(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気を圧縮する空気圧縮機、前記空気圧縮機からの圧縮空気と燃料とを燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼器、前記燃焼器からの燃焼ガスにより駆動されるタービンを有するガスタービンシステムと、
前記空気圧縮機から吐出された圧縮空気に加湿する増湿塔、前記増湿塔からの高湿分の圧縮空気を前記タービンの排ガスと熱交換させて予熱する再生器を有する増湿再生サイクルシステムと、
前記タービンから排出されて前記再生器を通過した排ガスが流通する排ガス流路、前記排ガス流路に接続され、前記排ガス流路から流入した排ガスを冷媒で冷却することにより排ガス中に含まれる湿分を回収する水回収装置、前記排ガス流路からの排ガスの一部が前記水回収装置内における冷媒による冷却を回避するように流通するバイパス流路を有する排ガス処理システムとを備え、
前記水回収装置は、前記排ガス流路が接続され、排ガスを冷却する領域を有する容器本体部と、流路断面積が前記容器本体部より小さくなるように形成され、排ガスの排出される排出部と、前記容器本体部と前記排出部とを繋ぐ絞り流路部とを備え、
前記バイパス流路の下流側端部は、前記水回収装置の前記容器本体部内における、排ガスの冷却される領域よりも排ガスの流れ方向下流側に位置する
ことを特徴とする高湿分空気利用ガスタービンシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの実施の形態を図面を用いて説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの第1の実施の形態のシステム構成を
図1を用いて説明する。
図1は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第1の実施の形態を示す構成図である。
図1中、矢印は高湿分空気利用ガスタービンシステムの作動流体や排ガス、投入される水分、回収された水分等の流れの向きを示している。
【0013】
図1において、高湿分空気利用ガスタービンシステムは、ガスタービンシステム1と、ガスタービンシステム1の作動流体の加湿及び予熱を行う増湿再生サイクルシステム2と、ガスタービンシステム1から排出される排ガス中に含まれる湿分を処理する排ガス処理システム3とを備えている。ガスタービンシステム1には、ガスタービン発電機5が機械的に接続されている。
【0014】
ガスタービンシステム1は、例えば、吸気を加湿する吸気加湿装置11と、吸気加湿装置11からの空気を圧縮する空気圧縮機12と、空気圧縮機12からの圧縮空気を支燃剤として燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼器13と、燃焼器13からの燃焼ガスにより駆動されて空気圧縮機12及びガスタービン発電機5を駆動するタービン14とから構成されている。
【0015】
増湿再生サイクルシステム2は、空気圧縮機12から吐出された圧縮空気に加湿する増湿塔21と、増湿塔21からの高湿分の圧縮空気をタービン14の排ガスと熱交換させて予熱する再生器22とを備えている。また、増湿再生サイクルシステム2は、例えば、空気圧縮機12からの圧縮空気を加湿する加湿水として、増湿塔21に保有している水を再利用するための循環系統を更に備えている。循環系統は、例えば、増湿塔21に保有している水をタービン14の排ガスと熱交換させる節炭器23と、増湿塔21に保有している水を空気圧縮機12からの圧縮空気と熱交換させる空気冷却器24と、増湿塔21に保有している水を節炭器23及び空気冷却器24に送出して増湿塔21に再度供給する増湿塔循環水ポンプ25とで構成されている。また、増湿再生サイクルシステム2は、例えば、後述する水回収装置32で回収した回収水を増湿塔21に補給する増湿塔補給水ポンプ26を更に備えている。
【0016】
排ガス処理システム3は、タービン14から排出されて再生器22及び節炭器23を通過した排ガスが流通するダクトや配管等の排ガス流路31と、排ガス流路31に接続され、排ガス流路31から流入した排ガスを冷却水(冷媒)で冷却することにより、排ガス中に含まれる湿分、つまり増湿塔21で投入した水分や燃料の燃焼により生成された水分などを回収する水回収装置32と、水回収装置32で排ガスから回収した水や冷却水として使用済みの水等の回収水を冷却水として水回収装置32に循環させる循環冷却系統33とを備えている。循環冷却系統33は、水回収装置32の回収水を冷却する水回収循環水冷却器34と、水回収装置32と水回収循環水冷却器34の入口側とに接続された回収水送出管路35と、水回収循環水冷却器34の出口側と水回収装置32とに接続された冷却水供給管路36と、回収水送出管路35に設けられ、水回収装置32の回収水を水回収循環水冷却器34に送出して水回収装置32に供給する水回収循環水ポンプ37とを備えている。また、排ガス処理システム3は、上流側が排ガス流路31に接続されると共に下流側が水回収装置32に接続され、排ガス流路31からの排ガスの一部が流通するバイパス配管40を更に備えている。
【0017】
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第1の実施の形態の詳細な構成を
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は
図1に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第1の実施の形態を示す構成図、
図3は
図2に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第1の実施の形態の一部を構成する水回収装置をIII−III矢視から見た概略横断面図である。
図2及び
図3中、矢印は排ガスや排ガス処理システムの循環冷却系統の流れの方向を示している。なお、
図2及び
図3において、
図1に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0018】
図2において、排ガス処理システム3の水回収装置32は、下部に排ガス流路31が接続され、排ガスが流入する容器本体部51と、容器本体部51の上側に位置し、排ガスが排出される排出部52と、容器本体部51と排出部52とを繋ぐ絞り流路部53と、容器本体部51内における排ガス流路31との接続部分よりも上側(排ガスの流れ方向下流側)に配設され、冷却水供給管路36からの冷却水を散布する散水部54とを備えている。水回収装置32は、さらに、容器本体部51内における排ガス流路31との接続部分と散水部54との間に配設され、多数の孔や溝や切欠きなどを有する水回収装置充填物55とを備えている。水回収装置32は、下向きに散布された冷却水に対して排ガスが下から上向きに流れる対向流方式の縦型の装置である。
【0019】
容器本体部51は、排ガスを冷却水と十分に混合して冷却することで排ガスから湿分を効率的に回収するために、水回収装置32の下流の煙突や排ガス流路よりも排ガスの流速が低速となる流路断面積を有している。一方、排出部52は、その下流の排ガスの流速を考慮して、その流路断面積が容器本体部51より小さくなるように形成されている。散水部54は、
図2及び
図3に示すように、冷却水供給管路36に接続される複数の冷却水枝管54aと、各冷却水枝管54aにそれぞれ間隔をあけて設けられ、冷却水供給管路36からの冷却水を下向きに噴出する複数の水回収装置散水ノズル54bとで構成されている。
【0020】
バイパス配管40は、その下流側端部に、容器本体部51内における散水部54よりも上側(排ガスの流れ方向下流側)に配置された排ガス混合部を有している。排ガス混合部は、複数のバイパス枝管部41と、各バイパス枝管部41にそれぞれ間隔をあけて設けられ、バイパス配管40からの排ガスを上向きに噴出する複数の排ガスバイパスノズル42とで構成されている。詳細は後述するが、バイパス配管40は、排ガス流路31からの排ガスの一部が容器本体部31内における冷却水による冷却を回避するように流通するバイパス流路として機能する。また、バイパス配管40の排ガス混合部は、バイパス配管40を流通した排ガスと容器本体部51内で冷却された排ガスとの均一な混合を促進するための構造体である。
【0021】
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの第1の実施の形態の動作を
図1を用いて説明する。
図1において、吸入された空気は、吸気加湿装置11により加湿された後、空気圧縮機12により圧縮される。この圧縮空気は、後段の増湿塔21での増湿作用を高効率で行うために空気冷却器24で冷却された後、増湿塔21に流入して増湿される。高湿分になった圧縮空気は再生器22でタービン14の排ガスと熱交換して加熱され、圧縮空気中の湿分は完全に蒸発する。この圧縮空気は燃焼器13に導かれて燃料と混合・燃焼し、高温の燃焼ガスが発生する。この燃焼ガスはタービン14を駆動し、熱エネルギーが動力エネルギーに変換される。この動力エネルギーは、空気圧縮機12を駆動することで消費されると共に及びガスタービン発電機5により電気エネルギーに変換される。
【0022】
タービン14から排出された排ガスは、吸気加湿装置11及び増湿塔21での加湿及び増湿により、多量の湿分を含んだものとなっている。この排ガスは、再生器22において増湿塔21で増湿された圧縮空気を加熱することで、その熱エネルギーの一部が回収される。さらに、排ガスは、節炭器23において増湿塔21の加湿水を加熱することで、その熱エネルギーの一部が回収される。このように、ガスタービンシステム1から排出された排ガスの熱エネルギーの一部を再生器22及び節炭器23で回収することにより、システムの熱効率の向上を図っている。
【0023】
節炭器23を通過した排ガスは、水回収装置32に導入されて湿分の一部が回収された後、大気中に放出される。水回収装置32で回収された水分の一部は、増湿塔補給水ポンプ26により増湿塔21に補給される。このように、ガスタービンシステム1の作動流体に追加された水分を水回収装置32で回収することにより、水資源の有効活用を図っている。
【0024】
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第1の実施の形態の作用を
図2及び
図3を用いて説明する。
節炭器23(
図1参照)を通過した排ガスは、その大部分が排ガス流路31から水回収装置32の容器本体部51の下部に流入する一方、その一部分がバイパス配管40を介して容器本体部51内における散水部54よりも上側に流入する。
【0025】
排ガス流路31から流入した排ガスは、容器本体部51内に配設された水回収装置充填物55を通過する。このとき、水回収装置32内において、散水部54の水回収装置散水ノズル54bから下方に向かって冷却水が散布されており、散水部54の下側に配設された水回収装置充填物55の表面上を冷却水が流下している。このため、水回収装置充填物55を下方から上方に通過する排ガスは、水回収装置充填物55の表面上の冷却水との気液接触により冷却されて湿り蒸気となり、その排ガス中の湿分の一部は凝縮して回収される。その後、上方の散水部54側に向かって流れる排ガスは、散水部54から散布された冷却水との気液接触によっても冷却され、その排ガス中の湿分の一部が凝縮して回収される。つまり、排ガス流路31から容器本体部51内に流入した排ガスは、散水部54(水回収装置散水ノズル54b)より下側の領域において冷却水により冷却される。このように、排ガス流路31から容器本体部51内に流入した排ガス中に含まれる湿分の一部は凝縮して回収され、その結果、排ガス中の湿分含有率が低下する。
【0026】
水回収装置充填物55は、多数の孔や溝や切欠きなどを有しており、その表面積が大きいので、排ガスと冷却水との気液接触の効率を高めることができる。また、散水部54は、複数の冷却水枝管54aと、各冷却水枝管54aにそれぞれ設けた複数の水回収装置散水ノズル54bとで構成されているので、容器本体部51内の排ガスの通過部分に対して均一に冷却水を散布することができる。その結果、排ガスと冷却水との気液接触の効率を高めることができる。
【0027】
一方、バイパス配管40を流通した一部の排ガスは、複数の排ガスバイパスノズル42から上方に向かって容器本体部51内に噴出し、容器本体部51内における散水部54よりも上側の領域において、容器本体部51内で冷却された排ガスと混合する。混合された排ガスは、水回収装置32の絞り流路部53を経て排出部52から排出される。
【0028】
本実施の形態においては、バイパス配管40の下流側端部のバイパス枝管部41及び排ガスバイパスノズル42を、散水部54よりも上側、すなわち排ガスが冷却水で冷却される領域よりも排ガスの流れ方向下流側に配置しているので、バイパス配管40を介して水回収装置32内に流入する排ガスは、散水部54からの冷却水による冷却を回避することができる。つまり、バイパス配管40は、排ガス流路31からの排ガスの一部が水回収装置32内における冷却水による冷却を回避するように流通する(水回収装置充填物55及び散水部54を迂回する)バイパス流路として機能する。このため、バイパス配管40からの排ガスは、容器本体部51内で冷却された排ガスよりも高温となっている。したがって、冷却された排ガスは、バイパス配管40からの高温の排ガスと混合されることにより加熱される。
【0029】
ところで、水回収装置の下流の煙突や排ガス流路は、一般的に、大気への拡散を考慮して10〜20m/sの高流速設計がなされている。このため、高温の排気ガスを、水回収装置を迂回させて水回収装置の下流の煙突等に流入するように構成しても、水回収装置を迂回させた高温の排ガスと水回収装置を通過して冷却された排ガスとの十分な混合を図ることができない。それに対して、本実施の形態においては、水回収装置の下流の煙突や排ガス流路よりも排ガスの流速が低速である容器本体部51にバイパス配管40を接続しているので、バイパス配管40からの排ガスと容器本体部51内で冷却された排ガスとの十分な混合を図ることができる。
【0030】
また、バイパス配管40は、その下流側端部に複数の排ガスバイパスノズル42を設けたバイパス枝管部41を複数有しているので、バイパス配管40を介して流入した高温の排ガスと容器本体部51内で冷却された排ガスとの均一な混合を図ることができる。このため、冷却された排ガスの全体が確実に加熱され、冷却された排ガスの一部が湿り蒸気のまま水回収装置32から排出されることを防止することができる。
【0031】
このように、本実施の形態の構成の特徴は、水回収装置32の下流の煙突や排ガス流路よりも排ガスの流速が低速である水回収装置32内に、水回収装置充填物55及び散水部54を通過した排ガスとこれらをバイパスした排ガスとの均一な混合を図ることができるバイパス配管40の排ガス混合部(バイパス枝管部41と排ガスバイパスノズル42)を配置した点にある。
【0032】
また、水回収装置32で回収した回収水は、水回収循環水ポンプ37により回収水送出管路35を介して水回収循環水冷却器34に送出される。この回収水は、水回収循環水冷却器34で冷却された後、冷却水供給管路36を介して水回収装置32に冷却水として再び供給される。
【0033】
なお、この排ガス処理システム3のうち、水回収装置32と循環冷却系統33は、増湿塔21(
図1参照)でガスタービンシステム1(
図1参照)に投入した水分や燃料の燃焼により生成された水分など排ガスに含まれる湿分を回収する水回収システムと見なすことができる。
【0034】
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第1の実施の形態における白煙の発生の防止効果を
図2及び
図4を用いて説明する。
図4は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの第1の実施の形態における排ガス温度と絶対湿度との関係を示す特性図である。
図4中、縦軸hは絶対湿度を、横軸Tは排ガス温度を示している。図中の太線aは水の飽和線を、矢印は排ガス状態の大気放出までの推移を示している。なお、
図4において、
図1乃至
図3に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図4において、飽和線aよりも下側の領域で排ガスの状態が推移すれば、白煙の発生を防止できる。
図2に示す水回収装置32内で冷却された排ガスは、水回収装置32内の散水部54における温度(混合前の温度)の飽和線上の位置αにある。飽和線上の位置αにある排ガスは、水回収装置充填物55及び散水部54(排ガスの冷却される領域)をバイパス配管40を介してバイパスした排ガスとの均一な混合により、水回収装置32の排出部52における温度(混合後の温度)の位置βに移動する。この理由は、水回収装置充填物55及び散水部54をバイパスした排ガスは、水回収装置充填物55及び散水部54を通過したガスよりも高温であるため、混合した排ガスの温度は、混合前の冷却された排ガスの温度よりも上昇する。また、水回収装置充填物55及び散水部54をバイパスした排気ガスは、水回収装置充填物55及び散水部54を通過したガスよりも絶対湿度が高いため、混合後の排ガスの絶対湿度は、混合前の冷却された排ガスの絶対湿度よりも増加するが、飽和線aよりも下側に位置する。この状態から煙突を介して大気へ排出された排気ガスは、大気中へ水分を放出しながら大気温度まで低下する。白煙は、飽和線aに接触したところで大気中に水分を急速に放出し飽和しきれなかった分が生じて発生するので、
図4で示す状態変化をたどれば、白煙が発生することはない。
【0036】
このように、排ガス流路31から水回収装置32内に流入した排ガスは、散水部54からの冷却水より冷却されて湿り蒸気となり、その排ガス中の湿分の一部が凝縮して回収される。絶対湿度の低下した湿り蒸気の排ガスは、バイパス配管40を介して水回収装置32内に流入した高温の排ガスと均一に混合されることにより全体が確実に加熱される。このため、混合された排ガスは、大気中に放出されても、その状態が飽和線aよりも下側の領域で推移するので、白煙の発生が防止される。
【0037】
上述したように、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第1の実施の形態によれば、水回収装置32の下流の煙突や排ガス流路よりも排ガスの流れが低速である水回収装置32内における、散水部54よりも上側(排ガスの冷却される領域よりも排ガスの流れ方向下流側)に、水回収装置32内の冷却を回避するバイパス配管(バイパス流路)40の下流側端部を位置させることにより、冷却された排ガスをバイパス配管(バイパス流路)40からの高温の排ガスと十分に混合させることができるので、冷却された排ガスを加熱するための加熱器を設置することなく、白煙の発生の防止が可能となる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、バイパス配管40の上流側端部を水回収装置32の上流にある排ガス流路31に接続すると共に、その下流側端部を水回収装置32内の散水部54よりも上側(排ガスの冷却される領域よりも排ガスの流れ方向下流側)に配置するので、バイパス配管40を流通する排ガスは、散水部54から散布された冷却水による影響を確実に回避することができる。
【0039】
[第1の実施の形態の変形例]
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第1の実施の形態の変形例を
図5を用いて説明する。
図5は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第1の実施の形態の変形例を示す構成図である。
図5中、矢印は排ガスや排ガス処理システムの循環冷却系統の流れの方向を示している。なお、
図5において、
図1乃至
図4に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図5に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第1の実施の形態の変形例は、第1の実施の形態の構成に追加して、バイパス配管40に、排ガスのバイパス流量を調整する排ガスバイパスダンパ43を設けたものである。排ガス処理システム3Aにおいては、煙突出口(図示せず)の白煙の発生の有無に応じて排ガスバイパスダンパ43の開度を制御することにより、バイパス配管40を流通する排ガスのバイパス流量と水回収装置32内で冷却される排ガスの流量とを適切な比率に調整する。
【0041】
上述した本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第1の実施の形態の変形例によれば、前述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、水回収装置32内の水回収装置充填物55及び散水部54(排ガスの冷却される領域)をバイパスするバイパス配管40に排ガスの流量を調整する排ガスバイパスダンパ43を設けたので、排ガスバイパスダンパ43で排ガスのバイパス流量を調整することにより、白煙の発生を確実に防止することができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第2の実施の形態を
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第2の実施の形態を示す構成図、
図7は
図6に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第2の実施の形態の一部を構成する水回収装置をVII−VII矢視から見た概略横断面図である。
図6及び
図7中、矢印は排ガスや排ガス処理システムの循環冷却系統の流れの方向を示している。なお、
図6及び
図7において、
図1乃至
図5に示す符号と同符号ものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図6及び
図7に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第2の実施の形態は、第1の実施の形態のバイパス配管40の代わりに、水回収装置32の容器本体部51内に配設した複数の内部バイパス管路40Bを用いるものである。具体的には、
図6に示すように、排ガス処理システム3Bの各内部バイパス管路40Bは、上下方向(排ガスの流れ方向)に延在して水回収装置充填物55を貫通している。内部バイパス管路40Bの上側端部(下流側端部)は、散水部54より上側(排ガスの流れ方向下流側)に位置している。これら複数の内部バイパス管路40Bは、
図7に示すように、千鳥状に配置されている。
【0045】
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第2の実施の形態の作用を
図6及び
図7を用いて説明する。
図6に示す排ガス流路31から水回収装置32の下部に流入した排ガスのうち、その大部分は、第1の実施の形態と同様に、水回収装置充填物55を通過することで、冷却水との気液接触により冷却されて湿り蒸気となり、その排ガス中の湿分の一部は凝縮して回収される。さらに、散水部54から散布された冷却水との気液接触によっても冷却され、その排ガス中の湿分の一部が凝縮して回収される。
【0046】
一方、残りの排ガスは、複数の内部バイパス管路40Bを介して散水部54の上方に流出し、容器本体部51内における散水部54よりも上側の領域において、容器本体部51内で冷却された排ガスと混合する。各内部バイパス管路40Bを流通する排ガスは、水回収装置充填物55及び散水部54をバイパスするので、散水部54からの冷却水による冷却を回避することができる。つまり、内部バイパス管路40Bは、排ガス流路31からの排ガスの一部が水回収装置32内における冷却水による冷却を回避するように流通するバイパス流路として機能する。このため、内部バイパス管路40Bからの排ガスは、容器本体部51内で冷却された排ガスよりも高温となっており、冷却された排ガスを加熱することができる。
【0047】
本実施の形態においては、水回収装置の下流の煙突や排ガス流路よりも排ガスの流速が低速である容器本体部51内において、内部バイパス管路40Bからの排ガスと容器本体部51内で冷却された排ガスとが混合されるので、これらの排ガスの十分な混合を図ることができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、
図7に示すように、複数の内部バイパス管路40Bを千鳥状に配置しているので、内部バイパス管路40Bからの高温の排ガスと容器本体部51内で冷却された排ガスとの均一な混合を図ることができる。このため、冷却された排ガスの全体が確実に加熱され、冷却された排ガスの一部が湿り蒸気のまま水回収装置32から排出されることを防止することができる。
【0049】
上述した本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施の形態よれば、散水部54からの冷却水による冷却を回避するためのバイパス流路として、水回収装置32内に配設する内部バイパス管路40Bを用いるので、水回収装置32の据付前に内部バイパス管路40Bを予め水回収装置32に設置することができる。このため、水回収装置32及び排ガス流路31に接続しなければならないバイパス配管40をバイパス流路として用いる第1の実施の形態の場合よりも施工が容易となる。
【0051】
さらに、本実施の形態よれば、容器本体部51内で冷却された排ガスとバイパスした排ガスとの均一な混合を図る構造体を、水回収装置32内に配設した複数の内部バイパス管路40Bで構成しているので、複数のバイパス枝管部41と、各バイパス枝管部41に設けた複数の排ガスバイパスノズル42とで構成する第1の実施の形態の場合と比較して、簡素な構成となり、その結果、製造コストを低減することができる。
【0052】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第3の実施の形態を
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第3の実施の形態を示す構成図、
図9は
図8に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムの第3の実施の形態の一部を構成する水回収装置をIX−IX矢視から見た概略横断面図である。
図8及び
図9中、矢印は排ガスや排ガス処理システムの循環冷却系統の流れの方向を示している。なお、
図8及び
図9において、
図1乃至
図7に示す符号と同符号ものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0053】
図8及び
図9に示す本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第3の実施の形態は、第2の実施の形態の内部バイパス管路40Bの代わりに、水回収装置32の容器本体部51の側壁面部(排ガスの流れ方向に平行な壁面部)の内側に沿って形成された内部バイパス流路40Cを用いるものである。
【0054】
具体的には、
図8及び
図9に示すように、排ガス処理システム3Cの内部バイパス流路40Cは、容器本体部51の側壁面部と、容器本体部51の側壁面部の内側に間隔をあけて側壁面部に対向するように設置された内部仕切部材44とで形成されている。内部仕切部材44は、上下方向(排ガスの流れ方向)において、少なくとも、水回収装置充填物55の下端から水回収装置散水ノズル54bよりも上側(排ガスの流れ方向下流側)に延在している。また、内部仕切部材44は、例えば、略立方体状の容器本体部51の対向する側壁面部にそれぞれ設置されている。つまり、内部バイパス流路40Cが2つ形成されている。
【0055】
本実施の形態においては、内部バイパス流路40Cを、散水部54よりも上側に延在するように形成しているので、内部バイパス流路40Cを流通する排ガスは、散水部54からの冷却水による冷却を回避することができる。つまり、内部バイパス流路40Cは、排ガス流路31からの排ガスの一部が水回収装置32内における冷却水による冷却を回避するように流通するバイパス流路として機能する。このため、内部バイパス流路40Cから流出した排ガスは、容器本体部51内で冷却された排ガスよりも高温となっており、冷却された排ガスを加熱することができる。
【0056】
また、本実施の形態においても、水回収装置32の下流の煙突や排ガス流路よりも排ガスの流速が低速である容器本体部51において、内部バイパス流路40Cからの排ガスと容器本体部51内で冷却された排ガスとが混合されるので、これらの排ガスの十分な混合を図ることができる。
【0057】
上述した本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステム及びその排ガス処理システムの第3の実施の形態によれば、前述した第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、容器本体部51の側壁面部の内側に内部仕切部材44を設置することにより内部バイパス流路40Cを形成することができるので、水回収装置32内に複数の内部バイパス管路40Bを配設する第2の実施の形態の場合よりも、部材点数を削減することができ、その結果、水回収装置32内の施工も容易となる。
【0059】
[その他の実施形態]
なお、上述した第1乃至第3の実施の形態においては、水回収装置として、下から上向きに排ガスが流れる縦型の水回収装置32を用いた例を示したが、例えば、
図10に示すように、排ガスが横方向(
図10では、左から右方向)に流れる横型の水回収装置32Dを用いることも可能である。排ガス流路31から容器本体部51内に流入した排ガスは、散水部54の延在している左右方向の領域において冷却されて湿り蒸気となり、その排ガス中の湿分の一部は凝縮して回収される。
図10は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムのその他の実施の形態の一例を示す構成図である。
図10中、矢印は排ガスや排ガス処理システムの循環冷却系統の流れの方向を示している。なお、
図10において、
図1乃至
図9に示す符号と同符号ものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0060】
この場合、排ガス処理システム3Dのバイパス配管40の下流側端部(バイパス枝管部41及び排ガスバイパスノズル42)を、水回収装置32Dの容器本体部51内における散水部54の右側端部(排ガスの流れ方向の最下流端)よりも右側(排ガスの流れ方向下流側)に配置する。これにより、前述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、バイパス配管40の代わりに、第2の実施の形態の内部バイパス管路40Bを水回収装置32D内に横向きに延在するように配設することや第3の実施の形態の内部バイパス流路40Cを水回収装置32D内に横向きに延在するように形成するも可能である。
【0061】
また、上述した実施の形態においては、水回収装置として、散水部54から冷却水を散布して排ガスを気液接触により冷却する水回収装置32を用いた例を示したが、例えば、
図11に示すように、熱交換器61を介して排ガスを冷却する水回収装置32Eを用いることも可能である。
図11は本発明の高湿分空気利用ガスタービンシステムの排ガス処理システムのその他の実施の形態の別の一例を示す構成図である。
図11中、矢印は排ガスや熱交換器の冷媒の流れの方向を示している。なお、
図11において、
図1乃至
図10に示す符号と同符号ものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0062】
具体的には、排ガス処理システム3Eにおいて、水回収装置32Eの容器本体部51内における排ガス流路31との接続部分よりも上側(排ガスの流れ方向下流側)に、容器本体部51内を流通する排ガスと伝熱管を流れる冷媒との間で熱交換を行う熱交換器61が設置されている。熱交換器61の冷媒は、ポンプ62により冷却器63に送られて冷却され、循環配管64を介して再度熱交換器61に流入する。排ガス流路31から容器本体部51内に流入した排ガスは、熱交換器61の領域で冷却されて湿り蒸気となり、その排ガス中の湿分の一部は凝縮して回収される。
【0063】
この場合、バイパス配管40の下流側端部(バイパス枝管部41及び排ガスバイパスノズル42)を、容器本体部51内における熱交換器61の上側端部(排ガスの流れ方向の下流側端部)よりも上側(排ガスの流れ方向下流側)に配置する。これにより、前述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、バイパス配管40の代わりに、第2の実施の形態の内部バイパス管路40Bや第3の実施の形態の内部バイパス流路40Cを用いることも可能である。
【0064】
また、上述した実施の形態においては、ガスタービンシステム1が吸気加湿装置11を含むように構成された例を示したが、高湿分空気利用ガスタービンシステムのガスタービンシステムは、吸気加湿装置を含まない構成も可能である。ただし、吸気加湿装置11を含む構成の方が、システムとして、出力増加と発電効率の向上を図ることができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態においては、増湿再生サイクルシステム2を、増湿塔21と再生器22と節炭器23と空気冷却器24と増湿塔循環水ポンプ25と増湿塔補給水ポンプとで構成した例を示したが、増湿再生サイクルシステムは少なくとも増湿塔と再生器とを含む構成であればよい。また、例えば排熱回収ボイラのような別の増湿システムであっても良い。
【0066】
また、上述した第1の実施の形態においては、バイパス枝管部41及び排ガスバイパスノズル42を容器本体部51に配置した例を示したが、排出部52よりも流路断面積の大きい絞り流路部53にバイパス枝管部41及び排ガスバイパスノズル42を配置することも可能である。ただし、水回収装置充填物55及び散水部54を通過した排ガスとこれらをバイパスする排ガスとの均一な混合を図るためには、散水部54と絞り流路部53との間の空間にバイパス枝管部41及び排ガスバイパスノズル42を配置することが望ましい。
【0067】
なお、上述した第2の実施の形態においては、内部バイパス管路40Bを千鳥状に配置した例を示したが、水回収装置充填物55及び散水部54を通過した排ガスとそれらをバイパスした排ガスとの均一な混合が可能な配置であれば任意である。例えば、正方状の配置も好適である。少なくとも、複数の内部バイパス管路40Bを互いに間隔をあけて配置することで均一な混合が可能である。
【0068】
また、本発明は上述した第1乃至第3の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。