特許第6407075号(P6407075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407075
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】スループット低下リスク値計算装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20181004BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20181004BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20181004BHJP
【FI】
   H04W16/18
   H04W24/08
   H04W84/12
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-60436(P2015-60436)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-181779(P2016-181779A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 博
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健
(72)【発明者】
【氏名】平澤 徳仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀紀
【審査官】 横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−088877(JP,A)
【文献】 特開2008−078698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の無線LANのアクセスポイントから放出される電波を受信する電波受信部と、
電波のチャネル毎に前記電波受信部で受信した当該チャネルの電波の総数である総電波数を計算し、所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示すリスク値を、当該チャネルの総電波数が多いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルの総電波数が多いほど当該リスク値が高くなるように計算するリスク値計算部と
を備えることを特徴とするスループット低下リスク値計算装置。
【請求項2】
前記リスク値計算部は、
前記各他チャネルにつき当該他チャネルのチャネル幅と前記所望のチャネルのチャネル幅とで重複する部分が広いほど高く重み値を計算し、且つ、当該他チャネルの総電波数と当該重み値の積を計算し、当該積の総和が高いほど前記リスク値を高くする
ことを特徴とする請求項1記載のスループット低下リスク値計算装置。
【請求項3】
前記リスク値計算部は、次の式(2)によりリスク値を計算する
【数2】
ただし、R(t)は、チャネルtのリスク値であり、
N(i)は、チャネルiの総電波数であり、
(1−j/5)は、チャネルtよりjチャネル上または下の他チャネルについての重み値である、
ことを特徴とする請求項2記載のスループット低下リスク値計算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANのアクセスポイントで使用するチャネルに依存するスループット低下のリスクを数値化する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、無線LANのアクセスポイントを設置する場合、そのアクセスポイントが使用するチャネルによっては、そのアクセスポイントがそのチャネルで通信した場合にスループットが低下するリスクがある。よって、スループット低下が小さいチャネルを選択し、そのチャネルで通信することが望ましい。
【0003】
例えば、スループット低下のリスクを判断するツールとして、チャネル毎に電波の受信強度を表示したり、チャネル毎にアクセスポイントの数を表示する無線LANテスタがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Wi-Fiサービスの円滑な提供に向けた無線LANテスタの導入」、[online]、[平成27年3月20日検索]、インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/7/1/7_38/_article/-char/ja/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、受信強度やアクセスポイントの数が分かっても、スループット低下のリスクがどの程度かを判断するのは困難であった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無線LANのアクセスポイントで使用するチャネルに依存するスループット低下のリスクを数値化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、第1の本発明のスループット低下リスク値計算装置は、1以上の無線LANのアクセスポイントから放出される電波を受信する電波受信部と、所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示すリスク値に影響するパラメータを、電波のチャネル毎に、前記電波受信部による当該チャネルの電波の受信結果を用いて計算し、当該リスク値を、当該チャネルのパラメータが高いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルのパラメータが高いほど当該リスク値が高くなるように計算するリスク値計算部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明のスループット低下リスク値計算装置は、1以上の無線LANのアクセスポイントから放出される電波を受信する電波受信部と、電波のチャネル毎に前記電波受信部で受信した当該チャネルの電波の受信強度の総和を計算し、所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示すリスク値を、当該チャネルの受信強度の総和が高いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルの受信強度の総和が高いほど当該リスク値が高くなるように計算するリスク値計算部とを備えることを特徴とする。
【0009】
例えば、前記リスク値計算部は、予め定めたしきい値未満の受信強度を除外し、他の受信強度を用いてリスク値を計算することを特徴とする。
【0010】
例えば、前記リスク値計算部は、前記各他チャネルにつき当該他チャネルのチャネル幅と前記所望のチャネルのチャネル幅とで重複する部分が広いほど高く重み値を計算し、且つ、当該他チャネルの受信強度の総和と当該重み値の積を計算し、当該積の総和が高いほど前記リスク値を高くする。
【0011】
例えば、前記リスク値計算部は、次の式(1)によりリスク値を計算する
【0012】
【数1】
ただし、R(t)は、チャネルtのリスク値であり、
P(i)は、チャネルiの受信強度の総和であり、
(1−j/5)は、チャネルtよりjチャネル上または下の他チャネルについての重み値である。
【0013】
第3の本発明のスループット低下リスク値計算装置は、1以上の無線LANのアクセスポイントから放出される電波を受信する電波受信部と、電波のチャネル毎に前記電波受信部で受信した当該チャネルの電波の総数である総電波数を計算し、所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示すリスク値を、当該チャネルの総電波数が多いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルの総電波数が多いほど当該リスク値が高くなるように計算するリスク値計算部とを備えることを特徴とする。
【0014】
例えば、前記リスク値計算部は、前記各他チャネルにつき当該他チャネルのチャネル幅と前記所望のチャネルのチャネル幅とで重複する部分が広いほど高く重み値を計算し、且つ、当該他チャネルの総電波数と当該重み値の積を計算し、当該積の総和が高いほど前記リスク値を高くする。
【0015】
例えば、前記リスク値計算部は、次の式(2)によりリスク値を計算する
【0016】
【数2】
ただし、R(t)は、チャネルtのリスク値であり、
N(i)は、チャネルiの総電波数であり、
(1−j/5)は、チャネルtよりjチャネル上または下の他チャネルについての重み値である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1以上の無線LANのアクセスポイントから放出される電波を受信し、所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示すリスク値に影響するパラメータを、電波のチャネル毎に、当該チャネルの電波の受信結果を用いて計算し、当該リスク値を、当該チャネルのパラメータが高いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルのパラメータが高いほど当該リスク値が高くなるように計算することで、受信の場所でアクセスポイントが所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクを数値化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に係るスループット低下リスク値計算装置の使用環境の一例を示す図である。
図2】日本のアクセスポイントで使用されるチャネルを示す図である。
図3】スループット低下リスク値計算装置1の概略構成を示すブロック図である。
図4】受信強度記憶部12の構成の一例を示す図である。
図5】実施例1におけるリスク値計算部13のフローチャートである。
図6】実施例1におけるリスク値と表示値の関係を示す図である。
図7】実施例2におけるリスク値計算部13のフローチャートである。
図8】実施例2におけるリスク値と表示値の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るスループット低下リスク値計算装置の使用環境の一例を示す図である。
【0021】
スループット低下リスク値計算装置1は、市中や郊外など、複数の無線LANのアクセスポイント2が点在する地域において、これから追加でアクセスポイントを設置しようとする地点に配置される。スループット低下リスク値計算装置1は、そのアクセスポイントを兼ねてもよい。
【0022】
アクセスポイント2の周囲には、図示しないが、複数の端末(スマートフォンやタブレット端末など)が存在する。端末は、アクセスポイント2を介して、他の端末やインターネットなどと通信を行う。
【0023】
図2は、日本のアクセスポイントで使用されるチャネルを示す図である。
【0024】
図1のアクセスポイント2は、1ch〜14chのいずれかのチャネルの電波を放出し、そのチャネルの電波を継続的に使用し、通信を行う。各チャネルの電波の強度は、チャネル幅と称される周波数範囲の中心において最大であり、チャネル幅の開始周波数と終了周波数でゼロになる分布を有する。
【0025】
1ch〜13chのチャネル幅の広さは、同一であり、14chだけさらに広い。またチャネル幅の開始周波数は、上のチャネルほど高く設定される。1ch〜13chまでは、開始周波数の間隔は同じでありチャネル幅より小さい。13chと14chの開始周波数の間隔はそれより広い。
【0026】
1chのチャネル幅は、2〜5chのチャネル幅に部分的に重複するが、5chより上のチャネル幅とは重複しない。1、2chのチャネル幅の重複する部分は、1、3chのチャネル幅の重複する部分より広く、1、3chのチャネル幅の重複する部分は、1、4chのチャネル幅の重複する部分より広く、1、4chのチャネル幅の重複する部分は、1、5chのチャネル幅の重複する部分より広い。2〜13chも同様であり、最大で4chまで上のチャネル幅に部分的に重複する可能性があり、チャネルの組み合わせに依存し、重複する部分の広さは異なる。
【0027】
また、14chのチャネル幅は、13chのチャネル幅に部分的に重複するが、12chより下のチャネル幅とは重複しない。
【0028】
また、13chのチャネル幅は、9〜12chのチャネル幅に部分的に重複するが、8chより下のチャネル幅とは重複しない。13、12chのチャネル幅の重複する部分は、13、11chのチャネル幅の重複する部分より広く、13、11chのチャネル幅の重複する部分は、13、10chのチャネル幅の重複する部分より広く、13、10chのチャネル幅の重複する部分は、13、9chのチャネル幅の重複する部分より広い。1〜12chも同様であり、最大で4chまで下のチャネル幅に部分的に重複する可能性があり、チャネルの組み合わせに依存し、重複する部分の広さは異なる。
【0029】
図3は、スループット低下リスク値計算装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
スループット低下リスク値計算装置1は、各アクセスポイント2から放出される電波を受信する電波受信部11と、電波の受信強度を記憶する受信強度記憶部12と、スループット低下リスク値計算装置1の設置場所でアクセスポイントが所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示すリスク値に影響するパラメータを、電波のチャネル毎に、電波受信部11による当該チャネルの電波の受信結果を用いて計算し、リスク値を、当該チャネルのパラメータが高いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルのパラメータが高いほど当該リスク値が高くなるように計算するリスク値計算部13とを備える。
【0031】
パラメータは、後述の実施例1では受信強度の総和であり、実施例2では総電波数である。
【0032】
図4は、受信強度記憶部12の構成の一例を示す図である。
【0033】
受信強度記憶部12は、アクセスポイント2毎のレコードを備える。レコードには、当該アクセスポイント2から受信した電波に含まれる識別子(SSIDという)と、該当電波の受信強度と、該当電波の周波数に対応するチャネルが記録される。受信強度は、通常はマイナス表示されるが、ここでは、プラス表示に直して表現する。つまり、図の受信強度の数値が小さいほど受信強度が小さいことを示す。
【0034】
以下、リスク値計算部13の具体的処理として、2つの実施例を説明する。
【0035】
(実施例1)
図5は、実施例1におけるリスク値計算部13のフローチャートである。
【0036】
リスク値計算部13は、まず、予め定めたしきい値未満の受信強度を含む受信強度記憶部12のレコードを処理対象から除外する(S1)。
【0037】
次に、リスク値計算部13は、チャネル毎に、受信強度記憶部12の除外されたレコード以外のレコードに記憶された当該チャネルの受信強度の総和を計算する(S3)。つまり、リスク値計算部13は、1〜14chのそれぞれについて、受信強度の総和を計算する。
【0038】
次に、リスク値計算部13は、チャネル毎に前述のリスク値を、当該チャネルの受信強度の総和が高いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルの受信強度の総和が高いほど当該リスク値が高くなるように計算し(S5)、処理を終える。
【0039】
S5では、リスク値計算部13は、チャネル毎に前述のリスク値を、例えば、式(1)により計算する。
【0040】
【数1】
ただし、R(t)は、チャネルtのリスク値であり、
P(i)は、チャネルiの受信強度の総和であり、
(1−j/5)は、チャネルtよりjチャネル上または下の他チャネルについての重み値である。
【0041】
つまり、リスク値計算部13は、式(1)の右辺第1項に示すように、リスク値計算の対象チャネルの受信強度の総和が高いほどリスク値を高くする。
【0042】
また、リスク値計算部13は、式(1)の右辺第2、3項に示すように、各他チャネルにつき当該他チャネルのチャネル幅とリスク値計算の対象チャネルのチャネル幅とで重複する部分が広いほど高く重み値を計算し、且つ、当該他チャネルの受信強度の総和と当該重み値の積を計算し、当該積の総和が高いほどリスク値を高くする。
【0043】
例えば、5chのリスク値は、
R(5)=P(5)+0.2P(1)+0.4P(2)+0.6P(3)+0.8P(4)+0.8P(6)+0.6P(7)+0.4P(8)+0.2P(9)
のように計算される。
【0044】
なお、リスク値は、ユーザに理解しやすい表示値に変換し、例えば表示してもよい。
【0045】
図6は、実施例1におけるリスク値と表示値の関係を示す図である。
【0046】
例えば、リスク値R(t)が105以上の場合は、表示値は90%であり、以下、図示のように、リスク値が低くなるにしたがい、表示値(パーセンテージ)を低くすることで、スループット低下のリスクの程度を理解容易にできる。
【0047】
以上のように、実施例1によれば、スループット低下リスク値計算装置1の設置場所でアクセスポイントが所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示す数値としてリスク値を計算でき、例えば、最小のリスク値に対応するチャネルを使用することで、スループット低下のリスクを最小化できる。また、例えば、どのチャネルのリスク値も高い場合は、場所変更という対応を講じることができる。
【0048】
また、予め定めたしきい値未満の受信強度を除外し(S1)、他の受信強度を用いてリスク値を計算することで、受信強度の小さいアクセスポイントが周囲に多くあり、実際には、リスクは高くないのに、リスク値が高くなってしまう不都合を防止できる。
【0049】
(実施例2)
図7は、実施例2におけるリスク値計算部13のフローチャートである。
【0050】
リスク値計算部13は、まず、チャネル毎に、受信強度記憶部12のレコードに記憶された当該チャネルの電波の総数、すなわち当該チャネルが記録されたレコードの総数である総電波数を計算する(S11)。
【0051】
次に、リスク値計算部13は、チャネル毎に前述のリスク値を、当該チャネルの総電波数が多いほど当該リスク値が高くなるように、且つ、当該チャネルのチャネル幅に部分的に重複するチャネル幅を有する1以上の他チャネルのそれぞれにつき当該他チャネルの総電波数が多いほど当該リスク値が高くなるように計算し(S13)、処理を終える。
【0052】
S13では、リスク値計算部13は、チャネル毎に前述のリスク値を、例えば、式(2)により計算する。
【0053】
【数2】
ただし、R(t)は、チャネルtのリスク値であり、
N(i)は、チャネルiの総電波数であり、
(1−j/5)は、チャネルtよりjチャネル上または下の他チャネルについての重み値である。
【0054】
つまり、リスク値計算部13は、式(2)の右辺第1項に示すように、リスク値計算の対象チャネルの総電波数が多いほどリスク値を高くする。
【0055】
また、リスク値計算部13は、式(2)の右辺第2、3項に示すように、各他チャネルにつき当該他チャネルのチャネル幅とリスク値計算の対象チャネルのチャネル幅とで重複する部分が広いほど高く重み値を計算し、且つ、当該他チャネルの総電波数と当該重み値の積を計算し、当該積の総和が高いほどリスク値を高くする。
【0056】
例えば、5chのリスク値は、
R(5)=N(5)+0.2N(1)+0.4N(2)+0.6N(3)+0.8N(4)+0.8N(6)+0.6N(7)+0.4N(8)+0.2N(9)
のように計算される。
【0057】
なお、リスク値は、ユーザに理解しやすい表示値に変換し、例えば表示してもよい。
【0058】
図8は、実施例2におけるリスク値と表示値の関係を示す図である。
【0059】
例えば、リスク値R(t)が8以上の場合は、表示値は90%であり、以下、図示のように、リスク値が低くなるにしたがい、表示値(パーセンテージ)を低くすることで、スループット低下のリスクの程度を理解容易にできる。
【0060】
以上のように、実施例2によれば、スループット低下リスク値計算装置1の設置場所でアクセスポイントが所望のチャネルで通信した場合におけるスループット低下のリスクの大きさを示す数値としてリスク値を計算でき、例えば、最小のリスク値に対応するチャネルを使用することで、スループット低下のリスクを最小化できる。また、例えば、どのチャネルのリスク値も高い場合は、場所変更という対応を講じることができる。
【0061】
なお、実施例2では、受信強度を計算に使用しないので、受信強度記憶部12のレコードに記憶させなくてもよい。
【0062】
なお、スループット低下リスク値計算装置1としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録でき、また、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 スループット低下リスク値計算装置
2 アクセスポイント
11 電波受信部
12 受信強度記憶部
13 リスク値計算部
R(t) チャネルtのリスク値
P(i) チャネルiの受信強度の総和
N(i) チャネルiの総電波数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8