特許第6407065号(P6407065)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407065
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   G06K7/10 128
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-43322(P2015-43322)
(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-162395(P2016-162395A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 理恵
【審査官】 篠塚 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−247906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材にマトリックス状に区画形成された複数のRFIDメディアから情報を読み取る情報読取装置であって、
直線偏波アンテナを具備し、該直線偏波アンテナと前記RFIDメディアとが所定の間隔を隔てて対向した状態で、前記直線偏波アンテナから当該RFIDメディアに対して電波を放射することにより当該RFIDメディアから情報を読み取る読取手段と、
前記シート基材と前記直線偏波アンテナとの間に介在し、前記マトリックス状に配置された複数のRFIDメディアのそれぞれに対応する複数の区画を形成する格子状の電波遮断部材とを有し、
前記電波遮断部材は、前記直線偏波アンテナから放射された電波の偏波面に対して水平方向に延び、前記所定の間隔以上の高さを具備する横壁部と、該偏波面に対して垂直方向に延び、前記所定の間隔よりも高さが低い縦壁部とが交差することで前記格子状が構成され、前記横壁部の前記シート基材側の端面と前記縦壁部の前記シート基材側の端面とが同一面上に揃っており、
前記読取手段は、前記直線偏波アンテナを、前記シート基材に対して前記所定の間隔を保持させた状態で前記横壁部が延びる方向に移動させて前記複数のRFIDメディアから情報を順次読み取る、情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDメディアから情報を読み取る情報読取装置に関し、特に、シート基材にマトリックス状に区画形成されたRFIDメディアから情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をタグやラベルに記録し、該タグやラベルを商品等に添付して商品等の管理が行われている。このようなタグやラベルを用いた商品等の管理においては、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うことが可能なICが搭載された非接触型ICタグや非接触型ICラベルがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
非接触型ICタグや非接触型ICラベルといったRFIDメディアにおいては、製品として出荷される前に検査手段となるリーダ/ライタによって電波を用いてRFIDメディアから情報を読み取ることにより、良品/不良品の検査が行われている。このような検査においては、複数のRFIDメディアに対して行う場合、リーダ/ライタにおいて検査対象ではないRFIDメディアからも情報を読み取ってしまうことがないようにする必要がある。
【0004】
特許文献1,2には、一列に並んで搬送されてくる複数のRFIDメディアを、RFIDメディアの並び方向に配列された複数のリーダ/ライタにて検査する場合に、複数のリーダ/ライタ間に間仕切りを設け、さらにシールド箱で覆うことにより、互いのリーダ/ライタによる電磁波の影響を受けずに複数のRFIDメディアに対する検査を行う技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、搬送経路上を複数列となって搬送されてくるRFIDメディアの検査を行う場合に、搬送経路上を搬送されてくるRFIDメディアと読取手段との間に、RFIDメディアの搬送列毎に、隣接する搬送列に対してRFIDメディアの搬送方向に互いにずれて形成された孔部を有するシールド部材を介在させることにより、読み取り対象となるRFIDメディアに隣接するRFIDメディアから情報を読み取ってしまうことを回避する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−283158号公報
【特許文献2】特開2004−272437号公報
【特許文献3】特開2013−210823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RFIDメディアは、上述したように列をなして搬送されてきて検査が行われるものに限らず、シート基材にマトリックス状に区画形成された状態で検査が行われるものもある。
【0008】
ところが、シート基材に区画形成された状態ではRFIDメディアを搬送することができないため、上記のように孔部を有するシールド部材を用い、検査対象となるRFIDメディアを孔部に順次対向するように搬送することができない。そこで、検査対象となるRFIDメディアが孔部に順次対向するようにシールド部材を動かすことも考えられるが、その場合、RFIDメディアのICチップが孔部に引っ掛かったり、シールド部材が損傷したりする虞れがある。
【0009】
また、複数のRFIDメディアがマトリックス状に区画形成されたシート基材とリーダ/ライタとの間に、複数のRFIDメディアのそれぞれに対応する複数の区画を形成する格子状の電波遮断部材を介在させることにより、検査対象となるRFIDメディアに隣接するRFIDメディアから情報を読み取ってしまうことを回避することが考えられる。
【0010】
ところが、その場合、格子状の区画毎にリーダ/ライタを設置する必要が生じ、コストが高いものとなってしまうだけでなく、複数のリーダ/ライタ間にて干渉が生じてしまう虞れがある。また、1つのリーダ/ライタで複数のRFIDメディアのそれぞれに対して検査を行う場合、リーダ/ライタを複数の区画間を移動させることとなるが、リーダ/ライタは、検査対象となるRFIDメディアに隣接するRFIDメディアから情報を読み取らないようにするために格子状の内部に入り込んでいるため、格子状を構成する壁にリーダ/ライタが当接しないようにリーダ/ライタを移動させる制御が必要となり、リーダ/ライタの移動のための制御が複雑になってしまうという問題点がある。
【0011】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、シート基材にマトリックス状に区画形成されたRFIDメディアから情報を読み取る場合に、簡易な構成で、読み取り対象となるRFIDメディアに隣接するRFIDメディアからも情報を読み取ってしまうことを回避できる情報読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、
シート基材にマトリックス状に区画形成された複数のRFIDメディアから情報を読み取る情報読取装置であって、
直線偏波アンテナを具備し、該直線偏波アンテナと前記RFIDメディアとが所定の間隔を隔てて対向した状態で、前記直線偏波アンテナから当該RFIDメディアに対して電波を放射することにより当該RFIDメディアから情報を読み取る読取手段と、
前記シート基材と前記直線偏波アンテナとの間に介在し、前記マトリックス状に配置された複数のRFIDメディアのそれぞれに対応する複数の区画を形成する格子状の電波遮断部材とを有し、
前記電波遮断部材は、前記直線偏波アンテナから放射された電波の偏波面に対して水平方向に延び、前記所定の間隔以上の高さを具備する横壁部と、該偏波面に対して垂直方向に延び、前記所定の間隔よりも高さが低い縦壁部とが交差することで前記格子状が構成され、前記横壁部の前記シート基材側の端面と前記縦壁部の前記シート基材側の端面とが同一面上に揃っており、
前記読取手段は、前記直線偏波アンテナを、前記シート基材に対して前記所定の間隔を保持させた状態で前記横壁部が延びる方向に移動させて前記複数のRFIDメディアから情報を順次読み取る。
【0013】
上記のように構成された本発明においては、複数のRFIDメディアがマトリックス状に区画形成されたシート基材と、読取手段にてRFIDメディアから情報を読み取るための直線偏波アンテナとの間に、マトリックス状に配置された複数のRFIDメディアのそれぞれに対応する複数の区画を形成する格子状の電波遮断部材が介在し、直線偏波アンテナとRFIDメディアとが所定の間隔を隔てて対向した状態で、直線偏波アンテナからRFIDメディアに対して電波が放射されることによりRFIDメディアから情報が読み取られる。この際、読み取り対象となるRFIDメディアに対して、直線偏波アンテナから放射された電波の偏波面に対して垂直方向に隣接するRFIDメディアにおいては情報が読み取られやすいが、格子状を構成する横壁部と縦壁部のシート基材側の端面が同一面上に揃っており、かつ、これら横壁部と縦壁部とのうち、直線偏波アンテナから放射された電波の偏波面に対して水平方向に延びる横壁部が、前記所定の間隔以上の高さを具備しているため、シート基材が電波遮断部材の一方の面にて横壁部と縦壁部の双方の端面に当接し、直線偏波アンテナから放射された電波が、直線偏波の偏波面に対して垂直方向については横壁部にて遮断され、読み取り対象となるRFIDメディアに対して、直線偏波アンテナの偏波面に対して垂直方向に隣接するRFIDメディアから情報が読み取られることが回避される。一方、横壁部と縦壁部のうち、直線偏波アンテナの偏波面に対して垂直方向に延びる縦壁部は、前記所定の間隔よりも高さが低くなっているため、直線偏波アンテナを、シート基材に対して前記所定の間隔を保持させた状態で横壁部が延びる方向に移動させて複数のRFIDメディアから情報を順次読み取ることができる。その際、読み取り対象となるRFIDメディアに対して、直線偏波アンテナの偏波面に対して水平方向に隣接するRFIDメディアにおいては情報が読み取られにくいので、縦壁部の高さが前記所定の間隔よりも高さが低くなっていても、読み取り対象となるRFIDメディアに対して、直線偏波アンテナの偏波面に対して水平方向に隣接するRFIDメディアから情報が読み取れてしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、読み取り対象となるRFIDメディアに対して、直線偏波アンテナから放射された電波の偏波面に対して垂直方向に隣接するRFIDメディアにおいては、直線偏波アンテナから放射された電波が電波遮断部材の横壁部にて遮断され、情報が読み取られてしまうことを回避でき、また、読み取り対象となるRFIDメディアに対して、直線偏波アンテナから放射された電波の偏波面に対して水平方向に隣接するRFIDメディアにおいては、直線偏波アンテナから放射された電波が電波遮断部材の縦壁部にて遮断され、情報が読み取られてしまうことを回避できる。そして、縦壁部の高さが、直線偏波アンテナを介してRFIDメディアから情報を読み取る際の直線偏波アンテナとRFIDメディアとの間の所定の間隔よりも低いため、直線偏波アンテナを、シート基材に対して前記所定の間隔を保持させた状態で横壁部が延びる方向に移動させて複数のRFIDメディアから順次情報を読み取ることができる。
【0015】
このように、本発明によれば、シート基材にマトリックス状に区画形成されたRFIDメディアから情報を読み取る場合に、簡易な構成で、読み取り対象となるRFIDメディアに隣接するRFIDメディアからも情報を読み取ってしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の情報読取装置にて情報が読み取られるRFIDメディアの一例を示す図である。
図2】本発明の情報読取装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した矢印A方向から見た図、(c)は(a)に示した矢印B方向から見た図である。
図3図2に示した情報読取装置における電波遮断部材による作用を説明するための図であり、(a)はアンテナから放射される電波の偏波面を示す図、(b)は縦壁部が延びる方向における電波の広がり状態を示す図、(c)は横壁部が延びる方向における電波の広がり状態を示す図である。
図4図2に示した情報読取装置における図1に示したRFIDタグに対する情報の読み取り動作を説明するための図であり、(a)は電波遮断部材上にRFIDシートが載置された状態をリーダ/ライタ側から見た図、(b)は横壁部が延びる方向における区画間のリーダ/ライタの移動を示す図、(c)は全ての区画間におけるリーダ/ライタの移動を示す図である。
図5図2に示した情報読取装置に用いられる電波遮断部材の他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
まず、本発明の情報読取装置にて情報が読み取られるRFIDメディアについて説明する。
【0019】
図1は、本発明の情報読取装置にて情報が読み取られるRFIDメディアの一例を示す図である。
【0020】
本発明の情報読取装置にて情報が読み取られるRFIDメディアとしては、図1に示すように、シート基材であるRFIDシート10にマトリックス状に区画形成されたRFIDタグ11a〜11pが考えられる。
【0021】
RFIDタグ11a〜11pのそれぞれは、ICチップ12及びアンテナ13を有し、リーダ/ライタから放射された電波を用いて、ICチップ12に記憶された情報が読み取られる。このように構成されたRFIDタグ11a〜11pは、RFIDシート10に区画形成された状態で上記のように情報が読み取られることによって検査が行われた後、最終製品となるカードやタグを構成する他のシートに積層され、その後、単片状に断裁されることになる。
【0022】
次に、本発明の情報読取装置について、図1に示したRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取るものを例に挙げて説明する。
【0023】
図2は、本発明の情報読取装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した矢印A方向から見た図、(c)は(a)に示した矢印B方向から見た図である。
【0024】
本形態における情報読取装置は図2に示すように、本発明における読取手段であるリーダ/ライタ20と、電波遮断部材30とを有しており、図1に示したRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取るものである。
【0025】
リーダ/ライタ20は、その表面に線状のアンテナ21を有しており、それにより、このアンテナ21が直線偏波の電波を放射する直線偏波アンテナとなっている。リーダ/ライタ20は、アンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとが所定の間隔を隔てて対向した状態でアンテナ21から電波を放射することによりRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る。
【0026】
電波遮断部材30は、横壁部31a〜31cと縦壁部32a〜32cとから構成されている。これら横壁部31a〜31c及び縦壁部32a〜32cは、電波を吸収する材料や、電波の反射を防止する材料から構成されていることが好ましい。電波遮断部材30は、これら横壁部31a〜31cと縦壁部32a〜32cとが交差することで格子状となり、複数の区画33a〜33pを形成している。この区画33a〜33pは、RFIDタグ11a〜11pのそれぞれに対応し、電波遮断部材30上に図1に示したRFIDシート10が載置された場合に、RFIDタグ11a〜11pがそれぞれ対向するように形成されている。横壁部31a〜31cは、その高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔以上のものとなっている。また、縦壁部32a〜32cは、その高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔よりも低いものとなっている。そして、横壁部31a〜31cと縦壁部32a〜32cとは、電波遮断部材30の一方の面においてはその端面が同一面上に揃っており、他方の面においては、横壁部31a〜31cの方が、その高さが縦壁部32a〜32cよりも高いことから突出している。
【0027】
このように構成された電波遮断部材30は、横壁部31a〜31cの端面と縦壁部32a〜32cの端面とが同一面上に揃っている側の面にRFIDシート10が載置されることになる。
【0028】
リーダ/ライタ20は、電波遮断部材30のRFIDシート10が載置された面とは反対面側に、電波遮断部材30のRFIDシート10が載置された面に対して、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際の所定の間隔だけ離れて配置されることとなるが、上述したように、横壁部31a〜31cの高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔以上となっているとともに、縦壁部32a〜32cの高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔よりも低いものとなっていることにより、縦壁部32a〜32cが延びる方向においては、図1(b)に示すように、リーダ/ライタ20の側方に横壁部31a〜31cが存在し、また、横壁部31a〜31cが延びる方向においては、図1(c)に示すように、リーダ/ライタ20の側方に縦壁部32a〜32cが存在しない状態となる。それにより、リーダ/ライタ20は、電波遮断部材30の区画33a〜33p間においては、横壁部31a〜31cが延びる方向には縦壁部32a〜32cの下方を通って移動可能に、かつ、縦壁部32a〜32cが延びる方向には横壁部31a〜31cによって移動不可能に配置されることになる。これにより、RFIDシート10とリーダ/ライタ20との間に電波遮断部材30が介在した状態となる。また、リーダ/ライタ20は、アンテナ21の長手方向が、横壁部31a〜31cが延びる方向となるように配置される。そして、アンテナ21から放射された電波の偏波面がアンテナ21の長手方向となることにより、横壁部31a〜31cは、アンテナ21から放射された電波の偏波面に対して水平方向に延び、また、縦壁部32a〜32cが、アンテナ21から放射された電波の偏波面に対して垂直方向に延びたものとなる。
【0029】
以下に、上記のように構成された情報読取装置の動作について説明する。
【0030】
図3は、図2に示した情報読取装置における電波遮断部材30による作用を説明するための図であり、(a)はアンテナ21から放射される電波の偏波面を示す図、(b)は縦壁部32a〜32cが延びる方向における電波の広がり状態を示す図、(c)は横壁部31a〜31cが延びる方向における電波の広がり状態を示す図である。
【0031】
リーダ/ライタ20は、上述したように線状のアンテナ21を有している。それにより、アンテナ21から放射された電波は、図3(a)に示すように、アンテナ21が延びる方向とは直交する方向に向いた偏波面40を有して進んでいく。
【0032】
そのため、例えば、リーダ/ライタ20が区画33hに対向する位置にてアンテナ21から電波が放射された場合、縦壁部32a〜32cが延びる方向においては、図3(b)に示すように、アンテナ21の指向性によっては、アンテナ21からの電波の放射方向が、縦壁部32a〜32cが延びる方向にて区画33hに隣接する区画33a,33iの方向に広がることとなる。ところが、上述したように、横壁部31a〜31cの高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔以上のものとなっていることにより、縦壁部32a〜32cが延びる方向においては、リーダ/ライタ20の側方に横壁部31a〜31cが存在することとなるため、アンテナ21からの電波の放射方向が広がったとしても、アンテナ21から放射された電波は横壁部31a〜31cによって遮られ、縦壁部32a〜32cが延びる方向にて区画33hに隣接する区画33a,33iに放射されることが回避される。
【0033】
一方、例えば、リーダ/ライタ20が区画33bに対向する位置にてアンテナ21から電波が放射された場合、横壁部31a〜31cが延びる方向においては、図3(c)に示すように、アンテナ21からの電波の放射範囲はその振幅によって一定となっていることにより、アンテナ21から放射された電波は、横壁部31a〜31cが延びる方向にて区画33bに隣接する区画33a,33cにまでは広がりにくいものとなっている。
【0034】
図4は、図2に示した情報読取装置における図1に示したRFIDタグ11a〜11pに対する情報の読み取り動作を説明するための図であり、(a)は電波遮断部材30上にRFIDシート10が載置された状態をリーダ/ライタ20側から見た図、(b)は横壁部31a〜31cが延びる方向における区画33a〜33p間のリーダ/ライタ20の移動を示す図、(c)は全ての区画33a〜33p間におけるリーダ/ライタ20の移動を示す図である。
【0035】
図1に示したRFIDタグ11a〜11pの検査のために図2に示した情報読取装置にて図1に示したRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る場合は、上述したように、電波遮断部材30の横壁部31a〜31cの端面と縦壁部32a〜32cの端面とが同一面上に揃っている側の面にRFIDシート10が載置される。その場合、電波遮断部材30の区画33a〜33pが、RFIDシート10に区画形成されたRFIDタグ11a〜11pに対応するものとなっていることから、図4(a)に示すように、RFIDタグ11a〜11pが区画33a〜33pのそれぞれに対向するようにRFIDシート10を電波遮断部材30上に載置することができる。
【0036】
その状態で、リーダ/ライタ20が電波遮断部材30の区画33a〜33pを移動していき、区画33a〜33pのそれぞれにおいて、その区画33a〜33pに対向しているRFIDタグ11a〜11pから情報を順次読み取っていくことになる。
【0037】
上述したように、縦壁部32a〜32cの高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔よりも低いものとなっていることにより、横壁部31a〜31cが延びる方向においては、リーダ/ライタ20の側方に縦壁部32a〜32cが存在しない状態となっている。そのため、図4(b)に示すように、リーダ/ライタ20は、横壁部31a〜31cが延びる方向には、RFIDシート10に対して、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔を保持した状態で、縦壁部32a〜32cの下方を通って区画33a〜33p間を移動することができる。すなわち、リーダ/ライタ20は、横壁部31a〜31cが延びる方向にアンテナ21を移動させてRFIDタグ11a〜11pから情報を順次読み取っていくことになる。
【0038】
このように、横壁部31a〜31cが延びる方向においては、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔を保持した状態で区画33a〜33p間を移動可能とするために、リーダ/ライタ20の側方に縦壁部32a〜32cが存在しない状態となっているが、図3(c)を用いて説明したように、横壁部31a〜31cが延びる方向においては、アンテナ21から放射された電波が、リーダ/ライタ20が対向している区画に隣接する区画にまでは広がりにくいものとなっているため、リーダ/ライタ20の側方に縦壁部32a〜32cが存在しない状態となっていても、リーダ/ライタ20において、リーダ/ライタ20が対向している区画に隣接する区画に対向するRFIDタグから情報が読み取られてしまうことがない。なお、縦壁部32a〜32cの高さは、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔を保持した状態で区画33a〜33p間を移動可能とするためにその間隔よりも低い必要があるが、リーダ/ライタ20がRFIDシート10に対してその間隔を保持した状態で、縦壁部32a〜32cの下方を通って区画33a〜33p間を移動することができるために十分な高さであればできるだけ高い方が好ましい。
【0039】
一方、縦壁部32a〜32bが延びる方向においては、上述したように、アンテナ21の指向性によっては、アンテナ21からの電波の放射方向が、リーダ/ライタ20が対向している区画に対して縦壁部32a〜32cが延びる方向にて隣接する区画の方向に広がることとなるが、横壁部31a〜31cの高さが、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔以上となっていることにより、アンテナ21から放射された電波は横壁部31a〜31cによって遮られ、それにより、縦壁部32a〜32cが延びる方向にて隣接する区画に対向しているRFIDメディアから情報が読み取られることが回避される。
【0040】
このようにリーダ/ライタ20は横壁部31a〜31cが延びる方向に移動可能であるため、図4(c)に示すように、まず、区画33aにおいて区画33aに対向しているRFIDタグ11aから情報を読み取った後、横壁部31a〜31cが延びる方向に移動し、次に、区画33bにおいて区画33bに対向しているRFIDタグ11bから情報を読み取った後、横壁部31a〜31cが延びる方向に移動し、次に、区画33cにおいて区画33cに対向しているRFIDタグ11cから情報を読み取った後、横壁部31a〜31cが延びる方向に移動し、区画33dにおいて区画33dに対向しているRFIDタグ11dから情報を読み取る。
【0041】
その後、リーダ/ライタ20は、電波遮断部材30に対向しない領域まで移動して縦壁部32a〜32cが延びる方向に移動し、区画33e〜33h間を横壁部31a〜31cが延びる方向に移動しながら区画33e〜33hのそれぞれにおいて、同様に、区画33e〜33hに対向しているRFIDタグ11e〜11hから情報を順次読み取る。
【0042】
その後、リーダ/ライタ20は、電波遮断部材30に対向しない領域まで移動して縦壁部32a〜32cが延びる方向に移動し、区画33i〜33l間を横壁部31a〜31cが延びる方向に移動しながら区画33i〜33lのそれぞれにおいて、同様に、区画33i〜33lに対向しているRFIDタグ11i〜11lから情報を順次読み取る。
【0043】
その後、リーダ/ライタ20は、電波遮断部材30に対向しない領域まで移動して縦壁部32a〜32cが延びる方向に移動し、区画33m〜33p間を横壁部31a〜31cが延びる方向に移動しながら区画33m〜33pのそれぞれにおいて、同様に、区画33m〜33pに対向しているRFIDタグ11m〜11pから情報を順次読み取る。
【0044】
このようにして、リーダ/ライタ20にてRFIDシート10にマトリックス状に区画形成されたRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取っていくことで、読み取り対象となるRFIDタグに隣接するRFIDタグからも情報を読み取ることなく情報の読み取りを行うことができる。そして、RFIDシート10に対して、リーダ/ライタ20がRFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る際のアンテナ21とRFIDタグ11a〜11pとの間隔を保持した状態でリーダ/ライタ20を、RFIDタグ11a〜11pから情報を読み取る区画に順次移動させることができ、RFIDタグが対向する複数の区画毎にリーダ/ライタを設けたり、リーダ/ライタの移動のための制御が複雑になってしまうことが回避される。
【0045】
なお、本形態においては、アンテナ21として線状のものを例に挙げて説明したが、直線偏波の電波を放射する直線偏波アンテナであればよく、例えば、面状のパッチアンテナであってもよい。
【0046】
また、本形態においては、リーダ/ライタ20自体がアンテナ21を有しているが、アンテナ21がケーブルを介してリーダ/ライタ20に接続された形態であってもよい。その場合においては、アンテナ21のみが上記のように移動しながら、直線偏波の電波を放射することとなる。
【0047】
図5は、図2に示した情報読取装置に用いられる電波遮断部材の他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【0048】
本例における電波遮断部材は図5に示すように、図2に示した電波遮断部材30に対して、その外周にも横壁部131d,131e及び縦壁部132d,132eが配置されている点で異なるものである。
【0049】
横壁部131d,131eの高さは、他の横壁部131a〜131cの高さと同一であり、また、縦壁部132d,132eの高さも、他の縦壁部132a〜132cの高さと同一となっている。
【0050】
このように構成された電波遮断部材130を用いた場合、アンテナ21から放射された電波が、電波遮断部材130の外周から回り込んで読み取り対象以外のRFIDタグから情報を読み取ってしまうことを防止することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態においては、RFIDメディアとして、ICチップ12及びアンテナ13を有し、ICチップ12に記憶された情報が読み取られることによって検査が行われるものを例に挙げて説明したが、本発明の情報読取装置にて情報の読み取り対象となるRFIDメディアはこれに限らず、例えば、ICチップを有さずに、共振周波数が互いに異なるように設計されたアンテナ(所謂共振タグ)が複数配列されたようなものであってもよい。その場合、情報読取装置にて複数のアンテナの共振周波数を検出することで、その複数のアンテナの共振周波数からなる情報を読み取ることとなる。
【符号の説明】
【0052】
10 RFIDシート
11a〜11p RFIDタグ
12 ICチップ
13,21 アンテナ
20 リーダ/ライタ
30,130 電波遮断部材
31a〜31c,131a〜131e 横壁
32a〜32c,132a〜132e 縦壁
33a〜33p,133a〜133p 区画
40 偏波面
図1
図2
図3
図4
図5