特許第6407035号(P6407035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6407035隔壁貫通ケーブルユニット及びケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407035
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】隔壁貫通ケーブルユニット及びケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   H02G3/22 286
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-3821(P2015-3821)
(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-131412(P2016-131412A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】出村 剛
(72)【発明者】
【氏名】久保田 修司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰斉
(72)【発明者】
【氏名】松谷 吉晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 健介
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−135517(JP,U)
【文献】 特開昭57−069614(JP,A)
【文献】 特開平08−265955(JP,A)
【文献】 特開昭60−180412(JP,A)
【文献】 実開平02−039416(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーブル端部(1A)から露出させた第1絶縁心線(10A)の導体(11A)と第2ケーブル端部(1B)から露出させた第2絶縁心線(10B)の導体(11B)とを区画壁部(31)を有する圧着スリーブ(30)を介して接続した導体接続部(3)と、上記第1絶縁心線(10A)の端部(19A)と上記導体接続部(3)と上記第2絶縁心線(10B)の端部(19B)とを熱収縮チューブ(50)で包囲したチューブ包囲部(5)と、上記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)とを包囲する管部材(60)と、該管部材(60)の両端内部に形成した耐火壁部(71)(72)と、上記チューブ包囲部(5)が配設される上記管部材(60)の中間内部に形成した耐水圧壁部(73)と、を備え
前記管部材(60)の中間内部には、前記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)とを包囲する収縮防止部材(80)が配置され、
前記管部材(60)は、前記収縮防止部材(80)を保持するリング状の保持部材(81)を有し、
前記管部材(60)の中間内部では、前記耐水圧壁部(73)によって、前記第1ケーブル端部(1A)と、前記チューブ包囲部(5)と、前記第2ケーブル端部(1B)と、前記収縮防止部材(80)と、前記保持部材(81)とが埋設される
ことを特徴とする隔壁貫通ケーブルユニット。
【請求項2】
第1ケーブル端部(1A)から露出させた第1絶縁心線(10A)の導体(11A)と第2ケーブル端部(1B)から露出させた第2絶縁心線(10B)の導体(11B)とを区画壁部(31)を有する圧着スリーブ(30)を介して接続して導体接続部(3)を形成する導体接続工程と、上記第1絶縁心線(10A)の端部(19A)と上記導体接続部(3)と上記第2絶縁心線(10B)の端部(19B)とを熱収縮チューブ(50)で包囲して熱収縮させてチューブ包囲部(5)を形成するチューブ包囲工程と、上記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)と包囲する管部材(60)の両端内部に耐火壁部(71)(72)を形成すると共に上記チューブ包囲部(5)が配設される上記管部材(60)の中間内部に耐水圧壁部(73)を形成して挿入用円柱体(8)を作製する耐火耐水圧性付与工程と、によって隔壁貫通ケーブルユニット(Y)を製造するユニット製造工程を備え、
さらに、施工現場の隔壁(J)の貫通孔(Ja)に上記隔壁貫通ケーブルユニット(Y)の上記円柱体(8)を挿入して、上記貫通孔(Ja)と上記円柱体(8)の間に硬化材を充填して一体化する現場施工工程を具備し、
前記耐火耐水圧性付与工程では、
前記管部材(60)の中間内部に、前記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)とを包囲する収縮防止部材(80)を配置し、前記管部材(60)に設けられるリング状の保持部材(81)に保持させ、
前記耐水圧壁部(73)によって、前記第1ケーブル端部(1A)と、前記チューブ包囲部(5)と、前記第2ケーブル端部(1B)と、前記収縮防止部材(80)と、前記保持部材(81)とを埋設する
ことを特徴とするケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁貫通ケーブルユニット及びケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源施設等の隔壁(壁や床等)には、貫通孔を介して複数本のケーブルが挿通されている。このようなケーブル貫通部は、水害等の災害の際に、水の流入を防止するため、貫通孔とケーブルの隙間に、充填材を充填して固化させ水密壁部を形成している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−129826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、水害により貫通孔が水没して水圧がかかった場合や、水害の前後に火災が発生して、ケーブル損傷部からケーブル内部へ水が浸入した場合に、水が、ケーブル内部の導体を伝って、水害や火災が発生した外部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた内部空間に、浸入する虞れがあった。また、火災後に水害が発生すると、水密壁部が加熱されて変形し、水が浸入するといった問題があった。また、隔壁の大きな貫通孔を施工現場にて閉塞するには、多大な時間と手間がかかるといった問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、水害や火災が発生した外部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた内部空間に、水や炎、煙が浸入するのを防止可能、及び、火災が発生した内部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた外部空間に炎や煙が浸入するのを防止可能な隔壁貫通ケーブルユニットの提供を目的とする。
また、水害や火災が発生した外部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた内部空間に、水や炎、煙が浸入するのを防止するための、及び、火災が発生した内部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた外部空間に炎や煙が浸入するのを防止するための工事を、現場で容易かつ迅速に行えるケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の隔壁貫通ケーブルユニットは、第1ケーブル端部から露出させた第1絶縁心線の導体と第2ケーブル端部から露出させた第2絶縁心線の導体とを区画壁部を有する圧着スリーブを介して接続した導体接続部と、上記第1絶縁心線の端部と上記導体接続部と上記第2絶縁心線の端部とを熱収縮チューブで包囲したチューブ包囲部と、上記第1ケーブル端部と上記チューブ包囲部と上記第2ケーブル端部とを包囲する管部材と、該管部材の両端内部に形成した耐火壁部と、上記チューブ包囲部が配設される上記管部材の中間内部に形成した耐水圧壁部と、を備えたものである。
【0007】
また、本発明のケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法は、第1ケーブル端部から露出させた第1絶縁心線の導体と第2ケーブル端部から露出させた第2絶縁心線の導体とを区画壁部を有する圧着スリーブを介して接続して導体接続部を形成する導体接続工程と、上記第1絶縁心線の端部と上記導体接続部と上記第2絶縁心線の端部とを熱収縮チューブで包囲して熱収縮させてチューブ包囲部を形成するチューブ包囲工程と、上記第1ケーブル端部
と上記チューブ包囲部と上記第2ケーブル端部と包囲する管部材の両端内部に耐火壁部を形成すると共に上記チューブ包囲部が配設される上記管部材の中間内部に耐水圧壁部を形成して挿入用円柱体を作製する耐火耐水圧性付与工程と、によって隔壁貫通ケーブルユニットを製造するユニット製造工程を備え、さらに、施工現場の隔壁の貫通孔に上記隔壁貫通ケーブルユニットの上記円柱体を挿入して、上記貫通孔と上記円柱体の間に硬化材を充填して一体化する現場施工工程を具備する工法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水害や火災等不所望な災害が発生した外部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた内部空間に、水や炎、煙が浸入するのを防止できる。また、火災が発生した内部空間から外部空間に炎や煙が浸入するのを防止できる。水が、ケーブル内部の導体を伝って、浸入するのを防止できる。火災発生後に水没した場合、或いは、水没後に火災が発生した場合、いずれの場合においても、十分な耐火性と耐水圧性を得ることができる。電源設備等の現場での施工を容易かつ迅速に行え、工期を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ケーブルの一例を示す横断面図である。
図2】ケーブル接続部の要部断面側面図である。
図3】ケーブル接続工程を説明するための要部断面側面図である。
図4】ケーブル接続工程を説明するための要部断面側面図である。
図5】ケーブル接続工程を説明するための要部断面側面図である。
図6】本発明の隔壁貫通ケーブルユニットの実施の一形態を示す断面側面図である。
図7】第1耐火付与工程を説明するための断面側面図である。
図8】耐水圧付与工程を説明するための断面側面図である。
図9図8の要部拡大図である。
図10】耐水圧付与工程を説明するための断面側面図である。
図11】第2耐火付与工程を説明するための断面側面図である。
図12】現場施工工程を説明するための断面側面図である。
図13】隔壁貫通ケーブルユニットの他の実施形態を示す断面側面図である。
図14】別の実施形態の耐水圧付与工程を説明するための断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明の隔壁貫通ケーブルユニットの構成を、製造方法と共に説明する。
図1に示すように、撚り線からなる導体11を絶縁層12で被覆した絶縁心線10と、複数の絶縁心線10,10を保持するジュート(介在糸)13と、ジュート13を重ね巻で包囲する第1布テープ14と、布テープ14を包囲する金属線編組部材15から成る遮蔽層(シールド層)と、遮蔽層を包囲する第2布テープ16と、第2布テープ16を包囲するシース(保護外被覆部)17と、を有するケーブルKを備えている。なお、ケーブルKは、図例に限らず、内部に、導体11を絶縁層12で被覆した絶縁心線10を有するものであれば良く、絶縁心線10の本数(心数)や、ジュート13や布テープ14,16といった形状保持や補強のための部材や構成及び配置等は自由である。
【0011】
図2に示すように、第1ケーブルKAの第1ケーブル端部1Aと、第2ケーブルKBの第2ケーブル端部1Bと、を接続したケーブル接続部2を有している。
ケーブル接続部2は、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1絶縁心線10Aの導体11Aと、第2ケーブル端部1Bから露出させた第2絶縁心線10Bの導体11Bと、を圧着スリーブ30で接続した導体接続部3を有している。
また、第1絶縁心線10Aの端部(導体露出端面近傍部)19Aと導体接続部3と第2絶縁
心線10Bの端部(導体露出端面近傍部)19Bとを熱収縮チューブ50で包囲したチューブ包囲部5を有している。熱収縮チューブ50は、3つ(本)であって、第1チューブ51と第2チューブ52と第3チューブ53とを有している。
チューブ包囲部5は、第1絶縁心線10Aの端部(導体露出端面近傍部)19Aと導体接続部3の一端部(第1絶縁心線10A側端部)を第1チューブ51で包囲すると共に、第2絶縁心線10Bの端部(導体露出端面近傍)19Bと導体接続部3の他端部(第2絶縁心線10B側端部)を第2チューブ52で包囲している。さらに、導体接続部3の中間部と、第1チューブ51の導体接続部3側の端部と、第2チューブ52の導体接続部3側の端部と、を第3チューブ53で包囲している。このように、熱収縮チューブ50で、2重に包囲している箇所を形成して(熱収縮チューブ51,52,53で、導体11A,11Bと圧着スリーブ30の嵌合部を二重に包囲して)、水の浸入を阻止している。
さらに、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1金属線編組部材15Aと、第2ケーブル端部1Bから露出させた第2金属線編組部材15Bと、を筒状の圧着金具41,41と絶縁被覆電線42とで接続した編組部材接続部4を有している。
【0012】
ケーブル接続部2を形成するケーブル接続工程は、導体接続部3を形成する導体接続工程と、チューブ包囲部5を形成するチューブ包囲工程と、編組部材接続部4を形成する遮蔽層接続工程と、を有している。
【0013】
導体接続工程は、図3に示すように、第1ケーブル端部1Aから第1絶縁心線10Aの導体11Aを露出させると共に第2ケーブル端部1Bから第2絶縁心線10Bの導体11Bを露出させる。また、導体11の外周面を包囲可能な周壁部32を有すると共に長手方向中間位置に区画壁部31を有する圧着スリーブ30を用いる。
【0014】
図4に示すように、圧着スリーブ30の区画壁部31と一端側の周壁部32Aで形成された第1有底孔33Aに、第1絶縁心線10Aの導体11A(第1の導体11A)を差し込んで圧着すると共に、圧着スリーブ30の区画壁部31と他端側の周壁部32Bで形成された第2有底孔33Bに、第2絶縁心線10Bの導体11B(第2の導体11B)を差し込んで圧着して、導体接続部3を形成する。
【0015】
チューブ包囲工程は、図3に示すように、導体接続部3を形成する前に、第1絶縁心線10A及び/又は第2絶縁心線10Bに挿通させていた熱収縮チューブ50を用いる。
図5に示すように、熱収縮チューブ50は、3つ(本)であって、第1絶縁心線10Aの端部19Aから圧着スリーブ30の一端部(第1有底孔33Aの周壁部32A)にわたって包囲するための第1チューブ51と、第2絶縁心線10Bの端部19Bから圧着スリーブ30の他端部(第2有底孔33Bの周壁部32B)にわたって包囲するための第2チューブ52と、を有し、さらに、第1チューブ51の圧着スリーブ側端部(先端部)51aと、第2チューブ52の圧着スリーブ側端部(先端部)52aと、圧着スリーブ30の中間部(中央部)と、を包囲するための第3チューブ53を有している。
【0016】
チューブ包囲工程は、第1チューブ51を、第1絶縁心線10Aの端部19Aから圧着スリーブ30の一端部にわたって包囲するように配設すると共に、第2チューブ52を第2絶縁心線10Bの端部19Bから圧着スリーブ30の他端部にわたって包囲するように配設し、さらに、第3チューブ53を、第1チューブ51の先端部51aと圧着スリーブ30の中間部と第2チューブ52の先端部52aとを包囲するように配設して、ヒートガン等の加熱手段にて熱収縮させて、図2に示すように、チューブ包囲部5を形成する。
【0017】
なお、チューブ包囲工程において、第1チューブ51及び第2チューブ52を熱収縮後に、第3チューブ53を熱収縮させても良い。第1チューブ51と第2チューブ52の熱収縮作業は同時に限らず、どちらか一方を先に行っても良い。
【0018】
また、使用する熱収縮チューブ50の本数は、1本又は2本、或いは、4本以上とするも良いが、図例のように、3本にするのが好ましい。
1本又は2本の場合に比べて、強い密着力(シール力)を得ることができる。例えば、第2の導体11Bを伝ってきた水が、第2絶縁心線の端部19Bと圧着スリーブ30の間の部位から、第1絶縁心線10A側に浸入するのを防止できると共に、熱収縮チューブ50の外部へ漏れるのを防止できる。また、各チューブの長手方向寸法を短くできる。したがって、導体接続工程よりも前に、熱収縮チューブ50を挿通させておくための絶縁心線露出長さが短くてよく、ケーブルKのシース17を剥離する作業を容易かつ迅速に行うことができる。
また、4本以上に比べて、熱収縮チューブ50を予め絶縁心線10に挿通させる作業や包囲作業を、容易かつ迅速に行うことができる。
【0019】
遮蔽層接続工程は、図3に示すように、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1金属線編組部材15Aの端部を撚り線状に形成すると共に、第2ケーブル端部1Bから露出させた第2金属線編組部材15Bの端部を撚り線状に形成して、夫々の撚り線状端部を、図2に示すように、筒状の圧着金具41,41を介して、両端から導線を露出させた絶縁被覆電線42に、接続して、圧着金具41をカシメて(圧着して)、編組部材接続部4を形成する。
遮蔽層接続工程は、導体接続工程の前後、チューブ包囲工程の前後、いずれのタイミングで行っても良い。
【0020】
ケーブル接続工程によって、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBはケーブル接続部2を介して通電可能に接続された1本の隔壁挿通用ケーブルとなる。
そして、図6に示すように、第1ケーブル端部1Aとケーブル接続部2と第2ケーブル端部1Bとを包囲する(隔壁挿通用ケーブルが挿通する)管部材60と、管部材60の両端内部に形成した耐火壁部71,72と、ケーブル接続部2が配設される管部材60の中間内部に形成した耐水圧壁部73と、を備えた挿入用円柱体8を備えている。
【0021】
管部材(電線管)60は、第1ケーブルKA側に対応する第1端管61と、第2ケーブルKB側に対応する第2端管62と、ケーブル接続部2に対応する中間管63と、を有し、第1端管61と中間管63と第2端管62と、を連結して一体化している。
管部材60は、例えば、全長2000mm〜4000mm、内径が500mm〜900mmのものを用いるのが好ましい。
【0022】
挿入用円柱体8は、第1端管61に第1の耐火壁部71を形成する第1耐火付与工程と、中間管63に耐水圧壁部73を形成する耐水圧付与工程と、第2端管62に第2の耐火壁部72を形成する第2耐火付与工程と、を有する耐火耐水圧付与工程によって形成する。
【0023】
第1耐火付与工程は、図7に示すように、導体接続工程よりも前に(予め)、第1ケーブルKA又は第2ケーブルKBに挿通させていた第1端管61を、第1ケーブル端部1Aにおいてケーブル接続部2から所定寸法Sだけ離間している部位に対応させると共に鉛直状に保持する。
そして、下側の開口部61bを、第1ケーブルKAが挿通可能な逃がし部99aを有する当て板や土台部材等の底蓋部材99にて、施蓋状とする。なお、逃がし部99aとケーブルKの間に、隙間を埋めるように、詰め部材を配設しても良い。
また、第1耐火付与工程は、図示省略するが、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBの導体接続工程後に、ケーブルKを第1端管61に挿通し、詰め部材を配設しても良い。
【0024】
次に、上側の開口部61aから、耐火充填材を充填し、第1外方耐火層71aを形成する。その後、第1外方耐火層71aの上にロックウール等の耐火部材を配設して第1中間耐火層71bを形成する。そして、第1中間耐火層71bの上に耐火充填材を充填して固化させ第1内方耐火層71cを上側の開口部61aまで形成する。
つまり、第1端管61に、第1外方耐火層71aと第1中間耐火層71bと第1内方耐火層71cとを下から上に順次積層状に形成して第1の耐火壁部71を形成する。第1ケーブル端部1Aにおいて第1端管61を挿通している部位が第1の耐火壁部71に埋没する(埋設される)。
【0025】
第1耐火付与工程後に、耐水圧付与工程を行う。
耐水圧付与工程は、図8に示すように、導体接続工程よりも前に(予め)、第1ケーブルKA又は第2ケーブルKBに挿通させ、第1耐火付与工程の前に第2ケーブルKBに挿通させた中間管63を、第1端管61に鉛直状に連結させて一体化する。第1端管61との連結により、中間管63は、ケーブル接続部2に対応するように配設される。
また、耐水圧付与工程は、図示省略するが、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBの導体接続工程と第1耐火付与工程の後に、ケーブルKを中間管63に挿通させ、第1端管61と連結し配設しても良い。
【0026】
中間管63は、図9に示すように、中間内部に、耐水圧壁部73が火災等によって加熱された際に収縮を防止するための(収縮に抵抗する)円筒状の収縮防止部材80と、収縮防止部材80を保持・固定するためのリング状の保持部材81と、を有している。
保持部材81は、金属製のリング状であって、中間管63の内周面60dに接着材又は溶接等の固着手段によって固着された外鍔部81bを有すると共に、収縮防止部材80が外嵌状に取着する筒壁部81aを有している。
【0027】
収縮防止部材80は、パンチングメタルや金編み部材等の薄い板状部材を弯曲変形して円筒状に形成したものであって、中間管63のラジアル方向に貫通する複数(100以上の多数)の孔80aを有している、なお、図例では、孔80aを一部省略している。
収縮防止部材80は、保持部材81の筒壁部81aに外嵌状に取着されると共に外鍔部81bに当接して中間管63の長手方向中間(中央)位置に配設している。
【0028】
そして、図10に示すように、中間管63の上側の開口部63aから、耐水圧充填材を充填して固化させ、第1耐火壁部71の上面から上側の開口部63aまで、耐水圧壁部73を形成する。ケーブル接続部2及びその近傍が耐水圧壁部73に埋設(埋没)されるように形成する。
収縮防止部材80に孔80aを設けているので、耐水圧充填材が、均一にかつ容易に広がる。また、孔80aによって充填材の接着性が向上する。
【0029】
耐水圧付与工程後に、第2耐火付与工程を行う。
第2耐火付与工程は、図11に示すように、導体接続工程よりも前に(予め)、第1ケーブルKA又は第2ケーブルKBに挿通させ、第1耐火付与工程の前に第2ケーブルKBに挿通させていた第2端管62を、中間管63に鉛直状に連結一体化させる。連結することで、第2端管62は、第2ケーブル端部1Bにおいてケーブル接続部2から所定距離だけ離間している部位に対応することとなる。
また、第2耐火付与工程は、図示省略するが、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBの導体接続工程と第1耐火付与工程と耐水圧付与工程の後に、ケーブルKを第2端管62に挿通させ、中間管63と連結し配設しても良い。
【0030】
第2端管62は、上側の端部(管部材60の端部)に、現場施工用の外鍔状の取付部75を有している。
取付部75は、ボルト部材やアンカー部材等の固着具が挿通可能な取付孔75aを複数有している。
【0031】
第2端管62の上側の開口部62aから、耐火充填材を充填し、耐水圧壁部73の上に第2内方耐火層72cを形成する。その後、第2内方耐火層72cの上にロックウール等の耐火部材を配設して第2中間耐火層72bを形成する。そして、第2中間耐火層72bの上に耐火充填材を充填して固化させ第2外方耐火層72aを上側の開口部62aまで形成する。
第2端管62に、第2内方耐火層72cと第2中間耐火層72bと第2外方耐火層72aとを下から上に順次積層状に形成して第2の耐火壁部72を形成する。第2ケーブル端部1Bにおいて第2端管62を挿通している部位が第2の耐火壁部72に埋設(埋没)するように形成する。
【0032】
このように、管部材60を長手方向に3分割するように形成した第1端管61と中間管63と第2端管62とを用いることで、各管61,62,63毎に、耐火付与工程、耐水圧付与工程、を行え、耐火耐水圧付与を容易かつスムーズに行うことができる。
また、各工程において、上側の開口部まで、壁部を形成することで、充填材を計測する手間を省略でき、容易に形成できると共に、充填量が安定し品質も安定する。
【0033】
また、耐火耐水圧付与工程において、第1端管61と中間管63の連結構造、及び、中間管63と第2端管62の連結構造は、連結すべき一方の管の端部に形成した雄ネジ部と、連結すべき他方の管の端部に形成した雌ネジ部と、による螺合と、そのネジ(螺合)部に水密性を有するシール材を付与して固化させた、螺合とシール材の組合せが望ましい。或いは、雄ネジ部と雌ネジ部による螺合と、螺合部の溶接の組合せとするも良いし、螺合せず各管の端部同士を溶接で接合しても良い。
また、ロックウール等の耐火部材にて第1・第2中間耐火層71b,72bを形成することで、耐火充填材作業の充填・固化にかかる時間を短縮できると共に、コストを抑えられる。
【0034】
このように、ケーブル接続工程(導体接続工程とチューブ包囲工程と遮蔽層接続工程)と、耐火耐水圧付与工程(第1耐火付与工程と耐水圧付与工程と第2耐火付与工程)と、によって、挿入用円柱体8の一端から第1ケーブルKAが突出すると共に他端から第2ケーブルKBが突出する隔壁貫通ケーブルユニットYが製造される。
【0035】
隔壁貫通ケーブルユニットYを製造するユニット製造工程、つまり、導体接続工程とチューブ接続工程と遮蔽層接続工程と第1耐火付与工程と耐水圧付与工程と第2耐火付与工程は、電源設備等の施工現場から離間しているユニット製造工場にて行う。
【0036】
また、耐火充填材(剤)とは、例えば、難燃性のパテ組成物であって、ポリブテン樹脂に無機難燃剤を配合したものである。或いは、難燃性を有し、一定形状を自己保持する程度の粘度を有している常温硬化型樹脂(例えば、一液型常温硬化樹脂である難燃性シリコンシーラント、難燃性ウレタンフォーム)である。
【0037】
また、耐水圧充填材(剤)とは、耐水性(耐水圧性)と気密性と難燃性を有し、主剤と混合用硬化剤を混ぜることで(時間が経つと)硬化する2液混合型である。
耐水圧充填材の主剤は、液状ポリブタジエンポリオール組成物であって、1,4−ポリブタジエンポリオールに、充填剤、難燃剤、可塑剤、プロセスオイル等を配合したものである。
また、耐水圧充填材の混合用硬化剤は、液状MDI系イソシアネート、又は、液状TDI系イソシアネートである。液状MDI系イソシアネートの具体例として、変性液状4,4´ジフェニルメタンジイソシアネートである。液状TDI系イソシアネートの具体例として、1,4−ポリブタジエンポリオールに、2,4−トリレンジイソシアネート及び、2,6−トリレンジイソシアネートを加熱混合したものである。
【0038】
次に、隔壁貫通ケーブルユニットYを用いたケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法について説明する。
先ず、施工現場から離れているユニット製造工場にて、隔壁貫通ケーブルユニットYを製造するユニット製造工程を行う。
隔壁貫通ケーブルユニットYをユニット製造工場で製造することで、品質が安定し、確実に所定の耐火耐水圧性能を得ることができる。
【0039】
次に、隔壁貫通ケーブルユニットYを、電源設備等の施工現場に搬送し、図12に示すように、電源設備等の施工現場の隔壁Jの貫通孔Jaに、隔壁貫通ケーブルユニットYの円柱体8を挿入して、管部材60の取付部75を隔壁Jに当接させ、取付孔75aにボルト部材やアンカー部材等の固着具を挿通して隔壁Jに固着させ、円柱体8(管部材60)を隔壁Jに固着する。その後、円柱体8と貫通孔Jaの間に硬化材を充填して、乾燥、固化させて、一体化する現場施工工程を行う工法である。硬化材は、例えばコンクリートやモルタル等の水硬性セメント系組成物である。
このように、施工現場では、貫通孔Jaと円柱体8の僅かな隙間に硬化材を充填するだけで良いので、作業を迅速に行うことができる。また、取付部75で円柱体8を固定してから、硬化材充填作業を行うことができ、少人数で容易に施工できる。また、外鍔状取付部75を有することで、硬化材を塞き止めることができ、充填作業がより一層容易となる。
【0040】
ケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法によって、隔壁Jに、電源設備等の施工現場の隔壁Jの貫通孔Jaに挿通される円柱体8と、隔壁Jによって区画された一方の空間Qaに向かって円柱体8から突出する第1ケーブルKAと、隔壁Jによって区画された他方の空間Qbに向かって円柱体8から突出する第2ケーブルKBと、硬化材の充填固化によって形成され貫通孔Jaと円柱体8の間を塞ぐ閉塞壁部74と、を備えているケーブル貫通部耐火耐水圧処理構造を形成する。
【0041】
ここで、一方の空間Qaを、水や火、煙から保護すべき電源設備等の被保護設備が設けられると共に火災が発生する虞れのある屋内側の内部空間Qaと呼び、他方の空間Qbを、火災や水害等の災害が発生する虞れのあると共に内部空間Qaからの火や煙に対して保護すべき被保護設備が設けられた屋外側の外部空間Qbとして説明する。
【0042】
外部空間Qbで火災が発生したとすると、第2ケーブルKBは、火災の熱によって損傷する。そして、火災後に、水害が発生すると、その損傷部から第2絶縁心線10B内に水が浸入し、第2の導体11B(図2参照)を伝って、内部空間Qa側へ流れようとする。ところが、第2の導体11Bを伝ってきた水は、圧着スリーブ30の区画壁部31(図2参照)によって堰止められ、第1の導体11Aへ伝わるのが阻止される。
【0043】
また、第2絶縁心線10Bの端部19Bと圧着スリーブ30の間で露出している第2の導体11Bからの水や、第2有底孔33Bから溢れた水は、熱収縮チューブ50によって、第1ケーブルKA側への浸入が阻止される。
また、ケーブル接続部2が埋設されるように耐水圧壁部73を形成しているので、第2ケーブル端部1Bの第2絶縁心線10Bを露出させた端面から水が漏れる虞れも無い。
【0044】
また、耐水圧壁部73は、耐火壁部71,72に挟まれているため、火災の炎によって直接的に加熱されず、熱変形が防止される。
また、耐水圧壁部73は、管部材60によって伝わった熱により、収縮しようとしても、収縮防止部材80及び保持部材81によって、収縮が抑制され、管部材60の内周面60dと耐水圧壁部73の間に隙間が生じず、耐水圧性が保持される。火災後に水害が発生しても、電源設備への水の浸入を確実に防止できる。なお、内部空間Qaで火災等の災害が発生した場合であっても、同様に対応できる。
【0045】
ここで、内部横断面積が5317mm(外径寸法87.9mm、内径寸法82.3mm、厚さ2.8mm)の管部材60を使用し、横断面積が94.99mm(ケーブル外径11mm)のケーブルKを用いた隔壁貫通用ケーブルを4本(又は7本)挿通させ、収縮防止部材80及び保持部材81を備えた円柱体8を第1実施例とし、第1実施例から保持部材81を省略した円柱体8を第2実施例として、外部空間Qb側を加熱する所定の耐火試験を行った後に、外部空間Qb側に水圧を負荷する耐水圧試験を行った。
第1実施例は、24時間、0.3MPaの水圧負荷で、漏水は確認できなかった。
第2実施例は、24時間、0.1MPaの水圧負荷で、漏水は確認できなかったが、24時間、0.3MPaの水圧負荷で、漏水が確認された。
このように、保持部材81を省略しても、耐火試験後に十分な耐水圧性を保持しているが、保持部材81を備えているほうが好ましいといえる。
また、管部材60の内部(内部横断面積)においてケーブルK(の横断面積)の占有率が1〜20%の場合は、収縮防止部材80及び保持部材81を設けたものが、十分な耐水圧性を発揮できた。
また、第1実施例で設けた収縮防止部材80及び保持部材81の筒壁部81aは、水圧を負荷する方(外部空間Qb側)に設置することが耐水圧を向上させる点で好適であり、第1実施例で設けた収縮防止部材80及び保持部材81の向きを第1実施例(図9参照)と逆にすると、(第2実施例に比べ、耐水圧は良好であるが、)第1実施例の耐水圧よりも劣ることが確認できた。
これにより、円柱体8に1組の収縮防止部材80及び保持部材81を使用する場合は、収縮防止部材80の向き(ユニット布設する際の方向)に留意する必要があることが確認できた。
【0046】
また、管部材60内を挿通させるケーブルKの本数や太さによって、耐水圧壁部73の収縮量が変化するので、ケーブル占有率が大きい場合(管部材60の内径が小さい場合や、ケーブルKが太い場合や、ケーブル本数が多い場合)は、収縮防止部材80及び保持部材81を省略しても、24時間、0.3MPaの水圧負荷で漏水は確認できなかった。
したがって、ケーブル占有率が大きい場合は、保持部材81を省略、或いは、収縮防止部材80と保持部材81を省略しても良い。
【0047】
また、耐水圧試験後に耐火試験を行っても、十分な耐水圧性と耐火性が得られた。
つまり、火災発生後に水害(水没)が発生した場合や、水害(水没)後に火災が発生した場合、のいずれの場合においても、耐水圧性及び耐火性の性能を維持できる。
【0048】
また、円柱体8に収縮防止部材80と保持部材81を設けない場合は、管部材60の内部で、耐水圧壁部73の両側を、耐火壁部71,72で保護しているため、円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側としても、耐水圧性及び耐火性を維持でき、ユニット布設の際に方向を気にする必要がないという利点がある。
【0049】
また、図13に示した他の実施形態は、第1耐火付与工程において第1中間耐火層71bの形成を省略して第1の耐火壁部71を耐火充填材(充填材層)のみで形成し、第2耐火付与工程において第2中間耐火層72bの形成を省略して第2の耐火壁部72を耐火充填材(充填材層)のみで形成して、隔壁貫通ケーブルユニットYを製造し、その隔壁貫通ケーブルユニットYを用いて現場施工工程を行ったものである。このように、耐火壁部71,72を、耐火充填材の充填のみで形成しても、十分な耐火性能は得られた。
【0050】
また、上述の実施形態は、耐水圧付与工程において上方を外部空間Qbと想定し(図9参照)、保持部材81は、収縮防止部材80を保持するための筒壁部81aを外鍔部81bより上方側に配設して、収縮防止部材80を内嵌状(内張り状)に保持しているが、図14に示す別の実施形態は、中間管63内に、下方側の保持部材81と下方側の収縮防止部材80(管一端側の第1保持部材81Aと管一端側の第1収縮防止部材80A)を設けると共に、上方側の保持部材81と上方側の収縮防止部材80(管他端側の第2保持部材81Bと管他端側の第2収縮防止部材80B)を設けている。
第1保持部材81Aは、第1収縮防止部材80Aを保持するための筒壁部81aを外鍔部81bより下方側に配設して、第1収縮防止部材80Aを管一端側に内嵌状に保持する。
第2保持部材81Bは、第2収縮防止部材80Bを保持するための筒壁部81aを外鍔部81bより上方側に配設して、第2収縮防止部材80Bを管他端側に内嵌状に保持する。
このようにすることで、布設方向を気にしなくても良い(円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側として施工しても良い)。したがって、施工現場にて作業者が、円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側にするか留意する必要が無く、工事をスムーズに行えると共に、円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側としても耐水性及び耐火性を維持できる。
【0051】
なお、本発明は、設計変更可能であって、管部材60の取付部75は、第1端管61及び第2端管62の一方に設ければ良い。また、取付部75を省略しても良い。
第1ケーブルKBと第2ケーブルKBが接続された隔壁挿通ケーブルの本数は、図例のような2本に限らず、1本、又は、3本以上であっても良い。
なお、本発明において、隔壁Jとは、図例の鉛直壁に限らず、床壁、天井壁、傾斜壁等を含む。つまり、貫通孔Jaの孔軸心は、図例のような水平方向に限らず、鉛直方向や傾斜状であっても良い。
【0052】
以上のように、本発明の隔壁貫通ケーブルユニットは、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1絶縁心線10Aの導体11Aと第2ケーブル端部1Bから露出させた第2絶縁心線10Bの導体11Bとを区画壁部31を有する圧着スリーブ30を介して接続した導体接続部3と、第1絶縁心線10Aの端部19Aと導体接続部3と第2絶縁心線10Bの端部19Bとを熱収縮チューブ50で包囲したチューブ包囲部5と、第1ケーブル端部1Aとチューブ包囲部5と第2ケーブル端部1Bとを包囲する管部材60と、管部材60の両端内部に形成した耐火壁部71,72と、チューブ包囲部5が配設される管部材60の中間内部に形成した耐水圧壁部73と、を備えたので、水害や火災等不所望な災害が発生した外部空間Qbから、隔壁Jを介して保護すべき電源設備等が設けられた内部空間Qaに、水や炎、煙が浸入するのを防止できる。また、火災が発生した内部空間Qaから、隔壁Jを介して外部空間Qbに炎や煙が浸入するのを防止できる。水が、ケーブルK内部の導体11を伝って、浸入するのを防止できる。火災発生後に水没した場合、或いは、水没後に火災が発生した場合、いずれの場合においても、十分な耐火性と耐水圧性を得ることができる。電源設備等の現場での施工を容易かつ迅速に行え、工期を短縮できる。また、隔壁貫通ケーブルユニットYに、増設されるであろうケーブルKを予め設置しておくことで、従来のように隔壁Jに新たに貫通孔を設けてケーブルKを増設せずにすむ。
【0053】
また、本発明のケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法は、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1絶縁心線10Aの導体11Aと第2ケーブル端部1Bから露出させた第2絶縁心線10Bの導体11Bとを区画壁部31を有する圧着スリーブ30を介して接続して導体接続部3を形成する導体接続工程と、第1絶縁心線10Aの端部19Aと上記導体接続部3と上記第2絶縁心線10Bの端部19Bとを熱収縮チューブ50で包囲して熱収縮させてチューブ包囲部5を形成するチューブ包囲工程と、第1ケーブル端部1Aとチューブ包囲部5と第2ケーブル端部1Bと包囲する管部材60の両端内部に耐火壁部71,72を形成すると共にチューブ包囲部5が配設される管部材60の中間内部に耐水圧壁部73を形成して挿入用円柱体8を作製する耐火耐水圧性付与工程と、によって隔壁貫通ケーブルユニットYを製造するユニット製造工程を備え、さらに、施工現場の隔壁Jの貫通孔Jaに隔壁貫通ケーブルユニットYの円柱体8を挿入して、貫通孔Jaと円柱体8の間に硬化材を充填して一体化する現場施工工程を具備するので、水害や火災等不所望な災害が発生した外部空間Qbから、隔壁Jを介して、保護すべき電源設備等が設けられた内部空間Qaに、水や炎、煙が浸入するのを防止するための工事を容易かつ迅速に行うことができる。また、火災が発生した内部空間Qaから、隔壁Jを介して外部空間Qbに炎や煙が浸入するのを防止できる。水が、ケーブルK内部の導体11を伝って、浸入するのを防止できる。火災発生後に水没した場合、或いは、水没後に火災が発生した場合、いずれの場合においても、十分な耐火性と耐水圧性を得ることが可能な構造を容易に得ることができる。電源設備等の現場での施工を容易かつ迅速に行え、工期を短縮できる。また、隔壁貫通ケーブルユニットYに、増設されるであろうケーブルKを予め設置しておくことで、従来のように隔壁Jに新たに貫通孔を設けてケーブルKを増設せずにすむ。
【符号の説明】
【0054】
1A 第1ケーブル端部
1B 第2ケーブル端部
3 導体接続部
5 チューブ包囲部
8 挿入用円柱体
10A 第1絶縁心線
10B 第2絶縁心線
11A 導体
11B 導体
19A 端部
19B 端部
30 圧着スリーブ
31 区画壁部
50 熱収縮チューブ
60 管部材
71 耐火壁部
72 耐火壁部
73 耐水圧壁部
J 隔壁
Ja 貫通孔
Y 隔壁貫通ケーブルユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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