(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407029
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】筋芽細胞分化促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/05 20060101AFI20181004BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20181004BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20181004BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
A61K38/05
A61K38/06
A61P21/00
A61P43/00 105
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-552081(P2014-552081)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】JP2013083324
(87)【国際公開番号】WO2014092150
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-272110(P2012-272110)
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190943
【氏名又は名称】新田ゼラチン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 聖子
(72)【発明者】
【氏名】杉原 富人
(72)【発明者】
【氏名】井上 直樹
【審査官】
吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−024200(JP,A)
【文献】
特開2010−106003(JP,A)
【文献】
特開2004−115438(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/102308(WO,A1)
【文献】
日本薬学会第132回年会要旨集4,2012年 3月 5日,VOL.132nd, No.4,P.239,30P2-am169
【文献】
FOOD STYLE 21,2012年 9月,Vol.16, No.9,P.68-70
【文献】
老年性骨粗鬆症モデルマウスを用いた鶏由来コラーゲン加水分解物の骨密度および筋機能改善効果の検証,アミノ酸研究,2008年,Vol.2, No.1,P.82
【文献】
アミノ酸研究,2008年12月,VOL.2, NO.1,P.82
【文献】
日本農芸化学会関西支部講演会講演要旨集,2008年 9月10日,Vol.456th,p.28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−38/58
A23K 1/16
A23L 33/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Hyp−Glyと、Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−AlaおよびPro−Hypからなる群より選択される1種のペプチドとを組合せたペプチド混合物を含有し、
前記ペプチド混合物は、これを構成するペプチドの少なくとも1種が薬学上許容される塩であってもよい、筋芽細胞分化促進剤。
【請求項2】
Pro−Alaと、Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−HypおよびPro−Hypからなる群より選択される1種のペプチドとを組合せたペプチド混合物を含有し、
前記ペプチド混合物は、これを構成するペプチドの少なくとも1種が薬学上許容される塩であってもよい、筋芽細胞分化促進剤。
【請求項3】
前記ペプチド混合物は、Hyp−GlyとPro−Hypとからなる、請求項1に記載の筋芽細胞分化促進剤。
【請求項4】
製剤が、経口的に投与するための製剤、筋肉に直接投与するための注射剤、経皮剤、坐剤、点鼻剤または吸入剤である、請求項1〜3のいずれか記載の筋芽細胞分化促進剤。
【請求項5】
ロコモティブシンドロームの治療、サルコペニアの治療、運動選手、学生等のトレーニングの効果の向上、老人および長期入院患者等の体力増強、または家畜の肉質の向上に用いられる、請求項1〜4のいずれか記載の筋芽細胞分化促進剤。
【請求項6】
本ペプチドの投与量が、経口投与の場合は1〜1000mgであり、患部に直接投与する場合は0.01〜200mgである、請求項1〜5のいずれか記載の筋芽細胞分化促進剤。
【請求項7】
他の有効成分や製剤用の成分を含有させた、請求項1〜6のいずれか記載の筋芽細胞分化促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド分子等を含有する筋芽細胞分化促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、サルコペニア(筋肉量・筋力の低下と身体機能低下)の予防等が注目されており、筋肉量および筋力を向上させ、かかる症状を改善することが必要とされている。また、健常人においても筋肉疲労の予防および筋肉の増強が要望されている。
筋肉細胞分化の初期過程で、未分化な細胞が筋線維由来の細胞である筋芽細胞に分化する。筋芽細胞はさらに分化をして筋肉細胞特異的なタンパク質が発現される。筋肉細胞の分化で特徴的な現象は細胞融合であり、単核細胞の筋芽細胞が融合して、多核細胞である筋管細胞に分化する。さらに成熟した筋管細胞から、収縮能を持つ筋線維を形成する段階を経て、筋肉が完成する。上記の筋芽細胞の分化の際に、トロポミオシン、ミオシン重鎖等の特徴的なタンパク質が生成され、これらは分化マーカーとして用いられる(非特許文献1)。
【0003】
ペプチド分子に関しては、様々な薬理作用を有することが知られている。例えば、特許文献1には、Hyp−Gly等のジペプチドが破骨細胞分化抑制作用、アルカリフォスファターゼ抑制作用等を有することが記載されている。また、非特許文献2には、Hyp−Gly−Pro等のペプチドが抗酸化作用を有することが記載されている。また、特許文献2には、Pro−Gly、Hyp−Gly等の上流域および/または下流域に10個までのアミノ酸を有するペプチドが骨等の成長、維持および修復を刺激する作用を有することが記載されている。
特許文献3には、刺梨、大豆ペプチド、C12ペプチド等が筋芽細胞活性化作用を有することが記載されている。しかし、これらペプチド分子に筋芽細胞の分化促進作用があることは知られていない。
非特許文献3には、アメリカンフットボール選手がコラーゲンペプチドとホエイプロテインの等量混合物を3ヶ月間、運動併用下で摂取した場合の筋肉重量の変化率が記載されている。この等量混合物の摂取によって筋肉重量が増加(
図2)しているが、体重もまた同様に増加(
図1)しており、体重当たりの筋肉重量比率に換算すれば開始時よりも却って減少している。これに対して、本願発明では、後述の試験例2に記載の通り、体重当たりの筋肉重量比率が大きく増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2010/038323
【特許文献2】特表2006−502971
【特許文献3】特開2008−156294
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Biol. Chem., Vol.286, No.48, 41455 (2011)
【非特許文献2】日本アミノ酸学会第5回学術大会(JSAAS2011)要旨集,p.74
【非特許文献3】Food Style 21, Vol.14, No.7, 62-65 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ペプチド分子を含有する、従来技術よりも優れた筋芽細胞分化促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ペプチド分子であるAla−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypに優れた筋芽細胞の分化促進作用があることを見出して、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は、以下の通りである。
[1] Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypからなる群から選択されるペプチドまたはその薬学上許容される塩を含有する、筋芽細胞分化促進剤。
[2] Hyp−GlyおよびPro−Hypからなる群から選択されるペプチドまたはその薬学上許容される塩を含有する、[1]記載の筋芽細胞分化促進剤。
[3] Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypからなる群から選択される2以上のペプチドまたはそれらの薬学上許容される塩を含有する、[1]記載の筋芽細胞分化促進剤。
[4] 製剤が、経口的に投与するための製剤、筋肉に直接投与するための注射剤、経皮剤、坐剤、点鼻剤または吸入剤である、[1]〜[3]のいずれか記載の筋芽細胞分化促進剤。
[5] Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypからなる群から選択されるペプチドまたはその薬学上許容される塩を含有する、飲食品または飼料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypのペプチド分子を含有する、従来技術よりも優れた筋芽細胞分化促進剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ペプチド
本発明に用いられるペプチドは、Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypであり、本ペプチドは薬学上許容される塩とすることができる。好ましいペプチドとして、Hyp−GlyおよびPro−Hypが挙げられる。
「薬学上許容される塩」としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩等の有機塩基塩等が挙げられる。
【0010】
本ペプチドは、例えば「固相合成法」および「液相合成法」(例えば、特開2003−183298)等で合成することができる。なお、固相合成法の場合はさらにFmoc法とBoc法の方法が知られており、本ペプチドはいずれの方法で合成してもよい。固相合成法の例を、以下に具体的に説明する。表面をアミノ基で修飾した直径0.1mm程度のポリスチレン高分子ゲルのビーズを固相として用い、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミドを用いる。まず、C末のアミノ酸のアミノ基をFmoc基またはBoc基で保護して、上記ポリスチレン高分子ゲルのアミノ基とペプチド結合を形成させる。固相を溶媒でよく洗い、残存する試薬、アミノ酸を洗浄・除去し、その後、固相に結合しているアミノ酸のアミノ基の保護基を除去する。続いて、アミノ基を保護したアミノ酸を用いて、順次、同様の反応を繰り返すことで、固相上でペプチドを合成する。最後に、固相をトリフルオロ酢酸で温浸させることで、ペプチドを固相から切り離し、ペプチドを合成することができる。
本ペプチドは、ゼラチンにエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼの2種以上を組み合わせて加水分解することによっても製造することができる。また、上記加水分解をしたペプチド混合物自体またはこれを部分精製した混合物を筋芽細胞分化促進剤として用いることもできる。
【0011】
本発明において、本ペプチドは化学修飾されていても良い。化学修飾はアミノ酸単位で行われうるが、例えば、ヒドロキシプロリンの水酸基、N末アミノ酸のアミノ基およびC末アミノ酸のカルボキシル基が挙げられる。このような化学修飾によって、弱酸性から中性で溶解可能にでき、後述する他の有効成分との相溶性向上なども可能となる。
具体的には、ヒドロキシプロリンの水酸基の化学修飾としては、例えばO−アセチル化等が挙げられる。N末アミノ酸のアミノ基の化学修飾としては、例えばポリペプチジル化、スクシニル化、マレイル化、アセチル化、脱アミノ化、ベンゾイル化、アルキルスルホニル化、アリルスルホニル化、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル化、カルバミル化、フェニルカルバミル化、チオール化等が挙げられる。C末アミノ酸のカルボキシル基の化学修飾としては、例えばエステル化、アミド化等が挙げられる。さらに、本ペプチドをカチオン化する場合は、エチレンジアミン化、スペルミン化などを行うことができる。
【0012】
化学修飾の具体的手段や処理条件は、通常のペプチドの化学修飾技術が適用される。例えば、ヒドロキシプロリンの水酸基のO−アセチル化は水溶媒中または非水溶媒中で無水酢酸を作用させることなどによって行うことができる。例えば、C末アミノ酸のカルボキシル基のエステル化はメタノールへの懸濁後に乾燥塩化水素ガスを通気することなどによって行うことができ、そのアミド化はカルボジイミドなどを作用させることによって行うことができる。さらに、化学修飾のその他の具体例として、特公昭62−44522号公報や特公平5−79046号公報等に記載の化学修飾技術が適用できる。
【0013】
2.筋芽細胞分化促進剤
本ペプチド等は、後述の試験例に記載の通り、筋芽細胞の分化促進作用を有する。従って、本ペプチド等は、筋肉増強が必要な各種疾患の治療または予防に用いることができる。本発明の筋芽細胞分化促進剤は、例えば、ロコモティブシンドロームの治療、サルコペニアの治療、運動選手、学生等のトレーニングの効果の向上、老人および長期入院患者等の体力増強、家畜の肉質の向上等に用いることができる。
本発明の筋芽細胞分化促進剤は、経口的にまたは非経口的に種々の形態の医薬製剤で投与することができる。その形態としては、経口的に投与する場合は、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉剤、液剤、懸濁製剤、乳化製剤等が挙げられ、非経口的に投与する場合は、例えば、注射剤、経皮剤、坐剤、点鼻剤および吸入剤等が挙げられる。好ましくは、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、筋肉等の患部に直接投与する液剤等が挙げられる。なお、本ペプチドは、消化管でアミノ酸への分解もほとんど起こらず、腸管で迅速に吸収されるため、経口投与による摂取が好適である。また、本ペプチドは食事または飲料に混ぜて摂取させても良い。
【0014】
本ペプチドの投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、成人1日当たり、経口投与の場合は、例えば、約0.1〜1000mg、好ましくは約1〜500mg、より好ましくは約30〜200mgが挙げられ、筋肉等の患部に直接投与する場合は、例えば、約0.01〜200mg、好ましくは約0.1〜100mg、より好ましくは約1〜50mgが挙げられる。その他の形態の製剤は、これらの投与量を参考にして適宜決めることができる。これら製剤は、1日1〜数回に分けて投与するか、または1〜数日に1回投与することができる。
本発明の筋芽細胞分化促進剤は、本発明の効果を害しない範囲で、適宜他の有効成分や製剤用の成分を含有させても良い。他の有効成分として、例えば男性ホルモン等の筋肉増強剤、アミノ酸混合物等の筋肉増強サプリメント等が挙げられる。他の有効成分の配合量としては、各々の作用に応じて適宜、変更することができる。
【0015】
医薬製剤に製剤化する際に用いる薬学上許容される担体としては、希釈剤、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ)、崩壊剤(バレイショデンプン)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。本医薬製剤は、従来公知の方法に従って、本ペプチド、他の有効成分、薬学上許容される担体等を混合して製造することができる。
【0016】
3.飲食品または飼料
本ペプチド等は、ゼラチンに由来するペプチドであるため、日常的に摂取または塗布しても極めて安全である。そこで、本ペプチド等の優れた筋芽細胞分化促進作用の効果を利用した、本ペプチド等を含有する飲食品または飼料としても有用である。例えば、老人および長期入院患者等の体力増強のために、運動選手、学生等のトレーニングの効果を高めるために、また家畜の肉質の向上のためなどに、本発明を用いることができる。本発明の飲食品または飼料における本ペプチド等は、利用する効果に応じて適宜、含有量を変更して用いることができる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を実施例、比較例および試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例1〜22および比較例1〜4
前記のペプチド固相合成法を用いて、以下の実施例1〜8および比較例1のペプチドを合成した。これらペプチドを用いて、以下の実施例9〜21の2種のペプチドの等モル比混合物を調製し、また以下の比較例2および3の2種のアミノ酸の等モル比混合物を調製した。また、以下の実施例22および比較例4の市販のコラーゲンペプチドを用いた。
(実施例1)Ala−Hyp−Gly(AOG)
(実施例2)Hyp−Gly−Pro(OGP)
(実施例3)Leu−Hyp(LO)
(実施例4)Glu−Hyp(EO)
(実施例5)Gly−Pro−Hyp(GPO)
(実施例6)Pro−Ala(PA)
(実施例7)Hyp−Gly(OG)
(実施例8)Pro−Hyp(PO)
【0018】
(実施例9)OGとPOの混合物(OG+PO)
(実施例10)OGとAOGの混合物(OG+AOG)
(実施例11)OGとOGPの混合物(OG+OGP)
(実施例12)OGとLOの混合物(OG+LO)
(実施例13)OGとEOの混合物(OG+EO)
(実施例14)OGとGPOの混合物(OG+GPO)
(実施例15)OGとPAの混合物(OG+PA)
(実施例16)PAとAOGの混合物(PA+AOG)
(実施例17)PAとOGPの混合物(PA+OGP)
(実施例18)PAとLOの混合物(PA+LO)
(実施例19)PAとEOの混合物(PA+EO)
(実施例20)PAとGPOの混合物(PA+GPO)
(実施例21)PAとPOの混合物(PA+PO)
(実施例22)コラーゲンペプチド「Type−M(新田ゼラチン製)」
LC−MS/MSで分析したところ、本コラーゲンペプチドには以下のペプチドがそれぞれ含まれていた。
Hyp−Gly:7573ppm,Pro−Ala:2541ppm,Ala−Hyp−Gly:331ppm,Pro−Hyp:184ppm,Gly−Pro−Hyp:85ppm,Glu−Hyp:72ppm,Hyp−Gly−Pro:7ppm
【0019】
(比較例1)Ala−Hyp(AO)
(比較例2)HypとGlyの混合物(O+G)
(比較例3)ProとHypの混合物(P+O)
(比較例4)コラーゲンペプチド「HDL−50SP(新田ゼラチン製)」
LC−MS/MSで分析したところ、本コラーゲンペプチドには以下のペプチドがそれぞれ含まれていた。
Hyp−Gly:11ppm,Pro−Hyp:8ppm
【0020】
試験例1
筋芽細胞培養における筋芽細胞分化促進試験
マウス由来C2C12筋芽細胞の培養は、10%FBS、100units/ml ペニシリンGナトリウム、100μg/ml ストレプトマイシン、1.0g/l NaHCO
3を含むD−MEM培地(D−MEM培地(10%FBS,+P/S))を用いた。培養は95%空気、5%CO
2、37℃のインキュベーター内で行った。C2C12筋芽細胞が90%コンフルエントになった状態で2%ウマ血清(HS)、100units/ml ペニシリンGナトリウム、100μg/mlストレプトマイシン、1.0g/l NaHCO
3を含むD−MEM培地(D−MEM培地(2%HS+P/S))に交換し、以降2日ごとにD−MEM培地(2%HS+P/S)交換をつづけ、筋管細胞へ分化させた。実施例1〜21および比較例1〜3を終濃度100μMで培地交換毎に培地に添加し、細胞に8日間暴露し続けた。
【0021】
ウェスタンブロッティング法に関しては、次の手順で行った。タンパク測定に用いた細胞は回収時にPBSで2回洗浄し、セルスクレーパーで細胞をはがしチューブに移した後、4℃、250×g、3分間遠心後PBSを完全に取り除いて各チューブにつきバッファー(20mM HEPES−NaOH(pH7.5)、0.5%NP−40、1mM EDTA、100μM AEBSF、1μg/ml アプロチニン、10μg/ml ロイペプチン、1mM DTT、1mM オルトバナジウム酸ナトリウム、10mM フッ化ナトリウム、10μM モリブデン酸
ナトリウム、10mM ピロリン酸ナトリウム)を100μlで懸濁後に氷冷しながら超音波分散機を用いて各サンプルにつき5秒間の粉砕を3回行ったあと、タンパク量の定量を行った。タンパク質の定量は、Bradfordの方法に従い、牛血清アルブミンを標準タンパク質として行った。SDS−PAGE終了後、メタノールで平衡化し、トランスファーバッファー(48mM Tris,39mM グリシン)を浸潤してプレウェッティングを行ったPVDFメンブレンに、ブロッティング装置を用い、メンブレン1cm
2あたり1.5mAで1時間エレクトロトランスファーを行った。トランスファー終了後、PVDFメンブレンを6%スキムミルクを含むPBS(-)で1時間ブロッキングを行った。一次抗体を次のように希釈し、抗原抗体反応を4℃で一晩行った。それぞれの一次抗体に対するペルオキシダーゼ結合二次抗体はマウス抗ミオシン重鎖モノクローナル抗体(MF20)培養上清 1/2000、マウス抗トロポミオシンモノクローナル抗体(CH1)培養上清1/2000、ウサギ抗GAPDHポリクローナル抗体 1/3000、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG 1/5000、ペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG 1/2000の割合で6%スキムミルクを含むPBS(−)で希釈し、30分間反応させ、PBS(−)で10分間、3回洗浄した。その後、メンブレンをImmobilon TM Western Chemiluminescent HRP Substrateに3分間浸し、LAS-4000(GE Healthcare, Buckinghamshire, UK)より検出を行った。バンドはimageJにて数値化し、コントロールを100として数値を表わす。その筋芽細胞分化促進試験の結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
非特許文献1に記載の通り、トロポミオシンおよびミオシン重鎖は筋芽細胞の分化マーカーとして用いられている。上記の試験結果から、実施例1〜8の各々のペプチドには、その筋芽細胞の分化マーカーであるトロポミオシンおよびミオシン重鎖がコントロールよりも多く生成していることが確認された。従って、これらペプチドには筋芽細胞分化促進作用があることが理解される。
Ala−Hyp−Gly、Hyp−Gly−Pro、Leu−Hyp、Glu−Hyp、Gly−Pro−Hyp、Pro−Ala、Hyp−GlyおよびPro−Hypから選択される2種のペプチド混合物には相乗的な筋芽細胞分化促進作用があることが示された。特に、実施例9のHyp−GlyとPro−Hypの混合物は筋芽細胞分化促進作用が顕著であった。比較例2および3のアミノ酸のみの混合物では同様の作用はなく、ペプチド分子としてのPro−HypとHyp−Glyの混合物で初めて、筋芽細胞分化促進作用が生じることが示された。
【0024】
試験例2
臨床試験
試験コラーゲンペプチドとして実施例22と比較例4を用いて、臨床試験を行った。被験者は、運動選手ではない健康な女性34人であり、24歳〜61歳であった。実施例22のコラーゲンペプチド摂取群(17人)と比較例4のコラーゲンペプチド摂取群(17人)に無作為に割付し、二重盲検試験を行った。1日当たり5gの各コラーゲンペプチドを10週間連続摂取した。評価方法は、TANITA体組成計左右部位別インナースキャン50V BC−622−BKを用いて各被験者での筋肉重量(kg:水分量含有)を測定した。また同時に測定した水分量(kg)を差し引き、体重当たりの筋肉重量比率(%)を計算し、評価した。結果は平均値±標準偏差で表2に示す。表中の**はTwo-way-ANOVAにおいて、比較例4に対してP<0.001で有意であることを示す。
【0025】
【表2】
表2の通り、特殊な酵素で加水分解させたHyp-Gly、Pro-Ala、Pro-Hyp等が多いペプチド混合物(実施例22)は、従来から知られている通常の酵素で加水分解させたペプチド混合物(比較例4)と比べて、筋肉重量比率において、有意な有効性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によって、天然コラーゲン由来のペプチドを含有する、従来技術よりも優れた筋芽細胞分化促進剤を提供することができる。