【実施例】
【0033】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0034】
(ホウ酸アルミニウムの製造)
50℃の湯浴に浸した三口フラスコ中に2−プロパノール1.5L、瑪瑙乳鉢にて粉砕したアルミニウムイソプロポキシド200g及びボロンn−プロポキシド40.9gを入れ、N
2ガスにて置換しながら攪拌した。アルミニウムイソプロポキシドが完全に溶解した(溶液が透明になった)後、2−プロパノール:水=1:1の混合溶液24.6gをゆっくり滴下して徐々に加水分解させると白いゲル状物質が生成した。得られた沈殿物をエタノールで洗浄し、次いで純水で洗浄し、ろ過した。その後、120℃で一晩(約15時間)乾燥し、空気中300℃で3時間焼成し、更に空気中1,000℃で5時間焼成して白色生成物であるホウ酸アルミニウムを得た。このホウ酸アルミニウムはX線回折によって式10Al
2O
3・2B
2O
3で表わされるホウ酸アルミニウムであると同定できた。
【0035】
(実施例1)
上述した通り製造したホウ酸アルミニウムをオキシ硝酸ジルコニル水溶液中に浸漬させた。このオキシ硝酸ジルコニル水溶液中のオキシ硝酸ジルコニルの量は、目的とするZrO
2で修飾された式10Al
2O
3・2B
2O
3で表わされるホウ酸アルミニウム中のZrO
2の量が1質量%となる量とした。その後、120℃で一晩(約15時間)蒸発乾固させ、空気中600℃で3時間焼成して1質量%のZrO
2で修飾された式10Al
2O
3・2B
2O
3で表わされるホウ酸アルミニウムを得た。
【0036】
1質量%のZrO
2を含有する修飾ホウ酸アルミニウムを99質量部と、Pdとしてメタル換算で1質量部に相当する硝酸Pdと、適量のイオン交換水とを添加したスラリーを撹拌し、その後、乾燥させ、500℃、1時間焼成し、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0037】
(実施例2)
上述した通り製造したホウ酸アルミニウムをコロイダルシリカ(スノーテックスO40)中に浸漬させた。このコロイダルシリカの量は、目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を1質量%とした。後の処理は実施例1と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0038】
(実施例3)
上述した通り製造したホウ酸アルミニウムを硝酸鉄水溶液中に浸漬させた。この硝酸Fe水溶液の硝酸Feの量は、目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3が1質量%とした。後の処理は実施例1と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0039】
(実施例4)
上述した通り製造したホウ酸アルミニウムを塩化チタン(III)溶液中に浸漬させた。この塩化チタン(III)溶液中の塩化チタンの量は、目的とするTiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のTiO
2が1質量%とした。後の処理は実施例1と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0040】
(実施例5)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を0.06質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0041】
(実施例6)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を0.10質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0042】
(実施例7)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を0.50質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0043】
(実施例8)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を5.00質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0044】
(実施例9)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を10.00質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0045】
(実施例10)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を18.00質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0046】
(実施例11)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を0.06質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0047】
(実施例12)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を0.10質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0048】
(実施例13)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を0.50質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0049】
(実施例14)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を5.00質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0050】
(実施例15)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を10.00質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0051】
(実施例16)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を18.00質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0052】
(比較例1)
上述した通り製造したホウ酸アルミニウムを99質量部と、Pdとしてメタル換算で1質量部に相当する硝酸Pdと、適量のイオン交換水とを添加したスラリーを撹拌し、その後、乾燥させ、500℃、1時間焼成し、Pdを担持したホウ酸アルミニウムを得た。
【0053】
(比較例2)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を0.03質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0054】
(比較例3)
目的とするSiO
2で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のSiO
2を20.00質量%とした以外は、実施例2と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0055】
(比較例4)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を0.03質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0056】
(比較例5)
目的とするFe
2O
3で修飾された修飾ホウ酸アルミニウム中のFe
2O
3を20.00質量%とした以外は、実施例3と同様とし、Pdを担持した修飾ホウ酸アルミニウムを得た。
【0057】
〈触媒性能評価方法〉
各実施例および各比較例のサンプルについて、固定床流通型反応装置を用いて模擬排ガスの浄化性能を測定した。反応管に触媒粉を100mgセットし、CO,CO
2,C
3H
6,H
2,O
2,NO,H
2OおよびN
2バランスから成る完全燃焼を想定した模擬排ガスを、総流量1000cc/minで触媒粉に導入した。10℃/minで500℃まで反応管と触媒粉を昇温し、その後にガス成分の測定を行った。
【0058】
出口ガス成分は、CO/NO分析計(株式会社 堀場製作所製 「PG240」)及びHC分析計(株式会社 島津製作所製 「VMF−1000F」)を用いて測定した。
【0059】
各触媒のS被毒を模したAgingは250℃×20H 、O
2=20%、H
2O=10%、SO
2=100ppmで行った。
【0060】
〈白金族元素の分散度評価方法〉
白金族元素として用いたPdの分散度を公知手段であるCOパルス吸着法(T. Takeguchi、S. Manabe、R. Kikuchi、K. Eguchi、T. kanazawa、S. Matsumoto、Applied Catalysis A:293(2005)91.)に基づいて測定した。このPd分散度は式Pd分散度=CO吸着量に相当するPd量(モル)/含まれているPdの総量により計算される。
【0061】
〈触媒性能評価結果及びPdの分散度測定結果〉
表1は硫黄被毒Aging後の各触媒のCO、HC、NOの50%浄化したときの温度(T50)である。この結果から、各実施例1〜16は比較例1に対して、低温(150℃)活性が優れることがわかった。また、修飾酸化物の含有量が0.03質量%である比較例2及び4では、比較例1との差が顕著ではないが、実施例5および11のように0.06質量%含有すると、差が顕著になることがわかった。これに対し、修飾酸化物の含有量が20質量%となる比較例3および5では、触媒の低温活性が比較例1より劣化しており、修飾酸化物の含有量が20質量%と多いと、かえって低温活性が劣ることがわかった。なお、20質量%より少ない範囲では、低温活性が向上し、18質量%の実施例10、16では比較例1より優れることがわかった。
【0062】
ここで、硫黄被毒は触媒性能評価方法でのS被毒方法と同様に各触媒のS被毒を模したAgingとし、250℃×20H、O
2=20%、H
2O=10%、SO
2=100ppmで行った。
【0063】
表1右端は各触媒のS被毒Aging後のPd分散度の評価結果である。これを見ると、各実施例1〜16は比較例1に対して、Pd分散度が高いことがわかった。また、修飾酸化物の含有量が0.03質量%である比較例2及び4では、比較例1との差が顕著ではないが、実施例5および11のように0.06質量%含有すると、差が顕著になることがわかった。これに対し、修飾酸化物の含有量が20質量%となる比較例3および5では、触媒の低温活性が比較例1と同等又は劣化しており、修飾酸化物の含有量が20質量%と多いと、かえってPd分散率が劣ることがわかった。なお、20質量%より少ない範囲では、Pd分散率が向上し、18質量%である実施例10、16では比較例1より優れることがわかった。
【0064】
【表1】