【文献】
高橋知敦,“印鑑照合システム 金融機関における導入事例”,沖テクニカルレビュー,沖電気工業株式会社,2003年 2月14日,第70巻, 第1号,p.40-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の情報処理装置について
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態の情報処理装置の一例を示す図である。
【0012】
情報処理装置1は、印影画像を処理する装置である。情報処理装置1は、制御部2を有する。制御部2が実行する処理は、印影画像を処理するプログラムとして提供できる。
制御部2は、印影画像である第1画像3を取得する。たとえば、制御部2は、公共機関や金融機関のデータベースに予め登録されている登録印の印影画像のデータを第1画像3として取得する。
【0013】
制御部2は、第1画像3を分割した分割領域ごとに分割領域内の画像のみを残した第2画像をそれぞれ生成する。言い換えると、制御部2は、第1画像3を分割した分割領域それぞれについて、分割領域以外の部分を第1画像3における背景の色に基づき塗潰し第1画像3と同じサイズとした画像である第2画像A4aと第2画像B4bとを生成する。たとえば、制御部2は、第1画像3を上下に分割した分割領域それぞれについて、分割領域以外の部分を背景色とした第2画像A4a、第2画像B4bを生成する。背景色とは、印影画像における印影色以外の色である。たとえば、第1画像3が黒色と白色の2色の画像であり、印影色が黒色である場合、背景は白色となる。
【0014】
制御部2は、第1画像3の印影色の画像である第3画像5を生成する。言い換えると、制御部2は、第1画像3を第1画像3における印影の色に基づき塗潰した画像である第3画像5を生成する。たとえば、印影色が黒色である場合、制御部2は、第1画像3と同じ大きさ(同じ画像サイズ)を黒色で塗潰した画像を第3画像5として生成する。
【0015】
制御部2は、表示順序を指定した第2画像A4aと第2画像B4bと第3画像5とを含む第4画像を生成する。たとえば、制御部2は、第2画像A4aを、表示順序「1」の第4画像A6aとする。また、制御部2は、第3画像5を、表示順序「2」の第4画像B6bとする。また、制御部2は、第2画像B4bを、表示順序「3」の第4画像C6cとする。また、制御部2は、第3画像5を、表示順序「4」とする第4画像D6dとする。
【0016】
情報処理装置1は、第4画像A6aと、第4画像B6bと、第4画像C6cと、第4画像D6dとを表示順序に従って連続表示させることにより、1つの印影が表示された画像として人間に目視させることが可能である。しかし、カメラなどの撮影機器で撮影した場合、第4画像A6a、第4画像B6b、第4画像C6c、第4画像D6dのいずれかが撮影されることとなる。このため、第4画像を連続表示した画像について、撮影機器が印影の全体を撮影することは困難である。
【0017】
また、情報処理装置1は、第2画像を連続表示し1つの印影として表示される周期において、第3画像を少なくとも2枚表示する表示順序とする。これにより、情報処理装置1が表示した印影画像について、撮影機器が撮影速度を変更して撮影した場合であっても、第2画像のみを連続して撮影できず、第3画像が撮影されることとなる。このため、第4画像を連続表示した画像について、撮影機器が印影の全体を撮影することは困難である。
【0018】
このようにして、情報処理装置1は、印影画像を表示する際に、表示した印影画像を盗撮されることによる印鑑の偽造防止を図ることができる。また、情報処理装置1は、印影画像の表示におけるセキュリティを向上できる。
【0019】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態として、情報処理装置1をサーバに適用した印影画像処理システムについて
図2を用いて説明する。
図2は、第2の実施形態の印影画像処理システムの一例を示す図である。
【0020】
金融機関や公共機関などにおける印影画像処理システム400は、予め登録されている印章(登録印)の印影画像を、要求に応じて提供するシステムである。
印影画像処理システム400は、複数のクライアント100,110を含み、クライアント100,110はサーバ300とネットワーク200を介して情報を送受信する。
【0021】
サーバ300は、データベース350を管理し、クライアント100,110との間で印影画像の処理に用いる情報の送受信を行うコンピュータなどの情報処理装置である。また、サーバ300は、クライアントから送信されたパスワードの認証処理や、データベース350に保持された印影画像の画像処理ができる。
【0022】
データベース350は、登録印の印影画像を保持するデータベースである。データベース350は、クライアントからの印影画像の要求に先立ち、予め印影画像を保持する。データベース350は、印影画像と対応づけて、支店番号や口座番号などを保持する。なお、支店番号や口座番号などは、印影画像を特定する識別情報に相当する。
【0023】
ネットワーク200は、クライアント100,110とサーバ300との間で情報を送受信する有線ネットワークや無線ネットワークなど、各種ネットワークを含む。
クライアント100,110は、サーバ300と情報を送受信するコンピュータなどの情報処理装置である。クライアント100はコンピュータの一例であり、クライアント110は携帯端末やタブレット端末などの一例である。なお、これらはクライアントの一例に過ぎず、その他の装置をクライアントとして用いてもよい。
【0024】
ここで、金融機関などの担当者が、クライアントを用いて印影画像を表示する処理について説明する。担当者は、クライアントでログインID(Identifier)とパスワードを入力し、ネットワーク200を介してサーバ300へログインする。サーバ300におけるログイン認証後、担当者は、クライアントを用いて支店番号や口座番号などの識別情報を入力し、サーバ300へ送信する。担当者は、クライアントを用いて、識別情報に対応する印影画像をサーバ300から受信する。担当者は、受信した印影画像をクライアントで表示し、印影を目視する。
【0025】
次に、第2の実施形態のサーバのハードウェア構成について
図3を用いて説明する。
図3は、第2の実施形態のサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
サーバ300は、制御部310を含む。制御部310は、プロセッサ311、RAM(Random Access Memory)312、HDD(Hard Disk Drive)313、入出力信号インタフェース314、記憶媒体インタフェース315、通信インタフェース316を含む。サーバ300は、プロセッサ311によって装置全体が制御されている。プロセッサ311には、バス317を介してRAM312と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ311は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ311は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。また、プロセッサ311は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0026】
RAM312は、サーバ300の主記憶装置として使用される。RAM312には、プロセッサ311に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に記憶される。また、RAM312には、プロセッサ311による処理に必要な各種データが記憶される。
【0027】
バス317に接続されている周辺機器としては、HDD313、入出力信号インタフェース314、記憶媒体インタフェース315および通信インタフェース316がある。
HDD313は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD313は、サーバ300の補助記憶装置として使用される。HDD313には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが記憶される。なお、HDD313に限らず、SSD(Solid State Drive)を使用することもできる。なお、補助記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0028】
入出力信号インタフェース314には、入出力デバイス318が接続されている。入出力デバイス318は、入力デバイスと出力デバイスを含む。入力デバイスの一例として、キーボードや、マウスや、タッチパネルなどがある。また、出力デバイスの一例には、モニタや、液晶表示や、各種パネル表示装置などがある。
【0029】
入出力信号インタフェース314は、キーボードやマウスから送られてくる信号をプロセッサ311に送信する。なお、マウスは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0030】
入出力デバイス318の出力デバイスは、プロセッサ311からの命令に従って、画像をモニタ画面に表示させる。モニタとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0031】
記憶媒体インタフェース315は、磁気やレーザなどを利用して記憶媒体319に記録されたデータの読み取りや書き込みを行う。また、記憶媒体インタフェース315は、半導体メモリなどの記憶媒体に記録されたデータの読み取りを行うものであってもよい。記憶媒体319とは、たとえば、光ディスクや、フラッシュメモリなどの半導体メモリなどを含む。光ディスクは、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc ? Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0032】
記憶媒体インタフェース315は、サーバ300に周辺機器を接続するための通信インタフェースとしても用いることができる。たとえば、記憶媒体インタフェース315には、メモリ装置やメモリリーダライタを接続することができる。メモリ装置は、記憶媒体インタフェース315との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタは、メモリカードへのデータの書き込み、またはメモリカードからのデータの読み出しを行う装置である。メモリカードは、カード型の記録媒体である。
【0033】
通信インタフェース316は、データベース350とネットワーク200に接続されている。通信インタフェース316は、他のコンピュータ、記憶装置、または通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0034】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施形態のサーバ300の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施形態の情報処理装置1も、
図3に示したサーバ300のハードウェア構成で実現できる。なお、第2の実施形態のクライアントも、
図3に示したサーバ300のハードウェア構成で実現できる。
【0035】
サーバ300は、たとえばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。サーバ300に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。たとえば、サーバ300に実行させるプログラムをHDD313に記憶しておくことができる。プロセッサ311は、HDD313内のプログラムの少なくとも一部をRAM312にロードし、プログラムを実行する。また、サーバ300に実行させるプログラムを、光ディスク、メモリ装置、メモリカードなどの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に記憶されたプログラムは、たとえばプロセッサ311からの制御により、HDD313にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ311が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0036】
次に、印影画像登録情報について
図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施形態の印影画像登録情報の一例を示す図である。
印影画像登録情報500は、予め登録された登録印に係る情報であり、データベース350に記憶される。
【0037】
印影画像登録情報500は、店番号と科目コードと口座番号と登録印の印影画像とを含む。店番号は、金融機関などの本店や支店を識別する符号である。科目コードは、普通口座、当座口座、貯蓄口座などの口座種別を識別する符号である。口座番号は、口座を識別する符号である。印影画像は、口座に対応する登録印の印影画像のイメージデータである。なお、印影画像登録情報に、口座所有者の氏名や法人名などを含めることもできる。なお、店番号と科目コードと口座番号は、識別情報の一例に過ぎず、他のものを識別情報としてもよい。
【0038】
次に、第2の実施形態のサーバ処理について
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施形態のサーバ処理のフローチャートを示す図である。
サーバ処理は、サーバ300が実行する処理の全体の流れを示したものである。制御部310のプロセッサ311は、クライアントからのログインを認証し許可した後で、サーバ処理を実行する。
【0039】
[ステップS11]プロセッサ311は、クライアントから印影画像要求を受信する。印影画像要求は、印影画像を要求する情報であり、印影画像を特定する識別情報が含まれている。プロセッサ311は、たとえば、識別情報として、店番号、科目コード、口座番号を受信する。
【0040】
[ステップS12]プロセッサ311は、印影画像要求で特定された印影画像を、データベース350から取得する。
[ステップS13]プロセッサ311は、印影画像分割処理を実行する。印影画像分割処理は、取得した印影画像を分割し、分割画像を生成する処理である。印影画像分割処理は、
図6を用いて後で説明する。
【0041】
[ステップS14]プロセッサ311は、塗潰し画像差込処理を実行する。塗潰し画像差込処理は、印影画像分割処理で生成した分割画像の間に、塗潰し画像を差し込む処理である。塗潰し画像差込処理は、
図10を用いて後で説明する。
【0042】
[ステップS15]プロセッサ311は、画像送信処理を実行する。画像送信処理は、分割画像と塗潰し画像とをクライアントへ送信する処理である。画像送信処理は、
図12を用いて後で説明する。
【0043】
次に、第2の実施形態の印影画像分割処理について
図6〜9を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態の印影画像分割処理のフローチャートを示す図である。
図7は、第2の実施形態の分割領域の設定イメージの一例を示す図である。
図8は、第2の実施形態の分割画像の一例を示す図である。
図9は、第2の実施形態の分割画像の表示順序の一例を示す図である。
【0044】
印影画像分割処理は、取得した印影画像を分割し、分割画像を生成する処理である。印影画像分割処理は、サーバ処理のステップS13で、制御部310のプロセッサ311が実行する処理である。
【0045】
[ステップS21]プロセッサ311は、取得した印影画像の水平方向画像分割サイズを決定する。ここで、水平方向画像分割サイズについて、分割領域の設定イメージ600(
図7に示す)を用いて説明する。水平方向画像分割サイズ602(
図7に示す)は、印影画像の水平方向の長さである水平方向画像サイズ601(
図7に示す)を水平方向分割数で割った値である。水平方向分割数は、予め定められた数であっても良いし(たとえば、
図7においては「4」)、管理者が設定する値であってもよい。また、水平方向分割数は、印影表示部分606(
図7に示す)の形状や文字サイズなどに応じて設定する値であってもよい。なお、印影表示部分606は、印影画像における印影を表示した部分である(たとえば、
図7においては印文「澤田」を囲む円形枠および円形枠内側の部分)。
【0046】
[ステップS22]プロセッサ311は、取得した印影画像の垂直方向画像分割サイズを決定する。垂直方向画像分割サイズ604(
図7に示す)は、印影画像を垂直方向の長さである垂直方向画像サイズ603(
図7に示す)を垂直方向分割数で割った値である。なお、
図7において、水平方向分割数と垂直方向分割数はともに「4」であるが、異なる値であってもよい。垂直方向分割数は、予め定められた数であっても良いし、管理者が設定する値であってもよい。また、垂直方向分割数は、印影表示部分606の形状や文字サイズなどに応じて設定する値であってもよい。
【0047】
ここで、プロセッサ311が、印影表示部分606の形状や文字サイズなどに応じて水平方向分割数と垂直方向分割数を設定する場合について説明する。たとえば、プロセッサ311は、印影画像の印影表示部分606が複数個に分割(
図7では、9分割)するように、水平方向分割数と垂直方向分割数を設定する。印影画像における印影表示部分606の大きさや形状などは、捺印された印影の大きさや形状などによって異なる。このため、印影画像には、印影表示部分606以外の余白部分が多い印影画像が存在する。印影画像の大きさや外周形状のみで水平方向分割数と垂直方向分割数とを設定した場合、プロセッサ311は、セキュリティ向上に寄与する分割画像を生成できないことがある。たとえば、印影表示部分606が上半分の領域に収まる大きさである場合、プロセッサ311は、印影画像を上下に2分割して分割画像を生成しても印影表示部分606が分割できない。このため、プロセッサ311は、印影表示部分606を複数個に分割するように、印影表示部分606の形状や文字サイズなどに応じて水平方向分割数と垂直方向分割数を設定する。
【0048】
[ステップS23]プロセッサ311は、印影画像の分割位置の初期値(分割初期位置)を設定する。分割初期位置605(
図7に示す)は、印影画像を分割する最初の位置である。なお、分割初期位置605は、
図7に示す例では印影画像の左上角の位置であるが、その他の位置でもよい。
【0049】
[ステップS24]プロセッサ311は、分割位置に基づき、印影画像を分割する。プロセッサ311は、分割位置を起点とし、横の長さを水平方向画像分割サイズ602とし、縦の長さを垂直方向画像分割サイズ604とした矩形領域として印影画像を分割する。印影画像を分割した各領域は、4行4列のマトリクス状に区分された16個の分割領域(
図7に示す)で示される。各分割領域は、行と列によって識別可能であり、たとえば、左上の分割領域は分割領域a1として識別され、右下の分割領域は分割領域d4として識別される。
図7の例においては、印影画像の分割数は水平方向と垂直方向ともに「4」である。なお、印影画像の分割下限数は、水平方向「2」および垂直方向「1」、または水平方向「1」および垂直方向「2」のいずれかである。
【0050】
[ステップS25]プロセッサ311は、ステップS24で分割した分割領域が印影色(印影画像における印影の表示色)を含むか否かを判定する。たとえば、プロセッサ311は、分割領域a1,a2,a3,b1,b2,b3,c1,c2,c3(
図7に示す)について印影色を含む領域であると判定する。また、プロセッサ311は、分割領域a4,b4,c4,d1,d2,d3,d4(
図7に示す)について印影色を含まない領域であると判定する。プロセッサ311は、分割領域が印影色を含む場合はステップS26にすすみ、印影色を含まない場合はステップS28にすすむ。
【0051】
[ステップS26]プロセッサ311は、ステップS24で分割した分割領域に基づき、分割画像を生成する。プロセッサ311は、印影画像について分割領域以外の部分を印影画像の背景の色(背景色)で塗潰した画像を生成する。
【0052】
ここで、プロセッサ311が生成する分割画像610(
図8に示す)について説明する。たとえば、ステップS24で分割領域a1を分割した場合、プロセッサ311は、印影画像の分割領域a1以外の部分を背景色で塗潰し、分割画像a1p611(
図8に示す)を生成する。なお、背景色とは、印影画像における印影色以外の部分の色である。たとえば、印影画像において、印影色が黒色であり印影色以外の部分の色が白色である場合、分割画像a1p611の背景色は白色となる。以降も同様にして、ステップS24で分割領域a2を分割した場合、プロセッサ311は、分割領域a2以外の部分を背景色で塗潰し分割画像a2p612(
図8に示す)を生成する。同様にして、プロセッサ311は、分割画像a3p613、分割画像b1p614、分割画像b2p615、分割画像b3p616、分割画像c1p617、分割画像c2p618、分割画像c3p619(
図8に示す)を生成する。
【0053】
なお、分割領域以外の部分を塗潰す色は、背景色と同一色に限られず、類似色などであってもよい。たとえば、背景色が薄黄色である場合、プロセッサ311は分割領域以外の部分を塗潰す色を白色と決定してもよい。
【0054】
なお、プロセッサ311は、印影色を含む分割領域(言い換えると、印影表示部分606を含む分割領域)のみ、分割画像を生成する対象とする。この理由は、印影色を含まない背景色のみの分割画像が存在する場合、表示順序によっては印影色を含む分割画像の間に塗潰し画像が入らず、分割画像を連続表示する際におけるセキュリティ向上に支障が生じるおそれがあるためである。また、プロセッサ311は、背景色のみの分割画像を生成することを要せず、分割画像の数を抑制することができる。これにより、プロセッサ311は、クライアントへ送信する画像のデータ量を抑制することができる。
【0055】
[ステップS27]プロセッサ311は、生成した分割画像に表示順序を割当てる。プロセッサ311は、表示順序の初期値を「1」とし、以降は昇順に「2、3、4、…」と分割画像に対して表示順序を割当てる。たとえば、プロセッサ311は、最初に生成した分割領域a1を含む分割画像a1pに対して表示順序「1」を割当てる(
図9に示す)。以降も同様にして、分割画像c3pに対して表示順序「9」を割当てる(
図9に示す)。
【0056】
[ステップS28]プロセッサ311は、印影画像の分割位置を決定する。プロセッサ311は、分割位置から右水平方向へ水平方向画像分割サイズ602移動した位置を、新たな分割位置として決定する。なお、プロセッサ311は、分割位置が印影画像の右端から水平方向画像分割サイズ602左水平方向に位置する場合(言い換えると、右端まで分割済みの場合)、印影画像の左端かつ下へ垂直方向画像分割サイズ604移動した位置を新たな分割位置として決定する。
【0057】
[ステップS29]プロセッサ311は、印影画像の分割が完了したか否かを判定する。たとえば、プロセッサ311は、ステップS28で決定した分割位置が、印影画像の左端下に位置する場合、印影画像の分割が完了したと判定できる。
【0058】
プロセッサ311は、印影画像の分割が完了していないと判定した場合はステップS24にすすみ、印影画像の分割が完了したと判定した場合は処理を終了する。
次に、第2の実施形態の塗潰し画像差込処理について
図10、
図11を用いて説明する。
図10は、第2の実施形態の塗潰し画像差込処理のフローチャートを示す図である。
図11は、第2の実施形態の分割画像および塗潰し画像の表示順序の一例を示す図である。
【0059】
塗潰し画像差込処理は、印影画像分割処理で生成した分割画像の間に、塗潰し画像を差し込む処理である。塗潰し画像差込処理は、サーバ処理のステップS14で、制御部310のプロセッサ311が実行する処理である。
【0060】
[ステップS31]プロセッサ311は、塗潰し画像の色と塗潰し画像の領域とを決定する。プロセッサ311は、ステップS12で取得した印影画像の印影色と同一色を塗潰し画像の色として決定し、横の長さ水平方向画像サイズ601と縦の長さ垂直方向画像サイズ603の矩形の領域を塗潰し画像の領域として決定する。たとえば、印影画像において印影色が黒色である場合、プロセッサ311は塗潰し画像の色を黒色として決定できる。また、プロセッサ311は、印影画像と同じ大きさの矩形領域を塗潰し画像の領域として決定できる。
【0061】
なお、塗潰し画像の色は、印影色と同一色に限られず、類似色などであってもよい。たとえば、印影色が朱色である場合、プロセッサ311は塗潰し画像の色を赤色と決定してもよい。
【0062】
[ステップS32]プロセッサ311は、塗潰し画像の枚数を決定する。塗潰し画像の枚数は、予め定められた値(たとえば「2」)であっても良いし、印影画像の分割数に応じて算出してもよい。なお、塗潰し画像の最小枚数は、分割画像の途中で表示する塗潰し画像1枚と、分割画像の最後に表示する塗潰し画像1枚とで、合計2枚となる。
【0063】
なお、塗潰し画像の枚数を印影画像の分割数に応じて算出する場合、たとえば、最後に表示する塗潰し画像1枚に、途中に差込む塗潰し画像の枚数を加算した値として算出できる。途中に差込む塗潰し画像の枚数は、全画像分割数を分割数下限数で割り、小数点以下を切り上げた商の値として算出できる。
【0064】
[ステップS33]プロセッサ311は、塗潰し画像の表示周期を決定する。表示周期とは、分割画像を何枚表示した後で塗潰し画像を表示するかを定める値である。表示周期は、分割画像の枚数を塗潰し画像の枚数で割り、小数点以下を切り上げた商の値として算出できる。たとえば、分割画像の枚数「9」を塗潰し画像の枚数「2」で割った結果は、「4.5」である。表示周期は、「4.5」を切り上げ「5」となる。この場合、プロセッサ311は、表示周期「5」に基づき分割画像を5枚表示した後で、塗潰し画像を表示する。
【0065】
[ステップS34]プロセッサ311は、ステップS33で求めた表示周期に基づき、分割画像の表示順序に塗潰し画像を差込むことで、塗潰し画像と分割画像の表示順序を決定する。たとえば、表示周期「5」の場合、プロセッサ311は、5枚の分割画像a1p,a2p,a3p,b1p,b2pを表示した後で1枚目の塗潰し画像F1pを表示する順序とする。プロセッサ311は、表示順序「6」に、塗潰し画像F1pを差込む(
図11に示す)。これに伴い、以降の画像について
図9に示した表示順序から繰り下がり、分割画像b3pは表示順序「7」、分割画像c1pは表示順序「8」、分割画像c2pは表示順序「9」、分割画像c3pが表示順序「10」となる(
図11に示す)。また、プロセッサ311は、2枚目の塗潰し画像F2pを最後に差込む。このため、塗潰し画像F2pは、表示順序「11」となる(
図11に示す)。
【0066】
次に、第2の実施形態の画像送信処理について
図12、
図13を用いて説明する。
図12は、第2の実施形態の画像送信処理のフローチャートを示す図である。
図13は、第2の実施形態の画像ファイルの一例を示す図である。
【0067】
画像送信処理は、分割画像と塗潰し画像とをクライアントへ送信する処理である。画像送信処理は、サーバ処理のステップS15で、制御部310のプロセッサ311が実行する処理である。
【0068】
[ステップS41]プロセッサ311は、表示順序に基づき、塗潰し画像と分割画像を含む画像ファイルを生成する。たとえば、画像ファイル700(
図13に示す)は、分割画像a1p701と、分割画像a2p702と、分割画像a3p703と、分割画像b1p704と、分割画像b2p705とを含む。また、画像ファイル700は、塗潰し画像F1p706と、分割画像b3p707と、分割画像c1p708と、分割画像c2p709と、分割画像c3p710と、塗潰し画像F2p711とを含む。
【0069】
なお、画像ファイルは、分割画像と塗潰し画像が表示順序に従って連続表示できるものであればよい。たとえば、プロセッサ311は、分割画像と塗潰し画像を含むアニメーションGIF(Graphics Interchange Format)を画像ファイルとして生成できる。また、プロセッサ311は、分割画像と塗潰し画像を含むMPEG(Moving Picture Experts Group)の規格に準じた画像ファイルを生成してもよいし、その他の規格に準じた画像ファイルを生成してもよい。また、プロセッサ311は、複数の分割画像と塗潰し画像とを結合させた1つのファイルを画像ファイルとして生成してもよい。
【0070】
なお、プロセッサ311は、塗潰し画像と分割画像とを表示順序に従って連続表示する際における表示時間を設定してもよい。たとえば、プロセッサ311は、所定の時間(たとえば、1秒間)で画像ファイルに含まれる塗潰し画像と分割画像とを全て表示するように表示時間を設定してもよい。また、プロセッサ311は、1秒間で所定の枚数(たとえば、20枚〜30枚)の画像を表示するよう、表示順序に従った表示時間を設定してもよい。
【0071】
[ステップS42]プロセッサ311は、ステップS41で生成した画像ファイル700をクライアントへ送信する。
次に、第2の実施形態の画像送信処理について
図14、
図15を用いて説明する。
図14は、第2の実施形態のクライアント処理のフローチャートを示す図である。
図15は、第2の実施形態のクライアントで表示する画像ファイルの一例を示す図である。
【0072】
クライアント処理は、クライアントがサーバへ印影画像要求を送信し、印影画像要求に対応する印影画像をクライアントで表示する処理である。クライアント処理は、サーバへのログイン認証が許可された後で、クライアントの制御部310のプロセッサ311が実行する処理である。
【0073】
[ステップS51]プロセッサ311は、印影画像要求をサーバへ送信する。
[ステップS52]プロセッサ311は、サーバから印影画像要求に対応する画像ファイルを受信する。
【0074】
[ステップS53]プロセッサ311は、ステップS52で受信した画像ファイルを表示する。プロセッサ311は、画像ファイルに応じた表示処理ができる。たとえば、プロセッサ311は、受信した画像ファイルがアニメーションGIFである場合、クライアントでブラウザソフトを起動して印影画像を表示することができる。また、プロセッサ311は、受信した動画ファイルがMPEG規格に準じた画像ファイルである場合、MPEG規格に対応する動画再生ソフトを起動して印影画像を表示することができる。
【0075】
また、プロセッサ311は、受信した画像ファイルに複数の分割画像と塗潰し画像とが含まれている場合(
図15(A)に示す)、表示順序に従って分割画像801,塗潰し画像802,分割画像803,塗潰し画像804を連続表示することで印影画像を表示できる。
【0076】
また、プロセッサ311は、受信した画像ファイルが、複数の分割画像と塗潰し画像とが結合した1つの画像ファイル805である場合(
図15(B)に示す)、画像ファイル805における表示領域8051,8052,8053,8054をずらして連続表示することで、印影画像を表示できる。
【0077】
なお、プロセッサ311は、画像ファイルに表示時間が設定されている場合、表示時間に従って画像ファイルを表示できる。
このように、クライアントは、サーバ300から印影画像を分割した分割画像と塗潰し画像とを受信する。クライアントは、受信した分割画像と塗潰し画像とを連続表示する。分割画像と塗潰し画像とを連続表示した画面について、人間が見た場合は印影画像として目視され、カメラなどの画像撮影機器で盗撮された場合には印影画像の一部分または塗潰し画像が撮影される。このため、サーバ300は、印影画像を分割した分割画像と塗潰し画像とを提供することにより、印影画像を表示する際のセキュリティを高めることが可能となる。
【0078】
また、撮影機器の撮影速度を変更して印影画像が盗撮された場合であっても、分割画像に塗潰し画像が差込まれた画面が盗撮されるため、盗撮された画像は塗潰し画像となり印影画像の全体を撮影することは困難となる。なお、実施例においては、印影画像を例として説明したが、印影画像以外(たとえば、サインの画像など)に適用してもよい。
【0079】
このようにして、サーバ300は、印影画像を分割した分割画像と塗潰し画像とを提供することで、印影画像の表示におけるセキュリティを向上できる。
なお、上述のサーバ300およびクライアントの処理は一例に過ぎず、クライアントの処理をサーバ300で実行しても良いし、またサーバ300の処理をクライアントで実行しても良い。
【0080】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、情報処理装置1、サーバ300、クライアント100,110が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD:Flexible disk)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0081】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に記憶しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0082】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に記憶する。コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0083】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLDなどの電子回路で実現することもできる。