(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407130
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】圧縮気体用気液分離エレメント及び気液分離装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20181004BHJP
F04B 39/16 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
B01D46/24 A
F04B39/16 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-231820(P2015-231820)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-94311(P2017-94311A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】高牟禮 英治
(72)【発明者】
【氏名】望月 福一
【審査官】
向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−525851(JP,A)
【文献】
特開2002−301311(JP,A)
【文献】
特開2011−156499(JP,A)
【文献】
特開2013−193035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00〜46/54
F04B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状で縦置き用に設けられ、上端面の気体導入口から導入される圧縮気体を内側から外側へ通過させて気液を分離し、処理された圧縮気体が上方へ排出されるように使用される圧縮気体用気液分離エレメントにおいて、
気液を分離するように円筒状に設けられた主濾材と、
該主濾材の内周側にエレメント長の全長又は部分的に配され、エレメントの上端側の方が下端側に比べて通気抵抗が段階的又は連続的に高くなるように抵抗勾配を生じさせる通気抵抗部材とを具備し、
該通気抵抗部材が、全面が均一な通気抵抗となるように製作された薄布状のエレメント素材に、斜めにカットした部分が設けられたものであって、エレメントの上端側をより多く巻くように、均一に開口する材料によって円筒状に形成されたインナースクリーンに巻かれた状態に配されていることを特徴とする圧縮気体用気液分離エレメント。
【請求項2】
前記通気抵抗部材を構成する前記薄布状のエレメント素材による抵抗勾配が、複数段階に設けられるように、前記インナースクリーンの前記薄布状のエレメント素材が巻かれる位置が上下方向に複数に分割された状態に設定され、前記インナースクリーンの上端側に巻かれる前記薄布状のエレメント素材の方が、より多く巻かれるように、段階的に長く設けられると共に、前記薄布状のエレメント素材に、斜めにカットした部分が設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧縮気体用気液分離エレメント。
【請求項3】
前記通気抵抗部材を構成する前記薄布状のエレメント素材が、不織布であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧縮気体用気液分離エレメント。
【請求項4】
前記圧縮気体が圧縮空気であって空気から水分を分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮気体用気液分離エレメント。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮気体用気液分離エレメントの前記上端の気体導入口の断面が、該上端の気体導入口へ圧縮気体を供給する直前の圧縮気体の滞留空間の断面よりも小さく絞られていることを特徴とする圧縮気体用気液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状で縦置き用に設けられ、上端面の気体導入口から導入される圧縮気体を内側から外側へ通過させて気液を分離し、処理された圧縮気体が上方へ排出されるように使用される圧縮気体用気液分離エレメント、及びこの圧縮気体用気液分離エレメントを用いる気液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮気体用気液分離エレメントとしては、筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて通気構造材になっている筒状スクリーンと、該筒状スクリーンの外周側を取巻く筒状に設けられて汚染気体を濾過する濾過部と、以上の筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板とを備える気液分離フィルターであって、前記濾過部が、液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材を、多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、液体のミストによって膨潤した際には皺を生じるように設けられていることを特徴とする気液分離フィルター(特許文献1参照)が、本出願人によって提案されている。
【0003】
このような気液分離フィルターに対して、空気中の浮遊粒子(ダスト)を捕集して汚染空気を清浄化する集塵フィルターについては、ダストがフィルターエレメント(以下、「エレメント」という。)の濾材表面に堆積されて形成されるケーキ層によって、通気抵抗が均一化して安定化する。すなわち、エレメント自体の通気抵抗の低い部分や、そのエレメントの集塵装置内に装着された状態で通気性が高くなる部分(通気抵抗の低い部分)では、空気が多く通過するため、ダストが捕集されてケーキ層が先行して形成される。そのケーキ層は、通気抵抗を高めるものであり、これによって、集塵装置内に装着された状況でのエレメントの全体については、通気抵抗の均一化が進行することになる。なお、そのケーキ層の形成によって、ダストの捕集効率は高まることになる。
【0004】
このように、集塵フィルターについては、ダストの捕集によって、エレメントの通気抵抗が均一化しつつ、エレメントの全体としても通気抵抗が上昇することになる。すなわち、集塵装置内に装着された状況でのエレメントの全体の通気性については、使用による経時変化が大きく、均一化がなされるため、時間の経過と共にエレメントの全体を適切に利用してダストの捕集をすることができる。
【0005】
これに対して、気液分離フィルターについては、ダストの捕集を目的とするものでない捕集効率が低いエレメントを前提とするものであり、上記のようなダストを捕集することによって形成されるケーキ層の効果を期待できない。このため、エレメントの一部分について通気抵抗が低く、その一部分の通気流速が気液分離を行うための適切な流速よりも高い状態(過流速)である場合、水滴などの液滴が巻き上げられて、必要とされる気液分離の効率を得ることができず、その状態が維持されることになり易い。
【0006】
特に、円筒状で縦置き用に設けられ、上端面の気体導入口から導入される圧縮気体を内側から外側へ通過させて気液を分離し、処理された圧縮気体が上方へ排出されるように使用される圧縮気体用気液分離エレメントにおいては、そのエレメントの上部のみが圧縮気体を通過させ易いことになり、処理風量との関係で、必要とされる気液分離の効率を得ることができない状態(気液分離不良)になり易い。つまり、そのエレメントの圧縮気体の気体導入口から近い部分であって、処理された圧縮気体の排出される部分に近い部分である「エレメントの上部」が、気液分離装置として通気抵抗の最も低い部分(ショートカットの通気路)になり、圧縮気体の気体導入口から遠い部分であって、処理された圧縮気体の排出される部分に遠い部分である「エレメントの下部」へ向うに従って、その通気路が長くなるため、通気抵抗が高くなる。このため、そのエレメントの全長において、圧縮気体の通気性の均一性を欠くことになり、効果的な気液分離が難しくなる。さらに、そのエレメント長が、上下方向に長くなるほど、その傾向が顕著になり、エレメントの全体をより有効に活用できない状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−193035号公報(請求項1、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧縮気体用気液分離エレメント及び気液分離装置に関して解決しようとする問題点は、円筒状で縦置きに使用される場合であって、気液分離装置に装着された状態でのエレメントの全長について、圧縮気体の通気性の均一性を欠くことになり易く、効果的な気液分離が難しくなることにある。
そこで本発明の目的は、円筒状で縦置きに使用される場合であって、気液分離装置に装着された状態でのエレメントの全長について、圧縮気体の通気性の均一性を向上することができ、効果的な気液分離を実現できる圧縮気体用気液分離エレメント及び気液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの一形態によれば、円筒状で縦置き用に設けられ、上端面の気体導入口から導入される圧縮気体を内側から外側へ通過させて気液を分離し、処理された圧縮気体が上方へ排出されるように使用される圧縮気体用気液分離エレメントにおいて、気液を分離するように円筒状に設けられた主濾材と、該主濾材の内周側に
エレメント長の全長又は部分的に配され、エレメントの上端側の方が下端側に比べて通気抵抗が段階的又は連続的に高くなるように抵抗勾配を生じさせる通気抵抗部材とを具備
し、該通気抵抗部材が、全面が均一な通気抵抗となるように製作された薄布状のエレメント素材に、斜めにカットした部分が設けられたものであって、エレメントの上端側をより多く巻くように、均一に開口する材料によって円筒状に形成されたインナースクリーンに巻かれた状態に配されている。
【0010】
また、本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの一形態によれば、前記通気抵抗部材を構成する
前記薄布状のエレメント素材による抵抗勾配が、複数段階に設けられるように
、前記インナースクリーンの前記
薄布状のエレメント素材が巻かれる位置が上下方向に複数に分割された状態に設定され、前記インナースクリーンの上端側に巻かれる前記
薄布状のエレメント素材の方が、より多く巻か
れるように、段階的に長く設けられると共に、前記薄布状のエレメント素材に、斜めにカットした部分が設けられていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの一形態によれば、
前記通気抵抗部材を構成する前記薄布状のエレメント素材が、不織布であることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの一形態によれば、前記圧縮気体が圧縮空気であって空気から水分を分離することを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る気液分離装置の一形態によれば、上記の圧縮気体用気液分離エレメントの前記上端の気体導入口の断面が、該上端の気体導入口へ圧縮気体を供給する直前の圧縮気体の滞留空間の断面よりも小さく絞られていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメント及び気液分離装置によれば、円筒状で縦置きに使用される場合であって、気液分離装置に装着された状態でのエレメントの全長において、圧縮気体の通気性の均一性を向上することができ、効果的な気液分離を実現できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの形態例を示す一部破断斜視図である。
【
図2】本発明に係る気液分離装置の形態例を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの形態例を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る形態例のインナースクリーンの側面図と通気抵抗部材の展開図とを示す図面である。
【
図6】本発明に係る他の形態例のインナースクリーンの側面図と通気抵抗部材の展開図とを示す図面である。
【
図7】従来の圧縮気体用気液分離エレメントに関するエレメント長と通気抵抗との関係図、及び本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの形態例に関するエレメント長と通気抵抗との関係図を併記した比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメント10及び気液分離装置の形態例を添付図面(
図1〜7)に基づいて詳細に説明する。
この圧縮気体用気液分離エレメント10は、円筒状で縦置き用に設けられ、上端面の気体導入口12から導入される圧縮気体を内側から外側へ通過させて気液を分離し、処理された圧縮気体が上方へ排出されるように使用されるものである。
【0017】
20は濾過部であり、主濾材21と通気抵抗部材22によって構成されている。主濾材21は、気液を分離するように円筒状に設けられている。本形態例の主濾材21は、
図1や
図4に示すように、所要の厚さを有する不織布によって設けられたエレメント素材を一周又は複数周を巻いた状態に配することで、円筒状に設けられている。また、本形態例の主濾材21は、水滴を空気から分離するものであり、二重に巻かれた形態になっている。なお、主濾材21としては、本形態例に限定されるものではなく、例えば、プリーツ状のエレメント素材を全体形状として円筒状に形成したもの、より薄いエレメント素材をより多数回巻き付けることで形成されるもの、織布によって設けられたエレメント素材から成るもの、さらには、それらを含め複数のエレメント素材を複合的に円筒状に形成して構成されるものなど、適宜選択的に構成することができるのは勿論である。
【0018】
そして、通気抵抗部材22は、主濾材21の内周側に配され、圧縮気体用気液分離エレメント10の上端側の方が下端側に比べて通気抵抗が段階的又は連続的に高くなるように抵抗勾配を生じさせるように設けられている。
【0019】
これによれば、円筒状で縦置きに使用される圧縮気体用気液分離エレメント10において、気液分離装置に装着された状態でのエレメントの全長について、圧縮気体の通気性(通気流速又は通気抵抗)の均一性を向上させることができ、効果的な気液分離を実現できるという特別有利な効果を奏する。
【0020】
本形態例では、通気抵抗部材22によって、圧縮気体の気体導入口12から近い部分であって処理された圧縮気体の排出される部分(気液分離装置のエアアウトレット37)に近い部分であるエレメントの上部が、その上部に比べて下方の下部となる部分と比較して、エレメント自体としては通気抵抗が高くなるように構成することができる。そして、このエレメントが、
図2に示すように気液分離装置に装着されることで、そのエレメントの全長において、圧縮気体の通気性の均一化を図ることができる。これによれば、エレメントの上部の通気抵抗が高くなることで、そのエレメントの上部の通気流速を適切に遅くすることができ、液滴の巻き上げによる分離不良を防止し、気液分離の効率を適正な状態に高めることができる。また、そのエレメントの全長をより効果的に利用して、気液分離を適切且つ効率的に行うことができる。
【0021】
また、本発明の圧縮気体用気液分離エレメント10によれば、そのエレメント長を長く設計することができる。すなわち、円筒状のエレメントにおいて、より大きい処理空気量の機種を設計する場合、必要な濾過面積を確保するため、エレメントを長くするか太くすることになるが、圧縮気体用エレメントでは、エレメントを収納する容器の強度、コスト、外観などから、エレメントを長く設計する場合が多いが、その設計の制約に、本発明による圧縮気体用気液分離エレメント10は、好適に対応できる。
【0022】
また、本形態例では、通気抵抗部材22が、圧力損失の小さい薄い不織布であって、均一に開口する材料によって円筒状に形成されたインナースクリーン15に、部分的に巻かれた状態に配されている。これによれば、通気抵抗部材22をインナースクリーン15に巻く工程は増えるが、簡単に製造することが可能であり、製造コストの上昇を抑制でき、適切な効果を得ることができる。
【0023】
さらに具体的に説明すれば、
図1や
図5の展開図に示す形態例(例1)では、通気抵抗部材22を構成する不織布が、インナースクリーン15の外周側であって、エレメント長の上側半分に相当する範囲(上部)に一周巻かれている。そして、本形態例では、その通気抵抗部材22の外周側に、主濾材21を構成するエレメント素材が巻かれていることで、濾過部20が構成されている。
【0024】
また、
図6の展開図に示す形態例(例2)では、通気抵抗部材22を構成する不織布による抵抗勾配が、複数段階に設けられるようにインナースクリーン15の前記の不織布が巻かれる位置が上下方向に複数に分割された状態に設定され、インナースクリーン15の上端側に巻かれる不織布の方が、より多く巻かれている。さらに、本形態例では、通気抵抗部材22を構成する不織布が巻かれるインナースクリーン15の位置が上下方向に三分割され、最も上端側に通気抵抗部材22を構成する不織布が三周巻かれ、中間部に通気抵抗部材22を構成する不織布が二周巻かれ、最も下端側に通気抵抗部材22を構成する不織布が一周巻かれていることで構成されている。
【0025】
このように構成された本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメント10の通気抵抗と、従来の圧縮気体用気液分離エレメントの通気抵抗との違いを、
図7に基づいて説明する。
【0026】
先ず、従来の気液分離装置に装着された圧縮気体用気液分離エレメントでは、
図7の左側のグラフ(従来の圧縮気体用気液分離エレメントに関するエレメント長と通気抵抗との関係図)で示すように、エレメントが長くなって上端面の気体導入口12から遠くなるほど、通気性が低下して通気抵抗が徐々に高くなる。
【0027】
これに対して、本形態例のように、通気抵抗部材22を構成する不織布が巻かれた圧縮気体用気液分離エレメント10によれば、
図7の右側のグラフ(本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントの形態例に関するエレメント長と通気抵抗との関係図)に示すように、気液分離装置に装着された状態でのエレメントについて、通過する気体の通気性を段階的に均一化することができる。
【0028】
すなわち、
図1や
図5の展開図に示す形態例(例1)では二段階で均一化が図られ、
図6の展開図に示す形態例(例2)では三段階で均一化が図られている。このように、通気性が平均化することで気液分離装置に装着されたエレメントの全体をより均一に用いることができ、通過する気体の偏りを防止でき、上部で流速が高くなって巻き上げ現象が生じることを防止し、気液分離を適切且つ効率的に行うことができる。なお、
図7の右側のグラフに示されている本形態例(例1、例2)に係る通気抵抗のそれぞれの値は、主濾材21の元々の通気抵抗(全長について一定)と、気液分離装置に装着された際の通気路の影響による通気抵抗(エレメントの下部へ向うに従って線形的に上昇)と、通気抵抗部材22による通気抵抗とを、合算した値になっている。
【0029】
また、通気抵抗部材22によって通気抵抗の差(段階的や連続的な通気抵抗の勾配)をつける方法としては、本形態例のように、全面が均一な通気抵抗になるように製作された薄布状のエレメント素材(本形態例では通気抵抗部材22を構成する不織布)を用い、その巻き数で調整する方法に、限定されるものではない。例えば、同一のエレメント素材の繊維材料で厚さを変えること、同一のエレメント素材の繊維材料で目付量(重量)を変えること、その繊維材料の厚さや目付量を徐々に変えることで連続的に通気抵抗の勾配をつけること、エレメント素材の繊維材料の繊維径を変えることで通気抵抗の勾配をつけること、全面が均一な通気抵抗になるように製作された薄布状のエレメント素材を斜めにカットしてエレメントの上部の側を厚く巻くことで連続的に通気抵抗の勾配をつけること、或いはそれらの通気抵抗に差をつける方法を組み合わせるなどの方法によっても、通気抵抗の勾配を適宜に調整できる。
【0030】
また、本形態例の圧縮気体用気液分離エレメント10では、筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて通気構造材になっている筒状のスクリーン部材(インナースクリーン15)と、そのインナースクリーン15の外周側を取巻く筒状に設けられて気体を濾過する前述の濾過部20と、その濾過部20を外周側から保護するアウタースクリーン16と、それらの筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板(上端板11、下端板13)とを備えている。これらの構成は、従来のエレメントと共通する点が多いが、本形態例の圧縮気体用気液分離エレメントは、前述のように、濾過部20が、主濾材21と、通気抵抗を段階的又は連続的に変える通気抵抗部材22とによって構成されている点に特徴があり、特に通気抵抗部材22の形態及び配置に特徴がある。
【0031】
また、本形態例の圧縮気体用気液分離エレメント10は、圧縮気体が圧縮空気であって空気から水分を分離するために形成されたものである。このエレメントが、
図2に示すように水滴分離装置に装着された状態において、そのエレメントの全長について、圧縮空気の通気性の均一化を向上させることができる。これによれば、空気の流れが偏って局所的に流速が高くなることを抑制できるため、水滴の巻き上げによる分離不良を防止し、水滴分離の効率を高めることができる。また、そのエレメントの全長をより効果的に利用でき、水滴分離を適切且つ効率的に行うことができると共に、局所的な消耗を防止できるため、フィルター寿命を延長できる。なお、本発明に係る圧縮気体用気液分離エレメントは、水のミスト(水分)を水滴化して空気から分離する場合に限定されるものではなく、他のミスト成分を気体から分離する際に適用できるのは勿論である。例えばオイルミストの分離をする際にも用いることができる。
【0032】
また、本形態例の圧縮気体用気液分離装置によれば、
図2に示すように、以上に説明した圧縮気体用気液分離エレメント10の上端の気体導入口12の断面が、その上端の気体導入口12へ圧縮気体を供給する直前の圧縮気体の滞留空間34の断面よりも小さく絞られている。なお、本形態例では、
図2に示すように、気液分離装置のケーシング30のヘッド部31に設けられた圧縮気体の滞留空間34の下部に接続口35が形成されており、その接続口35に、上端板11の立上げ縁部が外嵌してO−リングを介してシールされることで、圧縮気体用気液分離エレメント10が、気液分離装置のケーシング30内に装着されている。
【0033】
この圧縮気体の滞留空間34によれば、整流効果があり、圧縮気体用気液分離エレメントの内側の全周に対して均一化した状態で、圧縮気体を導入させることができる。これによれば、気体の流れが偏って局所的に流速が高くなることを抑制できるため、液滴の巻き上げによる分離不良を防止し、液滴分離の効率を高めることができると共に、全体的に通気抵抗の上昇を抑制して効率的な気液分離を行うことができる。
【0034】
また、本形態例の圧縮気体用気液分離装置によれば、気液分離の処理がされた圧縮気体は、圧縮気体の出口側の滞留空間36を介してエアアウトレット37から排出されるように構成されている。この圧縮気体の出口側の滞留空間36は、気体導入口12に係る通気路の大きさと比較して十分に大きな通気路となっており、気体の流れに偏りが生じにくいように構成されている。本形態例のエアアウトレット37は、気液分離装置のケーシング30の上部(ヘッド部31)に設けられており、気液分離の処理がなされた圧縮気体を圧縮気体用気液分離エレメント10の上方へ導いて排気できるように配設されている。なお、ヘッド部31の下部には、ケーシングカバー32が、クランプによって装着され、O−リングでシールされている。このケーシングカバー32によって支持されることで、圧縮気体用気液分離エレメント10が、気液分離装置のケーシング30内に適切に位置されて装着されている。
【0035】
また、本形態例の圧縮気体用気液分離装置は、ラインフィルター装置になっており、水平方向の配管にエアインレット33とエアアウトレット37とを直線的に装着できる構成になっている。さらに、
図2に示すように、38はドレンであり、圧縮気体用気液分離エレメント10によって分離した液体が、濾過部20を伝って下降して下端板13とケーシングカバー32の隙間(下端板13にはスリット有り)を介して流下し、集まったところを図示しないドレン排出器で排出できるように設けられている。
【0036】
なお、気体から分離された液体を、ドレン38へ効率良く排出する形態としては、本形態例に限定されるものではなく、例えば、気体から分離されて濾過部20を伝わって流下する液体が、流れ易くなってドレン38に収集され易くなるように、下端板13から所定の距離の区間について、通気抵抗が大きい状態で一定となるように構成することも可能である。
【0037】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0038】
10 圧縮気体用気液分離エレメント
11 上端板
12 気体導入口
13 下端板
15 インナースクリーン
16 アウタースクリーン
20 濾過部
21 主濾材
22 通気抵抗部材
30 気液分離装置のケーシング
31 ヘッド部
32 ケーシングカバー
33 エアインレット
34 圧縮気体の滞留空間
35 接続口
36 圧縮気体の出口側の滞留空間
37 エアアウトレット
38 ドレン