持続放出型の薄膜および充填材料は、充填材料として治療に効果がある成分を選択することにより、アンカーを薬剤デリバリーデバイスとして機能させる。さらに、所定の浸透速度でまたは許容漏れ速度で充填材料が通過する特定の薄膜が選択されてもよい。
【0165】
1つの実施の形態において、薄膜は、体内で時間をかけてシールする自己シール物質である。一例の実施の形態において、自己シール合成物はシリコン層である。シリコン層は一般的に支柱またはボールより薄く、薄い部分が針の挿入またはシリコン膜を穿孔して再充填を可能にする他の適当な充填デバイスの挿入のために使用される。この部分のシリコン層の厚さは、充填デバイスの先端を引き抜いた後にシリコン層が適切な圧密シールを維持するために閉じるように選択される。自己シール物質が使用される場合、周期的な注入を、体内に存在する期間を通じて、材料をボールに充填するまたは再充填するために行うことができる。他の態様において、支柱またはボールは、周期的な再充填を可能とするために弁またはシール部を備えてもよい。図3、4、および5について上述した様々な中空内腔、内部ポート、および他の充填技術が、支柱および/またはボールに適用されてもよい。
【0166】
図31A〜31Bは、図30A〜30Bの実施の形態と類似する近位側アンカーを示している。ボール6612は、折り畳まれた形状(図31B)から拡大した形状(図31A)に拡大する支柱6614によって形成されている。支柱6614は、配置された後のボール6612が横方向および放射方向の両方に拡大するように組み合わせることができる。図30A〜30Bの実施の形態に類似するように、ボール6612は、ボール6612内にエンクロージャーを形成するために薄膜6616を含むことができる。
【0167】
(ループ状ワイヤアンカー)
図25、32〜34、45〜50は、ループ状ワイヤから形成された近位側アンカーを備えるデバイスを示している。図25、32〜35、45〜50に示すデバイスのループ状ワイヤは、標準的なデリバリーチューブを介してデリバリーするために真っすぐになることができ、また、ひとたび胃内に配置されるとループ形状に戻るまたは強制的にループ形状になるように構成されている。図25、32〜35、45〜50に示すデバイスはさらに、ひとたび配置された後、標準的なチューブを介して胃から取り除くために、折り畳まれるまたは直線状になることができる。
【0168】
図25は、遠位端のコイル51(または他の終端)の曲率直径および/または半径とは異なる近位端上のループ状近位側アンカー6061を備えるデバイスの断面図である。図25に示すように、コイルは、スパイン50とともに面内に延在することができる。コイルは、幽門5の直径に比べて大きい直径を備えることができる。コイル6061の大きい直径により、コイルが幽門内に入ることを有利に防止でき、また消化管にデバイスを固定することができる。図25に示すように、コイル6061は、スパイン50から延在して内側に曲がるらせん状に形成されることができる。いくつかの実施の形態において、コイルは、スパイン50から連続的に延在することができる。
【0169】
コイル6061は、コイルの付加的な巻きの全てまたは一部がオーバーラップする、ほぼ完全なコイル(すなわち1つの完全なループに比べて少ない)、完全なループ、または1以上のループによって形成されてもよい。いくつかの実施の形態において、近位側コイル6061の直径は、胃の内部寸法によって決定されたスパンをカバーするような大きさにされてもよい。一実施の形態において、コイルの直径は、小湾曲部上の胃の部分を横切って大湾曲部に到達するように延在することができる十分な大きさである。さらに他の態様において、コイルは、異なる曲率半径を備えるまたは異なる直径で巻回されている。
【0170】
他の実施の形態において、コイル6061は、スパイラル形状、ヘリカル形状、あるいは、コイルの他の巻きまたはデバイスを含む平面の外側に存在するような形状に形成されてもよい。さらなる実施の形態は、胃内で垂直に向いた姿勢、胃内で水平に向いた姿勢、またはこれらを組み合わせた姿勢を取る近位側コイルを備える。
【0171】
図25のスパインの断面形状を含む特性、性質、および寸法は、コイル6061の留置部位に基づいて、所望される特定の特性にスパインを適応させるために改良されてもよい。
【0172】
一実施の形態において、図45に関して、ループ状近位側アンカー8061は、コイル8062を含んでいる。図25の実施の形態のアンカーと同様に、コイル8062は、スパイン50を含む平面において延在することができ、幽門5の直径に比べて大きい直径を備えることができる。それにより、幽門内にアンカー8061が進入することを有利に防止でき、デバイスを消化管に固定することができる。なお、図25の実施の形態と比較すると、アンカー8061は、スパイン50から延在し、コイル8062を形成するために曲がるステム8065を含んでいる。コイル8062は、ステム8065がコイル8062通過するように、実質的にコイルの中心を通過するように、ステム8065の周りを延在することができる。ステム8065を備えることにより、幽門によって遠位側に引っ張られたときにセンタリングされて安定するアンカー8061の機構が有利に提供される。すなわち、スパイン50およびステム8065が近位側に引っ張られると、コイル8062はステム8065に対抗して押し上がり、コイル8062が幽門5を介してほどかれるまたは引っ張られることが困難になる。さらに、いくつかの実施の形態において、上述のロック機構と類似するように、ロック機構8017をコイル8062の形状を保持するために使用することができる。
【0173】
コイル8062は、完全なループより少ない、完全なループ、またはオーバーラップ部分を備える1つ以上のループによって形成されることができる。いくつかの実施の形態において、コイル8062は、胃内で垂直に向いた姿勢、胃内で水平に向いた姿勢、またはこれらを組み合わせた姿勢を取る。さらに、スパイン50は、スリーブ、流量減少要素などの上述した特性を含むように改良することができる。
【0174】
図32A〜33は、実施の形態の近位側アンカー部材6701を示している。アンカー部材6701は、スパインとともに軸方向に延在するステム6703と、ステム6703から離れて放射方向に延在するアーチ6705と、ステム6703の周りを環状にまたは少なくとも部分的に、すなわちステム6073に対して垂直に延在するコイル6707とを含んでもよい。図32A〜32Bに示すように、アーチ6705は、コイル6707とステム6703を接続することができる。ステム6703、アーチ6705、およびコイル6705は、1本のワイヤなどの単一の伸長体から形成されてもよい。
【0175】
ステム6703は、0.025〜0.050インチの間など、0.035〜0.043インチなどの0.0050インチ未満の直径を備えることができる。さらに、図32A〜32Cに示すように、いくつかの実施の形態において、ステム6703は、スパインの直径と同一の直径を備えることができる。いくつかの実施の形態において、スパインおよびステム6703とともに介在するコイルおよびアーチは、連続するピースのワイヤで形成されることができる。いくつかの実施の形態において、ステム、アーチ、コイル、およびスパインに使用されるワイヤの直径は、ほぼ同一である。代わりの実施の形態において、コイルおよびスパインが、アーチおよびステムのワイヤ径に比べて小さい同一のワイヤ径を備える。さらに別の実施の形態において、ステムのワイヤ径は、アーチ、コイル、およびスパインのワイヤ径に比べて大きい。さらに別の態様において、コイルに形成されるワイヤの直径は、コイルそれぞれで異なる。上述したステムのワイヤ径それぞれに加えて、デバイスの他の部分のワイヤ径それぞれとして、例えば、アーチは約0.025〜約0.035インチの範囲であり、コイルは約0,035〜0.040インチの範囲であり、スパインは約0.035〜役0.045インチの範囲である。
【0176】
図32A〜33に示すように、アーチは、ステム6703から離れるように縦方向および放射方向の両方に延在することができる。このアーチ形状は、側方から押されたまたは圧縮されたときにコイルをセンタリングするのに役立つフープ強さを有利に提供することができる。アーチとコイルの移行部はさらに、体内においてステム6703に対してコイル6707が近位側に移動する場合、”インターロック”を提供することができる。このインターロックは、アーチ移行部がコイルの直径により外側に広がる場合、またはコイルの直径がアーチ移行部に比べて小さい場合に係合する。さらに、アーチ形状を備えることにより、デリバリーのためにアンカー6701を直線状にするとき、スムーズに且つシームレスに移行することができる。インターロック部を無効化するためには、コイルが近位側に引っ張られて直線状になると、アーチは少し絞られる必要がある。最終的には、アーチ6705は、デリバリー後に患者からデバイスを取り除くために、単なる収縮したループ形状になる。代わりの実施の形態において、アーチ6705は、ステム6703からコイル6707に向かって実質的に垂直に延在する接続部に置き換わることができる。この実施の形態の場合、ステムから周囲のコイルに向かうアーチに代わって、ワイヤは、コイルを含む平面内に概ね維持されつつ、ステムからコイルに向かって直接的に延在する。
【0177】
コイル6707は、ループの付加的な巻きの全てまたは一部がオーバーラップする、ほぼ完全なループ、完全なループ、または1以上のループによって形成されることができる。したがって、コイル6707は、1ループから2ループなどの約1ループから4ループで形成されることができる。例えば、図32A〜32Bに示すように、コイル6707は、約1.5ループを含むことができる。1つ以上のループを備えることにより、コイル6707を構成するワイヤの剛性を増加させることなく、コイル6707の累積的なフープ強さを有利に増加させることができる。ワイヤの低剛性を維持することにより、有利に、内視鏡ハンドルにデバイスが挿入されるときにワイヤを簡単に直線状にすることができ、またデリバリー中に作用する力が減少し、組織の損傷が抑えることができる(ワイヤの剛性が高すぎる場合、組織が損傷する可能性がある)。
【0178】
コイル6707は、幽門5に対して垂直に胃4内に配置されたときに(図33参照)幽門5を通過できないような直径を備えることができる。したがって、例えば、コイル6707の直径は、5〜15cmの間などの、3〜20cmの間の値をとる。コイル6707は、図32A〜32Cに示すような小さいコイルなどの無傷端状で終端することができる。加えてまたは代わりとして、末端は、例えば、図32Aおよび33に示すように、わずかに大きい球状であってもよい。図示するような球状端は、ワイヤの末端に高出力レーザを当てることによって形成されてもよい。
【0179】
図32Aはまた、1つのコイル上のショルダー部または特徴部を示している。この特徴部は、挿入またはデバイスデリバリーのための接続点を提供するために、ワイヤ状に位置する。下側コイル上の約9時の位置に示されているが、この位置は一例である。ショルダー部は、使用されるインサートデバイスまたはアンカーの特定の設計パラメータなどの複数の要因に基づいて、幅広く様々な位置に設けられてもよい。この特徴部は、ワイヤの適切な位置に取り付けられた短いシリンダであってもよい。
【0180】
近位側アンカー6701は、図32A〜32Cに示す拡大形状を取るように予め形成されることができる。例えば、近位側アンカー6701は、ニチロールなどの形状記憶材料から作製されることができる。したがって、近位側アンカー6701は、内視鏡を介するなどしてデリバリーされるために、直線状にされることができる。デバイスは、内視鏡から胃内5に完全に放出されると、図33に示すように、予め形成された形状に戻ることができる。図33に示すように、コイル6707は、幽門8に対して実質的に垂直に配置されることができる。コイル6707の垂直配置により、幽門が8が伸びて楕円形状になっていても、コイル6707が通過するように十分に伸びることができないことが有利に確保される。さらに、ステム6707の細い直径により、幽門8がデバイスを掴む可能性がほとんどないことが有利に確保される。最終的に、細いステム6703から大きい直径のコイル6707の急激な移行部により、すなわち、コイル6707の直径全体が幽門8からの力を散開させることができるため、アンカー6701が幽門9を通過することをさらに防止する手助けをする硬いストッパまたはショルダー部が提供される。さらに、アンカー6701のコイル6707は、幽門8から近位側に離れた、胃洞5内または胃洞5の近位側などに位置するように構成されることができ、それにより、不必要な持続的な幽門8との接触が回避され、炎症などが抑制される。一態様において、ステム長さ、アーチの曲げ半径、およびコイルの直径全体の組み合わせは、使用中における幽門の炎症が低減するようにまたは最小になるようにされる。これらの要素の関係のバリエーションは、胃内でのデバイスの姿勢と同様に幽門に対する姿勢を変更するために使用されてもよい。アンカー2701の配置により、上述したように十二指腸内または沿って配置され、スパインに沿って配列された流量減少要素またはデバイスの特定の構成に基づいて、効果的に治療が行われる所望の位置にスパインを有利に配置することができる。
【0181】
図31A〜34Cは、図32A〜32Cの近位側アンカー6701に類似する近位側アンカー6901を示している。なお、近位側アンカー6901は、ステム6903から延在する2つのアーチ6905a、6905bを含んでいる。各アーチ6905a、6905bは、対応するコイル6907a、6907bを含んでいる。その結果としての2つのコイル6907a、6907bは、マルチループフープ構造体6917を形成するために、互いに実質的に位置合わせされている。
【0182】
アーチ6905a、6905bは、実質的に正反対の放射方向に延在するように構成されている。実質的に正反対に放射方向に延在するアーチ6905a、6905bを備えることにより、横方向1907a、1907bからコイルに応力が作用するとき、バランスをとる力が有利に発生する。すなわち、1つのアーチのみが存在する場合、横方向の力によって放射方向内側につぶれる可能性がある。しかし、実質的に正反対方向に延在する2つのアーチ6905a、6905bが存在する場合、2つのアーチ6905a、6905bが他方に対して正反対の内側方向の力を付与することにより、アーチ6905a、6905bの間の中心にステム6903が位置する状態でアーチ6905a、6905bの直立姿勢が維持される。
【0183】
近位側アンカー6901は、互いに平行に延在して単一のステム6903を構成するワイヤの2つの部分6912a、6912bを含むことができる。ステムの部分6912a、6912bそれぞれは0.050インチ未満の直径を備えることができ、それにより、ステム6903の直径は0,10インチ未満である。部分6912a、6912bは、溶接、ろう付け、圧着、または他の適切なプロセスによって結合された部分を除いて、実質的にステム6903の全長または一部に未接合の状態にすることができる。適切な溶接長さは、約2.5〜約10.0mmの範囲である。代わりとして、デバイスの中央のステム部を形成するために、1つのスポット溶接または複数のスポット溶接が、複数のワイヤ(例えば2また3本のワイヤ)を結合するために実行されてもよい。アンカーの部分6912a、6912bの大部分が未接合の状態で維持されることにより、デリバリー中および体内での使用中においてデバイスに様々な力が加わっても、アンカー6901は曲がることができる。取り付け点6914は、スパインがステム6903に移行する部分を示し、コイル6907a、6907bの遠位にある。コイル6907a、6907bの遠位に取り付け点6914を備えることにより、コイル6907a、6907b周りの高応力のエリアが回避され、それにより、取り付け点6914での潜在的な折れが回避される。
【0184】
図34A〜34Cに示すように、近位側アンカー6901のコイル6907a、6907bの両方は、反時計方向などに、同一方向に延在することができる。別の実施の形態において、コイル6907a、6907bは、反対方向に延在することができる。コイル6907a、6907bそれぞれは、ループの付加的な巻きの全てまたは一部がオーバーラップする、ほぼ完全なコイル(すなわち1つの完全なループに比べて少ない)、完全なループ、または1以上のループによって形成されることができる。したがって、コイル6907a、6907bそれぞれは、1ループから2ループなどの約1ループから4ループで形成されることができる。例えば、図32A〜32Bに示すように、コイル6907a、6907bそれぞれは約1.5ループを含むことができる。さらに、コイル6907a、6907bは、フープ構造体6917全体の厚さが直径の周囲全てにおいて実質的に等しくなるように、例えば、フープ構造体6917の直径に沿った各点で約3ループが存在するように、始まって終わるように構成されることができる。
【0185】
さらなる代案において、他の場所に記載したように適切な数のコイルに分かれる3つのアーチが約120度の間隔をあけた状態で、共通の中央ステムに接続される3つの別々のワイヤが存在してもよい。3つの別々のコイルの巻き方向は、全て同一の方向であってもよく、また交互に代わってもよい。例えば、上側および下側のコイルは反時計方向に巻かれ、中央のコイルは時計方向に巻かれてもよい。他の代わりの巻き方向も可能である。他の実施の形態において、近位側アンカーは、可能な限り、3つ以上のアーチと対応するコイルを含むことができ、例えば、4または5つのアーチとそれに対応するコイルを含む。
【0186】
伸長体は、図34A〜34Cに示す拡大形状を取るように予め形成されることができる。例えば、伸長体は、ニチニールなどの形状記憶材料で作製されることができる。したがって、近位側アンカー6901は、内視鏡を介するなどによってデリバリーされる時に、直線状になるように構成されることができる。デバイスを効率的に直線状にするために、2つのアーチ6905a、6905bは統合されることができる、例えば、アーチ6905a、6905bの一方が180度方向転換されることができる、または両方のアーチが中央で合うように90度方向転換されることができる。アーチ6905a、6905bを互いに位置合わせすることにより、コイル6907a、6907bはアーチ6905a、6905bの周りをまたは上で方向転換することができ、それによりコイル6907a、6907bがほどかれ、アンカー6901全体が直線状にされる。
【0187】
本明細書に記載されているアンカーには複数の回収モードが存在することが理解される。これらの回収モードまたは技術の任意の1つまたは組み合わせは、胃内のインプラント位置から取り除くことができるように、ステム−アーチ−コイル型アンカー構造体の折り畳みに使用されることができる。一態様において、デバイスの構成要素の引き抜きは、概して、幽門から離れるように移動することである。1つの回収モードは、アーチを掴んでそれをコイルから離れるように引き出すことである。加えてまたは代わりとして、その引き出し動作は、ステムと概ね平行な直線に沿って行われてもよいし、または選択的にステムに対してゼロでない角度で行われてもよい。この動作により、ステムとともにコイルおよびスパインが引き出される。別の回収モードは、1つのコイルを掴んで引き出すことに関連する。同様に、この動作により、残りのコイルがほどかれ、1つまたは複数のアーチが折り畳まれ、そしてほどかれたアンカーがほどかれた状態でステムとスパインとともに引き出されることが可能になる。回収のさらに別の形態において、コイルの末端(すなわち、小さい球状先端または湾曲した末端)が掴まれ、概ね幽門から離れるように引き出される。この動作により、コイルがほどかれ、1つまたは複数のアンカーがステムおよびスパインについて行く。近位側アンカー6901は、図33に示す近位側アンカー1701と同様に、胃洞内または胃洞のごく近位側に配置されるように構成されることができる。ステムおよびアーチの長さを選択することにより、幅広い様々なアンカーの配置が可能になる。
なお、アンカーの直径全体(すなわち、1つ以上のコイルによって形成される円周の直径)の選択は、幽門とステムとの接触を制限することによって幽門の炎症を抑えるまたは最小限にしつつ、デバイスの固定を補助するために選択されてもよい。
【0188】
図35A〜35Dは、別の実施の形態の近位側アンカー部材7001を示している。アンカー部材7001は、スパインから軸方向に延在するステム7003と、ステム703から離れるように放射方向に延在するアーチ7005a、7005bと、ステム703の周りを環状にまたは少なくとも部分的に且つステム7003に対して垂直に延在するコイル7007a、7007bと、2つのアーチ7005a、7005bを介して接続され且つコイル7007a、7007bに合流する引っ張りループ7077とを含むことができる。
【0189】
アーチ7005a、7005bそれぞれはステム703から近位側に延在し、近位側のピークを介して曲がり、コイル7007a、7007bと合流するために遠位側に延在する。したがって、アーチ7005a、7005bは、ステム7003から離れるように縦方向および放射方向の両方向に延在することができる。このアーチ形状は、アンカー7001が側方から押されたときまたは圧縮されたときにコイル7007a、7007bを中心に配置する手助けをするフープ強さを有利に提供することができる。いくつかの実施の形態において、アーチ7005a、7005bは、コイル7007a、7007bよりさらに放射方向に延在する。アーチ7005a、7005bからコイル7007a、7007bへの移行部は、ステム7003が幽門内においてコイル7007a、7007bに対して遠位側に移動した場合に”インターロック”を提供することができ、コイル7007a、7007bをアーチ7007a、7007bが乗り越えることが抑制される。
【0190】
アーチ7005a、7005bの両方は、コイル7007a、7007bと合流するように、反時計方向(近位側の点から見て)に延在することができる。さらに、アーチ7005a、7005bは、実質的に正反対に放射方向に延在するように構成されている。実質的に正反対に放射方向にアーチ7005a、7005bが延在することにより、有利に、アーチ7005a、7005bは、モーメントアームとして挙動でき、また、バランスが取れた状態において、付与された負荷の約半分を引き受けることができる。これにより、コイル7007a、7007bでの仮想のモーメントアームの端に負荷経路が強制的に方向付けされ、アーチ7005a、7005bを介してこれらが結合する中央ステム7003に伝わる。この等価で正反対の負荷経路が付与された負荷のバランスをとる。その結果、コイル7007a、7007bはステム7003に対して直交方向に維持され、コイル7007a、7007bの一方から他方に大きな距離が生じ、それにより、大きな近位側アンカー7001が形成される。すなわち、2つのアーチ7005a、7005bは互いに支持することができ、それにより、アーチ7005a、7005bを直立姿勢(近位側に延在する姿勢)で維持することを助けることができ、コイル7007a、7007bがステム7003に対して直交し、そして、アーチの間の中心にステム7003が位置合わせされる。ステム7003が中心に位置合わせされることにより、有利に、アンカー7001が筋肉の収縮によって偏心に押圧されることによって生じる幽門の損傷の可能性が低減される。
【0191】
引っ張りループ7077は、アーチ7005a、7005bがステム7003で合流するように、アーチ間を延在するループ部7076を含むことができる。逆アーチ部7079a、7079bは、ループ部7076から延在することができる。逆アーチ部は、アーチに対して実質的に対向するようにまたは反対に延在することができ、コイルによって形成された曲率半径、および/またはステムに対して直交して且つアーチの最外部の周りを延在する円によって形成された曲率半径に比べて小さい曲率半径を備えることができる。この実施の形態において、逆アーチ部7079a、7079bそれぞれは、ループ部7076からコイル7007a、7007bそれぞれに延在することができる。逆アーチ部7079a、7079bのピークは、ほぼコイル7007a、7007bの平面内まで、遠位側方向に延在することができる。逆アーチ部7079a、7079bは、互いに実質的に正反対に放射方向に延在することができる。さらに、逆アーチ部7079a、7079bは、アーチ7005a、7005bそれぞれのピークから90度離れたピークを備えることができる(中心軸としてステムを使用した場合)。この90度での配置により、アンカー7001の外周に90度ずつ間隔をあけて設けられたおおよそ4つの支持部が提供され、それにより、アンカー7001が安定し、アンカー7001の近位側への移動が阻止される。逆アーチ部7079a、7079bの両方は、反時計方向にループしてコイル7007a、7007bに接続することができる。したがって、逆アーチ部7079a、7079bは反時計方向に延在することができる一方で、アーチ7005a、7005bは時計方向に延在する。他の実施の形態において、アーチ7005a、7005bは反時計方向に延在することができる一方で、逆アーチ7079が時計方向に延在する。
【0192】
アーチ7005a、7005bは、コイル7007a、7007bに移行するように、逆アーチ部7079a、7079bの下部に延在することができる。このアーチ7005a、7005bと逆アーチ7079a、7079bの軸方向の相対位置は、付加的な連動を提供するとともに、アンカー7001を安定させる。この配置はまた、以下に説明するように、近位側方向に引っ張りループを引っ張るときに、アンカー7071の折り畳みを容易にする。
【0193】
いくつかの実施の形態において、ステム7003、アーチ7005a、7005b、コイル7007a、7007b、スパイン、および引っ張りループ7077は、ステムに結合する連続するピースのワイヤで形成されることができる。代わりとして、ステム7003、アーチ7005a、7005b、コイル7007a、7007b、および/またはスパインそれぞれは、例えば、溶接、圧着、接着、はんだ、スリーブ、またはこれらの組み合わせによって結合されることができる。
【0194】
ステム7003、アーチ7005a、7005b、コイル7007a、7007b、スパイン、および引っ張りループ7077に使用されるワイヤは、同一直径を備えることができる、または異なる直径を備えることができる。それぞれの直径は、0.16〜0.50インチ、約0.18〜0.44インチなど、0.1〜0.6インチの範囲である。いくつかの実施の形態において、ステム7003、アーチ7005a、7005b、コイル7007a、7007b、およびスパインの直径は、相対的に大きい力または小さい力(ワイヤの慣性曲げモーメントが増加するまたは減少することよる)に対して形状を維持するようにワイヤを”調整”するために選択されることができる。例えば、ステム7003のワイヤは、たわみに抵抗するために、コイル7007a、7007bおよびアーチ7005a、7005bに比べて直径を大きくすることができる。一方、コイル7007a、7007bのワイヤは、コイル7007a、7007bの柔軟性を得るために(胃の炎症を最小にするために)、ステム7003およびアーチ7005a、7005bに比べて直径を小さくすることができる。同様に、アーチ7007a、7007bのワイヤは、剛性および変形抵抗を向上させるためにまた幽門を介する二次的移動を可能とするために、ステム7003およびコイル7007a、7007bのワイヤに比べてさらに大きい直径を備えることができる。引っ張りループ7077は、特にループ部7076近傍は相対的に小さい直径を備えることができ(図35D参照)、それによりアンカー7071を内視鏡内に引き入れることが可能になる、例えば、ループ部7076が折り畳み可能になる。
【0195】
上述したインターロック部は、アンカー7001を取り除くために”アンロック状態”にされてもよい。そのために、引っ張りループ7077は、直接的に食道に入り、内視鏡のワーキングチャンネルに入り、オーバーチューブ内または他の取り除き用デバイス内に入る捕捉器具などの格納ツールによって近位側方向に軸方向に引っ張られる”ハンドル”として機能することができる。引っ張りループ7077が近位側アンカーと反対方向に引っ張られるにつれて、アンカー部材7001は、放射方向内側に折り畳まれる。コイル7007a、7007bは、アーチ7005a、7005bが直線状にされて折り畳まれるまでに、アーチを持ち上げて該アーチを囲む。引っ張りループ7077は、デバイスの取り除きを開始するために、内視鏡のワーキングチャンネル内に後退する。コイル7007a、7007bおよびアーチ7005a、7005bは、遠位側の内視鏡のワーキングチャンネル内に入るにつれて、並行して同時にねじられて折り畳まれる。アーチ7005a、7005bおよびコイル7007a、7007bの折り畳みは、引っ張りループ7077が内視鏡内に後退するにつれてアンカー部材7001のステム7003に反張力が作用することによって容易である。
【0196】
デリバリーのために、インターロック部は、同様に、遠位方向にデバイスを折り畳むために近位側アンカーの折り畳みを容易にするために、並ぶようにアーチ7005a、7005bを絞ることによって”アンロック状態”にされることができる。これにより、内視鏡のワーキングチャンネル内に入るために、アーチ7005a、7005bに対してコイル7007a、7007bを折り畳んでねじることができる。コイル7007a、7007bおよびアーチ7005a、7005bは、自己拡大することができるまたはデリバリー後の位置に急いで戻ることができる。
【0197】
コイル7007a、7007bは、ループの付加的な巻きの全てまたは一部がオーバーラップする、部分的なループまたは1つ以上のループの形状をとることができる。したがって、コイル7007a、7007bそれぞれは、約1/2ループから4以上のループに形成されることができる。1つ以上のループを備えることにより、有利に、コイル7007a、7007bを構成するワイヤの直径および剛性を増加させる必要なく、コイル7007a、7007bの累積的なフープ強さを増加させることができる。ワイヤが低剛性を維持することにはいくつかの利点があり、その利点として、内視鏡のワーキングチャンネル内に挿入されるときにワイヤを簡単に直線状にすることができること、デリバリー中の力を減少すること、組織の損傷を抑えることができること(ワイヤの剛性が高すぎる場合、組織が損傷する可能性がある)などがある。コイル7007a、7007bは、幽門に対して垂直に胃内に配置されたときに、アンカー7001が幽門を通過することができないような直径を備えることができる。したがって、例えば、コイル7007a、7007bの直径は、3〜20cmの間、好ましくは5〜15cmの間である。
【0198】
一実施の形態において、ワイヤの形状は、ステム7003から始まり、アーチ7005a、7005bを通過し、コイル7007a、7007bを周回し、引っ張りループ7077に至るまでの経路について狭面対称であり、またステム7003に結合しているワイヤの他方の端に向かって対称的に反対方向に戻る。引っ張りループ7077からステム7003に戻るにつれて経路の対称性が変化することにより、ワイヤは、同等で並行な特徴部がからみ合う可能性を最小化するのに有利な、より独立した形状を取るように作製されることができる。例えば、ワイヤの最も遠位側の端が直径1.25インチのコイルを備え、ワイヤの中間部が直径1.5インチのコイルを備える場合、その2つのコイルは、挿入中、デリバリー中、および引っ張りループを用いて取り除き中において、互いに重なって絡み合う可能性が低い。非対称の程度は、アンカー7001のパフォーマンスの不安定化または実質的干渉を避けるように、十分に低くされることができる。
【0199】
近位側アンカー部材7001は、ひとたび内視鏡を介して胃内に配置されると、アンカーの幽門の通過を防止できる十分に大きい構造体に拡大するように適用されて構成されている。図35A〜35Dにおいて、近位側アンカーの付加的な詳細から逸脱しないように、スパインおよび近位側アンカーが最低限の方法で示されている。上述の流量減少要素、スリーブ、特徴、特性、本明細書に記載された十二指腸ベースの処置デバイスの性質または能力は、本明細書に記載された近位側アンカーとともに使用されると理解される。加えてまたは代わって、アンカー部材7001は、任意の上述の十二指腸デバイスとともに使用されてもよい。
【0200】
図46A〜46Bは、別の実施の形態の近位側アンカー部材8001を示している。アンカー部材8001は、スパイン(図示せず)から離れるように軸方向に延在するステム8003と、ステム8003から離れるように放射方向に延在する2つのアーチ8005a、8005bと、ステム8003の周りを環状にまたは少なくとも部分的に且つステム8003に対して垂直に延在するコイル8007と、反アーチ8079と、2つのアーチ8005a、8005bの間に接続された引っ張りループ8077とを含むことができる。
【0201】
近位側アンカー部材8001は、ステム8003に対して非対称であり、一方のアーチ8005aは、ステム8003から離れるように近位側に延在し、近位側のピークで曲がり、そして単一のコイル8007に合流するために遠位側に延在する。コイル8007は、近位側に曲がり、2つのアーチ8005a、8005bの中央接続点8099上を延在する引っ張りループ8077に合流する。引っ張りループ8077は、第2のコイル8005bに合流する逆アーチ8079に合流する。第2のコイル8005bは、接続点8099でステム8083に結合する。したがって、2つのアーチ8005a、8005bは、アンカー8001の残りの部分に合流するにつれて、互いに酷似していない。さらに、コイル8007はアンカー8001の外周の周りを全てにわたって延在しておらず(いくつかのケースではその限りではない)、また逆アーチ8079が1つのみ存在する。アンカーが非対称性を備えることにより、デリバリーおよび取り除き中において、アンカーの様々な部分は、同等で並行な特徴部がからみ合う可能性を最小化するのに有利な、独立した形状を取るように作製されることができる。非対称なアンカーは、例えば、コイルがステムの周りを全体にわたって延在し、体積およびからむ可能性を低下させる対称なデザインに比べて、ワイヤ量が少ない。いくつかのケースにおいて、非対称なデザインは、近位側アンカー遠位側のメインカーブの方向に応じて固定(アンカリング)を好ましく増補するために使用されることができる。
【0202】
アーチ8005a、8005bは、ステム8003から離れるように縦方向および放射方向の両方に延在することができる。このアーチ形状は、有利に、アンカーにフープ強さを提供することができる。さらに、アーチ8005a、8005bは、実質的に正反対に放射方向に延在することができる。アーチ8005a、8005bが実質的に正反対に放射方向に延在することにより、有利に、アーチ8005a、8005bは、モーメントアームとして挙動でき、また、ほぼバランスがとれた状態において、付与された負荷の約半分を引き受けることができる。同様に、実質的に正反対に放射方向に延在する2つのアームを備えることにより、幽門の中心でのステムの維持が補助され、アンカーが安定する。
【0203】
逆アーチ8079は、アーチ8005a、8005bの両方から約90度離れた位置に配置されることができる。逆アーチ8079は、有利に、アーチ8005a、8005bから引っ張りループ8077を介してコイル8007に負荷を伝えることができる。
【0204】
いくつかの実施の形態において、ステム8003、アーチ8005a、8005b、コイル8007、スパイン、および引っ張りループ8077は、ステムに結合される連続するピースのワイヤで形成されることができる。代わりとして、ステム8003、アーチ8005a、8005b、コイル8007、および/またはスパインの少なくともいくつかが、例えば、溶接、圧着、接着、はんだ、スリーブ、またはこれらの組み合わせによって個々に結合されることができる。
【0205】
逆アーチ8079の一方側およびコイル8077の他方側に接続される引っ張りループ8077は、取り除くためまたはデリバリーのためなどにおいて、アンカー8001を直線状にするために使用されることができる。そのために、引っ張りループ8077は、直接的に食道に入り、内視鏡のワーキングチャンネルに入り、オーバーチューブ内または他の取り除き用デバイス内に入る捕捉器具などの格納ツールによって近位側方向に軸方向に引っ張られる”ハンドル”として機能することができる。引っ張りループ8077が近位側アンカーと反対方向に引っ張られるにつれて、アンカー部材8001は、放射方向内側に折り畳まれる。コイル8007および逆アーチ7079は、アーチが直線状にされて折り畳まれるまでに、アーチを持ち上げて該アーチを囲む。引っ張りループ7077は、デバイスの取り除きを開始するために、内視鏡のワークチャンネル内に後退する。アンカー8001がそれに続く。代わりとして、アンカー部材8001は、点8088の近くでなど、アンカーのほぼ中間点に直径減少部を含むことができる。デリバリーまたは取り除きのために、アンカーは、直径減少部を引っ張り伸ばしてその形状を細長くすることにより、ほどかれてもよい。
【0206】
コイル8007は、幽門に対して垂直に胃内に配置されたときに、アンカー8001が幽門を通過できないような直径を備えてもよい。例えば、コイル8007の直径は、3〜20cmの間、好ましくは5〜15cmの間である。近位側アンカー部材8001は、ひとたび内視鏡を介してデリバリーされて胃内に配置されると、アンカーの幽門の通過を防止できる十分に大きい構造体に拡大するように構成されている。上述の流量減少要素、スリーブ、特徴部、特性、本明細書に記載された十二指腸ベースの処置デバイスの性質または能力は、本明細書に記載された近位側アンカー8001とともに使用されると理解される。加えてまたは代わって、アンカー部材8001は、任意の上述の十二指腸デバイスとともに使用されてもよい。
【0207】
図47A〜47Dは、別の実施の形態の近位側アンカー部材8201を示している。アンカー部材8201は、スパインから離れるように軸方向に延在するステム8203と、ステム8203から離れるように放射方向に延在する2つのアーチ8205a、8205bと、ステム8203の周りを環状にまたは少なくとも部分的に且つ該ステム8203に対して垂直に延在するコイル8207とを含んでもよい。
【0208】
近位側アンカー部材8201はステムに対して非対称であり、2つのアーチ8205a、8205bが正反対方向に(一方は反時計方向で他方が時計方向に)延在し、その両方が同一のコイル8207に合流している。コイル8207は、アンカー8201の外周の周りを部分的に延在している(アンカー8201の外周の周りを一回以上延在することができるけれども)。アンカーが非対称性を備えることにより、デリバリーおよび取り除き中において、アンカーの様々な部分がねじれる可能性が低く、同等で並行な特徴部がからみ合う可能性が有利に最小化される。同様に、シンプルなデザイン(1つのみのアーチと単一の短いコイルを備える)により、デリバリー中または取り除き中にからむことを回避することができる。このシンプルなデザインはまた、短いワイヤを必要とし、それにより2つのアーチ形状に分けるワイヤの長さが短くなり、最終的に剛体が作製される。いくつかの実施の形態において、この非対称のデザインは、好ましく固定(anchorage)を増補できる。さらに、いくつかの実施の形態において、アンカー部材8201(または本明細書に記載の任意のアンカー部材)のコイルは、ステムの軸に対して90度以上の角度で延在するコイルを備えてもよい。例えば、コイルは、ステム頂部に対して120度の角度で傾いてもよい(図47Aに示すステムに対して直交する平面の下を延在してもよい)。このような角度の増加により、有利に、使用中において、コイルがアーチをひっくり返すことを抑制することができる。
【0209】
アーチ8205a、8205bは、ステム8003から離れるように縦方向および放射方向の両方に延在してもよい。このアーチ形状により、有利に、アンカーに対してフープ強さを提供することができる。さらに、アーチ8205a、8205bは、実質的に正反対に放射方向に延在してもよい。実質的に正反対に放射方向に延在するアーチ8205a、8205bを備えることにより、アーチ8205a、8205bは、モーメントアームとして挙動でき、また、バランスがとれた状態において、付与された負荷の約半分を引き受けることができる。さらに、実質的に正反対方向に延在するアーチ8205a、8205bを備えることにより、アンカーの中心へのステムの維持を補助することができ、それによりアンカーが安定する。
【0210】
いくつかの実施の形態において、ステム8203、アーチ8205a、8205b、コイル8207、およびスパイン(図示せず)は、ステムに結合される連続するピースのワイヤで形成されてもよい。代わりとして、ステム8203、アーチ8205a、8205b、コイル8207、および/またはスパインの少なくともいくつかが、例えば、溶接、圧着、接着、はんだ、スリーブ、またはこれらの組み合わせによって結合されてもよい。
【0211】
いくつかの実施の形態において、アンカー8201は、アンカーを形成するワイヤのほぼ中間点でワイヤに沿う直径減少部8291を含んでもよい。直径減少部によってアンカーはその場所でワイヤの他の部分に比べて容易に曲がることができ、直径減少部はデリバリー中および取り除き中にヒンジとして機能する。したがって、アンカー8201を折り畳むために、ユーザは直径減少部8291を引っ張ってアンカーを折り畳むことができる。
【0212】
コイル8207は、幽門に対して垂直に胃内に配置されたときに、アンカー8201が幽門を通過することができないような直径を備えてもよい。例えば、コイル8207の直径は、3〜20cmの間、好ましくは5〜15cmの間である。近位側アンカー部材8201は、ひとたび内視鏡を介してデリバリーされて胃内に配置されると、アンカーの幽門の通過を防止できる十分に大きい構造体に拡大するように構成されている。上述の流量減少要素、スリーブ、特徴部、特性、本明細書に記載された十二指腸ベースの処置デバイスの性質または能力は、本明細書に記載された近位側アンカー8201とともに使用されると理解される。加えてまたは代わって、アンカー部材8001は、任意の上述の十二指腸デバイスとともに使用されてもよい。
【0213】
図48A〜48Eは、別の実施の形態の近位側アンカー部材8301を示している。アンカー部材8301は、スパインから離れるように軸方向に延在するステム8303と、ステム8303から離れるように放射方向に延在する2つのアーチ8305a、8305bと、つの逆アーチ8379a、8379bと、引っ張りループ8377とを含んでもよい。
【0214】
近位側アンカー8301は、図8に示す形状をおおよそ取ることができる。アーチ8305a、8305bそれぞれは、ステム8303から近位側に延在し、近位側のピークで曲がり、そして逆アーチ8379a、8379bそれぞれに合流するために遠位側に延在する。アーチ8305a、8305bは、ステム8303から離れるように縦方向および放射方向の両方に延在してもよい。このアンカー形状により、有利に、アンカー8301が側方から押圧されたまたは圧縮されたときにアンカー8301を中心に位置合わせすることを補助するにより、フープ強さを提供することができる。アンカー8301の図8の形状は、有利に、デリバリー中および取り除き中にからむことを抑制することができる。
なぜなら、特徴部およびワイヤの自由長さが最小化されているとともに、からむような重なるコイル部分または他の部分が存在しないからである。
【0215】
図48では、逆アーチは、ステムの軸に対して実質的に垂直な(90度の)平面上にピークを持つまたは横たわるように図示されている。いくつかの実施の形態において、アンカー8301の逆アーチ(または本明細書に記載の任意のアンカーの逆アーチ)は、ステムの頂部に対して120度などの90度以上に傾いてもよい(すなわち、図48Aに示すように、ステムと直交する平面の下方を延在してもよい)。このような角度の増加により、有利に、使用中において逆アーチがアーチを跳ね上げてひっくり返すことを抑制することができる。
【0216】
アーチ8305a、8305bの両方は、逆アーチ8379a、8379bに合流するように、反時計方向(近位側から見て)に延在してもよい。さらに、アーチ8305a、8305bは、実質的に正反対に放射方向に延在するように構成されている。実質的に正反対に放射方向に延在するアーチ8305a、8305bを備えることにより、有利に、アーチ8305a、8305bは、モーメントアームとして挙動でき、また、バランスがとれた状態において、付与された負荷の約半分を引き受けることができる。
【0217】
引っ張りループ8377は、アーチ8305a、8305bがステム8303で合流するように、アーチ8305a、8305bの間で延在してもよい。さらに、引っ張りループ8377は、アーチ8305a、8305bに向かって上方向に曲がる逆アーチ部8379a、8379bの側の両方に合流してもよい。逆アーチ部8379a、8379bのピークは、遠位側に且つ実質的に互いに正反対に放射方向に延在してもよい。さらに、逆アーチ部8379a、8379bは、アーチ8305a、8305bそれぞれから約90度離れた位置に配置されてもよい。この90度での配置により、アンカー8301の外周に90度ずつ間隔をあけて設けられたおおよそ4つの支持部が提供され、それにより、アンカー8301が安定し、アンカー8301の近位側への移動が阻止される。逆アーチ部8379a、8379bの両方は、アーチ8005a、8005bに接続するために、引っ張りワイヤ8377から同一の時計方向/反時計方向にループしてもよい(近位側端からアンカー見た場合)。
【0218】
いくつかの実施の形態において、ステム8303、アーチ8305a、8305b、逆アーチ8379a、8379b、スパイン、及び引っ張りループ8377は、ステムに結合される連続するピースのワイヤで形成されてもよい。ステム8303、アーチ8305a、8305b、逆アーチ8379a、8379b、スパイン、および引っ張りループ7077は、例えば、溶接、圧着、接着、はんだ、スリーブ、またはこれらの組み合わせによって結合されてもよい。
【0219】
上述したインターロック部は、アンカー8301を取り除くために”アンロック状態”にされてもよい。そのために、引っ張りループ8377は、内視鏡のワーキングチャンネルに入る捕捉器具などの格納ツールによって近位側方向に軸方向に引っ張られる”ハンドル”として機能することができる。引っ張りループ8377が近位側アンカーの反対方向に引っ張られるにつれて、アンカー部材8301は放射方向内側に折り畳まれる。逆アーチ8379a、8379bは、アーチ8305a、8305bが直線状にされて折り畳まれるまでに、アーチを持ち上げて該アーチを囲む。引っ張りループ8377は、直接的に食道に入り、内視鏡のワーキングチャンネルに入り、オーバーチューブ内またはデバイスの取り除きを開始するように構成された他の取り除き用デバイス内に入って後退される。いくつかの実施の形態において、個別の引っ張りループを備えるよりはむしろ、図8は、図8図50A〜50B参照)を形成するワイヤの部分に沿って直径減少部8529を含んでもよい。直径減少部8529は、アンカーのほぼ中間点に存在してもよい。デリバリーのためにまたは取り除くために、アンカーは、直径減少部8520を引っ張り伸ばしてその形状を細長くすることにより、ほどかれてもよい。
【0220】
アンカー8301は、幽門に対して垂直に胃内に配置されたときに、アンカー8301が幽門を通過できないような直径を備えてもよい。近位側アンカー部材8301は、ひとたび内視鏡を介してデリバリーされて胃内に配置されると、アンカーの幽門の通過を防止できる十分に大きい構造体に拡大するように構成されている。上述の流量減少要素、スリーブ、特徴部、特性、本明細書に記載された十二指腸ベースの処置デバイスの性質または能力は、本明細書に記載された近位側アンカー8301とともに使用されると理解される。加えてまたは代わって、アンカー部材8301は、任意の上述の十二指腸デバイスとともに使用されてもよい。
【0221】
図7、8、24〜26A、30〜35、45〜50、および56のアンカー部材などの本明細書に記載のアンカー部材は、胃内に留置され、組織に取り付けられずに、幽門を通過しないように構成され、そして、本明細書に記載の任意のデバイスとともにおよび/または幽門の遠位側で延在して適当な位置に留まる部分を備える任意のデバイスとともに使用される内視鏡のワーキングチャンネルを介して配置される。
【0222】
様々なアンカーの構成要素(例えば、ステム、コイル、アーチ、および逆アーチ)の配置およびこれらの構成要素の形状との間の関係を明確にする補助として、いくつかの実施の形態において、例示的に、中心軸および基準面が図示されている。図32A、34A、35B、46A、47A、および48Aは、一例の基準面5903、5905(点線によって図示)およびステムを通過するように延在する一例の中心軸5901(点線によって図示)を用いて図示されている。図面それぞれは、ステムと平行で、且つ1つまたはそれ以上のアーチまたはその一部を含む1つの平面5903を含んでいる。平面5905は、ステム/中心軸5901に対して直交する。多くの実施の形態において、平面5905は、コイル、アーチ遠位部、または逆アーチの遠位部、あるいはそれらの一部のいずれかを含んでいる。基準面5903、5905、および軸5901は、一例の構成の様々な角度の基準を提示するために含まれている。いくつかの実施の形態において、これらの平面内で、ステム、アーチ、コイル、および/または逆アーチが厳密に延在しなくてもよいことは理解される。構成要素が基準面内に完全に存在しない場合であっても、基準面および基準軸は、図内の情報を解釈する手段を提供する。例えば、図32Aに示すようにまたは図34Aの一対のアーチのように、アーチは、ステムまたは軸5901に対する角度でステムから離れる曲線として記載されてもよい。別例において、アーチは、所定の角度で基準面5903から離れるまたは向かう曲線として記載されてもよい。1つのアーチまたは両方のアーチが基準面5903内に概ね存在するいくつかの実施の形態が図示されているが、本開示はこれに限らない。別例において、逆アーチによって形成される角度は、図35Aおよび46Aに示すように、平面5905に対して記載されてもよい。さらなる別例において、アーチ−コイル移行部は、基準面5903に対する角度として記載されてもよい。同様に、コイル−アーチ移行部またはコイル−逆アーチ移行部は、実施の形態にもよるが、平面5905内に概ね存在するコイルから形成される角度または平面5905から外へアーチまたは逆アーチに向かう角度として示されてもよい。図32A、34A,35B、46A、47A、および48Aにおいて具体的に図示されているけれども、本開示がアンカーの実施の形態を示す図それぞれにおいてこれらの基準面および中心軸を含むことは理解される。
【0223】
(ループ状アンカーのロック)
任意の上述の実施の形態のアンカーはさらに、アンカー形状の維持を補助する締結具を含んでもよい(壊れるというよりは)。例えば、図50A〜50Bに示すように、図48A〜48Dのアンカー8301に類似するアンカー8501は、アンカーの形状を維持するための掛け金機構8517を含んでもよい。この例において、掛け金8517は”図8”の第1のループを”図8”の第2のループに接続し、それにより、ワイヤの移動および折り畳みが制限されてアンカー形状の維持が補助される。
【0224】
別例として、図26Aおよび26Bを参照すると、固定具6105が、(図25の)アンカー6061のコイルの部分を固定するために使用されてもよい。固定具6105は、コイル6061の構造が壊れることを抑制するように且つ直線状にできるように配置されている。固定具6105は、自身にコイル6061を固定するために、コイルに沿って配置されている。固定具6105は、デバイスが消化管にインプラントされた後にコイル6061に取り付けられてもよい、および/または、予め取り付けられ、ひとたびコイルが消化管にインプラントされると掛合してもよい。固定具6105は、調整可能にまたはデバイスから容易に取り外し可能に(すなわちコイル6161を直線状にすることを可能とするために)構成されてもよい。
【0225】
一例の実施の形態の固定具が、拡大図である図26Bに示されている。この例の実施の形態において、固定具6105は、本体部6110と締結部6115とを備える。本体部6110は、複数のコイルまたは特定の形状で使用されている複数のワイヤ(またはアタッチメントを必要とするワイヤ)を収容できる形状および大きさである。締結部6115は、本体部6110の外側表面に付着するタブとして示されている。固定具6105は、胃内環境での使用に適した、またデバイスおよびコイルの材料および特徴と相性がよい幅広い種類の耐久性生体適合材料から形成される。固定具6105は、他の構成も可能である。固定具6105の特定の形状および寸法は、ねじ接続、フックアンドループ接続、スパイン結合(spine joins)、摩擦接合などの結合技術の種類やデリバリー方法によって変わりうる。
【0226】
ループ状ワイヤアンカーとともに使用される代わりの実施の形態の締結具が図26Cに示されている。締結具6617は、コイルの本体に接続された分割チューブ6613と、コイル6061の近位端上のボール6619および留め金6605とを含んでもよい。留め金6605は、遠位向きスプリング機構6615と、ストッパ6623とを含んでもよい。締結具6617を作動させるために、ボール6619を掴んで分割チューブ6613の側面を介してコイル6061の遠位端を引っ張るための捕捉器具6621が使用されてもよい。ボール6613を近位側に引っ張ることができ、スプリングアーム6615が分割チューブを近位側にスライド通過するまで圧縮され、拡大状態に戻り、分割チューブ6613のショルダー部上のアーム背面を捕まえる。分割チューブ6613は、スプリング機構6615およびストッパ6623との間に掴まることができ、それによりコイル6061に固定される。
【0227】
代わりの締結具のデザインが図37A〜44Bに示されている。
【0228】
図37A〜37Bを参照すると、締結具7217は、ループを形成するワイヤの部分に沿った拡大部すなわち歯7281と、歯7281と係合するように構成されたシンチ機構7283とを含んでもよい。歯7281は、シンチ機構7283をスライドして越えることができるように構成された近位側に向いた傾斜を備えるエッジ7285と、適切な位置にシンチ機構7283を維持するように構成されたワイヤに対してより直交するエッジ7287とを含んでもよい。したがって、アンカーの近位端7289が近位側に引っ張られるにつれて、シンチ機構7283は傾斜エッジ7283上をスライドし、所望の直径または形状にアンカーは固定される(図37Bに示すように、近位端がさらに引っ張られると、ループの直径がさらに小さくなる)。例えば、大きい直径が、幽門を通過することができない大きさのループを確保するために使用されてもよい。小さい直径が、取り除きのために、例えば、食道を越えることが可能にループを十分に小さくために使用されてもよい。遠位側エッジ7287がワイヤに対して概ね直交するため、ワイヤまたはアンカーが遠位側に引っ張られると(幽門などによって)、スライドすることなくシンチ機構7283がそのエッジ7287に接触する。それにより、ループまたはアンカーが所望の形状に固定される。いくつかの構成において、および図37A〜37Bに示すように、締結具7217は、胃内に存在する間、固定のための把持に役立つボールまたは他の特徴を近位端7289上に備えてもよい(例えば、図26Cに関して説明されるボール6619に類似するもの)。
【0229】
図38A〜38Cを参照すると、締結具7317は、一方の端7385がループに取り付けられないように、ループ状の取り付け点7383に取り付けられたスプリング7381を含んでもよい。締結具7317はさらに、ループの自由端にボール7316を備えてもよい。図38Bに示すように、ルーズな端7385を引っ張るにつれて、スプリングの2つのコイルの間にボール7319を係合させるためにスプリングのコイルの間に十分な空間が存在するように、スプリング7381は広がるまたは伸びてもよい。スプリング7381のルーズ端7385の引っ張りが解消されると、スプリング7381は元の形状に戻り、それによりその間にボール7319が捕えられ、適切な位置にループが固定される(図38Cに示すように)。締結具7317は、再びルーズ端7385を引っ張ることによって簡単にアンロック状態になることができ、それによりスプリングが広がってボール7319のリリースが可能になる。
【0230】
図39A〜39Bを参照すると、締結具7417は、ループ上の小穴7481と、ループの自由端上の返し7483とを含んでもよい。返し7483は、互いに交差する2つの先鋭端7485を含んでもよい。消化管にインプラントされた後、返しの中心が小穴7481内に押し込まれ、先鋭端が広がり、そして小穴7481と係合してもよい。先鋭端7585が互いに交差する状態に戻ることにより、返し7483が小穴7481を捕らえ、それによりループ状のアンカーが所望の形状に固定される。締結具7417をアンロックするために、フックの基部が小穴7481の頂部上を滑るように、自由端が小穴7481に向かって押され、それにより、フックが内側に折り畳まれてロックが解除される。
【0231】
図40A〜40Bを参照すると、別の実施の形態の締結具7517は、ループの自由端上にボール7519を備えてもよい。締結具7517はさらに、ループ上にロック機構7583を含んでいる。ロック機構7583は、スロット7587を備える拡大部7585を備える。スロットは、ボール7519に比べて大きい直径を備える一方の端と、ボール7519に比べて小さい直径を備える他方の端とを含んでもよい。ロック機構7583は、小径部が常にボールに近いように(すなわち、ボールが小径部内に入るように)方向付けされてもよい。小径部は、その内部でボール7519とスナップ係合するように、それにより、ひとたび適切に配置された後にボール7519が前後に移動しないように構成されてもよい。締結具7517をアンロックするために、ボール7519は、大径部に向かって引っ張られるまたは押されてもよい。
【0232】
図41A〜41Bを参照すると、別の実施の形態の締結具7617は、ループの自由端上にスパイラル状またはヘリカル状の曲線状部7681と、ループの一部に沿った複数のビーズ7683とを含んでいる。ヘリカル状部7681は、ビーズ7683と同数のループ7685を含んでもよい。さらに、ヘリカルの巻間距離は、ビーズ7683の間のギャップと一致してもよい。ループ7685は、ビーズ7683との間に捕まるように構成されてもよく、それにより、ヘリカル部7685を備える自由端をビーズ7683を備えるループの部分上に巻きつけることによって適切ない位置にループ状アンカーが固定される。ロック機構7617は、反対方向に自由端を巻きほどくことによってアンロック状態にされてもよい。締結具7617はさらに、締結具7617をロック状態およびアンロック状態にする手助けをする捕捉器具に係合するように構成されたボール7619を含んでもよい。
【0233】
図42A〜42Bを参照すると、別の実施の形態の締結具7717は、ループ7783の自由端上に小穴7781と、ループ上にポスト(7785)−タブ部(ベルクロ(Velcro(登録商標))に類似する)とを含んでもよい。小穴7781は、タブ7783を越えて延在してもよい(小穴7781がその上部を延在することを可能にするためにタブは曲がっている)。ひとたびタブ7783を越えると、タブ7783とポスト7785の頂部とが係合し、それにより締結具7717がアンロック状態になることが抑制される。締結具7717をアンロックするために、小穴7781はポスト7785を曲げるように引っ張られ、それにより小穴7781が解放される。
【0234】
図43A〜43Bを参照すると、別の実施の形態の締結具7817は、ループの自由端を貫通するように延在するホール7883を含んでいる。締結部はさらに、ホール7883と係合するようにループ上に構成されたポスト7885を含んでいる。ポスト7885をホール7883の内部にロックするために、スリーブ7887が係合し合うポスト7885とホール7883を覆うように延在してもよい。締結具7817をアンロックするために、スリーブが反対方向にスライドされてもよい。
【0235】
図44A〜44Bを参照すると、別の実施の形態の締結具7817は、ループの一部分上の小穴7983と、ループの自由端上のロック機構7981とを含んでいる。ロック機構7981は、小穴7983の内径に比べて小さい直径を備える第1のバンプ7983と(第1のバンプ7935小穴7983を何とか通り抜けることができるように)、小穴7983の内径に比べて大きい直径を備える第2のバンプ7933と(すなわち、第2のバンプ7933が小穴7983を通過できないように)を含んでいる。第1のバンプは、ワイヤの自由端がメインワイヤに直接的に隣接できるように構成された溝7937を含んでもよく、それにより、第1のバンプ7935は小穴7983を何とか通過することができる。第1のバンプ7933は、特定の方向においてのみ小穴7983の内周と一致するように構成された外側形状を備えてもよく、それにより、ひとたびロックされた後、締結具7917が偶発的にアンロック状態にされる可能性が低くなる。いくつかの実施の形態において、小穴7983は、ロック後に縮むように可鍛性を備えてもよく、それにより、使用中において締結具がアンロック状態にならないことが確保される。
【0236】
図26A〜26Cおよび図37A〜44Bに関して本明細書で説明した任意のロック機構は、本明細書に記載された任意のアンカーシステムと組み合わせて使用されてもよい、特に図25、32〜35、40〜50のアンカーに対して使用されてもよい。
【0237】
任意の上述の実施の形態のアンカーは、ひとたび消化管に配置された後に係止するように構成された1つまたはそれ以上の”切断部(breaks)”(ワイヤ上の切断部など)を含んでもよい。アンカーのデザインにおけるこのような切断部は、有利に、アンカーがデリバリー時に引き伸ばされるときにまたはアンカーが取り除かれるときに生じるねじれおよびからみの回避に役立つ。このようなねじれまたはからみは、(1)アーチなどのアンカーの部分が、解放されたときにそれぞれが優先的にねじれるように同一の時計方向または反時計方向にねじれること、および(2)アンカーが負荷を受けている方向と反対側に放出されること(デバイスがチューブ内に引っ張られ、それにより一方向に回転し、そして、チューブの外に押し出され、それにより再び同一方向に回転する)を原因として起こる。ワイヤの切断部は、ねじれの回避に役立つことができる。例えば、図49A〜49Cを参照すると、アンカー8401は、図35のアンカー7001と類似するようにデザインされてもよい。連続的なアンカーよりむしろ、アンカー8401は、一方のアーチ8405aとステム8403との間に切断部8422を含んでもよい。掛け金8417(図26Cに示す締結部661具と類似するものとして示されている)が、ひとたびアンカー8401がインプラントされた後に、切断部8422を閉じるために使用されてもよい。掛け金8417は、図26A〜26Cおよび図37A〜44Bに対して説明された任意の掛け金であってもよい。いくつかの実施の形態において、ねじれは、近位側から遠位側にデバイスを放出することによって回避されてもよい。
【0238】
本明細書で記載されているいくつかの例示的な実施の形態のデバイスにおいて、デバイスは、そのデバイスの一部を、例えば図26A〜26Cに示すようなまたは図37〜45および図49A〜49Cに示す様々な代替手段などの他の要素に取り付ける、結合する、または取り外し可能に取り付けるための留め金機構、固定具、または締結具を備えるものとして図示されている。留め金、締結、または取付デバイスおよび技術が、例えば、デバイスの類似部分に対する可逆的な接合に適応するために変更されてもよいことは理解される。この態様において、特定の締結デバイスの実施の形態の各パーツは同一の構成要素または同タイプの構成要素である。一実施の形態において、上述のアタッチメントデバイスまたは技術の1つまたは組み合わせが、コイルの第1の部分を同一コイルの別の部分または異なるコイルに結合するために使用される。別の実施の形態において、上述のアタッチメントデバイスまたは技術の1つまたは組み合わせが、アーチの第1の部分を同一アーチの別の部分または異なるアーチに結合するために使用される。さらに別の実施の形態において、上述のアタッチメントデバイスまたは技術の1つまたは組み合わせが、ステムの第1の部分を同一ステムの別の部分または異なるステムに結合するために使用される。さらに別の実施の形態において、上述のアタッチメントデバイスまたは技術の1つまたは組み合わせが、逆アーチの第1の部分を同一逆アーチの別の部分または異なる逆アーチに結合するために使用される。
【0239】
さらに他の実施の形態において、例えば図26A〜26Cに示すものなどにおいてまたは図37〜45および図49A〜49Cに示す様々な代替手段において説明されたアタッチメントデバイスまたは技術は、デバイスの異なる部分に対する可逆的な結合に適応するために変更されてもよいことは理解される。これに関して、留め金、締結、または取付デバイスおよび技術が、例えば、デバイスの異なる部分に対する可逆的な接合に適応するために変更されてもよいことは理解される。この態様において、特定の締結デバイスの実施の形態の各パーツは異なる構成要素または異なるタイプの構成要素である。一態様において、コイルの一部分が、異なるコイルに、ステムに、アーチに、または逆アーチに取り付けられてもよい。別の態様において、ステムの一部分が、別のステムに、コイルに、アーチに、または逆アーチに取り付けられてもよい。さらに別の態様において、アーチの一部分が、別のアーチに、ステムに、コイルに、または逆アーチに取り付けられてもよい。さらに別の代案において、逆アーチの一部分が、別の逆アーチに、アーチに、ステムに、またはコイルに取り付けられてもよい。
【0240】
(単一ワイヤのアンカーの実施の形態)
上述したように、図25、32〜35、45〜50のループ状アンカーは、単一の連続するワイヤで形成されてもよい。図52A〜52Cを参照すると、図35のアンカーの形成に使用されるワイヤは、”ピグテール(pigtail)”状端のように丸くなるように構成された遠位端に設けられた細い部分8791と、流量減少スリーブに融合されるまたは接着されるための空間を提供するように構成された小径段部を備えた段部8793と、スパインを形成するように構成された中央部8799と、ストッパ(すなわち、スリーブがこれを越えて延在することを阻止するための)との接合点を提供するように構成された小径段部を備えた段部8797とを含んでもよい。さらに、ワイヤは、アーチおよびコイルを形成する2つの部分8792、8794と、アンカーの引っ張りワイヤを形成するくびれ部8796とを含んでもよい。
【0241】
図32〜35、46〜50などのいくつかの実施の形態において、近位側アンカーのステムは、ワイヤの2つの隣接部を含んでもよい。図51に示すように、ステム8703は、ステムに接続することができるワイヤの第1部分8755と、アンカーのループ状部の端であって第1部分と隣接するワイヤの第2部分8757とを含んでもよい。第2部分8757は、2つの部分の間の合流点でスムーズな接触面を形成するように構成された傾斜面8759で終わってもよい。
【0242】
図51に示すように、いくつかの実施の形態において、スリーブ8795が2つの部分8755、8757の間の接続部を覆うように配置されてもよく、それにより、2つの部分の一体接合が補助される。いくつかの実施の形態において2つの部分8755、8757は一体的に溶接されてもよく、他の実施の形態において2つの部分8755、8757がスリーブ8795に溶接されてもよい。
【0243】
いくつかの実施の形態において、ステムの2つのワイヤ部分は、互いに対して載置されて結合が安定する平面を含んでもよい。図36A〜36Bを参照すると、ステム7103の2つの部分7181a、7181bは、部分7181a、7181bの遠位端から軸方向にアーチ7105a、7105bの始点に延在し、”D”形状断面(図36A参照)を形成する平面7191a、7191bを備える。平面7191a、7191bが互いに対して配置されたとき、平面−平面接触により、ワイヤ全体の全周は、図36Aに示すように、ほぼ楕円状になる。2つの部分7181a、7181bは、平面部7191a、7191bの長さに近い長さを備えるチューブ7195を用いてしっかりと結合されてもよい。チューブ7195は、平面部7191a、7191bの楕円輪郭をほぼ取るように、楕円形状をとってもよい。例えば、チューブ7195は、適切な形状になるために弾性変形されてもよい。チューブ7195から変形力が取り除かれたとき、無負荷状態の丸い形状に戻ろうとし、それにより、部分7181a、7181bが一体的にクランプされ、軸方向および径方向の両方の相対移動が防止される。
【0244】
図51Bに関して上述したように、ステムの2つのワイヤ部分は、スパインから2つのアーチへの移行部が漸進的になるように傾いてもよく、それにより、胃組織と対向する表面が滑らかになるとともに、内視鏡のワーキングチャンネルによるデリバリーを容易にし且つ内視鏡への傷を抑える先導デバイスの輪郭が提供される。図36C〜36Dを参照すると、アーチのワイヤ部分7181aは、先端7182aが傾斜するなどの、傾斜面を備えてもよい。ワイヤ部分7181aは、長いエッジ、すなわち先端7182aを備えるエッジが隣接する遠位端7181bに取り付けられるように配置されてもよく、それにより、遠位端7181aの外縁に沿ったスムーズな移行部が提供される。さらに、ステムに付加的な強さを付与するために、すなわちスリーブからステム7103を形成する単一のワイヤへの移行部がもろい箇所とならないように傾斜部とスリーブ7195との間にスペースが存在するように、切断端は、チューブの外側に完全に延在してもよい。さらに、図36Eを参照すると、近位端7181a、7181bは、傾斜部の先端まで実質的に全体にわたって延在する取り付け点7196で一体的に取り付けられてもよい。例えば、近位端(自由端およびスパインからのメインワイヤなど)は一体的に溶接されてもよい。この取り付け点は、チューブを用いる場合に使用されてもよく、またはチューブを用いない場合にも使用されてもよい。
【0245】
図53A〜53Cを参照すると、いくつかの実施の形態において、ステム8803の2つのワイヤ部分8181a、8181bは、互いに溶接されるのではなく、アウタースリーブに溶接されてもよい。各部分は、2つのワイヤの合流点に実質的に対向する位置8802、8804でスリーブ8895に溶接されてもよい。この溶接により、ワイヤ部分の互いに対するねじれの防止を補助することができる。さらに、スリーブ8895は、自然状態で円筒なチューブで形成されてもよい。その結果、それは部分の周りに配置され、チューブは、元の形状に拡大しようとし、それにより2つの部分8181a、8181bに作用する内圧がそれらの結合状態を維持する。
【0246】
ステムのワイヤ部分を様々な異なる方法で結合できることは理解することである。例えば、ワイヤ部分は、一体的にねじられてもよく、本明細書に記載の任意の掛け金機構を用いて掛けられてもよく、またはワイヤ端をメインワイヤの軸に沿ってスライド可能に且つ放射方向の位置を維持するルーズなスリーブを用いて一体的に接合されてもよい。
【0247】
(ループ状アンカーのデリバリー)
図25〜26A、32〜35、45〜50に関して説明されたものなど、本明細書に記載されたループ状アンカーは、アンカーを直線状にし、それをツールを用いて、直接的に食道内に、内視鏡のワーキングチャンネル内に、またはオーバーチューブまたは取り除き用に構成された他のデバイス内に引っ張りまたは押し込むことによってデリバリーされるまたは取り除かれてもよい。
【0248】
いくつかの構成において、ワイヤはプッシャーを含んでもよく、デリバリーツールは、デリバリー時、プッシャーに接触して押される。例えば、図32を参照すると、コイル6707は、ワイヤ上の拡大部であって、デリバリー中または取り除き中において折り畳まれたアンカーを押すためのサポートを提供するように構成されたプッシャー3233を含んでもよい。
【0249】
図57A〜57Dを参照すると、一実施の形態のプッシャー5733は、近位側のたる状部5716と、遠位側の環状ショルダー部5714と、それらの内部を延在する同心の内腔5708(内腔5797がアンカーのワイヤを囲むように)とを備えてもよい。使用中において、デリバリーツールは、アンカーを形成するワイヤの端上およびプッシャー5733の近位側たる状部5716上を、ショルダー部5714に対してぶつかるまでスライドされてもよい。ショルダー部5714は、デリバリーツールと係合できる強固で大きい表面エリアを形成してもよい。
【0250】
代わりの実施の形態のプッシャーが、図58A〜58Eに示されている。プッシャー5833は、近位側のたる状部5816と、遠位側の環状ショルダー部5814とを含んでもよい。それらの内部を偏心内腔5808が延在し、ノッチまたはV字溝5810が内腔5808と対向するように、プッシャー5833の側面に沿って軸方向に延在している。プッシャー5833は、例えば、2つのアーチが並んで延在する二重アーチ構造(V字溝5810が負荷的なワイヤにスペースを提供することができる)において使用されてもよい。使用中、デリバリーツールは、アンカーを形成するワイヤの端上およびプッシャ5833の近位側たる状部5816上を、ショルダー部5814に対してぶつかるまでスライドされてもよい。ショルダー部5714は、デリバリーツールと係合できる強固で大きい表面エリアを形成してもよい。
【0251】
(球部内の二次的アンカー)
いくつかの実施の形態において、図54および55を参照すると、二次的アンカーが、十二指腸球部内に配置されるように構成されてもよい。図54を参照すると、球部アンカー8901は、約1.2インチなどの、1〜2インチの間の直径を備えてもよい。球部アンカー8901は、様々な形状を備えてもよい。例えば、図54に示すように、アンカー8901は、伸張されたダイアモンド形状であってもよい。代わりとして、図55に示すように、球部アンカー9001は、逆傘形状であってもよい。逆形状は、優先的に、折り畳みに抵抗することによって遠位側デバイスの移動を阻止する。十二指腸球部内の二次的アンカーは、単独で使用されてもよく、または本明細書に記載の任意の近位側アンカーとともに使用されてもよい。
【0252】
(付加的な一例の実施の形態)
図27A〜27Dは、成形された近位側部分と柔軟な遠位側部分とを備える代わりのデバイスを示している。柔らかい(floppy)遠位側部分は、掴むときに蠕動を抑えることができる。近位側デバイス20Pは、図15について上述したもののデザインおよび構造について類似する。スパイン6250とコイル状端61とが存在する。近位側部分20Pは、そのデバイスの特定の構成にもよるが、その遠位端に、結合部、移行部、またはアタッチメント部6205を備える。近位側部分は、図19、20、21など、本明細書に記載された任意の構成をとってもよい。移行部6205より遠位側のデバイス部分は柔らかく、周囲の生体構造の屈曲、湾曲、またはたわみにしたがって屈曲、湾曲、および/またはたわむ。デバイスの柔らかい部分は、移行点6205から延在して末端6261で終わるスパインまたは中央部材6255を含んでいる。いくつかの実施の形態において、末端6261に重りをつけてもよく、それにより逆方向への移動を阻止する手助けをすることができる、すなわちデバイスが胃内に戻ることを抑制する手助けをする。
【0253】
図27A〜27Dに示す実施の形態のデバイスは、複数の流量減少要素200を備える。より多いまたはより少ない流量減少要素、あるいは流量減少要素を含んでいない他の構成も可能であり、同様に、薬剤をデリバリーするための、データ収集するための、あるいは他の治療をデリバリーするための1つまたはそれ以上の上述の機能を含んでもよい。柔らかい遠位側部分の長さは変化してもよい。
【0254】
図27Bは、生体構造内に配置されたデバイスを示しており、柔らかい遠位側部分の長さにより、図17に示して説明したように、末端6161が近位端に隣接するようにまた近傍に配置されている。末端6161は、十二指腸水平部10Cの端の近傍または結合部14内に位置する。
【0255】
図27Cは、図76、22、23に示して説明されたものと類似する長い遠位側部分を備える、代わりの実施の形態のデバイスを示している。この実施の形態において、末端6261は、長い遠位側長さにより、曲14を越えて、図27Bの空腸12内に存在する。
【0256】
図27Dは、短い遠位側部分を備える、代わりの実施の形態のデバイスを示している。この実施の形態において、シャフト6255の長さにより、末端6255が十二指腸降下部10B内または十二指腸水平部10C内に配置されている。
【0257】
図28A、28B、および29は、代わりの実施の形態のロック可能なセグメントデバイス、すなわちフレキシブル状態と固定状態との間で変化する動作を行うように構成されたデバイスに関連する。図28A、28B、29のロックセグメント態様は、例えば、本明細書に参照としてその全体が組み込まれている名称が”Variable Flexibility”の米国特許第3546961号に記載されているロック可能要素のデザインにしたがって変更されてもよい。
【0258】
図28Aは、ジョイント6315の両側に設けられた複数のリンク6310を備えるデバイスのアンロックされたセグメントを示している。近位端および遠位端は図面を見やすくするために省略されているが、図28Bではデバイスの全体図が示されている。図28Aに戻って、隣接し合うリンク6310とジョイント6315の対向面は、嵌め合いによって連結されてもよい。引っ張り部材または操作ケーブル6320は、リンク6310およびジョイント6315を通過するように延在している。ケーブル6320が引っ張られていないとき、隣接するリンクとジョイントは自由に動く。引っ張りケーブル6320が短くなると、隣接するリンクとジョイントは圧縮状態になり、それぞれの姿勢が固定される。隣接するリンクおよびジョイントがロックされた結果、デバイスの全体形状が固定される。図28Aおよび28Bに示す実施の形態において、リンク6310は、長さおよび寸法の全て同一である。図28Bは、図28Aのリンクおよびジョイントを備え、またスパインまたは中央部50に取り付けられた近位側および遠位側コイル61を備えるデバイスを示している。中央部50はジョイントおよびリンクを通過してもよく、それとともに操作ケーブルまたはスパイン50は操作ケーブルとして機能するように構成されてもよい。ゆるんだ状態でデリバリーすると(すなわち図28A)、デバイスを、生体構造の所望の位置内に、その取り囲む生体構造に対して所望に順応するまで、入れることができる。したがって、操作ケーブルは、リンクおよびジョイントをロックするために所定の位置に係合されて、デバイスを所望の位置に維持してもよい。図28Bは、食道の遠位側、胃、十二指腸、および空腸の近位側の断面図であり、胃および十二指腸の形状に一致するロック状態のデバイスが示されている。
【0259】
図29は、食道2、胃4、十二指腸10、および空調12に関連する実施の形態の形状ロックデバイスを示している。関連する生体構造が、例えば、図1、9、および13に示されており、ここでは類似の符号が使用されている。図29は、図28Aおよび28Bに示されているものに代わる形状ロックデバイスである。図28Aおよび28Bの形状ロックデバイスと対照的に、この実施の形態のリンク6310は、同一または異なるサイズのリンクを含んでもよい。この実施の形態において、ロック要素のサイズおよび形状は、必ずしも均一ではない。一方、要素は、インプラントのために、取り囲む生体構造に適合する異なる形状またはサイズを備えてもよい。より少ないリンクが、所望のインプラント領域内の生体構造の形状に近づけるために使用されてもよい。リンク6310の長さは、十二指腸球部、十二指腸降下部、十二指腸水平部、十二指腸降下部、または空腸などの生体構造の様々の部分のおおよその長さまたは割合(fraction)に基づいて選択されてもよい。一態様において、デバイスにおける1つまたはそれ以上のリンク6310の長さ、寸法、または特性は、生体構造内におけるリンクの予測位置に基づいて調整または選択されてもよい。1つまたはそれ以上のリンクは、そのエリア内のデバイスの所望の特性に基づいて選択されてもよい。さらなる別の代わりの実施の形態において、リンクとジョイントとの間のロック作用は、デバイスの全長に沿って同じでないかもしれない。このようにロックされていても、いくつかのリンクおよびジョイントは、隣接する湾曲した生体構造に適合可能に、またはデバイスが硬すぎるために発生した圧力点を低減するために、緩んだままであってもよい。
【0260】
引っ張り部材6320、リンク6310、またはジョイント6315などの図28A、28B、29に示す1つまたはそれ以上の特徴の態様は、本明細書に記載の実施の形態のセグメントデバイスの改良されたバージョンに加えられてもよい、または含まれてもよいい。いくつかの実施の形態において、スパインが実質的に直線状の複数の部分(segment)に分割され、リンク6310のデザインの基盤を形成するように適応されてもよい。いくつかの実施の形態は、例えば、図4および9に示す実施の形態など、3つの部分を備えるスパインを含んでいる。さらに他の実施の形態は、例えば図3など、3つ以上の部分を備えるスパインを含んでいる。さらに他の実施の形態は、例えば、図44、46、47、48、および51に示すデバイスなど、より曲線形状をとる部分または複数の部分を含んでいる。
【0261】
図56Aおよび56Bを参照すると、形状ロック構成は、アンカーを所望の形状にロックするために使用されてもよい。例えば、アンカー5601は、例えば、引っ張りコード5623によって接続された個々の部分(segment)5621のルーズセット(loose set)として始まってもよい。部分5621は、図56Bに示すように、ロック時に所望の形状を実現するために相互に作用するように具体的に構成された傾斜縁5625を含んでもよい。
【0262】
これらのおよび他の実施の形態において、付加的な代わりの構成および実施の形態が可能である。一態様において、デバイスの近位端および遠位端の一方または両方が、同一または異なる末端を含んでもよい。例えば、多くの実施の形態は、図15に示して説明したように、コイル状端61をそれぞれ備える近位側端および遠位側端を示している。この端は、他の実施の形態において、異なるように終端してもよい。上述に記載の、例えば、図84A〜88に記載の任意の1つの末端が使用されてもよい、または図72、74、または76などのように、末端がなくてもよい。
【0263】
一態様において、スパインまたは中央サポートの断面形状は、円形、楕円形、長円形、長方形、多角形、または、インプラント位置に一致するためのまたは蠕動活動によって生じる力に抵抗するためのデバイスの能力を調節するために選択される他の形状であってもよい。さらなる他の態様において、スパインまたは中央サポートの断面形状は、異なる生体構造のインプラント位置に対応する異なる形状を備える断面に形成される。例えば、胃内に留置される末端および近位側部分は、十二指腸に留置される同一デバイスの中央部分および遠位端とは異なる1つの断面形状を備えてもよい。同様に、デバイスの断面形状は、球部、降下部、水平部、上昇部、または空腸などの十二指腸10の部分の1つまたはそれ以上、あるいはこれらの部分の間の移行部の1つまたはそれ以上に基づいて、変化してもよい。
【0264】
本明細書に記載の多くの実施の形態のデバイスにおいて、デバイスは、スパイン50を含むものとして図示および説明されている。スパイン50が、流量減少要素を備えるまたは備えていない状態で、あるいは、薬剤のデリバリーするため、刺激を与えるため、流れを妨害するため、脂質を保持するため、または上述した他の機能のためなどの本明細書に記載したものなどの他の能力を備えるまたは備えていない状態で使用されてもよいことは理解される。同様に、1つまたはそれ以上の流量減少要素を備える実施の形態のデバイスにおいて、スパイン50が、より多いまたはより少ない流量減少要素を備えた状態で、または流量減少要素がない状態で使用されてもよいは理解される。加えてまたは代わって、デバイスは、例えば、薬剤のデリバリー、刺激の付与すなわち信号の変調、デバイスが配置された消化管の部分を通過する流れの妨害、脂質の保持、または本明細書に記載された他の機能などの、1つまたはそれ以上の付加的な機能を含んでもよい。さらに、いくつかの実施の形態においてスパインは中実ワイヤとして示されているが、代わりの実施の形態も可能であり、また発明の範囲内である。いくつかの実施の形態において、スパインは、例えば図3、4、5,7、9、10、および11に示すような中空のフレキシブルチューブであってもよい。別の実施の形態において、スパインは、サイズ、形状、または直径のいずれかが異なる中空のフレキシブルチューブであってもよい。例えば、スパインは、十二指腸管に見られるような直径が大きいフレキシブルチューブであってもよい。一態様において、スパインの直径は、十二指腸、十二指腸の一部分、またはスパインが配置された消化管の部分の直径とほとんど同一である。さらなる別の実施の形態において、スパインは、ひもなどのフレキシブルコードに類似する構成などの、小さい直径の中空チューブであってもよい。さらなる代わりのスパインにおいて、スパインは、スパインにぶらさがる実施の形態のアンカーに取り付けられる構造体であってもよく、または、十二指腸、または小腸の部分、および/または消化管の部分内に留まるためにおよび/または掛かるために取り付けられた任意の他のデバイスに取り付けられる構造体であってもよい。さらなる構成において、スパイン、中空チューブ、フレキシブルコード、またはひもは、所望の治療位置に配置するためのサイズおよび形状であって、本明細書に記載されている任意の材料から形成されている。
【0265】
本明細書に記載の多くの実施の形態のデバイスにおいて、デバイスは、1つまたはそれ以上の流量減少要素、あるいは、例えば、図3、4、5、6、9、10、11、15、17、18、22、27A〜27D、35A、54、および55に示すようなデバイスの周りの流体の流れまたはデバイスを通過する流体の流れを変更するための他の構造体を備えている。いくつかの実施の形態において、デバイスは、例えば、図19、20、21、23、24、25、26A、30A〜34C、45、47C、および48Bなどの、むき出しのスパインを備えるものとして図示され説明されてもよい。むき出しのスパインを備える様々な実施の形態が、1つまたはそれ以上の要素だけ、あるいは、図3、4、5、6、9、10、11、15、17、18、22、27A〜27D、35A、54、および55のいずれか1つまたはそれ以上に示されて説明された流量変更要素との任意の組み合わせで含むように変更されてもよいことは理解される。
【0266】
本明細書に記載の多くの実施の形態のデバイスにおいて、デバイスは、デバイスの一方の端または両方の端に設けられる特定のタイプのアンカーを備えている。いくつかの実施の形態において、デバイスの一部分がアンカーデバイスがない状態で示されている。本明細書に記載する様々な実施の形態のデバイスが、特定の用途の要件、治療のデリバリーのためのまたはデバイスを固定するための治療部位または生体構造上の部位にもよるが、複数の異なる方法に組み込まれてもよいことは理解される。例えば、図3、4、5、6、7,9、10、11に示されて説明された実施の形態は、図15〜23、25A、25B、27A〜27Dのいずれかに示されて説明された、または、図32A〜35Dに示されて説明されたような1つまたはそれ以上のアンカーを用いて使用されてもよい。さらに他の代わりの構成において、近位側の一部、アンカー、または部分20Pは、取り除かれてもよい、変更されてもよい、または例えば図32A〜35D、45〜50の1つまたはそれ以上に示されて説明された実施の形態のアンカーと取り換えられてもよい。
【0267】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されている全ての技術的用語は、消化器インターベンション技術の当業者によって通常理解されるものと同一の意味を持つ。本願には特定の方法、デバイス、および材料が記載されているが、本明細書に記載されているものと類似または等価の任意の方法および材料が本発明の実行に使用されてもよい。本発明の実施の形態が例示的な図面を用いて詳細に説明されているが、このような図面は理解を明確にするためのものであって、限定を目的としていない。さらに、本発明は、例示の目的で説明された実施の形態に限定されず、本願に添付されたクレームを公正に読み取ることによってのみ定義され、その構成要素それぞれに与えられた幅広い同等物を含んでいる。
図1
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図26A-26B】
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図27B
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図30B
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